「……父さん」
「ん? なんだ清彦、怖い顔をして」
僕の呼びかけに、目の前の美女が返答した。
「言ったよね? ちゃんと双葉らしくしてくれって」
「そんな固いこと言うなよぅ」
「約束だろ! パンツ一丁でうろつかないでってば!!」
「ちぇっ! うるせぇなあ。
なんでこんなにお堅いんだか。
まったく、親の顔がみてぇぜ」
親はあんただ!
……今のその顔は僕の妻のものだけどな!
◆ ◇ ◆
僕が双葉と新婚旅行を終えて帰ってきたその夜。
なぜか僕の父と妻の双葉の精神が入れ替わってしまった。
原因はお土産に買ってきた謎の置物のせいじゃないか。
そういう話になったけど、本当のところはわからない。
さらにもう1つ問題があった。
僕の両親は世界一周クルーズに出かける予定だったのだ。
それも、明けて次の日に、である。
父は早期退職で会社を辞めていた。
今後は貯金と退職金で悠々自適の日々を過ごす予定。
クルーズは父の退職祝いに母がセッティングしたものだ。
「行ってこいよ」
そう言ったのは父だ。
「雁首そろえてたって、元に戻るわけじゃねぇ」
自分が調べるからと母に出かけるように薦めたのだ。
父との旅行の埋め合わせには僕も費用面で協力するから。
そう言ってなだめ、妻に半ば強引に連れ出させた。
多分このまま現実と向き合った方が母の精神が保たない。
そう判断したからだ。
よりショックを受けてるはずの僕の妻、双葉。
彼女は見た目はのほほんとしていた。
内心はわからないけれど……。
◇
母と妻を送り出したその後。
残ったのは僕と妻の身体に入った父親の2人だ。
僕には妹が1人いるが、すでに結婚して家を出ていた。
「まあ、そんなに辛気くさい顔をするな!」
バシバシと僕の背中を叩いてそう言う父。
基本的に豪快かつ大ざっぱな人で、こういう時には頼もしい。
けど……。
「頼むから、双葉に恥をかかせるようなことはしないでよね」
「あん? わかってるよ。俺がそんな事するように見えるか?」
「見えるから言ってるんだっ!」
なんとか父に約束をさせ、翌日から僕は出勤だ。
父を残して行くのは心配だったが仕事は仕事。
まさか僕まで会社を辞めるわけにもいかない。
後ろ髪を引かれるというか、断腸の思いというか。
僕は胃をキリキリさせながら会社に向かった。
◆ ◇ ◆
「どうしたんだ? ぼーっとして」
会社で同僚に心配された。
「ったく、新婚ぼけか?
奥さんのことでも考えてたんだろ?」
そんな風にからかわれた。
妻のことを考えていたのは正解だけどな!
……中身は父だけど。
◇
なんとか定時退社して家に戻ると、妹が来ていた。
「お兄ちゃんお帰りなさい。なんか大変だねぇ」
「お前……どうして?」
「お父さんに呼ばれたの。色々女としての知識を教えろって」
なるほど。
でも、よく信じたな。
「ああ、ウチのダンナの仕事関係でなれちゃって」
……お前の旦那さん、サラリーマンじゃなかったっけ?
