※画像はイメージです※
「覚悟しなさい魔王キヨヒコ!!」
「ふむ……威勢だけは先代譲りだな。噂はかねがね聞いているよ明日菜姫」
俺の名前はキヨヒコ。魔王をやっている。
目の前にいるのは、俺を倒した先代勇者と双葉王国の姫の若葉姫の娘で明日菜姫という。
両者の優れた血を受け継いだ明日菜姫は見た目麗しく、武芸の才も魔法の才も素晴らしい。
いわゆるサラブレットとかいうやつだ。
先代勇者トシアキに倒された俺が復活したとの噂を聞きつけて俺を討伐に来たらしい。
そう、たった一人でだ。才能が溢れているのはスペックだけらしい。
なんというか……そう、馬鹿なのだ。そう言えば、先代勇者トシアキも馬鹿だったな。
馬鹿は遺伝らしい。お頭(おつむ)は聡明な若葉姫から受け継がなかったらしいな。
馬鹿な娘だ。これが俺の罠だとも知らずに……クックックックック
「何ですって!威勢だけじゃないって事を味あわせてあげるわ!百花繚乱!!」
イキナリの大技。
身の丈に余る宝剣を神速で抜き放ち、一度に同時に複数の鋭い斬撃を放つ明日菜姫。
その攻撃は何の狂いもなく俺の身体へと向かってくる。
コレを全て受ければどんな魔王であろうとタダでは済まないまさしく一撃必殺技である。
これが普通の魔王ならばな―――
―――ザン!ズバズバズバ!!
「馬鹿め!かかったな!ニヤリ」
「えっ!なっ!?きゃっ!!」
―――ビチャビチャビチャ!
切り裂かれた俺の身体はバラバラの肉片にはならず、
降りかかる液体は決して血などではなかった。
かわりに透明のゲル状の物体となって飛散し明日菜姫へと降りかかる。
「うっ嘘…カラダが痺れて全然動かせないわ!どうなっているの!?」
「簡単さ。お前はまんまと俺の策略した罠にかかったのさ。ニヤニヤ」
飛散したゲル状の身体を寄せ集め再び形を形成し、
体が麻痺して動けない明日菜姫をニヤニヤと見下しながら言葉を続ける。
「これから消える貴様に冥土の土産に教えてやろう。
まずお前は俺の復活の噂を聞いてここまで来たらしいが、
厳密には俺はまだ完全に復活はしていない」
「なっ!それは、どういうこと!?」
俺がおかしなことを言っているかのように明日菜姫は混乱する。
「まあ、驚くのも無理は無い。確かに俺は倒された。
他でもないお前の父親、先代勇者トシアキの手によって……肉体の器だけがな」
「!?」
衝撃の事実に明日菜姫は驚愕する。
そう俺本来の姿はこのゲル状のスライムなのだ。
まさか魔王の正体がスライムだとは誰も思うまい。だたし、ただのスライムではないがな。
――かつて俺も元は人間だった。
不老不死の魔法の研究の末、俺は魂を肉体から分離し液体化することに成功する。
実験は成功したかに思えたが、何故か元の自分の肉体(カラダ)へは戻る事が出来なかった。
それどころか、その当時の俺はなんの力もなく別の人間に乗り移ることも出来なかったのだ。
しかし、俺は人間に戻る事を諦めなかった。
そこで俺はまず比較的に人間より弱いモンスターに取り憑いた。
次第にこの力に慣れ、人間に討伐されないようにと、
より強いモンスターの肉体を乗っ取て次から次えと乗り換えてゆき力を蓄えていった。
そして、いつしか魔王ともまで呼ばれるようになったのだった。
俺にかなうモンスターはいなくなり俺は魔物の頂点に君臨した。
その頃にはすっかり人間の肉体(カラダ)に戻るという目的を忘れてしまっていた。
そして、俺はモンスターの部下を率いて世界を征服しようと試みるが、
世界の加護を受けた先代勇者トシアキに阻まれ、俺は倒されてしまった。
これは死んだかと思ったが、馬鹿な敏明は俺の本体の存在に気が付かず、
魔王(俺)の城へ連れ去られた若葉姫を救出して去っていったのだった。
器の死体を消滅されなかったおかげで俺は難を逃れ、俺は勇者トシアキに復讐を誓った。
「俺はこの18年間、密かに力を蓄えこの本来の姿であろうと再び魔物の頂点に君臨した。
全てはこの日の為に、貴様の親父……勇者トシアキに復讐する為にだ。
そして、魔王が復活したと噂を流させ、ノコノコと現れたのが……貴様というわけだよ」
「まさか!私のカラダを乗っ取ってお父様に復讐するきなの!」
やっと状況を理解した明日菜姫。だがもう遅い。全ては俺の手中にある。
「ほう……馬鹿な貴様でもこの状況を理解出来たようだな。
つまり、そういうことだ。そのカラダのスベテをイタダクゾ!!」
人型に形成していたカラダを崩し、一気に明日菜姫へと襲いかかる。
―――ベチャッ!ビチャビチャ!ズズッ!ズズズズズッ………
触手の様に伸ばした体を明日菜姫の身体に纏わりつかせるように絡ませ、
まずはその煩い口からズルズルと侵入を開始する。
「いやぁあああ!やめて!ワタシのナカへ入ってこないで!ウゴッ!モゴゴ……」
「無駄だ!無駄だ!気づくのが遅かったな。罠にかかった地点で既に貴様は俺の手中だ」
口や鼻や耳の穴や肛門そして女性器、ありとあらゆる穴から体内に侵入する。
鼻や口が塞がれて息が出来なくて苦しそうに明日菜姫はのたうちまわる。
腹部も侵入してきた何かによって大きく膨らんでいる。
やがて気絶したかのように白目をむく明日菜姫の抵抗はみるみる無くなっていき、
ビクンビクンと体を痙攣させる。そして徐々に下腹部の膨らみも小さくなっていった。
「……ふぅ。どうやら成功のようだな。
人間に乗り移るのはこれが初めてだが上手くいったようだ(ニヤリ)」
拘束されていた呪縛が解かれ、むくりと起き上がった明日菜姫がそう呟いた。
「しかし、馬鹿な娘で助かったぜ。警戒されていたら逆に返り討ちだったな」
まるで他人ごとのように自傷する明日菜姫。だがその中身は既に魔王のものとなっていた。
「それにしても……明日菜姫か。
まさかこの俺が人間の女の肉体(カラダ)になるなんてな。クックック……」
―――ガシャン!ガチャンガシャン!
