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奪われた夫(中編)

2011/10/26 12:12:15
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仕事が一段落した昼休み、清彦の携帯にメールが届いた。
「今日は五階の男子トイレで」
末尾にハートマークがあしらわれた文章に目を落として、清彦は小さく嘆息した。
(はあ、今日もかよ。このままじゃいけないのはわかってるんだけどな……)
今日こそはきちんと断ってやろうと思いながら、清彦はオフィスの階段をのぼり、メールで指示された男子トイレに向かった。ドアには「清掃中」と書かれた札がかかっていたが、構わず足を踏み入れる。中でメールの主が彼を待っていた。
「ふふっ、来てくれたんですね。ちょっと待ってて下さい。急におしっこしたくなっちゃいまして」
双葉は清彦の姿を認めると、おもむろにズボンのファスナーを開き、傍らの便器に向かって立ち小便を始めた。まるで清彦に見せつけるように、嬉しそうな顔で男性用の白い便器に小水を垂れ流した。
清彦は黙ってその光景を眺めていたが、内心では双葉の行動に不快感を覚えていた。
(くそ、わざわざ俺の目の前で小便しなくてもいいじゃねえか。嫌味くさいやつだな)
女になってしまった今の清彦には、このように立ったままで用を足すことはできない。それを彼に思い知らせて悦に入る双葉の意地の悪さに、はらわたが煮えくりかえる思いだった。
長い時間をかけて小便が終わる。双葉はだらりと萎えた己の男性器をつまんで雫を切った。男の体でおこなう排泄にも、すっかり慣れた様子だ。
「ふう、すっきりした。男の人っておしっこするのが楽でいいですねえ。女は時間がかかるから、トイレの前に並んだりして大変なんですよ」
「ああ、そうだな。俺も身をもって体験してるよ。おかげさんでね」
と、精一杯の皮肉を口にする。それが今の清彦にできる唯一の反撃だった。
「じゃあ、早く元の体に戻るために、今日も一緒に頑張りましょうか。こっちに来て下さい」
双葉は性器を露出させたまま、清彦の体を引き寄せた。抗議する間もなく顎を上向かされ、唇が重ねられた。口内に入ってくる不逞な舌の感触に、清彦は身震いした。
「ちょっ、ちょっと待て。今日はそんなつもりじゃ──うんっ、うむうっ」
清彦の細い体は双葉の腕に押さえつけられ、まったく抵抗できない。双葉は貪るように清彦の口の中をなめ回し、舌を絡めてきた。唾液をすする卑しい音がトイレの壁に反響した。
(ううっ、体が熱い。俺はこんなの嫌なのに……)
清彦の体に火がつき、下腹の辺りが疼き始める。何度も抱かれた男との接吻は、若い女体を否応もなく高ぶらせた。頭に血が上り、平静ではいられなかった。
双葉は清彦の口内を舌でまさぐりながら、彼のか細い手をつかんで自らの股間に押し当てた。汚れた肉の塊が手の中でむくむくと膨れ上がり、清彦は怖気だつ。
「う、うう、ぷはっ。はあっ、はあっ……」
ようやく口が自由になり、清彦は赤い顔で呼吸を整えた。体が新鮮な酸素を求めていた。
「うーん、やっぱりキスをしても元に戻りませんね。漫画とかアニメだと、キスで戻るってパターンもあるみたいですけど、残念ですねえ。じゃあ、今度はエッチしてみましょうか。二人で同時に気持ちよくなったら、今度こそ体が元に戻るかもしれませんよ。ふふふ……」
双葉は低い声で笑い、清彦の手を握って股間の一物を撫でた。小便の雫が美しい指先を汚した。
「さあ、しごいて下さい。あまり時間がありませんから、早くして」
(くそ、ションベンしたばかりでこんなことをさせやがって……なんてやつだ)
汚い男性器に触らされて、清彦は顔をしかめた。元は自分のものだというのに、今はこの黒いペニスがグロテスクに思えて仕方なかった。
動くのをためらっていると、双葉は鋭い目つきで清彦をにらみつけた。
「早くして下さい。それとも元に戻りたくないんですか? 別にあたしはいいんですよ。ずっと清彦さんの体のままでも」
「わ、わかったよ。やればいいんだろう。やれば」
