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スケルトン・ビューティ

2011/12/25 12:54:52
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偉大なる主、創世魔王様の手によって竜牙兵、いわゆるスケルトンウォリアーとして生を受けた俺は、
魔王軍の精鋭として、憎き人間たちと戦い続けていた。
俺たちは無敵だった。数の上では圧倒的優位にある人間の軍勢に対して、
我々は常に優勢を保ち、幾多もの人間の国を屈服させ、支配下に治めてきた。
しかし、劣勢におかれた人間達は、最大勢力である『帝国』の元に結集して連合軍を作り、
豊富な兵力を効率的に運用して、魔王軍に対抗し始めた。
人間単体の力の弱さを、数の連携や技術で補うことを、彼らは学んだのだ。
普段はあれだけいがみ合っていた人間だが、魔王軍という共通の敵をもった彼らは、
今までからでは考えられない程に、結束を固めて奮戦を続けた。
幾多もの仲間の亡骸を踏み越えて戦う彼らを、我が軍は押し切ることは出来ず、
逆に兵力の少ないこちらが損耗に耐えきれなくなり、屈辱的な敗北と撤退を強いられることになった。
もはや闘いは、力押しでは勝てなくなっていたのだ。

そんなある日。
再編成のために、俺たちスケルトンウォリアー隊は後方の司令部に呼び出された。
数日のうちに、戦線から呼び戻された別の隊の者達が、我が部隊に組み込まれていった。
それは竜牙兵に限らず、ゴーレムやホムンクルス等の、他の魔法生物達の姿がちらほらと混ざっていた。
不思議なことに、彼らの体の大きさは俺たちと殆ど変わらなかった。
一般的なゴーレムの身長は、本来なら俺たちの倍はあるはずだ。
とはいえ彼らも精強なる魔王軍の一員だ。補充を受けたスケルトンウォリアー隊は再び蘇った。
そして数日後、新たな指令、魔王様直々の勅命が牛頭の司令官から俺たちの元に届けられた。
しかしそれは、俺たちが望んでいた戦線への復帰命令では無かった。

■■■

翌朝、俺たちの待機していた洞穴に、見慣れない者達がやって来た。
それは翼人の魔術師の男、有角人の技術者らしき男、そしてけばけばしい服装をした猫人の女だった。
魔術師の男は俺たちに一箇所に集まるよう促すと、ブツブツとまじないの言葉を唱え始めた。
魔力のきらめきがキラキラと輝き、俺達を包み込む。
やがて俺たちの体に、変化が訪れた。ミシミシと軋むような音と共に猛烈な圧迫感を感じたかと思うと、
俺たちの手足が縮み、体全体が細くなっていった。
変化が大きかったのは、頭蓋骨と骨盤の辺りだ。
特に骨盤は中央の孔が丸みを帯びながら、大きく広がっていく。
弱くされては困る。俺たちは翼人に抗議したが、彼によると体の強度は落ちていないらしい。
魔力の光が完全に収まると、俺たちの体は先程よりも一回りほど小さく縮まっていた。

次に、有角人の技術者が俺たちに近づき、大きな壷の中から、
薄い桃色の粘土のようなものを取り出し、台の上でこねくり始めた。
しばしの後、充分に柔らかくなったそれを俺の顔や頭、
体の上に盛り始め、丁寧にヘラで形を整え始める。
鎖骨の下に、小高い丘のような小さな膨らみが二つ作られ、
腰の下から臀部、両脚の上にも粘土状のものが厚く盛られ、整えられていく。
顔と股の部分は、特に時間をかけて念入りに造型された。
股と尻には、腹部にまで達する二つの深い穴が出来上がっていた。
長い時間がかかって成型が終わり、技術者が両手で印を結ぶと、
眩い光の波が粘土の表面を流れ、それが収まると体の上に盛られた粘土は、
滑らかな弾力のある厚い皮膜となって、俺の体を完全に覆い隠していた。
「よし、後は……」
彼は皮袋の中から、石を磨いて作った白くて小さな球体を二つ取り出し、
仕上げとばかりに俺の顔に空いている二つの窪み、人間で言う目に当たる場所にはめ込んだ。
それらはまるで、そこにあるのが当然であるかのように、違和感無く窪みの中に収まった。
作業を終えた有角人は次の者を呼び出すと、再び壷の中のものを取り出し、彼の体に盛り始めていくのだった。