身にまとっていた高貴なプレートの鎧を脱ぎ、上品なドレスが現れる。
そして、自分の物になった明日菜姫の身体を舐めるような視線で見降ろす魔王は、
そっとその豊かに実った双房を両手で包みこむように揉み始める。
「おおっ、これは凄く柔らかくてなかなか……。
揉んでいるのに揉まれている感じがして気持ち良いぞ!」
長年魔物の身体で過ごしてきたキヨヒコは久しがたの人間の身体の性欲を取り戻し、
興味津々に己の物となった女体を探求する魔王ことキヨヒコ。
「んぁ!?乳首が勃ってきた……それに股の間がムズムズするなぁ……」
胸を弄っている手を止めて、ドレスの裾をたくし上げるキヨヒコ。
「……本当に何も無いな。上品な下着なのに下品に濡れてやがる。ニヒヒッ」
王女様らしい上品で清楚な純白の下着が、
先程このカラダに侵入した時の所為でグチョグチョにいやらしく濡れていた。
もっとも、その奥からもジュンと興奮して濡れ始めているのが分かったのだった。
「うん。それにしてもドレスは邪魔だな。よし、脱ぐか」
男だった俺はドレスなんか着た事もないので当然脱ぎ方なんて分かるはずもない。
だが、俺は明日菜姫の身体の記憶を呼び起こし、苦戦しながらもなんとかドレスを脱いだ。
「ほほ最初はじゃじゃ馬姫かと思ったら……やっぱり性格だな。
黙っていればこんなにも美しいのだから勿体ない。俺にこそこの肉体は相応しい」
下着姿のままで明日菜姫になったキヨヒコは玉座に座り、
魔法で作りだした鏡に映し出される己の今の姿に魅入り悦に入るのであった。
「さて、続きに取りかかるか♪
記憶によれば、このカラダは生娘どころか、
この歳になってもまだ自慰すらまともにやってきていないようだな」
―――むにゅん♪むにゅん♪
下から胸をすくい上げるように握りモニモニと柔らかく形を変える感触を楽しむ。
「やはりこれも邪魔だな。もう全部取るか」
残り二枚の下着を取り払い、今の俺の姿は完全な裸となった。
そして、今まで隠れて見えなかったものが見えてきたのだった。
「これが明日菜姫の生乳の感触…ああっ!
おおっ!思った以上に女の身体というものは乳首だけでもこんなに感じるぞぉー!!」
拘束から解かれてプルプルと揺れるおっぱいの先にちょこんと乗った桜色の綺麗な乳首。
少し興奮気味に先の尖ったその乳首をコリッと指で摘まんでやると、
思わず口から甘い声が漏れてしまった。今のでまた股間がジュンとしてきた。
「こっちのほうも……流石は処女だけあって綺麗だな。これが女のオマンコか……」
股間の縦に走った線の割れ目にそって指をなぞらせる。
「んふぁ!ちょっと触っただけなのにこれか。これで中に指を入れたら……」
触れた衝撃で背中がゾクゾクするほどの快感が襲う。
割れ目に触れた指先に生成された愛液が絡みつく。
止まらない興奮の勢いのままに俺はそっと割れ目の奥に指を沈めていく。
「あはっ!すごくナカが熱くて指に絡みついてくる。
これが膣(ナカ)に挿れられてる女の感覚なのか……凄い」
恐る恐る指を動かすと目の前がパチパチするほどの衝撃が脳内を襲ってきた。
男のオーニズムとは比べ物にはならないくらい感じる。
指で触れるそのすべてが敏感な性感帯なのだから当然だ。
少し指で擦れるだけで膨大な快感を得るのだから。本番はさぞかし良いものなのだろう。
「うおおっ!ここはまた一段と凄く感じ……ここがGスポットというやつか」
膣内を探る様に指を動かしてゆくと、一段と感じやすいスポットを探り当てる。
凄く気持ち良くって動かす指が止められなくなるのだ。
一心不乱に女の快感を貪っていく。顔はだらしなく緩んで涎が垂れているが気にしない。
「あっあっあっ駄目!俺、女の身体で、
女みたいに乱れてイッちゃう!ああっ!イクーー!!」
イッた瞬間に指が膣肉にキュンと締め付けらる。
身体が弓なりにビックンと跳ねて目の前が真っ白にフラッシュした。
俺は女として初めての絶頂を経験したのであった。
「はぁはぁ……凄いな女のカラダってやつは。
イッたばかりなのにまだ体中が疼いてる。これなら疲れるまで何度でもイケるな。
なんか得した気分だな……はぁはぁ」
まだ絶頂の快感の余韻で疲れた体を鎮まらせるために玉座に背中を預けながら、
先程までの自らの痴態を思い返す。
「それにしても凄かった。男の時とは比べ物にならなかったな。
あの憎っくき勇者トシアキの娘がまさか姫騎士になってくれたのはラッキーだったぜ」
そう、明日菜姫が姫騎士なんぞにならずに城でおとなしく生活していれば、
今回のような罠に落ちて肉体(カラダ)を乗っ取られることなんてなかったのだ。
あの馬鹿(トシアキ)は確かに俺の野望を阻止して俺の器の身体を殺したから憎いが、
その馬鹿のおかげで俺はこうしてまた新しい器の肉体を得られたのだから皮肉な話だ。
「ほう……流石に姫騎士と謳われ齢18と若いながらに多くの武功をたてるだけはあるな。
この身体に満ちている力や技量や魔力は先代以上だが……まだまだ足りんなニヤリ」
この肉体(カラダ)に備わるスペックは先代勇者トシアキを軽く凌駕している。
復讐なぞ簡単で世界征服も容易だろう。だが、いくらスペックが高かろうと所詮は人間だ。
老いもあれば寿命もあるのだから力を十分に発揮できる期間は短い。
この広い世界を制覇し完全に征服し尽くし治めるには人間の時間ではとても足りないのだ。
―――ポチッ!
