さくらんぼを模した装飾がくっついたヘアゴムと、それで纏め形作られたツインテール。貧弱な胸の起伏と、ぷにぷにした白い肌を備えた体。唯一身に着けた淡い桃色のお子様ぱんつをずらしても、それに覆われていたのはすじ一本。ぶら下がるナニも、はみ出る具もない。
「あう……ああうあ、じじじじじつにえっちだよ、俺……」
幼女、そんな表現が相応しい女の子が上ずった声をあげる。ともすれば、可愛らしいともいえるかも知れない。自分の喉から出たものだと分かっていても。
――俺は今、念願のロリっ娘になっていた。
並行世界の自分とすり替わることを可能とする、その名も『並行世界の自分とすり替わるすっげー機械くん コードネーム:システムXN』という珍妙な装置を、友人が生み出したしたのが事の起こりだ。因果律がうんたらとかパラレルうんたらとか……まあ理屈はともかくだ、俺はそんな奇天烈斎様の発明にも劣らない機械によって、俺という存在がU-15の女の子である世界へと旅立ったのだった。
テスト等は行っていなかったらしいが、ともあれ結果は成功。この世界での俺と”あいつ”がどんな関係を築いて居るかは解らないが……とにかく、友人には言葉では言い表せない感謝をしている。
「じゃあ……おっぱい、むにむにしましょうねえ」
興奮で震える指を胸元へ――これまで、洗う目的以外で触れられた事のないであろう乳首をなぞる。まだまだ綺麗なピンク色をしていて少し尖り始めている程度でしかないそこは、きっと快感なんて生んでくれないだろうと半ば諦め、ある種の観賞用と割り切っていたのだが。
「ふうっ……」
どことなく痛みにも似た感覚によって、びくん、と体が跳ねる。まだ……軽く擦っただけなのに、少なくとも男だった時と比較するのも失礼な位には敏感に反応してくれた。
やっぱり……女の子になって正解だったと、俺は男として過ごした人生を捧げるだけの代償を既に取り戻せたように舞い上がってしまう。これだけでご飯何杯……なんてレベルじゃない、比喩表現ではあるが一生食うに困らないほど。
「ああ……ん」
そりゃもう夢中。左を遊ばせているなんて勿体無い。両手でちょこんとくっついた突起をいじり回す。回すようにこねこねしたり、指と指ではさんだり、マニキュアなど施されていない爪でぴんと弾いたりすると、それだけの信号が送られてくる。すべすべした肌に空気が流れる事さえ分かる程過敏になり、少しづつ少しづつ高まっていく。
「あぁっ、んああ、んああ」
ああ……あの日夢想した悪戯が、実現している。しかも、その快感をも享受して。そう考えるだけで俺の歪んだ本能は悦びの声をあげていた。
「ああっ……う、っふ」
凄いな。唇からは短く区切られる声が漏れると共に、必要以上の息も吐かれている。それは幼い喘ぎとなり自分自身の耳へと届いた。
「……ふぁああ! おっぱい……おっぱいいいのお!」
ならば愉しまんとばかりに、性徴前特有の甘ったるい声で、けれども下品なしゃべりをしてみる。
……いや、違うな。ここは女の子っぽく――歳相応の雰囲気を出してみよう。
「おっぱい切ないよう……こんなにちっちゃいおっぱいなのに……とっても気持ちよくて、変になっちゃうよお!」
なんかエロ漫画みたいになってしまった、失敗。けどまあいいや。そろそろ……次だな。普段のフタバなら、男に見られただけで恥ずかしくて死んでしまうだろうあそこ。
けど、今は自分だもんね、遠慮なく見ちゃうよ、俺。
「ああっ、ふ、フタバのおまた、見ちゃだめえ!」
とか言いつつ、俺は鏡の前でどんどん股を開いていく。すると、密着していたぷっくりした肉が名残惜しそうに離れていく。けど、離れきらない。この歳ならこの程度だろうな。
「ああ……フタバのおまた、見られちゃったよお……」
とか言いつつ、俺の頬は緩みっぱなしだ。まあ、自分だし。
覗いたそこは全身の皮膚同様、雪のように真っ白。けれども中身はいちごシロップと練乳をかけたようなピンクに染まっていて、狭い狭い穴からはおしっこじゃない液体が溢れていた。
「うお……すげえ」
っと、いかんいかん。素が出てしまった。
「やだ、やだ! フタバの、フタバの……」
――もう我慢できねえ!
「ひゃん! ああっ、ああああああ……あ? 入らない……」
指をつぷっ、と突っ込……みたかったが、しかし一度として何人も侵入されていなかったそこはきっつきつで細い指一本さえ拒んでくるようだ。むう……しかし、ここで諦めるわけにはいかない。ゆっくりと回りのお肉をほぐしながら、受け入れる用意を進める。
「ん……んん、ん、お兄ちゃん……ごめんね、フタバの穴さんちっちゃくて」
くちゅりくちゅりと音を立てる指を休ませず、とくとくと溢れるお汁を延ばしながら入り口を整えていた。その間にも快感は絶えず俺を責め、逆に入らなくても、
『ロリっ娘だから仕方のない』
事だと思え、余計に興奮させるのだった。
「フタバ、変なことしてるのに……気持よすぎて! ああん、声止まらないよお!」
ぴらりとしたお肉に指をくっつけ、前、後ろ、前、後ろとピストン運動を繰り返す。やばい、そろそろ……か!? これが……イくってやつか!?
「ふぁあ、ふぁあああああああん!」
ぴゅるぴゅるとお汁が吹き出す。あはは……こんなちっちゃい娘が……オナニーして、潮まで吹いちゃってるよ……。
と、俺の意識はここで途絶えた。
「……うー……」
おっぱいも股間もひりひりする。流石に女の子としての一人えっち初体験なのにやり過ぎたかな。ファンシーなキャラクターもののシーツも、脱ぎかけだったフロントプリントぱんつもぐちょぐちょだ。お母さんはなんて思うんだろ、お漏らしの匂いじゃないし、ジュースとか水を零したと思うのかな?
ぬるりとする股に違和感を覚えながらも、ずっとこのままで居るわけにもいかない。そう思った俺は、ゆっくりと立ち上がってチェストへと足を向けた。
「さて……」
どんなお子様ぱんつを穿こう。どんなフリフリのドレスを着よう。いや、水着を試してみようかな。或いは、ノーパンで出かけて見るものいいかもしれない。
「お……」
いやらしい……というか、自分でも気持ち悪いとしか思えない妄想を――これからどう現実にしてやろうかと、チェストを漁っていたところだ。現れたのは、どうみてもジュニア用ぱんつである布の群れだった。
純粋と清楚を表す白、少女らしさを全面に押し出した桃系統、可愛らしさを引き立てる水色。その殆どが綿で、もこもこしている。
これだけで……もう、余は満足じゃ、なんて舞い上がってしまう。
けど、今はこれを穿ける。穿いたうえ、街に繰り出して、更にスカートを着けて、更に更に何かの拍子でちらっと見えてしまっても、それはごく自然なこと。
「ううう……おまた、変な感じだよ……」
じゅん、と再び股間が反応してしまう。と、とりあえず穿いちゃおうか。うん。この……白と青のギンガムチェック柄のやつにしよう。
「お……こりゃあいいや」
足に通し、ぐっと引き上げて収まるべきところまで持ってくると、すうすうしていたおまたにぱんつがぴったりとフィットする。
素晴らしい、前世ではこうする事すら変態の烙印を押されてしまうから許されなかった行為がここに。
「うう……いいよいいよ」
お洋服をひっくり返す俺の手は加速し、隅々まで調べあげていく。
紺のスク水、デニム地のミニスカート、ゴスロリちっくな意匠を散りばめたワンピース、空色のパジャマ、バレエのレオタードと白いタイツ。
「う……」
目の前が真っ白になった俺は目がくらむように体勢を崩した。重量のない俺の体がぽふんとベッドに倒れ込む。もちろん、ベッドはひっくり返した衣類やぱんつが敷き詰められていた。この世の何処かに天国があるとすれば、今ここだろうな――なんて、昇天している場合じゃない。流石にぱんつ一枚で服を散らかしているところに誰か来たら、大変なことになってしまう可能性がある。
まずは服を着て……どうしようかな。ママはいるのかな。
外は晴天、さっきまでは興奮のあまり気にしていなかったけど、かなり部屋は暑い。壁に掛かっている月めくりカレンダーは8月。夏、か。そういや、木目調ながらパステルピンクで彩られた学習机の横にくっついているあれは……。
「ぷーるどうぐ、だねえ」
また股間がきゅんきゅんとシグナルを上げている。っと……ここでまた一人えっちをするのもいい。しかし……ここはプールの中、公衆の面前でいけないことに耽るも一興か。
ふにっとしている腕を伸ばして、プール道具が入ってる袋を逆さにする。落ちてきたのは、白い水泳帽、水色のゴーグル、そして……同じく水色を基調とした、スカート付きワンピースタイプの水着。フリルが段々を形成しふりふりしている胸元、裏地にはパッドなどない。
「う……はむはみゅぅー……う、うまい」
思わず、水着の股間部の布を口に含む。当然塩素のような味しかしないのだが、
『それがまたいい』
とか思う俺は終わっているんだろうな、うん。
と、いつまでもなめているわけには行かない。どうするって? 着るんだよ。さっき穿いたばかりのぱんつを脱ぐために、インゴムになっているふちに指を入れる。そのまま一気に……なんて、勿体無いことはしない。ゆっくり、ゆっくり白く細い足に通していって……あ。
「フタバのぱんつとおまたに糸引いてる……」
