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水族館の夏

2013/07/16 07:11:40
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「としあきぃ・・・ そろそろ舐めるのやめてよぉ・・・ くすぐったいよぉ・・・」
俺の声が聞こえているのかいないのか、としあきの目がますますトローンと濁ってくる。

今の俺は、紫色した人魚に、イタズラされている水色の人魚。
逃げ出そうにも俺は肩と腰をしっかりつかまれている。
・・・それに、くすぐったさにも増して、舐められるのが気持ちよかった。





===
「きよひこ美味しいバイトがあったぜ」
悪友のとしあきが持ってきたアルバイトがすべての発端だった。

「夜の水族館の警備?」
「おうよ。定期的に巡回する以外は警備員室で待機して遊んでりゃ良い」
「そもそも夜は水族館に誰もいないだろ? それに俺、泥棒なんか取り押えられないぞ」

「だから、募集も二人となっている。まぁ二人がかりなら何とかなるだろ」
話を聞く限りでは、それほど危険には感じなかった。
そもそも、プロの警備員さんの人員削減が目的らしい。って事はヤバかったらプロに任せれば良いのだ。
だいたい水族館なんて、泥棒の来るところじゃない。

面接もそこそこに、としあきと俺はその町外れの水族館にアルバイトとして勤める事になった。
夜は大半の魚たちも眠っているらしく、とても静かだった。
としあきと二人で、警備員室でゲームをして時間を潰すのが、勤務時間の大半を占めていた。
これで時給が良いのだから、辞められる筈がない。


警備のルートも暗記してアルバイトが楽になってきた頃。
としあきの奴が、カギのかかってないドアを見つけた。
「・・・職員の人がカギをかけ忘れて帰ったみたいだな」
「警備員室にマスターキーがあるから取ってくる」

としあきが去っている間に、俺はふと好奇心にかられて・・・ 中を覗いてみる事にした。
懐中電灯で照らしてみるとそこは物置になっていたらしい。
水槽の中にある魚用のアトラクションや・・・ 昼間のイルカショーで使う道具やらが並んでいる。

「なんだ、こりゃ面白そうだな」
カギを取ってきた清彦も、物置の中に入ってきた。
「まだ奥の部屋もあるみたいだぜ、としあき」
「覗くだけ覗かしてもらって、帰ろうぜ」


奥の部屋は想像していた以上に広々としていた。
「水族館って外見以上に裏が広いよな」
「水槽の維持管理だけで大変だと思うぜ、俺は」

部屋の中央は水槽になっていて、今は波ひとつ立てずに黒々とした姿を呈していた。
「なんか怖いな・・・」
「おい、きよひこ見てみろよ」
呼びかけに振り返ると、としあきの奴が部屋の棚を物色していた。
壁には巨大な魚の尾ヒレみたいなものと、ブラジャーが掛かっていた。


「なんだこりゃ」
「人魚セットだぜ。これで人魚のカッコしてなんかショーでもやるんだろ」
「へぇ・・・ それなら昼間っから来れば良かったなぁ・・・」

俺はヒレみたいなのに触ってみる。特殊なゴムでできているようで・・・
やんわりとしていた。よく見れば表面は細かいウロコみたいな模様が付いていた。
あぁ、ここに両足を通せば、確かに人魚だ。



「きよひこ、どうだ? 貝殻のネックレスだ」
「ははは、人魚には必須だな」

としあきの奴がそれを首にかける。
「似合うか?」
「お前も人魚のバイトすればいいぜ、としあき」
「男のオレには無理だよ」
「バカだな。こんなスーツ着て泳ぐんだぜ? 体力のある男が女のカッコしてやる方が理にかなってるだろ」