「はいはーい、今度は私の番だねー」
今度は派手ないでたちの、猫族の女が俺の前に立った。
俺の体が小さくなったせいか、彼女の身長は俺よりも頭半分くらい高い。
「じゃあここに座ってー」
半ば強引に俺を座らせると、女は大きな鞄の中から、さまざまな道具を取り出した。
そのどれもが、俺には馴染みのない不可解なものばかりだった。
中から取り出した黒い塊を手に取り、女は俺の目の前にずいと近づく。
「動かないでねー骸骨さん。今からお姉さんがあなたを、き・れ・い・にしてあげるからー」
彼女が持っていたものは、長短さまざまな長さの、細い毛を一まとめにしたものだった。
女は中から短い毛を手に取り、先程白い球体を埋め込んだ、二つの窪みの周囲と額の下に植え付け、
次に大量の長い毛を束ねたものを、頭の部分に貼り付けていく。
毛の植え付けが終わった後、彼女は薄桃色の皮膜に覆われた俺の体をすみずみまで観察したあと、
「お待ちどうさまっ。出来たよっ」
満足げに完成を告げながら、持っていた鏡を俺の前に突き出した。それを見て俺は驚いた。
鏡の中に見慣れた俺の顔はなく、そこに映っていたのは小さな人間の娘の顔だったからだ。
辺りを見渡すと、さっきまでここにいたはずの、俺の部隊の者は殆どいなくなっていた。
その代わりに洞穴の中には、虚ろな目玉をした大勢の人間の娘たちが、恥らうことなくその裸体をさらけだしていた。
俺たち新生スケルトン・ウォリアー隊に課せられた新たな使命、
それは人間の娘に化けて戦線後方にある人間の都市に潜入し、
情報収集、暗殺、後方かく乱などを行う、というものだった。


■■■

その後、俺たちは数日間かけて人間の体の仕組みや、文化と習慣を学んだ。
日常の挨拶の仕方から、食事の取り方(俺たちは食事を必要としない)、息のしかた(俺たちは呼吸を(ry )等、
彼らの社会に溶け込むための、さまざまなしきたりをみっちりと教え込まれた。
時には生殖器の隣にある、細い穴の中に色の着いた塩水を溜め込んだり、
尻の穴に匂いをつけた粘土を押し込んで、排泄行為の練習もやったりもした。
それらの習得は容易ではなかったが、俺は学んだ人間のしきたりに大いに興味を持った。
特に興味深かったのは、人間の生殖行為のやり方だった。それらの学習は、かなり長い時間をかけて行われた。
彼らの人数が多いも納得がいく。人間には繁殖期が定まっておらず、年がら年中発情しているのだ。
特に人間の男は、この行為をことのほか好むという。
どのような屈強な兵士であっても女の前では武器を捨て、鎧を脱いで心を開き、身も心も無防備になるのだ。
つまり美しい女の体は、俺たちが使う槍や剣よりも強力な武器だと言えた。

捕虜の男たちを使って、実際に生殖行為の練習もやった。
俺にあてがわれた相手は、まだ成熟しきっていない人間の男だった。
年齢にして10代半ば。雌雄の差こそあれ、俺の扮する娘よりも23歳ほど年上だろう。
明らかにただの雑兵だが、こちらにとって貴重な捕虜であることには変わりない。
帝国軍の兵士は「魔族の捕虜になると邪悪な魔術の生贄にされる」と教え込まれているため、
戦いがどれだけに不利になろうとも決して降伏せず、文字通り死ぬまで戦い続けるからだ。
初めて俺の姿を見たそいつは、顔を真っ赤にしてこちらから目を背け壁際に後ずさった。
予想外の反応だ。男は女の裸を見て喜ぶと聞かせれていたのだが、こいつは違うらしい。
「………………」
数分の沈黙の後、全く行動を起こさない男に業を煮やした俺は、
抵抗するそいつを地面に押し倒すと、奴が暴れるのにも構わず強引に服を破り、下着を剥ぎ取った。
股の間の破れた布地の下から、やや黒ずんだ男の生殖器がむき出しになる。
まだ行為の準備が整っていないせいか、それは皮に包まれ小さく縮こまっていた。
必死に隠そうとする彼の手をどけ、俺は教えられた通りにそれを指先で優しく撫で始めた。
少し膨らんだそれを今度は口に含み、自分の歯を当てないように慎重に、
作られた唇と舌を丁寧に転がすと、彼の生殖器は先程からは考えられない程に膨張し、
びゅびゅっ……
いきなりそれは口の中に体液を放出し、ヒクヒクと痙攣しながら萎れて元の形に戻っていった。
男はハァハァと息も絶え絶えになっていたが、その顔はどこか嬉しそうに見えた。
解せない。口の中に体液を出しても、子孫は出来ないはずなのだが……。

口に出された体液の味と臭いは、味覚、嗅覚のない俺たちには分からないが、
それがなんとなく不快そうだというのは分かった。
俺は一度水場で口を洗い、すっきりしたところで再び部屋に戻って彼との再戦に臨むことにした。
彼は再び嫌がって逃げようとしたが、力と速さで俺に敵うはずはない。
ヒョイと体を掴み上げ、寝台の真っ白いシーツの上に押し倒す。
相手の緊張をほぐすために、俺は何度も練習して身に着けた女の声と笑顔で、
「心配ないよ」と彼の耳元で囁いた。
間髪入れずに彼の唇を自分の小さな唇で塞ぎ、口内で互いの舌を絡めう。
指先で彼の筒先を撫で、もう片方の腕で彼の手を自分の脚の間に導き、
割れ目の奥に作られた女の穴の中に深々と押し込み、互いの局部を互いの指先でクチャクチャといたわり合った。
彼の指先が俺の中で動くのを感じるたびに、学習中呪文で見た男女の営みの中で女がしていたように、
歓喜と苦痛の入り混じった声を出し、息を荒げる真似をした。
「はぁ……あっ!!……はァッ!!……」
指先で互いを撫であう内に、彼の生殖器は再び膨らんで大きく持ち上がり、
俺の下腹部の穴の中からは、透明な粘っこい液体が湧き、割れ目から溢れ出してきた。
お互いに生殖の準備が出来たようだ。愛撫をやめると俺は仰向けに寝そべる彼を跨いで膝立ちになり、
持ち上がった彼のものを自分の股の割れ目に押し付け、ゆっくりと腰を沈めていった。

