朝、薄いサーモンピンク色のカーテンからこぼれる日差しを受けながら、雀の鳴き声で目を覚ます。
「うん」
まだ寝ていたいという気持ちを抑えて、ベッドから上半身だけを起こし、大きく背伸びをする。
その時肩にかかっていた黒髪がずれ落ち、背中にまで垂れ下る。その感触をうけ、改めて自分の体を確認する羽目になる。
「…はぁ。」
そう、今俺の体は妹の双葉の体になっている。実際、今俺がいる部屋には双葉の中学校の女子の制服が壁にかかっている。
昨日の夜に双葉から詳しく聞いた話だと、今俺は「清葉」という名の女子中学生だが、実質学校での成績などの記録や立場は双葉と変わりはないとのことらしい。
というのも今双葉はすみれ女子高の文化祭に"生徒"として参加している。元々の中学生の双葉はどこにもいない…訳ではなく、
今のわた・・・俺、清葉が本来双葉がいた位置に入ったわけであり、今日の私がとる行動が双葉お姉ちゃんのする行動になるわけだ。
名前は清葉ということになっているけど、実際は双葉お姉ちゃんそのものと変わりは無いということらしい。
つまり今日私、清葉が双葉の代わりに受ける水泳のテストの成績が、双葉の水泳の記録となるということ。多分。…と双葉は言っていた。
何故私がこんなことをする羽目になったかというと、双葉お姉ちゃんは学校の成績はいいんだけど唯一体育など体を動かすのが苦手…
いや、体力とか身体能力はあるんだけど、その体を動かす運動神経がダメダメで、特に水泳が苦手で毎年この季節になるたび私に愚痴をきかせてきた。
このまま25m泳げないままだと夏休みも学校に来て補修を受けてもらうことになりますよ。と担当の先生に言われたけど、水に顔をつけることさえ躊躇うお姉ちゃんがそう簡単に泳げるわけはない。
そういうことで、お姉ちゃんと違ってそれなりにスポーツもできる私が代わりにテストを受けてきなさい。とお姉ちゃんに…いや、双葉に言われた訳だ。
確かに俺は小さいころはスイミングスクールに通っていたおかげで、元の体ではあまり速くは無いけど一通りの泳ぎはできた。
「ああんもう!双葉の記憶と清香の記憶が混ざって変な感じ!」
そう、さっきからわた…俺は清彦と清香としての記憶と人格、あまり大きくはないものの双葉の記憶の3つが混在している訳で、双葉に対する感情もころころ変わる。
妹にこんな身勝手なことをされ続けたら普通は激怒するに決まっているが、清香の人格があるせいで、姉に従わなければいけない妹としての感情が混じり、実際双葉に対してそれほど怒ってはいないのだ。
しかも今私は双葉としての記憶もあるため、今日のテストに落ちたらどうなるかということも身をもって分かっているため、今日のテストは通らなければいけないという気持ちもある。
今の俺の頭にある人格や記憶を総合して考えると、はやいとこ今日のテストを終わらせて家に帰り、元の姿に戻りたいといったところだ。
それでもって二度と双葉の勝手にならないようにしておきたい。
波はあるものの、今は本来の人格である清彦の人格が表に出ている。昨日みたいにあまり女の子に染まりすぎないように注意しておかなければ。
「取りあえず…早いとこ着替えよう。」
そういうことでわ…俺は来ていた黄色のパジャマを脱ぎ、制服に袖を通すことにした。
いつも女の子の服に着替える時はタンスの服を取り出すと勝手に着た状態になるけど、今日のところは自分の手で着替えなければならない。
髪の手入れ等もタンスが勝手にやってくれたが、今日の朝は自分の手でしなければならない。
昨日お風呂からあがる時は意識が女の子に偏っていたからか、違和感なくすんなり着替えることはできたけど今はそうでもない。
上のパジャマを脱ぎ、ブラジャーに包まれた乳房が露わになると、今の自分の、それも妹のものだと頭で分かっていても少し興奮する。
一応着替えの手順自体は双葉の記憶がうっすらと俺に教えてくれるのだけども、だからと言って俺が女の体になっていることに慣れているという訳ではない。
今まで何回も女の体を味わってはいたけども、やっぱりこれまで19年近くは男として過ごしてきたのだから完全に女になりきるというのは難しい。
そう思いながら履いたスカートの感覚も、自分が男という気持ちを忘れさせてしまいそうで少し怖い。
最後に少し曲がっていたセーラー服のリボンを整え、見た目は完全に女子中学生の姿になった。
下に降りると双葉は既に家を出ていたらしく、家には誰もいなかった。
洗面所に向かい、水で濡らしたブラシで髪を梳かす。ごく自然に体が動いてくれるので、あまり考えること無く事が進む。
中学校では化粧は禁止されているため、大人の女性よりも支度に時間はかからないものの、男の時と比べ、倍近く時間がかかっている。
時間に余裕がある為少し遊んでみたくはなったが、別物とはいえ仮にも妹の姿。あまり熱中するとシスコン疑惑がかかる為、髪型を少しいじくる程度にしておいた。
最終的に今日一日はポニーテールで過ごすことに決めた。長い髪をひと括りにして、鏡の前で少し微笑んでみる。
「(…って何やってるんだろう。妹の姿なのに)」
あまりやりすぎると後々後悔すると思った俺は大人しく朝食を食べ、早めに学校に出かけることにした。
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「であるためこの後メロスは♂友人♂のセリヌンティウスと熱い…」
キーンコーンカーンコーン
「ああっともう時間か、次の授業からは一学期のまとめに入るからな」
国語の授業が終わり先生はさっさと教室から出て行った。そして次の授業の体育の準備が始まろうとしていた。
久しぶりの中学校で、戸惑うことがあるのではないかと思っていたがそんなことは全くなかった。
清香としての記憶があることが大きく、知らないはずの清香の友人と会話もできたし、前ほど女の子の体に対して違和感を覚えることもあまりなかった。
「清葉ちゃん!早く更衣室に行こうよ!」
「うん!」
俺は机の横にぶら下げていた水泳鞄をとると、待っている友達のもとに早足で向かった。
「清っぺ今日は水泳のテストだよ受かる自信あるかな?」
「だ、大丈夫だって!一応練習もしたし!」
もちろん昨日はそんな暇は無かったし嘘である。と言っても元々俺は泳げたし、あまり速くはないだろうけど25m泳ぐぐらいのことなら訳は無いだろう。
清香の友達とおしゃべりをしつつ、女子更衣室に辿り着いたが、不覚にも服を脱ぐまで今俺が置かれている状況に気付くことはなかった。
そう!俺は今合法的に女子更衣室の中にいる!男として最も遠い世界といえる桃源郷に!今!
