今日一日のことを思い出す。
あの一日の代償としてならこのくらいやってもいいだろう。
としあきとのデートを双葉のふりをして過ごしたのだ。
もちろん双葉からの頼みである。
「こんなこと、言えないし今日のデート代わりに行ってきて。
お願いだからとしあき君におかしく思われるようなことだけはしないでね」
一週間たっても俺の前では女言葉が抜けない俺の体の双葉はそう頼んだけど、
俺にとっては気持ち悪いことこの上ない一日だった。
何しろ隣にいるのは俺からすればたわいもないエロ話をしていたとしあきだった。
その隣で女の子らしく振舞わなきゃいけないなんてどんな罰ゲームだよ。
おまけにとしあきの目線が俺の胸とか腰とかに絡み付いてるのが丸わかり。
双葉は疑われない程度の基礎知識を教えてくれた時に「まさかホテルとかはないと思うけど…」と言ってはいたけど
あの目線は本当に怖かった。
今のままホテルに連れ込まれたら双葉のふりを通す自信はなかったぞ。
まあ、そんなこともなく一日過ぎたのは何より。
それにしても双葉の奴、俺の頼みの方は聞いてるのか?
倉科さんのためにせっかく手に入れてきたコンサートのチケット。
それが今日あるのだ。だから双葉に代役を頼んでおいたけど…大丈夫だろうな?
倉科さんもうれしそうな顔してたし、あれは間違いなく脈ありだ。
もちろん、その後はデート。うまくいくかどうかはわからないけど、双葉なら女同士喜ばせるコツとかわかってるんじゃないか?
俺の方は心の中で気持ち悪がりながらでも男の喜びそうな演技をしていたからとしあきも結構喜んでいた。
うまくいったという自信はある。
だからこれくらいさせてもらってもいいだろう。
といっても自分の体だからどこからも拒否されることはない。
そろそろ股間も濡れてきた。この快感、クセになりそう。
「あ…」
つい漏れてしまう声も双葉の、女の子の声。
いつもより罪悪感が少し軽い分遊んでみようか。
「…きよひこ…来て…」
俺の名前を呼んでみる。
でも、出てくる声が双葉の声。
ちょっといいかも。
「いいよ…きよひこなら…」
指は乳首とクリトリスをいじくり続ける。
俺の意識は揺蕩う快感の中に浸り始めていた。
登り詰めるような快感のピークを過ぎてしまうと冷めるもの早かった。
あっという間に頭が冷静さを取り戻す。
これだけは慣れないなぁ。
後始末も大変だし…でも、明日になったらまたしたくなっちゃうんだよね。
なんで男の体ってこんななの?
先ほどまでの自慰行為の後始末をしながらきよひこの体の双葉は愚痴る。
思い出したくもない先週のあの日、階段から落ちてきよひこ君と入れ替わっちゃった。
そのあと、ドタバタの果てに元に戻るまでお互いがお互いを演じることになった。
その過程で男の生理現象も、その処理法も経験した。
なんでうら若い乙女のあたしが男のアレを握りしめなきゃいけないの?
と思いながらも切ない股間から湧き上がる性欲は抑えようもない。
結局昼間でもトイレと偽って時々学校でもアレをしごいて自慰をする有様。
もう、やだなぁ。
今日だってコンサートに由佳里と行ってた時にアレが大きくなっちゃったのはびっくりしちゃった。
あわててトイレに行ったけど…男っていつもあんなことしてるの?
普通のトイレや着替え、万事に面倒でないのはいいんだけど、これだけは慣れないなぁ。
え?由佳里とどうしたって?
もちろんコンサート終わったらそのままバイバイしたわよ。
だって知ってるもん。由佳里がサッカー部の佐藤君と付き合ってるの。
でも、執拗に迫られてしかたなくオーケーしたけど佐藤君に見られたらどうしようなんて悩み相談されたくらいだもの。
その当人が目の前にいるなんて夢にも思わずうれしそうな顔をしていたけど…裏を知ってるからあたしも素直に喜べない。
これ以上不毛に時間を過ごしたくないし、必要以上に見つかって佐藤君に見つかって修羅場なんて嫌すぎだもん。
それにしても、さっき試しにあたしの裸を思い出して自慰をしてみたけど、あれもなかなかね。
あたしの体があたしのアレに貫かれて悶えるさまなんか想像するだけで涎が出そう。
なんだかんだ言ってこの体になじんでるのかなあたし。
晴れた日。
チャペルの前で新婚の二人が立っている。
緊張した表情でタキシードを着ているとしあき。
そして、その隣で幸せそうな顔でウェディングドレスを着ている…あたし?
そんなはずはない。あたしはあたし。
じゃあ、あなたは誰なの?
駈け出そうとするあたしを呼び止める声が聞こえた
「ちょっと、どこへいくの?きよひこ」
その声は、確かに記憶のある誰かの声。
え?あたしがきよひこ?
そこで目が覚めた。
夢?じゃあ、あたしの体も?
ぼんやりする意識の中で身を起こし、自分の体を確認して…
やっぱり、きよひこの、男の体のままだ。
「はあ…」
ため息の声も本来のあたしよりずっと低い男の声。
自分が元の体に戻っていないことにがっかりしてしまう。
ここ数日間繰り返していることだった。
今まで十数年間女として生きてきたんだから、男のままなんていいはずがなかった。
そう思いながらもどうすることもできない今の体の現実にため息をつきながらトイレへ向かう。
昨日のコンサートのこと、そして由佳里のことをどうきよひこに伝えようか考えながら。
よく晴れた日だった。
自分を取り囲み、祝福してくれている人たち。
一点の曇りもない幸せな心境のまま俺は立っていた。
俺の体を包むのは純白のウェディングドレス。
え?なんで俺がウェディングドレスなんか着てるんだ?
そして、そんな俺に手を伸ばす男の姿。
え?あれは…俺?
そこで目が覚めた。
視界に広がる部屋は双葉の部屋だった。
身を起こすと、わざわざ見るまでもなくぷるんという感触があった。
俺の胸についているもの、おっぱいが伝える感触だった。
「はあ…」
自分の体を見ながら着くため息もかわいらしい。
それがかえって恥ずかしくなってしまう。
声を出してもなにをしても女性らしさをまとわりつかせてしまうのにはいつまでたっても慣れることができない。
いそいそとトイレに立つ。
女になってから我慢が効かなくなっていることを経験で知っていたので早めに立つ習慣がついていた。
じょろろろろ…
自分の股間からダイレクトに垂れ流される感覚と音。
先週までは知らなかった。知りたくなかった女の体の一面だった。
こんなこといつまで続くんだろう。
としあきとのデートはうまくこなした自信はあるけど、としあきが何かを期待している目線を送ってくるのが気になって仕方なかった。
俺も双葉への手前で愛想はふりまきながらも、嫌な予感は最後までつきまとった。
目がはっきりと言っていたのだ。「エッチさせろ」と。
冗談じゃない。せめて俺と双葉がお互いに元の体に戻ってからにしてくれ。
その後ならいくらでも応援してやるから。
このまま戻らなかったら、としあきと…
自分の想像に思いきり首を振る。
嫌だ嫌だ。なんとしても元に戻るぞ。
女の体なんか…
女の体も…悪くないかもしれない。
双葉になってからの一週間で女になってよかったといまだに思えるのが自慰と体育の時間の着替えだった。
周りは無防備に半裸を晒す女生徒ばかりで、自分も女の子。
男の意識が消えたわけではないきよひこにとって数少ない楽しみでもあった。
ブルマで太腿をさらしながら受ける体育の授業の恥ずかしさも、これで埋め合わせがつくほどだった。
本当ならじっくりと目に焼き付けたいけど、不審がられないようにちらちら見る程度にとどめなければならないのが難しいところ。
万が一にもおかしな挙動を見咎められたら…
「ねえ、双葉ちゃん?」
そう思っているときに後ろからかけられた声にドキッとした。
振り向くとそこにいたのは倉科さんだった。
ちょうどいい。双葉の体なのをいいことに昨日の首尾を聞き出せないか…とおもっていたら
先に倉科さんの方から口を開いてきた。
「実は…」
男の体でよかったことは「気楽」の一言に尽きる。
今の双葉の偽らざる本音だった。
男子トイレで立小便しているときの解放感はなんともいえないものだった。
用を済ませてトイレを出ると、あたしの体のきよひこと鉢合わせした。
「ちょっと…」
ただならぬ表情であたしを連れ出すその表情には有無を言わさぬ勢いがあった。
あたしを連れ出してきたのはきよひこと双葉が入れ替わった非常階段の前だった。
「…そっか。由佳里から直接聞いちゃったんだ」
本当は、できるだけオブラートにくるんできよひこに事の経緯を話そうと思っていたのだが、
それをする前に本人が由佳里に直接聞いてくるということは考えてなかったのだ。
「知っていたのか?」
「うん。でも、そんなこと本人の前で言えなかったから」
きよひこはうつむいたまま何かを考えていた。
そして、やおら立ち上がるとあたしの手を引いて非常階段に引き出した。
「え?ちょっと、何するの?」
「ここからもう一度飛び降りたら元に戻るかもしれない。」
「ええ?本気?」
目の前の非常階段は避難用ということで3階から地上まで一直線の階段で、ヘタに落ちたら命に係わりかねないものだった。
「俺は本気だ。もう、こんな体嫌なんだ。
女の体はとにかく気を使うし恥ずかしい
なにより倉科さんと一緒になるどころか、このままだととしあきに抱かれかねない。
こんな生活もう嫌なんだ。俺は自分の体に戻るぞ」
「ちょっと!やめてよ!」
女の体のきよひこ。本当なら男の体の双葉の方が体力では勝っているはずだが、思いつめた目のきよひこの勢いは止められなかった。
双葉の体のきよひこはきよひこの体の双葉を押し出すように非常階段から突き落とすとそれとともに自分も階段に躍り出た。
「いや!や、いやぁぁぁぁぁ!!!!!」
保健室から一人の女生徒が出てきた。
手足にあざが残る痛々しい姿だった。
「気をつけなさいよ。今度からあの非常階段立ち入り禁止にしとかないと。」
校医の先生にそう言われながら出てきた双葉の表情は沈んでいた。
結局非常階段から落ちても元に戻ることはなかった。
それどころかきよひこの体の双葉は転落の衝撃で片足を骨折し、近くの病院に担ぎ込まれてしまった。
元に戻れなかったショックと短慮で双葉にけがをさせてしまった自責の念に打ちひしがれながらとぼとぼと歩く。
結局双葉は翌日からしばらく学校を休むことになった。
双葉の分もノートを取りながら迎える休み時間。
双葉の体のきよひこの前にとしあきがやってきた。
「あのさ、次の日曜暇?」
そういいながらとしあきは目の前に映画のチケットを見せた。
その映画はヒロインが戦闘ヘリに追われながらナマコを投げつけるシーンが話題を呼んでいる人気ラブストーリー。
前売り完売でチケットが手に入らないという評判だった
「これ、ものすごい人気だろ?一緒に行かない?」
たしかにきよひこも一度は見てみたいと思っていた映画でもあった。
きよひこの体の双葉にけがをさせてしまった負い目もあって、ひとまずOKすることにした。
これで断ったらとしあきにも双葉にも悪いし、しかたないよな…でも…
きよひこの胸には言いようのない嫌な予感が広がっていた。
抱き合い、お互いを求める男女。
女は幸せの絶頂に登り詰めるような嬌声を上げる。
自分がメスであることを惜しげもなくふりまく声。
そして、絶え間なく打ちこまれる「男」を受け入れる淫靡な表情。
男女の営みはやがて絶頂を迎え…
きよひこ。いや、双葉の体のきよひこは画面に向かいため息をつく。
目の前で繰り広げられる男女の営みに対し、どうしても「女性」側に感情移入できなかったのだ。
たしかに今の体は双葉の体だ。
しかし、「男」として生まれ育った意識のまま、「女性として男に抱かれる」ことに抵抗がなくなることはなかった。
もしかしたら次のデートでとしあきに抱かれてしまうことになるかもしれない。
そこで、「予行演習」というわけではないが、しかるべき動画で「自分が女として男を受けいれる」心の準備をしようと思ったのだが、やはりどこかにそれを受け入れられない自分がいるのだった。
もう…元に、男に戻ることはないというのに…
「はあ…」
ため息をつきながらも見下ろす乳房や女性らしい体には反応してしまう「心」が恨めしかったが、それを捨て去るほどに自分が女である現実を受け入れることもできなかった。
自分が、この女体を抱く立場だったら…
目の前の乳房を揉みながら、「自分」がそこにいるつもりで「いいわ…きよひこ…」
そう言うことで、さも自分が双葉を抱いているような気分になる。
しかし、今味わっている快感は「きよひこをうけいれる双葉」のもの。
そういう不可思議な背徳感に迫られながら今日も自分の体を弄ることになるのだった。
自分にペニスがあれば。少し前まで自分にあたりまえのようについていたペニスがほしい…そう思いながら。
ギブスで固められた足はまだ自由な動きを許さなかったが、手は多少の擦り傷だけで支障なく動かすことができた。
はあ…ため息をつきながら今の状況を思い返す。
賢者モードというやつか、今の自分がひどく冷静なことに気付く双葉、正確にはきよひこの体の双葉だった。
もう、元に、女に戻ることはないのか…
妙にそれをさばさばした気分で受け入れていた双葉だった。
男の体に慣れてしまったというのもあるだろうが、やはり万事に気楽なことがしっくりしたのだろう。
ただ、一つだけ気がかりはあった。
処女のまま手放さざるを得なくなった「双葉」の体。
それを取り戻すことはできない。
だからこそ、その「はじめて」をだれがどうやって奪うのか。そこが気になって仕方ないのだった。
このままだったらとしあきかな…でも、きよひこがどんな顔してとしあきに抱かれるのかな…
それを想像すると妙に可笑しかった。
いっそ…あたしがもらっちゃおうかな?あたしの処女だし…
「・・・そんなわけで、今度の日曜にとしあきと映画を見に行くことになったんだ」
ここは双葉の家。
昨日の経緯を双葉に説明しながら男言葉を遠慮なくしゃべれるのにホッとする。
「え?本当?今度も代わりに行ってもらわないといけないけど、大丈夫なの?」
「短気起こしてこんなことになっちゃったからね。それに戻る方法も思いつかないし」
そういってギブスが痛々しい足を見る。
「でも…あいつの目がちょっと気になるんだよな。なんか下心が見えるというか…もし、キスとか、エッチとかしようなんていわれたら…」
それを聞くきよひこの体の双葉の頭に奇妙な考えが浮かんだ。
「不安なの?」
「当たり前じゃないか。前のデートだってとしあきの視線が気になって仕方なかったんだぞ」
前のデートの時のとしあきの顔が頭をよぎる。
「でも、あたしが思うに、今度こそはエッチしそうだなって気がするんだよね。本当は前のデートの時にそうなっちゃうかなって気はしてたくらいだから」
意地悪な笑みを浮かべる
「じょ、冗談はやめてくれよ」
本気で驚くきよひこ。ちょっとおもしろいかも。
「冗談じゃないよ。あたしだってとしあきとだったらいいかななんて話してたくらいだから。うん、間違いなく次は来るね」
確信的に言って脅かすと本当にびっくりした顔をする。
「脅かさないでくれよ。何とか次もごまかせないかと考えてたのに」
怯えるあたしの顔。こうしてみると我ながらかわいいな。
「脅しじゃないよ。あたしだって楽しみにしてたんだから。できるならあたしが代わってあげたいくらいだわ。でも、そんな調子で本当にエッチなんてことになって失敗されても困るわ。」
一呼吸おいてつづける
「それなら…さ。ここであたしと試しにやってみない?」
その一言に本当に驚いた顔をする
「ほ…本気か?自分としたいのか?」
後ずさるきよひこ
「本気よ。としあきとエッチするならともかく、初めてのエッチで失敗されるくらいならこの場で自分でやっちゃう。きよひこだって、としあきより自分の方が抵抗ないなんてこと、ない?」
あたしの顔が本気でおびえてる。今、あたしどんな顔してるだろう
「それに、あたしだったらそんなに痛くないかもよ。だってあたしの体だもん」
お、ちょっと考えた?