大きくなった男性器が、穴の入口をズブズブと押し広げながら入り込んでくる。
少し入ったところで、入口で何かが引っかかるような感覚を覚えたが、
それに構わず力任せに腰を落とし込むと、メリメリと中で何かが裂けるような感触と共に、
男の先端部が肉壁を掻き分けて再び動き始め、やがて最奥に達して俺の腹を勢いよく突き上げた。
「は……ぁんっ!!……全部……入っちゃった……」
俺は女の声と息使いで囁きながら、彼の様子をうかがう。
男は顔を真っ赤にして恥じらいと苦しみに耐えるような表情をしていたが、
俺の中にある彼の分身はドクドクと熱く脈動しており、新たな刺激を求めているように見えた。
どうやら彼の本心はこちらのようだ。ならば応えてやるとしよう。
「はぁ……はァッ!!……あァンっ!!……」
俺は教わった通りに体を上下に揺すり始め、恍惚と興奮に喘ぐ女を演じ始めた。
彼のものをくわえ込んでいる穴の内部の表面は、無数のヒダや突起が複雑なパターンを形作り、
俺が体を動かすたびに、それらが括れた男のものに吸い付き、絡みついていくのが分かる。
「あっ!!……あぅぅ……だ、駄目ッ!!」
男は苦しそうな、しかしどこか嬉しそうな顔で俺を拒絶する言葉を繰り返すが、
彼の体は抵抗する素振りさえ見せてはいない。それどころか与えられた刺激に、ただただ翻弄されているようだ。

「ひうっ!!……お、おくッ!!……奥にィっ!!……あたってェっ!!……気持ちいいよぉっ!!……」
人間ほど高度な感覚を持たない自分が実際に気持ちいいわけではないが、
教材で聞いた女の台詞を口にしながら、俺は男の上で激しく乱れた。
動きを激しくしていくごとに、俺の中にある彼のものは再びパンパンに膨れ上がり、
先程口の中でした時のように爆発寸前となっていく。
だがそうなる前に俺は腹に込めていた力を緩め、激しく上下させていた体の動きを少し緩めた。
そしてじらすようにゆっくりと腰を捻りながら、包み込んだ彼のものをねっとりと可愛がってやる。
「はぁはぁ……うふふっ、お兄さん私の中で爆発しそうだねっ。でも、まだだよっ」
「あ、ああっ……うああっ……」
おあずけをくらった彼は絶頂を迎えることが出来ずに、
かといって自身に纏わりつく肉壁の刺激に耐えることも敵わずに、情けない声で呻いた。
「あははっ、お兄さんすっごく苦しそう。ねぇ、イきたいでしょ?」
顔を近づけ、俺は小悪魔のように微笑みながら彼に問いかけた。
「う、ううっ」
答えはもはや聞くまでもない。力んだ彼の四肢はピンと張り詰め、顔は心ここにあらずといった表情で喘ぎ、
俺の中にある彼のものは、体液を出すことも、縮むことも敵わず、進退窮まった感じでドクドクと脈動を続けている。

「ふーんだっ。答えてくれなきゃ、イかせてあげないよっ」
俺は腰を持ち上げて穴の中から彼を引き抜くと、今度はそれを鎖骨の下に作られた二つの丘の間で挟み込み、上下させていった。
速度を速めたり、遅くしたり、交互に揺すったり、時に口で咥えたりもした。
だが、もちろん彼の先端部から透明な体液が染み出したところで動きを緩め、決して彼を満足させることは無い。
「くすっ、お兄さんのすごく大きい。こんなのがさっきまで私の中に入ってたんだね。見て見て、こんなにパンパンになっちゃってかわいそう」
先端部の括れを舌先でチロチロと愛でながら、苦しそうな男の反応を愉しむ。
「ううああっ、く、苦しい……」
「そうだよね、苦しいよね。イきたいよね? 中に……出したいよねっ?」
「うう……いじめないで……。出したい……お願い出させてっ……」
執拗な責めに耐えられずに、彼はか細い声で呻きついに陥落した。

