『変幻自在の暗殺者』スキン&スーツ解説
2040年のテレビ番組『犯罪職人のテクノロジー #2』より
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『難し時代(ハードエイジ)』
多くの人類学者たちはこの21世紀現在をそう呼んでいる。
前世紀末より興った新経済主義は、通信技術の飛躍的向上とともに瞬く間に拡大し、全世界を包み込んだ。
あらゆる文化、道徳、価値観が数値化され、市場原理の中へと飲み込まれていったのだ。
多くの者達が短期利益の追求に明け暮れる中、次第に競争は激化して市場は幾多もの恐慌を繰り返し、貧富の差は劇的に広がっていった。
また経済優先の開発拡大によって地球環境は急激に悪化。異常気象や食糧危機が容赦なく人々を痛めつけた。
大都会ではうなるほどの金と権力を持つ、ごく一部の富めるものが我が物顔でのし歩く一方で、
今日の食事にも困窮する、圧倒的多数の貧しき者達が糧を得るために互いの生き血をすすり合う。
しかし富めるもの達は未だに利益確保の競争に明け暮れ、貧しき者達の現状が省みられることはない。
まさに現代は『難し時代』なのかも知れない。
拡大する市場競争の中でかつての大国は力を失い、新たに世界の覇権を握ったのは国家を股にかける巨大企業だ。
その膨大な経済力を背景に彼らは政体を取り込み、国家の政府による統制を形骸化させた。
『グレートシフト』と呼ばれたこの大きな変革はいくつかの先進国で同時多発的に発生し、国家は企業の所有物となったのだ。
それはまた、従来国家が担ってきた外交あるいは紛争も、企業が担うことを意味していた。
しかし短期利益を追求する企業は、直接紛争に関係することを望まない。
いさかいごとに関わるということは信用の低下を招き、彼ら自身が持つ株式や資産の価値を貶めることにつながるからだ。
されど、競争に勝ち抜くためには合法非合法を問わず、あらゆる工作活動を行うことは必須である。
だから不評をかうことを嫌う企業や力ある個人は、後ろ暗い行いに自らの手を汚すことはせず『彼ら』を雇う。
『犯罪職人(クライマイスター)』
別名クライマーと呼ばれる彼らは、顔なきフリーランスのエージェント。
非合法活動に欠かせない、さまざまな技術を持つプロフェッショナルだ。戦闘術、隠密術、交渉術、クラッキング技術、エトセトラエトセトラ・・・。
彼らは多額の報酬と引き換えに、自らのもつ技術を依頼人に提供する。
そして光の届かぬ社会の裏側を、疾風のように駆け抜けていくのだ。
二元論的に見るならば彼らはただの犯罪者だ。事実多くのクライマーたちはただ腕の立つだけのゴロツキ同然と言えるだろう。
だがその一方ある種の美学で己を律し、ポリシーを持って活動するものが少数ながら存在する。
彼らは『ノーブル・クライマー』と呼ばれ、その活躍に魅せられた市民は多い。
厳格な管理社会の中にいる市民達にとって、彼らは枷を持たぬ自由人だからだ。
スマートかつクールにビジネスをこなす彼らの姿は、まさに現代のニンジャであり怪盗と言えるだろう。
この『難し時代』を変える力を持っているのは、彼らなのかも知れない。
この番組では、彼らクライマーの使うさまざまなアイテムを紹介している。
今夜紹介するのは、ある意味最も親密な彼らの友とも言える『スキンモジュール』。バイオテクノロジーとナノテクノロジーが生み出した人工の人肌だ。
これの登場はまさに革命であった。フィクションの世界でしか有り得ないような精巧な擬態、変装をスキンモジュールは可能にしたのだ。
外見だけなら完璧に異性の姿をも装うことができ、腕のあるものは実在の人物にも完璧に成りすますことができる。
あらゆる場所に監視カメラが仕掛けられている都会の中で彼らは、その化けの皮に身を潜めているのである。
ひょっとしたらあなたの職場にいる少しとぼけた新人OLは、クライマーが入れ替わっている偽者かも知れない。
さて、それでは早速説明に入ろう。
スキンモジュールは大きく分けて二つのパーツに分かれている。それぞれがそれぞれの役割を持ち、互いを補完しているのだ。