「ねえ、はっきりさせて。このままとしあきとエッチさせられるか、ここで自分の体で練習するか。どっちがいいの?」
うん、いい感じ。あたしの理性がそろそろもたないから、はっきりさせないと襲っちゃうよ。
しばらく考えたきよひこだったが、しばし考えたのちに首を縦に振った。やった!
「やっぱり…服も脱ぐのか?」
恥ずかしそうにしているきよひこ。しかし、その顔はどこか期待している顔でもある。
「そうよ。当然じゃない。ひさしぶりだわ。あたしの裸見るの」
言われるままに服を脱いでいくきよひこ。
ひさしぶりに見る自分の裸。
自分の体をこうしてみるのなんて初めてのせいか、見ているこっちがドキドキしてしまう。
「すっかり女の子の下着脱ぐのも慣れたんじゃない?」
そう聞くと真っ赤な顔になるきよひこがかわいかった。
清彦が太腿をよじらせて必死に股間を隠してショーツを脱ぐ。
露わになった何もない茂み。
何か懐かしいな…って濡れてない?
ははあ、これを見られるのが恥ずかしかったんだな。
濡れてるなら後のことは楽そうね。
「こ…これでいいか?」
全裸になったきよひこ
きよひこは露わになった自分の裸から目をそらすように横を向いている。
さて、これからどうしようか…
なんでこんなことになってるんだろう。
としあき相手に女として最後までできる自信はない。
だからといって、まさか自分とするなんて…
そりゃ、何の準備もなくとしあきに襲われるよりはマシかもしれないし、相手が双葉だったら自分の体だから遠慮してくれるかもしれない。
何かあっても止めてくれるだろう。たぶん。
それよりなにより女のセックスに興味がないわけではなかったのだ。
そんなわけで、今自分が見ている前で服を脱いでいた。
しかし、他人、しかも自分の顔が目の前にありながら服を脱ぐのは…ねぇ。
冷静な自分の顔と、視界に入る女の体。
目に飛び込むたびに自分が女だと認識させられる恥ずかしさがますます増幅される。
って、股間がなにかじゅんとしてる?
なんでこんな状況で感じてるんだこの体は?
濡れてることを気づかれないように股間を隠してパンティを脱ぐ。
気付かれたかな?
一糸まとわぬ姿になった俺。
自分の体を直視できないまま視線をそらす。
しばしの沈黙ののち、双葉は言った
「キスからしてみる?」
ちょ、ちょっとまて?いきなりキス?
うろたえているうちに俺の顔が目の前に来る。
間髪入れずに口の中に舌が入り込んでくる。
「も…もご…」
口の中を他人の舌が動き回る。
目の前の顔はもう、近すぎてまともに見えない。
口の中を力強く蹂躙する大きな舌とざらりとした唇。
顔がまともに見えないせいか、思ったほどの嫌悪感はなかった。
案ずるより産むがやすしというやつか?
そう思いながら双葉に身を委ねていった。
双葉はそのまま俺の胸に手をかける。
女になってからなんども自分で慰めてきた乳房が他人の手で揉みしだかれる。
自分でするのと全く違う感覚。
包まれるような快感があふれた。
体全体がぼわっと上気するような感覚。
男のころなら股間が熱くなるような感覚を覚えたかもしれないが、その代わりに体の芯が切なく熱くなるのがわかる。
入れ替わってから何度も自分でしてきたときとはまた違う快感。
双葉にとって自分の体だからというだけでは説明ができない切なさが心を満たした。
自分が男に抱かれている嫌悪感は意外と少なかった。
相手が俺の体だからか中身が双葉だからか…
もう、そんなことはどうでもよかった。
女の体の持つ快感をもっと味わいたくなっていた。
双葉の指はいつしか股間に滑り込む。
じゅん…と女の部分が自然に男の指を受け入れているのがわかる。
「もう準備はいいようね」
双葉はそう言って俺をベッドに横たえる。
いよいよ入ってくるんだ。そう思いながら俺は太腿を大きく広げて男を受け入れるポーズをとる。
まさか、俺がこんなことをする羽目になるなんて…
俺の体の双葉はいそいそとズボンとパンツを脱ぎ捨てていた。そこに目に飛び込むペニス
ゴクリ…
唾をのむ。
俺のってこんなに大きかったのか?
女の目線からか、散々見慣れた自分のモノが、今まで見たことがないくらい凶暴に見えた。
我慢…できるかな?
快感を吹き飛ばすほどの不安感が胸をよぎる。
双葉が不器用にそのペニスにゴムをつける。
俺、今から抱かれるんだ。女として。
ドキドキが止まらない。
好奇心と不思議な倒錯感が胸を満たす。
双葉がギブスの足を不自由そうに引きずりながら俺の中の間に割って入る。
股間の、女の入り口に何かが当たる感触がした。
ちょっと前までは俺のだったペニスだ。
今から、これが俺の中に入るんだ。
一呼吸して目を閉じる。
痛いのかな?やっぱりはじめてだし…
不安感が支配する中、そう思った瞬間
「痛!」
わずかにペニスが入り込んだだけで伝わる痛み。
傷口を大きく広げられるような痛みが走った。
反射的に腰を上げようとしたら、いつの間にか腰に回っていた双葉の手がそれをさせなかった。
そのまま双葉によって俺の腰はペニスを飲み込んで沈んでいった
「あああ!痛い痛い痛い!やめてくれ!双葉!」
必死に首を振り回しながら哀願するが、双葉の手は止まらなかった。
股間から伝わる体を引き裂かれるような痛み。
俺は涙を流しながら痛みに耐えていた。
全然気持ちよくない。痛いだけだ。
しかし、双葉はそれにかまわず俺の腰を突き上げる。
傷をさらに押し広げられるように痛みが増幅する。
「痛い!痛い痛い痛い!やめてくれ!抜いてくれ!」
俺はなりふり構わず懇願する。
「ごめん。それ無理…こんなに気持ちいいなんて…あふぅ」
恍惚の表情を浮かべる双葉の顔がぼやけて見えた。
自分の顔なのにその顔がとてつもなく恐ろしく見えた。
痛みのあまりに視界が歪み、涙がボロボロこぼれる。
なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだ?
「ぐ…うぐ…」
痛みをこらえて必死にシーツをつかむ。
「ああ、気持ちいいよう…」
双葉の声がどこか遠くから聞こえる。
そして
「あ…」
という声とともに、ひときわ強く腰を打ちつけられたかと思うと、動きが止まった。
見上げると双葉が俺の顔で妙に満ち足りた表情をしていた。
まさか…これって?
「ごめん、こんなに気持ち良いなんて思わなくて」
ようやく、終わった…妙な安堵感と股間にうずく痛みが俺の心を支配していた。
自分の裸を見て興奮しているのが自分でもわかる。
今の自分の体がきよひこの体だから?
もう、股間が爆発寸前になっている。
恥ずかしそうにパンティを脱ぐきよひこ。
あ、あんなパンティ見たことないぞ。さては新しく買ったな…と思ったら?
そそくさと体を隠したけど、みえちゃったぞ。女の子のおつゆ。
もう、我慢できない
「キスからしてみる?」
そういうや否やきよひこに抱きついて舌を割り込ませる。
嫌なんて言わせるつもりなんか最初からなかった。
きよひこも最初は抵抗していたけど、次第におとなしくなってきた。
あたしの体が手中にある。
ひさしぶりに見るあたしのおっぱい。
それが目の前にある。
自分の体の感触を確かめるようにあたしはおっぱいに手をかけた。
やわらかい。女の子の体ってこんなにやわらかかったんだ。
夢中になるまま乳房を揉む。
ひさしぶりの女の子の体の感触に夢中になっていた。
股間はもう必死に自己主張を始めている。
こっちはどうかな?
あたしは股間に指を滑らせた。
やっぱり濡れてた。
ああ、もう!我慢なんかできない!
「もう準備はいいようね」
そういってきよひこをベッドに横たえる。
男になってから思うけど、男の力ってやっぱりすごい。
きよひこが自分から体を開いてくる。
不安ながらもどこか期待している顔。
すぐにでも挿入したかったけど焦る気持ちがはやってなかなかうまくズボンが脱げない。
おまけに足にギブスなんかしてるからベッドに乗るのも大変。
なんとかパンツまで脱いで、今度はゴムを…え?いつ買ったのかって?