「ガヤガヤ」
「w」
「!」
「ワイワイ」
次々と更衣室に入ってきては服を脱いでいく女の子達(中学生といっても最近の子は発育がいいというのは本当だった。)
そういえば女の子になったことは何度もあったが、こういう空間に入ったことは一度もなかった。この機会をくれた双葉にはこの時ばかりは感謝しておこう。
「清葉、何ニヤついているのさ」
「そうだよ早く着替えて外出ようよ」
「わぁ!ご、ゴメン!」
いかんいかん、夢の世界に旅立って着替えるのをすっかり忘れていた。鞄から水着と水泳帽を取り出し、双葉の記憶を頼りにセーラー服を脱いでいく。
朝も脱ぐときに必然的に分かったことだが、双葉の体はかなりスタイルがいい。
体を動かすのは苦手なくせに、体力は有り余っているせいか、出るところは出て引っ込むところは引っ込む見事な体つきをしている。(中学生基準の話だけど)
…っとこれ以上妹の体を詮索しても意味ないからとっとと着替えよう。
身に着けていたスポーツブラを外し、ショーツも脱いで完全に裸になったのだが・・・今俺って妹の体とはいえ女の子に囲まれて裸のままでいるんだよな…
「あれ?何で赤くなっているのさ清葉?」
「な、なんでもない!」
何でだろう、清香や双葉の記憶ではいつものことなのに、やはりムッツリの清彦の人格が強く出ているせいか、裸の女の子に囲まれることは恥ずかしいのだろう。いや、清彦の人格が強いままの方がいいんだけどね。
どっちにしろ裸のままでいるのはよくないということでスクール水着を広げてに足を入れ、紐を肩まであげる。
双葉の体が覚えているせいか、スムーズに着ることは出来るのだけど、初めて身につけるスクール水着が全身を締め付ける感覚はある意味新鮮で戸惑う。
体を動かすたびに長い髪が揺れて鬱陶しいのでゴム紐で髪を一括りにしておいて、水泳帽を取り出して被る。
色々手間取ったものの、とりあえず着替え終わったところで友達と一緒にプールサイドの方に向かうことにした。
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「えーと次は清葉さん」
「はい!」
「貴女今まで泳げなかったよね、じゃぁ貴女は片道の25mね。もしこれで泳げなかったら夏休みはザ・補習だから。それじゃヨーイ、ドン!」
先生の合図とともに俺はプールに飛び込む。先程少し泳いでみたが、やはり慣れないスク水の違和感があるものの、なんとか泳ぎきることはできそうだ。
それによく考えれば、女の子の体で運動をするのは今回が初めてのことだった。
日焼けの少ない白い細い腕を使って水を掻く感覚。
長い髪が水流に梳かされてそよぐ感覚。
体をひねる時に胸を締め付けられるスク水の感触。
いつもよりも小さな体で動くことで感じる視点の違い。
「清葉!もう少しだよ!」
そんなことを考えているうちにもうすぐゴールのようだ。
友達の蒼衣ちゃんの声が私の感覚を水泳の方に揺り戻す。
「(もう少しでゴールだ…諦めてたけど…泳ぎ切ったら補習に来なくても済むんだ…!)」
双葉の記憶から来るその思いが後押しとなり、なんとか私はプールの岸にたどり着くことができた。
「19.4秒。すごいじゃん清葉!今まで全然泳げなかったのに!」
「えへへ…実はちょっと特訓して少し頑張っちゃった。」
実際泳いだのは清彦の経験があってこそなのだけども、双葉の今まで泳げなかった記憶から、今回初めて泳げたという感動が押し寄せてくる。
私は思わず我(清彦)を忘れて、友達と一緒にはしゃいでしまった。
「清っぺが『頑張る』…?一番嫌いな言葉が『努力』で二番目が『頑張る』の清っぺが…?」
「実はこの清ちゃんは偽物で本物は今頃遊んでいたりして」
す、鋭い!まったくもってその通りです。
「あははそんなことは無いってば。私だってやる時はやるよ」
「でも運動音痴の清葉がねぇ。ハードル走のハードル全部蹴倒してゴールしたのは笑ったわ」
「飛び箱でマンガみたいなこけ方して思い切り吹っ飛んだこともあったよね。」
「テニ○リみたいに吹っ飛んでた。」
「ちょ、それは忘れてって言ったでしょ」
双葉の記憶から、それは実際起こったことだから手に負えない。私自身が経験したことだからね。
意識がさっきのプールの時に双葉寄りになってしまったようだけど、私は別にかまわないと思った。
一々清彦の記憶を表に出して女の子の生活に右往左往するのもいいけど、いっそ今日は双葉になりきって過ごすことに決めた。
そう考え、私は双葉として友人と、この学校生活を楽しむことにするのでした。
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「ただいま」
学校の授業が終わり、クラブに入っていない私は足早に帰宅した。
「さーて、早くタンスのところに行こうっと」
もはや私の生活に欠かせないものとなっているあのタンス。元の姿に戻る為に私の部屋に向かうため、階段を上って部屋のドアを開けた。
「今日一日は色々楽しかったけど…やっぱり早く元の姿に戻りたいからね」
もとはといえば双葉に脅されてこの姿になったのが始まりだった。
今日の水泳のテストはちゃんと受けたし、もう妹の姿のままでいる必要は無い。妹の姿で遊ぶ気もしないしね。"兄"として
そう考えて私は着ていたセーラー服を脱ぎ、タンスにしまって元の体に戻る…はずだったけど
「あれ!?何で元の姿にもどらないの!?」
今までは着ていた服をタンスにしまえば、変身していた体も元の清彦の体に戻るはずだった。
でも今確かに服を入れたはずなのに、体を見下ろせば下着に包まれた膨らんだ胸と、締まりのいい体。アソコをさわってみてもペニスの感触は無かった。
「(一体どうして…もしかして私一生このまま!?)」
今までにない出来事にパニックになる私。これからずっと妹の姿で、妹の記憶を持って過ごさなければならないのだろうか?