「そんなもんか・・・ 夢がねぇな。子供は人魚だーっ!て喜ぶだろうに」
「遠目ならバレないだろ? それに生身の女がやって喜ぶのは成人男性だけだ」
「違いねぇ」

俺も棚を漁ってみた。
「見ろよカツラだ。やっぱり男が人魚の格好してるんだぜ」
「うわぁ・・・ ・・・なんか幻滅したわ」
「それが大人になるってもんだ」

「ん? このカツラはこの貝殻と同じ色だな」
「セットなんだろ。ほらこっちには水色のカツラがある」
「ふーん。 ・・・よっと」

としあきが、毛先が少しカールした紫色のカツラを頭にかぶった。
「どうだ?」
「すごいぞ! これなら遠くからだと十分に女っぽく見えるぜ」
俺はお世辞抜きでそう答えていた。小道具の力は偉大だ。

「マジか。鏡ないか鏡?」
そんな都合よく鏡があるハズもない。
俺は水面に映してみたらどうだ? と提案した。
「お前は頭いいな・・・ どうせならお前もカツラかぶってみろよ」
としあきが水色のカツラを俺に放り投げて、それからプールのほうに走っていく。



・・・なんか女装を楽しんでるみたいでヤだな。
あいつ、そっちの気があるのか?
「すげぇなこれ! さすが水族館って感じだぜ!」
興奮したとしあきの声が、部屋の中に響いた。

「バカとしあき! 声がでけぇよ」
「すまんすまん・・・ ぎゃははははは! お前は似合ってねぇな!!」
「笑うなよ!」
何となく、俺も水色のカツラをかぶってみたは良いんだけど・・・
まったく女には見えなかった。としあきが見て笑うのも道理だ。

「何でかなぁ」
「たぶんこのネックレスの効果もあると思うぜ」
としあきがネックレスを俺に手渡す。だんだん調子に乗ってきやがったなコイツ・・・
まぁ、としあき以外の誰も見てないし、良いか。


「どうだ?」
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーー・・・!!」
「なんだそれ」
「似合ってる、似合ってるぞきよひこ! なんか人魚みてぇだ」
ネックレス一つでそんなに変わるもんか?
俺もプールのほうに寄っていって、水面に自分の顔を映した。



「・・・へぇ?」
「な?な? なんか見た目カワイクなっただろ?」
懐中電灯の照明で、水に映しただけだけど・・・ なんだか別人みたいだぞ?

「せっかくだからこのスーツも着てみるかな?」
振り返ると、としあきの奴がもう壁からスーツを取り外していた。

「お、おい!流石にマズイんじゃね?」
「大丈夫だって。・・・多分」


「それにサイズが小さいだろそれ!」
尾びれスーツのサイズは、俺たちのズボンと大して変わらなかったけど・・・
幅はどう考えても狭い。足が2本入るとは到底思えなかった。

「んー・・・ ズボン脱いだら入るかな?」
「だから!これ以上はもうヤバいだろ!帰ろうぜとしあき?」
「ま、ま。ちょっと借りるだけちょっとだけ!」

「ん?意外にこれ伸びるぞ・・・ あぁ入る入る!入るよこれ!」
「うげっ!?」
としあきの奴が、器用に伸縮性のある尾びれスーツに足を通してしまった。


「・・・どう?」 腰元を揃えながら、としあきが尋ねてくる。
「人魚がいる」
「はははははは! どれどれ?スーツを着たオレはどんな感じかな」

床の上をひょこひょこと、這うようにしてプール際へ歩いていく・・・
いや、ハイハイしていくとしあき。
動物園にいるアザラシみたいだ。動くにつれてド紫の尻ビレが、ゆらゆらと揺れた。



・・・人魚がいる。目の前のとしあきを見て、俺は改めてそう思った



「オレっていい感じじゃん!」
「すごいなこの素材・・・ とても足が入ってるとは思えない」
俺は、としあきのスーツの上に手を這わせる。

「ひゃ!?」
「ん? くすぐったかったか? スマン」
「いや・・・ なんつーか、このスーツ、密着性が凄くて」
「そりゃそうだろ。つま先なんかコレ、ピンと伸ばしてるみたいだが痛くないのか?」


床に座ったまま足を・・・ 尾ビレを伸ばしたとしあきが、ピコピコとそれを動かしてくれる。
「痛くないぜ。それに、よく動く。全然キツくない。おまけに軽いし」
「お前・・・ 体やわらかいな」
「そうか? でもこれすげーぜ。これなら十分に泳げる気がする」
「でもバタ足もできないぜ?」