「とにかく。
お化粧とか生理用品の使い方は教えたから。
なるべくあたしもちょくちょく見にくるからね」
夕飯まで作ってくれた妹は旦那さんの待つ家に帰宅した。
残されたのは僕と……。
しっかり化粧して見違えた、美しい父だった。
父は妹のセンスで今までと違う化粧をしていた。
元々妻は十分美人だと思う。
でもこのときは、より若々しくて……新鮮で……。
とてもきれいに見えた。
「よう、帰ったのか?」
……しゃべると台無しだけどな。
「妹にも連絡したんだ?」
「ああ、長期戦になるかもしれんからな。
色々覚悟はしないと」
「覚悟って?」
「ずっとこのままだった時の覚悟さ」
……その可能性は僕も考えてはいた。
でも、言葉にするとずいぶん重い。
思わず黙り込んだ僕に父が声をかける。
「そう心配するなって。
一度入れ替われたんだから、
もう一回入れ替わることもできるって」
そう言って、上目づかいでにっこりと父が微笑む。
その笑顔はあまりにも魅力的で……。
「寝る!」
僕はガタンと椅子から立ち上がると、寝室に向かった。
「おい、寝るって。まだ9時にもなってないぞ!?」
うるさいな。
本当のことが言えるわけないだろ。
……父親に欲情したなんて。
◆ ◇ ◆
それから1ヶ月ほど経過した。
母と妻は意気投合して上手くやっているようだ。
すごいねインターネット。
地球のどこにいても連絡が取れる。
一方、父は化粧も上手くなり、外面は若奥様みたいだ。
ご近所の奥様たちにも怪しまれてはいないもよう。
……内面は相変わらずだけどね。
僕が帰宅すると父が料理を作ってくれる。
ずいぶん手慣れたもんだ。
「暇なんだよ。
お前の妹に料理を教わるくらいしかする事がない」
父のことは妹も気にしてくれている。
ちょこちょこ家から連れ出してくれてもいた。
でも、やっぱり限界はあるよな。
実は今までのところ僕だけが家族の役にたててない。
僕でもできることが何かあるだろうか……。
◇
「……それで旅行か」
「ごめん。他に思いつかなくて」
「まったくウチの家族は旅行に出てばっかりだな」
父が苦笑する。
言っていることは完全に正論だ。
僕としては頭をかくくらいのことしかできない。
目的地は海沿いにある温泉。
海沿いといってもスレスレまで山がせり出している。
2人でてくてくと山道を登った。
やがて、海の見える開けたところへたどり着くと……。
「うわぁ!」
視界に突然青い海が飛び込んできた。
海の中には大小様々な島が浮かんでいる。
その中のある島に架かった橋を指差して、父が叫ぶ。
「おお、見ろ! 俺が架けた橋だ!!」
父は大手の建設会社に勤務していた。
実はこの場所は以前父と来たことがある。
単身赴任中だった父の元を訪ねたときのことだ。
そんなわけでここは僕と父の思い出の場所なのだ。
周囲に人影はない。
地元のようにご近所の目を気にしなくてもいい。
父はリラックスして、ずいぶん喜んでくれた。
その後、温泉近くの漁港をぶらついて食事。
さらに、色々見学などをして時間を潰した。
そのあとは温泉宿に行ってチェックイン。
宿の手配は旅行好きの妹に任せておいた。
結構良いところにしたと言っていたが……。
「お、ここだ」
父がそれらしい宿を見つけて指差す。
大きく古く、それでいて清潔な感じのするいい宿だ。
ただ……。
入り口に大きく「子宝の湯」と書いてある。
僕と父はお互いに顔を見合わせた。
◇
旅館の仲居さんに案内された部屋は、見事だった。
窓の外に海の絶景が広がる。
部屋に半露天風呂の温泉が引かれていた。
和室の畳はまだ新しく掃除も行き届いている。
……ただねぇ。
和室に隣接する寝室は洋間になっている。
最近はこういうのが流行りらしい。
洋間ということは、ベッドが置いてあるわけで。
この部屋は夫婦用なわけで……。
部屋の真ん中にキングサイズのベッドがドーンと……。
またも顔を見合わせる僕と父。
「まあ、父子で雑魚寝だと思えばどーってことないやな」
ソウデスネ、ドウッテコトアリマセン。
夕食は部屋まで持ってきてもらった。
海鮮主体の料理は豪華でとても美味しかった。
お酒も父とは久しぶりに刺しつ刺されついただいた。
食事中、給仕のために仲居さんがいてくれる。
少し心配したけど父はそつなく新妻の役をこなした。
「美味しいわね。清彦さん」
ハートマークがあたり一面飛び交うような父のセリフ。
その新妻っぷりに、むしろ僕の方が粗相しそうになる。
仲居さんが微笑ましそうに僕たちを見る。
まあ、アツアツの新婚さんにしか見えないよなぁ。
◇
食事の後、部屋に備え付けられた温泉に入った。
父に先に入るように促され、僕は湯船につかった。
潮騒の香りが漂い、遠くの波の音が聞こえる。
折しもその晩は満月で、月光が海を照らしていた。
まさしく絶景だ。
僕はリラックスしていたせいで油断していた。
なぜ父が先に入るように薦めたか考えるべきだった。
カラカラと引き戸の開く音。
反射的に音がした方を見る。
そこには……。
全裸の美女である父が月光に照らされて立っていた!
