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皮いいメイドさんのつくりかた3

2013/12/30 08:34:19
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「ただいまー」
と言っても迎えてくれる人はいない。
1人暮らしにとっては広すぎる一戸建ての玄関をくぐり、真っ暗な廊下を手探りで進んで自室へと足を踏み入れる。
スイッチを入れると、双葉の髪色のようなスカイブルーの壁紙が網膜に飛び込んでくる。
その鮮やかさたるや、室内にも関わらず青空の下にいるような錯覚を起こすほどだ。

「今日は色々あって疲れたな」

机の上に【皮】の入ったビジネスバッグと女子制服の入ったスポーツバッグを置き、ベッドにごろんと横になる。
焦点の定まらない瞳で蒼い天井を眺めてぼーっとしていると、真奈美の顔・敏明の顔・若葉の顔が浮かんでは消えていく。

真奈美のしなやかな肉体の感触を思い出し、
「あ……ヤベ。勃ってきた」

若葉の【皮】を着る際、目に入った敏明のナニを思い返し、
「お……萎えた……」
よかった。どうやら俺は正常を保っているようだ。

そして若葉の白磁のような肌と、締まりのいい雌肉の感触を蘇らせ、
「ハァ……ハァ……わ、若葉……うっ!」
脊髄反射的にズボンとトランクスを下ろし、肉棒を握りしめて数分間。
ふと我に返ったのは、白濁液を飛ばした直後だった。

……ってオイ! 俺は何してんだよ!?

男の恒例・賢者タイムに突入したことで冷静になった頭を抱えてしまう。
たしかに今までも若葉をオカズにしたことはあったよ。
だけどそれは、アイツが普通の女の子だと思っていたからだ。
中身が男……しかも親友の敏明と知ってなお、オカズにするってどうなのよ?
それに何よりタチが悪いのは、俺に抵抗感が全く生まれず、ありのままの若葉に性欲を抱いたってことだ。

「童貞を捧げたときは肉欲に溺れちまったのもあるけど、今回はそうじゃねえよな」

体のみならず彼女のすべてを求める心と、それを裏付ける行為。

「もしかして、『男』の俺(清彦)は若葉のことが好きなのか?」

窓を眺めて1人ごちるが、極黒に漂う月は何も答えてくれない。

これまで若葉のことは友人の妹ということを抜きにしても『大企業のご令嬢』という、高嶺の花程度の認識だった。
彼女をオカズに自家発電に励むことはあっても、それはあくまで『憧れ』。

数日に1回のペースで発生する、数えきれない男からの若葉への告白イベント。
告白した連中の中には、敏明クラスといかないまでも顔のいいヤツがいた。
敏明には及ばないが勉強のできるヤツがいた。
敏明の後塵を拝していたが運動のできるヤツがいた。
にも関わらず、若葉の返事はすべて『申し訳ありません』

――完璧な男が兄として身近にいるからこそ、若葉の男に対する理想は高すぎる。

そう思っていた俺は、ハナッから若葉に恋心を抱くことすら諦めていた。
しかし。
この一週間、メイドとして若葉に側仕えしているうちにアイツの様々な側面を見せられ、より身近に感じるようになって……。

俺が双葉の【皮】を着ているときも、若葉を『綺麗だな』と思うことはしょっちゅうあるが、激しく心をかき乱されることはほとんどなかった。
だけど【皮】を脱いだ素の俺はどうだ?

フローリングの床に飛び散ったオタマジャクシの無量大数軍(ラージナンバーズ)が『ごらんの有様だよ』と雄弁に物語っている。

「ったく、若葉の中の人が男でもいいと思うなんて、どうかしてるよな、俺」

『清彦さんもわたくしと同じ変態ですし、それでいいではありませんか』
そんな幻聴が聞こえ、すごく嬉しそうな表情をした若葉の幻影が浮かび上がる。

あー、ハイハイ。認めてやりますよ。
清彦という男は、男が化けた女の子を好きになった変態ですよ。
けど、おまえ『も』変態なんだろ?
変態の若葉サンはそこのところどうなんだ?
ぶっちゃけ俺のことをどう思ってんだよ?

『………………』

しかし、今度は若葉は何も答えてくれない。
菩薩のような笑みをただ浮かべているだけだ。
俺の脳内で生み出した幻なんだから、こっちにとって都合のいいことを言ってもよさそうなんだが、
『え? 今なんて言いましたの?』
なんてスッとぼけて可愛らしく小首を傾げてやがる。
クソッ! その仕草は反則だろ! 可愛いすぎるじゃねえか!

……コホン。
まあ、とにかくだ。
男としての俺は若葉を好きになっちまった。
なら、女としての俺はどうなんだろう?

答えはうっすらと分かっているが、『そこまで』認める勇気がない。
加えて無視できないのが、真奈美の存在だ。

女としての俺は、敏明を……ごにょごにょ……(かもしれない)だけど、男が化けた女としての俺は、明るく活発でありながらも影を持った真奈美のことが気になり始めている。

双葉としての自分と、双葉の皮を被った清彦としての自分。
そこにどう違いがあるのか、境界線がどこにあるのか分からなくなってきた。
「双葉になれば分かるのかな?」
ベッドから上半身を起こし、デスク上のビジネスバッグを見やる。
と、その隣に置かれたスポーツバッグも視界に映り込んだ。

「そうだ。いまのうちに制服の試着をしておくか」
あまりにも難しくガラにもないことを考えてたせいで、煮詰まった感がある。
女の子になってのリアル着せ替え人形を愉しむのは、いいストレス解消になるかもしれない。

……双葉になったからこそ、あれこれ考えるハメになったのはこの際おいておこう。

そんなワケでビジネスバッグをパカっとな。

余談だが【皮】の保管および持ち運びに使っているこのバッグは、見た目普通だがメチャクチャハイテクだったりする。
ロックは指紋認証と網膜認証の二重式で、清彦と双葉しか開錠できないよう設定されているし、見た目からは想像もつかない程頑丈で、若葉曰く、
『黄金聖闘士が数人がかりでも破壊できませんわ』
とのこと。