玉座に備え付けられた呼び出しボタンを押し、
しばらく待っていると部下の魔物の一人が玉座の間に姿を現した。
あ、ちなみにこの世界は普通に電気が流通しているし、
現代日本ほどではないがある程度の科学技術は進んでいる。
ん?いま変な電波が……まあ、いいや。
「お呼びでしょうか?魔王様。
そのお姿は…新しい器に移られたのですね。
しかし……その御身体は人間の小娘ではありませんか」
「リリスか、ちょうどよかった。
そうだな、確かに見た目は小娘に見えるがスペックはこの俺を倒した先代勇者以上だ。
これではどちらがモンスターか分からんがな。ハハハハハッ」
魔王は見た目の美しさに似合わぬ豪快な笑い声をあげる。
その様子をそばに控えていた部下の淫魔のリリスも苦笑いしながら見つめていた。
それもそうだ。
多くの人間に恐れられる魔王よりも華奢な小娘の方がその潜在能力で勝っているのだから、
どっちが本当の化け物だという話だ。
実際ガチで勝負していたら消滅しているのは俺だから笑えない。
「リリス。お前を呼んだのは今からこの新しい人間の器を儀式によて魔族化させる為だ。
部下の淫魔達や悪魔たちを招集してきてくれ。今宵魔王は完全復活を遂げると伝えよ」
「はっ!イエス、マイロード」
リリスは魔王の前で片膝をついて控え、今度はフッっと姿を消した。
そして数分後、玉座の間には魔王軍の精鋭たちが集結する。
屈強な悪魔や優秀な邪神官もいればリリスが指揮する淫魔軍団たちもここに集結した。
ここにいる一人一人が一騎当千の兵(つわもの)どもばかりだ。
正直な話、勇者さえいなければ世界は簡単に落とせてしまっちゃったりするのだ。
あれ?俺必要無くね?あ、でも勇者をどうにかするのが魔王(俺)の役割だったな確か。
まあ、そんなことはどうでもいいから次だ次。
「話はリリスから聞いたと思うが、これが今回の我が器だ。
見ての通り人間だ。そこでお前たちのエナジーを器に注ぎ魔族化の儀式を執り行う」
「「「「「「「「「「イエス、マイロード」」」」」」」」」」
―――ゴゴゴゴゴッズズズズズッ………
魔法陣の中心に俺は全裸で仁王立ちする。
頼もしい部下達はそれを取り囲むように円になりエナジーを中心の俺へと送る。
「凄まじい闇のエナジーが、
お前たちのダークパワーが我の身体中に溢れてくる……心地よい。はぁあああああ!!」
送られてくる部下達の膨大な量のエナジーを一身に受け止め、
暴走しそうになるエナジーの奔流を内側の本体の俺が制御し取り込んでいく。
そして、器の若奈姫の身体へと染み込んでいくように浸食していき、
俺本体が次々に器と本体の境界が薄れていき完全に同化していく。
「くっあああああああああああああああああああっ!!!」
浸食がすすむにつれ器の若奈姫の肉体(カラダ)にも変化が訪れる。
まず、白雪のような美しい肌はだんだん闇に染まり褐色へと変化していく。
艶のあるブロンドの髪は、だんだん色素が抜けていき、
白くからさらにダークブロンドへと変化していった。
変化は見た目だけではとどまらない。
瞳の色は澄んだ蒼から血のような深紅へと変わり、
瞳孔は魔物の様に縦へ割れるように変化していた。
耳も、エルフの様に尖った形へと変化し、
変化が終わりニヤリと笑う唇からは、変化して伸びた八重歯が覗いているのであった。
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「ふぅ……やっと完了したか。
力が溢れてくる凄まじきパワーだ。先程までの人間の身体の時とはまた次元が違う」
魔族の頂点たる魔王を倒しうる人間の肉体を魔族化しさらに高い次元の存在へと俺はなった。
「ふむ……あの白く美しい肌が褐色になってしまったのが少し残念だがまあ仕方がない。
おい!リリス。この新しい俺の肉体(カラダ)に相応しい衣装と装備を持ってまいれ」
「ハッ!仰せのままに魔王様」
命令に従いリリスはすぐに消え、そしてまた傍に現れ用意した衣装を俺へと差し出す。
「うむ、御苦労。リリス、下がってよいぞ。
まさかこの俺様が淫魔の衣装を着ることになるとは、思いもしなかったぞ」
リリスに渡された衣装に身を包む。体にフィットするドレスはとても着心地がよく、
薄い布にしか見えないが、実は全身に結界が施されており強固な鎧となっているのだ。
見た目清楚で麗しかった明日菜姫のイメージは一変して妖艶で邪悪な雰囲気に包まれてる。
「皆の物、聞けぇーい!!これより我は魔王、阿須那と名乗り、
人間世界を本格的に征服するぞ!!まずは、あの憎っくき双葉王国から侵略するぞ!!!」