「ふふ、よーく出来ました。じゃあ私と一緒に気持ちよくなろうねっ」
俺は再び彼の上に跨り、ギンギンに固まったものを濡れた入口にあてがい、再び腰を沈めていった。
今回は先程感じた引っかかるような感覚はなくなり、先端部はすんなりと最奥に達した。
「あんっ!!……お兄さんの先っちょが私の奥にごっつんこしてるっ!!」
自分の両手を彼の腹に乗せ、俺は再びゆっさゆっさと体を揺すり始めた。
「「ああッ!!……はぁ……はぁ……」」
二人の声と息使い、体と体のぶつかり合う乾いた音と湿った音、そして寝台の軋む音が狭い部屋の中にこだまする。
彼もまた両手で俺の腰を掴み、俺の動きにに合わせて自ら腰を浮かし行為を楽しんでいるようだ。
やがて彼の呼吸と腰の動きが、次第に荒く激しくなっていく。そして、
「はあっ!!……はあっ!!……はぁっ!!……はっ!!……ぁ!!……もう……もうでるっ!!……」
「ひぅンッ!!……いいよっ……出してっ!!……私もっ!!……私ももうイきそうなのっ!!……
お兄さんと……お兄さんと一緒にイかせてぇ!!……あ!!……ああァァッ!!……」
数分の交合の末彼はついに絶頂に達した。俺の体内でそれはビクンビクンと波うつように痙攣し、
決して子を宿すことのないまがいものの胎の中を、ドクドクと溢れ出た体液で満たしていくのだった。

体液を放出しながら、男のものは俺の中で急速に萎んでいった。
俺は男と繋がったまま、こちらから目をそらしたまま荒い息をついている彼の上にもたれかかった。
筋骨逞しい、とは程遠い彼の胸板に俺の薄い膨らみがぺたん、とくっつく。
股の間からは、男が中でぶちまけた白い体液が収まりきらずにトロリと溢れ、寝台のシーツへ滴り落ちていった。
「うふふっ、お兄さんのお汁いーっぱい出たね。やんっ……まだ、中で出てるっ……。
……よっぽど私の穴が気持ち良かったんだね」
男は顔を背けたまま答えない。行為の前と同じく、顔を真っ赤にして恥らっているかのように見える。
「私も、お兄さんとシてすっごく気持ち良かったよ。分かるでしょ? 私の中が……こんなに熱くなってるの……」
ゆっくりと腰を揺すりながら体を起こし、胎に力を入れて中のものをギュッと優しく締め付ける。
「う、うあっ……」
さて、ここからが本番だ。生殖行為を餌にして相手から情報を聞き出すのだ。
最も一兵卒である彼が重要な情報など知るはずも無いが、これはあくまで訓練。相手の心の鎧を崩す訓練だ。
「お兄さんのこと、話して欲しいな。お兄さんは何処からきたの? 家族はどんな人? 恋人さんも故郷にいるの?」
「……」
「まだ、話してくれないか……。じゃあまずは私のことから話すね……」

俺は自らが扮する『娘』の経歴を、彼に話し始めた。
『彼女』は人間と魔族の混血で、戦争が始まる前までは『帝国』で平和に暮らしていた。
だが人間族と魔族が戦争になり、魔族の血を引く彼女とその家族は人間から迫害を受けるようになった。
隣人や親友でさえも迫害に加わり、居場所の無くなった彼女は帝国を離れ、難民として各地を彷徨った。
それは過酷な旅路だった。幾度も屋根の無い寒空の下で夜を明かし、
厳しい陽光や暴風、吹雪にさらされながら彼女は歩き続けた。
共に帝国を離れた家族の殆どは放浪の中命を落とした。魔族だった父親は人間のリンチを受けて殺され、
母親も幼い弟も道中で病に倒れ、生きて魔王国にたどり着けたのは彼女1人だけだった。
しかし、この魔王国も彼女にとって安住の地ではなかった。魔族たちは彼女を混血児として蔑んだからだ。
何も変わらなかった。帝国でも魔王国でも、彼女の扱いは全く同じだった。
いや、むしろ今の方が辛い。共に苦難を分かち合った家族はもういないのだから……。
迫害を受ける彼女がまともな仕事に就けるはずもなく、ようやく就けた仕事は男と女の夜の娯楽を司る職業……。
つまりは、娼婦だった。

「と言っても、苦労も慣れてしまえばそんなに辛くないんなけどね」
明るい口調で嘘八百を並べ立てながら俺は話を続けた。それは戦争になる前、帝国にいた頃の思い出話だ。
夜遅く帰る父親を、弟と共に寝ずに待った時の話。近所の年上の青年に抱いた恋の話。
収穫祭の夜、その青年に告白しようとして盛大な空回りを演じたときの話。
「ふふっ、馬鹿だよね私って。あの人が私を、まだ女として見てないことに気づかないなんて」
幼い少女の、叶わぬ恋の物語。貧しいながらも幸福だった日々の話だ。
『悲しい』という感情を完全に理解は出来ないが、俺は人間がするように、『悲しそうに』笑ってみた。
「…………」
男はこちらに目を向けることはなかったが、俺の話を聞いてくれている事だけは分かった。
「さっ、次はお兄さんの番だよ。女の子に恥ずかしい話させたんだから、ちゃんと話してよね」
下の口で彼のものをくわえ込んだまま、俺はゆさゆさと体を揺らす。
先程の行為の余韻もおさまり、俺の中にあるものが少しずつ膨らんでいくのが分かった。
「話してくれなきゃ、次はシてあげないよっ」
刺激を受けた男の表情がだんだん険しくなり、彼の吐息が荒く、熱く変化していく。
「わ、分かった。話すよ……」
あっさりと男は折れ、自分の話をぽつりぽつりと語り始めた。

