俺はこの地域の治安を守るべく夜遅くまでパトロールしているとある警官だ
近頃このへんで不審者通報が多くあるため見回りを強化している
そのおかげもあってか先ほどロリコンであろう男を事情聴取して交番に任意同行してもらった
「だからぁ俺は飲み屋のオヤジとぉしゃべっていただけでぇ」
しかしこの男、結構酔っていて計画的ではないと思うのだがこんな薄暗い中、路地裏に中学生の女の子を連れて歩いていたのだ
その女の子を保護したとき
「あたしの名前?…美代…じゃなくて…あれ?うそ…わかんないよぉ」
と情緒不安定だったのでいまは交番の控え室で親御さんの迎えを待っている。
「さて君、名前と年齢は?」
「あーさっきも言った通りだよぉ西野利明、22歳、TSF 社技術開発部部長やってまーっす」
酒の匂いがあるし雰囲気的にかなり酔っている
性癖に理性が追いつかなくなっての犯行か
「あのね、いい歳して夜な夜なちいさい女の子連れ回すのはどう考えてもおかしい事だよな?」
「うぃーっす」
ヘラヘラしながら間の抜けた返事に反省の色は見えず、と・・・
とりあえずは・・・
「でも俺ぇ女の子連れ回してた記憶ないっすわー」
「は?」
「だから酒屋のオヤジさんとしか帰ってた覚えが…あ、そういうことか…」
さっきのヘラヘラしてる顔がいきなり我に返ったように真顔になる
「覚えてることから順に説明してくれ、話はそれからだ」
「あー警察のおっさん、今思い出したわ。その女の子俺の」
まだ酔っているようだな。お前の妹とでも言うのか
「妹ってわけでもないんだろう?それだと君、犯罪だからね?つまり逮捕だよ」
そうやって手錠を出す
「おっとっとちょっと待ってくれよ」
「なんだ?抵抗しないほうが身のためだぞ?」
「そうじゃなくてぇ、逃げるつもりはないから話を聞いてくれよ」
「あぁ…手短にしてくれ?」
俺はメモ用紙に目を向ける
「悪いんだけど名前教えてくんね?」
「あ?俺のか?東 清彦(アズマキヨヒコ)だが」
「あのさーきよちゃん。人の話を聞くときは相手の目を見て聞こうってママから聞かなかったのかな?」
俺は男の話し方にイラつき、睨みながら言い返す。
「それはどうでもいいがきよちゃんはよしてくれよ。そんなん呼ばれたことねぇよ」
男は俺を真っ直ぐな目で見て俺はなんとなく目を逸らす
「恥ずかしくなんかないよきよちゃん。別に嫌われようと思っていってるんじゃないんだからさ」
ガチャン
「ん?」
饒舌に話してる間に手錠をかける
「まあ、なんとなくな?どうせ逃げる気ないんだからいいだろ」
「はぁーつれないねーきよちゃんは」
「さあ話の続きをしろよ」
「あぁいいよ?俺がいつも通り行きつけの酒屋で今日別れた彼女の話をしてたらさいつもはそっけないオヤジさんと意気投合しちまってさ。んで、俺が酔いすぎたみたいで時間も忘れて終点ギリギリになっちまってとりあえず駅まで送ってもらう感じになってそんでそこから意識がねぇわ。気がついたらここ。どうよ?」
「そうか、お前、ロリコンだろ」
「ん?まあ間違ってはねぇわな」
「ロリコンが祟って酔っ払ってる最中に帰宅途中の女の子お持ち帰りしようとしたんじゃねえのか?」
そこで男はにやりと笑う
「こんな夜中まで外歩いてる女の子なんて早々いねぇよ」
「きよちゃん、いま25時あたりだけど眠くね?」
お前みたいな輩がいるから俺が働かなくちゃならねえんだろうがと思ったが今は仕事中だ
「早めに終わらせたいじゃん?お互いに、俺のバックとか持ち物検査とかして連絡先聞いてとりあえず後日でよくね?」
「そうはいかないな、でもまあ持ち物検査はしておくか」
新品ではないが少しばかり独特の光沢が出ている牛革を使ったバッグを見る。
大きさはノートパソコンが一台入るくらいか
そのバックの中にはいろんなモノが出てきた
鏡に小型テレビにスマートフォン、音楽機器からデジタルカメラもあった
「何やってんだお前、ちっさい女の子の写真がいっぱい…」
「おいきよちゃん、俺のことを見ろよ」
「ん?」
ふと男の目を見ると瞳のいろは蒼く染まっていて、不思議と吸い込まれそうな感覚になった。
「きよちゃん、すこし黙って俺の話を聞いてくれな?俺は今日の売り上げ邪魔されてイライラしてんだ。それと見ちゃいけねぇもんを見られたからには相応の対応をする」
