「男になれたらなぁ」
ボクは姿見に写った自分につぶやいた。
身長は高すぎず低すぎず。
髪は短く、胸も両手でおさまるほどしかない。
スレンダーな体型から、男に間違われることもある。
うれしくなかったはずなのに。
いつからだろう、こんなふうに思うようになったのは。
あれはそう、小学生のころだったか。
学校帰りに、楽しそうに男子だけで遊ぶ集団を見かけた。
女同士だって仲良くじゃれるときはある。
でも男には友情があるらしい。
女にもあるけど、なにかがちがうと聞いていた。
彼らは本当に楽しそうだった。
ボクもあんなふうに、と思う気持ちを小さな胸の膨らみが妨げる。
そう、ボクは女なのだ。
いつか叶えばと願っても、そのいつかは永遠に来ない。
わかってはいる。
わかっているから、いまも強く望んでしまうんだ。
毎晩ネット検索して方法を探した。
世の中には、ボクと同じ気持ちを抱えた子がいるのを知った。
願望からうまれた妄想は、男装や二次創作へ昇華されている。
誰もが背伸びして手を伸ばす。
それでも望みに届かないのが現実だった。
もうすっかり諦めかけていたとき、ついにみつけた。
その名は、ナンナール男根湯。
なんだか風邪薬みたい。
薬で身体が変化するなんて、まるで漫画かアニメだよね。
そう思いながらも注文した。
数日後。
送られてきた薬の説明書には、効き目は一日とあった。
個人差により数時間の誤差はあるらしい。
とにかく薬が切れると、もとに戻るようだ。
不安はあった。
危険なドラッグの可能性もある。
いかがわしいことこの上ない。
ただそれを上回る期待と好奇心が、ボクの迷いを払いのけた。
休日の前夜、寝る前に自室で一粒飲んでみた。
突如、はげしく胸を打つ鼓動。
強烈な激痛が全身を駆けまわり、悶えながら気が遠くなった。
目を覚ましたとき、顔の前で手を握ってみた。
死ななくてよかったと、ボクは部屋の隅へむかった。
姿見の前に立ったとき、股間に釘付けとなった。
いままでなかったものが生えていたからだ。
体型については、あまり変化は感じられない。
ただ、胸は若干小さくなった。
「ほんとに男になったんだ」
声は高いまま。
話すときは意識して低めにしよう。
でも、知っている子に会ったら気づくかもしれない。
だからって帽子とマスクとサングラスは怪しすぎる。
せめて身元がわかるものは身につけないでおこうかな。
ひとりごとを呟きながらクローゼットを開けた。
趣味で買い揃えておいたメンズ服を取り出す。
襟付きシャツに袖を通すと、レディースシャツの違いに気づく。
肩が余らず袖が長すぎないものを選んだのに、サイズ感がちがう。
おまけに布がしっかりして薄くない。
くびれや短めの丈で脚長効果を狙うデザインもなく、大きい印象。
ボクサーパンツと、ボトムスに紺色のデニムを履いてみた。
股間に窮屈さを感じる以外、普段のボクとおなじにみえる。
あとは軽めのメイクをするだけ。
でも、今日はすっぴんのままで行こう。
男の友情を知りたかった。
だけど、どうしたらいいのか思いつかない。
男をナンパすればいいのだろうか。
それ以前に、どうやってナンパしたらいいのだろう。
いやいや、べつにナンパしたいわけじゃないから。
そんなことを考えながら、駅前にある大型書店へ入った。
冷房の気持ちよさに浮かれながら本棚を横目に歩く。
男になったんだから、男が読むものでも読んでみよう。
ファッション、スポーツ、ミリタリー。
アニメにゲーム、特撮……。
店に並ぶ雑誌を眺めてみたけど、よくわからない。
男女関係なく、興味があるものを読めばいいのではないか。
思い直すと、ボクは文庫本のコーナーへ向かった。
誰かに見られている。
読んでいると気になる気配があった。
見渡せば、顔を本で隠しながらボクを見ている人がいた。
金髪に染めた長身の男性。
きちんとした身なりをしている。
シャツを着ているけど、サラリーマンっぽくない。
ちょっとイケメン。
大学生かな。
そう思ったとき、一瞬目があった。
どうしていいかわからず、すぐ視線を外せなかった。
文庫本の文章に目を落としながら、
「なんか変なやつ」
ボクは口の中でつぶやいた。
しばらくすると、
「その本、面白いですか」
先ほどの男に声をかけられた。
さりげなく、ごく自然に。
「え、まあ」
適当に相槌をすると、
「その本、ベストセラーになったやつですよね」
「そうなんですか」
「めちゃくちゃ面白いですよ。読んだことないけど」
ないんかいっ。