ちなみにキャッチコピーは『核を撃っても大丈夫』という一方通行チックなモノらしい。
オマケにGPSが内蔵されてて、盗難や紛失時も即座に追跡できるようになってるとか何とか。

「まあ、異様なまでのセキュリティシステムも、入ってる物の性能を考えれば妥当なのかもしれないな」
生暖かく滑らかな【皮】の手触りを堪能しつつ、その首後ろに手を這わせる。
「そういやさっき『双葉』を脱ぐとき、イジェクトボタンを押してナノマシンの機能を停止させたままだったな」
【皮】を手にしたまま意識を集中すると、首後ろの穴があるべき場所に3つのボタンが現れる。
再度イジェクトボタンを押して、ナノマシンを活性化しようと思ったところでふと思った。
「そういえば、残り2つのボタンは何なんだろ?」

『興味があるのでしたら押してみてはいかがですの?』
……いや、あの。若葉さん?
オマエ、俺の脳内が生み出した幻だよな?
いつまでも居座るどこか、なに普通に話しかけてきてんの?

『……すか…、きこえますか……。いま…貴方の脳内に…直接…話しかけています……。いいですか……第2のボタンを……押すのです……』
「おいバカやめろ!」
間違いない。
こんなことを言うのは幻ではなく本物の若葉だ。

つうか、何でこの場にいないはずの若葉が蜃気楼のような状態で現れるんだ?
まさか夜は幽体離脱して、他人に憑依してアレコレ堪能してるワケじゃねえよな?
そもそもコイツが幽体離脱したら、魂の姿は若葉じゃなく敏明になるはずじゃん。

『ネタをばらしますと、双葉さんに渡したスマートフォンのカメラとマイクの遠隔操作でそちらの様子を確認しつつ、スピーカーと立体映像アプリでわたくしの姿を投影してみたわけですの』
「もう何でもアリだな、テメェ」
『普段はそちらのプライバシーを考慮してその機能をOFFにしているのですが、今回だけは起動実験も兼ねてモニタリングしていたのですわ』
こっちの声や状況が捕捉されてるなら、見られてはマズい物を見られ、聞かれたらシャレにならないことを聞かれた気がするが……。

………………。

「…………いや、そんなことはないか」
人間は受け入れがたいショッキングな事実があったとき、脳が事実認識を拒むことがある。
「って、なんで脳のメカニズムについて考えてんだ?」
『そんなことはどうでもいいので、早く【皮】を着て、第2のボタンを押してくださいな』
と、見え見えの落とし穴に誘導する子供のような期待を込めた若葉の様子は、平常運転と言わざるを得ない。
先刻、逃げるように帰った気まずさから、次に顔を合わせたらどう接しようと悩んだのがバカみたいに思えてくる。

「ったく、しゃあねえな」
敏明とは似て非なる若葉のこういうオチャメなところにも惹かれたんだろうな、と思いつつカッターシャツ、Tシャツと脱ぎ、上半身を裸に。
『清彦さんは平均的なステータスのわりに、体脂肪率が少なめですわよね』
「体重だけは若干あるからな」
いわゆる細マッチョというヤツだ。脱いだら凄い、とまではいかないが。

そしてベルトを外してズボンを下ろす。
『さあ、トランクスも脱いでくださいな』
「お……おう」
と言われても、どうにも気おくれしてしまう。
一度肌を重ね合わせた仲といえ、
中身は男同士であるといえ、
女の子のカタチをした存在の前で局部を晒すには、やはり抵抗があるワケで。

「なあ。服を着たまま【皮】を身につけることってできないのか?」
だから、そんな抜け道が無いか探りを入れたのも当然の帰結だよな。

『できなくはありませんが、推奨いたしかねますわ』
服を着たままだと【皮】と着用者の神経切り替えが阻害されるため、ナノマシンが服のデータを保存しつつ溶かしていく。
その際、服の無効化にナノマシンパワーの大半を割かれるため、神経のリンクが鈍くなる。
……つまりは女の子の触覚を十全に堪能できない……らしい。

「女子制服の試着と第2のボタンの起動実験だけといえ、女の子になる以上は完璧を期すのが俺の矜持だし、多少面倒でも全裸で【皮】を身につける以外有り得ねーな」
『その志は感嘆に値しますが、高潔な魂と反比例して、股間は縮こまってますわね』
そりゃ1発ヌいたうえに、テメェにガン見されてるからだよ。

ともあれ変身タイムだ。
今回はいつもと赴きを変え、頭から先に【皮】の中へとくぐらせていく。

ぱっちりとした瞳に整った鼻筋、ぷるんと美味そうな桜色の唇。
その美貌の下についてるのが男の裸体(エプロンのように垂らした【皮】付き)というのは、目を覆いたくなる惨状だ。

ここから1部位ずつ、小汚いマンガのネームを美麗な原稿に仕上げるかのように女の子の体に整えていく楽しみは何て表現すればいいんだ?
ギャップ萌え?
……いや、ちがうか。

腕と胸を通したことで、すね毛に覆われた太い足と男性器が生えた醜い台座に置かれた美少女の胸像(下半身の【皮】付き)が完成する。
それはまるで、美しい女性の顔と乳房のある胸にライオンの四肢がついたスフィンクス(ギリシア神話Ver)を彷彿させた。

『あら、清彦さん。またおちんちんが勃起してきましたわね』
「こればっかりは仕方ねえだろ。いくら慣れたつっても、女の子に化けるときは興奮するんだよ」
言って【皮】の入り口の穴を大きく伸ばし、ベッドに腰掛けたまま両足と股間を【皮】へと沈めていく。

『男の子が少女へと変態を遂げる光景は、何度見ても胸が躍るものですわね』
「本人としても、生まれ変わる気分というか、元旦の朝に下ろしたてのパンツを穿くような気分だしな」
正中線の最下部・勃起したナニの充血感が消えうせたことで、俺は再び女の子へと変貌を遂げた。

