『ログインしますか?』
真っ暗な視界に文字が浮かび上がる。ゲームの進化はとどまりことを知らず、ゲームはするものから体験するものに急速に変化していた。VR(ヴァーチャル、リアリティ)と名付けられたゲームはその最先端を行くハードだ。実際にゲームの中に入り、新たな人生を疑似体験できる。清彦がログインパスワードとIDをしゃべるとログイン処理が終わる。コントローラーはなく、実際にゲームの中を歩き回り、会話することでゲームは進行する。まさに仮想現実だった。
『ようこそ、TRUE HEARTへ』
清彦がプレイするのは新発売の恋愛ゲーム(18禁)。学園生活を通してさまざまな女の子と出会い、攻略していくというVRでは初のエロゲだ。オーソドックスなストーリーながら実際にエロゲの中に入れるということもあって、多くの男性ユーザーの心を鷲掴みにし、品薄状態が続いている大人気ゲームだ。
「さて、どんなもんなんだろうな……」
期待に胸膨らませながら、清彦はつぶやいた。
TRUE HEART
視界が学園の校門前となり、つづいてタイトルが目の前に現れる。
「うーんと、『今すぐ参加する』……これか」
清彦が選択する。
『ゲームへの参加を試みています』
『キャラクタを作成しています』
『ゲームへ参加します』
「そういえば……オンラインなんだよな」
説明書を読まない清彦の独り言はむなしく響いていた。
再び視界が暗転する。
いよいよゲームが始まる。
…………うん?なんだこれ?
清彦の声は明らかに戸惑っていた。
ゲームは各キャラクタの自室から始まる。当然、自分は主人公でかわいい女の子たちを攻略していくものだとばかり思っていた。それなのに、
「女の子……?」
目の前の姿見に映っていたのは明らかに少女だった。黒髪で三つ編み。眼鏡をかけた制服姿。
パッケージにも隅のほうに小さく描かれているだけの、明らかにサブヒロイン。
「どうなってるんだ?」
少しの間清彦は考えたが、状況がまったく理解できなかった。
ふと、視界の隅に『ヘルプ』の文字が浮かんでいるのに気づく。清彦はヘルプ機能を呼び出す。
『ゲームのルール』
『オンラインモードでは全国のプレイヤーが各キャラクターを操作してゲームを進行します。自分の分身となるキャラクターは希望を出すこともできますが、一つの部屋に複数希望者がいた場合は抽選になります。基本的にランダムで決定しておりますが、どうしても操作したいキャラがある場合、オンラインショップにてチケットを購入いただくことで優先券を入手できます(別途料金が必要です)』
まじで、と清彦は思わず声に出していた。清彦はそんなことひとつも知らなかった。もちろん説明書さえ読まない清彦が100%悪いのだが、だまされた。とさえ思っていた。
それに……何の希望も出していない状態で選択されたこのキャラは不人気なんじゃないか。そこまで考えて、続きを読んでいく。
『クリア条件』
『女性キャラクターのゲーム内での目標は主人公と結ばれることにあります。主人公とイベントを発生させることでエッチイベントを発生させることになりますが、他にもクリアとなるルートが用意されているので探してみてください』
(つまりクリアするには主人公のプレイヤーに気に入られる必要があるってことか)
清彦は改めて今の自分の姿を見た。服装、髪型などは地味だが美少女ゲームのヒロインだけあって美人だ。そして何より、
(巨乳なんだよな)
制服を押し上げる乳房は服の上からでもはっきりとわかる位に大きかった。
ベッドと机、本棚とシンプルな内装ながらもデザインのそこかしこに女の子を見つけられる部屋の中。
「ん…………」