「「「「「「「「「「うぉおおおおお!!魔王様、バンザーイ!!!」」」」」」」」」」
魔王を超えた勇者を更に超越した真の覇者、唖須那の誕生である。
◆◇◆◇◆◇
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―――場所は変わって双葉王国城内
「我が娘、明日菜が復活したと噂の魔王の調査と討伐に旅立ってからはや三カ月。
魔王の居城付近で連絡が途絶えててからもう2週間が経つ……やはり、捜索隊の編成を!」
少し疲れた顔の壮年の男性はその疲れた顔で実年齢よりも老けて見えていた
その男性は未だ帰還せず音信不通となってしまった我が子のことが心配でたまらなかった。
その名は敏明。
かつて魔王の野望を打ち砕き世界を平和へと導いた勇者にして双葉王国の生きた英雄である。
世界を平和へと導いた彼は双葉王国の王女、若葉姫に見初められて結婚し国王に就任した。
自分にあの頃の若さが、力があれば娘を危険な旅へ送り出すことも無かったのである。
老いとは残酷だ。歳を重ねるごとに力は減退していき、
ついには自身と妻の力を受け継ぐ娘にその力は追い越されていった。
一国の王になった彼には国を空けることなどは出来ず、
困ったことにこの国で魔王を倒しうる人材は、彼の娘の明日菜姫たった一人だけであった。
その彼の娘の消息が絶たれ行方不明となったから彼は碌に食事に手がつかず、
その顔は日に日にやつれていったのであった。
「そうしましょう。でも、きっとあの娘は生きています。
だって、私たちの自慢の娘ですもの。きっと魔王を倒して帰ってきますわ」
そんな夫と、もちろん娘も心配している女性の名は若葉。
かつて世界を救った勇者トシアキに惚れて結婚し、彼との間に娘の明日菜姫を授かった。
その美貌は子供を一人産み育て、三十代後半には見えないほど若々しかった。
その顔立ちは彼女の娘である明日菜姫にとてもよく似ていた。
そんな二人は娘の事を想うあまりに国王としての仕事も碌に手につかず、
代わりに仕事をこなしていた側近の宰相は先日過労で倒れたばかりで、
護衛はそもそも元勇者である現国王だからこそ必要とされたいないのでいない。
この無駄に広い謁見の間に居るのは、国王の敏明と后の若葉のたった二人だけである。
そんな謁見の間は静寂に包まれていたが、
突如訪れた者によって不穏の空気に包まれるのであった――――
―――ダダダダダッ!バタン!ドサッ!
「たっ、大変です!国王様」
「ど、どうした騒々しい。訳を話せ」
すごく慌てた様子の衛士の一人が謁見の間に倒れ込むように入ってきた。
身体じゅう傷だらけで満身創痍の様子だった。
「はっ!申し上げます。まっ、魔王の軍が突如城内の結界を破り攻め込んで来ました!!」
「!?なんだと!!」
「!?なんですって!!」
衛士の報告に驚きを隠せない様子の二人。
それもそのはず、この城にはとても強固で難攻不落の結界が張ってあり、
魔物の侵入を阻んでいるのだ。
さらにこの結界を発生させている装置のある部屋へは、
城内部の人間からは簡単に解除されない様に、
特定の人物数名以外が入ることを許されていないのである。
まさか内部の裏切り行為が発覚する。
これは謀反なのか?最近の自身の不甲斐なさに心当たりがあり過ぎる国王トシアキ。
「して、その裏切り者の姿を見た者はおるのか?」
こうなってしまった以上、国王自ら早く事態を収拾しなくてはならない。
魔王軍が王国に攻めてきた以上、もはや彼の娘の明日菜姫の生存の可能性は絶望的だろう。
だが、事態はより絶望の展開へと変わっていくことをこの時彼等はまだ知らない。
「そ、それが…し、信じられないことに――(ザンッ!)ぐわぁー!!」
突如、衛士の男性のセリフを遮る鋭い凶刃が男性の命を一瞬で刈り取ってしまった。
何事も無かったかのように剣にこびり付いた血を払っている人物を、
その光景を目の前で見せつけられていた国王と后はワナワナと震えて絶句した。
「……明日菜、どうしてお前がここに……いったい何をしているのだ」
「明日菜、貴女はなんてことを……」
「うふふっ……ただ今戻りましたわ。お父様、お母様」
離れ離れになった親子の感動の再会。
しかし、行方不明となっていた娘の帰還とまさかの裏切り。
その美しい髪と鎧は返り血で真っ赤に染まり、
澄んだでいた蒼く美しい瞳は濁って澱み狂気の色に染まっていたのであった――――
◆◇◆◇◆◇
―――再び魔王阿須那サイド
「明日菜、お前は自分が何をしたか分かっているのか!