まあ、あんなに激しくぴゅっぴゅしたんだからしょうがないよね? 自分に言い訳しつつ、俺のぱんつは取り払う。つまり、また全裸に戻った、ということだ。
このままであっても十分過ぎるほどではあるけど、今回この幼い身体に一枚の布を被せる事で更なる高みへと昇華するのだ。こんこんと湧き出るえっちなお汁を太ももに感じながらも、俺は水色のすべすべした布へと手をかけた。先ほど自分の――フタバがよだれまみれにしてしまった股間部が見えるように、水着を捲くる。その当て布の左右に開いている穴へとちっちゃな脚を差し込む。
「あ……タオル巻きながらやってみても良かったかな」
一瞬そんな考えがよぎるも、まあいつでも出来るから焦る必要はないなと思い直す。今は……とにかく着たいというアホみたいな思考によって、俺の女の子の部分がいっそう悲鳴を強めた。それは俺の腕にも作用し、水着を引き上げる力となった。生地を丸ませていた水着は、一気に俺のふにふにの皮膚へ張り付いて、平坦なラインを描いてくれた。
やっぱり違う。特に股間、あとおっぱい。
おまたはべっちょりしているのもあるかもしれないが、全然と言っていいほど感覚は別物だ。勢いよくすり上げたからか、敏感なぽっちは繰り返し痺れるような快感を送ってきている。
何より――見下ろしても、ロリっ娘。
「あああ……フタバちゃん、こんなにえっちなお子様、見た事ないよ」
そして、鏡を見てもロリっ娘。しかも、水には浸かっていないはずなのに股間の部分だけ濡れていて色が濃くなっていた。お姫様のようにキュートな顔も、いやらしさを映し下卑た笑みを貼り付けている。
こんなの……こんなの、えっち過ぎる。
「あぁぁ、触ってないのに……ぴっちり感だけでええ……」
――自分が水着を着ている。
「ふぅぅぅ、ああん、フタバ、水着着てるだけなのに……」
鏡に映る自分は女児。
「当たり前の事してるだけなのに、おまたの変なの止まらないよお!」
もう……おかしくなりそうだ。
「あああっ、いいっ、イっちゃうううううぅぅぅ!」
本日二度目のえくすたしーを迎え、フタバのおまたの染みは広がっていった。
「さて……」
賢者タイムを経た俺は、冷静さを取り戻していた。が、結局頭の中を這いずり回っている思考はピンク色。自分がちっちゃな女の子になったという事実をどう利用してやろうかと考えているところだ。
まあプールだな。今の時期ならどこのプールにも幼女が溢れかえっているだろう。その中に紛れ込んでちょっといけない遊びをするのはもちろん、脱衣所も愉快な事になっているはず。更に更に、市民プールには水遊びをして冷えた体を温めるための浴室が併設されている。正直理性を保っていられるかという不安は残るが、だからといって退くわけにはいかない。
はい決定。
そしたら、早速ママの元へ陳情しに……と思ったが、すじもくっきりと浮かぶほどお汁をおもらししてしまったこの水着をママの前で取り出すのはまずいな、さすがに。となると、スクール水着か……他にも水着があるかも知れない。プール道具を詰めた半透明のビニール製バッグにプール用タオルは入っていなかったからな。
そういや、服を着なきゃな。水色のジュニア用水着を脱いでいくと、再び桃色の突起がつるりと撫ぜられ、ぷにっとした柔肉と水着の間に粘液が伸ばされる。うん、何度も潮を爆発させているのに、こんなに粘り気が強いなんて、元々この娘は淫乱だったんだ――と、俺だった、並行世界の。そりゃあここまで乱れるわけだ。もしや、俺が来る前もオナニーしまくり、しすぎで処女膜ぶち破ってるんじゃないか? 俺はそっちの方がいいが。
続いて、おまたと太ももを拭くために、床に転がっていたティッシュを拾い上げる。これも只のティッシュなんかじゃなく、直訳すると子猫ちゃんとなる、赤いリボンを耳につけた白猫のキャラクターがプリントされたポケットティッシュだ。普通のポケットティッシュより一回りサイズは小さく、今の俺の手のひらにもぴったり。封を切り、数枚重ねておとなしいタッチでそこに宛がう。デリケートゾーンはともかく、素敵な事に太ももでさえ穏やかな快感をくれるのには感動した。感動の余り、おまたはもう一度水気をとらなければならなくなったのだけど。
指についたぬめりを口に含みつつ全裸の幼女を鏡で軽く楽しんだ俺は、次へとステップを進めるために、さっきも一度穿いた白と青のギンガムチェックぱんつを手にとる……が、こいつも濡らしてしまっていたな。ぱんつは替えよう。
じゃあ、これ! とばかりに、白地に無数のピンク色ハートがプリントされたぱんつをつまんだ。まもなくぷりんとしたお尻を包む。
「そして、おそろいのキャミソール!」
そう、これを選んだ理由は、セットのインナーキャミソールも発見していたからだった。色々な感慨深さの中、俺はキャミソールを頭から被った。
ランニングシャツとは違って、肩紐が細いし肌にフィットするようだ。もちろん嫌なんかじゃない。その証拠に、先っちょは布を押し上げているしな。胸の方も、半球は形作っておらずただ尖っているだけみたいな状態。そう認識した瞬間には、俺の手が乳首をゆっくりとさすっていた。けど、ここで足踏みはしていられないな、プールという楽園のためにも。
快感を欲する本能をどうにか黙らせ、今度はふぁさっとワンピースを広げる。これはさっき見つけたやつで、ところどころにゴシックロリータのような雰囲気をかもし出している。胸元の編み上げ、袖口とスカート部の裾の白いフリル、お尻あたりの大きなリボン。生地の質からしておそらくは普段着だと思うから、気兼ねはしない。正しい着方は解らなかったものの、単純にスカートから頭を突っ込むだけでそれらしくなった。
「ううう……くぁいい、くぁいいよ」
それでも、やっぱりこうすましたポーズをとるだけでモデルみたいに感じられるほどには装飾が凝っている。どんどんその気になっていった俺は、くるりと1回転。いえす、ぱんつが見えた。
「きゃっ! お兄ちゃん、見ちゃった?」
ええ、ばっちり。もじもじと――演技をしている女の子を見ると、ぱんつ以外もさらけ出してやろうかなんて、アブノーマルな台詞が頭に飛び出す。いや……こっちだな。
「お兄ちゃん、フタバのぱんつ見てうれしい? なら、もうちょっと見せてあげちゃおっかな」
嬉しそうな表情をつくり、スカートをちょっとだけ持ち上げる。すると、僅かにぱんつがこんにちわしていて、犯罪の現場そのものだ。
「みえない? じゃあ、もーっと見せてあげるね!」
ばっとスカートを最後までめくる。もはやキャミソールの裾もはみ出していて……えろすぎる。そう、このくらいの歳なら、まだ恥じらいはいらない。
フジヤマ、ハラキリ、ハジライなんて並び日本の美徳とされているし、理解は出来る。が、俺は変態なのだから仕方が無い。誰にも責められる事なんてない。
「……そろそろいいかな」
おまたがみたびサイレンを唸らせてきたからそろそろお開きにしてプールに連れて行けとせがむ事にしよう。
黒と白のボーダー柄で、裾が黒いスカート状となっているタンキニと呼ばれるタイプの水着と、イチゴ柄のプール用タオルを袋に詰めた俺は、ついに部屋のドアを開く。水着はあの後再度部屋を物色し発見したものだ。さて、ママは――
「あらフタバ、水着なんて持ってどうしたの?」
……えっと、誰だ。
意気揚々と踏み出した第一歩と同時、横から声を掛けてきた女の子には見覚えが無かった。見た目は中学生くらいで、今の俺を成長させたらこんな感じになるんだろうなという顔に蓄えられた黒髪は肩に届いている。ただしというか、薄手の柄物Tシャツにブラのラインは透けておらず、包まれるであろうバストは貧相。いや字面だと残念に思っているととられるかも知れないが、非常に喜ばしいことだ。ちなみに下はデニムミニスカートを穿いている。
で、誰だ。この人は。
「あ、お姉ちゃん。今日あっついでしょ? だからフタバ、プールに行きたいなと思って」
お、口が勝手に動いて――瞬時に、このローティーンの娘の情報が脳内データベースに流れ込む。
俺……フタバの大好きなナナお姉ちゃんだ。ふむ……俺とは4つ離れ中学2年生、バスケ部所属。歳の差が大きくも小さくもないという事で、昔からお互いに仲が良く……こういう暑い日には二人でプールによく行ったりもする! なんて都合のいい。
「そう……だね。じゃあ市民プールに行こっか。お母さんに言ってくるね」
とんとん拍子、渡りに船とはまさにこの事。前の俺に兄弟や姉妹などは居なかったが……まあ、別にそこまで注文はつけなかったしな。
「うん、お願い」
吹き抜けとなっている階段を軽やかに降りるお姉ちゃんを見下ろし、俺と同じく未成熟な体のラインを楽しませてもらう。
うん、いいな。やっぱり女の子の成長はここくらいで止まるべきだとぼかあ思うんですよ。はい。
「あ、お母さん。フタバと一緒にプール行って来るね。……うん、大丈夫」
1階から響くママとお姉ちゃんの会話。ママの声は聞いた事が無かった……のは、前は居なかったお姉ちゃんが出現した事も視野に入れると、別な女性になっていてもおかしくないな。まあ、子供を産んでしまった女性は俺の守備範囲外だがな。
「フタバー! 行くよー!」
そんな事を考えていると、お姉ちゃんの声が張り上げられる。よし、いざ出陣なり!