好奇心から胸に手をかける。厚い制服と下着越しの上、拙い手つきだというのに思わず声が漏れる。そのまま、思うように乳房を揉みしだいていく。
「はんっ……んん……ん……これは……すごいっっ……」
快楽のつぼもわからないままの、ただ乱暴な手つきだったが、初めての感覚に清彦は溺れていった。
姿見に自分の体を映したまま、清彦は左手で乳房を揉み、右手はスカートの中に伸ばしていた。
めくれあがったスカートの下から薄いピンクのショーツがのぞいていた。色気のない、シンプルなデザインだが、それが逆に嗜虐心をくすぐるアクセントになっている。
自分の姿を見ながら、清彦は心のどこかでは男の視点で鏡の向こうのオナニーを眺めていた。
くちゅ、くちゅ。と音をたてながら、清彦はオナニーに夢中になっていた。もちろん、女の体での自慰経験などないが、絶頂が近いことはわかった。
「ひっ…………ああ!?」
一際大きな快楽の波が押し寄せ、体を細かく痙攣させながら、清彦は絶頂に達した。
「はっ、はっ、はぁ……これは……すごいかも」
ゲーム開始時に感じていた、だまされたという思いはもはやどこかに消えていた。
『学校に行く』
アラーム音とともに目の前に文字が現れた。もう学校に行かなければならない時間ということだ。
このゲームではストーリーを進行させるためある程度行動に制約がかかっている。それらは無視することができないようになっていて、無視しようとした場合コントロールが取り上げられて勝手に自分を操作されてしまう。先ほど見たマニュアル注意書きの第一条を思い出し、清彦は家を出ることにした。ルートは目の前に矢印で表示されるので間違えることはない。
これからどうなるんだろうな……
先ほどの自慰行為を思い出しながら、ゲームへの期待と不安を同時に抱え、清彦はバス停までの道を歩いていた。ほとんど改造されていない紺色のセーラー服にスクールセーターを合わせた服装で、かばんを両手で体の正面に持ちながら歩くさまはまさに委員長、優等生のイメージを地で行く。
もっとも、スカート丈だけはエロゲ仕様になっており短いものなのたが。
曲がり角を曲がったところで、頭の上に矢印が点滅している、明らかにそれとわかる男子生徒が歩いていた。
「あれが主人公か……」
清彦はつぶやいた。
主人公は二人の女子生徒と歩いていた。以前ゲームの情報誌で見た記憶では、ロリ系のかわいらしい少女は妹、自分と同じ制服の美少女は幼馴染のメインヒロインだったはずだ。
「あいさつする」←
「何もいわない」
選択肢が表示される。
(まあ、最初だし挨拶しておこう)
挨拶を選択すると、清彦の足は速まった。
「お早う、俊明君。朝からにぎやかね」
(おお?口調まで女だ)
にっこりと笑いかけながら、主人公――俊明――に声をかける。
「あ、お早う、委員長」
と返事を返した俊明は「ほら、ちょっと離れてくれよ」まとわりついている妹に続けた。
「お兄ちゃん冷たーい」
すこし膨れながらも妹が離れる。全体的に小さく、くるくる変わる表情からもその活発な性格がうかがえるかわいらしい子だ。
「お早う」
メインヒロインも挨拶を返す。こっちは長いストレートな髪が目を引く正統派の美少女だ。挨拶を済ますと早速俊明との会話に戻る。
(こいつらも、プレイヤーがいるんだろうな……)
この場面ではこれ以上自分が入っていくことはできないだろう。
(先に進もう)
「じゃあ、私は先に行くから」
早足で前にでる。
と、そのとき。
「きゃっ!?」突風が清彦を通り過ぎていく。埃が目に入らないように手をかざしたが、スカートを押さえる習慣がないのはさすが中身が男だということか。
「ピンクだ……」後ろからの声で丸見えだったことに気づき、スカートの裾を押さえてみるが遅すぎることは明らかだった。