しかし、すぐに問題の解決方法が思い浮かんだ。
「あ…そうだ。昨日のパジャマをタンスに入れないと駄目なんだった。」
そんな下らないミスで混乱した私が恥ずかしく思えた。ベッドの上に畳んでおいたパジャマを手に取り、タンスの中にしまう。するといつものように視界がグラリと揺れた。
「…ふぅ。なんとかもとにもどれた。」
原因のパジャマをタンスにしまうと俺の体は元の、清彦のものに戻っていた。
「はぁ…色々あって疲れたけど…タンスで遊んでみようかな」
いつもの日常を取り戻した俺は、いつものようにタンスで変身して遊ぶことにした。
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「ははっ、男の体に胸があるというのも変なものだな」
そう言って俺は自分のEカップ並に大きく膨らんだ胸を揉みしだく。
といっても今の俺の体は元の清彦、男の体のままだ。
このタンスには多くの収納場所がある。普段着等を入れる大きなスペースや、下着等を入れる小さな引き出しのスペース等様々だ。
今回俺は新たにこの下着スペースで追加された服を見つけた。いや、服というのも怪しいが。
それは今俺が身につけているブラジャーだ。それもEカップサイズの巨乳用の。
他にもショーツ等色々あったが、ブラジャーを見つけた時、早速俺はこれを取り出し、気がついたら俺は巨乳の女…ではなく、なんと巨乳を持った清彦になっていた。
普通こんなものをつけるのは女の体がふさわしいんじゃないか?巨乳の美女になるのを期待していたのに。
と思ったが、男でもホルモンを打てば胸が膨らむというし、服とは違って下着は体の一部を変身させるものなんだと無理やり理屈付けた。
実際今の俺の膨らんだ胸の部分だけ男の焼けたゴツイ肌ではなく、女性特有のきめ細かな肌になっており、その乳房は柔らかく白くて美しい。
試してないが、女の体でこの下着をつけても胸が膨らんだり小さくなったりするのだろう。
俺はタンスを開け、試しに新たに女性用の白いショーツを取り出した。すると一瞬意識が薄れた後、手に持っていたショーツは消え去っていた。
「もしかすると…」
俺は恐る恐る股間に手をあててみたが、そこにはあるべきものの感触は無く、代わりにショーツ越しに感じる指の感触と、女の股間特有の電気が走るような快感が感じられた。
「んっ、ホントに胸と股間だけ女になってるんだ。」
今の俺は男の時の普段着を着ている。とはいえ、シャツを押し上げるのは男にあるはずのない巨大な胸のふくらみが異常な存在感を示している。
それ以外の部分は男の時とは変わらない。トランクスがショーツに変わったからといってズボンがスカートに変わったわけでもない。
胸と股間以外の部分が男のままなので、発せられる喘ぎ声も男のもので、気持ちよくなるところが逆に萎えてしまう。
「女の胸を男の手で掴む掴まれるというのは新鮮だが、喘ぎ声が男のままじゃあなー」
そう考えて俺は喉の部分もしくは顔を変える下着もしくはアクセサリーを探してタンスを漁る。
立ち上がろうとした時に、腰の不安定さでこけそうになるが、なんとか耐える。
残念ながらそんなものは無かったが、俺は代わりにある物を見つけた。
「これはカバンだよな…なんでタンスに入ってるんだ…?」
俺はタンスの目立たない場所にあった引き出しの中にカバンが入っているのを見つけた。前覗いた時はこんなもの無かったはずだ。
これまたアンティークな雰囲気が漂うカバンで、派手ではないが地味でもない。
某薔薇乙女が入っているようなデザインの洋服カバン。タンスから取り出してみても特に体が変身するという訳でもない。
カバンを開けてみると、中には赤いカーペットが敷かれており、白い手袋が一組入っていた。
「…?手袋入れ?いや、手袋の大きさ以上にこのカバンはでかいし…一体何なんだ?この中に手袋が増えてくのか?」
そう思って入っていた白い手袋をつけてみたけど…特に変わった様子は無い。
タンスの中から出てきたものだからただの手袋ではないと思うが…と考えていると、どうやら双葉が帰って来たようだ。
「ただいまー」
下から双葉の声が聞こえる。そう言えば今日双葉はすみれ女子高の文化祭に参加していたんだったな。
階段を上る音が聞こえ、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「お兄ちゃんいるー?」
「ああ、いるぞ。入ってもいいぞ。」
そう言うと双葉は部屋に入ってきた。白いセーラー服に青いリボン。すみれ女子高の制服だ。
見た目はいつもの双葉(さっきまでの俺の姿)とほとんど変わらないのだが、ばつが悪そうな顔をしている。
「え、えーとお兄ちゃん。今日はごめんね。ちょっとやりすぎちゃった。もうこれからはこんなことしないから…許してくれる?」
珍しく双葉が真面目に謝ってきた。今までの双葉だとこんなことは珍しいことだった。
「まぁいいよ。でも今度やったら許さん。やったら宇宙の塵にしてやる。あの地球人のようにな。」
「クリリンのことかー(棒読み)。うん。ありがと」
ほぅ。こんな風に真面目に謝るということは多少反省しているということかな。
まぁ何か企んだとしても今度は気をつければいいし。そんなに根に持つつもりはない。次は許さないがな!ははは
「あと…さっきからすごい気になってるんだけどその胸どうしたの?」
!