「実はね、あたしもプール行こっかなって考えてたんだ」
「あっついもんねー」
強い日差し、アスファルトからの照り返し。暑さ爆発の中、俺とお姉ちゃんは気だるい足取りでプールへと向かっていた。この辺りは市街部から離れてはいないが、横目には田んぼや畑が長閑さを演出し、奥には青々とした雑木林が生い茂っている。もっとも、市民プールまで距離はなく、歩いて10分もすればたどり着ける。
「昨日も部活の後、学校のみんなと一緒にプール行って来たんだよね。でもさ、みんな疲れちゃってるからぷかぷか浮いて遊んでた」
「お姉ちゃん、今日は?」
「予定はあったんだけど、先生の子供が熱中症で倒れちゃったらしくてさ。お休みになったんだ」
さっきお姉ちゃんと邂逅した瞬間よりフタバの記憶にアクセスが可能となった俺は、仲良し姉妹としての他愛ない会話を続けていた。
――すげえなあ、これがお姉ちゃんって空気なんだな。以前の俺からしたらかなり年下ではあるけど、フタバとして接するとナナお姉ちゃんはとても面倒見が良く、母性を感じられるほどだ。
そして俺の事は、素直で無邪気な愛くるしい妹だと信じて疑っていない。並行世界の自分だし、その気になれば全くフタバと同じような言動をとれるので罪悪感はまるでない……というか、必要もないはず。そういうことにしておこう。
そのうちに目的地へと到着し、スカートを翻し動く脚を止めず、俺達はプールの玄関をくぐった。
「――小人二人でお願いします」
◇◇◇
「どうしたのフタバ? そわそわして」
今俺の目の前にあるのは、女子更衣室の入り口の前。落ち着かないのも無理はない事。
「ううん、なんでも」
お姉ちゃんは違和感を覚えたのか、怪訝そうな顔を向けてきたので、俺はすかさず満面の笑みを返す。これは演技でもなんでもなく、底に秘められた禁断の園への期待と、自分がその構成員の一人へ仲間入りできた事に対する、至上の喜びから自然とこぼれたものだった。
そのゲートをくぐる事は、何の罪にもならない。その扉を叩く事も、ごく普通の日常。
「今日あっついから、結構人居そうだね、お姉ちゃん」
「下駄箱も結構埋まってたしね」
先行するお姉ちゃんの背中を追い、ついに俺はそこへと進入した。
白い飾り気のない壁、クリーム色のロッカー、背の低い木製ベンチ。
それらの隙間を縫ってデコレーションするのは、ちっちゃい女の子やちっちゃい女の子、成人女性や旬を過ぎた女性。などなど。服を着込んでいる者は多くなく、いずれも水着、半裸、或いは全裸。純白のぱんつとジュニアブラだけを身につけたローティーンの子、まだ濡れていないスクール水着を纏った、フタバとなった俺と同年代くらいの子などなど。
まあ微妙に持って回る言い方をしたが、要は天国だという認識でいて貰って構わない。目を皿のようにして、この桃源郷を網膜に焼き付けようとするのは避けては通れなかった。
「あそこのロッカーにしよっか」
再三再四言うまでもなく、俺はここの住人であり、姉妹で涼みに来ただけの子。
「はーい」
と、間延びした返事を上げるが早く、お姉ちゃんは既にTシャツを脱いでいた。いつの間にかブラを着けていたものの、いわゆるスポーツブラと呼ばれる品種で淡いグレーの無地。お姉ちゃんのささやかなおっぱいを優しく上品に包むには、ちょうどいい塩梅だな。
――ふむ、フタバの記憶によると、お姉ちゃんがこんなだから自分もあまり成長は望めないのでは……と危惧している模様。そして、ママもまたひんぬー、と。
いいことじゃないか。いやはや、素晴らしい血統だ。
「どうしたのフタバ、さっきから様子が変だけど……いいことでもあったの?」
脳内シナプスを活性化していると、お姉ちゃんの弾む声。あからさまに首を回し、にやにやしているさまは第三者から見ると、嬉しい事があってそわそわしている、純朴な子にしか見えない……うん、そうだな。以前の俺なら、そう思う。
「ううん、なんでも」
そろそろか。
いざ、着替えの時。俺はゴスロリ調黒ワンピをばっと脱ぎ去る。お次はキャミソールの裾を持ち上げていき、ふわりと綿製のそれを頭から抜いた。ぱんつ一枚となった自分に今日何度目かさえ分からない色欲の再燃を覚えるが、今はそれ以上に勝る感情がある。女児用水着を――黒と白のボーダー柄、黒いスカートが付いたツーピース水着を社会的ダメージを受けずに着用し、あまつさえ公の場市民プールで堂々と水泳を楽しめる。
自分でもhentaiだとは重々承知しているが、昂ぶる鼓動は抑えられない。
臨界点を吹っ切った俺は、タオルを巻くことさえ忘れてぱんつを脱ぎ、ものすごい勢いで水着を身につけたのだった。ちなみに、女子更衣室で着替えるときはタオルなぞ巻く必要がないらしいと、フタバの記憶をチラ見し気がつくのは数秒後だった。
「あれ、フタバそっち着てきたんだ」
「うん、たまにはね」
自慰行為によってダメにした水着は、フタバのお気に入りという事だったらしく、これはママが買ってきたもののいまいち着る事が少なかった一着。
俺としても、さっきの水色のやつのが好きかな。胸元にちんまりとくっついたリボンも可愛いが、やはりあのフリル満点ワンピースが女の子女の子していて、
『えも言われぬ』
デザインだと思う。
まあ自分のせいなのだし、それによって果てたのだから別段文句をつけはしない。
さて、今度は……と、お姉ちゃんの方に視線を送る。先ほど、普段からプール前後の着替えを共にしているフタバから、お姉ちゃんもタオルなど巻かないと教えてもらった。それをこの目でも裏付けてやろうとしたのだ。
うむ、これはいい。
お姉ちゃんの柔肌と俺の眼の間に遮るものがなくなると、慎ましやかな裸体が映る。部活動を真面目に取り組んでいるからそこそこ体は引き締まっていてたるんでいる部分はなく、むしろフィジカルとしての能力は一歩劣るんじゃないかといえるほどに細い。それでも十分健康的な範囲での話で、腕や向こう脛だけが日焼けしているのは屋内スポーツならでは。
さてお立ち会い。Tシャツの上からでも窺えていた通り女性特有の膨らみはお世辞にも大きい……というか、あるかどうかすら危ういレベルだ。すとんと視線を落とすと、予想に反しおまたの割れ目の少し上部には申し訳程度の草地がある。それもフタバと比較し、というスタート地点でありその年代の娘の普通は解らない。解らないったら解らない。
俺が舐めるように眺めるのを終える前に、お姉ちゃんは既に水着を手にとった。これは……スクール水着なのか? 深い紺を封じたカラーリング、伝統的なワンピースの形状を成していながらも脇には白いライン。時代の移り変わりと共に新しいデザインへと変遷していき、我らの思春期に本能を刺激しやまなかったものは既に旧式……って。
これは競泳用水着、か。
なるほど、普段から競泳用水着を愛用しているのか。スクール水着はそろそろ卒業、だけれどあまり派手なのは好きじゃないから……という話をかなり前にしているようだ。俺としては、それぞれがそれぞれの旨みがあると思っている。そこに優劣を格付けするなんておこがましいことを俺はしない。まあなんでもいいっていう話なんだが。
「じゃ、行こうフタバ」
「はーい」
横をスク水女児が駆けていく。着替えが完了したお姉ちゃんと手を繋いだ俺は、軽い足取りで脱衣所を後にした。
第一、市民プールなぞ何年ぶりだろうか。
およそ25m四方のプールと、それを囲うプールサイド。プールの幅5m程はかなり浅く俺のような子供が遊ぶレーンとなっていて、水が流れ行く滑り台も設置されていた。その浅い方のプールには……涼みに来ている女児や女児、そして女児。おまけにその男児や親。
が、まだ守備範囲に達していない娘も多く、お眼鏡に叶うのはさっきから同じタイミングで移動しているスク水女児と、浮き輪の上でリラックスしている同じくスク水女児くらいのもの。さっき着替えていた女の子たちが来ればいいのだけど……いや来い。
「あー……浮き輪ふくらませてないや」
少々残念な内容だなと落胆していると、お姉ちゃんが突然呟いた。そういえば、すっかり頭から抜け落ちていたけど……お姉ちゃんが持ち歩いているのか。うん、思い出した。
「じゃあちょっと戻ってくる。深い方は入っちゃだめよ」
被っていた白い水泳帽越しに、お姉ちゃんは俺の頭に手を置いた。
「はーい」
今日は泳ぐのが目的じゃないし、溺れたら今日はお開きになってしまう。
脱衣所へと戻っていくお姉ちゃんを尻目に、俺は浅い方のプールにちゃぷんと入った。すると、蒸し暑い炎天下に置かれていたつるぺたボデーが冷やされ心地よさが全身に回っていく。この――決していやらしい意味ではない気持よさは、年齢も歳も無関係だな。
にしても……案外違和感が大きいかもな、これは。じゃぶじゃぶと水遊びに興じていると、プールの塩素水を吸った水着がふにふにの肌に張り付いてくるのだけど……手足の動きは不思議と阻害されないものの、なんとも奇妙な感覚だ。
もっとも、それはロリい女の子が味わっているものだと思えばこそ、ひとしおである。
「うう……また興奮してきたかも」
相変わらずというか、股間の前から後ろまで布が通り密着していると、自分が女の子になったんだなという認識を常時与え続けていた。そこに一つのスイッチを入れるだけでえっちな気分へと切り替わる。
今まさにその通りであった。
「ん……」
俺の女の子の部分から、じわりじわりと分泌された粘液はプールへ溶けこんでいく。実際に溢れるほど漏らしているかは……うん、確かめてみよう。
平日昼、夏休み期間中ではあるのだろうが客入りもそこそこ。俺は一旦プールサイドへ上がり、滑り台の影の死角へと入る。ここなら他の客にも、脱衣所方面からも直ぐには見えないだろう。
「ふぁん……あっ、ぬ、濡れてる……」
水着のボトム、上方から手を突っ込み躊躇なく穴に指を当てる。明らかに水とは粘り気が違い、ぬるめの液が指先に感じられた。