正気じゃないな……やはり魔王の手に堕ち洗脳されたのか?」
俺は今、あの憎っくき敏明の目の前に来ている。
正体がバレぬよう幻術で元の明日菜姫の姿に化けて彼女の振りをしている。
やっぱりヤツの馬鹿っぷりは昔とちっとも変っておらず、
俺が明日菜姫の振りをして行った凶行も魔王(オレ)に洗脳されてやったと思い込んでいる。
「洗脳?おかしなことを言いますねお父様。私はいたって正気ですよ。
クックック……「貴女、誰なの?」ほう…流石はコイツの母親と言ったところか、鋭いな」
そう、洗脳などされていない。
元よりこの幻術の明日菜姫の姿の正体は魔王(オレ)そのものなのだから。
「その口ぶりは……魔王ね。本物の明日菜は何処なの?私たちの娘を返して!!」
「そうだ!娘を、明日菜を返せ!!」
傑作だ。可笑しくて腹がよじれそうだ。
俺の正体まで見抜いたあの聡明な若葉姫もまだ事の本質がまだ見えてきていないのだから。
そもそも普通に考えてみれば、
魔王であるはずの俺は結界に阻まれて城内に侵入することなど出来ないのだ。
では、城の中から結界の封印を解いたのはいったい誰だ?
ふははっ、それも俺の仕業だ。
例え、その身が魔族に堕ちたとしたとしても、
この肉体(カラダ)は結界に今でも明日菜姫として認識されており容易く城内へ侵入できた。
誰にも邪魔されない様に幻術で魔族の身体となる前の姿に戻って周りの目を誤魔化し、
明日菜姫の記憶を頼りに結界の発生装置へとたどり着いて装置を壊して結界を止め、
そして、魔王の居城に待機させておいた部下達を一気に城内へ召還したのである。
「くっくっく……ぷははっ、これは傑作だ。返すも何も目の前にいるではないか?ホレ」
「「!?まさか、そんな。……なんてことだ(なの)」」
俺は幻術を解き、生まれ変わった真の姿を二人に見せつける。
見た目は二人の良く知る明日菜姫の面影を残しているが、
髪や肌の色や目の色とありとあやゆる物が変貌を遂げていた。
そしてその中でも種族そのものが違う事を証明するかのように、
耳はエルフの様に尖りその頭部には山羊の様な立派な角が生えていたのであった。
「そうだ。お前達が思っている通り、
この肉体(カラダ)は間違いなくお前達の娘である明日菜姫のモノだ。
罠であるとも知らずに魔王復活の噂にホイホイ釣られてまんまと俺の新しい器となったのだ」
剣を握っていない方の手でドレス越しに片方の胸を持ち上げ、
この肉体(カラダ)が俺のモノであること強調するように揉みしだいて見せてニヤニヤと笑う。
「くっ……魔王め。俺に復讐する為に俺達の娘の身体を人質に攻め込んで来たのか?」
「復讐ねぇー確かにそんなことを考えていた時期があったが、今では違う!」
「それは……いったいどういう意味だ!?」
「俺はお前に感謝しているのだ。お前が俺をあの時倒してくれたおかげで、
俺は今こうして素晴らしい肉体(カラダ)へと生まれ変わる事が出来たのだからな。お父様」
わざとらしく俺は敏明を挑発する。
だが、敏明(こいつ)に今では感謝していることは嘘では無く本当の気持ちだ。
「貴様にお父様と呼ばれる筋合いは無い!
そう呼んでいいのは本物の明日菜だけだ!娘の身体から出ていけ魔王!!」
逆上した敏明は剣を抜き放ち切りかかってきたが、
俺はそれを容易くバックステップで回避する。
「おい!おい!大事な娘の身体じゃなかったのか?」
「黙れ!その身体をお前に好き勝手に使われてしまうくらいなら、
いっそ親の俺がの手を下すまでのことだ!はぁあああ!!」
怒涛の斬撃のラッシュを俺は華麗に避ける避ける避ける。
鬼気迫る迫力と技のキレは全盛期のあの頃に迫る勢いがある。だが、そこまでだ。
魔王すら超越した今の俺には全ての攻撃が止まって見えるのだ。
「どうやら、そこまでのようだな。
貴様では今の俺にかすり傷すら負わせることは出来んよ」
「ぜぇぜぇ……はぁはぁ……」
衰えた肉体を限界以上に酷使した反動で敏明はもう動けそうにない様子だ。
だが、その目だけは未だに諦める様子が無かった。流石は元勇者といったところか。
「……ふん、つまらぬ。もう限界の様だな。
我が生涯の最後の強敵よ。せめてもの手向けだ。我が奥義で葬ってやる!(ニヤリ)」
俺は鞘に収めていた剣を抜き奥義の構えをとった。
「……っ!?その構えはまさか!」
「クククッ。この構えは貴様もよく知っているであろう。
そう。この構えは貴様の娘、明日菜姫の奥義のものだが、これから先は俺のアレンジだ」
その奥義の危険性を良く理解している敏明は回避行動を取ろうとするが、出来なかった。
何故なら彼の後ろには彼の愛する妻の若葉姫がいたからだ。
「くっ……せめて、妻の若葉だけはっ!!」
「あっ、あなた!!」
妻の前に庇う様に立ちはだかり、せめてもの抵抗に渾身の障壁を張って構える敏明。
ここまで俺のシナリオ通り、かつて世界を救った勇者の最期は最愛の妻を守って終わる。
なんとも華々しい最期だが、手にかかるのがまた、最愛の娘だという悲劇で幕を閉じる。
さあ、あとはこの因縁に決着をつけるだけだ。
「ゆくぞっ!では、逝くがよい。奥義【魔刃・百花繚乱】!!」
―――ザン!ズザザザザッ!ズババババババババババババババババ!!!
