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元弟の夢

2012/03/09 16:22:27
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「お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」



<弟の夢>

物心がついたときには両親はもう既に亡く、僕の家族はお兄ちゃんだけだった。年齢が12も離れている事もあって兄弟という感覚よりも親子って感じがするのかも知れない。
僕にとってお兄ちゃんは理想的な人で自慢の人だ。奥手で虐められっ子体質な僕に何かがあると単身で学校や相手の家まで殴りこみに行くし
女の子っぽいところのある僕とは、本当に血が繋がっているのかな?と思うくらいに男らしくて頼れる人だった。
それに仕事が忙しくとも運動会や学芸会の時はちゃんと来てくれるし、中学の卒業式だってそうだった。
とにかく自慢のお兄ちゃんで、僕にとって何よりも愛すべき存在だ。
高校生にもなって、呼び方が『兄』とか『兄貴』じゃなくって『お兄ちゃん』な所からも僕がどれだけお兄ちゃんを愛しているかが分かるはず。

愛しているとは言っても、別に結婚したいとか抱かれたいとかそういうわけじゃない。・・・4歳くらいまではお兄ちゃんのお嫁さんになりたいとか思っていたけど。
それでも、多少女の子っぽいとは言え僕は普通の男の子だ。男同士でS○×とかは考えられない。それに好きになるのが一応は女の子の方かな。

それでも、彼女とお兄ちゃんのどっちを選ぶかと言えば迷う余地もなくお兄ちゃんだ。
女の子をいいなと思った事も何度かははあるけれど、僕にとって愛する存在と言えばまずお兄ちゃんだった。
・・・愛するとは言っても決してやらしいイミじゃないからね。
ただお兄ちゃんの腕の中で眠れるだけで満足だから。それさえあれば他のものは何もいらない。


そんな僕にも転機が訪れた。
説明不要の病気、症例数こそは少ないけれど日本で一番有名なアノ病気・・・。そうTS病だ。高校に入ってまもなく発病し僕は女の子になった。
高校生にもなれば、流石に病気で虐められる事はなく平穏な高校生活を送れるだろう。・・・と思っていたら女の子になった僕はかなりの美少女らしく、悪い扱いでは無いけど平穏とは程遠い高校生活となった。

今まで男の子として生きてきたのが、急に女の子になるのは大変だけど嬉しいことだっていっぱいある。
密かに女の子のセーラー服に憧れていたし、プールの時に男の子にしては膨らんだ胸をさらけ出さずに隠せるのも有り難い。
思春期の男の子も場合によっては胸が膨らむって言うけど、中学時代の僕は案外膨らんじゃっててね・・・。ずっと胸を隠したかったんだよね。
それから髭も脛毛も全然生えないこの体質だって気にしなくても大丈夫♪

何よりも嬉しい事は、お兄ちゃんとの関係がよくなったと言うことだろう。
流石に男子中高生にもなってお兄ちゃんとお買い物は恥ずかしいけれど、女の子だったらパッと見カップルにも見えるので堂々と外を歩く事ができる。お兄ちゃんの手を繋いでも怪しまれない。
ベッドの中にいる時だって、気兼ねなくお兄ちゃんの事を考えながら慰めが出来るんだからそこも嬉しい。
それに何より、お兄ちゃんと添い寝をすることが出来るんだからこんなに嬉しい事はない。



明日は二人揃ってお休みだ。
お兄ちゃんはセミダブルベッドの上でぐっすりお休みモードに入っている。
昔は、僕を寝かしつけてくれる為に添い寝をしてくれたお兄ちゃんだけど流石に中学前くらいになったらそれも無くなった。
思春期の男の子と大人の男性が添い寝なんて、流石にまずいだろうから仕方がないとは言え、たまに寂しくなる。

添い寝が無くなってもう5年は経つけれど、一緒に寝たいと言う願望は年を追う毎に大きくなってばっかりだ。もう後1回でいいから一緒に寝たいなぁ・・・。
いつも、男の子なんだから一緒に寝るのはダメ!!って自分に言い聞かせて自慰とかで気を紛らわせてどうにか願望を押し殺していた。
一緒のベッドに寝ていいのは片方が小さいこの場合か、そうじゃなかったら仲のいい異性じゃなきゃダメだよね?

そして、病気で性別が変わると一緒に寝たいと言う思いが急激に膨らんでとうとう我慢できなくなった。
病気の時の寂しさがそうされたのか、女の子になってタガが外れたのか、それともお兄ちゃんと言う存在がもっと大きくなったのか・・・。
理由は分らないけれど、とうとう決行をしてしまった。

流石のお兄ちゃんも睡眠薬の入ったコーヒーを飲んだら一晩中起きはしないだろう。
わたしが、ぺったりとくっついていても雑魚寝布団のほうに移動したりはしないだろう。



一緒に寝るだけで何もしないから、男性を知らないウブの身だから、いいよね?お兄ちゃん?
中学に入ってからワガママもお願いも何も言わなかったし、最後のワガママだから・・・黙って受け止めてね





「お兄ちゃんと一緒に寝るんだから、体くらい綺麗に洗っとかないと。」
お風呂は晩御飯の前に入ったけれど、念の為にもう一回だけシャワーを浴びよう。
石鹸で体を洗う度に、男の子時代の古い皮と汚れが落ちて新しい女の子の自分に変身しそうな気がする。・・・といってももう体の女性化は完了しているんだけど。
まぁ気分的な問題って事で。体を洗う度に女の子らしくなるって言うのも、何だか綺麗じゃない?