そりゃ、なんとかいいくるめてあたしを抱く決心をつけた時から。
いくらなんでも自分の体をいきなり妊娠なんてさせたくないもの。
って説明はもういいでしょ。さあ、挿れるわ…
あたしは膝立ちのままきよひこの股間に割り込んでいく。
えいっ
ずぶぶぶ…
思ったよりキツイ…もうちょっと素直に入らないの?あたしの体
えい、もっと入れちゃえ
なんとかカメさんが入ったかな。
きよひこの膣内の暖かさが伝わってきた。
ああ、こんなに気持ちいいなんて。
もっと入れたいな…
「あああ!痛い痛い痛い!やめてくれ!双葉!」
必死で暴れるきよひこ
涙を流してどう見ても痛そう。
でも、今更抜いちゃうと二度目はなさそうだし、一気に行っちゃったほうが痛くないかもね
勝手に結論付けて一気に腰を押し込む。
ああ…何、この気持ちよさ。
あたしのおちんちんをきっちり締め付けるけど、ぬるぬるした感触がおちんちんを包み込む。
腰をそのまま引いて、改めて突き入れる。
「ああ、気持ちいいよう…」
つい声が漏れる。
でも、もっともっと気持ちよくなりたい
あたしの下で暴れるきよひこを押さえつけながらあたしは登り詰める快感を確かに感じていた。
そして…
ビクビクっとおちんちんからあの感触が伝わる。
もう、出ちゃうんだ。
最後にえいっ!
大きく腰を突き入れて、そのままあたしは男の欲望を吐き出した。
あたし…男としてやっちゃったんだ…
急速に冷めていく意識。
「ごめん、こんなに気持ち良いなんて思わなくて」
照れ隠しのように言った。
そのあと、身づくろいを終えるときよひこはそそくさと帰っていった。
もう一回ぐらいさせてくれないかなと思ったけど、そうはいかないようだ。
ああ、でも気持ちよかったな。
痛む股間を必死にかばいながら家路に就く。
今日の行為の痛みがまだ続いている。
まだ双葉の股間が入っているようだ。
あんな思いをするとは思わなかった。
解放感の赴くまま急いで帰ったけど、ものほしそうな双葉を見るにそれが正解だったろう。
あのままヘタにいたら「もう一回」とか言われそうだ。
しかし、俺はもう二度とこんなことはしたくない。
今度のデートだってもし迫られたら後先考えず拒否してやる。
それでどうなろうが知ったことか。
そうだ、今度のデート自体すっぽかすのがよい。そうしよう。
そう思ってとしあきからもらったチケットを取り出し、破り捨てるべく掲げあげた。
金曜日の校内、としあきはチケットをみながら浮かれ気分で「立入禁止」の標識が立つ非常階段の入り口にいた。
いよいよ今週末に双葉とこの映画を見る日が来るのだ。
としあきは日曜日のデートの行動を考えながら浮かれ気分で歩いていた。
だから、今目の前で非常階段の工事の人が道具を持って歩いていることへの注意がおろそかになっていた。
大きな道具を持って走っていく作業服の男の肩が当たったのはその時だった。
バランスを崩したとしあきは標識を倒して身を非常階段へ躍らせた。
きよひこの体の双葉が松葉杖をつきながら久しぶりに登校する。病院に行ってからの登校だったので遅れての登校だった。
丁度休み時間だったらしく何人かの生徒があちこちを歩いているのが見える。
校舎に目をやると双葉ときよひこが入れ替わり、今の双葉が骨折する原因となった非常階段が工事のシートでおおわれようとしているのが見えた。
そういえば、きよひこ、あれから来なくなっちゃったな。
やっぱりちょっと強引過ぎたかな。かなり痛がってたし。
でも、気持ちよかったなぁ。男の子がやりたがるのもわかる気がする。
そう考えるともう一回やってみたくなってくる。
でも、この体だとまだ彼女とかいないからなぁ…どうにかならないものか…
そう考えながら、その下を歩いていると、茂みの向こうで何やら会話が聞こえる。
その内容にどこか覚えがあるものを感じる。
そして、会話が終わり、茂みから姿を出した人影に話しかけた
「ねえ、どうしたの?由佳里」
日曜日
「面白かったね」
「ええ、そうね」
としあきと並んで歩く俺。
結局掲げあげたチケットに書いていたタイトルをみて再度思い直した
なかなかチケットのとれない映画。
見るだけなら悪くないかもしれないなと思い直し、こうして双葉のふりをしての二度目のデートとなったのだ。
さて、映画館を出て左側にホテル街、右側が駅だ。
もちろん向かうのは右側だ。としあきが何と言おうとも。
最悪グーで殴ってでも…と心の準備をしながら映画館を出る。
としあきが向かったのは右側だった。
よかった。最悪の事態は免れた。
としあきの家はこの映画館の近く。駅でバイバイすれば今日のところは大丈夫だ。
と、思いながら駅に着くと、としあきは思わぬ行動に出た。
「ちょっと面白いものをみせたいんだけど、もうちょっとつきあってくれるかな?」
そういいながら切符を買い、改札に入る。
その切符は今の俺である双葉の家の最寄駅でも俺の家の最寄駅でもなかった。
不思議な感覚に襲われながら電車に乗る。
その駅を降り、住宅街を歩く。
そして、当たり前のように入っていく家の表札には「倉科」とあった
「え?いいの?この家って」
驚く俺にとしあきは笑いかけて「いいのいいの、入って入って」と声をかける。
恐る恐る入り込み、2階へ案内される。
そして、示された部屋に入ると、そこにあった光景に俺は立ち尽くした。
「おかえり、遅かったね。由佳里ちゃん」
そういって笑いかける俺の体の双葉と、ベッドに全裸で縛られる倉科さん。
倉科さんの口には猿轡がかまされていて、必死に何かを言おうとしている。
「こ…これは???」
驚きのあまりようやくその言葉だけを言う俺を素早くとしあきは羽交い絞めにする。
としあきがそのまま俺を床に押さえつけ、すばやく双葉が紐で縛り付ける。
瞬く間に床に転がされた。
「と、としあき?いったいなぜ?なんで倉科さんをあんな風に?」
それだけをやっと言うと、としあきはこらえきれなくなったように笑い出した
「ぷ…あはははは!!!やっぱり素が出ちゃうものね?「倉科さん」だって!!!」
何が何だかわからない俺に向かって双葉が続けた
「倉科さんはないよね?由佳里」
「由佳里?何を言ってるんだ?双葉?」
混乱が止まらない。
「ねえ、パニックで忘れてるかもしれないけど、今のあたしは双葉じゃないわよ」
「こうしてみるまで半信半疑だったけどまさか本当にきよひこだったなんて。ねえ、きよひこ。今どんな気分?」
としあきの口調がおかしいことにようやく気付いた。
「としあき…じゃない?」
絞り出すように声を出す俺にとしあきは決定的なことを言った。
「あたしが倉科さん。倉科由佳里。で、そこにあたしの体でころがってるのが本物のとしあきよ」
笑いながら話す。
「どういうことか教えてあげようか?」
双葉が言う
「ああ、教えてくれ。いい加減頭がどうにかなりそうだ」
「金曜日にあたしが遅れて学校に行ったらこの二人がなにやら茂みの向こうで話しこんでたの。よく聞いたら由佳里の声なのに一人称は「俺」、としあきの声なのに一人称は「あたし」。どこかで聞いたことない?」
そこで頭の中に符合するものがあった。
「まさか…」
後を引き取ってとしあきが言う
「そう、あたしが非常階段の下を歩いていたら頭の上から転がり落ちるとしあき君が降ってきたの。そして、もみ合って気が付いたらこんな状態。もうパニックになって茂みに隠れてお互いの状況を確認したの」
「どうやら非常階段からとしあきが足を滑らせて落っこちたみたいね。で、それを聞きとがめたあたしが話の終わった由佳里に話しかけたの」
「あの時は驚いたわ。まさかこんな早く気づかれるなんて。すぐ後に事情聞いて納得したけど」
「で、今後のこととかおたがいの身の上とかしばらく話し込んで、その中でお互いに男の人のエッチについて盛り上がったの。じゃあ、試してみよっかということでこの計画を立てたわけ」
到底想像外のことをかわるがわるに話す。
「まさか…これから…」
「ご名答。デートの前にあたしの体のとしあきと今日のデートについて打ち合わせをするという口実でここにきて、こっそりついてきた双葉と2対1で縛り上げてここで待っててもらったってわけ」
「さあ、これから思いきり楽しみましょ。由佳里」
「ところで、どっちから先にする?あたしは自分の体の具合とか興味あるんだけど。あたしは処女じゃないから痛くはさせないから期待しててね、としあき」
「え?あたしも由佳里の体興味あったのに」
「あたしがした後は好きにしていいから後にしてよ。あたしの体なんだから」
「じゃ、由佳里も後はあたしの体で楽しんでて」
服を脱ぎながら本人たちをよそに盛り上がる話の内容に顔を見合わせながら震え上がる俺と倉科さんの体のとしあき。
「じゃ、いただきます」
としあきの体が倉科さんの股間に割り込む。
必死に首を振りながら抵抗するとしあき。
身動き取れない中で無理やり男のモノが迫りくる恐怖が今の俺には痛いほどよくわかった。
「む、むぐぐぐ…」
としあきの体の倉科さんが自分の体の乳房や股間をまさぐっては倉科さんの体のとしあきが首を振りながら悶える。
初めて経験する女の体の快感に男の心が翻弄されている。
しかし、その顔には羞恥と悦楽がうかんでいて、倉科さんの顔で見せるその表情は俺の心に複雑な影を落としていた。
「じゃ、あたしたちもしよっか」
その声がする方へ向くと、すでにペニスを屹立させた俺の体だった。
数日前の恐怖がよみがえり、必死で身をよじらせる。
「嫌ねぇ。もう、処女じゃないんでしょ?きよひこはもう大人の女性なの」
言い聞かせるようにいう双葉が俺の股間をじっと凝視する
「ほら?こことか、こことか」
そういいながら俺の乳房をじっくり揉みつつクリトリスを指で刺激する。
「あ…ん…」
声が出そうになったところに視界の隅で倉科さんととしあきの姿が見える。
この二人の前で女として悶える声は出したくない。その意識が必死に声を抑えていた。
「我慢してる?でも、無駄よ。あたしの体だもん」
そういいながら双葉は俺の体をより強く責め立てる。
より強くなる刺激。それでも…女としての痴態を見せたくはなかった。
目をつぶりながら、声だけは出さないようにする。
しかし、股間からあふれるような愛液が流れるのはどうすることもできなかった。
それを見咎めた双葉が両手と舌を使って女の部分を刺激し始めた。
嫌だ…でも…心の壁が徐々に崩れていくのが自分でも見え始めた。
「いつまで我慢してるの?ほら、あっち見てよ」
そういわれて改めて隣を見ると、すでに呆けた表情のまま視線が宙を舞う倉科さんを相手にとしあきの体の倉科さんが自分の体を犯そうとしていた。
「む…ご…あふ…ぅ…」
猿轡のため声が出せないが、すでに表情はとろけきっていて、女の快楽に飲まれているのは明らかだった。
「いふぁは…」
小さな声でかろうじて「嫌だ」と言おうとしていても、体がもういうことを聞かない状態だったのだ。
としあきの体の倉科さんは自分が女だったことを忘れそうなほど下品な笑みで自分の体を犯していた。
「すごいわ。男のおちんちんってこんな感じなんだ。」
倉科さんは自分の体にペニスを突き立てる
「ああ…あ…」
呆然としたままの喘ぎ声が漏れる。
自分に犯されることを許容したとしあき。
その現実が俺の心に大きなショックを生んだ。
こわばっていた体から力が抜けたことを見た双葉が一気に俺の股間に肉棒を差し入れてきた
「あぁ…」
押し出されるように空気が漏れる。
初めての時よりははるかに小さいが、それでも残る引き裂かれる感覚。
そして、それを覆い尽くすように股間に熱い何かが入ってくる感覚がわかった。
これが…女の子のセックスの感覚?
