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クリスマス・サプライズ

2013/04/07 01:35:10
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久しぶりの休日の午後、俺はいつものようにPCの前に座って日課のネット巡回に励んでいた。
春先から職に就き、独り暮らしを始めて半年と少し。自分以外誰もいないワンルームの中は静かで、僅かにPCとエアコン、そして冷蔵庫が自らの存在を誇示するかのように時折低い作動音をたてている。
もう半日以上はモニターの前に居ただろうか。動画を見終わった俺はウィンドウを閉じると椅子から立ち上がり、窓のカーテンを開け外の様子を伺った。
窓の外は、花びらのように空からし舞い降りる雪が積もり、見慣れたはずの街の景色を白銀の世界へと変貌させていた。
綺麗だ。本当にそう想う。しかしこの様子では、近くのスーパーへ買い物に行くのに難儀しそうで少々気が滅入るが。
「そういえば、今日はイブだったなぁ」
駅前の鮮やかな電飾が目に入り、今日が何の日だったかを思い出した。
今日は聖夜。クリスマス・イブだ。
腕を組んだカップル達が、仲睦まじそうに腕を組みながら歩いているのがちらほらと見受けられる。
「はぁ」
大きくため息をついて俺はうなだれ、部屋の半分近くを占有するベッドの上に倒れこむ。

名前:河上和雄。25歳会社員。独身。彼女・・・・・・なし。これが俺の現在のプロフィール。

ついに今年もやってきてしまいました。彼女の居ない孤独な聖夜。
寂しい。寂しいぞっ。今年は独りになったせいもあって、いつもより孤独感がひどい。
何故だ!? 何故俺には彼女が出来ない!?
学生時代から自分なりに身だしなみや言葉使いには気を使い、友人の催す合コンでは自分なりに積極性を持って女の子と接しているはずなのに、いつも売れ残るのは俺一人。
上手いこと相手とメアドを交換することが出来ても、出したメールに返事が返ってくることはない。
しまいには相手からストーカー呼ばわりされて警察沙汰寸前の事態に陥ることも・・・・・・。
何というかもう、これは宿命なんだろうか? 俺には異性が寄り付かない呪いでもかけられているのだろうか?

いや。例え彼女が出来たとしても俺の心の隙間は埋まらないのかも知れない。
薄々感じてはいたが、俺の理想とする女は・・・・・・。

その時、見上げた天井に青い光が走るのが見えた。もちろん電灯の光じゃない。
それはまるで空間を裂くかのようにギザギザに広がり、その中から人型をしたシルエットが近づいて来るのが見える。
「・・・・・・!! ・・・・・・!!」
声にならない悲鳴を上げながらそいつは光の中から抜け出し、ドサリと音をたてて部屋へと落下した。
そう。寝転がった体勢のまま、逃げる場所も無い俺の体の上に。

■■■■■

「ぐえっ!!」
落っこちてきた物体にみぞおちを強打され、俺は溢れんばかりの激痛に悶絶した。
更に遅れてもう一度脇腹に硬い衝撃。それは小ぶりのアッタシェケース。
衝撃で震えた胃袋から胃液が逆流し、口の中が苦味と異臭で覆い尽くされる。
「すまん。大丈夫か!?」
誰かが俺を呼ぶ声が聞こえる。だがおかしい。部屋の中には俺以外誰も居ないはずだ。
少なくともさっきまではそうだ。痛みが落ち着いたところで恐る恐る目を開ける。
「おーい。俺が分かるかー?」
目の前には金髪で小柄な、とびきりの美少女が心配そうにこちらを見下ろしていた。
「君は・・・・・・?」
痛む腹を押さえながら俺は立ち上がる。何故だろう? 初めて見る顔の筈なのにそんな気がしない。
それどころか、不思議な親近感すら感じられる。
『彼女』は自分と同じ――。心のどこかにそんな感覚を覚えていた。
「いやー。いきなり痛い思いをさせてすまなかったな。
こっちも急なことだったんで膝から落ちてしまったんだ。いやーすまんすまん。だがおかげで俺は助かった」
少女は申し訳なさそうに手を合わせながらこちらに頭を下げる。だがその声は愛らしい容姿からはとても想像できない太い男の声だった。
「挨拶がまだだったな。メリークリスマス、兄弟。
言っても分からんかも知れんが、俺は『お前』さ。こことは違う世界で生きる『お前』と同一の存在なんだ」
「『君』は俺? 違う世界で生きる俺自身――?」
どうしてか彼女の言っていることはすぐに理解し、確信できた。
彼女とは遺伝子というか魂と言うか、存在の『本質』がどこかで繋がっているのだろうか?
「俺はプレゼントさ。せっかくの聖夜だというのに恋人もおらず、友人の都合もつかずに寂しい思いをしてるお前へ、な。
さ、せっかく仕事中に時間を明けて来てやったんだ。楽しい聖夜にしようぜ」
ドカッとベッドに腰を下ろしながら彼女は微笑む。
片膝を立て、スカートの裾が捲れあがってその中が・・・・・・。
・・・・・・白。
「・・・・・・見えてるぞ」
「見せてんだよ。言わせんな恥ずかしい」



目の前にとびきり可愛い女の子がいるというのに、出せるものがないというのはつらいところだ。
淹れたてのコーヒーと買いだめしていたお徳用チョコを差し出すと、彼女は嬉しそうにそれに飛びつきながら自分の身の上を語り始めた。
「おお、この世界のコーヒーは香りから違うなぁ。いわゆる天然ものって奴か。
それに比べるとこっちのAカフ(代用コーヒー)なんて飲み物じゃないな」
彼女の世界は発達した市場経済が政治、司法をも飲み込み、あらゆる価値観が数値化された経済的利益へと置き換わった、少し未来の地球。
肥大化した市場原理の中、絶えず流動する貨幣、物資、人的資源を維持できなくなった従来の大国はその立場を失い、その代わりに幾つもの国を股にかける多国籍企業が後釜に座った。
彼等はその莫大な資本を背景に各国の政体を取り込み、自身に有利な政治を行わせて更に多くの利益を得た。
多くの市民が得るべき権利を犠牲にして。

彼女はそんな世界の裏側を駆けるフリーのエージェント。悪く言えば職業テロリストと言う奴だ。
国家とは違い、企業は直接武力を用いた紛争は好まない。
あからさまな武力の行使は彼らの出資者である株主の不信を買い、株価や資産の価値の低下を招くことに繋がるからだ。
だからこの時代の企業や力ある個人、諍いごとで自らの手を汚すことを嫌う者たちは、外部からのエージェントを雇う。
非合法活動のエキスパートにして、この管理社会の軛から離れた顔の無いプロフェッショナル。
市民番号を持たず、いざというときには雇い主との一切の関係を否定可能な、都合のいいスケープゴート。
『クライマー』と呼ばれる彼ら職業テロリストは、企業戦争の代行者として死と隣り合わせの都会のジャングルを駆け抜けていくのだ。

通販で買った洋画のDVDを見ながら、俺は彼女の世界の話を聞いていた。
しかしまぁなんつーか、シビアな世界もあったもんだ。自分があの世界に生まれなくて本当に良かった。
自分が彼女の立場だったら、何一つ仕事もこなせないまま路地裏で屍をさらすことになるだろうな。
平和な時代に生まれて何よりだ。これから先も平和かどうかは分からんが。
あ、そうだ。そういえば一つだけ心に引っかかってたことがあった。
「それで・・・・・・。お前は何で女の姿を?」
今まで気になってしょうがなかったがようやく言えた。
声や仕草、話し方を見ている限りこいつの動きはどう見ても男だ。しかしその外見はどこから見ても女。
個人的にこのギャップには萌えるのだが、一体何の必要性があってそんな姿をしているのだろうか?
「ああ、これか? こいつはな・・・・・・」
自分の顔をぺたぺたと触りながら、彼女は再び話し始めた。

今の彼女の姿は、先程説明した『ビジネス』に関係するものだった。
そう。この愛らしい少女の姿は、彼女の素顔じゃない。
これはスキンモジュールと呼ばれる、最新のテクノロジーを用いた変装ツールによって作られた偽りの姿。
ある企業の機密情報を盗むために、そこの重役の娘の姿を複製したものらしい。
彼女はその姿を利用して『父親』である重役に近づき、機密を持ち出しを謀ったのだそうな。
その出来栄えは見事なものだった。見た目、手触り、体温、どれをとっても本物の人肌とまったく同じ質感を持っていたからだ。
またスキンは擬似的な代謝機能を備え、環境の変化や着用者の感情にあわせて表現を変えることもできる。
中の人が照れればスキンの顔も赤くなり、寒くなれば代謝が低下して肌は白くなるわけだ。当然暑ければ汗もかく。
これらの外見は、出来合いの容姿データをオンラインからDLすることで容易に使うことが出来るが、彼女のように特定の人物に成りすますには入念な生体データの入手とそれらを再現する成形技術、そしてオリジナルの声や仕草、癖などを完璧に把握し模倣できる演技力など、かなりの技術を必要とするらしい。

「証拠を見せてやるよ」
そう言って彼女は顎の下からゆっくりと指先を潜りこませた。
少女の目口から生気が失せ、指の形に盛り上がった顔面がグロテスクに崩れていく。
そのまま腕を持ち上げるとまるで覆面を剥ぎ取るように、ズルリと少女の頭部の皮が剥ぎ取られた。
中身の無い虚ろな少女の生首が、彼女の手先からだらりと垂れ下がる。
「こいつが出来る前はラテックス製の変装スーツを使ってたんだが、見た目はともかく手触りは悪いし通気性は無いわで大変だったな」
そして愛らしい少女の顔の下に隠れていたものが、俺の目前に姿をあらわした。
そいつの姿は不気味なものだった。皮膚の無い、筋肉が剥き出しになった人間の頭部に似ている。
俺は昔学校で見た人体模型を思い出した。色は真っ黒だが、それの外見は機械仕掛けの人体模型と呼ぶのがふさわしい。
これもまた、彼女の使っている変装ツールの一部だ。
これは『スクイーズ・スーツ』と呼ばれる。着用者の体型を補正し、身体能力を強化する超薄型のパワードスーツだ。
擬似声帯や眼球と口腔部を覆う擬態膜、着用者の体型を全く違うものに変えてしまうことが出来る。
場合によっては擬似生殖器を備えたタイプもあり、それの着用者は異性としても振舞うことが可能だと言う。
もっとも、男性が女性に擬態するのは相当の技量が必要らしいのではあるが・・・・・・。

「そんでもって俺がこの世界に来たのは、お前に呼ばれたというのが最大の理由さ。兄弟。
河上和雄25歳独身、彼女イナイ暦25年。多くの友人が彼女持ちor結婚済みで今年も孤独なクリスマス・・・・・・」
「大きなお世話だっ!!」
腹立つなぁ。お前は嫌味を言うためにわざわざ世界移動してきたのかっ!?
「そう怒るなよ・・・・・・。気を悪くしたら謝る。自分同士で喧嘩してもつまらんぜ。
でもお前自身、せっかくのイブを一人で居るのは嫌だ、とは思ったんだろう?
出来れば自分の理想の女と過ごしたい、ともな」
そ、それは・・・・・・否定できない。
「その思いが、俺をこの世界に呼び寄せたのさ。
他世界にいるお前の同位体には女がいなかったから、女に化けられる俺が呼ばれたんだ」
「そして俺もまた、世界から逃げたいと思っていた。
ぶっちゃけるとお前に呼ばれた時、俺は仕事でしくじって追われていたんだ。文書の持ち出しには成功したがもう少しで捕まるところだった。
俺が生きてるのはお前が呼んでくれたからだよ。お前は命の恩人だ、感謝してる」
「そ、そうなのか? 言われても実感ないけどな。しかしなんで俺が呼んだ、なんてこと分かるんだ?」
「世界移動の途中でその記憶が頭の中に入ってきたんだ。異世界の『俺』が俺を呼んでいるってことをな。
多分この世界に来て混乱しないように神様か誰かが配慮してくれたんだろうな。
もしそれがなかったら、俺は真っ先にお前を昏倒させたかも知れん」
それはなによりだ。おかげで女の子に殴り倒される最悪のイブにはならずにすむ。
俺は二人を引き合わせてくれたた何者かに深く感謝した。