「よぉしOK♪」
体は綺麗になったしもう準備はOKだ。
この日の為に買っておいたおニューのショーツを今おろしちゃおう。
別にお兄ちゃんに見せるわけじゃないんだけど、(というよりお兄ちゃんは一晩中ずっすりだから僕がどんな格好で何をしたかなんて分るわけがないよね)
一緒に寝るって言う事で、下着くらいはちゃんとしておきたいもんね。何と言うか、きっちりしておかないと僕自身が納得できないって言うのかな?ソノ気にならないって言うのか・・・。

実は真っ白じゃないパンツなんて初めてだったり・・・。男の子時代にトランクスデビューするあたりで女の子になっちゃったし、白じゃないパンツは本当に初めて(///)
全体がピンクで白のレースな模様のパンツは僕にとっては大冒険だけど、お兄ちゃんは可愛いって思ってくれるかな?子供っぽいとか思われないかな?
見てような貰いたい恥ずかしくて見られたくないような・・・女の子になったせいなのか、今まで以上にどっちつかずであやふやになったような気がする。


お揃いのブラを買うのは忘れちゃったけど、このブラならまだ数えるくらいしか使ってないし大丈夫だよね?
どうせなら、ネグリジェっていったっけ?寝巻きもスカートタイプにしてみたい気もしたけれど僕にはまだ早いような、似合わないような、恥ずかしいようなで結局ネグリジェは買わず。
やっぱりそこは女の子初心者と言う事で、恥ずかしいからズボンタイプのこのパジャマでいいかな?

準備を終えて、お兄ちゃんの待っているベッドの前まで移動する。冬だけどお兄ちゃんの額には珠のような汗がポツポツと浮かび上がっている。
寒がりな僕の為に、部屋の設定温度を上げてくれてるから寒さに強いお兄ちゃんには少し暑いみたい。


汗ばんでいるせいかお兄ちゃんは少し汗臭いようだ。・・・それとも男臭いって言うのかな?
それから付き合いで飲んだお酒の臭いも残っているのかな?ほんのりお酒臭いや。
汗臭いのとか男臭いのとか、そういう臭いは苦手だ。特に女の子になってからそういう臭さに敏感で、今まで以上に避けるようになっていると思う。
けど、その臭さがお兄ちゃんの匂いだって思うと不思議と嫌じゃない。逆についつい嗅いでしまいそうになる。

この雄の臭さもお兄ちゃんが男性だからするんだよなぁ・・・そんな事を考えると臭いとは思いながら何度も嗅いでしまいたくなる。
好きな男性の匂いをかぎたがる女の子って、やっぱりちょっと危ない子かな?可愛いって言ってくれればいいけど・・・。
などと考えながらかれこれ10分は、嫌いな筈の男臭さを堪能した。


セミダブルのベッドの上にはお兄ちゃんという最愛の男性がバクスイ状態だ。

ベッドのサイズがセミダブルなのは、お金がなくって狭い部屋で同じベッドに眠っていた頃の名残だ。
僕が大きくなって二人で寝るには狭くなってくると、お兄ちゃんは床で寝る事が多くなり女の子になってからは同じベッドで一度も寝てくれない。
稼ぎ頭で、一家の長で、いつも忙しくて疲れている筈なのにお兄ちゃんは基本的に雑魚寝だ。余程疲れている時じゃなければベッドは僕に譲ってくれる。
今日みたいに、疲れて睡眠前の仮眠を取ろうとしなければお兄ちゃんは薄い布団で雑魚寝だ。そう言う所がお兄ちゃんらしい。

薬があるから多分一晩中起きる事はなさそうだけど、もし目が覚めちゃったらきっとベッドから降りてしまうだろう。
だから感慨に浸るのは程ほどで早くベッドに入らないと。添い寝をする前に起きられちゃったら計画は失敗だものね。
「・・・そうだ眠りに着く前に少しだけ細工をしておかないとね。」



密かに買っておいた赤い毛糸を取り出した。
これをお兄ちゃんと僕の小指に巻きつけておけば、僕の好きって想いががお兄ちゃんにも少しは伝わるような気がする。
赤い糸で繋がれた異性は、片方がメロメロってくらい好きになっちゃうともう片方も・・・ネ?そんなおまじないだよ。


二人を繋ぐ赤い糸
見つかると色々と大変なので明日の朝早くに、お兄ちゃんが起きるより先に回収しないといけないけど
自分とお兄ちゃんが赤い糸で繋がれている・・・そう思える満足感には代えられない。
どんな形でもいいからお兄ちゃんと繋がっていたいから。

一緒のベッドに、一緒のシーツ。同じ毛布を二人で共有する。
僕が幼くお兄ちゃんが今より若く、そして今よりずっと貧乏だった時代の・・・苦しいけど幸せな思い出・・・。


「お兄ちゃん一緒に寝よ」

きっと今夜は幸せな夢が見られるよね?
お兄ちゃんの胸に顔を押し付けながら、僕は眠りについた。



<兄の苦悩>

年の離れた兄は大変だ。
いや・・・別に生活費を稼ぐので忙しいって意味じゃない。それも大変と言えば大変なんだけど、もっと大変なのがあるんだ。


「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」
「ンドゥヴァー!!」

可愛い寝顔の女の子が耳元でこんな破壊満点の寝言を連発するんだ。
兄が楽な分けなかろう。

この女の子は妹と言えば妹なんだが、それ以上に弟だった。
怪しい病気で、あるとき突然に妹に変身した元弟なんだ。

元弟がコーヒーに怪しい薬を仕掛けたときに、まさかとは思ったが本当に俺と結ばれる為・・・って言うか一緒に寝る為に睡眠薬を仕掛けてきたとはビックリだ。
薬が下のほうに固まってたから、上澄みだけ飲んでどうにか対処できたけど・・・本当に危ないところだった。眠らされたらどうなっていた事か・・・。


コイツ自信は俺に淡い思いを密かに持っていて、それを隠しているような気になっているが兄は全部知っているのだ。
「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」
弟時代から、衝撃的な台詞を寝言で連発すると言う恐ろしいクセを。

別に、兄弟が仲良くするのはいい事なんだから元弟が『お兄ちゃん大好き』程度の寝言をするのなら別に問題はない。
問題はこの先にあるのだ。

「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・僕をお嫁さんにしてぇ」
「ヲヴァムァー!!」

女の子になった俺の弟は、寝言で俺にプロポーズを繰り返している。
小学校に入る前から、毎週一回は欠かさず求婚し累計すればきっと1000回は越えているだろう。
銀八先生の100くらいのプロポーズを余裕で超えてるゾこやつは。

女になった今ならまだしも、男の子時代からずっとこうだ。
しかも、『結婚して』や『お婿さんに』じゃなくって『僕をお嫁さんにしてぇ』なんだよな・・・。
どうして男時代から、僕をお嫁さんになんだ!?