「ぐっ!何も見えん!がはっ!
全身全霊で張った障壁もう持たなっ!(バリン!)ぐわぁああああああああああああ!!!」
魔族化により更なるパワーアップを果たした明日菜姫の身体能力から放たれる奥義は、
更なる進化を遂げ、闇色の膨大な数の斬撃が視界を埋め尽くす様に暗黒へ染めてゆくのだ。
敏明は、せめて妻の若葉だけでもと、敏明は全身全霊を込めて障壁を張って防御するが、
凄まじい威力と数の斬撃に障壁はみるみる削れていきあっけなく割れてしまった。
守りを失った敏明を無情にも無数の斬撃は飲込んでいき、敏明の断末魔が鳴り響いた。
やがて斬撃が過ぎ去った後はまるで、
ブラックホールに飲まれてしまったかの様に塵も残っていなかった。
そして、その場に残っていた人物は魔王と若葉姫の二人だけであった――――
「ぐすっ……あなたぁ……「お気の毒のところ悪いんだが」っ!魔王…次は私を殺すの?」
愛する夫が目の前で死んで悲しんでいる若葉姫。
無視されるのはあまりいい気がしないので声をかけてこちらに注目させる。
娘を奪われ夫を殺された恨みの視線でキッとこちらを睨んでくる若葉姫。
「なんだ、殺してほしいのか?「フザケないで!」……ふん。俺は今お前を殺そうが、
後から殺そうがどちらでもよい。いずれ全ての人類は絶滅するのだからな」
つい先程、圧倒的な力の差を見せつけたこの絶望的な状況の中でも未だ絶望しない若葉姫。
強情な女だ。だが、気に入った。
全ての人間は滅ぼすつもりであったが、少しだけ変更するとしよう。
「気に入った。人間なぞ捨てて魔族となって俺の妻となれ」
「だれがそんな、魔族なんかに……夫を殺した男の妻になんてお断りよ!!」
よほど気に障ったのか先ほどよりも更に強くこちらを睨んでくる若葉姫。
さて、どんな言葉で懐柔させようか。
「ハッハハ、そう照れるな。
魔族はいいぞ脆弱な人間のように老化の心配などしなくてよいし、
いつまでも若いままの姿でいられる」
「………ゴクッ。でも、今あなたは女じゃない。女同士で結婚なんて……」
若葉姫の息をのむ音が聞こえる。おお!どうやら食いついたようだな。もうひと押しだ。
「実はあまり知られていないが、魔族には性別という概念は無いに等しい。
それに、その気になれば……ほれっ!」
そっと、下腹部に手を触れると何も無かった股間がムクムクと盛り上がっていく。
もちろん、その正体は男性器だ。
淫魔に近いこの魔族の肉体(カラダ)はこんな事も出来るのだ。
「……っ!?//////」
俺の…明日菜姫の身体に現れた立派なモノに若葉姫は恥ずかしそうに顔を赤くする。
もしかしたらアイツ(敏明)のモノより大きかったのかもしれない。
この様子だとあとひと押しだな。これで決める!
「ふん。そうだな……。
我が妻となり魔族となったあかつきには若返らせてやろう。どうだ?(ニヤリ)」
「!?……いいわ。わたくし今日から貴方の妻となりますわ!!」
あんなに強固に反発していた若葉姫も若返りという餌の前には尻尾を振ってきた。
若葉姫は、いくら若々しく美しいいとは言っても実際はもうそんなに若くないのだ。
やはり、女性というのはいつまでも若いままの姿でいたいという本能には勝てないのだろう。
「ハッハッハ、そうかそうか、嬉しいぞ我が妻よ。
前の夫(敏明)の事はこれから俺がたっぷり可愛がって忘れさせてやるぞ♪」
「はい。ではさっそく私を貴方の城……いえ、私たちの愛の巣へ連れ去ってください」
俺の片腕に腕を絡ませてくる若葉姫。
若返らせたら美人姉妹にしか見えないな。今でも十分親子には見えないし。
「では、いくぞ」
「はい」
―――ブブーン…バシュッ!!