「清彦さん……」
そう言いながらシナを作る美女。
白い肌が月光を反射して、とても神秘的だ。
そんな彼女に僕は言った。
「父さん。何してるの?」
「わたしはお父さんじゃありません。双葉ですよ。
元に戻ったんです」
「……悪ふざけは止めてくれないかな、父さん」
僕がそう言うと目の前の美女が「ちぇっ!」っと言う
表情が弛んで、愛嬌のあるものに変わる。
……やっぱり父さんだったか。
実は確信はなかった。
まぐれ当たりもいいところである。
「さすがにラブラブな新婚さんは違うねぇ。
結構真似できてる自信があったんだぜ」
そう言いながら父は僕のいる浴槽に入ってくる。
浴槽は広くて2人なら余裕で入れる。
というか、元々2人以上で入る想定なんだろう。
夫婦用だからね。
僕は本当なら怒ってみせて風呂から出るべきだろう。
でもできない。
だって今風呂を出たら……。
僕が男として父に反応した事がバレるから……。
そんな僕の心を知ってか知らずか。
父は気持ちよさそうに湯船に浸かっている。
黙っているのも間が持たない。
僕と父はたわいのないことをしゃべり始め……。
そのうちに話題が妹の旦那による調査の件になった。
「……で、あの土産の置物はシロだろうってさ」
土産の置物とは僕と双葉が新婚旅行で買ってきたものだ。
たぶん人形なんだろうけどデフォルメがきつい。
そのせいで、何の形を元に造ったのかよくわからない。
「あれは神像なんだとさ」
「……そういえば双葉もそんなこと言ってたよ」
あの人形を買ったときの話だ。
双葉の意外な知識に感心したっけ。
「呪術的な気配はあるけど、
人間を入れ替えたりはしないだろうってさ」
妹の夫、つまり僕の義弟がそう言ったらしい。
しかし、彼の仕事っていったい……?
「あれは南の島の豊穣神なんだそうだ」
「豊穣神ねぇ……」
どうにもピンとこない。
「要するにセックスの神様なんだと」
「はぁあ」
僕は思わず間抜けな声を出した。
心当たりはある。
双葉にねだられてあれを買った日の夜。
あの時は2人で完全に我を忘れてはげんだっけ……。
「要するにいまだに入れ替わりの原因は不明だ、と」
「なんか西洋の魔女が使う呪術に似たのがあると言ってたぞ」
魔女ねぇ……。
平凡なサラリーマンには雲をつかむような話だ。
「……ところで……お前双葉さんとは連絡取ってるのか?」
「母さんが連絡くれたときに話したりしてるよ」
父は仕事がら出張やら単身赴任が多かった。
そのため母は携帯電話やインターネットによる通信に強い。
母くらいの世代での比較すればの話だけど。
一方双葉はその辺はハッキリ言って不得手だ。
電子技術が使われてる機器は炊飯器すら苦手にしている。
そんなわけで連絡はつい母頼りになっていた。
「母さんと連絡を取ったんだけどな……」
珍しく父が言いよどんでいる。
「母さんと双葉さん……したらしいぞ」
……言葉の意味を理解するのに数秒かかった。
「へぇぇぇ……」という間抜けな声を出したのは、
僕が心底驚いたせいなのか、
どう反応すべきかわからなかったせいか……。
「……怒らないのか?」
「……そうだね。理屈はともかく……怒ってはいないかな?」
むしろ、一ヶ月以上同じ寝室にいるなら自然なこと。
そんな気分だった。
「父さんの方こそどうなの?」
普通に考えるなら父の方がショックだろう。
母を寝取られた……そう考える事だってできるから。
父の返答は僕にとって意外なものだった。
「俺の方はな……安心した」
その言葉の意味を僕が知るのは、もう少し先のことになる。
◆ ◇ ◆
温泉旅行から帰った後。
父の様子がどうもおかしい。
これまでとはうって変わって所作が女性らしくなった。
しゃべり方もすっかり女性っぽい。
まるで元の双葉を模倣するように変化していた。
その一方で肉体的接触が増えた。
献立のメニューが精のつきそうなものになった。
ときおりジーッとボクを見てため息をついたりする。
……あれはもしかして……僕を誘ってる?
そうじゃないにしても、恐らく心境の変化があった。
それは間違いないだろう。
そしてその理由を僕に隠している。
……一体何を隠してるんだろう?
そして問い詰めても答えてくれないことは確実だった。
◇
そんなことでジリジリとしていたある日。
僕は双葉の夢を見た。
僕が浮気をして双葉に謝っている夢だ。
地面にひたいをこすりつけて謝る僕。
泣きじゃくる双葉。
そのうちになんとなく良い雰囲気になって。
僕と双葉は抱き合い……キスを……。
というところで双葉が豹変して言うのだ。
「ばーか! 俺だよぅ!!」
あまりの悪夢に僕は飛び起きた!