「さて本題に入ろう。俺はどんな人物の姿にもなれるし演じられる。
見ての通り女の姿にもだ。もちろんベッドの上でも女として演じきって見せるぜ。
俺を抱くかい? 並みの女よりは気持ちよくさせられる自信はあるんだ。
この世界に来る少し前にも、この顔でオリジナルの彼氏と・・・・・・」
手元にぶら下がっていたスキンを被り直し、再び少女の顔になったもう一人の『俺』は、ずい、と体を前に乗り出した。
艶かしく舌なめずりをしながら、誘うように指先で俺のあごをクイ、と持ち上げる。
「ちょww ちょっと待ってくれ!!」
うーん。個人的にその申し出はありがたいんだが・・・・・・。俺にはまだ心の準備が・・・・・・。
それと……。
「自分とヤるなんて近親相姦みたいで嫌だってか? 気にすんな。高度なオナニーだと思えばそう悪いもんじゃないぜ。
ひょっとしてこの外見はお好みじゃないか? だったら希望の容姿を言ってくれ。その姿にすぐ『着替えて』やるよ
声だって変えてやるぜ、こういう風にな」「えへへ。お兄さんの好きな声でえっちしてあげるね☆」
何の前振りもなく、少女の声が男のものからその姿相応のものへと変わり、俺は一瞬ドキリとした。
お見通しだったか。自分自身にはかなわないな。
「遠慮するな。女としてお前を愛してやることは出来ないが、最高の快楽をプレゼントしてやるよ。
と、……言いたいところなんだが、その前に……」
その時。少女のお腹がぐぅ、と可愛く鳴った。
「腹が減った。すまんが何か食わせてくれないかー。あと一服する時間も欲しい」
「そうだな。じゃあ外に食いに行こうか。ちょっとしたイブのデートってことで」
時計に目をやると時刻は16:30。裸でハッスルするにはまだ少し早い。
「同感だ。そうと決まれば善は急げだ。この世界の食事かー、楽しみだなあ。
おっと。すまんがこの時代の通貨は持って無いから、代金はお前持ちで頼むな」
やっぱりな。分かってるよ、出してやるってそれくらい。

給料日前なので持ち金はあまり多くないが、二人分の食事代くらいなら充分に出せる。
外行きの服に着替え、少女を連れて部屋の外に出る。
「さて、何処に行こう? 何か希望はあるか?」
「お前の稼ぎは大体予想つくから、普通の飯屋でかまわんぞ。
和食洋食中華なんでも来いだ。原料さえしっかりしてるんらな。
この世界は遺伝子改造しまくった、キメラ肉が出てくるなんてことはないんだろ?」
「怪しい食材はたまにネットで話題になるが……、そこまでヤバくはないと思う。
……ってか稼ぎがうんぬん、は余計だよ」
「ハハハ……。悪い悪い」
こうして話していると女の子とのデートというより、悪友とぶらついてるみたいな感覚だな。
やがて駅ビル前の広場の、派手な電飾が施されたツリーの前にやって来た。
広場は待ち合わせと思しき人々でごった返し、中には恋人同士と思われる男女の姿がちらほらと目に入る。
「腕、組もうか?」
人前に出た途端、相方は声を女の子のものに変えて、俺の腕を両手で抱き寄せようとした。
その胸の僅かな感触が腕に伝わってくる。一瞬で俺の心臓は爆発的な加速を見せ、顔面が熱くなっていくのを感じた。

「ちょっと待った!!」
慌てて俺は彼女から身を離した。数歩後ずさって後ろの通行人にぶつかりそうになる。
いかんいかん。彼女の外見は14-16歳くらいの子供だ。それに比べて俺は25歳のいい大人。
それが腕を組んで歩くのは、何と言うか非常に体裁が悪い。
どう見ても少女売春とか援交とか、後ろ暗い単語が浮かんでくる。
相方はそんな俺を見て大爆笑。
「アハハ、おかしい。お兄さんまるで童貞さんみたいーーww」
う、うっさい!! 童貞で何が悪いっちゅうねん!!
くそ、くやしいぞ。言い返せないorz。
「まあそう落ち込まないでよ。お兄さんが童貞だからって、あたしは馬鹿にしたりはしないよっ。
男は生まれた時はみんな童貞だもんね。お兄さんは童貞を卒業するのが少し遅れただけなんだよ。
でも安心して。お兄さんのチェリーはあたしが今夜貰ってあげるからww」
人の気も知らんで、そういう言葉を人前で連発するなっ!!
恥ずかしさで死にそうになりながら、俺たちは広場を通り抜けた。

駅ビルを越え、商店街の中に入った俺たちは、裏通りにある洋食屋の前にいた。
「着いたぞ」
ここは何度か友人に連れて行ってもらったことのある店だ。
少々値は張るが味は抜群で、またチェーン店のような安っぽさもなく、女の子を誘うにはちょうど良い店だ。
しかし偽者とは言え、女の子を誘うのは今日が初めてだ。
「いらっしゃいませー」
店員に案内してもらい、二人で席に座る。
「おー。中々洒落た店じゃない」
「だろ? 友人に教えてもらった店なんだ。普段は一人じゃ来ないとこなんだけどな。
さ、遠慮せずに何でも頼んでくれ」
「うん。じゃあ遠慮なく。
あ、質問だけど、注文はそこの見本を見て、直接店員さんに頼むんだよね?」
「そうだけど、何でそんなことを?」
「うちの世界はオンラインで注文するのが普通で、店に入っても店員さんは出て来ないの」
「空席の案内とかはどうなってるんだ?」
「店内の様子は常時オンライン上で発信されてるの、こちらが検索すれば空席とか、注文できる品物から所要時間は元より原材料の出荷元まで、必要な情報がすぐに確認出来るようになってるわ。
空席を確認したら店に入って、オンラインで注文をして、後は来るのを待つだけ」
「ほえー。便利な世の中になってるんだなぁ」
「便利といえば便利だけど、逆に言えばこの手のサービスの提供を受けるため、うちの世界の住民は個人情報の全てをオンラインで管理されているの。
市民番号から免許証、パスポート、医療履歴、保険データに預金残高、そして犯罪歴もね。
それらの個人情報のデータは携帯端末の中で一元化して管理され、資格を持つ人はいつでもデータを閲覧出来る。
もちろんお兄さんが、通販で大人のオモチャを買った記録とかもね」
まるで知っているかのような口は利かないでいただきたい。
「通貨も電子貨幣としてオンラインでやり取りされてるから、この世界のように貨幣の受け渡しをする機会は少ない、と言うかほとんど無いわね。
そして電子貨幣の認証には市民番号の提示が必要だから、市民番号を持たない非登録民や難民はバスに乗るのにも難儀するようになるの」
「ふえーー。ややっこしい時代なんだなぁ」
でも、この世界が同じようになるまでに、そう時間はかからないかも知れないな。

「御馳走さまー。あー、美味しかったー。やっぱりこの時代の食べ物は違うなぁ。ありがとね、お兄さん」
会計を済ませた後の財布の中は、野口さんを数枚残すのみとなっていた。
スキン・モジュールへのエネルギー供給のため、着用者はかなり大食いになるらしい。
そのためか少女は、その体格に似合わないほどの、大量の食事を腹の中にかき込んでいた。
食事を終え腹いっぱい、しかし懐は空っぽになった俺は、相方と一緒に家への道を歩いていた。
冬場の昼は短い。店を出たときには既に日は暮れ、外は真っ暗な夜空に覆われていた。
花びらのように舞い落ちる雪は、暗くなっても衰えることなく純白に染まった街を彩っている。
寒い。
当たり前のことだが、日が落ちてから一段と冷え込みが厳しくなってきた。
「寒いねー」
はー、と白い息を吐きながら、彼女が俺の方へと寄りかかってくる。
「えへへ。お兄さんの体、あったかーい」
「おいおい、よせよ」
「やだよー。だって寒いんだもん」
さっきまでは悪友同士みたいな感じだったが、今は何だか少し歳の離れた兄妹みたいだな。俺達。
「そうだねー。早く家に帰って、お部屋の中で一緒に暖まろうよー」
はいはい。分かってますって。でもその前にその姿を俺好みに変えてもらわないとな。
今の姿も嫌いじゃない、というがむしろツボなんだが、それを抱くのは何だかとてつもなく後ろめたい。

「たっだいまー。さーてとっ、いい時間になったし早速『お着替え』しようかなー」
家に帰ってきた途端、彼女は上着のポケットの中からPND(個人用ネットワーク端末。スマホの発展型みたいなやつだ)を取り出し、外装式の巻き取り型スクリーンを展開。いくつかの操作の後に画面をこちらに向けた。
画面の中には年齢性別を問わず様々な容姿の、生まれたままの姿をした人間の画像が映し出されていた。
「これはスキン・モジュール成形用のアプリだよ。
ここでインナー(スクイーズ・スーツ)の体型やアウター(アウター・スキン)の外見を設定するの。
身長や体型、肌の色はこの中のモデルから選んで、細かい設定はここのシークバーで細かく設定できるの。
さあ、お兄さんやってみて」
「お、おう」
モニターはタッチパネルを兼ねていて、指先で触れるとモデルのウィンドウが拡大し、シークバーを操作すればモデルの体型が少しずつ変化する。
ネットゲームのアバターを作っているような感じだが、設定項目が半端ない。なにせほくろやシミの形や位置、果ては乳房の張りや弾力まで設定できるのだから。
「中々難しいでしょ。実際に一から作るととんでもない時間がかかるから、ある程度はAUTOEDITしたほうがいいよ。
それでもって、どうしてもこだわりたいところだけ手動で設定するのがベターね」
ふむふむ。ならここはAUTOに任せて、ここをこうして……、と。
しかし慣れない手つきでは、設定が終わるまで結構かかりそうだな。

案の定設定には一時間ほどかかってしまった。一度理想を追い求めると時間がいくらあっても足りないな。
「できたぞ」
部屋の隅に座り込んだ、少女に扮した自分の分身に声をかける。だが返事が無い。
「ZZZ……」
よだれ垂らして居眠りしてやんの。
「おーい。起きてくれ。設定できたぞーー」
「ムニャ……。あ、ごめん。ついウトウトしちゃった。仕事の緊張感がないからつい油断しちゃうのよねー。
ではお兄さんの理想の女の子の姿を拝見……」
スクリーンを覗き込み、彼女は画面に写った女の姿を検分。
「やっぱり世界が違っても、『自分』は自分なんだねー。あたしも大好きだよ、こんな女の子」
「そ、そうか?」
「こっちとしても今よりは化けやすい体型だし。やりやすくて助かるわ。じゃあ早速『着替え』るね」