転移の魔法が発動し、惨劇が起こった謁見の間にはそして誰もいなくなったのであった。
そして数ヵ月後――世界は完全復活を遂げた魔王とその部下の軍勢によって蹂躙され、
魔王唖須那の計画通りに人類は残らず全て絶滅し世界は魔族が支配する闇へと包まれた。
その魔王の傍らには、姉妹といえるくらいそっくりな彼女の妻、
魔族化して若返った若葉姫の姿があったというそうな。
THE BAD END
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
◆◇蛇足的なオマケのようなもの◇◆
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
魔王唖須那が率いる魔物の軍勢により人類が絶滅して、
世界が魔族の支配下に置かれてからはや一年が経ち、
ようやく世界が落ち着き始めたそんなある日のこと。
―――クチュクチュクチュ……チュパチュパ……チュプチュプチュプ………
「ねぇア・ナ・タ。はむっ……」
「ぷはっ!んんっ?なんだい若葉」
ここは魔王の城内部にある魔王の寝室。
キングサイズのベットの上で裸の若い女性同士が肌を重ねて絡み合っていた。
唇を重ねて舌を絡ませて、上と下の女性器同士を擦り合わせて絡み合う。
クチュクチュと淫猥な音が絡む太腿の間から絶えず聞こえていた。
どちらも顔もスタイルもそっくりで双子の姉妹にしか見えないが、本当の姉妹ではない。
頭に魔王の象徴たる立派な角が生えている方が、魔王唖須那。
その正体はかつて世界を救った勇者敏明の娘である明日菜姫の肉体(カラダ)を乗っ取り、
さらに魔族化して完全復活を果たした魔王キヨヒコその人である。
そして、もう一人の人物はと言うと。
かつて魔王キヨヒコに攫われて勇者トシアキに救出された若葉姫。
また、双葉王国の王妃であり、明日菜姫の母親でもある。
魔王の復讐が達成され、再び魔王に攫われた若葉姫は魔族化により若返っており、
とても明日菜姫の母親には見えないし双子の姉妹というくらいソックリである。
「あの時、私が貴方に付いて行った本当の理由を教えてあげる!ああんイクーッ!!」
「なんだ?永遠の若さに憧れたからじゃないのか?んはぁ私もイクーッ!!」
―――プシャーーー!!
二人の股の間から勢いよく潮が吹き出し、二人はそのままベットへ倒れ込む。
ちなみにあれから俺は、誰かと会話する時の一人称が俺から私に変わった。
いや、変えさせられた。部下のリリスを含む淫魔達と主に若葉からの苦情でだ。
『今の魔王様は可愛い女の子なんですから、
『俺』なんて野蛮な言葉使いは似合いませんよ絶対』
『そうよそうよ!唖須那は女の子なんだから、もっと可愛くしないと勿体ないわ!!』
この容姿で『俺』は似合わないらしい。
魔王としての業務のときは『我』で通しているから問題はなかったが、
プライベートの時などついつい素が出てしまうのだ。
俺も常日頃この明日菜姫の容姿で『俺』と言うのはなんだか違和感を感じていたので、
男でも女でも使うっても違和感が無い『私』でなんとか落ち着いたのだった。
なんだかあの二人に乗せられた気がするけど気のせいだろうか?
絶頂の余韻に浸りながらしばらくすると先に魔王唖須那が口を開いた。
「で、さっきの話の続きを聞かせてもらおうか?」
「ええ、話すわ。実は私ね。
いつも周りの人たちから聡明だ聡明だと言われ続けてきたけど、
……本当はそんなんじゃないの」
「どういうことだ?続けろ」
これは興味深い。続きが気になるので俺は次の言葉を促す。
「いつも周りからチヤホヤされて城の中に拘束された生活がウンザリしていたの。
お城の中では常にお淑やかな振りをし続けてきたのだけど、
本当は私も勇者様の様に世界を自由に旅してみたかったの。
だから、娘の明日菜が少しだけ羨ましかった……」
「驚いたな。てっきり明日菜姫の性格は父親譲りだとばかり思っていたが、
まさか母親譲りだったとはな」
衝撃の事実だった。俺の中の聡明で清楚なイメージの若葉姫のイメージが崩壊した。
なるほど、だからこそ娘には自分のような思いをさせたく無くって、
自由気ままなあんな娘に育ったという訳か納得だ。
「うふふっ、人は見かけによらないものよ。私も……貴方もね。
それに私は二度も貴方に攫われて救われたわ」
俺が若葉姫を救った?俺は彼女を攫った事くらいしかしていないがはて?
「一度目は?」
「ええ。一度目は貴方に最初に攫われた時。
一時的とはいえ、私はお城から解放されたの。
その時は囚われの身だったけれど、実はワクワクしてたのよ」
「なるほど、本当に見かけによらないものだな。して、二度目は?」
「二度目は、貴方が敏明さんに復讐しに来て私を再び攫った日。
私は人間の世界のつまらないしがらみから今度は完全に解放されて自由の身になれたの」
なるほど、だから抵抗もせずアッサリ俺に付いて来たのか納得した。
でも、まだ疑問は残っている。
「俺はお前から夫と娘を奪ったんだぞ!恨んでいないのか?」
これは、俺が前から思っていた疑問だ。
本来なら俺を恨んでいてもおかしくないはずの若葉は何故、
今もこうして俺と愛し合ってくれているのか不思議と気になっていたのだ。
「……確かに私は貴方を恨んでいたわ。
あの人(敏明)は私のことを大切にしてくれた。
でもそれは今までのつまらない生活と何にも変わっていなかったって分かったの。
それであの人と貴方を天秤にかけたら……貴方といる暮らしの方が魅力的だったと、
本当の自分の気持ちに気づく事が出来たの。娘のことは本当に残念だけど……。
それに今は貴女が明日菜……唖須那なんだから問題ないわよきっと」
返ってきた答えに俺は拍子抜けした。
思っていた以上に実はハチャメチャな性格をしていた若葉姫に、
もう俺は呆れて何も言えなくなっていた。
何気に敏明の扱いが酷いが同情はしない。
やっぱり、俺がこの(明日菜姫の)身体を奪ったことは今でも根に持っているようだ。
でも、愛し合っているのならもう何も問題ない……はずだよね?