「んあっ!」
くにくにと揉むように愛液の感触を楽しんでいたところ、つるりと指の第一関節までが穴へと侵入してしまった。家にいる時よりはだいぶ柔らかくなってくれたということか。故意ではない。……が、こんな公衆の面前で、それだと自覚しオナニーをおっ始める。俺に露出の気はないはずだが……やけに気分の昇っていくのが早いかもしれない。
「ああっ……ダメなのに……お姉ちゃん来たら怒られちゃうよお……」
フタバの記憶を読んでいる内に知ったのだが、フタバは別に淫乱とか自慰三昧とかいう事は全くなかった。少女漫画でそういう場面が出てきたり、性教育は行われているようだが……オナニーと言われても何のことかさっぱりだし、その本質――目的やその最中の気持ちなんかを理解していなかった。
だから、今ここで繰り広げられている痴態が、どれほど危険なものなのか把握するまでは至っていなかった。
「……フタバ?」
ああ、遂に来ちゃった……。女の子のはしゃぐ声や、水の打ち付ける音が激しく反響を繰り返す中、俺の耳はいやにはっきりとお姉ちゃんの声をキャッチした。
仕方ないな。指を抜いて着衣を正すと、深呼吸の後俺はお姉ちゃんへと向かっていった。
「お姉ちゃんありがとー」
「あ、いたいた」
お姉ちゃんの手には大小二つの浮き輪がかけられていた。デザインは当たり障りなくカラーもピンク系統を期待していたのだが、イエローだった。しかし贅沢は言えない。俺は迷わず小さい方を受け取り、深いプールに浮き輪を着水させた。深い方だとフタバはすっぽりと沈んでしまうから、気をつけなければならないとは成人男性として十分な注意を払う一方、無駄に背の高かった俺にとって市民プールで足がつかないというのは童心に帰り――体は間違いなくJSなのに――気分が浮き立つようだった。
「んっと……」
役割を全うしている浮き輪の中心部に体を通すと、浮き輪で遊ぶ女の子の完成だ。そういえば準備体操とか……ま、いっか。
「フタバ、あんまり遠くいっちゃだめだよ」
お姉ちゃんは深いプールでも流石に立てる。だから、浮き輪は泳ぐために使うものではないとおぼろげには想像していたが……そう来るか、とばかりに俺は唸る。
浮き輪の中央、穴の部分におしりを入れるように上から仰向けで乗ると、手足を軽く伸ばす。すると、こちらはただただ水面を漂う少女の完成だ。後で俺もやろう。
「はーい」
とは答えつつ、俺は股間の疼きがまるで収まっていない。お姉ちゃんの前でくちゅくちゅするのは不味いかな。そういや、お姉ちゃん自身はどんな性生活を送っ――
……ふふふふふ。非常に興味深いフタバの記憶がここで蘇ってくる。ちょっと前か……お姉ちゃんの部屋から呼ばれたような気がしたフタバは、すーっと部屋の前まで歩いていく。すると、数ミリ開いている扉。苦しそうな声が聞こえた……と思いきや。
お姉ちゃんはフタバの写真をオカズに、自慰に耽っていたようだ。『フタバぁ、フタバあああぁぁぁっ!』なんて叫んじゃって。フタバはそれがなんだか解らなかったから、踏み込んで……ちょっと一悶着あったんだな。結局、それは寝ぼけてたっていう言い訳で誤魔化したみたいだが……。
お姉ちゃんって、シスコンなんだな。それも重度の。
「……ダメ、また……」
瞼に再生されるお姉ちゃんの行為は非常に激しく、中学生としては幼い体つきと色っぽい目、そしてなにより指使いがいやらしい事極まりない。その不釣合いさは、フタバになってから初めて自分の体以外からの刺激による性的欲求を引きずり出した。
「後で迫ってみよ……」
ロリ同士、しかも実の姉妹でゆりんゆりんなんて無敵じゃないか。
――よし、決まった。
まず、一旦トイレに行ってしよう。そしたら、プールでお姉ちゃんに『フタバのここ、変なの。お姉ちゃんの事考えると、ねばねばしたお汁が出てきちゃうの』なんて言って。
水遊びは十分満喫した。終わりだ終わり。
「――お姉ちゃん、トイレに行ってくる」
「……さて」
プールサイドから脱衣所に向かう途中にあるトイレ。もちろん女性用。その中、個室に俺は居た。全裸である。
お姉ちゃんとのゆりんゆりんを楽しむ前に、こういうシチュエーションでのひとりえっちも経験しておきたいし……お姉ちゃんがもしフタバの猛攻に耐え切ることができてしまったら。それを考えると、先に一度イっておきたい。
ん……いや、違うか。直前で切り上げて、高ぶりのままお姉ちゃんを襲ったほうがいいな。よし、こうだ。
お姉ちゃんの水着姿に触れたら、なんだかすじがねばつく。それでとりあえずトイレに行って状態を見たのだけど……お姉ちゃんを考えるともっと液体が出てきてしまう……と。
「ん……お姉ちゃん……」
優しいお姉ちゃん、いつもは……フタバに欲情しているなんておくびにも見せないお姉ちゃん。今……そのフタバが、お姉ちゃんを想っておまたを弄ってるよ。
「ああっ……ふぅ、ふぅ、ふぅう」
張り付く水着に細い右手を入れて、すじを優しく擦っていく。あくまで、なにか出ているようだと確かめる手つきで……ソフトにソフトに。
うん……ああ、じれったいな……気持ちいいんだけど、プール前のオナニーの時よりかは緩やかに快感が蓄積されていくようだ。
「ひゃああん、き、気持ちいいよお、お姉ちゃん……」
そろそろかな。乳首は激しく勃起し、水着を越してでもその膨らみと形がはっきりしている。下は……まあプールだから濡れているのは当たり前だとして、さっき思いっきりボトムを引き上げたから、すじに水着が入り込んでいた。
これは高攻撃力だな。自分だったら我慢できず、おまわりさんに捕まってしまう凶行に及んでも後悔はしないだろう。
「うう……ん、おっぱい擦れる……」
トイレから出てプールへ歩いていくと、その最中でも胸の突起は甘い電気信号を脳へと送り続けていた。それは水を含み体温を奪っていく水着に対抗するように、俺の肌は火照りを加速させていく。漫画的表現をするならば、湯気が立ってしまっているな。
「ああ……お姉ちゃんだ……」
プールに戻ると、お姉ちゃんはプールサイドにある水道で喉を潤している所だった。若干屈んでいる格好となっているから、フタバと比べ肉付きのいいお尻はちょうど俺の眼前にある。いい眺めだ。
「ねえ……お姉ちゃん」
「あ、フタバ。どうしたの?」
声を掛けたと同時、ぱっとお姉ちゃんは振り向く。すると、妙におとなしいフタバが目に入ったんだろう、僅かに顔が曇った。
「ずっと様子おかしかったけど、やっぱ具合悪い?」
「ううん、多分違うんだけど……」
――演技の時間だ。特に訓練を積んでいるわけではないが……フタバの記憶を借りられる今なら、本人と全く同じ言動が取れる。
「変なの、フタバのおまた。なんだかね、お姉ちゃんの事考えるとぬるぬるしたお汁が出てくるの」
「! ……お、おりものかなあ」
おりもの、その発想は正常な範囲内だった。しかし……わざわざ枕した『お姉ちゃんの事考えると』という部分に食いつき、一瞬だけ瞳に炎が宿ったお姉ちゃんを俺は見逃さなかった。
「ううん。けど……止まらないの。ちょっと見てちょうだい?」
「……分かったわ。じゃあトイレに行こ」
これから目にするそれを想像しているんだろうが、お姉ちゃんは平静さを崩してはいない。
もともと一緒にお風呂に入ったりはしないから、フタバの股間を見る機会は無かったらしい。血を分けた姉妹にあってまともに観察出来ていなかったお姉ちゃんにとって、これは千載一遇のチャンスとなった。
先ほども軽くいたした狭い個室に、俺とお姉ちゃんは入っていた。お姉ちゃんの息が荒くなっているのは、決してプールで泳いだからではないだろう。目が血走っているのは、充血したからではないだろう。
お姉ちゃんの鋭い視線が見守る中、便器に座りM字開脚をするような体勢の俺はそこを空気にさらけ出していた。
「――ぅん、ここ、このおしっこの穴じゃないところから……ぬるっとしたお汁が出るの」
説明するように喋った俺は、そこを示すようにつんつんする。触れたり離れたりをする指先が心地よい。
「そう……ね。女の子なら普通のことだよ」
――ああ、見られている。見られているよ、フタバの大事な所。はえておらず、すじが一本だけなのに……お姉ちゃんは食い入るように俺の擬似オナニーを眺めている。
「気にしなくていいわ。お姉ちゃんもこうなる事あるもん」
「でも……ふぁあん!」
つついていた指は、うっかり――まあわざとなんだけど、フタバの膣に入り込んでしまった。寸止めしていて欲しがっている穴が、何らかの刺激を受ければそりゃあ色っぽい声の一つも出るというものだ。
よし、もうワンプッシュだ。
「んぅあ、それでね……ちょっとしか指入らないんだけど……穴に入れるとね、なんだか切ないの……」
俺の胸からはきゅんという鼓動、お姉ちゃんの喉からはごくりと唾を飲み込む音が聴こえた。
目を泳がせながらも、お姉ちゃんはかすれた声で俺を宥めた。
「フタバ。そこはね……将来、好きな人が出来た時に使うものなの。でね……す、好きな人のことを思うとね、そういう風にぬるぬるが出てくるんだよ。でも……」
「ね、お姉ちゃんも触ってみて。変じゃない?」
「……だめなの。そこはね、自分と大好きな人以外が触っちゃダメなんだ、お姉ちゃんでも」
ぬう、辛抱強いな、この娘は。
なにか無理にでも理由を作らせなければ……触ってはくれなさそうだ。
「……お姉ちゃん、フタバの事嫌い?」
――そのニュアンスの違いは俺には分かる。しかし、フタバには『大好きな人』という言葉の意味を理解しない……という事にしてやればいい。
もっとも、お姉ちゃんが拒否しているのは自分の暴走を抑えるためだろうが。
「……ううん、分かった。じゃあ……もうちょっと脚開いて……」
愛液に濡れたおまたに、お姉ちゃんの震える指がかする。
「ああっ!」
「……」