清彦はしぶしぶ己の指を双葉の幹に巻きつけた。言いなりになるのは癪だったが、大人しく従わないと何をされるかわからない。男と女の力の差は歴然だった。そのうえ自分の身体を人質にされている状況では、とても逆らえるはずがなかった。
仕方なく双葉のものを刺激しはじめた清彦。硬くなりかけた肉の棒をぐっと締めつけ、亀頭を指の腹で摩擦した。嫌々ながらも従順に奉仕する清彦を見下ろし、双葉は満足そうな吐息をついた。
「そうそう、それでいいんです。清彦さんが大人しくあたしの言うことを聞いてくれたら、あたしも元の体に戻れるよう協力してあげますから」
(嘘をつくな。元に戻る気なんてさらさらないくせに)
罵声を口に出さずに飲み下す。現在の有利な立場を双葉が手放すとは到底思えなかったが、今は従うより他にない。無力な自分がどうしようもなく惨めだった。
清彦は仁王立ちした双葉の前にひざまずいて、自分のものだった陰茎を丁寧にしごいた。早くも尿道の先端からとろみのある液体が漏れ出し、濃厚な牡の臭いを漂わせた。乙女の鼻が刺激臭を嗅ぎ取り、下腹がじんと疼いた。
(ううっ、くせえ。それなのになんで興奮してるんだ、俺は……)
入れ替わってから幾度となく強制された淫らな行為は、清彦の心と体に浅ましい牝の喜びを刻みつけていた。本来は男であるはずの自分が、男性器を目の前にして欲情してしまうことに激しい恥辱を感じる。しかし、肉体の奥底から湧き上がる本能の欲求はどうしようもなかった。
「手コキもいいですけど、お口も使ってほしいです。ほら、もっと気持ちよくして下さいよ」
(口で……くそっ、フェラしろってことかよ。男の俺がこんなこと……くそっ、くそっ)
嬲るような双葉の物言いにも、反論することを許されない。清彦は双葉の前にしゃがみ込み、おそるおそる口を開けて舌を伸ばした。充血したペニスの先端をなめると、ねっとりと糸を引く液体が舌にこびりつく。直接脳を犯されるような味と臭いに、うめき声をあげずにはいられなかった。
「ううう……んんっ、んちゅっ」
「ふふふ、とってもいい表情です。女の人をこんな風に従わせるのって、本当に気分がいいですね」
うっとりした双葉の声が頭上から降りかかった。清彦の胸の内で羞恥と屈辱がたぎる。
(くそう、俺は男なのに。こんなこと嫌で嫌でしょうがないのに……)
心の中で悪態をつきながら、清彦は懸命に口淫に励む。上目遣いに双葉の様子をうかがい、自分のものだった陰茎に舌を這わせ、亀頭に吸いついた。
口で奉仕するのはこれが初めてではなかった。二人が入れ替わってからというもの、双葉はことあるごとに清彦に淫らな行為を強要し、嫌がる彼を思うがままにもてあそんだ。そうするうちに清彦も少しずつ奉仕の技術を身につけ、ますます逃れられない隷属の深みにはまっていった。
(ううっ、体が熱くなる。畜生、アソコがムズムズしてきた……)
ペニスの先端から濃厚な牡の味わいが染み出した。股間がじわりと熱を帯びる。どれほど心が嫌悪していても、目の前の男によって開発された牝の肉体は、主人の体液を摂取することで否応なく性器を湿らせてしまう。高ぶり始めたマゾヒズムの喜びに、下半身がもぞもぞと蠢いた。
「あらあら、清彦さんもエッチな気分になってきたみたいですね。すっかりいやらしい女の子になっちゃって……」
「ち、違う。そんなわけないっ」
無意識のうちに己の股間を指で触っていたのを双葉に見咎められ、清彦は慌てて首を振った。スカートの中では女の入り口が熱い雫を滴らせ、下着に染みを作っていた。
「別に隠さなくたっていいんですよ。あたしはエッチな清彦さんが大好きですから。さあ、もう一度くわえて下さい」
「ち、違うって言ってるのに──んんっ、んぐっ」
言い逃れの言葉は、唇を割って口内へと侵入してきた肉棒に遮られた。双葉は清彦の顔をつかんで、口腔を硬い性器でかき回した。男としての人格と尊厳とを踏みにじられ、双葉のなすがままになる屈辱に、目尻に涙がにじんだ。
(酷い。なんで俺がこんなことを──ううっ、苦しい。喉を突かれてる……)
ペニスの先端が何度も咽喉の奥にぶつかり、清彦を苛んだ。苦痛と酸欠が頭の中をかき乱し、正常な思考を阻害する。さも満足げな双葉の声を聞きながら、清彦は喉を鳴らして自分のものだった陰茎をくわえ込んだ。薄れゆく意識と共に、だんだん嫌悪の情も希薄になり、体の中心に熱がこもる感覚だけが残る。