◇
「清彦くん。体調が悪いのか?」
「……あ、いえ。大丈夫です」
会社で仕事中にぼーっとしていて上司に注意された。
「美人の奥さんに眠らせてもらえないんだろう?」
そう言って冗談に紛らわせてくれる。
正直会社の人たちに申し訳ない。
僕が仕事に集中できない理由は寝不足で、
寝不足になるのは悪夢を頻繁に見るようになったからだ。
あるときは妻の双葉が母に寝取られる夢を。
またあるときは妻の身体に父の頭部が付いた夢を。
僕が女性になり、男性になった妻に犯される夢もみた。
睡眠不足になった僕を双葉……じゃない、
父も心配してくれる。
……最近父と双葉を取り違えることが増えた気がする。
「ねぇ……会社を休んだら?」
父はそうも言ってくれる。
美しい父の顔を曇らせるのは本意ではなかった。
でも、今は家にいる方が会社に行く何倍もつらい。
家にいるときれいな父が目に入ってしまうから……。
◇
会社にいても仕事にならない……。
上司が僕を本気で心配してくれる。
で、救急車を呼ぶか、帰宅するかを選ばされた。
僕は帰宅すると言って会社を出た。
でも、こんな時間に帰れない。
双葉……じゃない父さんが本気で心配するから。
脚を引きずるようにして歩きながら僕は考える。
このあと僕たちはどうなるんだろう?
父の身体の双葉と双葉の身体の父親。
僕はその2人と一緒に暮らして行けるんだろうか?
母と双葉の世界一周クルーズは約4ヶ月間。
あと1カ月ほどたてば2人は帰ってくる。
もしこのまま元の身体に戻れなければ、
僕は父と夫婦生活をしなければならないのか?
嫌ではなかった。
むしろ今すぐにでも家に帰って押し倒したい。
そういう衝動があったことは否定できない。
その事実こそが僕を打ちのめしていた。
そんなことを考えているうちに、
思考が別の方向に向かっていたようだ。
いつの間にか僕は温泉での光景を反芻していた。
月光に照らされた双葉の身体の記憶。
それが脳裏によみがえってきたのだ。
白くなめらかな肌。
張りのあるバスト。
細くくびれた腹。
丸みを帯びたヒップ。
すらりと伸びた2本の脚。
あの日の夜は、彼女の白くて細いうなじがよく見えた。
ときおり赤くも見える美しい茶色の髪。
それを編み上げていたから。
およそ日本人離れした彼女の体型や薄い髪の毛の色。
それは双葉の先祖に西欧人がいるからだと聞いている。
造形の神様が造ったような、極上の女体を持つ美女。
だが、彼女は僕の愛する妻ではない。
……父なのだ。
……ダメだ!
何を考えても発展性のあることは考えられない。
僕はどこに向かうかに考えを集中することにした。
帰宅はしたくない。
でも他に行くあてなんて……
あ、そうだ!
その時僕はある場所を思いつき、寄り道を選択した。
◆ ◇ ◆
……それから数時間後。
僕は寄り道がばれないように気をつけて帰宅した。
「お帰りなさい。清彦さん」
すっかり女らしくなった双葉……じゃない父。
彼女が僕を出迎えてくれる。
「食事できてるわよ?」
「あ、ありがとう。すぐ行くよ」
なるべく普段通りを心がけ行動する僕。
「……どうしたの?」
そう父に問われて「ギクリ!」とする。
「ん? なにが?」
「昨日までは食欲がなさそうだったのに、
今夜はちゃんと食べてくれるから……。」
……危ない。
普段通りを心がけすぎて、かえって怪しかったとは!
「……ちょっと思いついたことがあってね。
そのことを考えていたせいかも」
「……そう」
怪しんではいたが、彼女はそれ以上追求しなかった。
そのことに少しだけ安堵する。
とにかく僕は食事を済ませてしまうことにした。
食事の後片付けをすませた父。
その後僕のいるリビングに入ってきた。
僕はリビングのソファーに座っていた。
僕はここ数日、食事のあとすぐに自室に戻っていた。
だから父は不審がっていたようだ。
その時の父は、袖の長いカットソーのシャツに、
七分丈のデニムのジーンズというラフな格好だった。
でも、2つの胸はシャツの下からでも存在感十分。
ジーンズで下半身のラインがくっきり出ている。
男を興奮させるには十分な姿だ。
そんな魅力的な父に僕は自分の考えを披露した。
「やっぱり入れ替わりの原因がさ、
あの神像のせいってことはないのかな、って……」
手に自室から持ってきた神像を持って僕が言う。
美しい父の目が戸惑いに揺れる。
「でも、あの神像はシロだって……」
「妹の旦那の話でしょ?