「・・・」
なぜか声が出せない
「おっさんにはちっとばかし商売に付き合ってもらうよ。目を離すなよ」
いつからか瞬きすらできない俺の目は男から不思議な何かが送られてきているような感覚に陥った
「もうしゃべっていいよ」
「いまなにしたの?あれ?うまく喋られない?」
どうにも意図しないのに甘ったるい話し方になってしまった
「男のままじゃ売れないんでなその下準備だおっさん、これ見てくれよ」
目の前で両手を俺につきだし、そーっと下におろしていく
「きゃっ!!」
男はズボンのチャックを開きアレを取り出した
しかし気になるのはそれ以外だ
「その反応はどうした?恐ろしく女々しいな」
いつにもましてニヤニヤしている。確実になにかされた
見慣れているはずの男のあれに嫌悪感を抱いているのだ
そんな俺の不思議な反応に満足したのかすぐにあれをしまう
「とりあえずきよちゃんは頭の中で考えてること口に出してな」
「なんでそんなこと…あれ?いおうとしてないのに勝手に!?またなんかしたの?」
「これは単にきよちゃんに素直な女の子になってもらうための器を与えただけだよ。手を加えるのはこれからさ」
「女の子になってもらう?なんのことかさっぱりなんだけど」
「きよちゃんは難しく考え過ぎなんだよ?もうちょい楽ーに考えたらいいよ」
男の手は俺の頭から何かを抜いている仕草を取っている
「うん?あれ?なんでだかいつもより自分に正直になれそうな気がしてきた」
「素直で楽観的でいかにも元気で可愛い女の子ときたら大人のお兄さんたちはきよちゃんの虜だよ」
ぽんと頭に手を乗せられる
「でもまだだなぁ…いまのきよちゃんは男の子だ」
「あたりまえだよ、それよりさっきから男の子だとか女の子だとかどういうこと??」
「きよちゃんはいま男の子だよね?」
「うん」
「自分で働いて、お金を稼いで自分の人に渡して、支えて、また働いてって辛くないの?」
「でも支えてくれてるのもまた事実だから」
「相手が楽してると思わない?もっと楽な生き方があると思わない?」
「辛いけど今の方が生きがいがあるから…」
「でも、もし、できるならやり直したいこととかあるよね?」
「それはもちろんだよ!」
「君は素直な子だ。ほんとうの気持ちを教えて欲しい。きよちゃんはできるならやり直して今以上にやりがいがあってなおかつ楽な仕事があるとしたらやりたいと思う?」
「そんな…矛盾してるよ…」
「いや、もしもだよ?答えてくれる?」
「あるなら…そんなことができるなら、やってみたいとは思うな…」
「そういってくれると思ってたよ。きよちゃんを新しい人生を送れる体にしてあげよう!」
男は頭から手を離す
「まずは声からかな」
「えっ?あれ??声が…あーあー」
先程からのしゃべりづらさにあどけなさのようなものがついたようななんとも情けない声になってしまった。
男性ではとても出せないようなソプラノ声だ
「想像してみて?もし戻るとしたらいつぐらいがいい?」
「そうだなぁ・・・中学生のときもうちょっと部活をちゃんとやっておけばよかったかな」
「じゃあ中学生の時の自分を想像して。いまなら理想通りの体になれるよ」
俺はあの日の野球に明け暮れていた日々を思い出す。
「部活は何をやっていた?」
「野球だけど?」
男の蒼い瞳が視界に映る。
「きよちゃんはそんな小さくて華奢な体で運動をしていたんだ?」
小さくて華奢な体?ってどんなんだろう・・・
恐らく中学生で華奢というと体躯は小学生並みだろうな。遠投もできないだろう
しかし何故わたしの体を華奢というのか
「あれ?あ、そうだ。わたし昔から運動できないから運動できる男の子に憧れてたんだっけ」
「そうだよ、やっと思い出した?俺は知っているよ、妄想で作り上げた男の子の君は今警察官だと思うけど今の自分を見なよ」
見下ろすと中学時代のブレザーに地味なスカート、いつもの自分に引き戻される
「腕を見て、白くて柔らかそうな肌、足は運動をしないみたいだから細くてスラッとしているね」
「うん。わたし、夢見てたみたい。」
「そろそろ夢から覚ましてあげようか」
男はそう言って瞬きした。その目は黒く、日本人のそれだ。
「きよちゃん、俺の話は終わったよ」
「うん」
男は立ち上がる。