「すごい。すごいわ、清彦さん。とっても気持ちいいです」
「うぐっ、ううん……おぐっ、おごごっ」
いきりたった男性器に執拗に喉を穿たれ、清彦は返事をすることもできない。塞がれた口の隙間からよだれを垂れ流し、ひたすら双葉を喜ばせた。
「ああ、なんて気持ちがいいの。今にも出ちゃいそう」
双葉は低い男の声で感嘆し、射精が間近に迫っていることを清彦に告げた。張りつめたペニスの先端が食道の戸口に押しつけられ、ひときわ大きく震える。それが射精の合図だった。
「ああっ、出るっ。出ますっ!」
尿道口から白い塊が噴き上がり、清彦の口の中にぶちまけられた。粘土の高い液体が喉に引っかかって呼吸を乱す。清彦は床に両手をついて激しく咳き込み、一度は受け止めた精液を吐き出した。
「げほっ、げほっ! うええええ……」
「あらあら、大丈夫ですか? 残念ですねえ。ホントは飲んでほしかったんですけど」
「うう、ううう……」
清彦は床に伏して嗚咽を漏らした。苦しいやら情けないやらで、涙があとからあとからこぼれてくる。男の面目を失い、いいように双葉にもてあそばれるだけの自分が惨めだった。
「何を泣いてるんですか、清彦さん。お楽しみはこれからですよ」
清彦の姿をした双葉はその場にかがみ込み、すすり泣く清彦を背後から抱きしめた。制服の上から乳房をわしづかみにされ、舌が首筋を這い回る。悪寒とも快感ともつかない震えが清彦の背中を走った。
「あっ、や、やめろ。乱暴にしないでくれよう」
「あら、ちょっとくらい激しくした方が女の子も燃えるんですよ。清彦さんも元は男の人だったんだから、それくらい知ってるでしょう」
「そ、そんなの知らねえっ。ううっ、うああっ」
双葉の力強い手に握り込まれ、形のいいバストが歪んだ。感度が高まっている体には強すぎる刺激だった。力任せに身体を揉みくちゃにされているというのに、痛みとは異なる感覚が腹の底から湧き上がって清彦を惑わせた。
(痛いのに、痛いだけじゃない。体がゾクゾクしやがる……)
戦慄する清彦の顔を間近で眺めて、双葉がうすら笑いを浮かべる。
「あたしだけ気持ちよくしてもらうのは不公平ですからね。お礼に清彦さんも気持ちよくしてあげますよ」
双葉は清彦の柔らかなボディを手でこねくりながら、乱暴な仕草で彼のスカートを剥ぎ取った。半ば心が折れてしまった清彦はほとんど抵抗せず、トイレの中で女物の下着を晒した。双葉は暴君で清彦は奴隷だった。それも、主に性的な奉仕を行う牝奴隷だった。
「へえ、今日は紫ですか。最近、大胆なものばかりはいてきますね。ひょっとしてこういうことをするの、期待しちゃってるんですか?」
「そ、そんなわけないだろう。君が派手な下着をはいてこいって言うから、仕方なく──ああっ」
双葉の指がディープパープルのショーツ越しに秘裂をなぞり上げ、清彦の言葉を遮った。股間から染み出た蜜で布地が柔らかくなっており、女体の発情は丸わかりだ。ふっくらした椀型の乳房の先端もむくむくと盛り上がり、衣服とブラジャーの上からでさえ、はっきり見えるほどだった。
「えへへへ……清彦さん、とっても可愛いです。入れ替わる前のあたしよりも女の子っぽいですよ」
「もうやめて、やめてくれ。はんっ、はあんっ」
黄色い声をあげて清彦は悶える。指が濡れた下着を押しのけて、とろとろの割れ目に触れていた。陰毛をさわさわとかき分け、性器の上部にある突起を戯れに弾く。強い刺激が体を震わせ、清彦の心を苛んだ。
(ううっ、アソコをいじくられてる。いやなのに……こんなのいやなのに)
自分の体がたくましい牡を求めて高ぶっていることに、清彦は絶望を隠せない。最愛の婚約者ではなく、憎い相手に愛撫されて燃え盛ってしまう淫らな肉体が恨めしかった。こんな醜態を晒してまで双葉に従わざるをえない己に、激しい嫌悪を抱いた。
(許してくれ、友美。絶対に元の体に戻って、お前と一緒になるから……)
将来を誓い合った相手の姿を思い浮かべ、心の中で必死で詫びた。そうでもしないと、心身を蝕むおぞましい仕打ちに耐えられそうになかった。
「ああ、色っぽいなあ。あたし、もう我慢できません。早く清彦さんの中に突っ込んで、ぐちゅぐちゅとかき回してあげたいです」