でも可能性を検討してもいいと思うんだ」
そう言いながら僕は父に神像を渡そうと手を伸ばす。
反射的に父はそれを受け取ろうとする。
2人一緒に神像を持った瞬間。
その衝動はやってきた!
「ひゃああああぁぁぁあぁぁーーーーーーんっ!」
父が双葉の美しいソプラノボイスで嬌声をあげた!
◇
父がガクガクと身体を震わせている。
僕の方も身体と心が興奮している。
性的な意味で……だ。
ただし、僕はこの衝動を経験したことがある。
だから戸惑うことなく身体を動かせた。
僕は神像をリビングのテーブルの上に降ろした。
そのまま美しい父をソファーに押し倒す。
暴れる細くしなやかな手を左手で押さえる。
そして、右腕で彼女のスリムな身体を抱き寄せ……。
彼女の唇に……口づけた。
バタバタと僕の腕の中で美女が暴れる。
僕はそれを押さえつけ、舌を動かす。
ちゅっ……ちゅぷ……ちゅくちゅぷ……。
僕の情熱的なキスに父も反応してきた。
ちゅぅぅ……ちゅぷ……れろ……ちゅっ……。
2人の舌が絡み合い、イヤらしい音をたてる。
じゅぷ……ちゅぅぅ……ちゅぷ……。
僕は約3ヶ月ぶりに妻の口をむさぼった。
妻の味は……あの日と変わっていなかった。
そのことに奇妙な安堵を覚える。
もはや父は抵抗せず、僕に合わせて口づけを交わす。
父の身体の中の「女」が反応してしまうのだろう。
あの神像の影響は半端ではないのだ。
僕は自分のズボンとパンツを脱いだ。
そして、父の履いているジーンズに手をかける。
その間も美しい父は向こうから僕に抱きつく。
自分から僕の口内をむさぼっている。
僕は父のジーンズのベルトを緩めた。
彼女は自分からジーンズとショーツを脱いだ。
彼女の下半身はひと目見てわかるほど……。
しっとりと濡れていた。
僕は露出した父の女の部分に右手を伸ばす。
「あぁん!」
たまらず唇を僕から離した父が艶やかな声で父が鳴く!
僕の右手が優しく動くと、美女の声が室内に響く!
「あっ! イヤ! はん! はぁぁん!」
高らかに嬌声を上げる父。
その声がさらに僕を興奮させる。
脳裏に3ヶ月前の双葉の様子が浮かぶ。
(あの時の彼女も同じように喘いでいたっけ……)
僕は手を動かしながらそんなことを考えていた。
僕の指の動きに翻弄される父。
そんな彼女の目の前に自分の右手を持っていき……。
僕は手に付いた液を父に見せた。
とろりとした粘り気のある液体。
それが僕の右手親指と人差し指の間で糸を引く。
「あぁぁ。イヤ……」
父が頬を羞恥に紅く染めて言う。
「イヤイヤ」と言いながら首を横に振る。
その表情と所作は老年期近くの男性のものではない。
それは若い女性……僕の妻のものだった。
◇
あとで思い返すと……。
僕の精神は神像の影響下にあったのだろう。
本来の目的のためにあそこまでする必要はない。
だが、その時はそんな判断をする余裕はなかった。
「どうだい双葉?
君のあそこからイヤらしいものが出ているよ?」
僕は右手の親指と人差し指をこすった。
そして、父のイヤらしい汁を彼女の唇に押しつけた。
「いやぁ! 止めて清彦ぉ! 俺は……」
そう言いかけた父の豊かな胸。
その右のバストを僕は左手で鷲掴みにする。
「あはぅ!」
父の言葉が途中で止まり、艶やかな声が響く。
「俺、だなんてはしたない。
双葉は僕の奥さんなんだよ?
もっとおしとやかにしゃべってよ」
「だからぁ! はぅ! 俺はぁ! はぁん!」
みなまで言わせない。
「双葉は女だよ?