自分の体の中に他人の一部が入ってくる感覚が今度ははっきりわかった。
それとともに、名状しがたい電気が走るような感覚が伝わる。
双葉の肉棒が、完全に俺の中に入った。
「動かすよ?」
そういうと、途端にタガが外れたように俺の中でペニスをピストン運動させる。
「あ…あふん…ふぅ」
思わず漏れる声をもう止めることができない。
「あん!あん!あん!」
急激に増す快感。そして、目の前で自分を突き立てる自分の姿。
自分に犯されるという倒錯した状況が最初の時はなかった快感を加速度的に増していった。
隣をみると、倉科さんの体のとしあきも喘ぎ声を立てられながら自分の体に突き上げられていた。
そして…ふたたび、あの感覚がよみがえった。
痙攣するように俺の中の肉棒が動いたと思うと、突き立てる腰の動きが一気に強まった。
それとともに俺の体も今まで経験したことがないほどの高みに押し上げられていく。
意識がどこか遠くへ消えていき、真っ白になっていく。
もはや喘ぎ声をあげているかどうかすら知覚できなくなっていた。
「ああぁん!…あ…」
ひときわ強く突き立てられた後、双葉の顔を見ると、悦楽にゆがんだ表情をしていた。
双葉は俺の股間からペニスを抜くと、ゴムを外して、俺の口元に持ってきた
「今度は口でしてくれない?」
すでにとろけきった俺の心はそれに対してまったく抵抗しなかった。
気がついたら精液と愛液でべとべとのかつての自分のペニスを頬張っていた。
半ば意識が飛んだまま俺は口の中のペニスに唇と舌で奉仕する。
全身にしみついている女の子の快感が口を動かしていた。
「もう、今のきよひこ、すごくかわいい。もう、すっかり女の子ね」
そういわれて、安心する自分がいた。
そうだ。自分は女なんだ。
そう言い聞かせるようにかつての自分の肉棒をしゃぶっていく。
隣では、倉科さんととしあきがフィニッシュを迎えていた。
もはや隠しようもない喘ぎ声を立てるとしあきに最後の突き上げをする倉科さんの姿が見えた。
それを見たところで、双葉は俺の口から再び屹立したペニスを引きはがした。
「じゃ、後は由佳里に任せるわ。」
そういうと双葉はぐったりするとしあきのもとへ近づいていき、猿轡を外した。
「ふ…双葉…なのか?」
目の前の男に対して、としあきはか弱い声でそれだけを言う
「そうよ。あたしは双葉。男女逆になったけど、ずっとこうなりたかった。だから、としあきもあたしを受け止めて」
そういって青ざめるとしあきに双葉は体を滑り込ませる
倉科さんの体のとしあきは、視線を宙に浮かせながら呆然と運命を受け入れる表情になっていた。
半ば現実感を喪失し、「せめて、痛くないまま男の双葉を受け入れよう」そういう気持ちが浮かんでいた。
やがて、双葉がとしあきを犯す。
「あああっ!!」
としあきは女らしくかわいい嬌声を上げながら男に貫かれていった
そして、入れ替わりにとしあきの体がこっちにやってきた
「へぇ…あのきよひこがこうなっちゃったのか。自分の体もよかったけど、こうして双葉の体を犯すのもいいかもね。
しかも、中身はきよひこなんだから、思いっきりできそう」
としあきの体は先ほど一回絶頂に達したとは思えないほどに屹立していた。
「あなた、あたしとこうなりたかったんでしょ?」
(そうか。今、俺は倉科さんとエッチしようとしてるんだ)
ぼんやりとした思考が俺を混乱させている。
「さっそくだけど、コレ、元気にさせてくれない?さっきの双葉みたいに」
そういってとしあきのものだったペニスを突き出す倉科さん。
俺は何も違和感を覚えることなくそのペニスに口をつけていった。
そのペニスはとしあきのものだった。
しかし、それを突き出してるのは倉科さん。
そう思うと、違和感は何もなかった。
ただただ目の前のペニスを頬張り、奉仕していた。
「きゃははは。見て。あのきよひこがあたしのアレを舐めてるの。
こんなに男が気持ちいいなんて。思わなかったわ。
このまま出しちゃいたいけど、それももったいないし、せっかくだから双葉の体に出したいよね…
そうね、あたしにお尻を突き出してくれる?」
そういって俺の縄を解いた。
一方的に虐げられるのに屈辱感を覚えるが、それを上回る被虐的な快感が俺の体を動かして、四つん這いに尻を突き上げた。
「いいわね、この眺め。双葉、あなたのもらっていいよね?」
それを聞く双葉はひたすらとしあきを突き上げていた。
としあきは絶望に惚けた表情のまま双葉に貫かれるままになっていた。
俺の股間に倉科さんの熱いペニスが入ってくる。
もう、肉棒を咥える嫌悪感はなかった。それどころか自分の体で倉科さんを感じられることに幸福感すら感じていた。
そこからはもうとろけたままの自我の赴くまま女としての自分に流されるままになっていた。
女の子らしい喘ぎ声にも何の抵抗もなくなっていた。
そして、その果てに体の中に熱い何かがぶちまけられる感覚が迸った。
ああ…俺の中に倉科さんが入ってくる…
何も考えられないまま恍惚とした表情で熱い精液を受け止めていた。
二度目であるにもかかわらず十分な量の精液は膣内から股間に溢れ出した。
「あ…あ…」
二度目の絶頂に酸素を求めてパクパク口をあけながら俺は前に倒れこんだ。
うっすらと映る視界の端に、恍惚の表情のまま視線が宙を泳ぐ倉科さんの体のとしあきがいた。
そして…真っ白になった意識の中で、小さな音と声が聞こえる
パシャ パシャ
「ねえ、これでいい?」
「いいわ。あたしたちに犯されてだらしなく精液垂れ流してるきよひこととしあき。あたしも撮ろっと」
「じゃ、あたしシャワー浴びるわ。男の体ってやった後はすごく冷静になっちゃうのね。」
「あたしも後で入るわ。あたしのおちんちんも出しすぎて痛くなっちゃったの」
「あたしもそう。でも、男もいいわよね」
そんな会話を聞きながら何をする気力もなく意識は再び真っ白な世界に戻っていった。
翌日
俺たちは倉科さんの家で目が覚めた。
朝に俺ととしあきはシャワーを浴びた。
としあきが自分の体を恥ずかしそうに見ながらシャワーを浴びた後、俺が入れ替わって浴室に行く。
そこには、目を泣きはらした倉科さんの体のとしあきがいた。
無言で立ち去るとしあき。
そして、シャワーを浴びた時、としあきの涙の理由がわかった。
股間からどろりとこぼれる精液。
それは、俺が女として男に抱かれた証だった。
今はそういう体なんだ、しかたないんだ。そう思おうとしてもボロボロ涙がこぼれてしまった。
倉科さんが言うには両親は旅行中であり、火曜日までは帰ってこないのだという。
ひとまず4人ともに朝食を済ませた後お互いの家に戻り、学校へ行った。
「学校終わったらすぐここにまた集合ね。来ないと、この写真バラ撒いちゃうから」
そういって二人が見せた写メを見た俺ととしあきは青ざめた。
そこには、真っ白な意識で聞いた光景が夢ではなかったことを裏付けるものだった。
それは全裸のまま股間から精液を垂れ流したまま意識を手放していた俺ととしあきの画像だった。
授業が終わり、掃除当番で遅くなった俺は校門を出ようとしたところで校門で待っていた人影を見つけた。
「としあき…」
目の前にいるのは倉科さんの体のとしあきだった。
憂いを含んだ表情…いや、はっきり憂鬱な表情をたたえていた。
「きよひこ…なんだよな?」
念を押すようにとしあきが言った途端、遠くから遠雷のような音が聞こえたが、気にせずに話を続けた。
「なあ、今から俺の、今の俺の家に行くんだろ?」
「しかたないじゃないか。あんな写真撮られたんじゃ。」
「そう…だよな…今の俺、倉科さんなんだもんな」
それから倉科さんの体としての苦労について聞かされる
「このスカートって、ヒラヒラして恥ずかしいんだけど慣れるものなのか?」
「俺だって、まさかこんなもの履いて歩く日が来るなんて思わなかったし、まだ慣れてないよ」
お互いに、女の体の苦労について愚痴りあう。
そうすることで、今からのことを紛らわそうとしていたのだ。
そして、昨日一夜を過ごした家に着くと、俺ととしあきの体の双葉と倉科さんがいた。
「遅ーい」
不満そうに言う二人を見て、憂鬱な表情を深める二人だった。
部屋に着くと、双葉が言った
「二人とも、暗いじゃない。今日一日自分の体がしょんぼりしてるの見てもどかしくて仕方なかったわ。
そうね、罰として…二人で慰めあいなさい」
「え?」
驚く俺たちに追い打ちをかけるように続けた
「レズしちゃいなさいってことよ。ね?」
そういわれて期待満々の表情でうなずくとしあきの体の倉科さん。
どうやら俺たちを待ってる間そういう話になっていたようだ。
「いやなら…」
もう、拒否はできないようだ。
俺たちはお互いに服を脱いで全裸をさらしあった。
全裸で向き合う俺ととしあき。
お互いに自分に女性の胸と女性らしいくびれ、そして、何もない股間を見せあいながら、
それをお互い見まいと視線をそらしあう。
そして…
「さ、触るぞ」
そういって恐る恐る俺の胸に手をかけるとしあき
「あ…」
微妙な感覚に声を上げる
「あ、もどかしい!やっぱり予定変更、あたしさっさとやっちゃうから、双葉、後はお願い」
そういって倉科さんが服を脱ぐ。
そして、そのまま俺の体を引きはがして押し倒した。
それから昨夜の続きになった。
火曜日、学校に登校したとき、4人の心にはひとつの共通した思いがあった。
もう、元には戻れない。
これからはお互いの体として新しい人生を歩むのだ。
お互いの生活について話し合いながら校舎へ向かうとあの非常階段が無残に崩れていたのを見た。
月曜日の解体工事中に突然崩落したらしく、けが人は出なかったもののちょっとした騒ぎになったのだそうだ。
それを見ながら俺は決意を固めた
俺…いや、あたしは双葉なんだ…と
数年後
結婚式のチャペルの前に立っていたのは双葉ととしあきの姿だった。
正確には元きよひこの双葉と元倉科由佳里のとしあきだった。
傍目には学生時代からの恋愛関係だったけど、本当の恋愛関係はもう少し浅いものだったことは本人しか知らない。
いや、それを知っている人が二人だけいた。
結婚式に参加しているきよひこと倉科由佳里。正確には元双葉と元としあきだった。
彼らが入れ替わる前通りの付き合いを始めた結果元きよひこと元倉科由佳里との間の付き合いが始まったともいえるのだ。
この二人も近いうちの結婚が決まっていた。
中身は昔からの付き合いだったものの、としあきのもとの体の持ち主だった倉科さんと佐藤との関係がしばらく続いていたことから
しばらく交際が途絶えていたが、いつしか関係が自然消滅し、それから再び付き合うことになった。
そんな寄り道があったせいで、俺たちよりもゴールインは遅れたのだが、としあきが倉科由佳里として佐藤と寝たのかということだけは少しばかり興味はあった。
本当のところは話してくれなかったが・・・
式は滞りなく進み、祝福する元双葉のきよひことそれを受ける元きよひこの双葉。
いつかに夢で見た光景とのデジャブを感じながら元きよひこの双葉はチャペルの階段を降りてゆく。
それをチャペルの下で見ていた元双葉のとしあきは、半ば衝動的にかつても自分の体へ向かって駆け寄っていった…
「あん!あん!」
自分の下で喘ぎ声を上げる女性の声。
そして、その女性にペニスを差し入れながら駆け上がる快感に身を任せる男。
男はいつものようにどこか割り切れないものを心に残しながら、その夜の行為は終わった。
「今日もよかったよ」
今や自分の妻となった女性に声をかける。
妻…か…
「はぁ…」
聞こえないようにしたつもりのため息が漏れる。
「まだ気にしてるの?由佳里」
男の腕の中にいる女性はそれを聞きとがめたようにささやきかけた。
女性の名は双葉。
元はきよひことして男の人生を歩み、その前は双葉として女として生まれ育った女性だった。
あの結婚式の日、思わず飛び出したきよひこの体の双葉の前に階段を踏み外した双葉の体のきよひこが躍り込んだのだ。
その結果、双葉ときよひこは数年ぶりに元の体に戻ることができたのだ。
としあきと倉科由佳里を差し置いて。
しかも、お互いの結婚が確定した時点で。
4人にはもはや選択肢はなかった。
世間には双葉ととしあきの夫婦として通っている二人だが、生まれた時の名は双葉と倉科由佳里だったのだ。
かたや男として暮らしながら、かつての女友達と夫婦として暮らし、女友達を抱く毎日。
紆余曲折の果てとはいえ、すっきり割り切れるようになるにはまだ時間が必要なようだった。
「仕方ないじゃない。少しずつ慣れていきましょう。きよひこたちなんかはもっと苦労してるみたいだし」
視線を遠くへ飛ばす。
「はあ…」
きよひこは自分の腕の中で満足げな表情でいる妻を見てため息をこぼさないわけにはいかなかった。
学生時代に夢見たあこがれの倉科由佳里との結婚生活。
それが、実現したのは間違いない。
それ自体には不満はない。
しかし…まさかこんな形とは…
きよひこは、目の前にいる由佳里、生まれた時の名をとしあきという妻を見て深いため息をついた。
あの一日の代償としてならこのくらいやってもいいだろう。
としあきとのデートを双葉のふりをして過ごしたのだ。
もちろん双葉からの頼みである。
「こんなこと、言えないし今日のデート代わりに行ってきて。
お願いだからとしあき君におかしく思われるようなことだけはしないでね」
一週間たっても俺の前では女言葉が抜けない俺の体の双葉はそう頼んだけど、
俺にとっては気持ち悪いことこの上ない一日だった。
何しろ隣にいるのは俺からすればたわいもないエロ話をしていたとしあきだった。
その隣で女の子らしく振舞わなきゃいけないなんてどんな罰ゲームだよ。
おまけにとしあきの目線が俺の胸とか腰とかに絡み付いてるのが丸わかり。
双葉は疑われない程度の基礎知識を教えてくれた時に「まさかホテルとかはないと思うけど…」と言ってはいたけど
あの目線は本当に怖かった。
今のままホテルに連れ込まれたら双葉のふりを通す自信はなかったぞ。
まあ、そんなこともなく一日過ぎたのは何より。
それにしても双葉の奴、俺の頼みの方は聞いてるのか?