しまった…さっきこの巨乳のままタンスを漁ってからカバン見つけて…もとに戻るの忘れてた…
ちなみにショーツもつけっぱなしだから股間も女性器のままだ。
「あーっと。さっきこのタンスに新しいモノが見つかってな。調べてたら双葉が帰ってきた訳だ。」
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「ふんふん…つまりその巨乳は偽乳じゃなくて自前な訳ね。男の癖に私より大きいとは生意気な。」
「偽乳とは嫌な言い方だな。自前と言っても別にタンスを使えば難しいことでもないぞ」
ちなみに双葉にさっきこのタンスで見つけたカバンのこと、下着類のことを説明した。
「この下着は結構いいわね。一度爆乳というものになってみたかったのよ。」
そう言って双葉はタンスを漁り、ブラジャーを取り出した。するとブラジャーは光の粒になって消え、双葉の胸の辺りにまとわりついた。
双葉のセーラー服に覆われた胸が膨らんで膨らんで…セーラー服を押し上げていく。
「んっ…と。何これ苦しい…」
変化が終わり、双葉の気がついたときは、その胸はHカップはあろうかという爆乳になっていた。
もちろん胸の大きさにセーラー服のサイズに合わず、はちきれそうになっている。苦しそうにしていた双葉は耐えきれずに服を脱いでしまった。
「ぷはー、苦しかった。ほら見て凄いでしょー」
「分かったから見せるな見せるな。」
「なによー。お兄ちゃんだって今巨乳の癖にー。」
双葉の今の胸のサイズは手ではとても掴みきれない程のサイズになっている。ブラジャーで支えきれているのが不思議なくらいだ。
今の俺も体は男の癖に、女性平均と比べてかなり大きめのサイズになっている。Tシャツを押し上げて形がハッキリ見える程だ。
「ふぅ。巨乳も結構つらいモノなのね。肩が凝って来ちゃった。」
双葉はそう言って床にごろんと転がった。
「下着類の他にもリボンとか色々見つけたし、試してみたいけどこのカバンも気になるわねー」
そう言って床に置いてあるカバンに目を向ける。
このカバンはタンスから見つかったものだ。タンスに関した秘密を持っているに違いない。
今つけている手袋も何らかの効果を持っているはずだ。
「とりあえずお兄ちゃんその胸どうにかしたら?私もう飽きたから戻るね。」
双葉はタンスから先程つけていたであろうブラを取り出した。メロンのようだった双葉の巨乳が慎ましいサイズになっていく。
俺も背中に手を回し、胸を支えていたブラジャーのホックを外す。汗でおっぱいに張り付いていたブラがとれ、胸とブラジャーの間に空気が入り込んでブラが外れる。
タンスにしまうと、お椀のようだった胸が縮まっていき、白かった肌も日焼けした色に変わり、男の胸板に戻っていった。
先程履いてたトランクスを取り出して股間も男のものに戻そうとした。しかし、取り出しても変身が始まる気配がない。
「(あれ?これ取り出したらショーツが外れてトランクスが履かされるんじゃなかったか?)」
さっきのパジャマの時みたいに何か勘違いしてないか?と思って試しに中に入っていた別の服を取り出してみるが特に変化は無い。
「おっかしいな。壊れたかな?」
このタイミングでタンスに壊れてもらうと俺は一生女性器をもったままになるから勘弁してもらいたいのだが…
試しに他にもセーラー服やらメイド服やらドレスやら色々取り出してみるのだが一向に変身する気配は無い。
そこらへんに取り出した服が散らかり続けるだけだった。
「あれ?タンス動かないの?どれどれ…」
と言って双葉が白のブラウスに緑のチェックのスカートを取り出すと…いつものように服が光の粒子になって双葉の体にくっつき、光が収まると双葉はそのブラウスとスカートに身を包んでいた。
「あれ?普通に動くな…なんで俺だけに作動しないんだろうか。」
「今更だけど、こんな現象に普通も何もないでしょうに。」
それを言ったらこのタンスに服が勝手に追加されることとか色々起こっているというのに、気にかけていたらキリがない。
さっきまでちゃんと変身できていたのに、カバンを見つけて双葉が帰ってきて…ってカバン?
もしかするとカバン…いや、今つけている手袋のせいか?
そう思ってずっとつけていた白の手袋を外し、トランクスを取り出すと、少しの眩暈の後俺の股間は元に戻っていた。
「ふんふん…この手袋をつけていると服を取り出さなくても変身しないんだな。でも一体何に使えるんだ?」
取り出さなくても変身しないということは…男のままの姿でも女物の服やらを取り出すことができるという訳だ。
女装とか男装にも使えるし、このタンスの中の服を外に持ち出せるということもできるだろう。
ところで気になるのはこのカバンの方だ。この洋服カバンの中に手袋が入っていたのだが…
「あ!もしかして!」
双葉が思いついたように声を上げる。放り出していた手袋を拾うと、タンスを開けてリボンのついた青いドレスを取り出した。
特に変身する様子がないとなるとやっぱり原因は手袋だったか。
双葉は足元に落ちていた洋服カバンを開けると、その中にドレスを押し込んだ。
「んっと。シワになりそうだけどいいよね。後でどうせ汚れごと取れるし。」
そういってカバンを閉める。何が起こるのか予想ついてきた。
「さてお兄ちゃん試しにこのカバンを「断る!」…ばれたか。仕方ない私で試すか。」
危ない奴だ。さっき謝ったというのに抜け目ない奴め。そこまで行くと見当がつく。
このカバンは洋服を入れるためのものだ(多分)。もちろんカバンは持ち運びするための道具だから…
さっきカバンを開けた双葉が、一瞬の光の後、先程の青いドレスに身を纏って、年齢も大体18歳ぐらいにまで成長している。
ここまで大人びた双葉は初めて見たが…なるほど目もぱっちり大きく顔立ちも整い、濡れ羽色の髪も輝くように美しい。
服のおかげもあるかもしれないが、少なくとも今まで見た中でトップレベルを争う美貌だ。
っとこれ以上ほめるとまたシスコン疑惑がかかるからやめておこう。
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このあと2人で色々実験してみて分かったことだ。
・その白い手袋でタンスの服を取り出すと変身が始まらない。
・それでもって一旦取り出した服をカバンにしまって、カバンを開けると開けた人物に(←ここ重要)変身が始まる。
・中に一緒に下着類等も一緒に入れると、開けた時にカバンの中身全ての変身が開けた人物にされる。
・その時身に着けていた衣類は、代わりにカバンの中に入る。
・そしてそのカバンを開けると、その人物の変身前の容姿をコピーすることができる。(今日の清葉の一件のようになる)
ここまで便利だとカバンを失くす心配が出てくるが、なんとこのカバンが入っていた引き出しを開けると、外に出していたカバンが消え、この引き出しの中に戻っているのだ。
つまり、今はあんまり試しては無いが、仮に家の外に持ち出してカバンを何処かに失くしたとしても、この引き出しを開ければ中身ごと元に戻っているという訳だ。ワオ便利!