『はぁ。やっぱり双葉さんの体は綺麗ですわね。わたくしより小さくて可愛らしいくせに、胸のサイズはわたくしより上なのですから』
「双葉の体『は』綺麗じゃなく、双葉の体『も』だろ。おまえの水着やブルマの写真が、クラスでどれほど高値で取引きされてるか知ってるか?」

若葉と2人、イタズラっ子のような笑みを浮かべて交わす。
その『女の子同士の空気』を堪能した後、いよいよもって第2ボタンをぐいっと押し込むが……。

「あれ? 何も起こらねえぞ?」
『あらあらかしこ。わたくしとしたことが失念しておりましたわ』

実はおまえって結構ポカが多いよな。
生理とか妊娠とか、言うべきことを言い忘れてたりさ。

『実は第2ボタン用のプログラムはつい昨日完成したばかりで、まだ双葉さんの【皮】に内臓されたナノマシンにインストールされておりませんの』
「おいおい、ここまで引っ張ってそりゃねえだろ」
『心配いりませんわ。先ほど渡したスマートフォン経由でプログラムをインストールいたしますので』

若葉の指示に従い、スマホと一緒に渡されたマイクロUSBを取り出す。
小さい方のコネクタをスマホに接続、大きい方のコネクタを首後ろのスイッチ付近にあるUSB端子に差し込む。
つうかボタン近辺にそんなモンついてるなんて今のいままで知らなかったぞ。
ただでさえ首後ろは自分じゃ確認できねえし、ボタン周りも普段は巧妙に隠されてるしな。

『……データ送信完了。プログラムインストール開始……終了……これでバッチリですわ』
「んじゃ、今度こそ」
と、再度のボタンプッシュ。

すると……

「お、オイ! か、体が……縮んでくぞ」
この感覚は間違いない。
【皮】を着る際、ナノマシンが体を矯正するときのものだ。
ただでさえ細く小さい双葉の全身が、ほんのわずかだけ縮められていく。
しかし今回の変化は、【皮】の中にいる俺本体に留まらなかった。

【皮】そのものも再矯正された俺の体に併せて縮小している。
ギリギリCカップだった胸が若葉サイズ(B)カップまで縮み、非力を自覚してた手足は、より頼りなさげにか細くなる。

「一体何が起こってるんだ?」

俺は、壁に立てかけてある姿見の前へと駆け寄った。
そこに映っていたのはまぎれもなく俺(双葉)だが、どうにも違和感がある。
上手く表現できないが、たしかに双葉に違いないんだが、どこか違うような……。

『1歳くらいでは、目に見えた変化が少ないですわね……えい、えい』
「あ、コラ! 勝手に第2ボタンを連打すんじゃねえ! つうか立体映像が物理的干渉するんじゃねえ!」

双葉が都合6回押したことで、何が起こってるのかハッキリと理解した。
整った小顔の目鼻口のパーツはそのままに輪郭が丸くなり、胸はすとんと絶壁になる。
くびれていたウエストがイカ腹になり、手足もオモチャのように短くなる。
股間の割れ目も、短かった切れ込みが長くなっている。

『実際はワレメが真下に移動しただけで、長さそのものは変化していませんわ。女性は成長するに従って恥骨が前方に出てくるため、『筋』が短くなった様に見えるだけですのよ』

「どうでもいい豆知識をありがとう……つうか……いまの俺って……幼女だよな?」
『幼女ですわ。ただしウィキペディアではなく、アンサイクロペディアの方ですが』

<幼女>
ウィキペディア=満一歳から小学校入学くらいまでの女の子。
アンサイクロペディア=身長135cm以下の女性であり、一般的に見て可愛いと判断される人物。

「…………」
『………………』
「……………………」
『…………………………』
「………………………………どうなってんだコレェェェェェ!」
うわっ、自分の悲鳴で耳がキンキンしやがる。
声がメチャクチャカン高くなってるじゃねえか。

『あぁっ。思ったとおり天使のような愛くるしさですわ! たまりませんわ! さあさあ、このカボチャぱんつを穿いてワンピースを着て、ランドセルを背負ってくださいな!』
「オイそこの変態淑女。鼻血流しながらカメラを構えてないでどういうことか説明しろ!」
つっても大体察しはつくが。
いまの俺は双葉であることに変わりないが、その外見は10歳前後。
この事実から推測すると、第2ボタンを1回押すごとに年齢が1歳若返るのだろう。

『ちなみに、第2ボタンを2秒長押しするごとに1歳ずつ加齢されますわ』
「ふむふむ」
さっそくやってみよう。

2秒ごとに『カチッ』という音がして、少しずつ身長とおっぱいが大きくなる。
そのまま24秒経過。つまり12年分成長したことになるのか。

目が若干細く切れ長になり、身長が160を超え、これまで味わったことのない重みと共にバストがEカップに膨らむ。
そして手足も身長相応に長くなり、無毛だった恥丘に青(角度によってグレー)色の逆三角の茂みが生えた(どうやら双葉はここの成長だけがやたら遅いらしい)

17歳→16歳→10歳→22歳。
鏡の中の幼女は少女時代を経て、オンナへと成長する。
穢れを知らない無垢な天使が妖艶な夢魔へと堕天する過程を、1分にも満たない時間で『体験』した。

現在・過去・未来。
双葉の全てを手に入れていたと思っていたが、彼女(じぶん)の中に眠る未だ知らなかった輝きを発見し、その喜びを体現するかのように下腹部がじんわりと熱を帯びる。

「この機能スゲェじゃないか、若葉!」
『気にいっていただけたようで何よりですわ』
と、優雅に一礼する黒髪の美少女。

『用件も済んだことですし、わたくしはここでお暇いたしますわ。これから録画していた清彦さんのセリフと痴態をエンドレスで再生しつつ、ニヨニヨしたり自分を慰めなければなりませんので』