ほらこんな立派なおっぱいが、
胸に付いているじゃないか」
そう言って僕はブラジャーの内側に手を突っ込んだ。
双葉の胸の2つの先端を指先でつまむ。
甲高い父の声が部屋を震わした。
そのまま僕は双葉の上半身をまとう服を脱がせた。
カットソーのシャツとブラジャーを床に投げ落とす。
張りのある綺麗なバストが「たゆん」と揺れた。
すっかり、怯えた少女のようになった父。
その姿が僕をさらにヒートアップさせた。
「綺麗だよ……双葉」
僕はそう言うと、双葉の全身に唇を這わす。
彼女の身体をなぞって造形美を確認するかのように。
「だめ! はぅ! イヤ! はん! はぁぁあ!」
僕の動きに反応して父が喘ぐ。
美しい双葉の声が淫靡に響く。
まるで僕が双葉を奏でているみたいだ。
最後に、双葉の女性の部分に口付ける。
双葉はひときわ高く! 大きく声を張り上げた!!
「ひっ! ひや! やん!」
もう双葉が何を言っているかわからない。
ただ、すっかりできあがっていること。
そして、快感に翻弄されていることだけはわかった。
「双葉、気持ちいいかい? 双葉」
僕の問いに双葉はようやく声を絞り出す。
「だめ……清彦……」
「おやおや? 双葉はイヤなのかい?
だったら……」
ここで僕は一拍タメる。
双葉の目が不安に曇る。
「……ここで止めようか?」
「!?」
双葉の双眸が驚きで見開かれる。
葛藤……あるいは逡巡。
彼女の中で理性と感情がせめぎ合う。
でも、僕は父がどう答えるか。
……答えざるを得ないかを知っていた。
「……てくれ」
「え? 声が小さくて聞こえないよ」
僕の問いに父が答えた。
「このまま……してくれ……」
実はこのとき、僕はある1つの目標を達成していた。
でも、その時の僕はそのことを忘れてしまっていた。
目の前の出来事に、完全にのめり込んでいたのだ。
「なに? イヤイヤするの?
そういうの萎えるんだよね」
僕がそう言うと、彼女は愕然として僕を見た。
「そんな態度なら……止めちゃおうかなぁ?」
笑みを浮かべながらそう言う僕。
父は青ざめて僕を見つめる。
「お願いしてよ」
「え?」
僕の言葉に父が問い返す。
「ちゃんとお願いしてよ。
夫婦でしょ?
ちゃんとお互いを尊重しようよ?」
自分で押し倒しておいて何を言っているのか。
後で自分のことながらそう思った。
「して……くれ」
「はん?」
「続きをして……くれ」
屈辱に歯を食いしばりながら父が言う。
そんな双葉の表情に僕はさらに興奮する。
この顔は新鮮だ!
そして、僕はさらに暴走する!
「もっと奥さんらしく言ってよ」
「なっ!?」
「双葉は新妻なんだよ?
新妻らしい言い方ってあるでしょ?」
恥辱に顔を歪めながら父が声を絞り出した。
「続きを……お願いします」
「最後にダーリンってつけて」
「は?」
「ダーリンって可愛く呼んでよ」
少々の沈黙。
ちょっとやり過ぎだったか?
だが、父は覚悟を決めたらしい。
歯ぎしりせんばかりの形相になっている。
そして、かすれた、でも可愛い声で言った。
「つ、続きをお願いします……だ、ダーリン……」
最後の方は声が小さくて消え入りそうだった。
こんな呼び方は今までしてもらったことはない!
可愛らしい仕草も初々しい!
この時の僕は完全に調子に乗っていた…と思う。
僕は気分よく、再び彼女に覆い被さった。
一瞬身体を硬くした彼女。
だが、ここで抵抗したら父にとっても元も子もない。
目をつぶって観念した。
その態度が新鮮で……。
僕の心を高ぶらせる!
僕は愛撫を再開した。
なるべくゆっくり、優しく。
僕は絶対に双葉の身体を傷つけたくないのだ。
緩やかな刺激に、双葉の身体が再び高まっていく。
「はん! ダーリィン! いい! いいよぉ!!」
そんな風に乱れる目の前の美女。
それは美しい、僕の妻の顔をしていた。
たまらなくなった僕は……ついに……。
妻の身体の中に、自分のものを……突き入れた!
ああ……。
3ヶ月ぶりの双葉の身体は……。
相変わらず最高だった!!