明日は休日。ゲームに勤しむのも悪くないがこのカバンを使って悪戯に洒落込もうではないか。
ちなみに今双葉は晩飯を作っている。今日のお詫びにしばらくの間晩飯当番をしてくれるらしい。
さて、我が妹のありがたいお言葉に甘えて俺は今のうちにタンスで色々遊んでおこうか。
今日は今回新しく追加されている下着類とかアクセサリーとかを使って遊ぶことにしよう。
まず下準備に今の俺の年齢を下げるためにタンスに入ってあった小学生サイズの服を取り出す。ここで重要なのは取り出したのは男物ということだ。
…っと眩暈の後に気がつくと俺の体は小学4年生ぐらいの年齢に若返っていた。
鏡の中の俺はジーンズにチェックの柄のトレーナーを着た小学生の男の子になっていた。髪は短髪で、典型的なスポーツ少年と言った感じだ。
部屋を見渡してみると、確かに雰囲気が幼くなっているような気がする。
机の上には小学4年の算数の教科書が、ベッドには今までの青のシーツではなく何故か白いのシーツが敷かれてある。
視点も小学生サイズにだいぶ縮んだからか、慣れない感覚ですこしフラつく。鏡を見た感じ身長140cmくらいだったか。
さて、ここからが本番だ。
まず引き出しから黒のニーソックスを取り出す。…太ももまで足全体が何かに包まれている感覚がある。
足を見てみると、俺の脚は先程の黒のニーソックスに包まれていた。
さっきまでの少年の筋肉で健康的な足ではない。まるですらりとした女の子のような足。
さわってみると、すべすべとしたニーソックス越しに少し敏感になったように指の触感が伝わってくる。
足が細くなったのでバランスを崩さないように、次はタンスからブラジャーを取り出す。
と言っても大きい物ではない。AAカップのようなほんの少し膨らんだ程度のカップを包む子供用のブラジャー。
変身が終わって胸を触ってみると、トレーナーの下に何か布の感触がある。
同時に敏感になった胸が布越しにさわられているように感じる。
俺はトレーナーとジーンズを脱いでみた。足には太ももまで包む黒のニーソックス。日焼けしていたはずの肌のが、白くなっている。
その上には白いブリーフ。中身は小学生サイズで、それほど目立つほど大きくない。
少し日焼けしているお腹の部分の上を見ると、胸の部分だけ背中まで不自然に白い肌になっている。
その白い肌を包む子供用の白いブラジャー。よく見ないと分からない程度の胸のふくらみを優しく包んでいる。
しかし、胸や足の部分以外、腕や顔などは男の子の物のままだ。
そこで俺はさっき見つけた子供用のピンクのキャミソールを取り出す。眩暈が終わると、俺はあまりの変化に驚いた。
さっきまで茶色く焼けた筋肉質の腕が白く、壊れそうなぐらい細くしなやかに、女の子の腕のように変化している。
がっしりとしていた肩はなで肩に変わり、そのきめ細やかな肌の両肩にはピンクのキャミソールのストラップがかかっていた。
腹筋が見える程丈夫だったお腹は丸みを帯び、ウエストはキュッと引き締まっている。
さっきまで日焼けしていた肌は、首から上の部分を残すのみになっていた。
最後に俺は小物入れの引き出しを開け、青いリボンとピンクの髪止めを取り出した。
…やんちゃっぽさを感じた少年の顔は、優しげな、少年のものとも少女のものともとれる中性的な顔に変化していた。
髪の毛も短髪だった黒髪から、肩まで伸びる栗色のショートカットの髪に、リボンと髪止めが前髪を止める形になっていた。
こうして俺は小学生の、パンツ以外女の子の下着を着た、一見女の子に見える男の子になった。
鏡をよく見てみると、元の顔の面影が少しだけ残っているように見える。
仕上げに俺は例の手袋をつけ、タンスからピンクのショーツと、白いフリルのついた紺のメイド衣装のような服を取り出した。
とは言っても手袋をつけているから変身する訳でもない。
手袋を外し、履いていたブリーフを脱いで取り出したショーツを履く。アソコは男の子のままなので、少し窮屈に感じるが我慢する。
鏡を見ると、本当に女の子が下着姿で鏡を見ているようで恥ずかしくなり、顔を染めて目をそむけると、鏡の中の少年も同じような仕草をする。
「うん。思いつきでやってみたけどこれは想像以上だ…。」
口から発せられた声は女の子のように高い声ではないものの、声変り前の子供特有の幼さが感じられた。
恐らくうまいこと練習すれば、女の子のような声も出せるのではないか?
最後に、慣れない服に悪戦苦闘しながらも、なんとか取り出した服を着ることに成功した。
鏡にはフリフリの服に身を包んだ美少女が映っていた。しかし、アソコにあてると例の感触がある。結局股間は変えずに男のままだから女装少年と言った方が正しいだろう。
こうして体のほとんどが下着類で女の子のように変わったものの、俺の「完璧な女装少年」計画は成功に終わった。
机の上には4年生○○清彦と書かれた算数の教科書が変わらず置いてあり、何故か机の横には赤いランドセルがかかっていた。
「ふむ…ひょっとして学校にはいつもこの格好で行っているのかな?」
確かにこの姿で黒のランドセルはあまり似合わないだろう。本当にほとんど見た目は美少女なのだから。
しかし女装したまま小学校に行くとは…学校でいじめられたりされないのだろうか?
「…でも一日ぐらいは体験してみたいかも、女の子にしか見えない男の子の生活。」
そんな呑気なことを言っていると下の階から双葉の声が
「お兄ちゃんご飯出来たよ」
「わかった!」
俺はあえて元の姿に戻らず、この姿で過ごすことに決めた。
「ん?」
階段を下りている間、俺はとあることに気がついた。
さっき双葉俺のことお兄ちゃんって言ったよな?この姿は小学生のものだから少なくとも双葉にとっては俺は弟(妹)という風に世界が修正されるんじゃなかったっけ?