「あ……はは」
つい振り向くと、三人と目が合ってしまい、清彦は笑ってごまかした。
「それじゃ!」
清彦はそのまま走って学校へ向かった。
…………ストラドの大きい、男の走り方で駆け出したせいでまたもやショーツが丸見えだったのだが、今度は清彦が気づくことはなかった。
(あの二人、やっぱりプレイヤーだ)
やられたっ。といわんばかりの二人のヒロインの敵愾心のこもった視線を清彦は思い出していた。
教室に入ると、ほぼ時間を同じくして、クラスメートが続々と入ってくる。席に着くと中年の男性教師が入ってきてホームルームが始まる。イベントがなにもないところではさくさくと進行するのだろう。
ふと、視界が暗転する。
おそらくフラグが何も立たずに時間がスキップされたのだろう、視界が戻ると教室はオレンジに彩られていた。
放課後だ。
「図書室に行く」←
「屋上に行く]
next page
清彦のキャラは本好きの設定だ。何かイベントがあるかもと、図書室に向かうことを決めた。
廊下を歩いている途中で、朝のホームルームで見た担任教師の寺下が前から歩いてきた。
「ああ、ちょうどいいところにいたな。ちょっと手伝ってくれ」
髪の薄くなった、いやらしいデブ教師。ただ、格闘技か何か、スポーツ経験があるのだろう。太っているが骨も筋肉も太そうな、ある意味いかにもエロゲーのキャラといった風貌だ。
「いいですよ」←
「すいません、用事があるので」
勢いで、選択肢を選んでしまった。
まちがった、の思いとは裏腹に、
「いいですよ」
選択肢のまま答えてしまう。
「いやぁ、助かるよ。じゃあちょっと資料室まで」
いやらしい笑みを浮かべる顔を見ると、もういやな予感しかしない。
(でもまあ、こういうのも有りか……)
これはゲームだし、こういうシチュエーションも興奮するものだと、清彦は不安と期待の入り混じった思いで廊下を歩き出した。
「きゃっ」
(やっぱり、こうなるわな)
埃っぽい資料室に入ると、突然背中を押され床に転がった。後方では扉を閉める音に続いて鍵をかける音が室内に響いた。
「な、何するんですか」
(んなもん決まってるよ)
テンプレートのセリフをしゃべる自分を他人事のように感じながら、体を起こし迫ってくる巨体を眺める。
(ここは乗っておくか)
「何なんですか。ちょっ……ち、近づかないでください」
座った状態で手足を動かし、後ずさりする。
近づいてくる。夕日が担任の巨体を照らし出し、妙な迫力を演出していた。
「逃げることないだろう」
ついに捕まるとスカートをめくられる。
「わっ、ちょっと」
思わず声を上げる。
「ふむ、ふむ」
寺下は頷くと無造作に恥丘に手を伸ばす。
「ひいっ」自分で触るのとは違う感触に驚く。その声に気をよくして下着の上から弄り回される。
「あ……あぁ…………んん。ちょ、ちょっと待って……ん、ひぃっ!?」
「ほお、敏感なんだな」
寺下はにやり、といやらしい笑みを浮かべた。清彦は気がつくと巧みな手つきでショーツを剥ぎ取られていた。
「え……あれ?」
寺下の手に収まった布切れを呆然と眺めた清彦には、もうまともな思考力は残っていなかった。
(どうしよう、これ……気持ちいいのかも)
「おぉ……しっかり濡れているじゃないか」
むき出しになった女性器を弄り回しながら、寺下はつぶやいた。
「じゃあ、もう入れていいってことだな?」
「はぁ。はぁ。はぁ。え?」
快楽によって靄のかかったような頭の中で、寺下の声を聞いた。
ずっ……ずず。
自分を押し広げられる感覚。太いものが入ってくる。
「あ、あぁ……ちょっと、あんっ」
(な、んだ……これ、痛ってぇ!!!)