「あん! 気持ちいい! 気持ちいいよぅ!」
彼女が快感に負けて声を出す。
当たり前だ。
その身体と交わったのは一度や二度じゃない。
僕は父さんよりもずっと双葉の……。
妻の身体のことをよく知っているんだ!
何度も僕は腰を振る!
繰り返し下半身を突き入れる!
「はん! あっ! イイ! イイよ!
気持ちいいよぅ、ダァーリィィィン!」
律儀に俺をダーリンと呼ぶ父。
むしろ名前で呼ぶより抵抗が少ないのか?
ずいぶん積極的になった気がする。
父の絶頂が近いことを感じる。
それに合わせて僕自身も高まっていく!
「あぁん! イク! イクよぉ!
ダァーリィン! イっちゃうぅぅぅ!」
父は美しい声で絶叫し僕を呼んだ。
それとともに僕にも絶頂が訪れ……。
僕は双葉の身体の中に熱いものを放った。
……ああ……最高だよ、双葉……。
◇
「……さん、清彦さん」
……僕は……意識を失っていたらしい。
可愛らしい声が僕の名を呼ぶ。
身体を揺すって起こそうとする。
…………。
あれ?
この声、いやこの呼び方。
なによりこの雰囲気は……。
「双葉! 双葉なのか!?」
僕は恐る恐る目の前の妻にたずねた。
「はい……双葉です」
僕は直感で確信した。
ああ、双葉だ! 僕の愛しい双葉だ!!
僕は双葉をぎゅっと抱きしめる。
何かを言いたそうな唇を、キスで塞ぐ。
何はさておき、こっちの方からすませてもらう。
3ヶ月分溜まった僕の中の色々なもの。
さっきの分だけじゃ、到底治まらない!
こうして……。
僕と双葉の愛の営みは翌朝まで繰り返された。
◆ ◇ ◆
それから一ヶ月後。
父と母が帰宅した。
僕の体調もすっかり元通りになった。
2人はすっかり仲良くなっていた。
なにより僕はそのことに安堵した。
◇
今回の件を順番に説明するとこうなる。
母は以前から父と生活に不安を抱いていた。
それがすべての発端だった。
元々父は仕事柄出張が多かった。
子供ができ、家を買ってからは単身赴任も増えた。
結果、父と母は10年以上夫婦の営みが途絶えていた。
そんな父とこれから暮らしていけるのか?
母はそのことを確認しようと思った。
そのために、世界一周クルーズを準備したのだという。
だが出発前日になって、母は怖くなった。
そして双葉に言ったのだという。
「怖くて夫と向きあえない、
クルーズにも行きたくない」
ここまではよくある話……のようにも思う。
だが、僕の妻は普通ではなかった。
双葉は魔女の家系の末裔。
彼女自身も魔法を使うことができる。
つまり、魔女なのだった。
それであの神像についても詳しかったのだなあ。
僕は後になってからそう納得した。
彼女は魔法で、父と自分の身体を入れ替えた。
そして色々なことを棚上げにしようとした。
彼女は父と母が対話する時間を取ろうとしたのだ。
彼女の誤算は父も母との生活が不安だったこと。
だから父は母にクルーズに行くように薦めた。
その様子をみて双葉はすっかり母に同情した。
両親のためになんとかしよう。
この時双葉は覚悟を決めたそうだ。
母とよく話し合ってみよう、と。
結果、旅先で母と双葉は非常に仲よくなった。
精神的にも……肉体的にも。
そして父もまた安堵したのだ。
自分の身体がまだ母を愛せたという事実に。
温泉で父が言っていた「安心」というのは、
そういう意味だったのだ。
◇
だがここに大きな問題が残った。
双葉と父の身体をどうやって戻すのか、だ。
双葉の魔法は「自分と男の身体を取り替える」もの。
夫婦仲の冷えた者同士が仲直りするために使う。
本来はそういうものらしい。
「なら、父と母を入れ替えればよかったんじゃ?」
「自分と誰か1人の男性にしか使えないの」
僕の問いに対する双葉の回答である。
戻る方法はシンプル。
入れ替わった男女が愛を交わせばいいのだ。
「ただ、その時のお相手は
自分と入れ替わった人じゃなくてもいいの」
その魔法が開発された後、色々試した人がいたんだとか。
結果、そんな応用が利くことも知られることになった。
要するに双葉が父の身体で女性といたす。
その後で、双葉の身体になった父が男とする。
それで解決する話だったのだ!