小学生に入る前から、『お兄ちゃんのお嫁さんに・・・』って言う文句は言っていた。確かその当時は可愛い弟だな・・・とか思ってたっけ。
そんなコイツも小学校になると、男同士や家族では結婚が出来ないという事実を知ってしまったようで直接言ったりはしなくなった。
ただその分だけ押さえ込んでいたものが暴発したんだろう。寝言でプロポーズするという最終兵器がこんにちはするようになった。


兄として心配しながらも、どこか楽観視していた所はあった。このコも成長すればもう少し男らしくなるし好きな女の子の方に夢中になるだろう・・・と。
11歳の時にこいつの口から女の子を好きになったなんて話を聞いた時に小躍りしそうになって、その日は赤飯を炊きそうになった。・・・結局は外食でカタがついたけど。
好きな女の子が出来たから俺に対する寝言のプロポーズは収まった。そこは俺の読み通りだ。


ただしそれは2週間も持たなかった。
その前後も寝言のプロポーズがあったから、毎週欠かさずのお嫁寝言は何だかんだでこの時ですら毎週欠かさずだった。

俺に相談するでもなく、泣きつくでもなく、涙を浮かべながら寝言でプロポーズしてきたこいつを見て俺は何が起こったかを悟った。
・・・コイツの初恋は早くも幕を閉じたのだ。(それとも初恋の相手は俺なのかやっぱり?)
弟のしずくを指で掬った俺は少しの間恋人を演じてやってもいいと思った。遠慮がちな弟は結局、何もお願いしなかったが。
元々女顔というのもあって、その時のコイツは小学生時に同級生だったどの女の子よりも可愛かった。


コイツも10代になれば男らしくなって、お嫁さんになりたいって願望も無くなるだろうと思った。
小学校の高学年になれば、部分的には2次性徴して男らしくなっていくだろうと。
確かに体は少しはごつくなったし、高い方とは言え声変わりもなくはない。
にきびもできないその顔は、ボーイッシュとは言え女の子の顔だった。特に寝顔は甘く見て男の娘で、ほぼ美少女だ。そして例によって危ない寝言は健在だったりする。

「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」
もう10年もこんな事を言われているけれど、未だにこの告白には慣れていない。
彼女が出来た事がないわけじゃないが、こういうのに苦手だからきっと俺は28にして独り身なんだろう。


今でこそ見も心も文句なしの美少女だから、欲情しても可笑しくないなんて言えるけれど、まだ弟だった時期のコイツに思わず勃起した俺は相当ヘンタイチックだった。
当時は部屋も今より狭く、シングルベッドを共有していた時代だから寝る時は半強制的に弟と同じベッド寝る事となっていた。
隣を見れば、スベスベな肌は染み一つないボーイッシュだけど凄く大人しい女の子・・・って感じの弟がスースー寝息を立てている。
しかも油断すると必殺の寝言攻撃が飛んでくるんだ。ランダムで、『告白』か『求婚』を使ってくるコイツの攻撃力は高すぎる。

耳心地の良い寝息が、突然止まったと思ったら「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」や「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・僕をお嫁さんにしてぇ」だ。
『きゅうしょにきまった こうかはばつぐんだ おにいちゃんはたおれた』なんて経験も少なくいない。
寝言が回想シーンではなく現実の方からも聞こえた気がするがそこは追求しないようにしよう。

一応断っておくが、俺がコイツに襲い掛かった事は一度もない。
『コイツは男なんだ。』
『未成熟な貧乳なんだし欲情する相手じゃないだろ?』
『ってかショタのケお前にはないだろ?』
『兄弟で近親相姦なんてアウトだろ?』
『問題がが1個や二個ならまだしも4重苦じゃないよな?』
こうやって自分に言い聞かせたお陰で過ちを起こさずに済んでいる。ヘタレ?余計なお世話だ。

いくら顔が可愛いとは言え、コイツは男で弟だ。コイツとの関係が発展すると越えてはいけない一線を何個も越えてしまう。・・・いや欲情した時点でもう越えた・・・というか超えたのか?
そんな幼い女顔弟に欲情した俺は、ブラコン?シスコン?ショタコン?ロリコン?一体どれなんだ?
それとも不名誉な4冠王なのか?



そんなこんなで、前の狭い部屋で一緒のベッドに寝るのは大変だった。
その翌年に少し奮発してセミダブルのベッドを買ったものの、セミでも十分密着しているので効果の方はなく弟の寝息と寝言に悶々とする夜を送り続けていた。

こいつが中学に上がる頃には、仕事や金の方にも少し余裕が出来てきて今の家に移る事ができた。ただ弟は相変わらずショートへアのボーイッシュな少女って外見だった。
しかし下手にセミダブルを買ったせいでこれ以上のベッドが置けないので、基本的に弟をベッドの上に寝かせて自分は床で寝るようになった。
これ以上同じベッド寝ようものなら、フローラルな石鹸の香りに流されて貞操を守り抜く自信がないから離れるのが正解だろう。
弟の貞操というか自分の貞操と言うか・・・。


一緒のベッドで寝なくなってから、弟は寂しがりその寂しさの反動なのか減りつつあった危ない寝言の回数が再び増えた。
しかし、背に腹は変えられない。これ以上一緒に寝て何かをやらかしてしまったら俺はブラコン・シスコン・ショタコン・ロリコンの4冠王だし、
レイプみたいなものになったら弟も深く傷つくだろうからこれでいいのだと思う。