倉科さんのためにせっかく手に入れてきたコンサートのチケット。
それが今日あるのだ。だから双葉に代役を頼んでおいたけど…大丈夫だろうな?
倉科さんもうれしそうな顔してたし、あれは間違いなく脈ありだ。
もちろん、その後はデート。うまくいくかどうかはわからないけど、双葉なら女同士喜ばせるコツとかわかってるんじゃないか?
俺の方は心の中で気持ち悪がりながらでも男の喜びそうな演技をしていたからとしあきも結構喜んでいた。
うまくいったという自信はある。
だからこれくらいさせてもらってもいいだろう。
といっても自分の体だからどこからも拒否されることはない。
そろそろ股間も濡れてきた。この快感、クセになりそう。
「あ…」
つい漏れてしまう声も双葉の、女の子の声。
いつもより罪悪感が少し軽い分遊んでみようか。
「…きよひこ…来て…」
俺の名前を呼んでみる。
でも、出てくる声が双葉の声。
ちょっといいかも。
「いいよ…きよひこなら…」
指は乳首とクリトリスをいじくり続ける。
俺の意識は揺蕩う快感の中に浸り始めていた。
登り詰めるような快感のピークを過ぎてしまうと冷めるもの早かった。
あっという間に頭が冷静さを取り戻す。
これだけは慣れないなぁ。
後始末も大変だし…でも、明日になったらまたしたくなっちゃうんだよね。
なんで男の体ってこんななの?
先ほどまでの自慰行為の後始末をしながらきよひこの体の双葉は愚痴る。
思い出したくもない先週のあの日、階段から落ちてきよひこ君と入れ替わっちゃった。
そのあと、ドタバタの果てに元に戻るまでお互いがお互いを演じることになった。
その過程で男の生理現象も、その処理法も経験した。
なんでうら若い乙女のあたしが男のアレを握りしめなきゃいけないの?
と思いながらも切ない股間から湧き上がる性欲は抑えようもない。
結局昼間でもトイレと偽って時々学校でもアレをしごいて自慰をする有様。
もう、やだなぁ。
今日だってコンサートに由佳里と行ってた時にアレが大きくなっちゃったのはびっくりしちゃった。
あわててトイレに行ったけど…男っていつもあんなことしてるの?
普通のトイレや着替え、万事に面倒でないのはいいんだけど、これだけは慣れないなぁ。
え?由佳里とどうしたって?
もちろんコンサート終わったらそのままバイバイしたわよ。
だって知ってるもん。由佳里がサッカー部の佐藤君と付き合ってるの。
でも、執拗に迫られてしかたなくオーケーしたけど佐藤君に見られたらどうしようなんて悩み相談されたくらいだもの。
その当人が目の前にいるなんて夢にも思わずうれしそうな顔をしていたけど…裏を知ってるからあたしも素直に喜べない。
これ以上不毛に時間を過ごしたくないし、必要以上に見つかって佐藤君に見つかって修羅場なんて嫌すぎだもん。
それにしても、さっき試しにあたしの裸を思い出して自慰をしてみたけど、あれもなかなかね。
あたしの体があたしのアレに貫かれて悶えるさまなんか想像するだけで涎が出そう。
なんだかんだ言ってこの体になじんでるのかなあたし。
晴れた日。
チャペルの前で新婚の二人が立っている。
緊張した表情でタキシードを着ているとしあき。
そして、その隣で幸せそうな顔でウェディングドレスを着ている…あたし?
そんなはずはない。あたしはあたし。
じゃあ、あなたは誰なの?
駈け出そうとするあたしを呼び止める声が聞こえた
「ちょっと、どこへいくの?きよひこ」
その声は、確かに記憶のある誰かの声。
え?あたしがきよひこ?
そこで目が覚めた。
夢?じゃあ、あたしの体も?
ぼんやりする意識の中で身を起こし、自分の体を確認して…
やっぱり、きよひこの、男の体のままだ。
「はあ…」
ため息の声も本来のあたしよりずっと低い男の声。
自分が元の体に戻っていないことにがっかりしてしまう。
ここ数日間繰り返していることだった。
今まで十数年間女として生きてきたんだから、男のままなんていいはずがなかった。
そう思いながらもどうすることもできない今の体の現実にため息をつきながらトイレへ向かう。
昨日のコンサートのこと、そして由佳里のことをどうきよひこに伝えようか考えながら。
よく晴れた日だった。
自分を取り囲み、祝福してくれている人たち。
一点の曇りもない幸せな心境のまま俺は立っていた。
俺の体を包むのは純白のウェディングドレス。
え?なんで俺がウェディングドレスなんか着てるんだ?
そして、そんな俺に手を伸ばす男の姿。
え?あれは…俺?
そこで目が覚めた。
視界に広がる部屋は双葉の部屋だった。
身を起こすと、わざわざ見るまでもなくぷるんという感触があった。
俺の胸についているもの、おっぱいが伝える感触だった。
「はあ…」
自分の体を見ながら着くため息もかわいらしい。
それがかえって恥ずかしくなってしまう。
声を出してもなにをしても女性らしさをまとわりつかせてしまうのにはいつまでたっても慣れることができない。
いそいそとトイレに立つ。
女になってから我慢が効かなくなっていることを経験で知っていたので早めに立つ習慣がついていた。
じょろろろろ…
自分の股間からダイレクトに垂れ流される感覚と音。
先週までは知らなかった。知りたくなかった女の体の一面だった。
こんなこといつまで続くんだろう。
としあきとのデートはうまくこなした自信はあるけど、としあきが何かを期待している目線を送ってくるのが気になって仕方なかった。
俺も双葉への手前で愛想はふりまきながらも、嫌な予感は最後までつきまとった。
目がはっきりと言っていたのだ。「エッチさせろ」と。
冗談じゃない。せめて俺と双葉がお互いに元の体に戻ってからにしてくれ。
その後ならいくらでも応援してやるから。
このまま戻らなかったら、としあきと…
自分の想像に思いきり首を振る。
嫌だ嫌だ。なんとしても元に戻るぞ。
女の体なんか…
女の体も…悪くないかもしれない。
双葉になってからの一週間で女になってよかったといまだに思えるのが自慰と体育の時間の着替えだった。
周りは無防備に半裸を晒す女生徒ばかりで、自分も女の子。
男の意識が消えたわけではないきよひこにとって数少ない楽しみでもあった。
ブルマで太腿をさらしながら受ける体育の授業の恥ずかしさも、これで埋め合わせがつくほどだった。
本当ならじっくりと目に焼き付けたいけど、不審がられないようにちらちら見る程度にとどめなければならないのが難しいところ。
万が一にもおかしな挙動を見咎められたら…
「ねえ、双葉ちゃん?」
そう思っているときに後ろからかけられた声にドキッとした。
振り向くとそこにいたのは倉科さんだった。
ちょうどいい。双葉の体なのをいいことに昨日の首尾を聞き出せないか…とおもっていたら
先に倉科さんの方から口を開いてきた。
「実は…」
男の体でよかったことは「気楽」の一言に尽きる。
今の双葉の偽らざる本音だった。
男子トイレで立小便しているときの解放感はなんともいえないものだった。
用を済ませてトイレを出ると、あたしの体のきよひこと鉢合わせした。
「ちょっと…」
ただならぬ表情であたしを連れ出すその表情には有無を言わさぬ勢いがあった。
あたしを連れ出してきたのはきよひこと双葉が入れ替わった非常階段の前だった。
「…そっか。由佳里から直接聞いちゃったんだ」
本当は、できるだけオブラートにくるんできよひこに事の経緯を話そうと思っていたのだが、
それをする前に本人が由佳里に直接聞いてくるということは考えてなかったのだ。
「知っていたのか?」
「うん。でも、そんなこと本人の前で言えなかったから」
きよひこはうつむいたまま何かを考えていた。
そして、やおら立ち上がるとあたしの手を引いて非常階段に引き出した。
「え?ちょっと、何するの?」
「ここからもう一度飛び降りたら元に戻るかもしれない。」
「ええ?本気?」
目の前の非常階段は避難用ということで3階から地上まで一直線の階段で、ヘタに落ちたら命に係わりかねないものだった。
「俺は本気だ。もう、こんな体嫌なんだ。
女の体はとにかく気を使うし恥ずかしい
なにより倉科さんと一緒になるどころか、このままだととしあきに抱かれかねない。
こんな生活もう嫌なんだ。俺は自分の体に戻るぞ」
「ちょっと!やめてよ!」
女の体のきよひこ。本当なら男の体の双葉の方が体力では勝っているはずだが、思いつめた目のきよひこの勢いは止められなかった。
双葉の体のきよひこはきよひこの体の双葉を押し出すように非常階段から突き落とすとそれとともに自分も階段に躍り出た。
「いや!や、いやぁぁぁぁぁ!!!!!」
保健室から一人の女生徒が出てきた。
手足にあざが残る痛々しい姿だった。
「気をつけなさいよ。今度からあの非常階段立ち入り禁止にしとかないと。」
校医の先生にそう言われながら出てきた双葉の表情は沈んでいた。
結局非常階段から落ちても元に戻ることはなかった。
それどころかきよひこの体の双葉は転落の衝撃で片足を骨折し、近くの病院に担ぎ込まれてしまった。
元に戻れなかったショックと短慮で双葉にけがをさせてしまった自責の念に打ちひしがれながらとぼとぼと歩く。
結局双葉は翌日からしばらく学校を休むことになった。
双葉の分もノートを取りながら迎える休み時間。
双葉の体のきよひこの前にとしあきがやってきた。
「あのさ、次の日曜暇?」
そういいながらとしあきは目の前に映画のチケットを見せた。
その映画はヒロインが戦闘ヘリに追われながらナマコを投げつけるシーンが話題を呼んでいる人気ラブストーリー。
前売り完売でチケットが手に入らないという評判だった
「これ、ものすごい人気だろ?一緒に行かない?」
たしかにきよひこも一度は見てみたいと思っていた映画でもあった。
きよひこの体の双葉にけがをさせてしまった負い目もあって、ひとまずOKすることにした。
これで断ったらとしあきにも双葉にも悪いし、しかたないよな…でも…
きよひこの胸には言いようのない嫌な予感が広がっていた。
抱き合い、お互いを求める男女。
女は幸せの絶頂に登り詰めるような嬌声を上げる。
自分がメスであることを惜しげもなくふりまく声。
そして、絶え間なく打ちこまれる「男」を受け入れる淫靡な表情。
男女の営みはやがて絶頂を迎え…
きよひこ。いや、双葉の体のきよひこは画面に向かいため息をつく。
目の前で繰り広げられる男女の営みに対し、どうしても「女性」側に感情移入できなかったのだ。
たしかに今の体は双葉の体だ。
しかし、「男」として生まれ育った意識のまま、「女性として男に抱かれる」ことに抵抗がなくなることはなかった。
もしかしたら次のデートでとしあきに抱かれてしまうことになるかもしれない。
そこで、「予行演習」というわけではないが、しかるべき動画で「自分が女として男を受けいれる」心の準備をしようと思ったのだが、やはりどこかにそれを受け入れられない自分がいるのだった。
もう…元に、男に戻ることはないというのに…
「はあ…」
ため息をつきながらも見下ろす乳房や女性らしい体には反応してしまう「心」が恨めしかったが、それを捨て去るほどに自分が女である現実を受け入れることもできなかった。
自分が、この女体を抱く立場だったら…
目の前の乳房を揉みながら、「自分」がそこにいるつもりで「いいわ…きよひこ…」
そう言うことで、さも自分が双葉を抱いているような気分になる。
しかし、今味わっている快感は「きよひこをうけいれる双葉」のもの。
そういう不可思議な背徳感に迫られながら今日も自分の体を弄ることになるのだった。
自分にペニスがあれば。少し前まで自分にあたりまえのようについていたペニスがほしい…そう思いながら。
ギブスで固められた足はまだ自由な動きを許さなかったが、手は多少の擦り傷だけで支障なく動かすことができた。
はあ…ため息をつきながら今の状況を思い返す。
賢者モードというやつか、今の自分がひどく冷静なことに気付く双葉、正確にはきよひこの体の双葉だった。
もう、元に、女に戻ることはないのか…
妙にそれをさばさばした気分で受け入れていた双葉だった。
男の体に慣れてしまったというのもあるだろうが、やはり万事に気楽なことがしっくりしたのだろう。
ただ、一つだけ気がかりはあった。
処女のまま手放さざるを得なくなった「双葉」の体。
それを取り戻すことはできない。
だからこそ、その「はじめて」をだれがどうやって奪うのか。そこが気になって仕方ないのだった。
このままだったらとしあきかな…でも、きよひこがどんな顔してとしあきに抱かれるのかな…
それを想像すると妙に可笑しかった。
いっそ…あたしがもらっちゃおうかな?あたしの処女だし…
「・・・そんなわけで、今度の日曜にとしあきと映画を見に行くことになったんだ」
ここは双葉の家。
昨日の経緯を双葉に説明しながら男言葉を遠慮なくしゃべれるのにホッとする。
「え?本当?今度も代わりに行ってもらわないといけないけど、大丈夫なの?」
「短気起こしてこんなことになっちゃったからね。それに戻る方法も思いつかないし」
そういってギブスが痛々しい足を見る。
「でも…あいつの目がちょっと気になるんだよな。なんか下心が見えるというか…もし、キスとか、エッチとかしようなんていわれたら…」
それを聞くきよひこの体の双葉の頭に奇妙な考えが浮かんだ。
「不安なの?」
「当たり前じゃないか。前のデートだってとしあきの視線が気になって仕方なかったんだぞ」
前のデートの時のとしあきの顔が頭をよぎる。
「でも、あたしが思うに、今度こそはエッチしそうだなって気がするんだよね。本当は前のデートの時にそうなっちゃうかなって気はしてたくらいだから」
意地悪な笑みを浮かべる
「じょ、冗談はやめてくれよ」
本気で驚くきよひこ。ちょっとおもしろいかも。
「冗談じゃないよ。あたしだってとしあきとだったらいいかななんて話してたくらいだから。うん、間違いなく次は来るね」
確信的に言って脅かすと本当にびっくりした顔をする。
「脅かさないでくれよ。何とか次もごまかせないかと考えてたのに」
怯えるあたしの顔。こうしてみると我ながらかわいいな。
「脅しじゃないよ。あたしだって楽しみにしてたんだから。できるならあたしが代わってあげたいくらいだわ。でも、そんな調子で本当にエッチなんてことになって失敗されても困るわ。」
一呼吸おいてつづける
「それなら…さ。ここであたしと試しにやってみない?」
その一言に本当に驚いた顔をする
「ほ…本気か?自分としたいのか?」
後ずさるきよひこ
「本気よ。としあきとエッチするならともかく、初めてのエッチで失敗されるくらいならこの場で自分でやっちゃう。きよひこだって、としあきより自分の方が抵抗ないなんてこと、ない?」
あたしの顔が本気でおびえてる。今、あたしどんな顔してるだろう
「それに、あたしだったらそんなに痛くないかもよ。だってあたしの体だもん」
お、ちょっと考えた?