そんなことを考えつつ、慣れない視点とニーソックスで滑らないように気をつけながら階段を下りていく。
下の階では双葉が器に料理を盛り付けていた。ちなみに服は着替えてあるものの、さっきのドレスを着た時の体である。大人の体が気に入ったらしい
俺の存在に気がついた双葉は驚いた顔を見せた。
「きゃーーーーー!お兄ちゃん何その格好!可愛い!」
双葉が駆け寄って俺に抱きついてきた。身長差でちょうど俺の顔が双葉の胸に当たっているのだがお構いなしのようだ。
「んっむぅ。おい双葉、離せってば。」
「あぁ、ごめんごめんついうっかり。ところでその声…やっぱり男?」
「うん男…って何が"やっぱり"なんだ?」
「あーうん。料理していたらね、いきなりなんだけど『お兄ちゃんって今大学生…あれ?小学生だっけ?』って思ったの。
私はお兄ちゃんが大学生だということを覚えていたんだけど、同時に小学生という記憶もあったの。
それで、『あぁ、あのタンスで小学生の男の子になっているな』って思っていたんだけど……」
「だけど?」
「こんなに可愛い子になってるなんて!着せかえて遊んでもいいでしょ!?」
「駄目!そんなにやりたければお前がなればいいだろう。」
「むぅ。いいもんいいもん。今度あのカバンでうちのクラスのあいつを…」
そのあいつを何するつもりだ。恐らく女の子にして遊ぶんだろう。俺も似たようなことを明日やるつもりだし。
「何でだろうね、可愛い男の子というのは時として可愛い女の子以上の魅力を持つよね。もうこれは神秘だよね。
これは可愛い男の子の方が希少性が高いという結果から魅力なのか、それとも男の子なのに女の子の格好をすることによって生まれるギャップ…」
何か語り始めた。この妹怖い。今は姉だけど。
「そんなことよりご飯だご飯。」
「分かったってば。お兄ちゃんその体だからあんまり食べれないでしょう?」
確かに。子供並の胃袋の大きさだし、加えてこのちんまりとしたナリだといつもの半分くらいしか食べられないだろう。
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夕食を済ませて部屋に戻ってきた。
「うーん、まさか本当にいつもの半分も食べられないとは…」
さっき双葉が盛ってくれた料理は確かに少なめだったが、それすらも食べきることができなかったのだ。小学生とはこんなにも食が細いものかと実感した。
それにしても…双葉は俺が大学生だったことを覚えていた。タンスを使いすぎて、修正された世界にも前の記憶がついていけるようになったのか?
といっても双葉は俺が女装少年になっていることに気がつかなかった。下着やアクセサリーで色々変身していたのに。
下着類等で変身した場合は、世界の修正が行われないのかな?
じゃぁなんでランドセルが赤色になっていたのだろう…この姿に合うようにランドセルだけ修正されたのだろうか。
「あーもう、細かいことは後で考えよう!」
これ以上考えても混乱するばかりだ。思考をばっさり切り落とした俺はとりあえず風呂に入ることに決めた。
着替えを取り出そうとクリアボックスに向かったのだが…中身はまるで変身前の男の子用の物ばかりだった。
これだけ下着で体が女の子に近づいたのに、やはり変わったのはランドセルだけ…?違いがわからん。
キャラクターの入った青いパジャマに、ブリーフにトランクスに…せっかくこの姿でいるのに女装しないとは何事か。
俺は手袋をはめ、タンスの方からピンクの柔らかい布地のパジャマ、ショーツにキャミソールを取り出すと、それらを持ってお風呂に向かった。
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「ふぅ」
ぬるめに設定しておいた湯船に使って一息ついた。
先程体を洗ったのだが、思ったよりこの体は敏感だった。
アソコ以外は、ほぼ全身女の子のものに近くなったから当たり前なのだが、昨日のお風呂で感じた体を洗う時の感触とほとんど変わり無かった。
昨日は双葉が洗ってくれたから楽だったが、髪の毛も昨日より少ない量なのに、洗うのはかなり苦労した。
さーて、明日は何をしようかな
今日見つけたあの洋服カバン。中に女の子の服を入れて公園のベンチにでも置いておく。
カバンを見つけたとある男の子がカバンを開け、気がつくと自分の体は女の子になっていた!服も今まで着たことが無いはずの白いブラウスにスカートに変わっている。
あせって家に帰る子供、それなのに周りは自分は元から女の子だったと認識する。なぜこうなったのか分からず戸惑う元男の子…。うん、ものすごく面白い。可哀想だけど。
他にも色々なシチュエーションを考えてある。もちろん可哀想だからある程度遊んだところで戻す…かもしれない。
念のため俺は変身した状態でこの遊びをすることにする。元の姿だと知り合いとか色々困るからね。
お風呂からあがって髪の毛を乾かす。いつもはある程度水気を取ったら勝手に乾かしていたけど、これだけ髪が長いと水気を含んだら相当重いし背中も濡れる。
バスタオルで水気を吸い取りながらドライヤーの熱風で髪を乾かす。俺は髪が長い方が好みだけど、手入れする手間を考えたら短い方が楽かもしれない。
鏡に映る火照った顔の女の子…のような男の子。裸になるとアソコが男の子のものだからかろうじて分かるけど…
「よっと。パジャマだからさっきの服よりよっぽど着やすいな。」
こんな風に女の子の服を着ると、どこから見ても可愛い一人の少女にしか見えなかった。
さて、ここで重要なことを考えなくてはならない。本当に重要なものだ。
俺はこの姿になってから口調を、元の姿の時から変えていない。しかし、この姿で"俺"とか男の口調だと違和感を感じるだろう。
ということで女装少年にふさわしい口調に変えてこの状況を楽しもうということだ。
「あ、あ、ん、ん」
まずは女の子らしい声を出す練習だ。男の時と同じような調子で声を出すと、どうしても低めの声になる。
裏声っぽく出す感じに…お、今のは女の子っぽかったな。やればできるな俺。
次に一人称だ。これはもう"僕"で決定。異論は認めん。
あとは中性的な口調を心がけて…よし、やってみよう。
「僕…は清彦…です。女の子とよく間違えられるけど男の子…です。」
うん、あと名前も変えておこうかと思ったけど、あえてこのままにしておこう。考えるのもめんどくさい。
それじゃぁこの遊びを「なりきり!RPゲーム」と名付けよう。今から俺…僕は女装趣味の男の子という設定だ。
お風呂場から出ると双葉お姉ちゃんがいた。さっきまで脱いでいた青色のドレスを身にまとっている。
「あれ、お兄ちゃんお風呂からあがったの?って本当に女の子にしか見えないわね。」
「うん。お姉ちゃんも入ったら?」
「お姉ちゃん!?わぉ!自分から"お姉ちゃん"って言ってくれるなんて嬉しいじゃないの。」
「今の僕は女装少年という設定だからね。口調も声色も変えてみたんだけど…どうかな?」
「最高、もうマジグッド。もうお姉ちゃん鼻血出そう…」