上着とスカートを脱ぎ捨て、下着姿になった彼女は両手首に巻かれていたリストバンドのようなものを外し、脱いだ衣服の上に置いた。
服の上からでは分からなかったが、リストバンドの中には幾つかの細い刃物のようなものが挟まっているのが見えた。
「それは?」
「投げナイフ、だよ。お兄さん」
「それもお前の仕事道具、なのか?」
「まぁね。仕事柄荒事は付き物だから」
「近未来だってのに結構ローテクなんだな。銃とかは使わないのか?」
「あたしの世界もこの日本同様、銃規制は厳しいんだよ。
猟銃ならともかく、隠匿の出来る拳銃や、連射の利くマシンピストルは中々手に入らないの。
手に入るとしても密造された粗悪品がいいとこね。もち弾薬も同様、自分の銃に殺された同業者は山ほどいるわ」
それに減音器を付けた銃でも音を完全に消すことは難しいし、消せたとしても火薬の臭いは残るし、調べられたら硝煙反応も出る。
でかくなるから隠し持つのも大変だしねー」
「それで投げナイフなのか?」
「そうだよ。これだったら音もたてず、臭いも残さずに獲物を仕留めることが出来るってわけ。
お兄さんはローテクって言ったけど、これもそれなりの技術は使っているんだよ。
セラミック製の本体は金属探知機には引っかからないし、刃先はモノ・コート(単分子素材コーティング)されているから切れ味も抜群。
ナノマシン素材を使って、刺さった後に傷口を抉るような形に刀身を変形させるタイプだってあるの。
あ、先に言っとくけどこれらには絶対触らないでね。下手すると指がなくなっちゃうから。脅しじゃなくてマジで」
それは恐いな。元より触る気はないけど、気をつけとかないといけないな。
よく見ると、ホルダーのナイフを収める部分には随分と空きがあった。つまりここに来る前に幾つかのナイフを投げていたわけだ。

大事なところを隠していた下着をスルスルと脱ぎ捨て、彼女は一糸纏わぬ姿になった。
どこから見てもその姿は十代半ばの少女の裸体だ。
すごいもんだ。これが全て作り物とは信じられないな。思わずゴクリと喉を鳴らす
目の前の少女に、俺は思わず見入ってしまっていた。
傷もシミも一つとしてない綺麗な肌。推定Bカップの少し物足りないバスト。そして茂みも揃わぬ下腹部の淫らなカーブ。
やや起伏に乏しいものの、これからの成長が期待できそうなボディライン。
「どお? お兄さん? あたしの体だって捨てたもんじゃないでしょ?」
大事なところを隠す素振りも見せず、まるで誘うような大胆で扇情的なポーズを決める。
「写真撮るなら今のうちだよ☆」
「だ、誰が!!」
「おーおー。意地張っちゃって。撮らないのならもう脱いじゃうよー」
そう言って彼女は自分の顔にグッと爪を立てた。愛らしい顔が醜く歪み、ペリペリと捲り上げられていく。

ズルリ……ポトッ。
ペラペラになった少女の頭部が床に落ちた。
ズルズル……ドサッ。
ペラペラになった少女の胴体と両腕が床に落ちた。
シュルシュル……ペタッ。
ペラペラになった少女の下半身が床に落ちた。
彼女の全身の皮膚が脱ぎ捨てられ、中から現れたのは人工筋肉が剥き出しになった機械仕掛けの人体模型。
俺は呆気にとられたままそいつを見つめていた。
真っ黒な体色の中、白目の部分が不気味に浮き上がり、その視線がこちらを向く。
「変装を解くのを見られたことは少ないけど、見た人は皆同じ顔をするんだね」
そりゃそうだろう。先程見たとはいえ、可愛い女の子の中からグロテスクなバケモン出てくるのを見てしまった時は。
ただ自分が感じていた感情は驚きだけではなく、性的な興奮もあった。
説明しづらいが、これはいわゆるギャップ萌えに近いものだろう。
姿形は女の子だが、その本質は全く違うもので、精巧な皮を被って女の肉体を装うこと。
そして装う必要がなくなった途端、皮を脱ぎ捨ててその本性が露となっていくところ。
俺はそういうものに途方もなく興奮するんだ。
昔何かのアニメであったなぁ。アンドロイドの女の子の皮膚が高熱で溶けてメカメカしい骨格が露になるとこ。あれは衝撃的だった。
あのシーンが自分に与えた影響は大きかったなぁ。

おっと、話が逸れてしまった。
こちらがが呆けているうちに、相方は部屋の隅で端末を操作して、スクイーズ・スーツの操作を始めていた。
チーという電子音、そしてグググ……と薄いビニールを引っ張るような音と共に、相方の体型が変化していく。
背丈が握り拳二つ分ほど伸び上がり、手足の長さもそれに伴って大きくなっていく。
肩幅が少し広がり、全身のボリュームが劇的に増えていく。だが腰周りの肉付きはあまり変化がない。
よって彼女のシルエットは、トルソ――ウエスト――ヒップのラインが魅力的な曲線を描いていった。
また、顔面部の造型にも変化が始まっていた。
骨格の操作によって顔の輪郭がシャープになり、人工筋肉の組成が変わりその顔つきも変化していく。
やがて機械音は止み、目の前の人体模型の体型はあどけない少女のものから、より大人びたものへと形を変えていた。

「インナーの再調整終了。後はスキンの定着を終えたら一緒に遊ぼうね、お兄さん」
少女の声のまま俺に声をかけた人体模型は、部屋の隅にあったアタッシェケースを持ち出し、俺の前で蓋を開いた。
「ほーら。秘密道具のご開帳だよっ」
その中にあったものの2/3は、沢山の折りたたまれた肌色の物体。
それが何なのか、この数時間で俺は分かるようになっていた。
あらかじめ成形を済ませておいた、変装用アウター・スキン。
老いも若きも、男も女も、肌の色も髪の色も様々な人工の人肌だ。
あるものはいくつかの部位に分割され、またあるものは全身が一体成形され、ケースの中に所狭しと詰め込まれている。
そして残りの1/3は、整髪量のスプレー缶のようなものが数個並んでいるのが見えた。
彼女の手がそれを一つだけ取り出す。

「それは?」
「あたしの世界で最近出回ってきた、最新型のムースタイプ・スキンだよ。
通常アウター・スキンの成形には、調整も含めると最低一時間はかかるの。
でもこれはインナーの上に吹きつけるだけで、中に封入されているナノマシン・コロニーがほんの数十秒程でスキンの生体組織を合成するんだよ」
うーむ。言っていることがよく理解できん……。
「百聞は一見に如かず、だよ。お兄さん。まぁ見ててよ」
そう言って人体模型は、缶の中身を全身にシューと吹き付ける。
ピンク色のエアロゾルはブクブクと泡立ち、彼女の全身を包み込んでいった。
それは僅か十数秒と経たないうちに凝縮され、スクイーズ・スーツの上にきめ細かな新しい皮膚が出来上がっていく。

不気味な筋組織が剥きだしになっていた顔の上には、凛とした美しい女性の顔が作り上げられた。
その頂から、艶やかで癖のない黒髪が、腰の辺りまで伸びていく。
鎖骨の僅か下には、男と赤ちゃんを魅了してやまない二つの膨らみが泡の中から姿を見せる。
そこから下は、先程設定したスクイーズ・スーツの魅力的な曲線を忠実にトレース。
無駄のないウェストと肉感的な太もも、それらを結ぶ魅力的な曲線が形作られた。
両目を空け、『彼女』は俺にクスリと微笑むと、その場でクルリと一回転。
綺麗な背中と、キュッと引き締まったヒップをこれでもかと見せ付ける。
「どうですか和雄さん? 私の体、気に入っていただけました?」
声も設定どおりだった。目の前にいたはずの不気味な人体模型は、ほんの30秒ほどで黒髪の和風美女へと姿を変えていた。
俺は、動揺のあまり彼女の問いに何も返すことが出来なかった。

「うふふふ。答えを聞く必要もなさそうですね」
目の前の美女は、一糸纏わぬ自分の体を恥らうこともなく俺の前に進み出た。
彼女の細い指先が、俺の腕を掴み自分の胸元に手繰り寄せる。
「触ってみてもらえます? 和雄さんの希望通りの出来になっているか見て欲しいんです」
俺の手先が豊かな乳房に触れる。温かく柔らかな膨らみの感触が伝わってくる。
大人になって始めて触れる女の体。それは自分が想像していたものよりもはるかに心地の良いものだった。
触れている時が経つごとに彼女の呼吸と脈動、そして動悸が感じられるようになってくる。
それは精巧に出来た、まがい物に過ぎないはずのものだが、俺は彼女の生命に触れている気がした。

「さあ、愉しみましょう。和雄さん」
彼女の手がズボンのチャックをこじ開け、興奮に昂ぶった俺の肉棒を取り出す。
「ふふふ、和雄さんたらこんなに大きくして……。もう前戯は必要ないかしら?」
冷たい指先が、俺の本体を優しく撫で回す。
「ううっ!!」
巧みな手技で一瞬果てそうになり、ついつい声が出てしまった。しかし俺の様子を悟ったか、モノを扱く彼女の手先が緩んだ。
「クスクス……、まだイっちゃ駄目ですよー。イクんだったら私のな・か・で……ネッ☆」
限界寸前になったペニスから手を離し、乳房を掴んだままの俺の腕を取って、そこから遥か下、丁寧に手入れされた茂みに覆われた女の花園へと導く。
「今度は和雄さんの番ですよー。私のここ、ちゃんと濡らして下さいね☆」
彼女は女神なのか小悪魔なのか? そんな慈愛と戯れの混ぜこぜとなった笑顔で俺を見つめていた。

彼女に導かれるがまま、俺の右手は彼女の脚の間へと潜りこんだ。
今まで触れたことのなかった未踏の地に踏み込む冒険家のように、茂みを掻き分け禁断の花園へと踏み込む。
そこは温かかった。
そこは柔らかかった。
そして、湿っていた。
「こ、ここが……」
「そうですよ和雄さん。ここの感触、よーく覚えておいて下さいねっ。当分の間リアルで触ることはないでしょうからw」
うるさいよもう……。そんなことを言う奴はこうだっ。
仕返しに花びらの淵にある小さな肉芽を、優しく摘んでやると、
「ひゃう!!」
そこに触れた途端、彼女は雷に打たれたように体をビクッと震わせ、あられもない声をあげて顔を赤らめた。
心なしか彼女の鼓動が早まり、呼吸が荒くなっているような感じがする。
もっと弄ってやるっ。
「あはぁん……ッ!!」
悩ましい声で体をくねらせながら彼女は喘いだ。花びらが露に塗れ、糸を引きながら床へと零れ落ちる。
「やったなー。仕返しですっ」
「うあっ!!」
巧みな手さばきで竿を扱かれ、俺の息子は瞬く間に昇天……寸前でまた寸止めされてしまった。