って言われても、何のことだが分からないんだが。

『それと、この部屋で全裸になって佇む双葉さんの姿にインスピレーションが沸きましたので、そっちの仕掛けも施さなければなりませんわね』
「え? おい、どういう意味……」
『ふふっ。それはそのときになってからのお楽しみですわ。ではごきげんよう』

そう言い残して若葉は去り際に俺の首後ろをぽんと叩いて姿を消してしまった。

その拍子にボタンを押された気がしたが、イジェクトしなければ年齢が変わった様子もないから気のせいだろう。

若葉のことだ。話をウヤムヤにするために紛らわしい行動を取ったに違いない。
ともあれ、去り際のセリフの真意は明日、学校で問い詰めてみようか。



さて、期せずとも双葉になった俺は、つーんと鼻につく栗の花の香りに包まれながらこれからどうしようかと考える。

オナニーをするか、自慰をするか、マスターベーションをするか、自家発電をするか、センズリをこくか……ってどれも同じ意味じゃねえか!

なんでエロいこと限定なんだよ。
たしかにそういうのは大好きだけどさ!
何故か知らないけど乳首が充血してクリトリスが勃起して皮が勝手に剥けてるけど……って待て待て待て。
何かがおかしい。

たしかに今の俺はいつもと違って肉体的に発達した成人女性だが、ここまで見境なしに発情するものか?

自分の将来に一抹の不安を覚え、肉体年齢をデフォルト(17歳)まで下げる。
それでも何かを渇望する女体の疼きはいっこうに収まらず、むしろ一呼吸するごとに体温が0.1度ずつ上昇しているような感じすら覚える。

「一体何でこんな……ああっ……これは……」

天啓に導かれて百年戦争に身を投じたオルレアンの乙女のように、女の体が『それ』にフラフラと引き寄せられたことで、自分に起こった異変を理解した。

床に飛び散ったままの白濁液。
先刻若葉を想いながら床に撒き散らした子供の種こそが、俺を狂わせている原因に他ならない。

「そんな……いくらいなんでもおかしいだろ……自分が出したオスの臭いで、メスになった自分が発情するなんて……」

駄目だダメだ、意識をしっかり持て俺!
大体にしてさっきまでの俺は、双葉になって憧れの女子制服を試着しようと思っていたはずだ。

非日常的なメイド服とちがい、日常的な学校生活の象徴とも言える高校の女子制服。
それを身につけることは、自分は女子高校生だと主張し、対外的にもJKとして認められるということに他ならないのではないか?
無論、AV女優がコスプレで着る場合もあるし、男が女装や変態的な趣味でセーラー服に袖を通すこともあるが、そういう偽者は必ず外見のどこかに綻びが見てとれる。

だが、俺の場合は違う。
たしかに心は男だが、この身は17歳の女の子。
世界で最も高校の女子制服が似合う生き物なんだ。

「自分が最も似合う格好になるのは、生物的に正しい事だよな?」

熱病のように浸食する肉体的な欲望を、女子高生になりきるという精神的な充足感をもって打開にかかる。

――常識的に考えれば馬鹿げているにもほどがあるが、女体の疼きに冷静さを奪われた俺にとっては、女子制服を着ることこそがただひとつの正解に思えたんだ。

「まずは下着を身につけないと……」
淡いブルーのブラとショーツ。
数が少ないため、小まめに洗濯して干してある下着から一番のお気に入りを選ぶ。

いくら綺麗に整理整頓されてると言っても、ここは男の部屋なんだよな。
そこにこんな物が干されているのを見られたら、100%人格を疑われるかもしれない。
この部屋には敏明(と若葉)ぐらいしか招けないか。

「けど、こればっかりはどうしようもないからな。ホント、1人暮らしでよかったよ」

言って、洗剤の香りに包まれたショーツを広げて足に通していく。
ショーツが丸みを帯びた股間にぴったりと貼りつく瞬間の感触は、何度味わってもいいものだと思う。
小さく儚く頼りないショーツを穿く事によって、自分がか弱い女の子であることを思い知らされるからだ。
ただの布切れが俺という乙女の股間に貼りつくことで、女の温もりと香りを染み込ませ、男を魅了してやまない聖衣へと進化する。
それはさながら魔法のようだった。
――シンデレラの着ているボロ切れが、魔法をかけることによって煌びやかなパーティドレスに変化したかのように。

そしてブラジャー。
一週間前の俺は、単純に乳房をカップの中に放り込んで留めるだけだった。
しかし、ダンス教室で女の子の群れに混じり、鼻の下を伸ばしながら堂々と着替えを覗いて学習した今の俺は一味ちがう。

まずストラップを肩にかけ、前傾姿勢になりながら2つの脂肪の塊をカップに入れてホックに留める。

その態勢(前かがみ)のまま、左手で左側のストラップの付け根をつまんで浮かせると、胸が重力に従って前に垂れる。

そこから右手で左側のバスト全体を包み、脇の下の余ってる肉と一緒に前に寄せて仕舞い込み、ストラップを引き上げる。

右の乳房も同じように調整する。

こうすることによりバストの綺麗さが際立つことはもちろん、バストアップの位置も変わってくるんだ。

「うん、やっぱり女の子の姿には女の子の下着が似合うわね」

姿見の前で長い髪をしゃらりとかきわけ、ミントの香りを撒き散らす。

シャンプーとボディソープは、双葉と清彦で同じ物(スーパーの特売品・金が溜まったら女性専用の高級品を買うつもり)を使ってるんだが、いい匂いがするのは双葉の体だけ。
清彦の体だといくらシャンプーや石鹸まみれにしても、すぐに汗臭くなるんだよなあ。