ひたすら(夜の間だけは)弟を避け続けた俺だが夢の中で俺に恋焦がれている弟を見て、いい相手を見つけてやりたいと思った。
それに4冠王にならなきゃ恋人関係になってもいいとか思ったこともあった。



そして現在に至る。

人間は空想の世界では大胆な真似も難なくこなせるヒーローやヒロインなんだろうが、現実の世界になると途端にヘタレなのだろう。
弟だった時代から、或いは弟の恋人になってもいい見たいな事を何度も考えていた。

『もしコイツが女の子だったら兄弟だとしても付き合ってもいいかも知れない』と空想上で誓い、それが発展して
『もう女って言うか手術かなんかで凹んで女の外見になってまで俺を好いていたら事実婚に近い関係でも良いだろう』と思っていたのが
『シリコンでも良いから胸が大きくなったら家の中では夫婦でも悪くない』とか思っていて
『成長しても女顔や乙女チックな性格が変わらなかったら恋人に・・・』とまで思っていた。

中学生の半ばで最後の条件は満たしたが結局関係は持たなかったし、病気の途中で胸が膨らんできても関係は兄と弟のままだった。
男の証が小さくなって、凸というより凹ぽいかなぁ?ってなってきても関係は発展しなかったし、女性化が完了し戸籍も変更され赤飯イベントをとうの昔に終了した現在では
『兄と元弟の妹だからダメだ』と言う結論になっていた。

目的地が遠いうちは、あと少しでどうにかなりそうに見えてもイザ現実味を帯びるまで進むと無理だと思えるのだ。
やっぱり『兄と妹』ってだけでも発展は難しいし『妹が元弟』っていうのも尻込みさせるには十分すぎる理由なのだ。



「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」
それにしても、随分と幸せそうにな顔で告白するよな。一体どんな夢を見ているんだろう?



普通の人は夢を見ていると夢の中の出来事が現実に起こっている事だと思ってしまうけれど、僕の場合は違う。夢の世界にいるとそれは夢の中だと分ってしまう事が大半だ。
別に超能力があるわけじゃない。見分けるのは凄く簡単な事なんだ。
「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」
臆病で奥手な僕は、誰かを好きになっても告白なんて絶対に出来ない。ましてやそれが実の兄だったら余計に大変だろう。
お兄ちゃんが大好きで、その想いは普通のLikeじゃ収まらないほどだ(ただ女の子を好きになった事もあるから普通のLoveとも少し違うけど)それでも僕には告白する
勇気はないし、それにお兄ちゃんを困らせるのも嫌だ。だからこの好きだという気持ちは夢の中だけのお話なんだ。
お兄ちゃんの為に好きだって気持ちも押さえ込める僕って意外と健気でしょ?これはお兄ちゃんですら知らないヒミツなのだ。


「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」
ウググ
告白どころかプロポーズすらされなれてるって言うのに未だにこいつの告白の破壊力にはやられる。
子供の寝顔は本当に罪がないと思う。毎回のように告白している事実をきっとこいつは知らないのだから。



夢の中とは言え、お兄ちゃんに告白してイチャイチャ出来るのは本当に幸せだ。
本当なら現実の方でも同じ様な事がしたいけど、臆病な僕にはそんな事は出来ない。


「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」
今日はまた一段と凄いな。寝言の告白が。
夢の世界で俺に告白をしているんだろうけど、現実世界でも寝言として言っているのには多分気がついてないな。


僕にもう少し度胸があったらなぁって思うんだ。どうせ振られるのだとしても、思いを伝えた上で振られるのなら、まだ未練は少ないからね。
それに、元男の子でしかも弟だった子から告白されたってきっと迷惑なだけだよね?僕、お兄ちゃんに迷惑かけるのはヤだもん。
僕って意外と健気でしょ?


やっぱ一度寝言を言い出すと、延々と告白され続けるのは迷惑だ。睡眠時間は削られるし、心臓にも悪い。
かといって、下手に文句も言えない。まさか『お前、寝言でのプロポーズがうるさいんだよ。』などとは絶対に言えない。
ただでさえ、デリケートで傷つきやすい問題なのにこんな無神経な台詞は言えない。しかし言わなきゃ問題は解決しない。
ああ・・・もっと直接的に言ってくれればこうも悩んだりはしないんだが。


『妹』として、お兄ちゃんを世界で一番愛する者として僕はお兄ちゃんが理想の相手と結ばれるのならいつでも身を引く覚悟は出来ている。
だからお兄ちゃんへのプロポーズも夢の中において置くのだ。
この秘密は二人が天国で再開するまでずっとナイショだよ?
僕はお兄ちゃんが何よりも大切だから、自分の思いすら押し殺すんだ。
きっと目が覚める頃には、プロポーズしていた夢の事も覚えてないんだろうなぁ。


いっそこの秘密(プロポーズ)の事をアイツにばらそうかと思った事は一度や二度じゃない。一日に何度もその事を考えて迷うくらい悩み続けた。
元弟が『約千回のプロポーズ』だったら兄の俺は『一万越えの悩み苦悩』だろう。
この事が原因で眠れなかった事も数え切れないくらいだがやっぱりばらす事はできない。
自分(のプロポーズグセ)が原因で俺を苦しめたなんて事実は伝えるべきではない。
それが原因で苦しんで死んだとしても、この事は絶対にばらしてはいけない。
隠し続ける事が、たぶん兄としてできる事だと思うから。



僕は昔から寝るのが大好き。
お兄ちゃんがぴったりとくっついて添い寝の状態で眠れるなんてすっごく贅沢な空間だよね。(ただ最近は添い寝できてないけど)
おまけに夢の世界にいければお兄ちゃんと奥手な僕も活発になれてお兄ちゃんとすっごい事が出来るんだもん。

「お兄ちゃんいってらっしゃいのキスしてあげるねChu」『お前のキスは相変わらず美味いよ。』
もぉうお兄ちゃんってこんな恥ずかしい台詞を言っちゃうなんて僕のほうが恥ずかしくなっちゃうよ

「お兄ちゃん・・・今日は寂しいの・・・。だからどっかに言っちゃ嫌だよ?ずっと一緒にいて」『お前を置いてどっかに行くわけないさ。』
あんお兄ちゃんもうそろそろ仕事の時間じゃない?僕も学校が・・・うん・・・。二人でお休みして一緒にいるんだね

「お兄ちゃんは今晩おヒマ?僕の相手してくれない?お兄ちゃんだったら僕もいっぱい頑張っちゃうから」
うん・・・。そのキスはOKって事だよね?僕は始めてをお兄ちゃんに捧げられるんだね?