耳元で楽しそうに囁く双葉。彼女は清彦の華奢な身を持ち上げると、その股間に勃起した一物を擦りつけてきた。湿った下着を挟んで男女の性器が触れ合い、清彦はうち震えた。
「い、いやだっ。もうこれ以上は……あっ、ああっ、ああっ」
(駄目だ。こんないやらしい真似、耐えられない……)
その気になればいつでも挿入できるというのに、双葉は何度も何度も清彦の女陰を摩擦し、大いに彼の反応を楽しんだ。生殺しとも言える責めを受けて若い牝の肉体が色めき、白い肌がほんのりと桜色に染まった。
「あははははっ。こんなに可愛い声をだしてパンツをびしょびしょにしてるのに嫌だなんて、ちっとも説得力がありませんよ。清彦さんもしたくてしたくてしょうがないんでしょ? あたしのチンポをくわえ込みたくてウズウズしてるの、わかってるんですからね」
「う、ううっ。畜生……畜生っ」
清彦は奥歯を噛みしめ、悔し涙を流した。異性の身体で禁断の恍惚を貪る己が浅ましく思えた。今の清彦は、心と体を決して切れない蜘蛛の糸に絡めとられたようなものだった。
「さて、余興はこの辺にしときますか。清彦さん、抵抗せずにあたしを受け入れて下さい。そうしたら、いっぱい気持ちよくしてあげますよ。うふふふ……」
どす黒い笑みを浮かべた双葉が、清彦の背中を押して床にうつ伏せにする。用をなさなくなったショーツがずり下ろされた。露になった陰唇に硬い肉の穂先があてがわれ、清彦の背筋がゾクリと震えた。
「や、やめろっ。もう許してくれ……」
「ダメです。清彦さんのアソコ、こんなにおつゆが溢れてるじゃないですか。ホントに体は正直ですねえ。さあ、入れますよ」
「お、お願いだ。頼むからやめてっ。ああっ、あううっ」
ずぶりと双葉が入ってきて、清彦の体の芯を貫いた。割れ目を押し広げた亀頭は容赦なく胎内を突き進み、一気に奥へと到達する。凄まじい圧迫感に肺の空気が絞り出され、清彦は軽く絶頂に追いやられた。
「ふふ、締まりますね。でも、すごくとろとろしてて温かいです」
「ぬ、抜いてくれっ。こんなの嫌だあ……あっ、あんっ。ああんっ」
「抜いてほしいですか? じゃあ、こんな感じでどうでしょう」
双葉は背後でくすりと笑うと、突き込んだペニスを焦らすようにゆっくり引き抜いていった。雁首が幾重にも連なる肉ひだを引っかき、狂おしいほどの悦楽を生み出す。ようやく出て行くかと思われたそのとき、双葉は再び腰を打ちつけた。悲鳴があがり、か細い女体がたわんだ。
「ひいいっ。や、やめろぉ……」
「あらあら、何かご不満ですか? 抜いてあげてるじゃないですか。ほら、ほら」
清彦の白い尻に爪を立て、彼の中を不規則に往復する双葉。膨張しきった陰茎に膣壁をえぐられるたび、えもいわれぬ官能の波紋が全身に広がった。腿が細かく震えて腰が浮き上がった。
「ああっ、あんっ。こ、こんな──はああっ、あふんっ」
かき回された結合部がじんと痺れ、清彦の意識を女の性欲にのめり込ませる。便所の床の上で四つん這いになり、獣の交尾の格好で男性器をくわえ込む被虐の体験が、男に征服される愉悦を彼の心の底に刻みつけた。
「ダメですよ、清彦さん。あんまり大きな声を出すと、外に聞こえちゃいます。クビになってもいいんですか?」
双葉はいかがわしい嬌声をあげる彼をとがめるように、尻たぶらを平手で引っぱたいた。鋭い痛みが臀部にはしったが、マゾヒズムに目覚めた牝の肉体は、その苦痛さえも喜びとして受け入れてしまう。清彦は血の味がするほど唇を噛みしめ、高い波にさらわれてしまいそうな理性を必死で保った。
「うっ、ううっ。ううんっ、んぐう……」
「そうそう、いい子です。うふふふ、いい格好だわ」
背後から嘲笑の声が聞こえた。鉄杭のような肉の凶器が腹の奥を穿ち、清彦を蹂躙する。逃れることは叶わず、亀のような体勢で縮こまるしかない。その間にも、双葉のものだった女性器は持ち主の意思を無視して陵辱者のペニスをぐいぐい締めつけ、「清彦」に対するひたむきな愛と服従を示していた。
(俺の体、喜んでる。こんな酷いことされてるのに喜んでる)