もはやお姉ちゃんは言葉を失った。きっと、理性と本能の間で熾烈なせめぎあいが繰り広げられているところだな。そういう事と知らないフタバに誘われるまま墜ちていくか、お姉ちゃんとしての面目を守り手を出さまいか。
「うぅん、もっと触ってみて……お姉ちゃん」
「――ごめんっ、フタバ!」
目論見通り、お姉ちゃんは悪魔のささやきに傾いてしまったようだ。
「フタ……バぁ!」
お姉ちゃんの両手は俺の背中へ回されていて、激しい運動には向かない便器の上というシチュエーションでも俺が倒れないように暖かく支えてくれていた。が、それにも唇を奪うという明確な目的があったからだと直ぐに思い知ることとなる。
「ふぅっ……ぅんむ……はぁむ」
「にゅう……ふぁ……ん、ん、ぷはっ」
舌を、歯を蠢くようにお姉ちゃんに味わわれる。只の粘膜同士の接触であるはずなのに、俺の口は歓喜の色を示し甘い味覚をどこからか呼び寄せた。
「おねえ、うぅん……」
「フタバ……可愛いよ」
「う……ん、お姉ちゃんも」
離した唇の間に唾液の橋がつうとかけられ、それは一瞬で途切れた。お姉ちゃんは何か思う所があったのか、とろんとした女の顔の中僅かに寂しそうに目尻を下げながら、俺のふにっとした唇を再び征服しにかかる。
「んん……ちゅ」
「んう、んう、んう……っ」
「ぷ……ねえフタバ、キスするのって初めて?」
口を少しだけ外しつつも鼻の先っちょはぶつかり合っている中、お姉ちゃんからの問。しかし、全身からさっきの一人えっちじゃ得られないであろう快感が押し寄せていて……しかも『大好きなお姉ちゃんに抱かれている』という事に対するフタバとしての感情と、『中学生とディープキスをしている』という男としての心がないまぜになり、大きな安心感と背徳感を生み出していた俺は、答えるのに少し間が空いてしまった。
「うん、けどお姉ちゃんなら……大好きだよ」
大好き、とか、お姉ちゃん、とソプラノボイスで囁く度に、俺の胸の奥はとろりとした嬌声をあげる。未成熟な全身へと回り判断力を鈍らせ四肢を痺れさせるそれは、毒や媚薬という表現がぴったりに思える。
「フタバ、あたしも……大好き。ずっとずっと……フタバとこうしたかったの。ごめんね、いけないお姉ちゃんで。でも……もう」
「だめだよ、お姉ちゃん。フタバも……お姉ちゃんが大好き……だか――うぅん」
自分で言葉を切るより早く、何度目か解らないお姉ちゃんの口づけによって俺の声は遮られた。
二人とも息が荒く、幼い喘ぎ声まで漏らしている。それは市民プールの女子トイレ、一つの個室というフィールドに響いているはずのない音だった。
「あぁむん……フタバの口、とってもおいしい……」
――やっぱ只の変態か、お姉ちゃんは。いやまあ、俺が言えたことじゃないんだが。
「お姉ちゃ……んっむ」
どれほど経っただろうか。すじ一本のおまたも弄られていないのに体をびくんびくんと震わせ舌を絡め合うキスをしていた俺達に、とんだ邪魔が入る事となった。
「――今日暑い割に人少ないんだね」
「てかさ、さっきあったのってナナのサンダルじゃない?」
女の子の声だった。
お姉ちゃんの名を呼びながら近づいてきた声は、トイレの前を通過し脱衣所の方向へ進んでいった。
「あ……ミヤコとサエだ……」
人の気配がしていた事でキスを中断していたお姉ちゃんがぼそりと呟く。
なるほど、部活仲間……という事か。しかし、手加減はしてやらない。今度は俺の方から顔を突き出して、口をむさぼるように含む。
「フっ! っむんぅ」
「ダメなの、お姉ちゃん……フタバともっとキスして、ね?」
ちゅぱちゅぱとキャンディを味わうように、お姉ちゃんの舌を舐めまわす。お姉ちゃんは少々の焦りを持ったようで、遠慮がちに俺を引き離した。
「フタバ……知り合い来ちゃったから……」
「バレたらいけないの?」
「……そうなんだけど」
かと言って、お姉ちゃんとしてもここで中断はしたくないんだろう。まだキスしかしていないのに、触れ合う肌はとても熱を帯びていて燃え上がっているのだから。
「姉妹でキスするのっておかしいの?」
言葉攻めである。実の妹と情事にもつれ込もうとしているのが明白だから、それ以上を知らないフタバとして無垢な、しかし艷やかな瞳を向ける。
「やっぱり……もっとえっちな事したいの?」
競泳水着越しに、俺に背を向けたお姉ちゃんのお尻をさらりと撫でる。まだまだ水気はあり滑りは悪いが、人肌に温まった水分が心地よい。
「んぅ……フタ、バぁ……んああ、っ!」
くるくると円を描くように手を動かし、さらに掴むように指も曲げていく。ぷるりと振動するお尻は可愛らしく、食い込む水着が非常にやらしい。
「だぁめ……なの、に……フタバ、お願い」
「フタバ、お姉ちゃんともっともっとえっちな事したい。ごめんね、お姉ちゃんがこの前してた事も、今フタバがお姉ちゃんをえっちな気分にさせたの……解ってるんだ。でも、こうしなきゃお姉ちゃん……触ってくれなかったでしょ?」
便器の縁で膝立ちをして、お姉ちゃんの耳元で甘えるように囁いた。そのまま、ぷるぷると揺れる耳たぶを口に含んだ。さっきまでプールに入っていたから汗臭くもないのに、なぜだかお姉ちゃんの味がするようだった。
「ん……むぅ……フタバ、ダメなんだ、よ? 姉妹で……実の姉妹でこんな事するの……」
「うん、知ってる。でも……お姉ちゃんだってそうでしょ? フタバを考えて一人でえっちな事するのも、ほんとはダメなんでしょ?」
「それに、友達が居るの。もし知られたら、お姉ちゃん学校いけなくなっちゃうよぉ……」
「そしたらフタバも学校行かない。ずっと一緒にいよ?」
まさしく、小悪魔だな。ぞくぞくする甘美な罠にお姉ちゃんはどうするんだろうか。
「フタバと一日中、えっちな事して……過ごそ?」
お姉ちゃんのおまたを水着の上から軽く叩く。まあ当然水気は多く、それが水によるものか愛液によるものかまでは分からない。
「あああっ! あああん、ぅあ、ああ、んん!」
膝をがくがくさせるお姉ちゃんは、遂に足腰が立たなくなったのか俺の方へと腰を落としてきた。すぐさま俺は便器へと座りなおして、お姉ちゃんを後ろから支える体勢となった。
――これなら、胸もおまたも存分に弄くれるからだ。
「ねえ……お姉ちゃん、気持ちいいんだよね? もっとフタバに……妹にえっちな事されて、感じたいんだよね?」
「うぅん! お姉ちゃん、フタバに触られて……いいの……! もっと、お願い」
俺の平坦な胸と、大きく露出させたお姉ちゃんの背中が密着する。お互い水着だというのに、肌はみるみる熱くなっていった。
「ああぁん、うああん、ふぁ……っはぁ……ああ!」
水着の隙間から差し込みつるつるのおまたを捏ねていた指は、ちゅるんとお姉ちゃんの穴へと入ってしまった。おそらくは、フタバをオカズにオナニー三昧だったろうから、フタバとは違って多少は拡がっているんだろうな。
「うにゅ……っふ、お姉ちゃん、大好きだよ……うああ!」
手早く水着を脱いでいた俺は、胸のぽっちをお姉ちゃんの背中へこすりつける。お姉ちゃんが着ている水着のざらざら感により、痛いほど膨れ上がった乳首からは特上の快感をもたらしていた。
さらにお姉ちゃんが持て余している左手を持ってきて、俺のおまたへと指をむりくり挿入させる。
「フタバぁ、フタバぁ、フタバぁ!」
「ああん、ああん……お姉ちゃあああん!」
ぐちゅぐちゅと音を立てるふたりの股間。そろそろお姉ちゃんは限界のようで、俺の指先を包む膣が痙攣し始めていた。
「お姉ち……あああああああん!」
突如、意志を持ち動き出したお姉ちゃんの指。それは俺がこれまで触れていなかった……クリトリスをつまみ上げた。
大事にとっておいた甲斐があった。一瞬にして俺は上り詰め、視界がぐらりと曲がり全身も激しくのたうつ事となった。
「ふわああああああああ! ああああん!」
「フタバ……ああああああああ、ぅぁあああぁぁぁぁ、イく、イっちゃうううううう!」
本日三度目となる、全身の筋肉が伸縮を繰り返す快感。同時に果てた俺達は、ぐったりとお互いに体重を預けていた。
――結局、事は誰にも感付かれずに済んだ模様だった。
ひと呼吸置いてから脱衣所へと戻った俺達を迎えたお姉ちゃんの部活仲間は、いつもの通りの態度をとっていたようだ。俺から見ても、蔑んでもいなければやけによそよそしくなったり、なんて事はない。
挨拶もそこそこに、その後俺達は二人しかいないお風呂で汗を流すこととしていた。
当然、二人共全裸である。
「……ごめんね、フタバ。あんな事しちゃって」
「ううん、お姉ちゃんが素直になってくれて嬉しいよ」
かぽーん、というお風呂でよく用いられる擬音は誰が考えたのだろうか。さておいて、そんな雰囲気の中で俺達は静かに浴槽に浸かっていた。暖かい水面下では、細い指を絡め合って。
「ほんとはいけない事だって、フタバも知ってる。けど……」
すうとお姉ちゃんに近づいて、肩を触れ合わせる。
「大好きだから」
……くぅー、最高だな。こんなロリっ娘がお姉ちゃんと禁断の関係だなんて。
一人でいい気分になっていると、急にお姉ちゃんがしんみりとなる。こちらへと柔和な笑顔を向けたお姉ちゃんが発した言葉は、とても穏やかな声だった。
「……ありがとう、フタバ。お姉ちゃんも大好きだよ」
◇◇◇
――いやはや、今日は一日最高だったな。
ひとりえっち、着衣オナニー、女児水着を着ての水泳、お姉ちゃんとのえっち、入浴。
そして家に帰ってからも、お姉ちゃんとお風呂に入ったり、おしっこをしてみたり、キャラクターもののエプロンでママのお手伝いをしたり。ベッドに寝転がっている今だって、裾がフリフリになっているスカイブルーのパジャマを着ているんだ。下着は、白地に同じくスカイブルーのドット柄のキャミソールとぱんつ。
とりあえずは満足。もう俺は死んでも……うん?