さて、双葉のトレードマーク(と俺が勝手に思っている)のリボンも忘れちゃいけない。
初めて女性用下着を身につけたときは、髪の毛が邪魔で先にリボンを使って纏めていた。
しかし、さっきのようなブラの付け方(前傾姿勢)を実践することによって、長い髪の毛もさして苦にならない。
故にブラジャーとリボン、どっちを先につけても困ることはなくなった。

【皮】の力で女の子になって一週間。
女の子スキルが確実にアップしていると実感するのは、なかなかレベルの上がらないネットゲームでレベルアップするより幸せな気持ちになれる。

「二十歳を超えた私ならお嬢様のようなストレートロングも似合うけど、今の体だと子供っぽいツインテールの方が似合うわね」

喉から出る音域はソプラノボイスであるにも関わらず、他人と話すときはたまに男言葉が出そうになる。
こういう独り言はつっかえることがないから、未だ女の子として他人に接することに緊張や照れがあるんだろうか?
――明日以降はそういうスキルも意識して磨いていこう。

次に俺は白の二―ハイソックスを身に着け、脚部を圧迫させることで生まれる独特のレッグラインをしばし堪能する。
こういう女の子の太ももまでを覆い隠すハイソックス系って、下着や全裸、それにスク水のように一部マニアックな衣装とやたら相性がいいんだよな。

と、そんなことを考えながらこげ茶色のスカートを履き、ホックを留める。
股下への風通しがよく下半身の自由がきく反面、大事なところを隠すために動きや座り方を制限しなければいけないという二律背反を持っている衣類。

日本における固定観念、『スカートは女性が履くもの』というおかげで、自分が禁忌を犯していることを実感しつつ、丸みを帯びた『いまの体』にとって最適な服装をしているだけなんだ、という精神的な二律背反を抱かせてくれる。

さらに半袖のブラウス。
セーラー服のように大きな襟(セーラーカラー)が付いているのが印象的で、そこで男子用と女子用の大きな違いを意識せざるを得ないが、特筆すべきはボタンの位置だ。
男子制服は襟が左上になるように作られているが、この女子制服はボタンが逆。
すなわち襟が右上になるようにできている。

スラックスとスカートのようにあからさまな違いもいいが、こういう何気ないパーツにおける男女差というものは、見えない部分のオシャレにこだわるような自尊心を刺激してくれる。

「そして最後にベストを着てリボンをつけて、と」
ノースリーブのベストでブラウスを盛り上げる胸を覆い隠してボタンを留め、仕上げに大きく赤いリボンで胸元を彩る。

そうして出来上がった女子高生の長沢双葉。
鏡を見て自分の容姿にため息を漏らすのは、ナルシストじゃなくても当然のことだと思う。

……いや、この美少女が俺である以上、やっぱりナルシストになるんだろうか?

こうしているだけで動悸が激しくなって頬が紅潮するし、下腹部が悩ましく疼くしさ。

「つうか、制服を着ても体の火照りが収まらないじゃねえか」
それどころか、その逆。
停車するつもりでブレーキに足をかけたはずが、アクセルを踏み込んだかのごとく体が暴走してくる。

もしかしたら、俺は冷静なつもりで狂っているのかも知れない。

大体にして女体の興奮から背を向けるなら、最初から【皮】を脱いで男に戻ればいいだけの話なんだ。

その方法に気付いた今でもそれを実行しないばかりか、大きな姿見の他、小さな手鏡を取り出してるあたり、『詰んでる』と思う。

もういいや。
若葉にも指摘され、自分でも認めた通り俺は変態なんだ。
男である自分の精液で発情した女の体を、女になった自分の姿をオカズに慰める。
いかにもな奇行であっても、変態が変態的なことをするのは普通というか当然なはずだ。

そうと決めたら迷う必要なんかない。
俺は手鏡を一度置くと立ったままスカートをたくし上げ、その中に収めている布きれを姿見に映し出した。

「いつの間にこんな濡れてたんだ?」

お気に入りの水色ショーツの逆三角。その頂点で秘裂を保護するクロッチ(布が二重になっている部分)は何の役にも立たず、溢れる蜜液を受け止めきれずにぽたり・ぽたりと足元に垂らしていく。

意識した途端、濡れた衣類が肌に貼りつく不快感を一瞬だけ覚えるが、濡らしているのが膣壁という女の子を形成する一部位であることに気付けば、その不快感すら愛おしく感じる。

部屋に充満したオスの精液と、現在進行形で生み出しているメスの愛液が混ざった匂いが、見えない手を持っているかのように乳首とクリトリスを撫でて奮い勃たせる。

「この勃起する感覚は男のアレとほぼ同じだけど、それが3か所同時に襲ってくるのは女の子ならではだな」

今日の日中、真奈美に舐められて分かったことだが、クリトリスで受ける刺激と快楽の種類は男のアレとほぼ同等だ。

その理由は胎児の状態で同じだったモノが、男だったらペニス、女だったらクリトリスと枝分かれする――すわなち根源が同じだからだ。
しかし、日本人の平均である52のナニに通う神経が約6,000程度であるのに対し、それより遥かに小さいサイズのクリトリスに通う神経は約16,000。

「つまり、気持ちよさの種類が同じでもクリトリスの方がより敏感なん……あっ……んっ……やんっ……」

ショーツの中に指を入れ、小さな豆粒をいじるだけで声が出てくる。
男の野太い声質では気持ち悪いだけの喘ぎ声も、女の子の喉というフィルターを通すことで、可憐でありながら蠱惑的な色香に満ちたものへと変質する。