女として手篭めにされる屈辱、そして将来を誓い合った恋人を裏切って女体の快楽に没頭する背徳の興奮が、清彦の正気を奪う。食いしばった歯の隙間からよだれが漏れ出し、ぼんやりした視界が輪郭を失った。頭がくらくらして、自分が何をしているのかもわからなくなりつつあった。頑なに双葉を拒絶していた意思さえ、脆くも崩れ去ろうとしていた。
「うっ、ううんっ。も、もうやめて、お願い……」
「どうしてです? 清彦さん、とっても気持ちよさそうじゃないですか。ほら、遠慮しないでもっと感じて下さいよ」
「ひいっ、それ駄目っ。そんなにズンズンしないでぇ……あんっ。ああっ、あひっ」
双葉の突き込みが激しさを増し、哀れな清彦を翻弄した。わずかに角度をつけて挿入される肉棒が腹の裏側を摩擦し、若い美女の性感帯を開発する。清彦は自分が男だったことも忘れて、女々しい声をあげてよがり狂った。
(すごい。チンポが腹ん中をゴリゴリして……ああっ、気持ちいい。おかしくなりそう……)
たくましいペニスの先端が出入りを繰り返し、焼けた子宮の戸を叩いた。泡立つ膣内をこね回されると、とろけるような快楽が湧き上がって清彦を夢心地にする。
「ああっ、奥っ、奥突いちゃ駄目ぇっ。ああんっ、変になっちゃう……」
「うへへへ……可愛いですよ、清彦さん。可愛らしいおマンコがあたしを締めつけて放そうとしません」
双葉は下品な口調で笑い、がむしゃらに清彦の貞操を貪る。野獣と化した彼女は腰を激しく清彦に打ちつけながら、片手を彼の股間に差し入れた。充血した陰核を指先に弾かれ、清彦の体に電流がはしる。
「ひいいっ、やめてっ。これ以上されたらっ。ああっ、あっ、あっ、あああっ」
エクスタシーを間近に控えた肉体が、新たな刺激を受けてびくんと跳ねた。文字通りに女の芯をつまみ上げられ、忘我の境をさまよっていた意識が絶頂に導かれる。赤い光が視界を覆い、脳細胞の焼き切れる錯覚が清彦を襲った。
「も、もう駄目、イクっ。イクっ、イクうううっ」
清彦は床のタイルをかきむしり、卑猥な喜悦の声をあげた。オーガズムに達した女体は天を仰ぎ、背骨が折れそうなほど反り返る。狂ったようなアクメの連続に正気を失い、清彦の魂は有頂天に飛び上がった。
「うおっ、締まるっ。おおっ、おっ、おおおっ。清彦、出ますっ!」
引き締まった肉ひだの圧力に耐えかね、双葉が獣の雄叫びを放った。奥底までズンと突き込まれたペニスが脈動し、熱い樹液を膣壁に叩きつけた。中身が入れ替わった男女の肉体は長い間ぶるぶると痙攣し続け、本来許されないはずの膣内射精に陶酔した。
「す、すごい。清彦さんの体、エロすぎる──おおっ、まだ出るっ。出ちゃうっ」
「あっ、あっ、やああっ。また中に出されてる。ん、んふっ、熱い。ヤケドしちゃう……」
清彦は鼻息荒く、疼いてやまない女の奥底に双葉の精を受け止めた。濃厚な生殖液を次から次へと流し込まれるのは、女になった彼にとってこの上ない幸福だった。いつしか妊娠の恐怖も消え去り、牝の本能を満たす喜びで体中がわなないていた。
(ああ、心も体もとろけちまう。これが女の快感なのか……)
我を忘れて床に這いつくばっていると、至福の境地にあった女の園から萎えた肉の棒がずぶりと引き抜かれた。ようやく射精が終わったらしい。痺れの残る胎内からペニスが抜け出ていく感覚に、清彦は「ああんっ」と甘ったるい声をあげた。下腹がじくじく疼いて、ほんのわずかな刺激でもエクスタシーを迎えてしまいそうだった。
「うふふ、いい眺め。ぽっかり開いたアソコからあたしのザーメンが垂れてきて……撮影しておきますね。えへへへ……」
勝ち誇った双葉の声と一緒に、カシャッ、カシャと携帯電話のものらしい電子音が聞こえてくる。どうやら清彦の姿を写真に収めているようだが、今の彼には振り返ってそれを確認する余裕もなかった。幾度も絶頂に追いやられた身体は重く、まったく動こうとしない。ただその場にうつ伏せになって、火照りが鎮まるのを待つしかなかった。
(ああ……俺、どうなっちまうんだ。このまま一生双葉ちゃんの体のままで、そのうち双葉ちゃんの奥さんにされるのか。友美、俺は一体どうしたら……)
半ば意識のない頭で、かつての婚約者のことを考える。高校生の頃から清彦とつき合っている女の顔が脳裏に浮かび、優しく彼に微笑みかけた。それは絶望と無力感が見せた幻だった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