夢の中では今日も絶好調だ。
これから”また”お兄ちゃんに始めてを捧げられるね。


ああ今日は本当に厄日かも知れん。
コイツが密着しすぎているから迂闊には動けないし、かといって一晩中この状態はもはや拷問だっての。
この顔を見ていると、暴れそうなので横向きになって寝ようか。ってかコイツも横向きで俺の方を向いて寝るなよな。
仰向けやうつ伏せなら、目の毒度はまだ低いんだが無防備な寝顔を間近で見ると、目の毒・・・っていうか股間の毒だって。

「お兄ちゃんChu」

ぬお!!油断してた!!
頬っぺたとはいえ、不意打ちでKissか!?いつの間にコイツは不意打ちを習得したんだ?
直前に見たコイツの天使の寝顔もあって非常に強力だ!!
なんていうかこの天使のキッスは喰らったものを魅了させる効果があって、というのもこのキスを放つ際は例えば通常は少年のような少女のような性的要素が薄かった者が
色艶のお姐さんみたいな色香を・・・。って何混乱してるんだ俺は?

もとおとうとは ねごと をつかった
もとおとうとの てんしのキッス おにいちゃんは こんらんした

冷静な判断力を失った兄だが、かすかに残った理性はこう告げた。
元弟よ、この幸せそうな寝顔の裏では俺が四苦八苦しているんだ。だからせいぜいこの幸福感を噛み締めて、幸せな夢を見てくれ。


「ハァハァハァ」
隣で女の子・・・(しかも実際は弟)が寝ている状態でハァハァハァは変態ですありがとうございました。な光景だが別にヤラシイ意味ではない。
こいつの天使のキッスで混乱していたのがようやく収まって、その後遺症でハァハァになっているだけなのだ。うん!!問題ない。
それにコイツがまだ男の子(男の娘?)だった時に少しだけだが欲情した時期があったんだ。それに比べればこれでハァハァするのなんて普通だ。
そうだ。俺だっていい年をした男なんだ。事故でしかも弟とは言え美少女がキスしたんだからハァハァもするさ。して当然さ。

・・・さっきから何を考えているんだ俺は?(まだ混乱しているようです)


「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・今日は寂しいの・・・。」

もとおとうとは ねごと をつかった
もとおとうとの あまえる こうげき おにいちゃんの こうげきが がくっとさがった
おにいちゃんの こかんが おおきくなった

よりにもよって、反則スキルの『寝言→甘える』を今日みたいに(股間が)やばい日に使わなくたっていいだろ!!

おにいちゃんは ××をこらえた


「お兄ちゃんは今晩おヒマ?」

もとおとうとは ねごと をつかった
もとおとうとの ゆうわく おにいちゃんの せいしんが がくっとさがった
おにいちゃんの こかんが ぐぐーんと おおきくなった



堪えろ!!堪えるんだ俺!!
耐えろ!!耐えるんだバベル(股間)!!

度重なる、弟だった美少女の寝言(攻撃)にやられ俺ももう限界かもしれない。
俺の股間はもうすぐ、白い最終戦争(ラグナロク)を勃発しそうです。寧ろ白い最終戦争を放出しそうです。

「ウググ・・・このやり場のない股間の膨らみを俺はどこに向ければいいんだ!?」


「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」
困惑している俺の目の前に一人の美少女・・・女が目に入った。
いつの間にか、パジャマのズボンの脱げていた。白い飾りのあるピンクのパンツはほんのり湿っている。
睡眠中はブラもないので、上半身はかなり無防備だ。しかも服がずれていて谷間がかすかに顔を出している。
女の子になってほんの数年だが、一般的な女子高生よりも胸の発育は良さそうだ。
説明するのなら、一言でも十分伝わるだろう。『美味しそう(性的なイミで)』

齢28歳の独り身男、彼女がいた時期もあったが今は独り身だ。
そして恋人との関係がうまくいかなかったこともあって、魔法使いまであと1年4ヶ月のリミットだ。
目の前にいるのは最上級に可愛い女だ。弟や少女ではなく今の彼女は女なんだ。
そして俺を慕っている。どころか俺にベタ惚れすらしている。


挿れるべきか・・・挿れざるべきか・・・そこが問題だ。



自分のズボンを脱ぐ。対する彼女はパジャマが脱げかけているので既にパンツが剥き出しだ。

「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」
さっきまであんなに心を乱していたこの甘言(甘い寝言)も、ヤると決めると意外といいスパイスだ。
俺の股間は白いラグナロク寸前だ、そそり立つ雄を露ににその時に備える。

「お兄ちゃん僕お兄ちゃんに初めて捧げるのずっと夢見てたんだよ?」
嬉しいかい?
俺はその夢をこれから実行する!!