「しかも……んうっ……クリだけで男より気持ちいいのに……それ以上に……んうっ……この『孔』は……もっと気持ちが……」

親指の腹でクリトリスを優しく撫でつつ、人差し指で他の女性器にそっと触れてみた。
瞬間、男では絶対に味わえない質と量の甘い快感が迸る。

「あうっ……あああっ……そ、そんな……これだけで……イッちゃう……ああああああああんっ!」

精液&愛液の香りとクリトリスへの刺激で十分すぎるほど温まっていた体は、ほんのわずかな追加要素だけで果ててしまった。

けど、まだ足りない。
賢者タイムなんて存在しない少女の肉体は甘い余韻を受け入れ、それを次なる肉欲へと導いてくれる。

かつて若葉と行った会話が頭をよぎった。



『え? この【皮】って脳ミソまでついてるんですか!』
『当然ですわ。男性の脳では、女性の快楽【などに】耐え切れず、精神が壊れてしまいますから』
『で……では、今の私たち(双葉と若葉)は意識や思考回路まで女の子になってるんですか?』
『いえ。意識や思考だけは圧縮した男の脳に宿る思考回路をそのまま活用しておりますの』
『そうでなければ【男性の記憶を持つだけの女の子】になってしまうから――ですか?』
『さすが双葉さんはわたくしの同類(変態)だけあって、よくおわかりですわね』
『考え方まで女の子になってしまったら、自分(双葉)の体や他の女の子を見ても何とも思わなくなりますし、【男が化けた女の子】という倒錯感を堪能できませんからね』
『そういうことですわ。つまりわたくしたちは、男と女の脳の両方・それぞれの都合のいい部分を使ってるわけですの』



まあ、何が言いたいっていうとだ。
男は射精した後、大脳皮質の働きが停止、側頭葉と扁桃体から性欲を減退させる信号を発生して性的なものに対する反応を薄れさせてしまう。
これが賢者モードの正体だ。
だけど女の子の脳を使ってる俺にはそれがない。
故にショーツを下ろして左足から抜き、自分の精液から端を発した性的欲求解消を求めたのは当然の帰結だ。

……待てよ。
思考そのものが男のものなら、何で俺は自分の精液に欲情したんだ?
女の子になった自分自身に欲情を覚えるのは分かるが、自分自身の精液で発情する男なんているわけないような……。

「まあ、そういう難しいことはどうでもいいや。今はそれより……」

一度放り出した手鏡を用いて、脚をMの字に開いて観察する。

生まれて初めて拝む女性器は自分のものでありたい、という願いは残念ながら叶わなかった。
真奈美とレズったとき、シックスナインで彼女のアソコを目の当たりにしたからだ。
しかし、そのおかげで新たな目的を見つけることができた。

女性器の比較。

真奈美(本物の女の子)についてるアレと、俺(偽物の女の子)についてるコレは、果たして同じなのか?

真奈美は見て触れて舐めても『コレ』を偽物と見抜くことはできなかったが、やはり自分の目でしっかりと確認することで安心したい。

「我ながら妙なトコで神経質だよな」
言って愛液で煌めく割れ目を左右に開いていく。
すでに感じまくっていた『ソコ』は、無条件降伏した城門のように容易く口を開く。

真ん中から割ったリンゴの芯みたいだ、というのが正味の感想だった。

視覚情報に頼っているにも関わらず、甘酸っぱい香りと歯ごたえのある弾力を持ち併せていることが不思議と認識できる。

「女の子のココって人によって形が違うっていう話を聞くけど、俺のは真奈美と大差ないな」
それはとりもなおさず、生まれついての女の子と同じ形をしているということ。

俺の体が自他ともに認める女の子であることに一心地ついた直後、じわじわと悦びの感情が込み上がってくる。

「見てるだけでまた濡れてきてるし……自分の体をオカズに第二ラウンドといくか」

まずは大陰唇。
割れ目の外側にあるぷにっとした部分だ。
股を閉じた状態でも割れ目共々確認できるここを撫でられる感触は、陰嚢……すなわち玉袋をいじられるそれに似ている。
もちろん強いて言うなら、であって、実際の感触は似て非なるものだけど。

つぎは小陰唇だ。
大陰唇の内側に位置し、尿道口と膣口の両脇にある襞状の薄い肉びら。
普段は閉じているが、今の俺のように性的興奮を覚えると左右に大きく開いて異物の受け入れを合図してくる。

女性器の個人差は、この『ビラビラ』の大きさや形の違いが主だって聞くが、俺には比較対象が真奈美しかないからよく分からない。
若葉を抱いたときは、あえて観察しなかったしな。

「……んうっ……あっ……」
そしてこのビラビラ――肉襞は触れると強い性的快感を齎してくれる。
男の感覚では、この刺激を何かに例えることは難しい。
シンプルであるが、『気持ちいい』その一言に尽きる。

さて、その小陰唇のさらに内側、膣前庭という部分だ。
この『ビラビラ』と同じくらい濃いピンク色をした柔肉の上部におしっこの出る穴があり、下部に膣口――すなわち子宮へと続く『孔』がある。

ちなみに膣前庭は常に湿り気を帯びており、暖かくしっとりとした雰囲気は口の中を連想させる。

ここを指で擦られる感触は筆舌に尽くし難く……ってもう無理!
こんな状態で冷静に観察なんかできるわけがない。
膣前庭と膣口の奥からとめどなく溢れる女汁が手鏡に落ちまくって白く濁っているし、ズクンズクンと膣の奥が別の生き物のように脈を打ってるし。

「んあっ……うぅぅっ……」

左手の人差し指を中指を使い、小陰唇の『ひだ』をくぱっと開いたまま、右手の人差し指を膣口に差し込む。
ずぶずぶという雌肉に沈んでいく音と、指が包まれるような感触。
指の腹が膣壁の溝に触れた瞬間、体の内側すべてが性感帯に切り替わったかのように『心地よい疼痛』を発してくる。

「だ……ダメだ……指が……止まらない……」
挿れた指を奥へ呑み込もうとする膣の蠢きに逆らおうとすれば、指が膣壁を刺激する。
「あふぅ……やっ……」
刺激を受けた女の裡は狂おしいほどの心地よさを以て、俺から抵抗心を奪い取り、快楽に身を委ねるよう指示を出してくる。
男であれば本能的に女性の露出した肌を見てしまうように。
女の子の身体が持つ本能は、一度始めた性なる儀式の中断を決して赦してくれない。