顔を抑えるふりをして悶えるお姉ちゃん。うん結構楽しいねこの遊び。主に周りの反応が。
地面に血だまりを作り、沈んだ双葉お姉ちゃんを放っておいて部屋に戻る。
青いドレスが真っ赤に染まり、うつぶせで倒れるお姉ちゃん。まるで殺人現場のようだった。
これが噂の萌え死にというものか。
双葉の亡骸を放っておいて、自分の部屋の中に入った僕は、やってみたいことがあったのを思い出し、早速それを実行することにした。
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「…はぁ」
僕はため息をつきながらお風呂から部屋に戻ってきた。
僕は昔から周りに女の子みたいね、と言われて育ってきた。僕は特に意識もしていなかったけど、周りから見たら本当にそう見えるらしい。
今も女の子が着るようなゆったりとしたパジャマを着ている僕は、まるで本当に女の子に見えるだろう。
小学校にあがってからも、先生からも、友達からも女の子みたいと言われ続けた。
女の子の格好もしていないのに、間違われることはしょっちゅうだった。
2年生にあがったころから男の子達にからかわれる日々が続いた。
性格も内向的だった僕は、毎日「女くさい、女くさい」といじめられ続けた。
先生に助けを求めたこともあったが、逆にそれが男の子達には気に障ったらしく、「助けを求めるなんてやっぱりお前女だろ!」とか「男なら自分の手で解決しろよ!」とますますエスカレートするばかりだった。
そんな僕をかばってくれるのは、クラスの女の子だけだった。
いじめをする方が男らしくないじゃないの!と、今では僕の親友の一人、若葉ちゃんは守ってくれた。
しかし、男の子達にはそれが女の子に守られる女の子の図にしか見えなかったのだろう。
こうしてクラスの男女の仲は、僕を巡って悪くなっていく一方だった。
クラスが男女の壁で分けられた時、女の子の側に僕はいた。
何をするにしても、一緒に遊ぶにしても女の子達と一緒にいることが多かった僕。
家に帰る時も、家に帰ってからも、女の子の家で女の子と一緒に遊ぶ時間を過ごしていった。
ある日、僕は若葉ちゃんの家で友達の女の子数人と一緒に遊んでいたとき、ある女の子が
「清彦君って…女の子の服も似合いそうだよね。」
その言葉がきっかけで僕は男の子の道から女の子の道に入っていったのだと思う。
若葉ちゃんの服を取り出してきて、僕に着せてみようということになった。
若葉ちゃん達数人は、清彦君に無理やり着せるのは可哀想だと言ってくれた。
でも僕は、若葉ちゃん達女の子に近づきたかったんだと思う。
僕はその服を着てみたいと言った。
みんな驚いたけど、どこか嬉しそうな様子も見られた。僕を気遣ってくれた若葉ちゃん達も含めて。
もともと家で遊ぶことが多く、日焼けもしていなかった僕は、そのワンピースがよく似合っていた。
「可愛い!」とっみんなほめてくれた。僕はそれが嬉しかった。帰る時まで僕はそのワンピースを着て、女の子として過ごした。
次の日からみんな家からアクセサリー等も含めて服を持ち寄り、僕に着させる遊びが流行った。
みんな僕をお人形さんのように着せかえて遊ぶのが楽しかったのだろう。僕はそんなことは構わなかった。
むしろ男である僕を、女の子の輪に入れてくれたことがなにより嬉しかった。
ある日僕は決心した。双葉お姉ちゃんが着ていたけど、大きくなったから押し入れの奥にしまってあった女の子の服。僕はそれをこっそり着て学校に向かった。
クラスは大騒ぎだった。男の子からはとうとう女になったか!という声が、女の子からは清彦君可愛い!という声が。
僕をきっかけに、普段は目立たない女の子も一緒に、クラスの女の子が一致団結した。そんな感じだった。
それからの僕の学校生活は一変した。
学校に行く時は必ずスカートやワンピースなど女の子の服を着て行くようになった。
着替える時も、男子の更衣室だと虐められるからと、女子更衣室で着替えることを女の子達は許してくれた。
学校では清ちゃんと呼ばれるようになり、女の子に囲まれて遊ぶさまは、僕は一人の女の子にしか見えなかった。
もちろん先生に怒られることもあった。学校にお父さんとお母さんが呼び出され、僕のこの頃の女の子の生活について説明した。
とはいっても僕の両親は物分かりがよかった。というかよすぎた。
学校で男の子達に虐められていた僕を放置し、男の子の輪から外れるようにしたのはお前達だろう。とお父さんは言った。
いずれ清彦もこの生活を止める時が来るだろう。その時まで私達はこの子の意思を尊重したい。と言ってくれた。
お父さんの指摘に学校側は、僕がこの小学校にいる間は、僕が女の子として生活できるようにサポートする。と認めてくれた。
僕は3年生からずっと、一人の女の子としてこの学校に通ってきた。
女の子と一緒に服を選んだり、アクセサリーを買ったり、お化粧をして遊んだり。
双葉お姉ちゃんの友達が家に来た時、僕は双葉お姉ちゃんの妹として可愛がられたこともあった。
でも僕は、4年生になってあることを知った。
それは男の子は5,6年生を過ぎると、男の子は大人の男として成長を始めるということだ。
一方女の子も、大人の女として、胸が膨らんだりといった変化があらわれてくるのだという
ずっと僕は女の子として暮らせる訳じゃない。男の子には男の、女の子には女の成長があるのだという。
それはどうすることもできない事実だった。
お父さん、お母さん、お姉ちゃんは僕が女の子として暮らせるように、今着ている女の子のパジャマも、服も買ってくれたし、何より僕の気持ちを分かってくれた。一人の娘、妹として扱ってくれた。
でもいずれ現れてくる変化は、誰にも止められない。この生活は終わりを告げる。
この生活が終わった時、僕は男の子に戻れるだろうか。女の子として暮らしてきた僕が。
お風呂に入った時、鏡に映った僕の筋肉のついてない細くて白い体。その体の股間につく、小さなペニス。
これが僕が男の子であるという動かせない証だ。僕はこれが憎くて憎くてたまらなかった。
これがあるから、僕の今の幸せな生活が終わる。僕を虐めてきたあいつらと同じ道を歩む。
僕はその現実が嫌でたまらなかった。
…部屋のベッドに腰をかける。明日また学校に行って、女の子としての一日が始まる。しかしそれも終わりが来る。
2度めのため息をついた時、僕は机の上に見慣れないものが置いてあるのを見つけた。
それは…洋服カバンだった。
カバンの上には手紙が置いてある。
『どうも、未来のプリンセス。今はお坊ちゃんだね、でも君はそれが嫌で嫌でたまらない。そんな君に僕からのプレゼント。
このカバンを開けると君の未来が変わる。君の望む未来にね。でも一度開けたら今の君が向かう未来へは戻れない。
よく考えてから開けてくれ。でも僕は、君が選ぶ未来は分かっているだけどね。ハハハ! 放火後の○ョーカーより』
なんだこの手紙は?放火魔のジョー○ー?いや、それはともかく僕の望む未来だって!?