男の話は、彼には悪いが他愛もないものだった。
彼は帝国の北方にある小国の出身で、その地で盛んなオオツノクジラ漁師の息子だった。
しかしある日、いきなり帝国兵が漁村に押し入り、無理やり兵隊として徴集された、ということだった。
連合軍が足りない兵員を、連合に属さない近隣の国から人さらい同然に集めてくるという話は前から聞いていた。
長引く戦いで、連合軍の動員能力は既にピークを通り越していたからだ。
実際俺は戦場で、連合軍の兵とは毛色の違う兵隊と戦ったことが何度もあった。
仲間であるはずの連合軍からも矢を向けられ、彼らは常に戦場の前面に押し立てられていた。
男もそうだったのだろう。彼は時折悔し涙を流しながら故郷のこと、戦場のことを話し続けた。
故郷に置いて来た幼馴染の話。使い捨て同然にされた部隊の話。
後ろから射かけられた矢から、自分を庇って死んだ友人の話。
「うっ……ううっ……」
その友人との思い出話を終えると、彼は目から水を流しながら、声を殺して泣きだした。
人間ほど感情豊かではないが、俺にも感情はある。彼の気持ちは少し理解できる。
泣いている男をどうしようかとしばらく逡巡した挙句、俺は彼を抱きしめ、
「そう……あなたも……辛かったんだね……」
目玉の奥に仕込んだ、塩水の入った袋を破り、人間のように目から水を流した。
「大丈夫だよ……今は誰も……あなたを傷つけたりしないから……」
まがい物の目から溢れた偽物の涙が、作り物の頬を伝い、流れ落ちていく。
互いを慰めあうかのように、二人は抱き合いながらしばしの間泣いた。

数分間の抱擁のあと、俺はようやく泣き止んだ男の腕を取り、自分の鎖骨の下に僅かに盛り上がった膨らみの上に持ち上げた。
「触ってみて」
彼の手が膨らみに触れ、それはぷるっ……と波うつように小さく揺れる。
男の顔は真っ赤に染まり、彼の全身は凍りついたように動きが止めた。
それに構わず、俺は自分の両手を男の掌に重ね、二つの果実をいたわるかのように揉み始めていった。
「どう?お兄さん。女の子の……体? 柔らかくて、温かくて、気持ちいい……でしょ? ちょっと……小さいかも知れないけど」
「う、うん。感じるよ、君のぬくもり……君のカラダ……柔らかくて本当に綺麗だ……」
両の掌に力がこもる毎に、柔らかな双丘はぷるっ……と揺れ動き、
汗に濡れたそれは部屋の明かりを受けテラテラと輝いていた。
「きゃふっ!!……」
男の両手が自分の意思で動き出し、その指先が桃色をした果実の先端部を、優しく愛撫し始める。
「うンンッ……お兄さん……いいよぉっ……」
両手の動きは時間と共に激しくなり、男の吐息もそれと共に荒く、熱くなっていった。
そしてもう一つ、男の体に変化が現れた。もはや場所は言うべくも無い。
「はぁ……ハァッ……私の中で……お兄さんがまた大きくなってキてるッ!!……」
男は辛抱たまらん、といった様子で俺と体をくっつけたまま、強引に体を動かそうとする。
「ま、待って……」
彼を静止すると、俺は彼の上から起き上がり、中に収まっていた彼自身を一度引き抜いた。
ふさぐものがなくなった穴の中からは、あらかじめ中に塗布されていた潤滑用の液体と、
先程の行為で彼が放出した白い液体が、混ざり合いながら俺の太腿に伝わり落ちていった。
「くすっ、慌てなくても大丈夫……私の穴は逃げないよっ。今度は……違う姿勢でヤらない?」
そう言って俺は、彼に背中を向けて四つん這いになり、肩越しに彼のほうへと振り返りると、
右手を股の間に下ろして指で入口をくぱぁ……と広げ、二つの液体でいっぱいになった穴の中を見せつけた。
「今度はお兄さんが動く番だよっ。後ろから……思いっきり突き上げて……。
ねえ知ってる? 自分で腰を振るのって、すっごく気持ちいいんだよっ」
「う、うん……」
誘われるままに、彼は俺の側に寄り添ってきた。穴の入口に熱いものが押し当てられる。
「じゃ……入れるね」
先程よりも大きくなった彼の肉体が、濡れた音と共に穴の入口を押し広げて、三たび俺の中に入り込んでくる。
「はうう!!……お兄さぁんっ……おなかの中が……あああ熱いよぉ……」
夜が明けるまで、俺たちは獣の姿勢のまま何度も互いの体を求め合い、応え合い、そして……乱れ合った。

