「やったね!……清彦、これで清彦は元の姿に戻れるよ!」
……ひょんなことから異世界に来てしまった俺、清彦と幼馴染の双葉。
しかも異世界に落ちてきたとき、俺はたまたま下にいたエルフの娘クローディアと
体が入れ替わってしまったんだ。
俺とクローディアが元に戻るには7つに砕けたという賢者の石を見つけ出し、
百年に一度だけ力満ちるという光の洞窟へ持っていかねばならなかった。
クローディアの婚約者のエルフの青年カルロスを加え、
俺たち四人は賢者の石探索の旅にでたんだ。
そして今日……全ての賢者の石は集まり、光の力を得て
石はその万能の魔力を手に入れた!
これで……一つだけ願いはかなう。
これで……俺とクローディアは元に戻れる。
しかし……
「……開け異界の門……地球世界への道を……!」
「ちょっと!? なにやってるの清彦!? それじゃ清彦は元に戻れない!
それに……その体じゃ地球にも帰れないのよ!?」
そう……この世界のマナで存在しているエルフの肉体は
異界……地球世界では存在できない。
だから地球世界へ帰ることは諦め、元の体に戻ることを目的としていた。
「わかっているよ……でも双葉は俺が元の体に戻ってよかったのかい?」
「え……清彦なに言って……」
「君と……クローディアのことさ……」
「……そ、それは!?」
「清彦……知っていたのか……」
「うん……双葉が俺の姿をした君……クローディアを愛していること、
君も……男として双葉を愛していることをね……」
「……すまない……私は双葉を………好きになってしまった……
その気持ちをどうしても止められなかった……」
「クローディアが悪いんじゃない! アタシがいけないの!
アタシが先にクローディアを好きになってしまったから!
だから……!」
「いや……私が借り物の体なのに……無責任にも男として
双葉を愛してしまわなければ……」
「……いいよ……その体はもう君の体で「清彦」ももう君なんだから……
双葉を頼んだよ「清彦」……」
「……す、すまない……うん……双葉は私が絶対に幸せにすると約束する……」
「ううっ……清彦ぉ……」
「違うよ……俺は「クローディア」なんだから……さ、早くしないと
地球への門がしまってしまう……「清彦」と幸せにね双葉……」
「うう……うん……わかった……さようなら「クローディア」……
そしてありがとう! 貴女のことは決して忘れないからっ!」
「「クローディア」、カルロス……これからも元気で……!」
そして……閃光の中に二人の姿は消えていった……
その数分後に賢者の石の魔力が切れ、地球への扉は閉ざされた……
……
…
「……いってしまった……」
笑顔で二人を送り出した「クローディア」だったが、ことが終わると
その笑顔は消えた……
「清彦」は双葉のサポートで向こうで心配している家族や友人を
俺のかわりに安心させることだろう……
でも……「クローディア」になった俺自身は……
もう……会えない……二度と……
家族にも……友人にも……双葉にも……自分だった肉体にも……
もう……絶対に会えないのだ……
そう思うと……「クローディア」の美しい瞳から
涙という水滴が流れ落ちてきた……
***
これまでのことが思い出される……
あの日……突然の閃光とともに俺と双葉は何かに吸い込まれていった……
着いた先はファンタジーな異世界。
それだけでも大変だっていうのに、ちょうど異界門の出口にいた
エルフのクローディアと俺の体が入れ替わってしまったんだ……
エルフの……しかも女になってしまった俺。
そのうえクローディアには婚約者までいたんだ。
それがサウスエルフ王国の王太子カルロス。
サウスエルフ一の剣士でもある彼が婚約者……
……誰の? ……俺の!?