「なに、バタフライ専用だと思えばいい」
プールのほうに向かって這って行くとしあき。
「ちょっと待て!? 泳ぐ気か!?」
「なんだよー 泳げるに決まってるだろ。昼のショーで泳いでる筈なんだし」
「いや、俺はその・・・」

なんつーか、この衣装は観賞用って言うか・・・
こう、岩場に座って手を振っているだけ用って気もするんですけど

「まぁ物は試しだ」
「バカやめとけって!」
「ばれたら『きよひこのヤツはオレを止めました』って言ってやるよ」

としあきのヤツはそのまま、器用に身を翻して、水中に落ちた。
水しぶきが俺にも降りかかり、水面に波紋が広がっていく。

「あのバカ!」
溺れたらどうする気だ! あんな状態じゃ沈んでも仕方ないぞ!?
俺は人間一人抱えて泳げるほど器用じゃないぞ!?



・・・水面の波紋が消えてくる。
としあきは顔を出してこない。
ヤバイ



オレは懐中電灯で水中を照らした。
・・・暗くて深い。何も見えない。
誰かに助けを求めに行くか?



そう思ったとき、プールの向こうの方で何か大きなものが跳ねた。
器用に空中で弧を描いて、再び水面に降り立つ。
大きな尾ビレが空中で踊った。 ・・・・・・人魚だ。



波飛沫をあげて泳いできたとしあきが、プール際に顔を出した。
「すげぇー! すげぇ泳ぎやすいよコレ!」
「・・・お前、あんなに泳げたのか?」
「いや初めて初めて! 初めてこんなに泳げたよ!!!」

興奮冷めやらぬ、としあき。・・・まぁ気持ちは分かる。
水中であんなに勢いよく泳いで、あれほど高く水面からジャンプできるなら・・・
俺だって泳いでみたい。




「あれ?」
「どうした、としあ・・・ うわあああああああ?????」
としあきの声に振り向いて、俺は正真正銘の悲鳴をあげた。
プールサイドに、Tシャツを着たままの上半身を乗り出している、としあき。

その体とプールサイドの間に・・・ ありえない筈のものが挟まれて・・・ 形を変えていた。
「そ、それ!? としあき!?」
「すげぇー」
Tシャツの中を覗き込んだまま、としあきが言った。
「おっぱいだ」


「おっぱいだ、じゃねぇよ!? なんなんだよそれ!?
なになに!?何が起こったの!? お前おっぱいあったっけ!?」
「無かったよ」
「何でお前はそんなに冷静なんだよ!? 俺は今目の前で起きてることが信じられねぇ!? 夢かコレ!」
「いやまぁ・・・ 何か分からないけどこんな仕組みなんじゃね?」

そう言えば・・・
あんな勢いで泳いでたのに、としあきのカツラはまったく乱れてない。
それどころか文字通り水を得たように、しっとりと今の姿に馴染んでいた。

「乾いたら元に戻るだろ」
「お前は河童じゃねぇんだぞ!?」
「まぁ考えても仕方ねぇ・・・ 悪いけどそのブラ取ってくれないか? なんかTシャツが張り付いて気持ち悪ぃ」

・・・濡れて張り付いたTシャツのせいで、としあきのおっぱいが綺麗な曲線を描いていた。
それから目が離せない。これはもう本能だ。仕方ない。

「ホラよ」
壁からブラを取り外して手渡すと、としあきのヤツがいきなりTシャツをバサっと脱いだ。
ぷるぷるとおっぱいが俺の目の前で揺れている。思わず目をそらした。
男同士だとはわかっているが。しかし・・・ しかし・・・


「どうだ?」
床の上でポーズをとる人魚。俺は「人魚がいる・・・」と力なく呟くだけだった。
目の前で起きてることは、もう俺の理解をはるかに越えている。
・・・あ!? ブラを渡したのはマズくなかったか?