「……あっ……んっ……もっと……奥に……あっ……あ? 痛つっ!」
まるで快楽の海を漂っている最中、クラゲに全身を刺されたような激痛が走る。
「なんだよこれ? 指が膣穴を塞ぐような壁を押した瞬間、ものすごい痛みが……」

生まれて初めて味わう痛みだった。
女の子の快楽の対極に位置するかのような苦痛で、体の芯から指先の末端神経まで響く『鈍くて鋭い痛み』って言うべきか。

そして、秘裂の中にある、痛みの元凶たる肉壁の指ざわり。
日中、真奈美のアソコに指を入れた際も同じ感覚を指先に受けたことを思い出す。

「なんで快楽を与えるだけの女性器の中に、こんな肉壁のような膜のようなモノが……ちょっと待てよ。膜?」

何気に口走った言葉で理解した。

――この体、処女なんだ。

考えてみれば生理や妊娠ができる以上、処女膜があるのは不思議じゃない。
そういった意味ではさほど驚かない。

また、考えようによっては、
『【皮】は人工物だから、処女膜を最初からつけないこともできたんじゃないか?』
『軽く触れるだけで激痛を走らせる粘膜のひだは、女の快感を愉しむのには邪魔じゃないのか?』
と思うかも知れない。

だが、俺の感想は
『敏明、グッジョブ』
というものだ。

たしかに今の痛みで、オナニー熱が大きく下がったのは事実だ。
だが処女膜があるということは、俺の体は『男を知らぬ穢れなき乙女であることの証』に他ならない。

バージン。乙女。生娘。純潔。

自分の肉体が『それ』であることの感動もまた、女性器の深淵から受ける性的快感同様、到底言葉で表現できない。

処女の肉体を好きにできるという思いは、痛みで鎮まりかけたこの体に再び活力を与えてくれる。

「……あっ……んっ……やっ……」

精神的興奮によって男と女、両方の脳から分泌される脳内麻薬に犯された俺は、『そうしなければいけない』という強迫観念に近い感情に突き動かされ、手淫を再開した。

くちゃくちゃという淫靡な肉音を立て、女性器の入り口近辺をかき混ぜる。
ときには『膜』を傷つけないよう繊細に。
ときにはこの身体は自分の物だという証を刻むよう大胆に。

鏡に映る制服姿の美少女がスカートをたくし上げたまま、女性器を剥きだしにして肉悦に溺れる姿を見て、膣壁を擦る指を激しく動かす。

この少女をもっと犯したい。

鏡に映る制服姿の美少女がスカートをたくし上げたまま、女性器を剥きだしにして肉悦に溺れる姿を見て、膣内部そのものを蠢かせる。

この少女としてもっと犯されたい。

男の心を持つ少女として、終点の見えない高みに向けて昇り詰めていく。

「あっ……やっ……あっ……あ……え?」

違和感を覚えたのはそのときだ。
下腹部の一部から妙なむず痒さを覚えはじめる。

「まさかこの感覚……ションベンか?」

これまで双葉で数回、尿意に見舞われたことはあった。
そのときは即座にトイレに駆け込み、個室に入るや否や【皮】を脱いで男として用を足していた。
純粋に女の子としての用足しの仕方が分からなかったこともある。
そして、女の子としてありとあらゆる経験を、極力後回しにしてじっくり楽しもうという、個人的な性癖が原因でもある。

とかく、女の子というのは尿意の限界が男よりも短い。
尿道の長さが男の4分の1ほどしかないからだ。

「まずい……今すぐ【皮】を脱いでトイレに……でも……こんな状態でオナニーを止められるわけが……あぁぁんっ」

快感と尿意を堪えることで、もじもじと腰が落ち着かなく震える。

女性器をいじることで膣と子宮が疼き、そこに隣接する膀胱が尿意を堪えることで激しく震える。

下腹部に走る2つの刺激は共鳴し、互いに性欲と尿意を増幅させ、快楽という1つの大きな津波を作りだす。
その波に呑まれた俺は、体が勝手に発した少女の声で・少女の言葉で嬌声をあげ、

「あ……あっ……んっ……やっ……も……もうダメぇぇぇぇぇぇ! 漏れる! イくっ! いやああああああっ! おかしく……おかしくなっちゃうよぉぉぉぉぉぉ!」

少女の肉体を鳴動させ、少女として達すると同時に黄色い液体の放出が始まった。



狂ってしまいそうな快楽のなか、狭い室内にジョロジョロという水音が俺の意識を正気に保つ。
膣前庭にある2つの穴。
上の穴は黄色い液体を迸らせるために開き、下の穴は絶頂の余韻で呼吸するようにぱくぱく動いている。

湯気を立てる熱液は男のように前へと飛ばず、ソックスに覆われた太ももを濡らしながらほぼ真下へ流れ落ちていく。
その温かな感触に驚いて括約筋に力を込めるが、その努力は無駄とあざ笑うかのように小便の勢いは変わらない。

「高校生にもなって漏らすなんて恥ずかしすぎる……でも……」

その恥ずかしさすら快楽に変換される。
放水ホースを使わず、膣前庭という雌肉に備わった外尿道口からダイレクトに排泄物を垂れ流す初めての体験。

誓って言うが、俺に『そっち方面(スカトロ系統)』の趣味はない。
――趣味はないと言うのに、美少女が蕩けるような表情を浮かべて女陰から黄金水を生み出す光景を鏡越しに見ていると、ムラムラとしてくる。
その性なる儀式を行っているのが自分自身であるにも関わらず。
……いや、自分自身だからこそ、かもしれない。