「ねえ、はっきりさせて。このままとしあきとエッチさせられるか、ここで自分の体で練習するか。どっちがいいの?」
うん、いい感じ。あたしの理性がそろそろもたないから、はっきりさせないと襲っちゃうよ。
しばらく考えたきよひこだったが、しばし考えたのちに首を縦に振った。やった!
「やっぱり…服も脱ぐのか?」
恥ずかしそうにしているきよひこ。しかし、その顔はどこか期待している顔でもある。
「そうよ。当然じゃない。ひさしぶりだわ。あたしの裸見るの」
言われるままに服を脱いでいくきよひこ。
ひさしぶりに見る自分の裸。
自分の体をこうしてみるのなんて初めてのせいか、見ているこっちがドキドキしてしまう。
「すっかり女の子の下着脱ぐのも慣れたんじゃない?」
そう聞くと真っ赤な顔になるきよひこがかわいかった。
清彦が太腿をよじらせて必死に股間を隠してショーツを脱ぐ。
露わになった何もない茂み。
何か懐かしいな…って濡れてない?
ははあ、これを見られるのが恥ずかしかったんだな。
濡れてるなら後のことは楽そうね。
「こ…これでいいか?」
全裸になったきよひこ
きよひこは露わになった自分の裸から目をそらすように横を向いている。
さて、これからどうしようか…
なんでこんなことになってるんだろう。
としあき相手に女として最後までできる自信はない。
だからといって、まさか自分とするなんて…
そりゃ、何の準備もなくとしあきに襲われるよりはマシかもしれないし、相手が双葉だったら自分の体だから遠慮してくれるかもしれない。
何かあっても止めてくれるだろう。たぶん。
それよりなにより女のセックスに興味がないわけではなかったのだ。
そんなわけで、今自分が見ている前で服を脱いでいた。
しかし、他人、しかも自分の顔が目の前にありながら服を脱ぐのは…ねぇ。
冷静な自分の顔と、視界に入る女の体。
目に飛び込むたびに自分が女だと認識させられる恥ずかしさがますます増幅される。
って、股間がなにかじゅんとしてる?
なんでこんな状況で感じてるんだこの体は?
濡れてることを気づかれないように股間を隠してパンティを脱ぐ。
気付かれたかな?
一糸まとわぬ姿になった俺。
自分の体を直視できないまま視線をそらす。
しばしの沈黙ののち、双葉は言った
「キスからしてみる?」
ちょ、ちょっとまて?いきなりキス?
うろたえているうちに俺の顔が目の前に来る。
間髪入れずに口の中に舌が入り込んでくる。
「も…もご…」
口の中を他人の舌が動き回る。
目の前の顔はもう、近すぎてまともに見えない。
口の中を力強く蹂躙する大きな舌とざらりとした唇。
顔がまともに見えないせいか、思ったほどの嫌悪感はなかった。
案ずるより産むがやすしというやつか?
そう思いながら双葉に身を委ねていった。
双葉はそのまま俺の胸に手をかける。
女になってからなんども自分で慰めてきた乳房が他人の手で揉みしだかれる。
自分でするのと全く違う感覚。
包まれるような快感があふれた。
体全体がぼわっと上気するような感覚。
男のころなら股間が熱くなるような感覚を覚えたかもしれないが、その代わりに体の芯が切なく熱くなるのがわかる。
入れ替わってから何度も自分でしてきたときとはまた違う快感。
双葉にとって自分の体だからというだけでは説明ができない切なさが心を満たした。
自分が男に抱かれている嫌悪感は意外と少なかった。
相手が俺の体だからか中身が双葉だからか…
もう、そんなことはどうでもよかった。
女の体の持つ快感をもっと味わいたくなっていた。
双葉の指はいつしか股間に滑り込む。
じゅん…と女の部分が自然に男の指を受け入れているのがわかる。
「もう準備はいいようね」
双葉はそう言って俺をベッドに横たえる。
いよいよ入ってくるんだ。そう思いながら俺は太腿を大きく広げて男を受け入れるポーズをとる。
まさか、俺がこんなことをする羽目になるなんて…
俺の体の双葉はいそいそとズボンとパンツを脱ぎ捨てていた。そこに目に飛び込むペニス
ゴクリ…
唾をのむ。
俺のってこんなに大きかったのか?
女の目線からか、散々見慣れた自分のモノが、今まで見たことがないくらい凶暴に見えた。
我慢…できるかな?
快感を吹き飛ばすほどの不安感が胸をよぎる。
双葉が不器用にそのペニスにゴムをつける。
俺、今から抱かれるんだ。女として。
ドキドキが止まらない。
好奇心と不思議な倒錯感が胸を満たす。
双葉がギブスの足を不自由そうに引きずりながら俺の中の間に割って入る。
股間の、女の入り口に何かが当たる感触がした。
ちょっと前までは俺のだったペニスだ。
今から、これが俺の中に入るんだ。
一呼吸して目を閉じる。
痛いのかな?やっぱりはじめてだし…
不安感が支配する中、そう思った瞬間
「痛!」
わずかにペニスが入り込んだだけで伝わる痛み。
傷口を大きく広げられるような痛みが走った。
反射的に腰を上げようとしたら、いつの間にか腰に回っていた双葉の手がそれをさせなかった。
そのまま双葉によって俺の腰はペニスを飲み込んで沈んでいった
「あああ!痛い痛い痛い!やめてくれ!双葉!」
必死に首を振り回しながら哀願するが、双葉の手は止まらなかった。
股間から伝わる体を引き裂かれるような痛み。
俺は涙を流しながら痛みに耐えていた。
全然気持ちよくない。痛いだけだ。
しかし、双葉はそれにかまわず俺の腰を突き上げる。
傷をさらに押し広げられるように痛みが増幅する。
「痛い!痛い痛い痛い!やめてくれ!抜いてくれ!」
俺はなりふり構わず懇願する。
「ごめん。それ無理…こんなに気持ちいいなんて…あふぅ」
恍惚の表情を浮かべる双葉の顔がぼやけて見えた。
自分の顔なのにその顔がとてつもなく恐ろしく見えた。
痛みのあまりに視界が歪み、涙がボロボロこぼれる。
なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだ?
「ぐ…うぐ…」
痛みをこらえて必死にシーツをつかむ。
「ああ、気持ちいいよう…」
双葉の声がどこか遠くから聞こえる。
そして
「あ…」
という声とともに、ひときわ強く腰を打ちつけられたかと思うと、動きが止まった。
見上げると双葉が俺の顔で妙に満ち足りた表情をしていた。
まさか…これって?
「ごめん、こんなに気持ち良いなんて思わなくて」
ようやく、終わった…妙な安堵感と股間にうずく痛みが俺の心を支配していた。
自分の裸を見て興奮しているのが自分でもわかる。
今の自分の体がきよひこの体だから?
もう、股間が爆発寸前になっている。
恥ずかしそうにパンティを脱ぐきよひこ。
あ、あんなパンティ見たことないぞ。さては新しく買ったな…と思ったら?
そそくさと体を隠したけど、みえちゃったぞ。女の子のおつゆ。
もう、我慢できない
「キスからしてみる?」
そういうや否やきよひこに抱きついて舌を割り込ませる。
嫌なんて言わせるつもりなんか最初からなかった。
きよひこも最初は抵抗していたけど、次第におとなしくなってきた。
あたしの体が手中にある。
ひさしぶりに見るあたしのおっぱい。
それが目の前にある。
自分の体の感触を確かめるようにあたしはおっぱいに手をかけた。
やわらかい。女の子の体ってこんなにやわらかかったんだ。
夢中になるまま乳房を揉む。
ひさしぶりの女の子の体の感触に夢中になっていた。
股間はもう必死に自己主張を始めている。
こっちはどうかな?
あたしは股間に指を滑らせた。
やっぱり濡れてた。
ああ、もう!我慢なんかできない!
「もう準備はいいようね」
そういってきよひこをベッドに横たえる。
男になってから思うけど、男の力ってやっぱりすごい。
きよひこが自分から体を開いてくる。
不安ながらもどこか期待している顔。
すぐにでも挿入したかったけど焦る気持ちがはやってなかなかうまくズボンが脱げない。
おまけに足にギブスなんかしてるからベッドに乗るのも大変。
なんとかパンツまで脱いで、今度はゴムを…え?いつ買ったのかって?