一つは着用者の体格を補正する『スクイーズスーツ』。そしてもう一つはその上に貼り付ける第二の皮膚『アウタースキン』だ。
これらを纏うことによって着用者の姿はまったくの別人の姿を持つことが可能となるのである。
まずは直接着用者の肉体を覆うスクイーズスーツから解説しよう。これは通常全身を覆うウエットスーツのような形状をしている。
これは軍や警察の一部で運用されている強化服EMスーツ(Enhanced Muscle Suit)の技術を応用したもので、それにナノテクノロジーを駆使した体型補正機能を付与したものである。
エネルギー源は着用者が食事によって得られた熱量の一部を電力に変え、蓄えることで確保している。そのため着用者の食事量は若干増えることとなる。
なお軍用のEMスーツとは違い、軽量化と補正機能を優先させた作りのため、スクイーズスーツ自体に防弾機能は全くない。
もしあなたが賢明なクライマーならば、正面からスーツド(強化服を着用した警官)と撃ち合うのは、正気の沙汰でないでことが分かるだろう。
別名スクイーザー、もしくはシュリンクと呼ばれるスクイーズスーツの主目的は、着用者の体型補正と生命維持、そして運動機能の強化である。
スーツを着込み起動することによって、それの裏地を構成するナノマテリアル複合体が着用者の皮下に浸透し、骨格、筋肉、その他臓器、循環器系に影響を与えない範囲で体細胞を保存しつつ圧縮し、それと同時に、関節部を補強しながら骨格の伸張または収縮を行う。これらの工程は着用者の肉体に無理がかからぬように、慎重に行われる。
その一方でスーツの表側を構成する人工筋肉層が、着用者の皮膚に接着し起動。あらかじめ設定した通りのボディラインを形作る。その外見は黒い筋繊維層がむき出しになった、まるで人体模型のような不気味なものとなる。
もし着用者の体格より大きな相手に化ける場合はスーツの中間層である有機高分子体が膨張し、擬態対象の体格差を補うようになっている。
また、喉に浸透したスーツの一部が声帯部を変質させ、望みの声色、声紋パターンを複製することが可能となる。
眼球の上にも偽装膜が張られ、瞳の形状、色、網膜パターンも自由に変更できる。
異性に変装する場合の擬似生殖器もこの時に構成される。そう、着用者は見た目だけではなく、寝台の上でも異性として振舞うことが出来るようになるのだ。
しかし男性の着用者が、女性に成りすます場合は複雑な手順を要する。ナノマテリアル複合体によって圧縮された男性器を体内に収納し、鼠渓部と同化したスーツが膣や子宮などの内性器を構成するようになっている。
ただこのシークエンスは着用者に過度の負担を強いるため、実際に擬似女性器を体内に埋め込む男性着用者は一部しか存在しないようである。
またスーツと、その上に定着する人工皮膚アウタースキンは擬似的な神経系と触覚を備え、起動中は着用者の感覚に上書きされる形になっている。
なお擬似生殖器の感覚について興味ある視聴者は多いと思われるが、どのように感じられるかはデータが不足しており不明である。
着用者の生命活動はスーツによって厳密にモニターされ、代謝も管理されている。
肉体に過度の負担がかかった場合は、内蔵されているドラッグホルダーが適切な薬物を判断し投与することで、着用者の肉体的、心理的ストレスを軽減するようになっているのだ。。
最悪の場合は肉体の圧縮を解除し、元の体型に戻るための安全装置が施されているが、たいていの使用者はその機能を制限している。
使用者の立場を考慮すれば、妥当な対応だろう。
またスーツが破損した場合もすぐに圧縮が解除されることはない。着用者と同化したナノマテリアル複合体はエネルギーが途切れた場合でも一時間は圧縮を維持することができる。
アクシデントが起きたとしても着用者は現場を離れ、着替えをする時間を確保できるのだ。
代謝の管理は徹底されており、排出する汗、垢などの老廃物はスーツに吸収、ろ過されたあと貯蔵もしくは廃棄が可能で、ろ過された汗や尿は水分補給に再利用することも出来る。