「おっとと、本番までは我慢してくださいねっ」
爆発寸前でピクピク震えているムスコを絶妙に捌きながら、もう一方の手が花園を愛でる俺の右手を捉えた。
「入口だけじゃなく、中もほぐしていただきませんと、ねっ☆」
そしてその指先を、自らの濡穴へといざなう。
ヌルヌルと俺の指が、彼女の中へと入っていく。
「ふぁぁ……」
彼女の中はまさにエデンの園だった。ざらついた熱く柔らかな肉の壁が、指先をキュッと締め付けてくるのが分かる。
それは少しでも乱暴にすると壊れてしまいそうな、そんな感じがした。
「さあ、動かしてみてください」
彼女に言われるがまま、俺は器の中をまさぐった。
壁を傷つけないように、指を曲げながら指の腹で肉襞を愛でた。
「ひぅっ……、はぁ……はぁ……、ンンっ……!!」
淫らな声と、熱い吐息が俺の心を昂ぶらせる。
蜜のような愛液が器の中を満たし、彼女の興奮が指先に伝わってくる。
――指だけじゃ満足できない。もっと私を愉しませて――
俺にはまるで、彼女の体がそう言っている様に感じられた。

「ンっ……、はぁはぁ……。わ、私の方もいい感じになってきましたぁ」
彼女の両手が、俺の体をベッドの上に優しく押し倒した。
ギンギンに勃ち上がった我がムスコが、そびえ立つ大塔のように天を向く。
そして彼女がそれを跨いで膝立ちになる。
右手でいきり勃った大塔を持ちながら、ゆっくりとそこへ腰を落とす。先っちょが彼女の入口にそっと触れた。
「うふふ。和雄さんのおちんちん、すっごく硬くなってます。
うわぁ、こんなに激しく脈打っちゃって。うふっ、可愛い☆
私の中で、いーっぱい可愛がってあげますねっ☆」
濡れた蜜壷にモノをあてがいながら、彼女は更に深く体を沈める。
「ンン……ああっ……!!」
ズブズブと沈み込むような感覚と共に、俺のブツは彼女の中へと深く潜行していった。

「うああ……これは……」
今まで感じたことのない快感に、俺は言葉を失った。
熱く濡れた彼女の肉壁が、ねっとりとムスコに絡み、締め付けてくる。
小刻みにやってくる彼女の鼓動が、俺をさらなる快楽の虜にする。
「うふっ。どうですかー、和雄さん? 初めて女の子の中に入った感想は?」
両手を俺の腹に置き、やや前かがみの姿勢をとりながら彼女が笑う。
もちろん答えはない、というか気持ち良過ぎて答えられない。言葉が全く浮かんでこない。
さっきも言ったが、彼女の中は温かくて柔らかくて、そして湿っていて……気持ちイイ。
「クスクス。無理に答えなくてもいいですよ。顔を見たら分かりますから」
俺、一体今どんな顔してるんだろう?
ぐい、と彼女は上体を反らし、二人が一つになっている部分を見せ付ける。
「ほら、ここを見て下さい。和雄さんの大きなのが、私の中に全部入ってるんですよっ」
ぐちゅる……と水音をたてながら、下の口が俺のブツを根元までくわえ込んでいるのが分かった。
「さあここからが本番ですよ。動きますねっ」
笑顔のまま、彼女はゆっさゆっさと体を上下に揺すり始めた。

「ンっ!!……あっ!!……くっ!!……あぁんっ!!」
俺の上に跨った、彼女の肢体が飛び跳ねる。
モノを咥えた蜜穴が、規則正しいリズムで何度も往復する。
「うわぁ……!! す、すごイッ!!」
うねるように蠢く肉壁の刺激に、俺の肉棒、いや俺自身はただただ翻弄されていた。
彼女は最高だった。
あるときは上下に動き、あるときは咥えたモノを中心に腰をくねらせ、巧みに動きを変えて飽きさせることなく俺を愉しませた。
やがて彼女はピストン運動のストロークを広げ、俺の先っちょに吸盤のようなものが吸い付いてくる感覚を覚えた。子宮口だ。
「うくっ……!! 和雄……さぁんっ……!! 奥……がぁっ!! ……すごいですっ!!」
「うぁ!! そんなにされたらやばいよ!! ヤバイって!!」
その新たな刺激はいかんともしがたく、俺は必死に射精を堪えようとしたが、肉穴の顫動に先っちょをこじ開けられ……。
――びゅくっ!! びゅくびゅくびゅくっ……!!――
頭の中を白い稲妻が駆け、俺は彼女の中に思いっきり精を放ってしまっていた。

「ふぅ」
放出が収まり、俺は息を落ち着かせながらその余韻を愉しんでいた。
心地よいけだるさの中で、男として何かをやり遂げたような達成感が俺の心を満たす。
初めての経験。それは本当に素晴らしいものだった。
相手とお互いに高めあいながら、共に絶頂の頂を目指す。
これはオナニーとは全く違う、男と女の聖なる儀式だ。
そうだ。彼女は愉しんでくれただろうか? 俺の上に跨ったままの美女を見上げる。
「……早すぎです。和雄さん」
俺の予想とは裏腹に、やや怒気をはらんだ声が届く。
見上げると不満そうに口をへの字に曲げた彼女が、俺をジト目で睨みつけていた。
どうやら彼女はまだ満たされていないようだ。

「女の子をほったらかしにして、一人でイっちゃうなんて酷いですー。もう信じられないー」
ううむ、何と言うか……。本当にすまん。
「次こそは、ちゃんと私を満足させてくださいね。満足させてくれるまで帰りませんからねっ」
本音を言うと帰って欲しくはないが、確かにこのままでは男が廃る。
いいだろう。今度こそ二人一緒にオーガズムを迎えようじゃないか。
「じゃあ私の中で縮こまっている和雄さんのおちんちん、今すぐ大きくしてください」
ちょww 今射精したばかりなのにそれは厳しいぞ。賢者タイムも相まってすぐには……勃たない。
「もう、世話が焼ける方ですねー。だったらまた私が手伝ってあげます」
彼女は腰を浮かせて、フニャフニャに縮んだモノを引き抜く。
支えをなくしたそれは、無様にもあらぬ方向に倒れこんだ。
茂みに隠れた彼女の割れ目からは、粘ついた白い液体が、糸を引きながらシーツの上に滴り落ちていた。

「あらあら、出しちゃった後は随分と小さいんですね」
小悪魔めいた笑顔を浮かべながら、彼女は萎れた肉棒に顔を近づけた。
手を伸ばし、指先でそれをピン、と弾く。痛い。
その反応を見てクスッと笑い、今度は豊かな胸の膨らみで肉棒を挟みこむ。
愛液でベトベトに濡れた肉棒は、乳房の適度な摩擦を受け圧倒されていく。
「ううおっ!!」
ゆっさゆっさと揺れる彼女の乳に刺激され、俺のムスコは瞬く間に膨れ上がっていった。
「えへへーー。私のパイズリはすごいでしょう? これでまだえっちできますねっ」
充分にこちらが元気になったところで、彼女は後ろ向きに屈み、こちらに尻をつきだす。
二人の液体でベトベトになった女の器が、目の前でどアップになった。
「さあ、今度は和雄さんが動く番ですよー。今度こそちゃーんと、私をイかせて下さいねっ☆」
言われるがままに、俺はムスコを彼女の中へと挿し込んでいった。

「ああぁっ!! 入ってきますぅ……。さっきより、大きいのぉっ!!」
「うおっ……!! こっ……これはっ……!?」
体位を変えた後の彼女の中は、まさに異次元だった。
適度に締まった肉襞が、俺の弱いポイントを的確に責めて来る。
ちょっと動かしただけでも、油断してるとムスコはたちまち爆発してしまいそうになる。
「はぁはぁ……。和雄さんのが中でピクピクして……、熱い。
さあ、意地悪してじらしてないで、早く動いて下さいっ」
「別にじらしているわけじゃないんだけどな……」
とはいえ、このまま何もしないわけにはいかない。
こうなったら自棄だ。彼女の腰を掴んだまま、俺は腰を前後し始めた。

「あっ……あぁんっ!! はぁっ……はぁっ……!!」
パンパンパン……。お互いの体と粘膜がぶつかり合って、濡れた音と乾いた音、そして二人の喘ぎが部屋の中で共鳴する。
ピストン運動を続けながら、俺は何度か挿入角を変え、刺激が少ないポジションを探しだした。
これならさっきのように、無様な射精はしないだろう。
もちろん単調な行為にならないように、ストロークのやり方にも変化を加えはじめた。
突いて引いて、突いて引いて、突いて引いて突いて、奥でグルグルと掻き回してやる。
「はひっ!! 和雄しゃんっ……。わらひしょこは弱いのぉ……」
俺が動くたびに、彼女は呂律の回らない声で激しく乱れた。
「ああ!! 奥ッ!! グリグリしゃれて気持ちイイれす!! もっと激しくしてぇ」
先に漏らさないか不安になるが、俺は求めに応じてペースを上げていく。
「ひああっ……!! あんんっ……!! お腹の中が燃えちゃうぅ!!」
俺に合わせて彼女も腰をクネクネと振り始めた。肉壁が弱い所を責め立て、快感で一瞬頭が真っ白くなる。
必死に果てを堪え、俺は獣の心のままに彼女を犯す。やがて、
「んっ……はぁぁ!! も、もうだめっ!! 和雄さん、私もうイって……、あっ!! あああ!!」
高い喘ぎを漏らしたあと、彼女の体がピンと張り詰め、直後ビクビクと痙攣を始めた。絶頂が訪れたのだ。
ほぼ同時に俺自身も、一瞬締まった彼女の中で果てを迎えていた。
必死に堪えていた精がビュクビュクと、彼女の奥、子宮の中へと放たれていく。
途方もない放出感に意識を持っていかれそうになりながら、最後の一滴まで残らず彼女の膣内に注ぎ込んだ。
「んあっ……。和雄さんの精液、さっきより一杯出てますよぅ……」
彼女は荒れた呼吸のまま、横顔を見せながら嬉しそうな声で俺につぶやいた。

その後もムスコが元気になるごとに、俺たちは様々な体位で行為を愉しんだ。
あるときは俺が上になり、またある時は彼女が上になり、まるで恋人のように互いを求め合った。
射精で萎えたムスコは、彼女の愛撫でたちまち元気になり、繋がった二人は何度も絶頂を迎えた。
どれくらい楽しんだだろうか? 俺は荒れた呼吸を整えながら、果てた後の心地よい気だるさを楽しんでいた。
隣に寝そべる黒髪美人が身体を起こし、俺の体にしなだれかかった。甘い吐息が耳に触れる。
「うふっ……まだ宵の口ですよっ。もっと二人で愉しみましょう☆」
ちょ、ちょっと待ってくれ。まだ身体の準備がっ。数えただけでも五発はやったぞ。しばらくは……勃たない。
「なら、趣向を変えてみませんか? 和雄さんさえ良ければ、準備が要らないようにしてあげますよ」
え? それってクスリとか、何か危ないものでも使うのか?
「違いますようw」
彼女は笑いながら首を横に振る。その仕草にあわせて揺れる髪がとても綺麗だ。
そして俺の顔を真っ直ぐに見つめてこう言った。
「和雄さん。一度女の子に、なってみ・ま・せ・ん・か・っ?」