あのときは本当に気が狂いそうだったな……
……いや、あのとき「も」……か……
***
カルロスとクローディアは婚約者同士。
といっても、二人にはあまりその気はなかったようだ。
というのはクローディアもまた凄腕の剣士であり、
その剣技はカルロスに次ぐものだったという。
血筋の関係で婚約者となったが、クローディアにとってカルロスは
剣士としてのライバルのような感じが強かったようだ。
……男であったならカルロスには負けないものを……
そう思っていたクローディアだが、その思いは後に実現することになる。
旅の途中で俺の体をを鍛え、自在に操れるようにようになった彼女……
いや、彼は練習試合でついにカルロスを倒したのだ。
その試合は俺と双葉もクローディアを応援していたが、
俺じゃない俺の雄姿は凄く格好よかったんだ……
***
「……これで婚約は破談だな」
記憶にあるなかでカルロスの最初のセリフはこうだった気がする。
王太子であるカルロスと従兄妹のクローディアは婚約者だけど、
カルロスにとって、男まさりな行動をするクローディアは
王太子の婚約者としては不向きだった……
たまに会えば剣での戦いを挑まれたり、結婚時期は伸びないかとかの話になる。
そんな調子だったのでカルロスにとってもクローディアとの婚約は
あまり気分のいいものではなかったんだ……
俺とクローディアの入れ替わりが起きたためカルロスは父である国王陛下に
結婚の見直しを願い出た。
だが陛下は精霊王に解決法を問いかけ、その精霊王の答えが
俺達四人に賢者の石を完成させろというものだった……
「もし戻れずとも婚約のことは気にするな……必ず破談にしてみせるからな……」
そのカルロスの言葉から安心以外のなにかを感じはじめたのはいつのことだったろう……
***
双葉と俺は小さい頃からの幼馴染だ。
「将来? そうね……誰も相手がいなかったら、清彦のお嫁さんになるかなあ……」
そんなことを小さい頃に言っていたな……懐かしい思い出だ。
結局のところは友達以上恋人未満な間柄から進展なく過ごしてきた。
やはり幼馴染ってのはそういうものなのだろうか?
だけど、この世界に来て進展したような気がしたんだ。
女の子の体に戸惑う俺を双葉はいろいろサポートしてくれた。
あのときも……
「……へぇ エルフの体って、やっぱり綺麗なのね」
「双葉!? どうして風呂に入ってくるんだ!? し、しかも裸で!」
こちらで最初に入浴した時……俺は初めて双葉の裸を見ることになった。
……初めて見た女の子の裸としては、自分自身の……「クローディア」の裸だったけど……
「裸でって……お風呂は裸で入るものでしょう?」
「だからっ! 俺に裸見せて恥ずかしくないのかよっ!?」
「……まぁ……それは……でも、ここには女の子しかいないしっ!」
そう言うと双葉はいきなり俺の胸を掴んできた!?
「わふぅ!? お、おま……いきなり何を……!?」
「いい形の胸……でも大きさは少しだけ私のほうがあるかな……?
……じゃなくて……清彦が女の子の体きちんと洗えるのかなって」
「え……?」
「敏感なところあるから、どう洗えばいいか教えてあげる……うりゃっ!」
「双葉、ちょっとそこ駄目!?」
そんな感じの裸のスキンシップとかして双葉との距離が
以前より近づいた気がしてたんだ。
でもそれは間違いだった。
大きな間違いだった……
***
精霊王の導きにより賢者の石を探す旅にでた俺達四人。
最初に問題になったのは宿の部屋わりだった。
二人部屋で誰と誰の組み合わせにするか……というものだ。
俺としては双葉と同じ部屋にしたかったんだけど却下された。
俺と双葉は、この世界の知識を教わる必要があるのと
女同士の組み合わせでは何かあったときに危険だからだ。
あとはクローディアとカルロスのどちらにするかだったけど
カルロスと双葉の組み合わせになるのはどうかと思ったのと
自分自身の体と同じ部屋で寝るってのが気恥ずかしかったので
俺とカルロス、双葉とクローディアという組み合わせになった。
見た目的にも自然だし、本来は同性同士の組み合わせ……
問題はないだろうと俺はその時は思っていた……
***
カルロスからはいろんなことを教わった……
この世界の歴史……常識……エルフ王公貴族としてのありかた……
そして戦い方……精霊魔法!