「小指に巻かれた運命の赤い糸は大事にしようね?」
こんなものはタダの毛糸の筈だ。
だがそのタダの毛糸が俺の狂気を押さえ込んだ。
女に飢えた雄の野獣だった俺はほんの少し自分を取り戻した。
そして戻った理性はこう告げた。


こんなに俺に恋焦がれているんだ。
眠っている時に無理矢理は止めよう。
起きている時にきっちりと合意の上でしよう。俺との始めてをこんなに嬉しそうに待っているんだ。
その始めては二人で一緒に楽しむんだ。自分一人で楽しむもんじゃない。

俺は少しへタレで、だが弟を世界一愛する兄に戻った。
(めでたしめでたし)














「しかしこの盛り上がった股間はどうすればいいんだ?」
冷静になった途端に股間の膨らみの処理に困った。


[ミッションインポッシブル!!白いラグナロク寸前の股間を沈静化せよ!!]

などと特殊ミッションを課したはいいが、この股間はもう沈静化が不可能なまでに膨らんでいる。
だったらゴムだ!!ゴムで被って危険物を処理しなくては!!
・・・こいつにかかって万が一妊娠したら一生モノの傷になってしまう。(犯そうとした人間が何を言っている)

ダメだ!!ゴムがどこにあったか覚えていない。今から探したんじゃきっと間に合わない。
ええい!!だったらティッシュだ!!7重くらいに被ったティッシュで偽練乳を吸収すればこいつにはかからない!!
ティッシュはあの棚の上だな?よし!!あと4メートルなら何とか間に合う。

3メートル・・・2メートル・・・1メートル・・・。
よし!!少し歩きにくいがミッションは順調です。
ん!?歩みが急に止まっただと?
しまった!!運命の赤い糸に引っ張られてこれ以上は進めない。
解く・・・解けない・・・文字通りこの運命の赤い糸が俺の運命を左右してしまうのか!?


「うんお兄ちゃん」
頼む・・・元弟よ・・・。
こっちの方に寝返りを打って少しでいいから距離を縮めてくれ!!
そうすれば、俺はティッシュを手に入れることが出来る。
よし!!寝返りを打ちそうな体勢だ!!
『コロン』
逆方向に寝返りすんのかよ!!(転倒)


こうして俺は激しく頭を打ちつけそのままミッション失敗のお知らせが報告・・・というか放出されたのでした。


<エピローグ>

朝起きると、とても清清しい気分だった。
昨日はお兄ちゃんの寝顔で興奮していたせいか、パンツがぐっしょりだけど体がなじんできて最高にハイ・・・っていうのかな?
やっぱり身内のが一番なじむ・・・って何の事だろ?自分で言ってって。調子がいい理由はおにいちゃんと一緒に眠れたからだよね。
お兄ちゃんと添い寝が出来たんだもん気分も良くなる筈だよね。
そう言えばお兄ちゃんは何処?って言うよりお兄ちゃんのほうが早く起きてたら小指のい赤い糸の事がばれちゃうよ!!どうしよう・・・。
お兄ちゃんは今までと同じように床の上で雑魚寝だね。一家の大黒柱なのにそう言う所がお兄ちゃんらしいや。
でも小指の赤い糸のことを聞かれちゃうと恥ずかしいよ。

「あれっ?」
小指に巻きつけた運命の赤い糸がない?
「ないっ!?ないよ?・・・なくなっちゃったの?」
病気にかかってお股の形が変わった時と同じような台詞だ。
「んーどうかしたのか?」
お兄ちゃんが起きちゃったよ・・・でもお兄ちゃん聞いてみよう。

流石に、「お兄ちゃんの小指に巻きつけてた赤い毛糸を知らない?」・・・とは聞けないので、「昨日毛糸を持ったまま寝ちゃったんだけど毛糸って見なかった?」と聞いてみた。
毛糸を持ったまま普通の子は寝ないよね?怪しい言い訳だったかな?
不審がられるかと思ったけれど、特に怪しまれるでもなく「覚えがない」だってさ。
もしかして今までのは全部夢だったの?


って事は勇気を出してお兄ちゃんと同じベッドで寝ようと思ったけど実は夢で実行も出来なかったの?
せっかく勝負パンツはいたのに・・・。勝負パンツは役目を果たさずにグショグショに汚れちゃったよ。
はぁ・・・始めて白じゃないパンツを穿いた記念日にお兄ちゃんと一緒に寝たかったけどうまく行かないものなんだね・・・。
でも僕だってまだ若いんだ!!色々と頑張るぞ!!・・・何をどう頑張るのかわかんないけど・・・。



・・・かつて弟だった少女はまだ知らない。
昨晩兄がどれほど苦悩し、どれ程に心を砕いたのかを。
昨晩・・・そして今まで自分がどんな寝言をしてしまったのかを。
最愛の兄がどんな重いと覚悟を持って自分と接するようになったのかを。
どうしてパンツがぐっしょりなのかも元弟は知ることがない。
そして運命の赤い糸が兄に回収され、それが大切に保管されている事も彼女は知らない。
そして兄も、彼女が理想の相手を見つけて嫁入りをする時までこの事は話さないのだろう。

この兄妹がこれからどうなっていくのかは誰も知らない。
ただ運命の赤い糸だけは結末を知っている。そして時が来るのを待ち続けているのだろう。

(おしまい)


















「よぉしかぁけた♪」

そろそろ彼が帰ってくる時間かな?
双葉ちゃんが乳離れしたお陰で、夜は大分おヒマになった。本当は毎日、シたいけど彼も休日くらいしか相手してくれないし・・・。
仕方がないとは言え、年の差婚の難しいところだよね。私はともかく彼は年だし。男の人って40くらいが一つの境界線なのかな?ここ数年でめっきり減っちゃったし。
でもこういう話を書くようになってからは、少しなら寂しさを忘れられるし、気分も・・・ね。擬似イチャイチャをしている気分になれるの。


「ただいま。」
最愛の旦那様のご帰宅だ
「ねぇ?ご飯にする?お風呂にする?それとも・・・わ・た・し」
「土日以外は勘弁してくれって言ったろ?俺はお前と違って年なんだし。」
「明日は特別休暇ってことくらい知ってるんだから。」
「仕方がない。それじゃあ、風呂と飯の後で余力があったらな。」