「えっ……? 俺が、女の子に?」
彼女の予想外の申し出に、俺は驚いて聞き返した。
「そうですっ。和雄さんに予備のスキンを着てもらって、女の子のエッチを体験して貰おうかな……なんて思ったんですけど☆」
「俺に出来る……のか?」
さっき聞いた話だと、異性に、特に男性が女性になりすますのは、かなりの技量がいると聞いたんだが……。
なにせ男には無い膣や子宮などの器官を、体の中に作り込むわけなんだからな。出来るとしてもすごく痛そうだ。
「まぁ人によって向き不向きはありますねー。和雄さんの身体が、何処までモジュールの圧縮に耐えるかは分かりませんが、安全装置をかけながら試してみましょうか。
内性器は無理でも、外性器……クリちゃんやお花の部分さえ出来てしまえば、貝合わせを愉しむくらいなら出来ますよ
あ、心配しなくても安全装置が働いているうちは無理な圧縮をすることはないから、痛くないですよー。ちょっと窮屈な思いをするだけです」
「うーん……」
「どうしても嫌なら、無理強いはしませんけどね」
俺は腕を組んで考え込んだ。正直な話女の子になることには興味はある。なんせここはアダルトTSF支援所だもんな。
てか、着れるものならモジュールを着てみたい。すごく着たい。超着たい。
しかし不安だ。不慣れな者が扱うと肉離れや脱臼、はては骨折することもあるというのだから。
あいつの言う安全装置とやらが、どこまであてにできるのやら。
美女は何も言わない。俺の心中を知ってか知らずか、こちらを見たままニヤニヤしている。
とはいえ、今のところ男としてのセックスには、賢者タイムということもあって飽きが来ていたんだよな。
何せ片手の指の数より多い回数の交わりを、彼女と愉しんだとこなんだもんな。
それに彼女がここにいるのは、神か仏が俺に授けた奇跡の巡り合わせだ。こんな機会は一生やっては来ないだろう。
答えは、一つだった。
「……使わせてもらっても、いいか?」
彼女は俺の返事を待っていたかのように、満面の笑みで答えた。
「ええ。よ・ろ・こ・ん・で☆」

彼女は俺に背中を向け、アタッシェケースの中からゴムのような質感を持った、全身タイツのような物を取り出した。
「予備のスクイーズ・スーツです。さあ、着てみて下さい」
彼女からスーツを受け取り、それをまじまじと見つめる。
ちゃんと着れるかな? これ。
「リミッターがありますから、和雄さんの体に負担がかかるような変形はしませんよ。
こういう経験が出来るのは今だけなんですから、思いきっちゃいましょう☆」
「お、おう……」
スーツの背中の切れ込みを開き、恐る恐る右脚を通してみる。
裏側にはゼリーのようなものが塗られていて、脚は摩擦することなくスーツの中を通りぬける。
「スーツの裏側、よく滑るでしょう? 転ばないように気をつけて下さい」
「分かってるって……うわたっ!!」
左脚が完全にスーツの中に収めると、続けて右脚を通す。下半身が全て黒いスーツの中に収まった。
次にスーツの切れ目を両手で広げながらそれを持ち上げ、袖を通すように片腕ずつ中に収めていく。
両腕が収まったあと、首のあたりから垂れ下がったスーツの残りを頭に被せていく。これで俺の体は完全にスーツに覆われた。
卓上の鏡を手に取りその中を覗く。テカテカとした光沢を放つラバーのようなものに全身を覆われた、不恰好な人影が映りこむ。
この体型が、本当に美しい女のプロポーションになるのだろうか? にわかには信じられない。

「よし。全身中に収まりましたね。では身体成形を始めますよー☆ 覚悟はいいですかー?」
ああ、やってくれ。既に覚悟はすんでいる。
「じゃあいきますー。成形開始ーっ☆」
言い終わると同時に、彼女がタッチパネルの実行キーをタッチ。
『Body Squeeze実行』の表示が突然視界に映りこむ。視覚表示システムを兼ねたスーツの擬態膜が眼球を覆い、必要な情報をAR(強化現実)として視界に表示しているんだ。
グググ・・・と薄いビニールを引っ張るような音と共にスーツが収縮を始め、全身が圧迫されていっているのを感じた。
皮膚を通して、何かが俺の体に入り込んで来る。直後体内からも体を震わせるような感覚がやってきた。
あいつの説明によると、スーツの構成素材の一部が皮下に浸透し、骨格や臓器の保護と機能の最適化、そして設定に合わせた形状への再構成を行っているのらしい。
口の中にもゲル状のナノ素材が入り込んできて、口内のコーティングや歯並びの矯正が行われる。
視界にウィンドウだ開き、全身真っ黒なスーツを着た男の姿が映し出された。俺だ。
『Body Squeeze進行率■■■□□□□□□□30%』
時間が経つごとにそいつの全体が少しずつスマートになり、輪郭が丸みを帯び始めていく。
それと連動して、ウィンドウの向こうにある俺の両腕がだんだんと細く、小さくなっていくのが見える。
痛みはない。体を圧迫感と圧縮時の騒音から少しの不安は感じるが、それも大した問題じゃなかった。
そして唐突に、全身を締め付ける圧迫感から解放された。大まかなボディラインの構成が終わったみたいだ。

『Body Squeeze進行率■■■■■■□□□□60%』
しかし休む間もなく、今度は上から押し付けられるような感覚が頭と両肩に圧し掛かってきた。
目の前の黒髪美人が、俺よりも大きくなっていくように見える。いや、俺の体が小さくなってるんだ。
天井がものすごく高く感じる。俺の体は元の時よりも30cmは縮んでいるような気がした。
手足も短くなっていっているみたいだ。体内に浸透したスーツの素材が、骨や内蔵にまで干渉しているのが分かる。
ウィンドウに映った自分の体型は男のそれから、小柄でスマートな女性的なフォルムへと変化を遂げていた。
下を見下ろすと、自分の腕なら一掴みに出来そうな、華奢なウエストラインが目に付く。
体のあちこちをペタペタと触ってみる。幻覚じゃない。本当に俺の体が縮まっているんだな。
すごいもんだ。流石は異世界の技術力といったところか。
しかし俺の鼠径部には、見るからに不自然な盛り上がりがまだ残っていた。

『Body Squeeze進行率■■■■■■■■■□90%』
ブルブルとスーツの股間部が激しく振動し始めた。ものすごい力でキュッと絞められる感じがして、思わず「うひゃあ!!」と悲鳴をあげてしまった。
「大丈夫大丈夫。痛くない痛くない☆」
彼女の言うとおりだった。股間に圧迫感はあれど痛みは全くない。
不自然な膨らみが、みるみるうちに小さくなっていく。それと共に会陰部から体の中に何かが入り込んで来るのが分かる。
圧縮された俺の大事な部分が、体内に格納されていっているんだ。
それらがへその辺りまで上ってきたところで、慣れ親しんだ男の感覚は不意に消失。
男としての部位の機能が一時的に凍結され、保存状態になってるんだ。
元に戻れるのかな? 慣れない感覚に不安になりながらも、今はスーツにただ身を委ねるしかなかった。
続けて視界に映ったアプリの中の、男の部位を排除した俺のモデルが拡大し、腰の辺りがアップになって映し出された。
『骨盤の再構成完了。人工膣及び人工子宮の成形開始』
新しいメッセージが表示され、モデルの透視図が映し出された。
会陰部から、何かが体内にムニュルルと侵入していく。
「うっ……くぅ……!!」
腹の中で感じる痺れるような、こそばゆいような感覚に俺は思わず身悶えした。
それは体の中で肉を掻き分けながら、自分には無い部分を作り上げていっているんだ。
視界に映ったモデルの体内では管状の器官が形作られ、その上に厚い筋肉で出来た袋状の組織が出来上がっていく。
そして、
『Body Squeeze進行率■■■■■■■■■■100% 完了しました』
のメッセージが表示され、体内を震わす振動と、あのこそばゆい感覚は唐突に治まった。

「Body Squeeze完了ですね。今のは容姿の設定をせずに、どこまで小さくなれるかのテストだったんですが、
ふむふむ。これが最小値、142cmか。すごいですねぇー。訓練を受けていない人の身長が、ここまで圧縮できるなんて……」
関心するような素振りで美女が呟く。
「それに……」
「ひゃうっ!!」
不意に股間を触られ、くすぐったいような感覚に思わず声が出てしまった。
でもいつもの自分の声じゃない。あごの骨を通しているので分かりづらいが、声のトーンはかなり高くなっているみたいだ。
まるで、女の子のように。
その一方で、美女はモニターに映った俺の体内を興味深そうに見入っている。
「あそこの出来も完璧。和雄さんの体とモジュールの愛称が良いからなんでしょうねぇ。
うらやましいなぁ。私の時はここまでなれるのに一年はかかったのに……」
ううむ。褒められてるんだろうが返答に困るぞ。
それに今の俺の外見は、筋繊維むき出しの人体模型のままなんだけど……。。
「ふふ。じゃあ早くスキンを貼り付けて、女の子になっちゃいましょう☆」
美女がモジュール整形用のアプリの画面をこっちに向ける。
「さあ和雄さん。自分のなりたい『姿』をささっと決めちゃって下さい」
お、おう……。でもなりたい『姿』はもう決まってるんだよな。
「えっ?」
部屋の隅にあるものを指差す。三つに分割されて、床の上でペシャンコに潰れている少女の体。
そう、初めて会ったときの『自分』の姿だ。
ちょっと発育に乏しい姿だが、活発で健康的な感じが、実は気に入ってるんだよなぁ。
「そういうことなら話は早いですね。あのサイズのスキンなら、今の体型はピッタリ合いますし、
新しいスキンの設定、生成の時間も短縮できます。空いた時間でたっぷりとお愉しみしましょうか☆」
いやらしく笑いながら、美女はさっきまで自身が着込んでいたスキンを俺に手渡した。

受け取った少女の下半身を、俺はをまじまじと見つめていた。
脱がされてから結構時間が経ち、既に人肌のぬくもりは残っていなかった。
その肌の手触りはさらさらと乾いた感じで、人肌のみずみずしさはあまり感じられなかった。
なんだか人の皮の干物を触っているような感じだ。そう考えるとなんかグロいな。
まさか本物の人間の皮を使ってる、なんてことはないよなぁ。
「流石にそんな非人道的かつ、コスト的にも厳しい原料は使ってませんよぉ☆」
今は奴を信じて、さっさと着てしまおう。
下半身の抜け殻の中に両脚を収め、胴体の部分を頭から被り、長手袋のように両腕の皮を穿いていく。
そして最後に残った頭と顔の部分を取り上げた。
中身の無い、だらりと伸びきった少女の顔はとても不細工なものに見えた。
それに気にしない振りをして、首の部分を広げながら頭に被せてやる。
こうして少し間延びしていた皮の中に、圧縮された俺の全身はつっかえることも無く収まった。
だが今の俺の姿は、皮膚の弛みきったとても不恰好な女に見えるだろう。