「きよひこも着てみろよ、そのスーツ。めっちゃくちゃ泳げるぜ」
「いや、それはわかってるんだが・・・」
巡回の途中だし・・・
「大丈夫だって! 次の巡回まで時間あるしさ、敷地内にさえ居れば、どうせ警備員室にいなくても良いんだし」

「一緒に泳ごうぜ!な?」
立ち上がったとしあきが、器用にトコトコと壁際まで歩いて、スーツを取ってくる。
イルカが水面を器用に立ち泳ぎする姿を俺は思い出した。
「・・・歩けるのか」
「?当たり前だろ?」


・・・真夏の夜の思い出だ、少しおイタをしたところで大学生。
大目に見てもらえるか、最悪クビぐらいで済むだろう。


「って、わぁぁぁぁぁああああああ!?」
「なんだ、お前も胸膨らんでるじゃねぇか」

いつの間に!? いつの間に!?
思い当たるフシは・・・ あ、さっきコイツが飛び込んだ時に水を被ったアレか!?
「なに遠慮してるんだよ。大丈夫だって」
俺が目を伏せて茫然としていると、としあきのブラが目の前で谷間を露にしていた。
・・・なんと言う、なんと言えば

言われるままに、床に尻をついた俺はスーツに足を通す。
ひんやり、としたそれはまるで皮膚に食い込んでくるようにピッタリと脚に密着した。
膝の辺りで、二本の足が一本になってしまっていくような・・・ そんな錯覚。
腰までスーツを引き上げると、その感覚はますます強くなる。
足先は信じられないほど細くなっていき、ヒレの先まで俺の皮膚になったような・・・
俺の意志で動かせるような・・・ それでいて、心地よい履き心地。

「どうだ?なかなか悪くないだろ?」
としあきが尻尾を振りながら近寄ってくる。
コイツ、こんなにも肩がほっそりして華奢な感じだっけ?

胸の谷間に収まった貝殻のネックレスには、見事な視線誘導効果があると思う。
「お前、もうどう見ても人魚だぞ」
「きよひこもな。はいコレ」
・・・アコヤ貝と真珠を模した、ブラジャーを手渡された。


===
プールは、外から見るとかなり広々として見えたけど。
人魚の格好をして泳ぐとそうでもなかった。
膨らんだ胸が邪魔かと思っていたけど、こちらもそうではなく。
・・・ブラでしっかりと固定されていて、それでいて水が流れていくのを感じられて気持ちよかった。

加速をつけて中心部に向かって円を描いて、水面にどちらが高く跳ねられるか、としあきと勝負をした。
何度何度もいくら泳いでも、ちっとも疲れなかった。
・・・水中で息も良く続いた。久しぶりに泳いだのに、ちっとも疲れた感じがしなかった。
最近のスイミングスーツはスゴイなぁと、頭の隅のほうでチラリと思った。


それでも最後には息を切らせて、としあきと二人して岸に打ち上げられた魚のように、プールサイドに寝転んでいた。
思いっきり体を動かせて気持ちよかった。

「おぃとしあき、そろそろアルバイトに戻ろう・・・」
「それより、何か良い匂いがしないかきよひこ?」

クンクン
「しねぇぞ?」
「いや・・・ お前の方からする」
としあきが俺のほうに這い寄ってくる。

「なんだ?」
「いい匂いがする・・・」
「おい何してるんだ!?」

急にとしあきが、ペロリと俺の腋を舐めた。
「なにしてやがる!?」
「いや・・・ なんかいい匂いがして・・・」
「おいやめろ! やめひっ!」

あれだけ泳いだ後だ。
プールの水に混じって、やや汗ばんだ俺のまだ濡れた腋を、としあきが執拗に舐めてくる。
くすぐったくて俺は身をよじる。
よじったのにあわせて、尾ビレがバタバタとプールサイドを叩いた。

「やめろ!おいやめろって!」
「はぁーっ、はっ、はっ、はっ・・・・・・」

荒い息を立てて、としあきは俺の腋を舐め続ける。
すでにヤツの唾液は俺の胸を垂れ流れ、腰の辺りを濡らし始めていた。

暗がりの中で、俺ととしあきは初めてこれほど顔を近づけた。
・・・誰がどう見ても、100人の100人が、今のとしあきを見たら女だと、人魚だと言うだろう。
目に掛かる紫の長い髪。トロォーンと垂れた目尻。小さな顔。紅潮した頬。
赤い舌をチロチロと伸ばして、俺の腋を舐め続ける。


・・・俺って、そんないい匂いがするのか?