そういや、俺今後どうすればいいんだろ。
敏明――並行世界の自分と……なんとかマシーン君だったか、とにかく素敵機械を発明した友人は数時間で元の世界に帰す予定だって言っていたけど……それらしい兆候や現象はない。別に未練は無く気になるかな、程度ではあるのだが。それとも、あいつもどっかの世界に行って帰って来れなくなっているとか? そんなヘマはしないな。
ごろりと寝返りをうって、元の世界への思いを馳せる。いや、
「どうでもいいか」
と、俺は考えるのを止める。
パジャマの襟を持ち上げ、着ているキャミソールとぽっちを観察する。更に股間に手を持って行き、すじの柔からさと感触を楽しむとすうっと気分が落ち着いてくる。流石におまたはじんじんとするほどで、もうひとオナニーする気にはならない。
もう10時近い。フタバは普段9時前にはおねむのようだから、今日は少し夜更かしをしたほうだな。
「うん……とりあえず寝るか」
◇◇◇
「……うー……」
眠い。
6時ちょっと過ぎ、目を覚ました俺は未だベッドに横たわっていた。
昨晩はあのまま寝入ったのだが……やっぱり、フタバとしてはちょっと遅かったようだ。頭はぼんやりするし眼も開ききっていない。それでも朝食の匂いは運ばれてきて鼻腔をくすぐり、ぐうとお腹の虫を働かせる。
「朝ごはんか……」
寝ぼけていてもフタバの体は軽く、のっそり……なんて野暮ったい表現ではない。起き上がった俺は、くまさんスリッパを履いて立ち上がった。
まさにその時、ノックの音が耳に入る。
「はぁい……ふぅわぁぁ」
あくび混じりで返事をすると、がちゃりとノブが回された。現れたのは、矢鱈明るいグリーン色のジャージを着込んだお姉ちゃんだった。肩にはスポーツバッグが掛けられていて、あからさまに部活に出かける所のようだ。
「おっはよ、フタバ」
「おはよ、お姉ちゃん。今日部活?」
「うん」
お姉ちゃんの爽やかで人懐こい笑顔を見ていると、とても実の妹と……なんて女の子のかけらも感じせなかった。
と、思っていた時だった。ちょこちょこと歩み寄ってきたお姉ちゃんは、俺を優しく抱きしめた……だけには留まらない。
「うぅん……む」
「……あむぅ」
何の前ふりもなく、唇を重ねてきたのであった。寝起きでねばついている俺の口内を存分になめなめしていき、綺麗にしてしまう程に。
「れぇろ……はむ、っと。じゃあお姉ちゃん、行ってくるね」
「ふわぁい……」
うーん……香水なんてつけておらず、当然口紅なんてない。香るのは歯磨き粉のミントが大半なのだが……これもまた乙なり。起きがけでキスをするなんてドラマか何かのようで陳腐というか、ナンセンスだとばかり思い込んでいたが、結構結構。
とか惚けている内に、遠くでお姉ちゃんが『いってきまーす』と通りの良い声を発し、玄関の開閉らしき物音が響く。
とろけるような心を一旦振り切った俺は、ぺたぺたとスリッパを跳ね階段を降りていくのだった。
「フタバちゃん、おはよう」
「ママ、おはよー……ふわあ」
キッチンに到着すると、ジーンズとタンクトップに着替えエプロンを羽織るママが迎えてくれた。これが中学生の子持ちとは思えないほど綺麗な体のラインを誇っていた。興味はない。
食卓に並んでいるのは二人分。父さん……もといパパは単身赴任でいない、お姉ちゃんはもう食べたんだろう。
かちゃりと小気味のいい陶器の音を立てながら、ママは準備をしている模様。
「ママもちょっと町内会の集まりがあって、7時には出て行っちゃうの」
「そっかあ、つまんないの」
ふてくされたように――演技、だが――ママの愛する娘としての反応を返す。
りんと鈴の音が鳴った。パンが焼けたようだ。
「でもね、今日敏明君が居るんだって。遊びに行ってきたら?」
――としあき、くん?
「あ、うん……」
なんだ、今の心のいやーんな感じの微動は。
ってか、あいつがこっちにも居るのか……居るんだろうな。フタバにしたって、俺は俺なんだ。因果がどうとかは知らんが、敏明からそんな事を聞いたことがある気がする。
「高山さんとこのママはいるから、ご飯も頂けるって」
……高山 敏明。中学3年生の男の子、か。
かなりの天才で、この歳にして教授に気に入られて大学に出入りしている。しかしながら、フタバとしてはそんなの屁とも思わず、家も近い縁でよく遊んでいた。
そして……フタバの憧れの人。
うん、フタバの記憶によると、そんなところ。さて、どうすべきか。
誰も居ないのなら、色々と出来る事はある。えっちな事とか。しかし、敏明君に会いたいな、などとフタバとしての本能が叫んでいた。
うぅむ、元の世界では只の友人で、衆道とか薔薇とかそういうのは全くない、断じて。だから、男としては複雑なんだが……記憶の中での敏明は、美少年というかコンプレックスになりそうなほどの女顔である。ショタに特別な感情はないが、お目にかかりたくはある。
行くか。
ひょっとしたら、なんとかマシーン君も作っているかも知れない。それならば、俺の状況を相談できるかもしれないな。
「フタバ、どうしたの」
「……ううん、なんでもないよ」
トーストとバターナイフを持って固まっていた俺を、ママが微笑みながら見守っていたのだった。
俺はいそいそとマーガリンを薄く塗りつけた後、ココアシュガーをまぶす。
味蕾を刺激した焦げの苦味がいつもより大きな存在感を放っているような、しかしココアと砂糖の織りなす甘味はそれを補って余りあった。
そこですかさず、ぐい、と牛乳を傾けると、方向性の違うまろやかな味にすべてが境界線を失い、朝の食卓を彩るに相応しい完成された味わいが舌を愉しませてくれた。
うむ、美味い。
「変なフタバちゃん」
夏の女児らしい水玉模様のシャツともこもこパンツでも、涼しげなタンクトップでも、純白のワンピースでもない。
俺は真剣になって、自分をコーディネートしていた。衣類はうなるほどある。多種多様に。
「うぅーん、これで敏明君、可愛いって言ってくれるかな……」
ナニを掴まれるような気持ち悪さがあるが、勝手に口が動くのだから仕方がなかった。不可抗力である。それも、敏明君への慕情ってやつのせいなんだ。ちくしょうめ、心地いいじゃねえか。そういや、ぱんつも気合入れとかなきゃな。どうなんだろう……セクシーなのキュートなの的な。
そうして、どうにかこうにか選び出したお洋服を着込んだ俺は、その出来栄えを鏡の前で確かめる。
綿で薄手、脇に紐が通してある白を基調としたTシャツには、中のキャミソールが透けている。裾がレースが縫い付けられている、ピンク地のものだ。デニムミニスカートのお尻あたりにはピンクのラインが入っている。が、それは重要じゃなく去年のだからワンサイズ小さく、隙あらばピンクのしましまぱんつが自己主張をはさむ。
小脇に抱えたポシェットは、機能性を高そうに見せるためポケットやベルトがごちゃごちゃとくっつけられつつも、はみ出るレースフリルが女の子らしさを演出。
うむ。正直俺の趣味ではないが、前の世界の敏明はこういう活発そうな女の子が好みだったはずだ。
準備はOK。歯磨きはした。顔もきちんと洗ってある。トイレも済ませた。
「ママー、フタバ敏明君の家に行くねー」
「――フタバちゃん、いらっしゃい」
徒歩一分。
俺の中に居るフタバの心臓はバクバクと震動している。斜向かいの家に入ると、出迎えてくれたのは敏明君その人であったからだ。
「おはよう、と……敏明君」
俺という青年のフィルターが何らかの作用をしていたのか、実際に会った敏明君は記憶よりずっと爽やかでいい人そうだった。俺の世界の敏明とは違うタイプだな。
「ごめんね待たせちゃって。実はお母さんが、急用で今日居られなくなっちゃったんだ。とりあえず、あがってあがって」
カーゴパンツにパープルのプリントTシャツを着ている敏明君は、ある意味中学生らしい服装だが……なんか、女の子にしか見えない。
しかもというか、かなり可愛い部類に入ってしまうのだが。一億総ロリコンの代表である俺が言うのだから間違いない。俺の知ってる敏明と違う。
ただし、声変わりはしている。発声はしっかりとしていて芯があり、割りと低い声なのだが決して太かったり掠れてはなく、かえって『男らしい』のであった。
敏明君は俺の手をとって家へと引きこんでいく。俺はこれみよがしにスカートをまくり上げながら、玄関の段差を上った。後ろには誰も居ない。
「フタバちゃん、今日は何しようか」