しかし、その格好でいる時間もそう長くは無かった。
「アウター・スキンの接続、開始しますね」
俺が頷くと同時に、視界に『connect』の文字が映り、その下に次々とメッセージが表示されては消えていく。
『アウター・スキンへのエネルギー供給』
『コンディション・モニター接続』
『擬似神経系接続』
『擬似循環系稼動開始』
『汗腺機能テスト。良好』
『擬似生体信号発信』
『老廃物濾過開始』
皺くちゃだったスキンの表面が滑らかなものとなり、乾いていたそれが水気を帯びて、すべすべした人肌の質感を持ち始めた。
鏡に映った俺の体は老人のような姿から、時計を逆戻しにしたかのように若返っていく。
垂れた乳房が張りを取り戻し、僅かに膨らんだバストが、片手で一掴みに出来そうなウェストが、肉付きは薄いものの健康的なヒップが、いまだ成長途上にある少女のなだらかなボディラインが出来上がっていった。
微かに盛り上がった股間部には小さな割れ目と、その奥に女の花びらが作られていく。
そしてスキンの知覚素子と、スクイーズ・スーツに同期していた俺の神経系がリンクされ、
ゴムの膜に全身を覆われていたような感覚は失せ、ひんやりとした部屋の空気を感じ取れるようになった。
うぅ寒い。合体してる最中暑く(熱く?)なってきたから、エアコンの温度下げたんだっけ?
「寒っ」と口を動かそうとしたものの、上手く口を開けられない。
「顔の成形が終わるまで喋らない方がいいですよー。下手に動かすと皮が伸びちゃいますから」
そうだったのか。ならしばらくは大人しく鏡を見ておこう。
鏡の中には既に見慣れた女の子の顔があった。しかしまだ顔のあちこちがピクピク動いていて気持ち悪い。細かな部分の微調整をしているのだろう。
その動きも1分と経たないうちに治まって行き、『complete』のメッセージと共に成形は完了。
ようやく口が動くようになり、俺は鏡越しに見る少女の姿にただ驚きの声を漏らしていた。
「す、すごいな……」
相手に向かってニコッと微笑んでみる。同時に鏡の中の彼女も、恥ずかしそうに微笑み返してきた。
あれが今の俺なんだ。俺の体はどこから見ても完璧な女の子のものになっていた。
「うふふ。驚きましたー?」
後ろから黒髪の美女が、俺の肩に触れる。
「私も驚いてますよー。初めての人なのにここまでなれてしまうなんて。でもね……」
彼女の細い指先が、臍の下当たりを優しくさすった。
「ひゃっ」
「本当に驚くのはこれからですよ☆ さあ、覚悟はいいですねー!?」
「な、何を!? うわっ!!」
戸惑う俺に構うこともなく、美女はベッドの上に俺を押し倒した。

んちゅる……、んちゅる……。
「ふゎっ……!! くふんっ……!! ひあぁっ……!!」
美女の両手の指先のそれぞれが、俺の右の胸の先っぽと、おまたの大事な部分をまさぐっている。
彼女の舌先が左の乳首をチロチロと愛で、唾液の湿った音と彼女の呼吸が耳に届く。
「んくっ!!……ぁ!!……んぅ!!」
それと同じくして、うら若い少女の喘ぐ声も聞こえてくる。
俺の声だ。我ながらなんてエッチな声なんだろう。今俺は女として抱かれているんだ。
愛撫を受けるごとに体は火照り、腹の奥から熱くなってくる。
男の興奮とは少し違った感覚に、少し戸惑いながらもなりゆきに身を任せる。
それに呼応して、股の奥から溢れてくるものがあった。
「うふふ……。和雄さんの大事なとこから愛液が出てきましたよ。反応も正常みたいですね☆」
二人の愛の行為を祝福するかのように、それは俺の体を濡らしていく。
「ほら見て下さいっ。和雄さんのアソコ、いやらしい音たててるでしょっ?」
胸の愛撫を止め、彼女は手にした鏡を見せ付けた。
そこには朝露に濡れた、女の花弁が咲き乱れていた。
ああ、なんて卑猥なんだろう。
「さて、和雄さんの準備はもう良さそうですねぇ。あとは……私か」
そう言って彼女は俺のおまたを弄ったままで、自分の花弁を愛し始めた。
「「あぁっ……!! ぁ……!! あぁんっ……!!」」
女同士の禁断の行為に背徳的な興奮を感じながら、俺と『俺』は快感に昂ぶっていく。

女としての初めての絶頂……となる前の絶妙なタイミングで美女は愛撫を止め、
今度は互いの脚を交差、いわゆる松葉崩しの体勢を取って濡れた器同士を擦り合わせた。
ぬるっ……、くちゅっ……、ちゅぽっ……。
「ひっ……!! いぁぁっ……!! ひんっ……!!」
絶妙な腰使いでクリと陰唇を責められ、新しい快楽の波に俺は悶える。
感覚的にはペニスを責められているのに近いものだが、男のものよりはるかに感度が高い。
「うふふっ☆ 和雄さんのクリちゃんが私のにも当たって、あんっ!! とっても気持ちイイですっ!!」
彼女も感じているのだろうか? 顔を赤らめ。息を荒げながら美女の責めは激しいものになっていく。
「さあ、今度は和雄さんが動く番ですよー」
言われるがままに位置を入れ替え、今度は俺が彼女の上で乳房と花弁を重ね合わせる。



ぬちゅっ……!! ちゅくっ……!! ぴちゃっ……!!
美女がやっていたように、気持ちイイ場所同士が触れ合うように体をくねらす。
絡み合う蛇のように二人の女の肢体が踊った。
「あっ!! ふぅあっ!! あはぁんっ……!!」
「はひっ!! 和雄さんって、初めてなのに上手いですっ!!」
男とは少し異なった、体内にこみ上がってくる快感に身を任せ、二人はやがて来るであろう果ての瞬間をただ待ちわびる。
高まっていく興奮は頂点に達し、そして……、
「ああっ!! もう……ダメッ!! おれ……もうイッちゃ……、あ!! ああああ!!」
俺、河上和雄は女の子としての絶頂を迎えた。

「ふあぁ……!! はぁ、はぁ……」
女の絶頂は男とは違う、とよく言われているが、まさか自分の体でそれを知ることになるとは夢にも思わなかった。
連続して訪れる、波のような快感が何度も俺のカラダとココロを押し流す。
しばしの間、美女のバストに顔を突っ伏したまま、オーガズムの波を愉しむ。
彼女は何も言わずに俺の体を優しく抱きしめていた。
俺は一度女の愉しみを体験した。しかしまだそれで満足したわけじゃない。
絶頂の余韻が過ぎ去ると、体が中から熱くなっていくのが分かる。
それは体の中に擬似的に作られた女の部分が、本当の愉しみを欲しているんだ。
硬く大きな男のモノを。そこからほとばしる、熱い命の源を。
「なぁ……」
美女の膨らみから顔を上げ、俺は呼びかけた。
「なんですか? 和雄さん」
優しい笑顔で彼女は応える。
「次は女としてのセックスをしたい。男役、お前に頼めるか?」
「うふっ。女の子の体、気に入っていただけましたか。
いいですよ。て言うか、最初からそのつもりでしたけどねっ」
笑顔を崩さずに彼女は快諾してくれた。

「では早速男の姿になるとしますかっ。外見は、こんな感じでいいかな」
ウネウネと美女の皮膚の表面が波打ち、彼女の容貌がグロテスクに崩れていく。
髪は黒さを保ったまま短く縮み、絶妙な曲線をもったその体型は、直線的なものへと変化していく。
柔らかだった胸の膨らみは真っ直ぐな胸板へと形を変え、桜色の先端部も小さくなっていった。
下腹部の形状も劇的に変わり、割れ目の部分が盛り上がって太いソーセージのような器官が出来上がる。
そう、それは男の体だった。それも見慣れたと言うか見飽きたといってもいい者の姿。
シャープな顔つき、体つきはかなり美化されてはいるものの、まさしく俺自身の姿だった。
「ふぅ。ムースタイプのスキンは容姿の再設定が利くから、こういうとき手間がかからなくていいな」
そう言いながら『俺』は体のあちこちを検める。声も既に男のものへと変化済みだ。
一通り見回した後、奴の目が俺のほうを向く。やや男前にカスタマイズされた『自分』の顔が爽やかそうに微笑みかける。

「……!!」
それを見て俺は一瞬ドキリとしてしまった。
顔面がかあっと熱くなり、胸はドキドキと高鳴り、呼吸はスースーと速くなる。
そしてお腹の中がジンジンと疼いてくる。俺、何か変だ。
「大丈夫か? 顔、赤いぞ」
そう言って奴は俺の顔に手を当ててきた。その途端体の昂ぶりはさらに激しくなっていった。
「分からないけど……体が熱いんだ……。何でだろう?」
「ふむ。おそらくお前の体に上書きされた、スーツとスキンの感覚のせいだな」
「え……? どういうこと……?」
「早い話が、お前は俺に惚れてんだよw」
「ええっ!!」
それはショックだ。俺はよりによって衆道に目覚めてしまったのかっ? しかも相手は自分自身だときた。笑えねぇw
「落ち着けって。早い話が、今お前は女の本能で思考しているのさ。
これはお前の意志じゃなく、モジュールの擬似感覚とホルモン制御で起こった一事的な感情に過ぎん。
上書きされてる感覚レベルを調整すれば元のお前に戻るさ。で、どうする? 素面に戻るか?」
「……」
少し俺は考え込んだ。男に惚れるというのはおかしな感じだが、今それを消してしまうのももったいない気がする
それに、恋した相手とのほうがエッチなことも楽しめそうな気がするじゃないか。
「いや、このままで……いい」
「そうか。じゃあエッチ込みの恋愛ごっこを楽しむとしようぜ」
奴のたくましい腕に抱かれ、俺はベッドの上に優しく寝かされた。

「ふふふ。カワイイぜ……」
さっきまでの行為で、汁塗れになった俺のアソコを見たあいつは、俺の体の上で膝をついて屈みこんだ。
奴の股間からぶら下がった一物は、ビン、と天突く程の勢いで大きくそびえ立っていた。
お、大きい……。これが本当に俺の中に入るんだろうか?
「心配か?」
彼はそう俺に聞きながら俺の髪を撫で、その匂いを嗅ぐ。
「あ、ああ……」
触れ合う二人の男女の肌。相手から漂ってくる男の汗の匂いに、頭がくらくらと舞い上がってくる。
「大丈夫だ。俺に任せておけ」
「あ……!!」
男の両手が、俺の両脚を大きく広げる。
あられもない格好になった脚の間をふさぐ様に、男の下半身が割って入って来た。
「ふぁっ……!! 恥ずかしいよぉ……」
「ふふふ。じゃあ止めるか?」
怒張した男のしるしが、蜜に濡れた花弁に触れる。すりすりと焦らすように入口を責めて来る。
「ひあぁっ……!! 馬鹿。意地悪なこと言うなよぉ……」
「なら、どうして欲しいんだ? 言ってくれないと分からないぞ?」
わ、分かっているくせに焦らしやがって!! 本当にこいつは意地悪な奴だ。
「おっ……、お兄さんのおっきいのっ、おれの……『あたし』の中に欲しいのっ」
「ふふふ、よーく出来ました。なら始めようか」
「うん。優しく……して」
見た目も性別も全く違う、二人の『俺』の体が、そっと重なり合った。

「んあぁ……っ」
力強く立ち上がった男の証が、俺の体の入口をこじ開け、俺の中へと入ってくる。
熱くみなぎる一物が、胎内を掻き分けながら、体の奥深くへと這い上がって来るのが分かる。
「痛くないか……?」
優しい声で男が声をかける。
「う、うん」
彼の動きは、それ程激しくはない。
まるで俺を傷つけないように気遣ってくれているみたいだ。
互いを馴染ませるようなスローペースと、浅いストロークでピストン運動が始まった。
くちゃっ……、くちゃっ……、くちゃっ……。
水音をたてながら、逞しい一物が俺の体内で顫動する。
それはまるで初めての相手をいたわる様な、優しいセックスだ。
体を突き抜ける程の快感はない。だが互いの肌と肌の触れ合いを愉しむことが出来る。
一つになった相手の、呼吸や鼓動を感じとることが出来る。
何故かは分からないが、俺にはそれがとても嬉しいことに感じられた。
SEXとは、ただ快感を求め合うためのものじゃない。奴からそう教えられた気がした。