友美は喫茶店の窓から外を眺めてため息をついた。
空を灰色の雲が覆い、今にも雨が降りそうだ。夕方ごろから急に雲行きが怪しくなった。出がけに傘を持ってこなかったことが悔やまれる。
冷めたブラックコーヒーをすすりながら、いつ降りだすだろうかと空模様を観察していると、店のドアが開いてスーツを着た男が入ってきた。双葉だった。
「すみません。少し遅れちゃったみたいですね」
双葉は友美の向かいの席に腰を下ろし、遅刻の非礼を詫びた。
「別にいいわ。私が呼んだんだし、それに大して待ったわけじゃないから」
と返して、友美は自分が口にした言葉に苛立ちを覚えた。どうして自分はこんな相手と、まるで恋人のようなやり取りをしているのだろうか。
(恋人……そうね、恋人同士だったわね。この人の顔は清彦だもの。顔も、声も、体格も……体全てが清彦なのに、今は恋人じゃない……)
以前の友美は、目の前の男と恋人同士の仲だった。二ヶ月前、あの事件が起きるまでは、この男は確かに友美の恋人だった。学生時代からの長いつき合いで、近いうちに結婚することを約束していた。
だが、それは今の清彦と交わした約束ではなかった。二ヶ月前のあの日、清彦は職場の同僚で彼に片思いをしていた娘と階段を転がり落ちて、頭の中身が彼女と入れ替わってしまった。友美と過ごした日々の記憶を全て失い、彼女のことを愛しい婚約者ではなく憎たらしい恋敵だと思い込んでいる彼は、もはや友美にとって「清彦」とは呼べない。ただ清彦と同じ顔を持つ別人でしかなかった。
「それにしても珍しいですね。あなたがあたしを呼び出すなんて。メールをもらって驚きましたよ。何かあったんですか?」
清彦は水とおしぼりを運んできたウエイトレスに紅茶を注文すると、そう言って友美に説明を求めた。
「ええ、こうして二人きりで話をするのは初めてだったわね。私もあなたも、清彦とは毎日顔を合わせてるんだけど。私は家で、あなたは会社でね」
「そうですね。清彦さんといえば、最近のあの人、ますます女の子らしくなってますよ。はじめは仕草とか言葉づかいとか、けっこう違和感があったんですけどね。最近はあたしの体にもすっかり慣れたみたいで、とっても可愛らしいです」
「そうね。私も同感だわ」
友美は苦々しい顔でうなずいた。双葉の肉体になってしまった現在の清彦は、友美の家で一緒に暮らしているが、近頃の「彼女」の変化は友美の目にも明らかだった。
(この頃、清彦を見てると、ときどき本当に女の子じゃないかと思うときがあるわ。このまま双葉さんの体に慣れてしまって、身も心も女になってしまったらどうしよう……)
以前の清彦はあまり身だしなみには気を遣わなかったのに、今では出かける前にきっちり髪を整え、化粧をし、服のコーディネイトを確かめるようになった。女として不自由なく生活するため、友美は清彦に多くのことを教えてやったが、今のように女らしく振る舞う彼を見ていると、それはそれで心配になる。
果たして、清彦は元の体に戻れるのだろうか。入れ替わりから二ヶ月が過ぎても解決の糸口さえつかめず、友美は焦っていた。
「清彦もそうだけど、あなたは大丈夫なの? いきなり男の体になっちゃって、いろいろと困ってるんじゃないの」
内心の動揺を悟られまいと、友美は話題を変えた。
「いいえ、お気遣いなく。おかげさまで毎日、快適な生活を送ってますよ」
紅茶のカップを口元で傾け、双葉は余裕のある笑みを見せた。
清彦の話によると、今の双葉は清彦の仕事にも慣れ、加えて非常に熱心なこともあり、入れ替わる前の清彦と比べても遜色ない働きぶりを見せているという。この喫茶店にやってきてからの仕草を見ても、異性の肉体に充分適応しているようだった。
しかし、清彦の体に別人の女の心が入り込み、彼の顔と立場を借りて好きなように振る舞っているというのは、友美には到底許せることではなかった。双葉が邪魔さえしなければ、今ごろ友美はとっくに清彦と結ばれていたはずなのにと思うと、腹が立って仕方がなかった。
「まったく、こっちは結婚間近だったのに……あなたのおかげで全部台無しよ。どうしてくれるの?」