■■■

数週間の間、俺は一兵卒から将軍にいたる多くの捕虜と夜を共にし、話術と床技を磨いた。
もちろん同じ任に就く仲間との情報交換も、毎日欠かさずに行い、
男の好む外見や服装、男の肉体の扱い方などの知識を得て、実践の中でそれらを身につけていった。
彼らの好み、というか嗜好は多種多様だった。ある者は口でされることを好み、ある者は胸の間で挟まれることを喜び、
ある者は顔にぶちまけ、ある者は服を着たまま行為を楽しみ、またある者は穿かせた下着を、横にずらして中へねじ込んでいくのだ。
呆れたことに、前の穴ではなく後ろの穴――人間で言う排泄口――に挿入する者もいた。
竜牙兵である俺が言うのもおかしいが、全く不衛生なことこの上ない。
人間の間に妙な病気が流行るのはそのせいなのではなかろうか?
ここまで来ると、性行為と生殖が全くの別物に思えてくる。そこに子種を出してもアンタの子供は出来んぞ。
それはさておき、俺と夜を過ごした男たちは、始めは頑なに話を拒んでいたが、
何度も俺を抱くうちに次第に打ち解け、少しづつではあったが連合軍の内情を漏らし始めていった。
彼らの話を聞けば聞くほど、この戦争の先行きは暗いものだった。
連合軍の動員はピークを迎えたとはいえ、それでも大量の予備部隊が戦線後方に待機し、臨戦態勢を整えている。
また、魔族より魔技に劣る彼らは『火薬』という強力な兵器を開発し、それらをこの戦争に投入するとだという。
任務を命じた魔王様の思惑を、俺は嫌というほど知ることとなった。我々魔族はこの戦争に勝てない。
決着がつかぬまま争いは何十年も続き、魔族も人間も疲弊を続け、いずれは双方ともに滅びてしまうだろう。
それは魔王様、しいては魔族全体の望む結末では無かった。だからこの珍妙極まりない作戦を俺たちに命じたのだ。
連合との戦争を終わらせる『落としどころ』を、俺たちに探らせるために。

ろうそくの明かりがぼんやりと照らす部屋の中で、壁際に掛けた鏡と俺は向かい合っていた。
長年の間使い古されて少し曇った鏡の中には、ウェーブのかかった金色の髪を後ろに纏めた、あどけない少女の姿があった。
歳は十代前半といったところだろうか、曲線に乏しい彼女の体つきは今も発達の途上にある。
大きく見開かれた目が俺を見据える。やや赤みがかかった黒色の瞳。
人形のように整ったその顔の表情から、彼女の抱いた感情を読み取ることは出来ない。
少女の左手が、手前の机の上に伸びた。シミ一つない、透き通るような肌。
そこにあったもの。それは少女の指くらいの刀身を持った、何の飾っ気もない短剣だ。
ろうそくの光を受けて、銀色の刃先が鈍い輝きを放つ。
少女は短剣を逆手に持つと、肩のあたりまで持ち上げて刃先を自分に向け、
――ぶすり。――
何の躊躇いもなくその切っ先を自分の肩に突き立てた。鋭い刃先が彼女の絹のような肌を貫き、浅く突き刺さる。
傷口からは赤黒い液体がドロリと溢れ出し、彼女の肌を濡らした。
にもかかわらず少女の顔に苦悶の色はない。彼女は何の痛痒も感じていないかのように無表情のまま短剣に力を込めた。
ズリッズリッと気味の悪い音を立てながら、短剣は少女の柔らかな肌を切り裂いていく。
刃先は肩から胸の間を通り、脇腹に達したところで持ち手を替え、後ろ手に回した短剣が脇腹から背中を走った。
そして刃先は再び肩へと進み、傷口は彼女の半身を一周して繋がった。
ゴトリ。少女は無言のまま赤く染まった短剣を机の上に置くと、左手で右の掌をギュッと掴み、力を込めゆっくりと引っ張った。
少女の右手の指先が突然萎れ、メキメキと胴の傷口が広がり始める。少女は何の躊躇いもなくさらに左手に力をこめた。
すると、右腕から右胴体にかけての皮膚が、ズボッという異様な音をたて、まるで手袋を脱ぐかのように彼女の体から脱げ落ちた。
傷口から赤い液体を滴らせ、がらんどうになった少女の右腕が、クシャクシャに歪んで床の上にベチャリと投げ出される。
再び、少女は鏡の中の自分と向かい合った。あどけなさの残る彼女の顔は先程と全く変わっていない。
だが、その右半身の皮膚は彼女自身の手によって無残にも剥ぎ落とされ、裂けた皮膚の切り口からは、彼女の骨格が剥き出しになっていた。
左手が肩の裂け目に伸び、力任せに上へ引っ張り上げるとバリバリと首もとの皮膚が引き裂かれた。
少女の顔は粘土細工のように醜く崩れ、歪みながら頭から剥ぎ取られ、中からは長年の戦いで薄汚れた人の頭蓋骨が鏡に映し出された。
少しばかり形は変わってしまってはいるが、久しぶりに見る竜牙兵としての俺自身の姿。
しばらくの間俺は目の前の、懐かしい自分の姿を見つめていた。
そして再び首の下にぶら下がっていた、クシャクシャになった少女の頭の抜け殻を頭に被せると、
グイグイと皮を引っ張りながら肉を馴染ませ、骸骨は再び娘の顔に戻った。
名残惜しいが、もう自分の姿とはお別れだ。当分の間見ることはないだろう。
これから就く任務が終わるまでは。人の皮を被り、人と交わり、人の世界に潜んでいる間は。