「ふぅ、いい感じになってきたな。体位を変えてみようか。今度はお前が上に乗って動いてくれ」
「うん。いいよ」
彼が体を引き、俺の中を動いていた一物がぬるりと引き出された。そして今度は男がベッドの上に仰向けに寝そべる。
俺は求めに応じ、男を跨ぐように脚を広げて膝をつく。
真下にあるのは、愛液に塗れてテラテラと光る逞しい男の証。
指先でそれを支えながら腰を落とし、割れ目の中へと導く。
ぬりゅっ。先っちょが俺の入口をこじ開けているのが分かる。
「んンァっ……!!」
ずぶずぶっ。身体を沈める度に、逞しい一物が秘肉を掻き分けながら、胎の中を駆け上がってくる。
やがてそれは、こつんと女の最奥へと到達した。未知の快楽が女の身体を震わせる。
「あ……はぁ……!! お、くに……来てるぅ……」
あわや絶頂寸前の昂ぶりに、思わず意識が転びそうになり、なんとか現実に踏みとどまらせる。
「はぁ……はぁ……。う、動くね……」
彼は微笑みでそれに応える。相手の身体に両手をつきながら、俺は上下に動き始めた。
「あっ!! あっ!! あぁんっ……!!」
さっきと同じ快感が身体を貫き、俺は喘いだ。心なしか前よりも感じやすくなっている感じがする。
男の一物が膣内で大きくストロークして、体奥を何度も擦り上げられているのが分かる。
「ああッ……!! お兄さんのおちんちんがっ!! あたしの奥の壁をズリズリしてるよぉっ……!!」
身を震わす快感に誘われるがままに、俺はパートナーの身体を舞台にして踊った。
卑猥で淫らな肉のダンス。果てが来るまで幕が落ちることはない。
暖房が切れた冷たい部屋の中で、熱気に汗ばんだ男女の身体が何度も重なり合う。
性感の波に息を切らせながら、パートナーの様子を伺う。
彼はふぅふぅと呼吸を乱しながら、必死な顔つきで果てを堪えようとしているように見えた。
「うふふ……。カワイイよ……、お兄さん。どう? あたしの膣内気持ちイイ……?」
「あ、ああ。お前の膣内、気持ちイイよ。テクの方も初めてとは思えない」
「ふふっ。嬉しい……」
心地よい征服感のようなものが、俺の心を心を昂ぶらせる。
ピクピクと俺の中で震えている彼のモノが、果てが近いことを伝えていた。
「はぁはぁ……。うっ!! も、もう我慢出来そうにないよ。男としてするのは久しぶりなんだ」
「はぁ……っ!! イイよっ。あぁっ!! あたしもっ!! お兄さんといっ、一緒にっ……!!」
「「一緒にイこう!!」」
堪えていた果てへの渇望を解き放ち、一気にラストスパートに入る。
揺れ合う二人の身体は絶妙なシンクロを保ち、ココロとカラダの昂ぶりを頂点へと押し上げ合っていく。そして、
「あ!! もう駄目……。イくっ!! あたしイっちゃっ……!! はぁ!! はああああっ……っ!!」
張り詰めていた糸がピンと切れたように、連続した快感が雷のように俺の全身の神経を駆け回っていく。
それはさっき女同士で迎えた絶頂とは違う。体の中が、温かい何かで満たされていくのが分かる。
「う……、ごめん。中で出しちゃった。ブランクがあったから堪えられんかったw」
「くすっ、いいよ……。今日は色々シてくれて、ありがとうね」
「いいってことよ。他ならぬ『自分』の頼みなんだからな。好きでもない男や女と寝るよりよっぽどいい」
「そう? じゃあこのまま第二ラウンド、始めよっか?」
「ちょww ま、待って!! 俺はまだ身体の準備がっ!!」
「大きくしてあげたらいいんでしょ? あたしにかかればすぐに勃つって。何せ自分の身体なんだもんねw」
「あー!!」
こうして俺達二人は、最初とは逆転した姿と性別のままで、ベッド上でのダンスを再開するのだった。

■■■

「……」
カーテンの隙間から差込む日光の眩しさに、俺は目を覚ました。
寝ぼけまなこで体を起こし、辺りを見回す。
昨夜あれほど互いを求め合ったあいつは、影も形も消えうせていた。
部屋の中も激しい行為で乱れた痕跡は、全く残ってはいない。
「夢……だったか……」
だよなぁ。異世界から自分の分身がやってくるなんてありえないよなぁ。それにしても妙にリアルな夢だった。
机の上に置いた目覚まし時計の時間を見る。瞬間、俺の時間が凍りついた。
12/25(Tu) AM8:05
ヤバイ。変な夢見てたら寝過ごした!! でも今家を出れば何とか間に合う。
速攻で身だしなみを整えようと、バスルームの扉を開けようとする。
――何か変だ――
猛烈な違和感をその時に覚えた。何だか部屋が大きくなったような気がする。
扉の取っ手の位置も、こんなに高かったっけ?
まあいい。先に身だしなみだ。扉を開け、妙に大きくなったスリッパを履いて鏡に向かう。
そこに映ったのは、見覚えのある小柄で可愛い金髪ツインテの女の子。
「えっ!?」
鏡の中の女の子が、驚いた顔をしてまっすぐに俺を見つめる。
「まさか……これって……」
今頃気づいたが、自分の声がおかしい。いつもよりトーンが高いような……。
思わず自分の体を見下ろす。見えるのは真っ白で柔らかな肌と、僅かに盛り上がった胸の膨らみ。
そう言えば股間が何だか寂しい。思わずそこに手を伸ばす。
しかし、そこにあるはずのモノは、影も形も存在していなかった。
そう、俺の体は夢で最初に出合った『彼女』と瓜二つの姿になっていたんだ。
ドロリ。股の間の花びらの中から、白い液体がこぼれ落ちてきた。ツン、とした生臭い異臭が鼻をつく。
洗濯機の中には汚れたシーツや下着類が無造作に放り込まれていた。
あわてて俺は部屋に戻る。机の上にメモ書きがあった。
『別れの挨拶も出来なくて残念だが、時間が来たので元の世界に帰ることにする。
お土産にお前に着せたスキン・モジュールを置いていくよ。
こいつはモジュールの中でも最高級品なんだ。高い品物だから大事に使ってくれよな。
パウダー(スキンの原料)も沢山残しておいたから、しばらくは無くなる事はないだろ。
じゃあな、兄弟。その土産でたっぷり楽しんでくれ』
昨晩のあれは夢じゃなかったんだ。『彼女』は確かに存在した!!
あれは最高の一晩だったなぁ。誰の仕業か知らないが、引き合わせてくれたそいつに俺は深く感謝した。
しかし、ここで立ち上がってくる問題が二つ。一つは仕事の時間が迫っていること。
そしてもう一つは、『この皮、一体どうやって脱ぐんだろう?』
もちろん、スキンの扱い方を知らない俺は、脱ぐのに半日かかりましたとさ。(完)

■■■

※おまけ あれから一年後のお話。

久しぶりの休日の午後、俺はいつものようにPCの前に座って日課のネット巡回に励んでいた。
独り暮らしを始めて一年と半年。
自分以外誰もいないワンルームの中は静かで、僅かにPCとエアコン、そして冷蔵庫が自らの存在を誇示するかのように時折低い作動音をたてている。
もう半日以上はモニターの前に居ただろうか。
動画を見終わった俺はウィンドウを閉じると椅子から立ち上がり、窓のカーテンを開け外の様子を伺った。
窓の外は、花びらのように空からし舞い降りる雪が積もり、見慣れたはずの街の景色を白銀の世界へと変貌させていた。
綺麗だ。本当にそう想う。しかしこの様子では、近くのスーパーへ買い物に行くのに難儀しそうで少々気が滅入るが。
「そういえば、今日はイブだったなぁ」
駅前の鮮やかな電飾が目に入り、今日が何の日だったかを思い出した。
今日は聖夜。クリスマス・イブだ。
腕を組んだカップル達が、仲睦まじそうに腕を組みながら歩いているのがちらほらと見受けられる。
「はぁ」
大きくため息をついて俺は椅子から身を起こし、部屋の半分近くを占有するベッドの上に倒れこむ。

名前:河上和雄。26歳会社員。独身。彼女・・・・・・なし。これが俺の現在のプロフィール。

今年もやってきてしまいました。彼女の居ない一人の聖夜。
しかし、昨年とは違い、そんなに寂しさを感じることはないな。
少し前に知り合った女の子の友達がいるからな。最も今彼女は海外にいるから会いたくても会えないが。
「そういえば、あれから一年か。時間が経つのは早いもんだなぁ」
一年前のあの日、俺の前にやってきた『あいつ』のことを思い出した。
それは異世界からやってきた、もう一人の自分自身。
『向こう』から持ってきた特別なツールで、あいつは女の姿をとって俺の前に現れた。
孤独にむせぶ俺を慰める為に、わざわざこの世界まで来てくれたんだっけ。
そしてあいつに誘われるがままに、俺は彼女を抱いた。
理想の姿の美女との、初めての情事。
その次は俺自身が女としての行為を体験したんだ。
あれは忘れがたい貴重な体験だった。
あの日以来俺の中に巣食っていた孤独感は、不思議と消え去っていたんだよな。

「そうだ。久しぶりに『彼女』に会うか」
俺は部屋のクローゼットの中から小ぶりのアタッシェケースを取り出した。
そいつの鍵を開け、納められていた中身を取り出す。一つは全身を覆う、真っ黒なゴム製のウエットスーツのようなもの。
もう片方はまるで中身のない、人間の抜け殻のようなもの。
スキン・モジュール。
一年前にやってきたあいつの世界に存在する、高度な変装用のツール。
これを使って俺とあいつは、クリスマスの夜を存分に愉しんだんだ。
「よっと」
まずは真っ黒なウエットスーツ……スクイーズ・スーツの中に全身を収める。
『Body Squeeze実行』
ビニールを引っ張るような音と共に、俺の体型は一回り以上小さくなり、腰の部分がきゅっと絞れた魅惑的なボディラインへと変化する。
続けて取り上げた人間の抜け殻。それを被り『connect』。
乾いていたそれの表面が人肌の質感を再現し、モジュールの定着を終えた俺の姿は、全く違うものへと変貌していた。
それは20歳手前くらいの、黒髪の綺麗な美女の姿。
姿見の前でクルリと一回転。女の姿になるのは一ヶ月ぶりだったな。
「ふふっ。お久しぶりです。和雄さん」
鏡の中の女の子が、可愛く俺に微笑みかける。それは一年前、初めて抱いた女の姿だった。
いかん。惚れてしまいそうだ。あれは他ならぬ自分自身なのに。

タンスの上の道具箱の中には、いくつかの大人のオモチャが収められている。
その大半は男用だが、俺が使うのは勿論それじゃあない。
箱から取り出したのは、家庭用電源コードのついたピンク色のでかい奴。
電源を繋ぎ、無段階のダイヤルスイッチを入れると、ヘッドがヴー!! と力強く震える。
電動マッサージャー。所謂電マと言われる奴だ。まずはこいつで昇天するとしようか。
ベッドの上でM字に脚を広げ、ドキドキしながら揺れるヘッド部を近づけていく。
さあ、絶頂まで何分もつだろうか?