清彦は痛みで目が覚めたような思いだった。
「おお、いい締りじゃないか。んん?」
目の前で寺下のゆがんだ顔が揺れる。と思った瞬間。
「んむぅ!?」
キスされたと気づくまで少し時間がかかった。口をこじ開けられ、舌を入れられる。
同時に挿入されたペニスが運動を始める。
上下の口を嬲られながら、清彦は痛みが引き、今度は襲い掛かる快感に流されまいと、絶望的な抵抗を続けていた。
(なんだこれ、ほんとにいい。オナニーより……)
「ぷはぁ………はっ……はっ……ん、もう、やめ……お願い……します」
息も絶え絶えに懇願する。口調とは裏腹に、上気した肌や潤んだ瞳。なにより溢れ出す蜜がその本心を雄弁に語っている。
「ああ、いいぞ……もう終わってやるからな」
ピストン運動を繰り返す寺下はそういうとさらに腰の動きを激しくした。
「その代わり中に出すからな」
「ええ……そんな、いやっ」
(中田し……まあ、エロゲーだし。そんなもんか。っつーかそんなこと言っても逆効果じゃねえか)
不意に寺下の分身がさらに膨らむのを感じた。
(あ、来る……)
びくっ、びくっ。と肉棒が膣内で跳ね回ると熱い液体が叩きつけられる。
「ああ、そんなぁ……」
一通り精を吐き出し終えると寺下はずるっ。と萎えかけた肉棒を引き抜いた。
栓を抜かれると、膣内からは溢れ出した精液が流れ出す。
「ふっ……ふっ……うぅ」
終わったという安堵感が込みあがり、目からは涙がこぼれた。
「いやぁ、いい画が取れたよ。うん、さすが優等生助かった」
寺下は物陰からビデオカメラを取り出すと、改めて清彦を撮りだした。精液の垂れた秘部を重点的に撮っている。
「お前は頭いいし、わかってると思うけど、ビデオばら撒かれたくなかったら…・・・」
(ありがちな展開だな……でも、なんか、いいかも。このままいけば俺どうなるんだろ)
「は、はい……」
うつろな目のまま返事をした。
「よしよし。じゃあ、これは記念にもらっていくぞ」
寺下はショーツをポケットに入れると部屋を出て行った。
「早く帰れよ」
(ノーパンで帰るのかよ)
暗くなった外を見て、清彦はつぶやいた。
真っ暗な視界に文字が浮かび上がる。ゲームの進化はとどまりことを知らず、ゲームはするものから体験するものに急速に変化していた。VR(ヴァーチャル、リアリティ)と名付けられたゲームはその最先端を行くハードだ。実際にゲームの中に入り、新たな人生を疑似体験できる。清彦がログインパスワードとIDをしゃべるとログイン処理が終わる。コントローラーはなく、実際にゲームの中を歩き回り、会話することでゲームは進行する。まさに仮想現実だった。
『ようこそ、TRUE HEARTへ』
清彦がプレイするのは新発売の恋愛ゲーム(18禁)。学園生活を通してさまざまな女の子と出会い、攻略していくというVRでは初のエロゲだ。オーソドックスなストーリーながら実際にエロゲの中に入れるということもあって、多くの男性ユーザーの心を鷲掴みにし、品薄状態が続いている大人気ゲームだ。
「さて、どんなもんなんだろうな……」
期待に胸膨らませながら、清彦はつぶやいた。
TRUE HEART
視界が学園の校門前となり、つづいてタイトルが目の前に現れる。
「うーんと、『今すぐ参加する』……これか」
清彦が選択する。
『ゲームへの参加を試みています』
『キャラクタを作成しています』
『ゲームへ参加します』
「そういえば……オンラインなんだよな」
説明書を読まない清彦の独り言はむなしく響いていた。
再び視界が暗転する。
いよいよゲームが始まる。
…………うん?なんだこれ?