女の子としての初オナニー。初放尿。そして初失禁。

単体ですら甘美な酔いを齎すイベントを同時進行で体験した俺は、朝陽が昇るまで泥濘にまどろみ、1人きりの肉の宴に興じた。
期間を開けてしまいましたが、未掲載分をアップします。
本編の方も近日中には再開しようと思っておりますので、続きを待ってくださった方がどれほどいるか分かりませんが、よろしくお願い致します。
作者です
0.5480簡易評価
7.100きよひこ
待ってました!!
12.無評価きよひこ
親友だとか言っておきながら盗撮だよなコレ。
女の感情や快感に振り回されているのを見下して楽しんでるようにしか見えない。
16.無評価作者です
No7様
お待ちいただいてありがとうございます。
少しでもご期待にそえるよう頑張ります。

No12様
ご意見ありがとうございます。

>親友だとか言っておきながら盗撮だよなコレ。
>女の感情や快感に振り回されているのを見下して楽しんでるようにしか見えない。
ぶっちゃけ盗撮です。
清彦が女の感情や快感に振りまわされているのを、若葉が見て楽しんでいることも否定致しません。
ただ、その根底にあるのは【皮】に関する楽しみを清彦と共有したいという思いなのですが、それが空回ってる感じですね。
ここいら辺の部分は、私の技量が未熟なばかりに上手く書ききれていませんが、ご容赦のほどお願いします。
17.無評価No.12
後になって少し頭が冷え、キツく書きすぎたなと反省しました。
どうしても盗撮シーンが不愉快で、それから若葉の行動が全て嫌味に思えてしまいました。
20.無評価作者です
No12様
再度のご意見ありがとうございます。
先ほどのNo12様の文章も、私の文を読んでくださったからこそで、「意見すら書く価値がない」と切り捨てず、ご感想いただいたこと、感謝しております。

>どうしても盗撮シーンが不愉快で、それから若葉の行動が全て嫌味に思えてしまいました。
以前の私のコメントで触れたとおり、この話は勢いでロクに考えず書いているのですが、今回ご指摘いただき、
「何も考えず書き連ねてるだけで、読み手の事をきちんと意識してなかったのではないか」
と気づかせていただきました。
今後は頂戴した意見を肝に銘じつつ励んでいく所存です。
22.100きよひこ
こんなとこに書くもんなんてエゴで良いんよ
一々読み手のわがままに付き合ってたら好きなもん書けんぜ
24.100パンダの介
続きが読めてうれしいです。
続きを楽しみにしています。
31.100きよひこ
楽しく拝見させていただいてます。
フェチの部分の描画が細かくって好きです。(^-^)
フィクションなんですしコンプライアンス的なモノなんかや
人間関係はそういう考え方や設定ということで良いのではないかと。
現実でも人間関係のバランスなんていろいろあるわけですし・・・
もし、続けられそうでしたらよろしくお願いします。
32.無評価作者です
No22様
ご意見ありがとうございます。
自分が書いて楽しいことを前提にしつつ、他人も楽しませる努力もしていきたいと思います。

パンダの介様
続きを期待していただきありがとうございます。
取り扱うネタの豊富さや、文章技量の高さから私が一方的に憧れているパンダの介様に、拙作の続きを期待されていること、非常に嬉しく思います。

No31様
ご感想・ご意見ありがとうございます。

>フェチの部分の描画が細かくって好きです。(^-^)
話の進行が遅くなってもじっくりねっとり描写する作品があってもいいかな? という思いで書いております。

>フィクションなんですしコンプライアンス的なモノなんかや
>人間関係はそういう考え方や設定ということで良いのではないかと。
コンプアライアンスの倫理を守り悪いことをしない的な線引きは難しい部分だと思っております。
(物語の中での)実在する別人に成り済まして好き勝手している訳ではないので、他人に迷惑をかけていない、と考えても、
「双葉や若葉として友人知人に接することは他人を欺いてるから迷惑かけてるじゃないか」という解釈もできたりしますしね。
いずれにしろ、この作品の前提は「清彦(と敏明)が【皮】を使って(物語の中での)架空の別人になっての生活を楽しむ」で、それだけは譲れない部分だったりします。
ともあれ、色々考えすぎてがんじがらめにならないよう、No31様のおっしゃる通り割り切れる部分は割り切って書き進めていきたいと考えております。
44.無評価きよひこ
皮モノでここまで本格的な描写説明をされてるSSは初めて見た気がします。
それほどすごいできだなぁと関心しきりです。
特に、最初の皮を着る時の描写は、すごい分かりやすさで楽しませてもらいました。
作者様のクオリティでまだまだ続きがあると思うと期待せざるを得ません。
無理せず、ゆっくりで良いので続きをお待ちしております。
46.無評価作者です
No44様

ご感想ありがとうございます。

皮を着るときの描写については、自分がこういう体験をできたらという思いで想像して、執拗にも思えるくどさで描写しました。

今現在(本スレ)はキャラクターの掘り下げに入っていてTS的な要素が薄く物足りない思いを与えてしまうかもしれませんが、貯めに貯めた後、またTS的な要素を深く注ぎ込む予定ですので、変わずお付き合いいただければ幸いに存じます・。
50.無評価きよひこ
作者さんここまでちゃんとした皮モノ小説をありがとうございます!!
51.無評価作者です
No50様

お礼を言っていただき、こちらこそありがとうございます。
皮モノ小説については、数年前にかわらば様の小説を読んでいい意味で衝撃を受け、「いつかはこんな話を書いてみたい」と思ったことが始まりだったりします。

先達の方々に比べ拙い部分や寄り道が多い拙作ではありますが、少しでも楽しんでいただけたなら幸いに思います。
68.無評価きよひこ
そういえばこの小説の挿し絵はとても上手いと思うのですが
誰が書いているんですか?
69.無評価きよひこ
何かのエロゲだったような気が、
78.100きよひこ
ジャストミートな皮モノ小説です!
ぜひぜひ続きをよろしくお願いします。
87.無評価きよひこ
そ、そろそろ来るかな?(シコシコ
91.無評価きよひこ
まだ執筆続けていらっしゃいますでしょうか?
よろしければ続きが読みたいです・・・
単話のエピソード形式とかでも続けていただけるとうれしいです。
95.100きよひこ
続きお待ちしてます!