「敏明君って、すっごく頭いいんでしょ。フタバ、たまにはどういう事してるか見てみたいな」
「いいけど、多分フタバちゃんには早いと思うなあ」
「そんなこと無いもん、フタバがお手伝いしちゃうよ」
「これ」
案内された部屋には、良く分からん機材が転がっている。試験管とかフラスコ他、巨大なサーバはまだやさしい方。『王水』というラベルが貼ってある瓶や真空管なんぞ何に使っているのだ、一体。
明かりを点けても、機械やら何やらがうず高く積もり邪魔していて薄暗い部屋の隅、煌々と光るPCのモニタに映しだされているのは、プログラムコードの羅列。
……これ、フタバを諦めさせるためわざとやっているよなあ。
「フタバちゃんが興味持ってくれてすごく嬉しいんだけどね、多分説明しても分かんないと思うんだけどね――」
得てしてこういう人種は、自分の知っている事を全て吐き出すまで止まらない。それは、一般にオタクだとか一昔前ならマニアなんて呼称される括りである。
うん間違いねえ、こいつは俺の知っている敏明だ。
「でね……今作っているのは――この――」
フタバは何のジャンルにおいて天才だったのか知らなかったし、実にどうでもいいことだった。今思えば、小学ン年生のフタバには確実に理解出来なかった事だと言い切れる。
今、話を聞いている俺でさえよく分からんからだ。
「これなんだけど、こないだ教授がね――でも、僕はこういったんだ――」
その割にというか、心底楽しそうにお喋りをしてくれる敏明君はとても活き活きとしていて、眺めているだけでも胸が高鳴る……もとい、こちらまで楽しくなってくるようだ。フタバならなおさらだな。
「――でね、この機械なんだけど……えっとね、まず並行世界、っていう考え方の説明からだね」
む。
「例えば、今日フタバちゃんが来なかったとする。そうすれば僕がこんな話をすることも無かった。そんな風に、過去未来現在ありえた分かれ道を並行世界っていうんだ」
すうと息を吸う敏明君。
ちなみに、俺が敏明『君』と君付けなのは、フタバとして年上へ向けた感覚もあるし、青年として年下へのそれが混ざっている状態だ。
「でね、こっからは言葉で説明するのが難しいんだけど……例えばだよ、僕とフタバちゃんが同級生っていうところもある。もしくは、フタバちゃんが男の子に生まれていたり、逆に僕が女の子に生まれている世界もあるかもしれない。そういう世界……って表現だとフタバちゃんは判らないかな。簡単に言えばあれだ、もしもボックスってやつを作っているんだ。あれも、理屈としては同じ」
ふむ。どうやら、こっちの敏明君もなんたら機械君を作っているのか。
「もちろん簡単な事じゃない。こっからもあくまで考え方でしか無いけど、もしもボックスで人の手が加わった世界も、元々無限に開拓されていく世界の分岐だったという一つの可能性に過ぎない。仮に僕がこの『並行世界の自分にちょっかいを出すすっげーマッシーンさん初号機』を完成、実運用に成功したとしても、それは誰か――極めて近く、限りなく遠い世界にいるワカメが仕組んだものかもしれない、って事」
段々言葉が硬くなっていくあたり、フタバへの説明ってのを忘れてヒートアップしてるな、こりゃ。
「まあちょっと誤解を招く言い方だったけど……あ、フタバちゃん?」
んー……どうすっか。と、思ったけど止めた。
今日は大好きな彼とらぶえっちをしに来たのだ。そこにどうして水を差す事が許されるだろうか。いや、許されない。
「ぶー、フタバよく分かんないよー。やっぱりゲームしよ」
頬をふくらませ、敏明君の背中に密着する。ちなみに、PC類がキモい程あるからかエアコンの効きがマジでやばい。寒いくらいだ。
「――あー、フタバのスターなのにー」
「ふっふっふ、ここから僕は一気に決め……」
俺が狙っていた光り輝く星を取られ、ピンチに陥るかとおもいきや。敏明君が操作していたネクタイゴリラは星を追うあまり強制スクロールに取り残されていってしまった。諸行無常である。
結果として、俺のピンクの悪魔はゴリラを下したのであった。
「負けちゃった。あそこで自爆したの痛かったなー……」
呟いた敏明君はコントローラーを放り出す。お昼ごはんを挟んではいたが、俺も目がしょぼしょぼし始めていたのでここいらで一つ休憩をとろう。
「フタバ、ちょっと疲れたかな……」
と、時間を見ると時は15時。割りといい時間だ。
「じゃあ、僕おやつ取ってくるよ」
「フタバ、喉からからだよ。ありがとう、敏明君」
そう言い、敏明君は退室していった。
「……ふう」
いやはや、疲れた疲れた。こんなに熱中してゲームをしたのも久しぶりだ。大学に入ってからあまりゲームなどしていなかったからな。
遠くを見て目を休めようと軽く部屋に視線を巡らせていると、やはりというか先の研究部屋とは違って見える。薄いブルーのカーテンや寝具類は男の子っぽくもあり、あの可憐な容姿だとボーイッシュな女の子の部屋にも思える。タンスの上にあるおおきなぬいぐるみも、その性別不詳説に一役噛んでいた。
「……」
自分用のPCも所持している事だし、ベッドの下にアレがあるなんていうお約束はきっと無いだろうな。期待はせず、俺はベッドの下を覗きこむ。うん、それらしいものは無い。腕を突っ込んでみるも、短いフタバの腕は宙を切る。まあ、男として見られたくない気持ちは分かるから深追いはやめよう……というところで、何かが腕に当たる。
「これは……ぱ、ぱんつ?」
手繰り寄せたそれは紙袋で、中には英字がプリントされた女児ぱんつが数枚入っていた。無意識の内に鼻を寄せると、くらり、と一瞬にして頭がよろめきつつも体の真ん中が温まった。
間違えるはずもない。これは……男の子のおちんちんから出される白い液体の匂いだ。
「ん……」
きっと本能が突き動かされたのだろう。フタバにとっては初めての実物。残り香だけとはいえ、男の子のアレなのだ。
おまたの穴がとろりと液を分泌していく。と――その時だった。
「……あ」
「あ」
これはいわゆる決定的瞬間と呼ばれるものだろう。
ベッドの暗がりから引っ張りだしたぱんつを鼻にあておまたをさすさすしているフタバ、そして四谷サイダーとババア印のクッキーを乗せたトレイを持った敏明君。
「え……っとね」
わなわなと目を震わせる敏明君。うん少年よ、気持ちは分かるぞ。小さな女の子が自室でおまたを……って、そっちじゃなく、世間では社会不適合者、或いは異常者というレッテルを貼られてしまい唾棄されてしまう性癖がバレてしまった恐怖は。
だがしかし、今回はその少女側にその気があるのだ。むしろ最初からそのつもりで遊びに来ている。だから少年よ、そんな世界の終わりだと言わんばかりの涙と表情は要らないんだ。
「……」
どうしたものか。ここで下手に動くと敏明君にもフタバにも不幸な結末しか待ち構えていない。ならば、最年長であるこの俺が華麗に運んでいくしかないではないか。
観念した俺は、『ええい、ままよ』と人生の中で何度か聞いた事があるセリフを心のなかで叫び敏明君に突進する。
勿体無いのでおやつトレイは一旦奪い取って、机に置いてから。
ぽふん、と俺の軽い体が敏明君にぶつかる。
「実はね……フタバ、敏明君の事大好きなんだ」
絞り出したフタバの言葉は、それだけでピュアハートに火を着けた。
「ずっと、ずっと大好きだったんだ……それで、いつか……恋人同士がするように、えっちな事したいなって思ってて……今日、ママ居ないんでしょ? フタバ知ってるよ、こういうの、ママとかパパに見られちゃいけない、って……」
「フ……タバちゃん……」
構わず、俺はシャツとキャミソールを脱ぎ去った。エアコンという人工の涼しさに一瞬だけぶるりと体が震え、胸のぽっちがぴくんとする。
「僕も……好き、だけど……」
きゅうん、と心が歓喜の声を叫んだ。敏明君も……フタバが好き?
「嬉しい!」
完全に俺のフタバは暴走を始めていた。青年としての性の知識、そしてフタバとしての恋心が一つになり、目の前に居る少女と見紛うほど麗しい少年への欲求を滾らせていた。
にも関わらず。
「だ……ダメなんだ!」
目を硬く閉じた敏明君はくるりと背を向けてしまった。
「僕も大好きだよ……でも、大好きだからダメなんだ。フタバちゃんはまだえっちをするってのがどういう事か判っていない。すごくいいことだ、けど……その本当の意味を知るまで、しちゃダメなんだ」
なんていうか、話が進んでいる気がしないでもないけど……それってつまり……フタバのことが大事、って事だよね?