清彦の声は明らかに戸惑っていた。
ゲームは各キャラクタの自室から始まる。当然、自分は主人公でかわいい女の子たちを攻略していくものだとばかり思っていた。それなのに、
「女の子……?」
目の前の姿見に映っていたのは明らかに少女だった。黒髪で三つ編み。眼鏡をかけた制服姿。
パッケージにも隅のほうに小さく描かれているだけの、明らかにサブヒロイン。
「どうなってるんだ?」
少しの間清彦は考えたが、状況がまったく理解できなかった。
ふと、視界の隅に『ヘルプ』の文字が浮かんでいるのに気づく。清彦はヘルプ機能を呼び出す。
『ゲームのルール』
『オンラインモードでは全国のプレイヤーが各キャラクターを操作してゲームを進行します。自分の分身となるキャラクターは希望を出すこともできますが、一つの部屋に複数希望者がいた場合は抽選になります。基本的にランダムで決定しておりますが、どうしても操作したいキャラがある場合、オンラインショップにてチケットを購入いただくことで優先券を入手できます(別途料金が必要です)』
まじで、と清彦は思わず声に出していた。清彦はそんなことひとつも知らなかった。もちろん説明書さえ読まない清彦が100%悪いのだが、だまされた。とさえ思っていた。
それに……何の希望も出していない状態で選択されたこのキャラは不人気なんじゃないか。そこまで考えて、続きを読んでいく。
『クリア条件』
『女性キャラクターのゲーム内での目標は主人公と結ばれることにあります。主人公とイベントを発生させることでエッチイベントを発生させることになりますが、他にもクリアとなるルートが用意されているので探してみてください』
(つまりクリアするには主人公のプレイヤーに気に入られる必要があるってことか)
清彦は改めて今の自分の姿を見た。服装、髪型などは地味だが美少女ゲームのヒロインだけあって美人だ。そして何より、
(巨乳なんだよな)
制服を押し上げる乳房は服の上からでもはっきりとわかる位に大きかった。
ベッドと机、本棚とシンプルな内装ながらもデザインのそこかしこに女の子を見つけられる部屋の中。
「ん…………」
好奇心から胸に手をかける。厚い制服と下着越しの上、拙い手つきだというのに思わず声が漏れる。そのまま、思うように乳房を揉みしだいていく。
「はんっ……んん……ん……これは……すごいっっ……」
快楽のつぼもわからないままの、ただ乱暴な手つきだったが、初めての感覚に清彦は溺れていった。
姿見に自分の体を映したまま、清彦は左手で乳房を揉み、右手はスカートの中に伸ばしていた。
めくれあがったスカートの下から薄いピンクのショーツがのぞいていた。色気のない、シンプルなデザインだが、それが逆に嗜虐心をくすぐるアクセントになっている。
自分の姿を見ながら、清彦は心のどこかでは男の視点で鏡の向こうのオナニーを眺めていた。
くちゅ、くちゅ。と音をたてながら、清彦はオナニーに夢中になっていた。もちろん、女の体での自慰経験などないが、絶頂が近いことはわかった。
「ひっ…………ああ!?」
一際大きな快楽の波が押し寄せ、体を細かく痙攣させながら、清彦は絶頂に達した。
「はっ、はっ、はぁ……これは……すごいかも」
ゲーム開始時に感じていた、だまされたという思いはもはやどこかに消えていた。
『学校に行く』
アラーム音とともに目の前に文字が現れた。もう学校に行かなければならない時間ということだ。
このゲームではストーリーを進行させるためある程度行動に制約がかかっている。それらは無視することができないようになっていて、無視しようとした場合コントロールが取り上げられて勝手に自分を操作されてしまう。先ほど見たマニュアル注意書きの第一条を思い出し、清彦は家を出ることにした。ルートは目の前に矢印で表示されるので間違えることはない。
これからどうなるんだろうな……