「そうだな。お前がそう思っているのならもう何も聞くまい」
確かに肉体(カラダ)は親子同士だが、近親相姦は禁忌されているのは人間の世界での話だ。
魔族の世界に人間の世界の常識なんて関係ない。思うがままに欲望を吐き出せばいい。
「ねぇ、女同士も気持ち良いけど、今度は私が男役でやってみたいの。
アレは私にも出来るんでしょ?」
アレとは俺が男役として若葉とSEXする時に生やしているアレだ。
それにしても本当に急だ。今までそんな事言ってきた事も無かったのに。
ちなみに、今は肉体が女とはいえ精神が健全な男である俺は未だに処女のままである。
確かに挿れてみたいという興味はあったが、男であるプライドがそれを許さなかった。
なのでいつも若葉やリリス達淫魔とSEXする時は俺が生やしてやるか、
女同士のレズプレイのみでだったのである。
今までリリス達淫魔に何度か犯されそうになったが、
その時は全力全開でOHANASHIして阻止してきたのであった。
あれから長い髪をサイドポニーにまとめると何故だかしっくりするのは何でだろう?
まあ、今それは置いといて。
「ああ、今じゃ同じ魔族なんだ。もちろん可能だ。それにしてもまた急だな」
「さっき言った事にも関係するんだけれど……実は私、男の子になってみたかったのよ」
「ゑっ!?」
なにその急展開!?そんなの聞いてないぞ!!いや、今聞いたんだけどね。うん。
「昔は純粋に男の子みたいに世界を旅してみたかっただけだったけれど、
今では女の子……しかも実の娘のカラダになった貴方を、
男として愛してみたくなっちゃったの……んんっ!出来た」
股間に手を添えて集中していた若葉の手がどかれると、
そこには今まで見た事も無いくらい大きなデカマラがそびえ勃っていたのだった。
コイツ……こっちに来てからというもの欲望に忠実すぎて怖すぎる。
それだけ今まで自分を抑えつけていたという事なんだろうか?
それにしても……大きすぎる。ゴクリッ……。
「凄っ!デカッ!じゃなくって、正気か?
娘のカラダだぞ。しかも中身は男の俺なんだぞ!こ、この変態め!!//////」
「あらあらあら、魔族に人間の常識は通用しないんじゃなかったの?(ニヤニヤ)」
あの時俺が言った事がこんなカタチで俺に返ってくるなんてまったくの計算外だ。
大きくそびえ勃ったデカマラを太腿の間で揺らしながらジリジリと俺に近づいてくる若葉。
「や、やめろ!近寄るな……ヒッ!や、やだぁーそんなデカいの挿いんなっ、アッー!!」
本気になれば逃げられるはずなのに、逃げる間もなく俺はあっけなく若葉に捕まり、
そして欲望まみれのデカマラを明日菜姫の処女マンコにぶち込まれてしまったのであった。
「うふふっ、本当に人は見かけによらないわよね。私も貴方も。
だって攻められる貴方って、こんなにも可愛いんだもの。ねぇ唖須那ちゃん♪」
「やっ、やめろぉ魔族だからそんなに痛くないけど、
そんなに動かされたらナカが抉れて……はぁあああん
……くっ、私、男なのに女として犯されるなんて悔し……いいっ
でも、感じちゃうっ!!あぁあん」
あんなに今まで我慢してきたのに……俺の今まで保ってきた男のプライドは、
愛しい若葉姫のデカマラの一刺しであっけなく崩落してしまった。
女に犯されて男として悔しいが、それ以上の喜びが全身を駆け巡り、
俺の理性を溶かすのにそんなに時間はかからなかった。
「いいわっ。その表情すっごくいいわ。たっまんない。
実の娘の肉体(カラダ)の夫である貴方を母親で妻である私が犯しているなんって、
なんという背徳感。嗚呼いい最高だわ!私が貴女を死ぬまで可愛がってあげる♪」
「おい!おい!死ぬまでって、魔族の寿命は数百年は余裕であるんだぞ!!」
そう、魔族の寿命は人間と比べてはるかに長い。しかも気が遠くなるほど長いのだ。
こう見えて俺も実年齢は218歳さいと人間としてはかなり長生きだが、
魔族としてはまだまだひよっこの若造だったりする。
「うふふっ……私をこんな(魔族の)身体にした貴方が悪いのよ♪
一生かけて責任取って下さいね。あ・な・た」
「……ぐぬぬっ。そう言われたら何も言えんではないか。
ええい!もうこうなりゃあ自棄だ好きにしろ!!」
嗚呼、俺は今まで人間を散々馬鹿にしてきたが、俺もつくづく馬鹿(人間)だったんだなと。
人間を捨てたのは遠い昔なのに、ほんの少しだけまだ残っていたのかもしれない。
あの時非常に徹して若葉を殺していればこんなことにはならなかったのかもしれない。
でもまあ、こんなに幸せな不幸ならば甘んじて受け入れようではないかと思う。
結局、一番得をしたのは誰かと聞かれれば迷わずそれは若葉姫と答えるだろう。
魔族の頂点に君臨し人類を滅ぼし世界の頂点に立ったこの俺でさえ、
彼女には色んな意味で勝てる気がしないのだから。
先ほど言ったように魔族の寿命は長い。
気の遠くなりそうな長い時間を彼女と二人で共に、
新たな魔族の人類を創造していくのも悪くは無いのかもしれない。
THE HAPPY END
(おしまい)
しがらみから解放された若葉さんははっちゃけてまぁ、幸せそうですね。死ぬまで仲良くすれば良いと思いますよ。