貯蔵した老廃物は下腹部のタンクに貯蔵され、擬似的な排尿として廃棄されるようになっている。
ただ、大便だけは浄化ができないため、通常通りの手順で廃棄されなければならない。
着用者の肉体を包み込んだスーツは着用者の筋肉の動きを読み取り、増幅する機能を備えている。
スーツの第二層は電収縮式の人工筋繊維で出来ており、密着した着用者の筋肉の動きに合わせて収縮するようになっているのだ。
安全装置による制約はあるものの着用者の運動機能は平均20%向上し、スーツを着た者はまさに超人となるのだ。
だが噂によると、安全装置を解除したスーツを使用する猛者がいると聞く。
それは危険な行動だ。安全装置の制約を越えたスーツの力は人体に大きな負担をかける。
場合によっては筋肉が千切れ、骨が砕け、内臓が傷つく。
しかし彼(?)はそれをものともせずに猿(ましら)のごとき体術で宙を駆け、獲物のモノワイヤであらゆる物を切り裂く『死の旋風』になるという。
スクイーズスーツによって体型を補正した後は、その上に擬態用の人工皮膚アウタースキンが貼り付けられる。
これは培養された人工蛋白質からなる、つくりものの人肌である。
だがその作りは精巧だ。このまがい物の皮膚には脂肪の層や擬似的な循環系が走り、体温や血流、皮膚や体毛の代謝が細かく再現されている。
着用されたスキンはスーツの表面と接着し、そこからエネルギーの補給を受けることで活動を始め、あるべき姿へと変化する。
起動前の、ゴムのように乾いていたスキンの表面は水気のある人肌の質感を持ち、やがて皮下の擬似神経や血管、汗腺が活動を始め、それらは本物の人間の皮膚のように感覚を持ち、血を流し、汗をかくのだ。
これにより着用者は、顔も身体も完全と別人に成りすますことが出来るようになるのだ。
先ほど話した『死の旋風』と呼ばれる暗殺者もまた、これを使った類稀なる変装術の使い手だ。
彼は殺害対象の家族、恋人、知人に完璧になりすまし、場合によっては対象と寝台を共にして隙をうかがい、数十人もの要人や犯罪組織の幹部などを殺害したのだ。
彼がロシアンマフィアの幹部ペトロフの愛人に成りすまし、寝台の上で彼を殺害した事件は記憶に新しい。
(ペトロフ邸の監視カメラに映った、給仕の姿のままモノワイヤを駆使して空中を駆ける『死の旋風』の雄姿。自身を傷つけずに複数のモノワイヤを振り回す彼の戦闘技術に注目。
殺害されたペトロフの外部記憶にはこの美しい少女との、死の直前まで交わした激しい情事の様子が鮮明に記録されていた。このような芸当ができる腕利きのクライマーはほんの一握りである)
アウタースキンにはさまざまなバリエーションがあり、着用者は自分のニーズに合わせたスキンを選択できる。
始めに解説するのは完全に一体成型されたフルボディタイプ。これは文字通り全身を覆うスーツ状のスキンで、別名ワンピースとも呼ばれる最もスタンダードなモデルである。
しかし裏社会においてフルボディタイプはあまり普及していない。理由はスキンの携帯、即応性の低さだ。
後に紹介するタイプに比べるとフルボディタイプはどうしてもかさばり、また分割すると耐久性が大幅に失われてしまう弱点を持っているからだ(後述するセパレートタイプを参照)。
しかしそれらの欠点を補って余るものがある。それは耐久性の高さだ。一度成型すると半年は機能を維持し続けるフルボディタイプの耐用期間は他の追随を許さない。
また、このタイプはスキンだけを自立させることが可能で、脳波による遠隔操作でかなり激しい運動を行うこともできる。
中身が無いため戦闘行為を行うことは出来ないが、フルボディタイプは手軽な囮としても使える便利なモデルである。
アウタースキンの中でも単価は最も安く、表社会では要人の影武者として使われることもある。
次に説明するのは頭や腕、脚、胴体など体の各部位ごとに分割されたセパレートタイプだ。別名はビキニ。
分割処理されたフルボディタイプも、セパレートと同じ扱いとなる。
これの利点は説明するまでもないだろう。フルボディタイプと違いセパレートタイプは携帯性に優れ、好みの部位を手軽に持ち歩くことが可能だからだ。