先ほどの自慰行為を思い出しながら、ゲームへの期待と不安を同時に抱え、清彦はバス停までの道を歩いていた。ほとんど改造されていない紺色のセーラー服にスクールセーターを合わせた服装で、かばんを両手で体の正面に持ちながら歩くさまはまさに委員長、優等生のイメージを地で行く。
もっとも、スカート丈だけはエロゲ仕様になっており短いものなのたが。
曲がり角を曲がったところで、頭の上に矢印が点滅している、明らかにそれとわかる男子生徒が歩いていた。
「あれが主人公か……」
清彦はつぶやいた。
主人公は二人の女子生徒と歩いていた。以前ゲームの情報誌で見た記憶では、ロリ系のかわいらしい少女は妹、自分と同じ制服の美少女は幼馴染のメインヒロインだったはずだ。
「あいさつする」←
「何もいわない」
選択肢が表示される。
(まあ、最初だし挨拶しておこう)
挨拶を選択すると、清彦の足は速まった。
「お早う、俊明君。朝からにぎやかね」
(おお?口調まで女だ)
にっこりと笑いかけながら、主人公――俊明――に声をかける。
「あ、お早う、委員長」
と返事を返した俊明は「ほら、ちょっと離れてくれよ」まとわりついている妹に続けた。
「お兄ちゃん冷たーい」
すこし膨れながらも妹が離れる。全体的に小さく、くるくる変わる表情からもその活発な性格がうかがえるかわいらしい子だ。
「お早う」
メインヒロインも挨拶を返す。こっちは長いストレートな髪が目を引く正統派の美少女だ。挨拶を済ますと早速俊明との会話に戻る。
(こいつらも、プレイヤーがいるんだろうな……)
この場面ではこれ以上自分が入っていくことはできないだろう。
(先に進もう)
「じゃあ、私は先に行くから」
早足で前にでる。
と、そのとき。
「きゃっ!?」突風が清彦を通り過ぎていく。埃が目に入らないように手をかざしたが、スカートを押さえる習慣がないのはさすが中身が男だということか。
「ピンクだ……」後ろからの声で丸見えだったことに気づき、スカートの裾を押さえてみるが遅すぎることは明らかだった。
「あ……はは」
つい振り向くと、三人と目が合ってしまい、清彦は笑ってごまかした。
「それじゃ!」
清彦はそのまま走って学校へ向かった。
…………ストラドの大きい、男の走り方で駆け出したせいでまたもやショーツが丸見えだったのだが、今度は清彦が気づくことはなかった。
(あの二人、やっぱりプレイヤーだ)
やられたっ。といわんばかりの二人のヒロインの敵愾心のこもった視線を清彦は思い出していた。
教室に入ると、ほぼ時間を同じくして、クラスメートが続々と入ってくる。席に着くと中年の男性教師が入ってきてホームルームが始まる。イベントがなにもないところではさくさくと進行するのだろう。
ふと、視界が暗転する。
おそらくフラグが何も立たずに時間がスキップされたのだろう、視界が戻ると教室はオレンジに彩られていた。
放課後だ。
「図書室に行く」←
「屋上に行く]
next page
清彦のキャラは本好きの設定だ。何かイベントがあるかもと、図書室に向かうことを決めた。
廊下を歩いている途中で、朝のホームルームで見た担任教師の寺下が前から歩いてきた。
「ああ、ちょうどいいところにいたな。ちょっと手伝ってくれ」
髪の薄くなった、いやらしいデブ教師。ただ、格闘技か何か、スポーツ経験があるのだろう。太っているが骨も筋肉も太そうな、ある意味いかにもエロゲーのキャラといった風貌だ。
「いいですよ」←
「すいません、用事があるので」
勢いで、選択肢を選んでしまった。
まちがった、の思いとは裏腹に、
「いいですよ」
選択肢のまま答えてしまう。
「いやぁ、助かるよ。じゃあちょっと資料室まで」
いやらしい笑みを浮かべる顔を見ると、もういやな予感しかしない。
(でもまあ、こういうのも有りか……)
これはゲームだし、こういうシチュエーションも興奮するものだと、清彦は不安と期待の入り混じった思いで廊下を歩き出した。