未来のプリンセス…一体どういう意味なんだろう…
「ごくり…」
僕は生唾を飲み込む。僕の望む未来…得体のしれない手紙とカバン…僕は忠告を無視して、あまり考えもせずカバンを開けた。
「うわぁッ!」
開けた瞬間光がカバンから漏れ出た。僕は驚いて後ろに倒れてしまった。
…いてて。驚いて気絶していた僕は目を覚ました。
机の上には…開けたはずのカバンがしまっている。一体どうしてだろう?
それよりも僕が望む未来って…
「ん?」
僕は立ち上がろうとした時に、股間から違和感を感じていた。いつも感じていた感覚が無い。
僕はあわてて手を股間にあてた。
「………無い……………」
そう、僕が今まで憎み続けていた股間にある男の子の証。ペニスが無くなっていた。
僕は着ていたパジャマを脱いでいく。ねだって買ってもらったキャミソールも、脱いだところで部屋の鏡を見ると、女の子のパンツをはいた僕が映っていた。
脱ぎ散らかしたパジャマと下着。未発達の女の子が、自分の服を脱いだ直後、といった光景に見えた。
これから僕は、男の子のように、体が成長していくものだと教えられていたが、まだ幼い僕達には男女の違いがあまりないといわれていた。
そう、このパンツの中身以外は。
僕は意を決してパンツをおろす…そこには今まで慣れ親しんだ突起物は無かった。
「う…そ…」
僕の男としての証は無くなった。どこに消えたかは分からないが、戸惑いの中から嬉しさがこみあげてきた。
「(もう僕は男の子じゃないんだ…ほんとのほんとに女の子なんだ…)」
そう思って僕はペニスの無くなった股間をなでていく。
「!?はうっ!?」
いきなり電気のような刺激が走った。指の触れた場所を見ると、ほんのり膨らんだ部分と割れ目が目に入った。
「(ここは…女の子のくりとりすという場所だっけ…そっか…僕女の子だもんね)」
もう一度その突起に指で触れてみる。今度は電気のような刺激の中に、快感が感じられた。
「んっ…僕なんか変になってるみたい…」
刺激の中の快感を求めて、その突起をなでまわす僕。脳にまで達する快感に、全身が熱くなってくるように感じる。
「あっ…うんっ…すごいっ…こんなのはじめてぇっ………」
今まで感じたことのない快感。僕の体は無意識のうちに身をよじらせ、快感を味わっていた。
とめようという気持ちも超えて、僕の指は勝手に動いて快感を求める。
動かしているうちに僕は割れ目からネバついた液体が出ているのを感じた。試しにその割れ目に手をあててみる。
「!!!ひゃぁっ!!!?」
さっきから感じていた快感をさらに超える快感。もはや僕の体は、全身に触れる空気にすら快感を覚える程だった。
「んっ…くっ…うっ…ひゃぁっ…」
もう僕は止めようなどとは思わなかった。そこで割れ目をなでていた指にうっかり力を入れてしまい、割れ目の中に指を突っ込んでしまった。
「!!!あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ…………………!?」
まるで脳から脊髄を通して何か貫かれたようなすさまじい快感を受け、僕は意識を手放した……。
目を覚ますと、僕は丸裸になってベッドの上に横になっていた。
股間を見ると、汗と粘液でびしょ濡れになった割れ目と突起物があった。
「さっきのは…夢じゃなかったんだ…」
僕はびしょ濡れになったシーツのベッドから降りると、鏡の前に立った。
肩まで伸びた髪、ぱっちりとした瞳に整った顔立ち、柔らかい唇。
すらりとした体型に、白い肌。そして、アソコにはピンク色の割れ目。
これから僕の体は女性らしい体に成長していくだろう。いつかお姉ちゃんのような大きなおっぱいが出来上がるかな?
僕は…いや、私はこれから始まる女としての人生に胸を膨らませていた。
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…という夢を見たんだ。
うん、本当は夢でも何でもないんだけどね。半分ただの妄想だ。
女の子として暮らしてきた女装少年が、ある日本当の女の子になれた!というシュチュエーションを演じてみただけ、演劇みたいなものだ。
妄想だから意味不明な部分があっても気にしないでほしい。なんだよ放課後のジョーカーって
…まだ未発達の女性器をいじくりまわしたせいか、少しヒリヒリする…
僕は脱ぎ捨てていたショーツを拾うと、タンスにしまった。
股間が男性器に戻ったのを確認すると、今度は手袋をはめてショーツを取り出し、履いた。もちろん股間は男性器のままだ。
女性器を手に入れた女装少年はただの女性である。エロリーナ・二世
そのまま床に散らばっていたキャミソールとパジャマを身につける。
男の子のはずなのに、女の子の服を身につけると落ち着くのは、女装少年として合格だろう。
元の体に戻っても癖になっていなければいいけど…今の僕を考えると自身が無い。
そんなこんなで疲れた僕は、明日どんな遊びをするのか考えて眠りにつくことにした。
ただ、Lv3の次がLv4.5ってのはどうなんでしょう
ゴッドハンド 726