ふわっ、と俺の鼻を何かの匂いが突いた。
それがとしあきの唾液から漂ってくると気付くのに、そう時間はかからなかった。
まずい・・・ 俺も興奮してきた。

もう一度、今度は腰を振ってとしあきから身を離そうとして、俺は自分の尻の重さに少し驚いた。
水中では気が付かなかったが、今の俺の尻は弾力があってデカい、そして重い。
見ればとしあきのスーツも、腰から尾ビレまで、女性特有の滑らかな曲線を描いている。
・・・水の中で泳ぎつづけて歪んだのか? いやこれは・・・

「きよひこぉ・・・」
「や、やめろとしあき!ちょっと!なんか変だ!」

イヤイヤ、と頭を振れば、水を含んだ長い髪の毛がふわさぁ、と揺れた。

プールからは再び波が消え、俺たち二人の姿を水面に映し出した。
そこでは紫色の人魚が、水色の人魚に抱きついていた。


「おいしぃよぉ・・・」
「ひゃいん!」

気持ちよさに身を包まれ、としあきに抱きつかれたまま、俺はプールサイドに押し倒された。


===



===
既に二人ともブラを剥ぎ取ってしまっていた。
顔と言う顔を、胸を、腋を、腕を、ヘソを、腰を、舐め続けていた。
もう何時間そうしていたのか分からない。
でも、一瞬だったようにも感じる。

「はぅん・・・はぅん・・・」
「ひゃぁぁっぁああぁぁっぁぁぁぁぁ・・・」
グチョグチョと音を立てながら、二人の人魚がお互いの胸を胸に擦りあっている。
快感が上半身を駆け巡って行き場を無くして、それが喘ぎ声に変わる。

「・・・きよひこぉ!」
一際高く声を上げたとしあき。色っぽくて少女のような声だった。
するっ、と身を離すと、俺のお尻のあったあたりに顔を埋めた。
「ひゃぃぃぃぃぃぃいいいいい!!」
「気持ちいいよぅ、気持ちいいよぅきよひこぉぉぉぉぉ???」

そのまま足の・・・ 尾びれの方まで舌を這わされ撫でまわされる。
「あひぃぃぃぃっぃぃぃぃぃっぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
声にならない。
引き締まったできたての尾ビレはあますところなく性感帯で、それで新しい性感に気が狂いそうだった。
負けじとコイツの足を舐めまわしてやる。僅かにざらついたウロコで舌も感じる。

・・・でも、登りつめないのだ。
とっくの昔に射精しているはずなのに、それがない。
ひたすらひたすら、快感が全身を駆け巡る。
いつしか相手の股間を、いやもうそこは分かれておらず・・・
一本になった相手の、かつて性器があったあたりをお互いに撫でまわすだけ。
・・・性器の周りも、いや足ビレ全体が、同じように性感帯。
なのにそこだけが僅かに強く熱を帯びていて、いつしか互いに尾ビレを擦り合わせるようにしていた。


ツプッ・・・ と音がして、直後に俺の指がとしあきのスーツの中に吸い込まれていった。
「あっ・・・」
何が起きたのか感覚的に理解して俺は、そこを指で拡張し攪拌し突き動かす。
ヌチッヌチッと内側からあふれだす粘液の音、それを聞けば聞くほど腔の内側は熱くなる。
指先に感じる熱が心地よくて更に指でかき回す。
その度にとしあきが艶かしい嬌声を上げて・・・ それが羨ましかった。