剣術は及第点以下だったけど、精霊魔法はカルロスも驚くほどに上達していった……
元の世界には存在しない魔法に興味があったのと、元々クローディアの体に
秘められていた潜在能力がズバ抜けていたのだ。
クローディア本人はその気性から剣術ばかり好み、魔法には全く興味がなかったようだが。
魔法の上達をカルロスに誉められたのは嬉しかったけど、
もうひとつ誉められた件は複雑な気持ちになった……
「素晴らしいぞ……もはや、お前のエルフ女性としての礼儀、言動、たたずまいは
本来のクローディアの遥か上をいっている……」
***
賢者の石を捜索する旅は厳しいものだった……
石そのものの場所はおおよその位置を精霊が教えてくれた。
だが、そこは険しい山脈だったり深い洞窟だったり暗黒の海の底だったりした。
そして……妨害者や俺達の他にもいた石の欠片を探す存在……
野党の集団……不老長寿を望む大富豪……闇組織「赤き王」の軍団……
俺達はそれらと戦い……なんとか石を集めていった……
戦いは俺とカルロス、双葉とクローディアという組み合わせでパートナーとすることが多かった。
それぞれの戦いの師弟同士というのもあって一番うまい組み合わせだったからだ。
それはしかし……生死をともにする一番近い存在という意味にもなったんだ……
そして……肉体としては男女の組み合わせだった……
***
四つめの石をてにいれた時だった……
双葉が「赤き王」のナンバー2「黒き道化師」に捕まってしまった!
道化師を単身で追ったクローディアとはぐれた俺とカルロスのもとに
「赤き王」からの手紙が届いた……
内容は双葉を無事に返してほしければ石全てを渡せというものだった。
やむを得ず石を渡しにいった俺とカルロスだったが、その約束は破られた。
「……返すつもりだったが、あの娘を気にいったので嫁にすることにした。
貴様らは殺すところだが、あの娘の願いもあって命だけは助けてやろう」
俺達は闇組織本部の地下牢にとらわれてしまった……
武器を奪われ囚われた俺達だが、俺の精霊魔法への対策は完全ではなかったようだ。
大地の精霊の力を借りた俺はカルロスとともに地下牢を脱出、そのまま本部中枢に突入した!
狭い本部内では多人数では十分な動きがとれないようで、俺とカルロスは敵を各個撃破しながら
ついに赤き王のもとにたどり着いた!
そこには赤き王……そして螺旋階段の上に黒き道化師……
さらにその上の空中牢に双葉の姿が……!
「ぬぅぅ……こざかしいゴミどもめ……残念だが……道化師よ、双葉を始末せよ!
やめてほしければ道化師が双葉を殺す前に……貴様らはここで自害するがいい!」
絶体絶命の俺達……だが次の瞬間……天井が割れ、一人の男が道化師に斬りかかった!
あれは俺!?
……いや、クローディアだ!
「黒き道化師は私にまかせろっ! 君達は赤き王を倒せっ!」
「おのれ! ならば未完成とはいえ古代の魔導竜神ガルヴァレラスの力を見せてやるわっ!」
竜を模したゴーレムに乗り込んだ赤き王との決戦が始まった!
戦いは今までのなかで一番厳しいものとなったが、ついには赤き王はゴーレムとともに最期を遂げた……!
俺達の勝利だった……!
……上を見上げると、道化師を倒したクローディアに抱きつき泣いている双葉の姿があった……
「きっと……きっと助けにきてくれるって信じてた……信じてたよう!」
***
そしてそれからしばらくした後……七つめの……最後の欠片が揃い、
ついに賢者の石は完成した!
あとは力が満ちるという光の洞窟へ向かうだけ……
その日の夜だった……
俺は夜中に目が覚め、何気なく双葉とクローディアの部屋のほうへ歩いていった……
部屋に近づくとなにやら話し声がする……
まだ起きているのかな……?
そう思い部屋の扉の前にたった……
そして聞こえてきたのは……
「今は……今だけは感じていたいの! 貴方を……貴方の温もりを……!」
頭の中が真っ白になった……
双葉は何を言っている……?
双葉は何をしている……?
誰と……何をしている……?