「僕だって許されるなら、フタバちゃんとエッチしたい。けど……ダメなんだ。もししたら、いくらフタバちゃんが良いって言っても、大人たちは信じてくれない。だから……」
再度こちらを剥いた敏明君は、フタバのシャツを拾い上げて突っ返してきた。顔はしっかり逸らしている。
「僕を悪者にしたくないなら……お願い、これ以上脱がないで」
「……」
――じゃあなに? フタバとはえっちな事出来ないっていうの? こんなに、フタバが頑張って、頑張って、ちゃんと言ったのに……?
「だめ」
「え?」
「だめ。フタバは敏明君とするの」
「する、って……」
「フタバ、絶対誰にも言わない。敏明君の前でも、この事は言わない。だからさ」
敏明君の広い背中を抱きしめる。あったかくて、とっても気持ちいい。だって、大好きな人なんだもん。
「ね? フタバ……今日だけでいいの。次はさ、二人がもっと大きくなってから」
「……僕、信じるよ?」
「うん……」
敏明君はこちらを――ぱんつ1枚となったフタバの身体を見つめてくる。
ごくりという音が聴こえると同時、そっぽを向いちゃった。
「見るの!」
と、フタバはぷくーっと頬をふくらませて顔を近づける。でもすぐ、笑顔に戻して敏明君とチューをする。
「フっ……」
「ん……むぅ」
「……」
お姉ちゃんの柔らかい唇とも違い、なんだか男の子っぽい気がする。ちょっぴり硬いような感じもするし、あ、味も別物。
でも……すごいなあ……敏明君と、キス、しちゃってる……。
もっと……もっと敏明君を感じたいよ。
フタバはおいしそうな敏明くんの口に舌を入れてみる。ちょっと敏明君はびっくりしちゃったみたいだけど、すぐにフタバの舌も舐めてくれた。
「ああっ……ん……」
「ふ……っうう」
ぺちゃぺちゃって音が鳴って、よく分かんないけどとってもエッチ。でも、段々何も考えられなくなってくる。
フタバのちっちゃい舌を、敏明君は一生けんめい舐めて、あと弱く噛んでくれたりする。
舌の裏に舌を入れられると、変だけど気持ちいい……。
「……っぷう。フタバちゃん……」
「フタバこそごめんなさい。とってもえっちな娘なの、秘密にしてたんだ。何回も何回も、敏明君の事考えて……ひ、一人で……して……たんだ」
っうう……恥ずかしいよう……。
「……ぼ、僕も……プールとか一緒に行ったとき、フタバちゃんのお胸とか、おまたとか見てたんだ。それで……」
「知ってる。男の人って……おちんちんを自分でこするんでしょ?」
「……うん」
「フタバもしてた。自分でおまた……その、お、おまんこを……や、やだフタバ、何言ってるんだろ」
でも、止まんない。もうおまたはべちゃべちゃになってるし、ひくひくしてるし……敏明君。欲しいよお……。
「……おまんこって、ここだよね?」
フタバのおまたを触ってきてくれた。ぱんつの上からだけど、とっても優しい指だってのが判る。
「……! ん、そうだよ……ここ、フタバのおまんこ、だよ……あん」
「僕、フタバちゃんのおまんこ、見てみたい。……ちゃんと見たいな」
「……うん」
フタバはベッドの上に行って、まずスカートを外す。そうしたら、ピンクのしましまぱんつはもう色が変わっちゃってるくらい濡れてた。敏明君の目がこっちを見てるのがちょっと恥ずかしいけど、ぱんつを脱いじゃうとえっちなお汁がぴいっと糸を引いた。
「……ん」
そのままベッドに座って、体育座りしてから脚を開いていく。これで、敏明君からはっきり見えるはず。
敏明君、顔近いな……もう、鼻がおまたにあたっちゃうよお……。
「……こう、なってるんだ……」
「初めて?」
「うん。ここに……入るんだ」
敏明君……。
「ねえ、お願い。セックス、しようよ」
フタバ、これも知ってる。
女の人と男の人のセイキをくっつけるのを、セックスっていうんだって。
敏明君も分かってくれたのか、静かに頷いてくれた。
「……」
フタバはベッドに寝そべると、ズボンを脱いだ敏明君が覆いかぶさってくる。
おちんちんは前敏明君のを見たときより、ぜんぜん大きくなっているし真っ直ぐ。これは……ボッキ、だっけ。
「いくよ」
敏明君がフタバのおまたにおちんちんをくっつける。
「あっ……」
でも、フタバのおまたには入っていかない。きっと、穴がちっちゃすぎる。だって、指だって入らないのにこんなに太いのなんて。
「きつい……んだね」
けれども。
「そのまま、思いっきりすれば多分……はいる」
「でも、痛いっていうし……」
「お願い……!」
「……うん。分かった」
「……っぐ」
「……大丈夫、痛くな……いよ」
嘘。ちょっぴりは痛かったけど、思ってたよりは楽だった。
「フタバ……ちゃん、いくよ」
「うん、敏明君」
「あああっ!」
「……フタバちゃん?」
「いいの!」
「いっ……ああああああああっ!」
「っく!」
フタバのおまたに、敏明君のおちんちんが入っていく。
ちょっとしたら出て、またすぐに同じように中にいく。
「っふ、っふ、っふ」
敏明君はもう何も言わないで、フタバにおちんちんを出し入れしていた。とってもおまたも気持ちよくて、でもそれよりも敏明君と一緒になれたって考えると、すごく幸せな気持ちでいっぱいになっていく。
「ああ、ん、ああ、んああ、ん」
「ああ、フタバちゃん、フタバちゃん!」
敏明君、やっぱり格好いいな。女の子っぽい顔だけど、やっぱり格好いい。
フタバのおまたもじんじんしていって、勝手に声が出ちゃう。
そして、敏明君はフタバのぺたんこのおっぱいをむにむにしてくる。それ自体は気持ちいいとかじゃなくくすぐたいけど、敏明君だって思うととっても心地いい。
「とし、あき、君! いいよお、いい! あああああ!」
「フタバ……ちゃん!」
ぱんぱんって音がとってもいやらしい。ベッドも壊れそうな音しているし、声もすごい。これ、誰かに見られたり聞かれちゃったら……大変だよね。
そうわかってても、抑えられなかった。
「っく、はあ、はあ……」
「うん……うん……うん!」
そのうち、ちょっとづつ速くなっていく。
「っ、っあ、っあ」
「ん、ん」
フタバ、知ってるもん。男の人は、気持ちよくなってくるとおちんちんからせーし、が出るって。それがフタバのおまたに入ると、子供が出来る。
でも、フタバはまだ生理がないからだいじょうぶ。
「フタバちゃん、出ちゃう!」
「うん……まだ生理ないからあ……そのまま、そのままああ!」
「っぐ……っうう!」
「ああああああああああああああああっ!」
どくん、どくん、どくん。
敏明君のおちんちんからあっついのが流れ込んでくる。
一緒に、フタバも大きな波がきた。
◇◇◇
「……」
……ここは?
どこ?
フタバは、敏明君と一緒にえっちして、それからすっごく気持ちよくなって……。
でも、何か学校の教室みたいだし、なんかおっきな機械が……機械?
あれ、フタバ見たこと……ある? でも、あんなヘンテコなのは――
「ああ、敏明君が見せてくれたんだっけ……えっと、平行なんとかなんとか君だっけ」
「『並行世界の自分とすり替わるすっげー機械くん コードネーム:システムXN』だよ」
後ろで声がした。びっくりしたフタバは飛びのいちゃって、何かの瓶を倒しちゃった。
聞き覚えのある声。あれは敏明君、もとい――
「敏明……か」
――なんだか意識がフタバと混線してしまっていたみたいだ。敏明君とおっぱじめてから辺りか。
自分がフタバだと思い込んでしまって、それで……。
「ごめん。清彦……だよね?」
「ああ……うん。俺は清彦、間違いない」
「ちょっとシステムに欠陥を見つけて、それで急いで呼び戻したんだけど……ダメだったみたいだね」
敏明がぬっと視界に入り込んできた。謎の白衣になんとも表現しにくいロングヘアー、やたら余裕そうな目つき。
それが敏明のトレードマークだったのだが、今は憔悴しきっている。こんなあいつを見たのは初めてだった。
が、そんなことはどうでもいい。
何が問題かって、そこにいるのは紛れもない、俺にとって基幹であった世界の敏明だ。つまり、俺は戻ってきたという事になる。
ふむふむ、ここまではよし。
しかしながら、俺の姿はフタバのままだというのはどういう料簡だというのだ。服はちゃんと清楚な白ワンピースを来ているが。
おそらくは、それが欠陥なのだろう。
「ちょっと因果律のうんたら……まあこの辺りは説明してもしかたがないんだけど、元の存在に戻しきれない可能性、そして転移先の自分と存在が混ざり合う危険が分かったんだ」
「つまり……」
「ごめん、元に戻せない。そして、君は並行世界の君を引きずる事になる」
――なんだ。そういう事か。
じゃあ、妙にドキドキするのは、フタバが俺の並行存在だったように、敏明は敏明で……と。
要は、フタバの世界の恋愛感情を持ち込んでしまったわけか。
「いや、しゃあないっしょ。無理言ったのはこっちなんだし」
「清彦がやりたいと言ったのも、研究者として実験をしたかったのも事実。けど……やっぱり試すべきじゃなかった。僕は……」
申し訳無さそうに項垂れる敏明。もう、そんな事をする必要はないのに。きゅんきゅんと胸が高鳴り、甘酸っぱい感情を生み出していく。
その源は、元親友、現恋人の敏明……君だ。
「じゃあさ」
俺はワンピースをすりあげて、敏明にぽふんともたれかかる。
「ちゃんと責任――とってね? 敏明君?」
続きを期待して待ってます。頑張って下さいね。
今後執筆する時も頑張ってください!