「ねぇお母さん?」
「あら・・・双葉ちゃんお目覚めなの?しょうがないわね・・・お母さんが添い寝してあげる?」
「そうして貰おうと思ったけど、ラブラブ・チューだし僕はお邪魔無視だから一人で眠るね?」
「双葉・・・子供がそんな気を使うんじゃない・・・ってかお邪魔虫の意味わからんだろ?」
「男の人と女性化した人がベッドの中で裸になってラブラブする時は、親しい人でも他の人はお邪魔虫なんだよね?」
「五歳児がそんな事知ってちゃいけません!!っていうかどっかがずれてるって!!」
うんうん。双葉ちゃんは立派に育ってる。五歳でこれだけ気を使えるのなら将来はきっと立派なTS娘になりそうね。

「ゴメンね双葉ちゃん。お母さんはもう少ししたらお父さんとラブラブで忙しいから添い寝はまた今度でいい?」
「うん。僕は大人になったら思う存分添い寝するから今日はお母さんと添い寝を我慢する。それに今だと女同士の添い寝だしね。」
「よく気が利くけれど、どこかずれてるのは母親似だな。ついでに性別も瓜二つだ。」
「双葉ちゃんもOKしてくれたし、今晩は朝まで添い寝ね」
「仕方がないな。」


「こうやって、最愛の男性と添い寝をしているとあの日の出来事を思い出すなぁ。」
「あの日か・・・結局お前はいつもあの日になるんだな。」
「そんなに怒らないでよぅ。」
「別に怒ってるわけじゃない。しかし嫁入りの日からその話題はたまに思い出したとき以外は封印って約束だっただろ?」
「我慢してる方なのに・・・。前よりかは減ったでしょ?」
「そうだったな。」
「ずっと我慢してきたし、暫くぶりにあれ言ってもいい?」
「駄目って言ってもどうせ言いたいんだろ?」
「それじゃあ、お言葉に甘えちゃうね?」




「お兄ちゃん」









「やれやれ・・・。結婚しても、たまにお兄ちゃん扱いなんだよな。」
でも、結婚自体は後悔していない。
あの日の選択が最も正しいものだったのだと今でも思ってる。

俺が選んだ答えは、あの日の出来事を一度なかった事にする・・・というものだった。
毛糸を互いの指から外して保管し、乱れていたアイツの服と布団を直しておく・・・。それから、派手にぶちまけた白いヤツを片付けることも忘れちゃいけない。コレがある意味最も重要。
余談ではあるが、白いラグナロクが勃発した時、とある美少女のピンクのショーツに白いのがかかってしまい大慌てしなったのは別の話だ。
一応精液を拭けるだけは拭いたが、もし妊娠したらどうしようかとマジで慌ててた。それから2ヶ月半たって、月のものが来たときは赤飯をたいて一人で勝手に盛り上がっていたよ。
なかなか生理が来なかった時はマジで焦ったが、若いから周期が狂いやすいってだけだろう。
赤飯イベントは一度あったから、こいつは不審な顔だったけれどきっと真意はばれてないハズだ。

それから1年くらいは俺たちの仲は発展せずにただ、時間が過ぎていった。危ない寝言は頻度こそ減ったが、それでもその1年間もずっと健在だ。
俺の方は、もう30目前だ。魔法使いまであと3ヶ月に迫っていた。17歳の美少女高2とは年齢に対する感覚がかなり違うんだろう。
そろそろ決着をつけなきゃいけない・・・そう思っていた。そして俺はある一つの答えに到達し、実行したんだ。





<魔法使い?お兄ちゃんの選択>

「落ち着け!!落ち着くのだ俺!!」
目の前にいる元弟と言うな美少女を目前に俺の緊張感は最高潮だ。ついでに股間の盛り上がり方も。
「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」
告白の頻度は以前より減って、23週間に1度程度になったがよりにもよってこんな日に言わんでもいいだろ?いや・・・逆に好都合なのか?
今日こそ・・・伝えるんだ。そして決着をつけるんだ。30になる前には決着をつけないとな・・・。
元弟に欲情して、下半身が巨大化する。最近、忙しくて女っ気がないせいか女に弱くなったようでこの美少女の寝顔は威力がありすぎる。
だが、今日で決着にしよう。
カタがつけばモヤモヤとしたこの違和感からは開放されるんだ。

俺は元弟に向かって腕を伸ばした。
「起きてくれ!!」
声は少し怖い気がしたが、この場で優しい声を出す余裕もないし仕方がないだろう。
「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいす・・・・・・はぇへ?」
「すまないな、いきなり起こして。」
「どうしたの・・・?お兄ちゃん・・・だぁい・・・急に僕を起こして?」
告白の言葉が漏れているのを気がついていないのか?此奴は?

「どうしてもお前に言っておきたい事があってな。少しだけ付き合ってもらうぞ。」
「お兄ちゃんと・・・お付き合い!?」
「違う!!(ある意味違ってないけど)。」


何と言うべきか、なかなか言葉の出てこなかった俺だが元弟の、何かを期待するような瞳に耐えられずに急いで言葉を絞り出した。
「実はなぁ・・・。聞こえてたんだ。」
「きっ・・・聞こえてたって何が!?」
元弟は、明らかに狼狽をしていた。聞かれたら困る事がやはりあるんだろう。自覚はあったのかな?プロポーズしてるって?
夢の中で俺に求婚してたんだろうが、その夢は覚えているんだろうか?