――いきなり俺の中に何か細いものが突っ込まれて、俺の口から可愛らしい悲鳴が飛び出す。
・・・それがとしあきの指だと分かるまで、時間が掛かった。
頬を紅く染まった紫髪の人魚がニヤリと笑ったのだ。俺もそれに笑い返して・・・

互いの指の動きがより激しく、よりエスカレートする。
熱い粘液が体の内側からひたすら溢れだして人魚の下半身をヌラヌラと照らす。
擦り合わせる鱗と鱗、ヒレとヒレ、そして柔らかいおっぱい、唇と唇…

粘膜の中でくぃ、とほぼ二人が同時に指を折り曲げた時・・・ 何かが決壊した。
それが来る、と思った俺たちは互いの唇を重ねてそれに耐え・・・ いや、受け容れようとした。



ビチチチチッ・・・!! と二本の尾ビレが短く痙攣して、それから動かなくなった。
・・・水辺には紫と水色の人魚だけが、残されていた。












===
「どうでしょう、当水族館の人魚たちは」
「1匹1億円は安いね。だが2匹セットとは商売がうまい」

「ですがこの2匹・・・我々は『つがい』、と呼びますが。つがいだから安定しているのです。
これが一匹ですとあれこれ考え出したりして、急に正気に返ったりする例が後を立ちませんでした。
そこで2匹セットにすることで、お互いを安心させ、性格的に落ち着かせ大人しく従順な人魚になるのです」

「なるほど・・・。2匹で飼わねばならない訳だ」
「1匹ずつにすると互いを求めて歌を歌いますよ・・・ まぁ命令すればふつうに歌いますが。
嗜虐的なお客様はたいへん喜んでくださいます」

「何か気をつけることはあるかね?」
「1日に1回水に漬けてくだされば、他にはとりわけ注意する事項はありません。特殊な水槽も要りません。
お客様の場合は、日光も当たる地下室にプールがございますので問題はないかと・・・
係員の者が下見に参りましたが、水質などもまったく上等のものございましたから」


「いちおう人魚用の遊具を幾つかそろえてはみたんだが・・・」
「はい、芸も仕込んでありますから退屈はしないと思いますよ。知能は人間と同じと考えてください。
ですが・・・ 湖や川、海に放すと帰ってきません。
これはいくら仕付けても難しいところでして我々も頭を悩ませておりまして・・・」

「エサは?」
「いわゆる人間を飼う時と同じで結構です。水だけでも1ヶ月は生き延びますが・・・」
「服は着るのかね?」
「はい。とても従順になんでも着ますよ。もっともズボンは履けませんが・・・」


「――申し上げるのが遅れましたが、つがい、ですので繁殖もいたします」
「なに!? 2匹ともメスじゃないのか」
「魚はメスばかりになりますと中からオスが生まれる種類があります。人魚もそのようでして・・・
そのあたりのメカニズムはまだ不明な点も多いので目下研究中です。
ただオス・メスの役割が生まれた所で外見上の変化は鑑賞にほとんど、いえまったく影響いたしません」

「なるほど・・・ じきに子供を抱く人魚も見られるわけだな」
「仰る通りです。二匹で子育てに励む姿・・・ 実に微笑ましいですよ?
同時に妊娠、出産となりますと美しい母親の人魚が二匹、まるで絵画のような美しさです」


「プールに人魚を飼っておくのは一種のステータスだからな。いい取引をさせてもらった」
「お買い上げ誠にありがとうございます。次はぜひ動物園の方にもいらして下さい・・・」


(オワリ)
夏になったので数年前に書いたものを投稿します。
楽しんでいただけましたら幸いです。
きよひこ
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18.無評価きよひこ
!(^O^)!!(^O^)!!(^O^)!!(^O^)!!(^O^)!!(^O^)!
37.100きよひこ
なっつかしい!
以前投稿された時のこと覚えてますよ!
久々の投稿、楽しませていただきました。
38.無評価名無し
新徒・産廃創想話のほうがまし。まあ知らないかwwww
41.無評価八幡清彦
荒らします。あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