「あら、そんなことさせませんよ。清彦さんはあたしと結婚するんです」
双葉は強い口調で以前と同じことを主張した。相変わらず、自分には非がまったくないと信じ込んでいるようだ。これではいくら道理を言い聞かせても無駄だろう。無意味な口論にエネルギーを費やすつもりはなかった。
「まあ、その話は今はいいわ。それより、今日はあなたに訊きたいことがあるの。いい?」
「雨が降ってますね」
「え?」
意外な発言に、友美は虚を突かれた。
「外、雨が降ってきました。朝はいいお天気でしたけど、急に崩れましたね」
双葉は窓の外を指して言った。暗い灰色の空から雨粒が降り注ぎ、通りのコンクリートに無数の染みを作っていた。とうとう降り始めたようだ。
「あら、本当。傘を持ってくればよかった」
「お持ちじゃないんですか。よかったらお貸ししましょうか?」
「え? でもあなた、傘なんて持ってないじゃない」
友美の指摘に、首を左右に振る双葉。
「今日は車で来たんですよ。トランクに何本か傘を積んでますからお貸しします。そこの駐車場まで一緒に来て下さい」
「そう? それじゃあ、お言葉に甘えて貸してもらおうかしら」
「ついでに晩ご飯もご一緒にいかがですか。もうこんな時間ですから」
「え? そうね……」
双葉の誘いは、友美にとって意外なものだった。
初めて会ったときから、彼女は友美を敵としか認識していなかった。そんな相手に傘を貸すだけならまだしも、馴れ馴れしく食事に誘うとは、いったいどのような意図があるのだろうか。
友美は双葉の表情を注意深く観察したが、彼女は人のよさそうな笑みを浮かべるばかりで、その本心を読み取ることができない。どうしたものだろうかと、友美は自問した。
(まあ、いいわ。話があるって呼び出したのはこっちだし、話を聞くにはちょうどいいかも)
不愉快な相手と食事を共にするのはあまり気は進まなかったが、旨いものを食べながら機嫌よく話をすれば、双葉も友美が知りたいことを教えてくれるかもしれない。
「わかったわ、一緒に行ってあげる」
友美は決心して席を立った。双葉のあとを追って店を出ると、外の雨はさらに勢いを増し、大粒の雫が音を立てて地面を叩いていた。思わずため息が漏れた。
「これじゃあ、駐車場に着くまでに濡れてしまうわね」
「できるだけ屋根のあるところを通っていきましょう。さあ、ついてきて下さい」
双葉に先導され、友美は早足で車が置いてあるという駐車場に向かった。急いで車に飛び込み、濡れた服やカバンをハンカチでぬぐった。
「けっこう降ってるわね……天気予報を確認してくればよかった」
「そうですね。さて、ディナーは何をご希望ですか?」
「何でもいいわ。あなたに任せる」
「はいはい、了解しました」
双葉は口笛を一つ吹き、軽快に車を走らせた。車に備えつけの音楽プレイヤーが流行りの歌を流し始めた。ベテランの男性歌手が歌う恋の歌だった。
(なんだか、まるでデートしてるみたい。ああ、この人が本物の清彦だったらどんなにいいかしら……)
友美は車のシートにもたれかかり、清彦と過ごした昔の記憶を思い返した。週末になると、彼はよく友美を助手席に乗せてドライブに出かけたものだ。長年の交際が飽きをもたらすこともなく、二人は心地よいBGMを聴きながら海や星を見に行き、そこで愛を確かめ合った。ほんの二ヶ月前までは、それが二人の日常だった。
「それで、あたしに訊きたいことって何ですか?」
「え?」
不意に問われて、友美は隣を向いてまばたきした。記憶の中の清彦とまったく同じ姿をした女が車のハンドルを握っている。それは「清彦」を名乗る双葉という女だった。
「さっきの話ですよ。あたしに訊きたいことがあるから、こうして呼び出したんでしょう?」
「え、ええ。そうだったわね……」
急に現実に引き戻されて、友美は軽く頭を振った。いつの間にか物思いにふけり、現状を忘れてしまっていたことを恥じた。
(そうだ、ぼうっとしてる場合じゃないわ。この子とデートするために呼び出したんじゃないんだから)
自分を取り戻した友美は双葉から視線を外し、正面を向いた。フロントガラスに雨の雫が絶え間なく叩きつけられ、規則正しいワイパーの動きによって隅に追いやられていた。