「ねぇ何なの?お兄ちゃん?」
おねだり風にも聞こえる、不安なコイツの声は保護欲をそそられ可愛かったが今はそんな事は問題じゃない。今日こそは決着をつけるんだ。
「実はなぁ・・・。聞こえてたんだ。」
「だから聞こえてたって何が!?」
「お前が俺に告白・・・いや、プロポーズしているのが聞こえたんだ。」

最初、俺の言った言葉が理解できなかったようで『?』マークを浮かべていたが思い当たる節があったようで、顔を真っ赤にした。
「嘘だよ・・・だって、僕まだそんな事お兄ちゃんには伝えてないもん。」
告白を認めたような台詞だが、コイツは告白を認めた事に気がついているのだろうか?
「寝言で言っていたんだ。」
俺がそう言うとショックが強すぎたようで、茫然自失になり2分ほど目から光が消えていた。


「だって。」
「聞いてやるから、だっての先も言え。」
「だってしょうがないじゃない。大人から見たら12も年の離れた子は、子供で恋愛対象にはならないけど子供から見たら12歳年上は魅力的な異性なんだもん。素敵な男性だから好きにもなるもん。」
飛んできたのは言い訳か。まぁ俺の口調や態度を考えれば告白拒否っぽく見えるからな。こういう態度にもなるか。


<魔法使いお兄ちゃんの決断>

「お前の告白、受けようと思う。お前さえ良ければだけどな。」
「えっ!?」
「結婚しよう。」
「本当なの?お兄ちゃん?」
「ああ。だが、今はまだ早い。」
「でも、女の子は16で結婚できるよ?」
「法的には良くても、17は早い。それに高校生が結婚って言うのはまずいだろ。」
「それじゃあ、高校卒業したら結婚して専業主婦だね♪」

「ったく・・・。お前は急ぎすぎで急かしすぎだろ。」
「ダ・メ?」
「取り合えず、俺の話を聞きなさい。結論はその後だ。」
「ハイ!!お兄ちゃん・・・・・・じゃなくって旦那様♪」
「お前は俺と違ってまだ若い。だから、結婚は二十歳を過ぎてからだ。」
「あと3年も待つの?」
「そうだ。大学にいって一人暮らしでもすれば他にいい男が見つかるかも知れない。俺と結婚するのは色々な経験をつんでそれでもまだ結婚したいと思った時だけだ。だからそれまでは俺たちは兄妹だ。」
「うん!!」


元弟で、今は妹、そしてこれからは奥さんになる人物は首が飛びそうなほど激しく頷いた。
俺に対して長い年月、思いを募らせていたんだろう。早くも新婚旅行は何処がいいかなんて聞いてくる。オイオイ・・・。
その日は何よりも幸せな日になったが、同時に苦しい日にもなった。
だって股間が大きすぎて痛苦しいのに、どうする事もできない。
まさか彼女の前でしごくわけにも行かないし、恋人以上になるのはもうあと3年近くある。
付き合いを先延ばししておいて、1回だけヤらせてくれとは言えないし・・・。
そんなこんなで、今晩は生殺しの添い寝で朝まで耐えた。結局眠れなかったし、溜まりっぱなしだった。
そして、自分で恋愛関係に発展するのは3年後とか言っちゃったから、それまでの間は恋人も作れないしこの娘をどうこうするのもアウトだ。


こうして、俺は魔法使いを迎えた。
我ながら格好つけたせいか、少し馬鹿な事をしてしまったと思う。
あのまま突っ切れば美少女を抱く事が出来たって言うのに・・・。
ただ、やはりアイツは一途なようで結婚の約束は果たされたので良かったと言えばよかったが。





「本当に、あの時のお兄ちゃんは格好良かったなぁ」
僕、私かな?
私達の昔話も一段落着いた。

「そうか?どちらかと言えば情けないと思うがな。それに、お陰でチャンスを逃したから俺は晴れて魔法使いの仲間入りだよ。」
「ところで、魔法使いってどういう事なの?魔法なんて普通は使えないし。」
「まぁ、アレだ。モテない男の代名詞みたいなものと思ってくれ。」
「えぇ?何だかんだで、お兄ちゃんには好いている女性がいつもいたでしょ?僕以外にも?」
「まぁいないわけじゃないが、まともに付き合えるとなるとお前しかいないよ。当時は収入も低めだったし、ブラコンシスコンの気が合ったせいでいいところまではいかなかったし。」
「エヘヘへ。僕がお邪魔虫を払いのけたんだね?やったぁ!!」
「コイツめ。」
「ごめんなさい。あぁん♪」
お仕置きのグリグリも今日はまた一段と心地がいい。

「それじゃあ、お兄ちゃん?ゴメンなさいついでにもう1ついけない事をしてもいい?っていうか言ってもいい?」
「ダメと言っても強行するだろ?」
「それじゃあ、お言葉に甘えて・・・。」
「むにゃむにゃ・・・お兄ちゃん・・・だぁいすきぃ」
「むにゃむにゃは要らんだろ!?」
二人の左手薬指にはリング、そして小指にはしっかりと赤い毛糸が結んであった。
(おしまい)
お久しぶりです。最近作品の更新が滞っていた作者です。遅くなってすいません。
本作のコンセプトは、元弟が甘えたりイチャイチャしたりするだけの作品です。
あとは、妹の眠る+寝言でお兄ちゃんに甘えるシーンを欠きたかったから描いたような作品です。それってなんてポケット魔物?
いちゃつき成分とエロ成分が足りないと言う苦情は受け付けます。(が、改善はされません。多分。)
と言っても、この作者はエロ重視の作品は書けないしエロよりも過程を重視するので、エロ作品なんてそもそも選択肢にないようなものですが・・・。

しかし、兄弟のどっちかが女性化するっていいですよねぇ・・・。
親友が女性化する話と並ん作者的には好きなシチュです。
最後に他の作品も含め、最近、放置気味ですが気長に待って作者に付き合ってやってください。


追伸
最近、図書館を使ってないせいか画像の利用方法を忘れて一回だけ、画像利用に失敗しました。
IDNo-NOName
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3.無評価ぴよひこ
Gj
10.100AC獣
『あまい。甘過ぎるよ、●沢さん』
●無き子の子役とくっつていて、捨てられたお笑い芸人のごとく、甘いです。
だが、それがイイ。
次回作も勝手に期待します。