「きゃっ」
(やっぱり、こうなるわな)
埃っぽい資料室に入ると、突然背中を押され床に転がった。後方では扉を閉める音に続いて鍵をかける音が室内に響いた。
「な、何するんですか」
(んなもん決まってるよ)
テンプレートのセリフをしゃべる自分を他人事のように感じながら、体を起こし迫ってくる巨体を眺める。
(ここは乗っておくか)
「何なんですか。ちょっ……ち、近づかないでください」
座った状態で手足を動かし、後ずさりする。
近づいてくる。夕日が担任の巨体を照らし出し、妙な迫力を演出していた。
「逃げることないだろう」
ついに捕まるとスカートをめくられる。
「わっ、ちょっと」
思わず声を上げる。
「ふむ、ふむ」
寺下は頷くと無造作に恥丘に手を伸ばす。
「ひいっ」自分で触るのとは違う感触に驚く。その声に気をよくして下着の上から弄り回される。
「あ……あぁ…………んん。ちょ、ちょっと待って……ん、ひぃっ!?」
「ほお、敏感なんだな」
寺下はにやり、といやらしい笑みを浮かべた。清彦は気がつくと巧みな手つきでショーツを剥ぎ取られていた。
「え……あれ?」
寺下の手に収まった布切れを呆然と眺めた清彦には、もうまともな思考力は残っていなかった。
(どうしよう、これ……気持ちいいのかも)
「おぉ……しっかり濡れているじゃないか」
むき出しになった女性器を弄り回しながら、寺下はつぶやいた。
「じゃあ、もう入れていいってことだな?」
「はぁ。はぁ。はぁ。え?」
快楽によって靄のかかったような頭の中で、寺下の声を聞いた。
ずっ……ずず。
自分を押し広げられる感覚。太いものが入ってくる。
「あ、あぁ……ちょっと、あんっ」
(な、んだ……これ、痛ってぇ!!!)
清彦は痛みで目が覚めたような思いだった。
「おお、いい締りじゃないか。んん?」
目の前で寺下のゆがんだ顔が揺れる。と思った瞬間。
「んむぅ!?」
キスされたと気づくまで少し時間がかかった。口をこじ開けられ、舌を入れられる。
同時に挿入されたペニスが運動を始める。
上下の口を嬲られながら、清彦は痛みが引き、今度は襲い掛かる快感に流されまいと、絶望的な抵抗を続けていた。
(なんだこれ、ほんとにいい。オナニーより……)
「ぷはぁ………はっ……はっ……ん、もう、やめ……お願い……します」
息も絶え絶えに懇願する。口調とは裏腹に、上気した肌や潤んだ瞳。なにより溢れ出す蜜がその本心を雄弁に語っている。
「ああ、いいぞ……もう終わってやるからな」
ピストン運動を繰り返す寺下はそういうとさらに腰の動きを激しくした。
「その代わり中に出すからな」
「ええ……そんな、いやっ」
(中田し……まあ、エロゲーだし。そんなもんか。っつーかそんなこと言っても逆効果じゃねえか)
不意に寺下の分身がさらに膨らむのを感じた。
(あ、来る……)
びくっ、びくっ。と肉棒が膣内で跳ね回ると熱い液体が叩きつけられる。
「ああ、そんなぁ……」
一通り精を吐き出し終えると寺下はずるっ。と萎えかけた肉棒を引き抜いた。
栓を抜かれると、膣内からは溢れ出した精液が流れ出す。
「ふっ……ふっ……うぅ」
終わったという安堵感が込みあがり、目からは涙がこぼれた。
「いやぁ、いい画が取れたよ。うん、さすが優等生助かった」
寺下は物陰からビデオカメラを取り出すと、改めて清彦を撮りだした。精液の垂れた秘部を重点的に撮っている。
「お前は頭いいし、わかってると思うけど、ビデオばら撒かれたくなかったら…・・・」
(ありがちな展開だな……でも、なんか、いいかも。このままいけば俺どうなるんだろ)
「は、はい……」
うつろな目のまま返事をした。
「よしよし。じゃあ、これは記念にもらっていくぞ」
寺下はショーツをポケットに入れると部屋を出て行った。
「早く帰れよ」
(ノーパンで帰るのかよ)
暗くなった外を見て、清彦はつぶやいた。
続きが気になります!