頭部のスキンのみを持ち歩けば、少しの時間と隠れる場所さえあればすぐに顔を変えることが出来る。これはフルボディタイプには出来ない芸当だ。
この即応性の高さは工作員、犯罪者の良き友となった。そのためセパレートタイプのスキンは裏社会では最も普及したものとなっている。
また分割された部位同士の接合も可能で、耐用期間中接合部は完全に癒着し、不自然に見えることはない。
欠点はフルボディタイプに比べて耐久性が低いことだ。耐用期間は最大240時間。メンテナンスを怠るとそれより早い時間でスキンは入口近くより壊死を始め、急速に崩壊していく。
またフルボディタイプよりも分割部が弱いため単体で自立が出来ず、操り人形として使うことが出来ない。だがそれは過ぎた望みだろう。
単価はフルボディタイプと同等少々割高だが、気軽に顔を変えられる利便性の高さはこれからも裏社会で活躍する人々に愛用され続けるだろう。
しかしくれぐれも耐用時間にはご用心。メンテナンスを怠ったがために正体を露呈し、命を失ったクライマーは数知れない。
先述したこれらのアウタースキンは、通常は成型を済ませた完成品が流通量の大半を占めるが、パウターと呼ばれる粉末状の未成型スキンもごく少数ながら流通している。
特定の人物になりすます程の実力を持つものは、擬態対象を複製したアウタースキンを自前で成型するためだ。
出来合いの外見modならば、今日ではネットワーク上にいくらでも公開されているが、特定の人物の姿を成型するのはかなり手間がかかり、相応の技術を要する。
そのためにまずは対象人物の外見データを徹底的に調査、収集し、得られたデータをシステムに入力する必要がある。
パウダーは成型用コンテナの中で水分を含ませながら撹拌して可塑性を持たせ、入力されたデータに基づいて特定の電荷をかけることによって、入力された形状のスキンへと成型されていくのだ。
そして成型の済んだスキンを目視で検査し、機械では再現できない誤差を人間の手で修正。これでようやくスキンは完成する。
先ほど述べた『死の旋風』や、政府要人の実の娘になりすまして機密情報を奪取した『ダンシング・ダガー』、最近死亡が確認された殺し屋『サザンフェイス』など、彼らのまるでフィクションのような高度な変装術は、この工程を経て初めて可能となるのである。
(左がある企業重役の娘の姿に変装した『ダンシング・ダガー』らしき人物。右にいる『少女』は彼の相棒の戦闘屋『ブラック・ブレード』。
変装術指南中の一コマ。彼らのチームは自身や雇い主に支障のない範囲で活動内容をPVとしてネット上に発信し、それによっても収入を得ている珍しいクライマーである。
『死の旋風』同様、この様な高度な変装を施すには絶えず体を鍛え、リミッターを外したスクイーズスーツの圧縮に耐えられるだけの肉体の強度と柔軟性を維持しなければならない。
もちろん肉体の鍛錬だけではなく、擬態対象の性格や癖を完璧に把握し、模倣できる演技力も重要である)
さて、いくつかのバリエーションをもつアウタースキンの解説も、次で最後になる。
最後に紹介するのは最近市場に出回り始めた最新型、ムースタイプだ。
これは粘度の低い流体状のスキンで、通常は整髪量の缶を模した専用の容器の中に、全身分の分量が圧縮された状態で充填されている。
これの特色は、セパレートタイプよりも遥かに高い携帯性と即応性だ。
容器を向け、スクイーズスーツの上にスプレーするだけで、瞬く間に泡状のスキンがスーツの表面を覆い尽くして癒着、成型され、設定されていた容姿を定着させる。
またムース自体を擬態したい人物の身体に接触させてその形状を読み取り、対象の容姿を即座にスーツの上に複製することも可能だ。
通常は生成に最低一時間(対象人物の詳細なデータ収集を含めるとそれ以上)はかかる他のアウタースキンよりも即応性は比較にならない程に高い。
しかし長所あれば短所あり。ムースタイプにも弱点は存在する。
それは他のスキンに比べ、あまりにも短い耐用時間だ。
ムースタイプが人の姿を維持できる時間はわずか48時間。それを過ぎるとこの脆弱な細胞組織はただちに壊死を始め、あっという間にボロボロの蛋白質の残骸へと成り果ててしまう。