釣られて俺もたった。なぜだか見上げている。
男は不敵に笑みを浮かべる
「きよちゃん、目を閉じて俺の話に答えて?きみは子供時代のいつに戻りたい?」
「俺は…中学生のときかな。勉強をもうちょっと頑張ればよかったと思う」
「その頃の自分を念じてみて?」
俺は大人しく男の言う通りにする
「目をあけてみて?」
「あ…」
視界を広げると視線が下がり、ダボダボになった警察官の服を身にまとっていた
「すこし思考をいじってるんだ。女の子の心をちょっと入れて素直で頭の回転をスローにしてるからいつもと違う気分でしょ」
「あれ??でもなんか体がふにふにしてるよ?胸が張ってる?んあっ…!?!?」
男が俺の大事なところを触ってきた
「ごめんね、さっきも言ったけど女の子の心を入れてるから念じた時の記憶がそっちに流れちゃったんだね。でも心配することはないよ?俺の催眠術はだんだんと浸透するタイプらしいからすぐに女の子の心に変わっていくさ」
「えっ…やだよ…そんなの…」
「男に戻してくれ!!たのむ!」
思い出したかのように俺は男をとりもどした
「ほらほら、おっさんに戻ってきちゃったよ?催眠術だけど俺の会社の力は心を変えれば体も変わるように研究されてるんだ。それに理想の新しい人生は女の子じゃないと成り立たないんだ」
「だめだ!やっぱり男はやめない!女になるのなんて嫌だ!」
「仕方がない、意志が強くて催眠術が溶けちゃったか。あまりやりたくないんだけどさすが警察官の女の子ってことでレア物扱いしてあげようかな」
男と再び目を外せなくなって頭に手を乗せられる
これだ!恐らくこれのせいで俺は!!!
グラッ…やめさせようと手を退けようとしたが体は動かず、一瞬頭がくらんだ
「くっ…としあきさん!あなたまたあたしになにかしたのね!もう惑わされないんだからねっ!むぐっ!?」
男は私の口元をそっと抑えた
「きよちゃん、落ち着いて?」
「んーーんーー!」
「君は何をそんなに怒っているんだい?」
男は口元から手を離す
「ぷはっ…あたしのことっ!………」
「ん?」
男がニコニコしているのは変わらず私に慈愛の心を向けているように感じる。
「落ち着いて?さっきまで乱暴な言葉遣い出してたけど女の子は粗暴じゃいけないでしょ?落ち着いて話してね」
「えっと…ぅんと…」
記憶が空っぽだ。でも、あたしが男でとしあきさんに女に変えられたのは覚えてる。それを…
「なんで女の子じゃないと良くないのか教えてあげるね。男は働いて家族に費やすとか彼女に注ぎ込むとかで大半を失っちゃうけど女には男と同じように働くこともできるし体で稼ぐことだってできるんだよ?」
「か、からだ…?」
「そう、からだ。社会で疲れたお兄さんたちを癒すという仕事さ。きみは気持ちいい。お金ももらえる。これが女の子の利点さ」
「あたし…ぅぅん…俺は…男だ!」
強い力で俺の中の男を消滅させられるところだった
「いやいやーきよちゃんの意志は本当に素晴らしいね!なんでそんな年をとっているのに男として行きたいという意志が薄れないのか不思議なくらいだよ」
彼はヘラヘラと笑いながら俺に近づく
「でもさぁきよちゃん。君はもう女の子だ。俺が君の意志とは関係なく記憶を弄っちゃったから男のカラダに戻しても男として生きることにひけ目を感じることになるよ?自分の名前も帰る場所も忘れてしまった君を誰が支えてくれると思う?」
「え?…わた、俺は…」
ここまでのものかと驚く。男の言っているとおり記憶が無いのだ。覚えているのは元男、原因はこいつそれだけだ
「泣かないで?きよちゃんは素晴らしい心の持ち主なんだ!俺が君を世界でナンバーワンのトレーナーにしてあげるよ!」
泣く?男は俺の前でしゃがみこみ、ハンカチで涙を拭った。いつもの
ニヤニヤではなく、本当のえがおで…
「怖いかい?今日は疲れただろう。詳しいことは後日話すから寝てくれるかい?」
パチンッ
指を鳴らされると同時に目の前が真っ暗になる。
中学生くらいの俺の体は支えている足の力が無くなり前に倒れそうになると男が抱えてくれたそこで意識が途切れる
「トレーナーはね、ほかの人とは違う。俺らの会社の即戦力にしてあげるよ。かわいいかわいいおれの清香」
次ぐ区なら、100ポイントいれたいけど、コレで終わりなら・・・