そりゃ、なんとかいいくるめてあたしを抱く決心をつけた時から。
いくらなんでも自分の体をいきなり妊娠なんてさせたくないもの。
って説明はもういいでしょ。さあ、挿れるわ…
あたしは膝立ちのままきよひこの股間に割り込んでいく。
えいっ
ずぶぶぶ…
思ったよりキツイ…もうちょっと素直に入らないの?あたしの体
えい、もっと入れちゃえ
なんとかカメさんが入ったかな。
きよひこの膣内の暖かさが伝わってきた。
ああ、こんなに気持ちいいなんて。
もっと入れたいな…
「あああ!痛い痛い痛い!やめてくれ!双葉!」
必死で暴れるきよひこ
涙を流してどう見ても痛そう。
でも、今更抜いちゃうと二度目はなさそうだし、一気に行っちゃったほうが痛くないかもね
勝手に結論付けて一気に腰を押し込む。
ああ…何、この気持ちよさ。
あたしのおちんちんをきっちり締め付けるけど、ぬるぬるした感触がおちんちんを包み込む。
腰をそのまま引いて、改めて突き入れる。
「ああ、気持ちいいよう…」
つい声が漏れる。
でも、もっともっと気持ちよくなりたい
あたしの下で暴れるきよひこを押さえつけながらあたしは登り詰める快感を確かに感じていた。
そして…
ビクビクっとおちんちんからあの感触が伝わる。
もう、出ちゃうんだ。
最後にえいっ!
大きく腰を突き入れて、そのままあたしは男の欲望を吐き出した。
あたし…男としてやっちゃったんだ…
急速に冷めていく意識。
「ごめん、こんなに気持ち良いなんて思わなくて」
照れ隠しのように言った。
そのあと、身づくろいを終えるときよひこはそそくさと帰っていった。
もう一回ぐらいさせてくれないかなと思ったけど、そうはいかないようだ。
ああ、でも気持ちよかったな。
痛む股間を必死にかばいながら家路に就く。
今日の行為の痛みがまだ続いている。
まだ双葉の股間が入っているようだ。
あんな思いをするとは思わなかった。
解放感の赴くまま急いで帰ったけど、ものほしそうな双葉を見るにそれが正解だったろう。
あのままヘタにいたら「もう一回」とか言われそうだ。
しかし、俺はもう二度とこんなことはしたくない。
今度のデートだってもし迫られたら後先考えず拒否してやる。
それでどうなろうが知ったことか。
そうだ、今度のデート自体すっぽかすのがよい。そうしよう。
そう思ってとしあきからもらったチケットを取り出し、破り捨てるべく掲げあげた。
金曜日の校内、としあきはチケットをみながら浮かれ気分で「立入禁止」の標識が立つ非常階段の入り口にいた。
いよいよ今週末に双葉とこの映画を見る日が来るのだ。
としあきは日曜日のデートの行動を考えながら浮かれ気分で歩いていた。
だから、今目の前で非常階段の工事の人が道具を持って歩いていることへの注意がおろそかになっていた。
大きな道具を持って走っていく作業服の男の肩が当たったのはその時だった。
バランスを崩したとしあきは標識を倒して身を非常階段へ躍らせた。
きよひこの体の双葉が松葉杖をつきながら久しぶりに登校する。病院に行ってからの登校だったので遅れての登校だった。
丁度休み時間だったらしく何人かの生徒があちこちを歩いているのが見える。
校舎に目をやると双葉ときよひこが入れ替わり、今の双葉が骨折する原因となった非常階段が工事のシートでおおわれようとしているのが見えた。
そういえば、きよひこ、あれから来なくなっちゃったな。
やっぱりちょっと強引過ぎたかな。かなり痛がってたし。
でも、気持ちよかったなぁ。男の子がやりたがるのもわかる気がする。
そう考えるともう一回やってみたくなってくる。
でも、この体だとまだ彼女とかいないからなぁ…どうにかならないものか…
そう考えながら、その下を歩いていると、茂みの向こうで何やら会話が聞こえる。
その内容にどこか覚えがあるものを感じる。
そして、会話が終わり、茂みから姿を出した人影に話しかけた
「ねえ、どうしたの?由佳里」
日曜日
「面白かったね」
「ええ、そうね」
としあきと並んで歩く俺。
結局掲げあげたチケットに書いていたタイトルをみて再度思い直した
なかなかチケットのとれない映画。
見るだけなら悪くないかもしれないなと思い直し、こうして双葉のふりをしての二度目のデートとなったのだ。
さて、映画館を出て左側にホテル街、右側が駅だ。
もちろん向かうのは右側だ。としあきが何と言おうとも。
最悪グーで殴ってでも…と心の準備をしながら映画館を出る。
としあきが向かったのは右側だった。
よかった。最悪の事態は免れた。
としあきの家はこの映画館の近く。駅でバイバイすれば今日のところは大丈夫だ。
と、思いながら駅に着くと、としあきは思わぬ行動に出た。
「ちょっと面白いものをみせたいんだけど、もうちょっとつきあってくれるかな?」
そういいながら切符を買い、改札に入る。
その切符は今の俺である双葉の家の最寄駅でも俺の家の最寄駅でもなかった。
不思議な感覚に襲われながら電車に乗る。
その駅を降り、住宅街を歩く。
そして、当たり前のように入っていく家の表札には「倉科」とあった
「え?いいの?この家って」
驚く俺にとしあきは笑いかけて「いいのいいの、入って入って」と声をかける。
恐る恐る入り込み、2階へ案内される。
そして、示された部屋に入ると、そこにあった光景に俺は立ち尽くした。
「おかえり、遅かったね。由佳里ちゃん」
そういって笑いかける俺の体の双葉と、ベッドに全裸で縛られる倉科さん。
倉科さんの口には猿轡がかまされていて、必死に何かを言おうとしている。
「こ…これは???」
驚きのあまりようやくその言葉だけを言う俺を素早くとしあきは羽交い絞めにする。
としあきがそのまま俺を床に押さえつけ、すばやく双葉が紐で縛り付ける。
瞬く間に床に転がされた。
「と、としあき?いったいなぜ?なんで倉科さんをあんな風に?」
それだけをやっと言うと、としあきはこらえきれなくなったように笑い出した
「ぷ…あはははは!!!やっぱり素が出ちゃうものね?「倉科さん」だって!!!」
何が何だかわからない俺に向かって双葉が続けた
「倉科さんはないよね?由佳里」
「由佳里?何を言ってるんだ?双葉?」
混乱が止まらない。
「ねえ、パニックで忘れてるかもしれないけど、今のあたしは双葉じゃないわよ」
「こうしてみるまで半信半疑だったけどまさか本当にきよひこだったなんて。ねえ、きよひこ。今どんな気分?」
としあきの口調がおかしいことにようやく気付いた。
「としあき…じゃない?」
絞り出すように声を出す俺にとしあきは決定的なことを言った。
「あたしが倉科さん。倉科由佳里。で、そこにあたしの体でころがってるのが本物のとしあきよ」
笑いながら話す。
「どういうことか教えてあげようか?」
双葉が言う
「ああ、教えてくれ。いい加減頭がどうにかなりそうだ」
「金曜日にあたしが遅れて学校に行ったらこの二人がなにやら茂みの向こうで話しこんでたの。よく聞いたら由佳里の声なのに一人称は「俺」、としあきの声なのに一人称は「あたし」。どこかで聞いたことない?」
そこで頭の中に符合するものがあった。
「まさか…」
後を引き取ってとしあきが言う
「そう、あたしが非常階段の下を歩いていたら頭の上から転がり落ちるとしあき君が降ってきたの。そして、もみ合って気が付いたらこんな状態。もうパニックになって茂みに隠れてお互いの状況を確認したの」
「どうやら非常階段からとしあきが足を滑らせて落っこちたみたいね。で、それを聞きとがめたあたしが話の終わった由佳里に話しかけたの」
「あの時は驚いたわ。まさかこんな早く気づかれるなんて。すぐ後に事情聞いて納得したけど」
「で、今後のこととかおたがいの身の上とかしばらく話し込んで、その中でお互いに男の人のエッチについて盛り上がったの。じゃあ、試してみよっかということでこの計画を立てたわけ」
到底想像外のことをかわるがわるに話す。
「まさか…これから…」
「ご名答。デートの前にあたしの体のとしあきと今日のデートについて打ち合わせをするという口実でここにきて、こっそりついてきた双葉と2対1で縛り上げてここで待っててもらったってわけ」
「さあ、これから思いきり楽しみましょ。由佳里」
「ところで、どっちから先にする?あたしは自分の体の具合とか興味あるんだけど。あたしは処女じゃないから痛くはさせないから期待しててね、としあき」
「え?あたしも由佳里の体興味あったのに」
「あたしがした後は好きにしていいから後にしてよ。あたしの体なんだから」
「じゃ、由佳里も後はあたしの体で楽しんでて」
服を脱ぎながら本人たちをよそに盛り上がる話の内容に顔を見合わせながら震え上がる俺と倉科さんの体のとしあき。
「じゃ、いただきます」
としあきの体が倉科さんの股間に割り込む。
必死に首を振りながら抵抗するとしあき。
身動き取れない中で無理やり男のモノが迫りくる恐怖が今の俺には痛いほどよくわかった。
「む、むぐぐぐ…」
としあきの体の倉科さんが自分の体の乳房や股間をまさぐっては倉科さんの体のとしあきが首を振りながら悶える。
初めて経験する女の体の快感に男の心が翻弄されている。
しかし、その顔には羞恥と悦楽がうかんでいて、倉科さんの顔で見せるその表情は俺の心に複雑な影を落としていた。
「じゃ、あたしたちもしよっか」
その声がする方へ向くと、すでにペニスを屹立させた俺の体だった。
数日前の恐怖がよみがえり、必死で身をよじらせる。
「嫌ねぇ。もう、処女じゃないんでしょ?きよひこはもう大人の女性なの」
言い聞かせるようにいう双葉が俺の股間をじっと凝視する
「ほら?こことか、こことか」
そういいながら俺の乳房をじっくり揉みつつクリトリスを指で刺激する。
「あ…ん…」
声が出そうになったところに視界の隅で倉科さんととしあきの姿が見える。
この二人の前で女として悶える声は出したくない。その意識が必死に声を抑えていた。
「我慢してる?でも、無駄よ。あたしの体だもん」
そういいながら双葉は俺の体をより強く責め立てる。
より強くなる刺激。それでも…女としての痴態を見せたくはなかった。
目をつぶりながら、声だけは出さないようにする。
しかし、股間からあふれるような愛液が流れるのはどうすることもできなかった。
それを見咎めた双葉が両手と舌を使って女の部分を刺激し始めた。
嫌だ…でも…心の壁が徐々に崩れていくのが自分でも見え始めた。
「いつまで我慢してるの?ほら、あっち見てよ」
そういわれて改めて隣を見ると、すでに呆けた表情のまま視線が宙を舞う倉科さんを相手にとしあきの体の倉科さんが自分の体を犯そうとしていた。
「む…ご…あふ…ぅ…」
猿轡のため声が出せないが、すでに表情はとろけきっていて、女の快楽に飲まれているのは明らかだった。
「いふぁは…」
小さな声でかろうじて「嫌だ」と言おうとしていても、体がもういうことを聞かない状態だったのだ。
としあきの体の倉科さんは自分が女だったことを忘れそうなほど下品な笑みで自分の体を犯していた。
「すごいわ。男のおちんちんってこんな感じなんだ。」
倉科さんは自分の体にペニスを突き立てる
「ああ…あ…」
呆然としたままの喘ぎ声が漏れる。
自分に犯されることを許容したとしあき。
その現実が俺の心に大きなショックを生んだ。
こわばっていた体から力が抜けたことを見た双葉が一気に俺の股間に肉棒を差し入れてきた
「あぁ…」
押し出されるように空気が漏れる。
初めての時よりははるかに小さいが、それでも残る引き裂かれる感覚。
そして、それを覆い尽くすように股間に熱い何かが入ってくる感覚がわかった。
これが…女の子のセックスの感覚?