そして偶然、あの神像のせいで僕と父が暴走。
結果として事態は解決に至った。
そういうことになった。
◇
……というのはもちろん表向きの話。
父と双葉が元に戻ったあの日。
僕が神像の力で暴走したのは事故じゃない。
故意だ。
あの日。早退した僕は妹の家に向かった。
妹のところなら休ませてくれる。
ついでに色々状況を聞ける。
そう思ったからである。
そしてそこで僕は妹から聞いてしまった。
父が隠している秘密の内容を……。
妹の旦那はすでに双葉の家系を洗い出していた。
今回の事態の概要もほぼつかんでいた。
だが、そのことは僕に伝わらなかった。
父が情報を止めるように言ったからだ。
「お父さんはね。
お兄ちゃんと双葉さんの仲を心配してるの」
妹は僕にそう説明した。
普通に考えれば事情を僕が知ったら怒るだろう。
魔女だということで気味悪がるかも知れない。
父がそんな心配したことについて理解はできる。
だが、僕に言わせれば双葉を嫌うはずはない。
けれど、普段の僕のまじめくさった態度。
それを知る父は僕たちが不仲になることを恐れた。
そこで父は女として僕を誘うことにしたのだ。
例の心境の変化の理由はそういうことだった。
女の身体に負けた父が息子を誘った。
そして、なぜか元に戻った。
そうすれば父1人が悪い事にできる、と。
正直僕は双葉と父に怒る権利はあると思う。
ちゃんと僕を信じて、事情を伝えろ、と。
だが、そう言ってどうなる?
僕にとって一番大事なことはなにか?
それは……家族が元に戻ることだ。
ならば僕も嘘つきの一員に加わろう。
僕は父の計画を修正することにした。
僕が「うっかり」神像の力で暴走した結果。
そういうことであれば父は悪くない。
……神像にバチを当てられそうな気もする。
でも、そのくらいは甘受しようと覚悟したのだ。
こうして僕ら夫婦と両親は……。
ようやく正常なあるべき日常を取り戻した。
◇
父と母は仲むつまじくやっている。
恋人のころに戻ったかのように。
僕と双葉の仲は言うまでもないだろう。
とはいえ……。
「清彦さんがわたしの身体を前にして、
3ヶ月も我慢できるなんて……」
そう言われたときは双葉とよーく話し合ったけどね。
主に貞操観念について。
というわけで、めでたく話が終わる。
……と、思ったんだけどなあ。
◇
「……父さん」
「ん? なんだ清彦、怖い顔をして」
双葉がパンツ一枚の裸で家の中を歩いていた。
それを見て一瞬で理解した。
また父さんと入れ替わったな!
「双葉さんなら母さんと出かけだぞ。
本当に仲よくなったな、あの2人」
そうなのだ。
双葉は母とも父とも仲がよくなった。
母と外出したり、父から化粧を教わったり。
僕がジェラシーを感じるくらいに。
嫁と両親の仲が良いのは歓迎する。
だが、こういうのは困ってしまう。
双葉は父と身体を入れ替えるようになったのだ。
それも頻繁に。
父は双葉の身体で家の近所をジョギングを楽しんだ。
その後、ひとっ風呂浴びてきたところなのだそうだ。
「いやぁ。若い身体はいいねぇ。
動きのキレが違う」
そう言ってラジオ体操のような動作をする父。
それに合わせて双葉の胸がたゆんたゆんと揺れる。
ひどくイヤらしい光景だ。
「だから……優しくしてね。清彦さん」
笑顔で父が言う。
そうなのだ。
もちろん2人が元に戻るための方法。
それは父といたすことなわけで……。
こういうのもスワッピングというのだろうか?
そんなことを考える余裕すら僕にはあった。
すっかり事態に慣れてしまった自分に僕は恐怖する。
なお、僕以外の家族は全員この事態を受け入れている。
そういう意味で僕に抗うすべはない。
そして……。
「それから……神像の力を使うのはなしね。
……ダーリン!」
ああ、何ということだろう。
僕はとんでもないネタを提供してしまったのだ。
父に対して……。
何かというと父は僕をからかう。
「ダーリン」と繰り返し言って。
さすがにこれが双葉に知られたら……。
死ねる。
というわけで……。
僕は完全に若き妻となった父の言いなりである。
(もしかして、これが神像のバチなのかなぁ……)
そんなことを考えつつ、僕は寝室へと向かう。
美しい父に手を引かれて。
――終わり――
次回作も頑張って下さいね。
こちらこそ、ありがとうございました。
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