そのため長期の潜入工作には向かず、いまだ高い単価も手伝って裏社会で広く使われていることはないようだ。
最も多いとされるムースタイプの利用方法は、裏技である。
擬態対象の詳細なデータをムースを使って収集し、こうして得られたデータを基にフルボディもしくはセパレートのスキンを成型するのだ。
コストはかかるものの、それぞれのアウタースキンのデメリットを軽減し、メリットを最大限に利用できる。まさにアイデアの勝利といってもよいだろう。
以上説明したとおり、三種類のアウタースキンの特徴にはそれぞれ一長一短がある。
裏社会のエージェントたちは単一種類のスキンにこだわることなく、それぞれのスキンの利点を場に応じて取捨選択し、いくつもの顔を使い分けて影の世界を渡り歩いているのである。
さて、今回説明したスクイーズスーツと三種類のアウタースキンには、擬態能力の他になくてはならない共通の機能が備わっている。
それは機密保持のための自壊プログラムだ。とくに着用者の肉体に直接融合するスクイーズスーツにはその人の老廃物や体組織が残り、着用者の詳細な身体データが入力されている。
また、スーツと同化するアウタースキンにも最低限の記録は残ってしまう。
科学捜査の発達した今日、それらのものを非合法活動の現場に残す行為は、自殺行為と言ってもいい。
自壊プログラムは着用者が脱ぎ捨てたスーツとスキン、それらの痕跡ともども跡形もなく分解するシステムだ。
着用者の指令によりスーツとスキンの内部に収納されているナノマシン『イレーサー』が活動を始め、スキンモジュールは数十秒で分子の塵へと還元される。
これでクライマーたちは使用済みのスキンを持ち歩くことも、ごみの収集日を気にする必要はない。用済みになった『顔』はその場に捨ててしまえばいいのだ。
またクライマーの中には、イレーサーの代わりにより危険な自壊用ツールを仕込む者もいる。
主に使用されるのは活性状態になると高温で発火、燃焼する『ムスペル』や、
蛋白質を破壊して人体を泥のように溶解する『マッディ』など、たやすく人体を破壊できるナノマシン兵器である。
その目的は自爆だ。追っ手の追及をかわせなくなったクライマーは、スーツやスキン諸共、自分自身という最大の証拠を消去するのだ。
最も有名な使用例は、ニンジャの血を引くとされた暗殺者『サザンフェイス』の散りざまだろう。
殺害目標との戦いに敗れ、深い傷を負ったサザンフェイスは最後の力を振り絞って標的に抱きつき、ムスペルを起動した。
しかし幸いなことに、間一髪でターゲットは彼の腕を千切り脱出に成功。
1人炎に巻かれたサザンフェイスの肉体はスキンやスーツ諸共3000℃の高熱で焼かれ、灰一つ残さずに燃え尽ることとなったのである。
以上で、究極の変装ツールといわれるスキンモジュールの解説を終える。
繰り返すことになるが、これの登場はまさに革命であった。フィクションの世界でしか有り得ないような精巧な擬態、変装をスキンモジュールは可能にしたのだ。
これらの技術は今日も日々進歩し続けている。耐用時間の向上、生成時間の短縮、スクイーズスーツの居住性の改善、そのほかの新たなる付加価値の付与。
技術の蓄積は即座に製品にフィードバックされ、着用者達の手に渡ることになる。
これら人工の人肌を纏ったエージェントたちはこれからも危険に満ちたハードエイジを暗躍し、物語の中の怪盗のように我々を魅了し続けてくれるだろう。(番組終わり)
妄想が湧きまくりです。
ところでサザンフェイスって、既に支援所に登場してました?
道具だけ手に入れて浮かれたり、変装技術が疎かになった存在は簡単に消されるんだろうな。
『ダンシング・ダガー』と『ブラック・ブレード』のキャッキャウフフを見る為に会員制のページに登録しないと。
2枚目の挿絵がまた、こんなボディを着込んでるのかという羨ましさを引き立たせますね。
着用前のスクィーズスーツの具体的外観とか、着用時の変化場面とか見てみたくなってしまいます。
もったいなさすぎですよねぇ。