「あのね、双葉さん。清彦のことなんだけど……最近のあの人、会社で何かおかしなことをしてない?」
「おかしなこと? たとえばどんなことですか」
「ええっと……その、口じゃうまく言い表せないかもしれないけど、最近の清彦、なんだか様子がおかしいのよ。私が話しかけても上の空だったり、しょっちゅうため息をついてたり、ひどいときにはお風呂の中で一人でめそめそ泣いてたりするの。本人は『何でもない』って言って平気なふりをしてるけど、私にはわかる。彼、何かどうしようもなく辛いことがあったんだわ」
友美は顔を曇らせ、現在感じている不安を正直に口にした。
最近の清彦は明らかに悩み、苦しんでいる。しかし、いくら友美がその原因を訊ねても、納得のいく答えは返ってこない。「何でもないよ」と言いながら、また次の瞬間には暗い顔で嘆息している彼を見ていると、友美でなくとも何があったのか気にして当然だ。
「へえ、あの人、家じゃそんな感じなんですか。ひょっとしてあたしと体が入れ替わっちゃったから、早く元に戻りたいって泣いてるんじゃないですか?」
「私も最初はそう考えたわ。でも、あなたと入れ替わったことは直接の原因じゃないみたい。確かにそれも辛いことなんだろうけど……でも、他に原因があるような気がするの。だって、ここ一ヶ月くらいの話よ? 清彦があんなにひどく落ち込むようになったのって」
「そうですか……まあ、確かに言われてみればそうかもしれませんね。私は仕事が終わったあとの清彦さんとはあまり接触がありませんけど、会社でのあの人、なんとなく元気がないように見えます」
「そうでしょう? だからあなたに訊きたいの。清彦の異変に何か思い当たることはない? あなたが私のことを嫌っているのは百も承知だけど、他にこんなことを訊ける人はいないのよ。どんな些細なことでもいいから、教えてもらえないかしら。お願い……」
友美は恥を忍んで、恋敵の女に頼み込んだ。嫌っている相手に頭を下げるのは屈辱だったが、清彦を助けるためならどんなことでもしてやりたかった。
「ふ、ふふ……くっくっく、あははははは……」
突然、双葉が漏らし始めた不気味な笑い声に、友美は眉をひそめた。一体どういうつもりかと不審に思った。
「あははははは……ひいっ、おかしい。お腹痛い。ひひひひ……」
「ちょっと、何がおかしいの」
「何がって、あはははは……こりゃ傑作です。あなた、ホントに何も知らないんですね。どうして最近の清彦さんが急に女らしくなったのか。どうして一人でめそめそしてるのか。あの人が日頃、会社であたしに何をされてるか」
「え? それってどういう……」
腹をかかえて大笑いする双葉に、友美はただならぬ気配を感じた。心臓の鼓動が速まり、いっそう不安をかき立てられる。暗い視界の向こうから現れた車が、音もなく二人の脇を通り過ぎた。
「実はね……清彦さん、あたしの赤ちゃんを身ごもってるんですよ。毎日毎日、あたしはあの人とたくさんエッチしてたんですけどね、とうとう孕ませちゃいました。もう清彦さんは身も心もあたしのものです。あの人はあなたの旦那さんじゃなくて、あたしの奥さんになるんですよ。それなのにあなたときたら、何も知らないで……うひひひひ、最高だわ……」
楽しそうに笑いころげる双葉とは対照的に、友美は無言だった。何を口に出すこともなく、じっと清彦の顔を持つ女をにらみつけていた。
前後編の予定でしたが、少し長くなりそうなので分けることにしました。ご了承下さい。
続きはまた後日投稿致しますので、よろしくお願いします。
せなちか
http://www.s-ht.com/~senatika/
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6.100きよひこ
いじめぬきましょう!
28.100トムヤン
どうなるんでしょうか?このまま女として自分の体と結婚?
いやはや楽しい
30.100きよひこ
双葉ちゃんが鬼畜すぎて素敵だw
32.無評価きよひこ
女同士だろうと友美と結ばれる日を待っています
39.100きよひこ
清彦には妊婦、赤ちゃんを産む悦びを体験して欲しい
47.100きよひこ
双葉は友美まで餌食にしてしまうのか?
楽しみです