部屋の扉の鍵は……閉まっていなかった……
俺はある予感とともに扉を音をたてないように
静かに……静かに開けた……
……そこには……裸で抱き合う二人の……若い男女の姿があった……
男のぺニスは……女のヴァギナを貫き、前後に動いている……
女はそのぺニスによって与えられる快感に悶えている……
女が痛みに耐えている気配はない……
二人が交じりあうのは今夜が初めてではないようだ……
女は……双葉。
俺の幼馴染で……将来は清彦と結婚するかなと言っていた少女。
男は……清彦。
双葉の幼馴染で……いつかは双葉と結ばれるかなと思っていた少年。
抱き合い……そして……交じりあう二人の姿は……
その思いが現実になった証のようだった……
ただ……
ただひとつ問題があるとすれば……
その「清彦」は俺ではなかったことだ……
「……双葉……許されるなら私も……いつまでも君を……感じていたい……
だが、すまない……それは許されないことだ……それでも……それでも……」
クローディア……
それが「清彦」の姿をした少年の本当の名……
本来は清彦ではない……
本来は男ではない……
けれど「彼」は男として双葉を愛し、双葉もまた「彼」を愛しているようだ……
双葉の……お風呂でみた双葉の魅力的な肢体が……
「彼」によって引き締められた「清彦」の肉体によって貫かれている……
二人は……愛しあっている……
そう思うと……窓から差す月明かりに照らされたその光景は……
残酷にも……とても美しいものに見えてきた……
「清彦……今だけ貴方を「清彦」って呼んでいい?」
「ああ……うん、いいよ……私は……いや、俺は「清彦」だ……」
「ありがとう清彦っ! ……清彦も私を感じてっ! 次はもう違う姿だとしてもっ!
今は貴方が私の愛する清彦っ! 大好きな清彦なのっ!」
「双葉……! 俺も双葉が好きだ! これが運命のいたずらだとしても!
後悔はしない……君を愛したことを!」
「清彦……清彦ぉ!」
その光景は……未来にそうなるかなと思っていた光景だった……
双葉と清彦……二人の幼馴染は愛し合い恋人になった……
けれど……その「清彦」は俺じゃあない……
双葉を貫く「清彦」は俺じゃあない……
双葉が愛する「清彦」は俺じゃあない……
『将来は清彦のお嫁さんになるかなあ……』
そう言っていた双葉は今……「彼」を愛している。
「彼」に愛されている。
幼き日の言葉はしょせんは真実ではなかったのか……
いや……そうじゃないかもしれない……
あの日の言葉は真実……
だって「彼」は「清彦」なのだから……
この旅のなかで双葉にとっての「清彦」は「彼」になって
「彼」……「清彦」と本当の愛で結ばれたのではないか……
もう「彼」こそが「清彦」なんだ……
「双葉っ……! もう……射精(で)そうだ!」
「きてっ! 私の中に貴方のを注いでっ!」
「双葉……双葉!」
「清彦……! ……ああああっ!!」
「清彦」の精を胎内でうけとめ、「清彦」にキスをする双葉の姿を見て……
……俺は音をたてずに扉を閉め、自室へもどることにした……
……どうすればいい?
これから……俺とクローディア……いや「彼」は元に戻るというのに……
それは……双葉は本心では望んではいない……
「彼」ももちろん望んではいない……
戻ったら双葉も「彼」も幸せになれない……
なのに……戻ってもいいのだろうか……?
そう思いながら自室に入ると……カルロスが起きていた……
「カ……カルロス……ごめん……起こしちゃったかな? ……あれ?」
そう話すと口回りに水分を感じた……涙……?
気づかずに俺は泣いていたらしい……
「あは……カルロス……いや違うから……これは……
眠いからでただけ……でっ……お……俺……俺はっ!」
誤魔化そうとしてもダクダクと流れ出る涙と嗚咽をもう止められなかった……
カルロスをそんな俺の前にたち……俺を無言で抱きしめ……
俺に……キスをした……
「カ……カルロス……?」
カルロスに……男にキスされた……?