目の前の台の上には、任務のために支給された品物がいくつか置かれていた。
人間の衣装、下着、化粧品、香水に偽装された皮の補修剤。無傷なままの左手が、その脇にある金属の塊に伸びた。
それは湾曲した刀身を持つ刃物だった。それには手で持つための柄の部分がなく、刀身の根元は板バネや螺子などの金具類で固められている。
娘の腕がそれを持ち上げ、骨がむき出しになった右腕に取り付けた。輪状の金具を骨に通し、螺子を締めがっちりと固定する。
刀身は前腕部の骨の間に収まっていたが、金具の一部を抑えながら勢いよく肘を伸ばすと、板バネの勢いで刀身がジャキン!!と右腕から飛び出してくる。
バネ上げ式のフォールディングブレード。俺達が携帯を許された唯一の武具だ。少々心もとないが、無いよりは随分ましだ。
武器の動作を確かめ、ある程度の感覚を掴むと、俺は床に投げ出された皮を骨の上に被せていった。
そして化粧水の瓶の中に入った補修剤を切り口に振り掛ける。数分ほどで切り口は完全に塞がり、娘の右腕は元の姿に戻っていた。
ギュッと拳を握り締めて、伸ばした自分の腕を見つめる。腕の中に仕込まれた刃物は、外からでは全く分からない。
優れた隠匿性だ。これならば体の何処を検められても、武器が見つかることはないだろう。
新しく支給された衣装を身にまとい鏡に目をやると、中に映った娘が不敵な表情で俺に微笑みかけていた。

■■■

そして数日後、予定通り作戦は開始された。
部隊は少数のグループに別れ、ある者は難民として、またある者は大道芸人や娼婦として、
人間の領域に浸透し活動を始める手筈になっている。
俺たちは踊り子の一団として戦線の間隙を抜けて帝国領内に浸透。軍が駐留する後方の都市へと侵入し、活動を開始した。
『仕事』は思いのほか上手くいった。俺たちのことは帝国兵の間でも噂になり、俺たちは人気で引っ張りだこになった。
実際のところ客の目当ては俺ではなく、豊満な体を持つほかの仲間達だというのは少々悔しかったが。
もちろん本来の任務を忘れてはいない。半芸半娼の踊り子たる俺達は、夜のお仕事でも大人気だった。
これもまた本業と同じくらい繁盛した。一晩で数十人の男を相手にしたこともある。最も俺は仲間内では一番不人気だったが。
彼らにとっては、俺達の穴は人間の女よりも随分と『いい具合』なのだそうだ。
俺達の評判は軍の上部の者たちにも伝わり、やがて何度も寝台で彼らと夜を明かすうちに、俺たちは彼らの『お気に入り』となった。

そして今晩も、俺は仲間達と共に帝国の主戦派の将軍達と互いの体を激しくむさぼり合っていた。
「あっはっ!!……あンッ!!……ひぅン!!……将……軍……さまぁっ!!……」
「グフフ……いい声で鳴きよるわ……。自分から腰を振ってくるとは、随分とワシの魔羅が気に入ったようだな……」
筋骨隆々とした帝国の将軍は、自らの上に跨って喘ぐ娘の痴態を楽しそうに眺めていた。
奴が腰を突き上げる度に、膨張しきった肉塊が濡れた音をたてて俺の器の中で蠢き、
俺が喜悦の叫びを装う度に興奮してか、その動きはさらに深く激しくなっていった。
あたりでは俺達と同じように交わる、男女の喘ぐ声が耳に流れてくる。

俺が知る中でもこいつは相当の下衆だった。欲望のままに子供を蹂躙し、
場合によっては相手に容赦なく暴力をふるい、苦悶するものを嘲笑う。
自分の性癖を満たすためならば同胞の村を襲って年端もいかぬ子供を拐かし、
さんざん嬲り尽くして飽きれば娼館に売り飛ばした。
こいつに抱かれるのは不快だったが、仕事としては簡単なものだった。
人の口に戸は建てられない、と人間の諺にあるが、この男は自分の知っている重要な情報を、まるで自分の権威を誇示するかのように容易に垂れ流した。
おかげでこの冬の帝国軍の攻勢は、後方での妨害工作が功を奏し、はね返すことができた。