自分の体の中に他人の一部が入ってくる感覚が今度ははっきりわかった。
それとともに、名状しがたい電気が走るような感覚が伝わる。
双葉の肉棒が、完全に俺の中に入った。
「動かすよ?」
そういうと、途端にタガが外れたように俺の中でペニスをピストン運動させる。
「あ…あふん…ふぅ」
思わず漏れる声をもう止めることができない。
「あん!あん!あん!」
急激に増す快感。そして、目の前で自分を突き立てる自分の姿。
自分に犯されるという倒錯した状況が最初の時はなかった快感を加速度的に増していった。
隣をみると、倉科さんの体のとしあきも喘ぎ声を立てられながら自分の体に突き上げられていた。
そして…ふたたび、あの感覚がよみがえった。
痙攣するように俺の中の肉棒が動いたと思うと、突き立てる腰の動きが一気に強まった。
それとともに俺の体も今まで経験したことがないほどの高みに押し上げられていく。
意識がどこか遠くへ消えていき、真っ白になっていく。
もはや喘ぎ声をあげているかどうかすら知覚できなくなっていた。
「ああぁん!…あ…」
ひときわ強く突き立てられた後、双葉の顔を見ると、悦楽にゆがんだ表情をしていた。
双葉は俺の股間からペニスを抜くと、ゴムを外して、俺の口元に持ってきた
「今度は口でしてくれない?」
すでにとろけきった俺の心はそれに対してまったく抵抗しなかった。
気がついたら精液と愛液でべとべとのかつての自分のペニスを頬張っていた。
半ば意識が飛んだまま俺は口の中のペニスに唇と舌で奉仕する。
全身にしみついている女の子の快感が口を動かしていた。
「もう、今のきよひこ、すごくかわいい。もう、すっかり女の子ね」
そういわれて、安心する自分がいた。
そうだ。自分は女なんだ。
そう言い聞かせるようにかつての自分の肉棒をしゃぶっていく。
隣では、倉科さんととしあきがフィニッシュを迎えていた。
もはや隠しようもない喘ぎ声を立てるとしあきに最後の突き上げをする倉科さんの姿が見えた。
それを見たところで、双葉は俺の口から再び屹立したペニスを引きはがした。
「じゃ、後は由佳里に任せるわ。」
そういうと双葉はぐったりするとしあきのもとへ近づいていき、猿轡を外した。
「ふ…双葉…なのか?」
目の前の男に対して、としあきはか弱い声でそれだけを言う
「そうよ。あたしは双葉。男女逆になったけど、ずっとこうなりたかった。だから、としあきもあたしを受け止めて」
そういって青ざめるとしあきに双葉は体を滑り込ませる
倉科さんの体のとしあきは、視線を宙に浮かせながら呆然と運命を受け入れる表情になっていた。
半ば現実感を喪失し、「せめて、痛くないまま男の双葉を受け入れよう」そういう気持ちが浮かんでいた。
やがて、双葉がとしあきを犯す。
「あああっ!!」
としあきは女らしくかわいい嬌声を上げながら男に貫かれていった
そして、入れ替わりにとしあきの体がこっちにやってきた
「へぇ…あのきよひこがこうなっちゃったのか。自分の体もよかったけど、こうして双葉の体を犯すのもいいかもね。
しかも、中身はきよひこなんだから、思いっきりできそう」
としあきの体は先ほど一回絶頂に達したとは思えないほどに屹立していた。
「あなた、あたしとこうなりたかったんでしょ?」
(そうか。今、俺は倉科さんとエッチしようとしてるんだ)
ぼんやりとした思考が俺を混乱させている。
「さっそくだけど、コレ、元気にさせてくれない?さっきの双葉みたいに」
そういってとしあきのものだったペニスを突き出す倉科さん。
俺は何も違和感を覚えることなくそのペニスに口をつけていった。
そのペニスはとしあきのものだった。
しかし、それを突き出してるのは倉科さん。
そう思うと、違和感は何もなかった。
ただただ目の前のペニスを頬張り、奉仕していた。
「きゃははは。見て。あのきよひこがあたしのアレを舐めてるの。
こんなに男が気持ちいいなんて。思わなかったわ。
このまま出しちゃいたいけど、それももったいないし、せっかくだから双葉の体に出したいよね…
そうね、あたしにお尻を突き出してくれる?」
そういって俺の縄を解いた。
一方的に虐げられるのに屈辱感を覚えるが、それを上回る被虐的な快感が俺の体を動かして、四つん這いに尻を突き上げた。
「いいわね、この眺め。双葉、あなたのもらっていいよね?」
それを聞く双葉はひたすらとしあきを突き上げていた。
としあきは絶望に惚けた表情のまま双葉に貫かれるままになっていた。
俺の股間に倉科さんの熱いペニスが入ってくる。
もう、肉棒を咥える嫌悪感はなかった。それどころか自分の体で倉科さんを感じられることに幸福感すら感じていた。
そこからはもうとろけたままの自我の赴くまま女としての自分に流されるままになっていた。
女の子らしい喘ぎ声にも何の抵抗もなくなっていた。
そして、その果てに体の中に熱い何かがぶちまけられる感覚が迸った。
ああ…俺の中に倉科さんが入ってくる…
何も考えられないまま恍惚とした表情で熱い精液を受け止めていた。
二度目であるにもかかわらず十分な量の精液は膣内から股間に溢れ出した。
「あ…あ…」
二度目の絶頂に酸素を求めてパクパク口をあけながら俺は前に倒れこんだ。
うっすらと映る視界の端に、恍惚の表情のまま視線が宙を泳ぐ倉科さんの体のとしあきがいた。
そして…真っ白になった意識の中で、小さな音と声が聞こえる
パシャ パシャ
「ねえ、これでいい?」
「いいわ。あたしたちに犯されてだらしなく精液垂れ流してるきよひこととしあき。あたしも撮ろっと」
「じゃ、あたしシャワー浴びるわ。男の体ってやった後はすごく冷静になっちゃうのね。」
「あたしも後で入るわ。あたしのおちんちんも出しすぎて痛くなっちゃったの」
「あたしもそう。でも、男もいいわよね」
そんな会話を聞きながら何をする気力もなく意識は再び真っ白な世界に戻っていった。
翌日
俺たちは倉科さんの家で目が覚めた。
朝に俺ととしあきはシャワーを浴びた。
としあきが自分の体を恥ずかしそうに見ながらシャワーを浴びた後、俺が入れ替わって浴室に行く。
そこには、目を泣きはらした倉科さんの体のとしあきがいた。
無言で立ち去るとしあき。
そして、シャワーを浴びた時、としあきの涙の理由がわかった。
股間からどろりとこぼれる精液。
それは、俺が女として男に抱かれた証だった。
今はそういう体なんだ、しかたないんだ。そう思おうとしてもボロボロ涙がこぼれてしまった。
倉科さんが言うには両親は旅行中であり、火曜日までは帰ってこないのだという。
ひとまず4人ともに朝食を済ませた後お互いの家に戻り、学校へ行った。
「学校終わったらすぐここにまた集合ね。来ないと、この写真バラ撒いちゃうから」
そういって二人が見せた写メを見た俺ととしあきは青ざめた。
そこには、真っ白な意識で聞いた光景が夢ではなかったことを裏付けるものだった。
それは全裸のまま股間から精液を垂れ流したまま意識を手放していた俺ととしあきの画像だった。
授業が終わり、掃除当番で遅くなった俺は校門を出ようとしたところで校門で待っていた人影を見つけた。
「としあき…」
目の前にいるのは倉科さんの体のとしあきだった。
憂いを含んだ表情…いや、はっきり憂鬱な表情をたたえていた。
「きよひこ…なんだよな?」
念を押すようにとしあきが言った途端、遠くから遠雷のような音が聞こえたが、気にせずに話を続けた。
「なあ、今から俺の、今の俺の家に行くんだろ?」
「しかたないじゃないか。あんな写真撮られたんじゃ。」
「そう…だよな…今の俺、倉科さんなんだもんな」
それから倉科さんの体としての苦労について聞かされる
「このスカートって、ヒラヒラして恥ずかしいんだけど慣れるものなのか?」
「俺だって、まさかこんなもの履いて歩く日が来るなんて思わなかったし、まだ慣れてないよ」
お互いに、女の体の苦労について愚痴りあう。
そうすることで、今からのことを紛らわそうとしていたのだ。
そして、昨日一夜を過ごした家に着くと、俺ととしあきの体の双葉と倉科さんがいた。
「遅ーい」
不満そうに言う二人を見て、憂鬱な表情を深める二人だった。
部屋に着くと、双葉が言った
「二人とも、暗いじゃない。今日一日自分の体がしょんぼりしてるの見てもどかしくて仕方なかったわ。
そうね、罰として…二人で慰めあいなさい」
「え?」
驚く俺たちに追い打ちをかけるように続けた
「レズしちゃいなさいってことよ。ね?」
そういわれて期待満々の表情でうなずくとしあきの体の倉科さん。
どうやら俺たちを待ってる間そういう話になっていたようだ。
「いやなら…」
もう、拒否はできないようだ。
俺たちはお互いに服を脱いで全裸をさらしあった。
全裸で向き合う俺ととしあき。
お互いに自分に女性の胸と女性らしいくびれ、そして、何もない股間を見せあいながら、
それをお互い見まいと視線をそらしあう。
そして…
「さ、触るぞ」
そういって恐る恐る俺の胸に手をかけるとしあき
「あ…」
微妙な感覚に声を上げる
「あ、もどかしい!やっぱり予定変更、あたしさっさとやっちゃうから、双葉、後はお願い」
そういって倉科さんが服を脱ぐ。
そして、そのまま俺の体を引きはがして押し倒した。
それから昨夜の続きになった。
火曜日、学校に登校したとき、4人の心にはひとつの共通した思いがあった。
もう、元には戻れない。
これからはお互いの体として新しい人生を歩むのだ。
お互いの生活について話し合いながら校舎へ向かうとあの非常階段が無残に崩れていたのを見た。
月曜日の解体工事中に突然崩落したらしく、けが人は出なかったもののちょっとした騒ぎになったのだそうだ。
それを見ながら俺は決意を固めた
俺…いや、あたしは双葉なんだ…と
数年後
結婚式のチャペルの前に立っていたのは双葉ととしあきの姿だった。
正確には元きよひこの双葉と元倉科由佳里のとしあきだった。
傍目には学生時代からの恋愛関係だったけど、本当の恋愛関係はもう少し浅いものだったことは本人しか知らない。
いや、それを知っている人が二人だけいた。
結婚式に参加しているきよひこと倉科由佳里。正確には元双葉と元としあきだった。
彼らが入れ替わる前通りの付き合いを始めた結果元きよひこと元倉科由佳里との間の付き合いが始まったともいえるのだ。
この二人も近いうちの結婚が決まっていた。
中身は昔からの付き合いだったものの、としあきのもとの体の持ち主だった倉科さんと佐藤との関係がしばらく続いていたことから
しばらく交際が途絶えていたが、いつしか関係が自然消滅し、それから再び付き合うことになった。
そんな寄り道があったせいで、俺たちよりもゴールインは遅れたのだが、としあきが倉科由佳里として佐藤と寝たのかということだけは少しばかり興味はあった。
本当のところは話してくれなかったが・・・
式は滞りなく進み、祝福する元双葉のきよひことそれを受ける元きよひこの双葉。
いつかに夢で見た光景とのデジャブを感じながら元きよひこの双葉はチャペルの階段を降りてゆく。
それをチャペルの下で見ていた元双葉のとしあきは、半ば衝動的にかつても自分の体へ向かって駆け寄っていった…
「あん!あん!」
自分の下で喘ぎ声を上げる女性の声。
そして、その女性にペニスを差し入れながら駆け上がる快感に身を任せる男。
男はいつものようにどこか割り切れないものを心に残しながら、その夜の行為は終わった。
「今日もよかったよ」
今や自分の妻となった女性に声をかける。
妻…か…
「はぁ…」
聞こえないようにしたつもりのため息が漏れる。
「まだ気にしてるの?由佳里」
男の腕の中にいる女性はそれを聞きとがめたようにささやきかけた。
女性の名は双葉。
元はきよひことして男の人生を歩み、その前は双葉として女として生まれ育った女性だった。
あの結婚式の日、思わず飛び出したきよひこの体の双葉の前に階段を踏み外した双葉の体のきよひこが躍り込んだのだ。
その結果、双葉ときよひこは数年ぶりに元の体に戻ることができたのだ。
としあきと倉科由佳里を差し置いて。
しかも、お互いの結婚が確定した時点で。
4人にはもはや選択肢はなかった。
世間には双葉ととしあきの夫婦として通っている二人だが、生まれた時の名は双葉と倉科由佳里だったのだ。
かたや男として暮らしながら、かつての女友達と夫婦として暮らし、女友達を抱く毎日。
紆余曲折の果てとはいえ、すっきり割り切れるようになるにはまだ時間が必要なようだった。
「仕方ないじゃない。少しずつ慣れていきましょう。きよひこたちなんかはもっと苦労してるみたいだし」
視線を遠くへ飛ばす。
「はあ…」
きよひこは自分の腕の中で満足げな表情でいる妻を見てため息をこぼさないわけにはいかなかった。
学生時代に夢見たあこがれの倉科由佳里との結婚生活。
それが、実現したのは間違いない。
それ自体には不満はない。
しかし…まさかこんな形とは…
きよひこは、目の前にいる由佳里、生まれた時の名をとしあきという妻を見て深いため息をついた。
中身が男同士、女同士のカップルになって、コメディっぽいオチなのかもしれませんがw
でもまあ、両方のラストが読めてよかったです。
○○視点
って入れてくれないと、何がなんだか