でも……今、俺は不思議と嫌じゃなかった……
「カルロス……俺……俺は……!」
だが……もうそれ以上は言葉にならなかった……
カルロスの厚い胸で泣くだけ泣くと、俺はそのまま
カルロスに抱きしめられながら眠ってしまった……
***
「答えは自分自身で決めるがよい……その答えがなんであれ私は受け止めよう」
あの朝、俺はカルロスと同じベッドで寝ていた……
慌てて起きた俺に告げたカルロスの言葉に……
俺は一番正しい答えをだそうと思った……
その答えがこれだ……
今……俺はクローディアを「清彦」として
双葉とともに元の世界へ送り出した……
そして俺はこの世界へ残された……永遠に……
これでよかったはずなのに……今また溢れる涙を止められない……
そんな俺の背後からカルロスが俺を両腕で包んだ……
「カルロス……これで……これでよかったんだよね……?」
「約束どおり……お前の答えを受け止めよう……そうだ……
お前は正しい……そして悲しむことはないのだ……」
「カルロス……」
「その悲しみは「清彦」としての悲しみ……だがこれからのお前は……
……双葉の運命の相手があの「清彦」だったように……
私の運命の相手はお前なのだろう?……「クローディア」」
そう俺に問いかけるカルロスに……俺は答えをキスで返した……
俺の体は……カルロスを求めていた……!
「カルロス……俺を……「私」を貴方の「クローディア」にして……!
「私」を本当の「クローディア」にして……!」
そして……「私」はカルロスに一糸まとわぬ裸をさらした……
カルロスもまた全裸となる……
あの宿で見た光景のように……裸の男女がそこにはいた……
「私」はカルロスにお尻を撫でられ胸を吸われながら
自分を愛する男に捧げられる喜びを感じていた……
運命……そう、これが運命!
「清彦」とは……あの「彼」のことであり、「クローディア」もまた……
「私」のことだったんだ……
結ばれそうで結ばれなかった清彦と双葉、カルロスとクローディア……
だがそれは本当の自分じゃなかったからだ……
クローディアとして生まれた「彼」は「清彦」として双葉と結ばれ、
清彦として生まれた「私」は「クローディア」としてカルロスと結ばれる……
それが本当の自分……それが運命だったんだ……!
「いくぞ……クローディア」
カルロスの言葉に私が頷くと……太いモノが私の下半身に入ってきた……!
私……カルロスのぺニスを受け入れているんだ……
……カルロスを男、自分を女として考えることが……この旅のなか何度もあった……
カルロスに惹かれることが何度も……
でも自分は「清彦」なんだ、男なんだ、愛しているのは双葉なんだって
無理矢理否定してきた……
その否定も……あの宿の夜以降はできなくなっていって……
今やっと認めることができたんだ……
双葉が愛した「清彦」が「彼」だったように……
私のほうがクローディア……女だったんだって……
だからカルロスを愛しても何の問題もないんだって……
事実……いま私を貫いているカルロスは男であり、カルロスのぺニスに貫かれている私は
紛れもなく女である……
そして女として初めてを捧げた証……赤い血が二人の交わるところから流れている……
それらに私は処女を失った痛みのなかで喜びを感じていた……
やがて……カルロスの精を胎内で受け止めた私は思った……
ああ……この幸せを双葉も感じていたんだな……と……
***
さらに半年後……サウスエルフ王城では婚礼の儀が行われていた……
王太子カルロスとクローディアの結婚である……
この日……私はクローディアとしてカルロスの妻となる……
「クローディア……後悔はしないな?」
「何故? 後悔などしないわ……だって……貴方が私を幸せにしてくれるんでしょう?
……私の愛しい旦那様……」
「……当然だ」
カルロスと結ばれた日……賢者の石は再び砕け散ると
四方八方に散っていった……
エルフにとっては百年の時間は長いものじゃあない……
百年後に賢者の石は再び願いを叶える力をとりもどすだろう……
でも……その時にまた集めようとは思わない……
何故ならば私の幸せは「ここ」にあるから……
そうして私はカルロスにキスをした……
カルロスが私を愛するように……私も永遠にカルロスを愛するから……
そう……私の胎内に宿った命に誓いをたてながら……
他の三人は関係性など含めてキャラクターが立っているのですが
カルロスのキャラクターがもう少し強調されているといいかなと思いました
もっと後日談が読みたいです♪