「!!」
男の両手が俺の顎の下に伸び、渾身の力を込めてギリギリとこちらの首を絞め始めた。
竜牙兵である俺が、首を絞められたところでどうということは無いが、息を止められた人間は、死ぬ。
「…………ぁ!!…………ガ!!…………」
ヒクヒクと体を痙攣させながら、俺は腹に力を入れ空気を求めて喘ぐ素振りをした。
「おう!!……よう締まりよる。フフ……苦しいか? 苦しかろうが少し辛抱せい」
稀にいるのだ。あれの具合が良くなる、とかいって行為の最中相手の首を絞める者が。
全く理解に苦しむ。相手を殺してしまっては子供は出来ないのではないのか? こちらの心配することではないが。
まあ何にせよこの男が楽しんでいられるのも今のうちだ。帝国軍はこの男の情報漏えいに気づき始めている。
将軍の椅子を狙う者はいくらでもいるのだ。こいつの全てを知る俺が一押ししてしまえば、失脚は確実だろう。
こいつを排除した後、その後釜には別の仲間が後押ししている、融和派の将校を就ける手はずになっているのだ。

「うう!! 出るぞっ!!」
くぐもった声と共に、俺の胎内を蹂躙していた肉塊がビクビクと痙攣し、中から温かいものがドクドクと体奥に注ぎ込まれた。
男は精を吐き出した後もしばらくの間行為の余韻にひたっていたが、一息ついた後に肉塊を俺から引き抜き、
幾度か寝返りをうった後、ぐうぐうといびきをたてて眠り始めた。
自分がどういう立場にいるかも分からずに、呑気なものだ。数日後彼はとても寝ている場合ではなくなるだろう。
俺は軽蔑と憐れみが入り混じった目で、男の寝顔をしばらくの間見つめ続けていた。

■■■

そして幾日が過ぎ、事態はこちらの予想通りとなった。
主戦派の将軍達は自らの不正不徳を暴かれて失脚し、融和派の軍人達がその後釜に据わった。
だからといって、すぐに魔王様の思惑通りに戦が収まるわけではない。
長引く戦の中で生まれた両者の憎しみは深く。心の隔たりは大きいのだ。俺自身の憎しみもまた・・・。
俺の使命にまだ終わりはない。再び人の姿を纏い、人々と交わり、人の世に潜んでいく。

俺が隠れ家に戻ると、予想通り仲間が俺宛の荷物を預かっていた。
受け取って包みを破り、偽装魔符を外すと衣服に偽装されていた人皮があらわれた。
新しい自分の皮がやってきたのだ。
俺は纏っていた娘の皮を脱ぎ捨てると、それに込められていた術式の起動単語を唱えた。
術式が解放され、脱ぎ捨てられた皮はたちまち溶解して沸騰、そして跡形もなく蒸発していく。
そして新しい皮を手に取った。それは今まで被っていた皮よりも大きかった。
キリキリ・・・
体の各部に仕掛けられた螺子を回しながら、関節を補強する金具を操作して手足を伸張させる。
人間の社会にいる内に、人間の技術を使って自分を改造したのだ。
今の俺達は、皮さえあれば老若男女様々な人間になりすますことができる。
皮に合わせて身体を操作し、全身をその中に合わせる。
そして定着の起動単語を唱えると、眩い光の波が皮の表面に流れ、俺は再び人間の姿となった。

無駄なものの無い、しかし出る部分は出ている、しなやかな肉体を持った娘の姿。
気に入った。前からこんな姿になってみたかったんだ。
俺は今の境遇を楽しんでいた。表向きの姿は、男と共に寝台の上で妖艶に羽ばたく夜の蝶。
だが、この姿の全ては偽り。人間たちを誑かすために作られたまがい物の姿。
人間たちは誰も気が付かない。寝台で抱いている女の全てが、まやかしであることに。
今度はこの『色っぽい』女の姿で、人間達をたっぷりと骨抜きにしてやるとしよう。
「ふふふ・・・」
俺は新しくなった女の顔でそう遠くない未来に思いを馳せつつ、鏡に向かって一人ほくそ笑むのだった。(完)
連投失礼いたします。皮モノ好き好きかわらばです。
初代掲示板に投稿した作品を上げさせていただきました。
今回の元ネタは藤原カムイ先生の『ドラゴンクエスト ロトの紋章』の冒頭部分。
城の兵士に化けたがいこつ剣士が元ネタとなっております。
昔見たときに「城の侍女に化けたがいこつ剣士はおらんのか・・・」と残念に思っていたことをよく覚えております。
かわらば
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16.100きよひこ
うおおおおお!!!
これ、最初に見たとき速攻で保存したやつだ!!

完成させてくださるとは……ありがとうございました!!
25.90きよひこ
受肉しないかなあなんておもいましたが、皮モノでそれは邪道かなと思ったり・・・面白かったです。
31.100きよひこ
いいですよね、皮モノ。
偽物に騙される相手を内心呆れたりさげすんだりしているうちに、最後にはそれに快感を覚える。
これぞ個人的に皮モノの醍醐味だと思ってます。
48.90qwx
これだぁあああぁ!