その時、見上げた天井に青い光が走るのが見えた。もちろん電灯の光じゃない。
それはまるで空間を裂くかのようにギザギザに広がっっていく。
その中から見えるのは、果てのない暗黒の空間。あっと声をたてる間もなく俺の体はその中に飲み込まれた。
「わああああっ……!!」
突然足場を失い、光もない闇の世界を俺は落ちていく。
それは言いようもない恐怖だった。何が起きたかも知らぬまま自分は死ぬんだ。
『大丈夫だ。問題ない』
頭の中で誰かが囁く。それと共に、何かが頭の中に入り込んでくる。
――世界移動――平行世界の『俺』たち――彼らは寂しい――今、俺が必要――
俺は理解し、納得。
「そうか、そうだったのか。なら、たっぷりとサービスしてやらないとな」
落ちていく先に光が見えた。それはだんだんと広がっていき、その彼方にいる者たちの姿が明らかになっていく。
だがここで問題が一点。このままだと、下にいる誰かの上に落ちることになると思うんだが……。
「どけーっ!! どいてくれー!!」
下にいる奴等に俺は思いっきり叫んだ。警告が聞こえたのか、あいつらの目が一斉に俺の方を向く。
しかし、彼らが避ける時間は与えられなかった。
ドスン。
驚きに目を見開いたままの男達の上に、俺はお尻から思いっきり落っこちた。

「ぐえっ!!」
突如落っこちてきた相手に脇腹を強打された男達は、潰れたカエルのような悲鳴をあげて悶絶した。
「すまん。大丈夫か」
腹を押さえて転がる奴等を気遣いながら、俺は立ち上がる。
痛くない。彼らがクッション代わりになってくれたおかげだ。
その代償に、周囲はまさに地獄絵図となっているわけだが……。
何と言うか……、本当にすまん。
「おー。来てくれたか兄弟」
横から聞こえた女の声に俺は振り向く。その先には一糸纏わぬ姿のまま、バックの体勢で男と交わるとびきりの美少女の姿。
「一年ぶりだなー、また会えてうれしいぞ。その様子を見るとお土産は大事に使ってくれてるようだな。
あんっ!! そんなにがっつかないでよっ」
ピストン運動に会話を遮られ、美少女は後ろの男に怒鳴った。
懐かしい相手だ。あの時とは違う姿だが間違いない。彼女は一年前に俺の元へとやってきた、もう一人の『俺』だ。
部屋を見渡すと、回転する大きなベッドの中に俺達はいた。天井にはクルクルと回るミラーボールの光。
どう見てもラブホです。本当にありがとうございました。
そして俺達以外には男が五人。四人はベッドの上でうずくまり、一人は美少女とお楽しみ中。
彼らが何者かはすぐに分かった。こいつらは『俺』だ。異なる世界に存在する『俺と等しい存在』なんだ。
そして俺に与えられた使命は一つ。それは彼らの筆おろしをしてやることっ。
何処の世界にいても、つくづく『俺』という存在は異性と縁がないらしい。
「来てくれて助かったぞ。流石にこの人数は俺一人じゃ捌ききれないからなっ……!! あぁんっ!! イイよぉ!!」
美少女は俺と話しながら体位を変え、今度はその美しい肢体が男の上でギシギシと跳ねる。
「うう……」
痛みに呻く男達の目が一斉にこちらに向いた。目の前の行為でおあづけをくらい、はち切れんばかりの性欲で彼らの瞳が燃えている。
そういえば俺は一人エッチの最中で裸のままだったな。だったら話は早い。早速本番にとりかかるとしますか。
「うふふっ。焦っては駄目ですよ、皆さん。夜はまだ長いんだから、一人づつゆっくりと……愉しみましょう」
しかし、欲望にたぎる彼らに自制を求めるのは少し無理があったかも知れない。
男達の肉体が、一斉に俺にのしかかってきた。避けることも出来ずに俺はがっちりと組み伏せられた。
「ちょww 駄目ですっ!! 女の子にはもっと優しく、って……。アッー!!」

今年の俺は男達の迸る白濁で、クリスマスケーキのように真っ白にデコレートされましたとさ。
これが本当のホワイトクリスマス、なんちゃって……(完)
長らくお待たせいたしました。皮モノ大好きかわらばですー。
今回の作品はクリスマスイブを舞台としたお話でしたが、書いているうちに年は明け、バレンタインも過ぎ、
復活祭も終わってからようやく完成となりましたw
ネタ元はイブの前日に自分が思い描いた妄想そのものだったりw
来年のクリスマスには、女体化した自分が異世界からやってくることをせつに願うばかりでありますw
かわらば
0.3820簡易評価
13.無評価きよひこ
「女の本能」なんて偏見書くから萎える
そんな偏見のせいで男を好きになれない女性が苦しむのだよな
24.80GAT・すとらいく・黒
おつかれさまです。大々的なパート追加で読中のゾクゾク感が増大しておりますね。

あいかわらず、スーツ着用状態の描写がツボでしたです。今までの装着描写に加えてアウタースキン装着で感覚が一変するところもまたイイと思いました。

欲を言うなら、スーツの変化描写途中でスーツの表面の変化が描かれていなかったのが気になったところです。
(過去作では人体模型状態>ラバースーツ状への変化描写があったのでなおさらというか。)

あと、最終パートの倒錯的アトモスフィアがわりかし人によってきつめかもしれないなぁと思ったりしました。
29.無評価きよひこ
同感
男に性的嫌悪感を抱く女性は反感を持つだろこれ
30.無評価きよひこ
なんで架空の話にマジギレしてんのこの人・・・・
だったらフランス書院の小説全部ダメじゃねーか
31.無評価きよひこ
アダルトかつフィクションの創作小説サイトの作品に対して、
「偏見」とか「男に性的嫌悪感を抱く女性は」とか、言われてもね。
別にドキュメントでは無いんだし、現実と小説は違うっていうのがわからないのかな?

と言うか、同一人物の書き込みか、この2つ。
32.無評価きよひこ
「萎える」というのも一つの感想だろ。
マンセ―意見しか認めないつもりなのだろうか。

もしかして作者の自演か?
33.無評価きよひこ
フィクションなら批判されないと思ってるのだろうか
女への偏見丸出しな作品に対して、反発がないとでも思ってるのだろうか
表現の自由は批判の自由と表裏一体なのを理解できてない奴がたまにいるよな
34.無評価きよひこ
>32
萎えるって言ったことが批判されてるわけじゃなくて、
架空の小説の描写を、現実の女性に対する描写だと誤認してるから
そこを的外れだと馬鹿にされてるだけ。
空想小説を歴史的事実と思い込む、K国大学生じゃあるまいし。

というか、もうこっちでやれ。
http://www.tsadult.net/honba/futaba.php?res=1402
39.無評価きよひこ
>>34
すまんが、一つだけレスさせてくれ

>>33
話を逸らさない方がいい
作者が私的な思想信条の発言だと前置きして長文を書いたり、あとがきやらで作者の考えとして女性蔑視をつらつらと書いてるならともかく、
小説の中の登場人物が「女の本能」と表現をしていると言うキャラクターに過ぎないことが何で女性に対する偏見なんだ?
じゃあ、作中の登場人物が架空の世界で大虐殺をしたら作者は虐殺者か?
「大の男嫌いで男を蔑む」女性キャラクターが作中に登場したら作者は男性蔑視なのか?
架空のキャラクターの発言と価値観は、作者と同一の物なのか?
架空の話と現実の話をゴッチャにするのは良くない
表現の自由とか批判の自由を語る以前の話だ

ちなみに、他の作者さん、ゴム用さんの「君の名前 -2- Girl or devil inside me」では、
女になったら男の匂いを感じる本能と言う表現が出てくる。

「結局のところ俺は、妹が羨ましかっただけなのかもしれない。」では、
「男の本能を爆発させた兄」と言う表現が出てくる。

せなちかさんの「奪われた夫(前編)」では、
「牝の本能を満たした喜びが若い女体を包み込んでいた」と言う表現。

これも女性蔑視ですか?

罰印さんの「スライム選択物語 Choice1」では
「スライムの本能」と言う表現が出てくる。

これはスライム蔑視ですか?ここまで馬鹿馬鹿しいこと言われればさすがに分かるでしょう
批判にも正当な意見にもならない無茶苦茶な難癖をつけてるだけだと

批判にもならない悪態をつくことを「批判だ」と言い、
それは「表現の自由」「批判の自由」だと強弁する
貴方の言う批判ってそう言う物なんです?違うでしょう

作中で述べられていることが、作者の考えと同一であり、それらが偏見に満ちていると言うことがどれだけ筋違いなのかも分からない状況を「批判されている」と言う状況についてはどうなんです?
もっと冷静になって書き込みをした方がいい
40.無評価きよひこ
俺は33ではないがこれには我慢できないので反論させてもらう
>>39
キャラクターの偏見を是正する描写をしないからこそ差別的だと指摘されるんだよ。
推理物で殺人行為が肯定されてるとでも思うのか?
基本的に推理物は探偵役の主人公が隠された殺人行為を暴く展開になり、おそらくその後警察に逮捕される結末になるだろう。
デスノートの月は独善的な殺人行為を大量に行ったが、作品内でそれが肯定されたか?
>「大の男嫌いで男を蔑む」女性キャラクターが作中に登場したら作者は男性蔑視なのか?
例えばマリア様がみてるの可南子はかなり酷い男性蔑視者だったが、彼女は改心したぞ。
差別や殺人行為というのは物語中で否定されるべき行為なんだよ。
逆に言えば差別や殺人を否定しない作品には非難が巻き起こるし、それでこそ健全な社会なんだよ。

あなたは「燃えるお兄さん」で、あるキャラクターが酷い用務員蔑視発言を行ったため回収騒動になったことを知らないのか?

残念ながらこの社会から差別を完全に無くすことは不可能だ。
しかしそれをできるだけ無くそうとする行為があるからこそ健全性を保つことができる。
キャラクターが差別発言しそのキャラクターを悪役とかヒール役として設定するのはいい。
そしてその作品内でその差別を咎めて否定する展開でないと差別に宥和的であると批判が巻き起こるのは当然だろう。

>これも女性蔑視ですか?

セクシャリティへの偏見ですね。
今まで批判されなかったのが不思議なくらいです。
41.無評価きよひこ
こんなところでギャーギャー言い合って何になるの?
作品の肯定・否定な感想がいくらあってもいいじゃない
それが読者の感想なんだから

言い合うなら議論行けと
63.無評価きよひこ
ここの掲示板も随分変わりましたね。

昔は作者をあからさまに叩くような中傷的なレスが有れば
管理犬自らが出て来て
「作者に対して励みになるようなレス以外はNG」と言って

読者『様』が増長しないように諌めていたものですが。


気に入ら無ければ読まないという選択肢がいつでも有るのに

他人が作り上げた成果をただ貪るだけの浪費者が
まるで自分が王様で有るかのように我が物顔で振る舞い
気に入らないものを叩いて回るのは、非常に悪質で幼稚な行為だと思いますよ。

そんな読者『様』は、どこの掲示板でも一番迷惑な存在では無いでしょうか。
子供ならともかく良い歳をした大の大人なのですから、協調性をもう少し身に付けて下さい。
議論以前の問題ですよ。
64.無評価きよひこ
そんなに気に入らないレスがあるなら「読まない」と選択肢があるのに何を言ってるのかね63は
気に入らない発言を叩いて回るのは、非常に悪質で幼稚な行為だと思いますよ。

そんな作者様の味方『様』は、どこの掲示板でも一番迷惑な存在では無いでしょうか。
子供ならともかく良い歳をした大の大人なのですから、協調性をもう少し身に付けて下さい。
議論以前の問題ですよ。

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