思わず突っ込みそうになるも、笑ってごまかした。
そのあとも、本について色々話してくれた。
よくわからないけど、本好きな面白い人なのかもしれない。
「喉が渇いたね。冷たいものを飲みに行こうよ」
彼に誘われるまま、ボクは書店を出た。
もしボクが女なら、これはナンパなのかもしれない。
だけどいまは、どこからどうみても男。
ひょっとしたら、一人で寂しそうに見えたのかも。
見知らぬ相手に気兼ねなく声を掛けるのが男の友情かもしれない。
連れて行かれた先は、高そうなホテルだった。
少し嫌な予感はしたけど、まだ昼間。
おすすめのドリンクが飲める店舗があるんだろうなと、なぜか思ってしまった。
ついた先は店ではなく、彼が宿泊している一室だという。
部屋に入ると、いきなりボクを抱きしめた。
「きみはかわいい、好きになってしまった」
「えっ……あの、もういいので帰ります」
「なにがいいのかな」
シャツの上から胸に触れて尋ねてくる。
ボクはその手から逃げようと後ずさりながら、
「離してっ。もう帰ります」
声を上げた。
相手は怯むどころか、ボクを力づくでベッドへ押し倒した。
一瞬なにが起きたのかわからなかった。
とにかく逃げなくては。
身をよじってもがくも、はねのけられない。
大きな身体の相手だからなのか。
押さえつけられて、どうにもできなかった。
「ボクは、男だっ」
そうだった、自分でも忘れていた。
きっとこの人は、ボーイッシュな女の子と勘違いしているんだ。
それはそれで行為は犯罪だけれど。
「嘘を言うんじゃない。君みたいなかわいい子が男なもんか」
この男、鋭い。
かわいいという言葉にうれしくなる自分が情けなかった。
「でも、男なんだって」
「いいや、嘘だ」
「嘘じゃない、信じて」
「声もかわいいじゃないか」
低めでしゃべるのを忘れていた。
いまさら変えても余計怪しまれる。
ボクはどうすればいいんだ。
「信じて」
「信じない。この目で確かめるまでは」
男にシャツのボタンをはずされ、デニムのボトムスを奪われた。
思わず両手で隠そうとしてしまう。
「やっぱり嘘だったんだな、胸を隠したのが証拠だ」
「ちがうって、これはつい」
「だったら見せてみろ」
言うとおりにするしかなかった。
抱えるようにしている両腕をゆっくりほどく。
ストリップな行為にボクはたまらなくはずかしかった。
「胸、ないでしょ」
「触ってみなければわからない」
男の大きな手が、ボクの肌に触れた。
ざらっとした感触。
下から上へと滑らせていく両の手の動きに、息が漏れ出てしまう。
指先が膨らみかけた乳首に触れたとき、
「あっ」
おもわず声が出てしまった。
男は執拗に撫で回しながら、
「わずかな膨らみはあるが、たしかに小さい。だが、男だという証拠にはならない」
と言い切った。
「ど、どうして」
「この程度の女も存在するからだ。膨らみのある男もいる。胸のあるなしだけで、君が男ではないとはいいきれないよ」
「だったら下を見たらいいっ」
なんてことをボクは口走ったのだろう。
身体が熱くなる。
自分から会ったばかりの、見ず知らずの相手にみせるだなんて。
見た目は男かもしれないけれど、ボクは女なのに。
「あ、やっぱりダメ。ダメだから」
「では君は女なんだな」
「だからそれは……」
そうだけどそうじゃない。
わかってもらうには、自分から見せる以外に方法はないの?
迷ってる余裕はない。
トランクスをずり下げ、
「見て。ボクは男だ」
股間を露出した。
一瞬、男の動きが止まる。
「ね、男でしょ。だからもう離して」
これで助かる。
ボクは息を吐いて、男の出方を待った。
彼は押し倒していたボクを起こし、
「もう我慢できない。こんなかわいいなら、男だとか女だとかどうだっていい」
耳元でささやくや首筋を舐めてきた。
「やっ、はぁ……ん」
思わず感じて声を漏らしてしまった。
舌先で乳首を転がされると、声を漏らして身体をよじってしまう。
シャツを肩から剥がされ、膨らみのない胸に吸いついてくる。
男の姿とはいえ、知らない男性に裸を見られたんだ。
恥ずかしくて、
「やっ、やだっ、いやっやめて……だめ」
声を上げて拒否するも、やらしく喘ぐ声になってしまう。
相手を押しのけたくても、シャツの袖が絡まってできない。
男は乳首を舐めたり吸ったりしながらやさしく揉んでいる。
口では嫌と言いながら、身体はすごく気持ちいい。
どうしようどうしようと焦って、思考が空回りしていく。
はじめてが明るい部屋でなんて。
しかも誰なのかもわからない相手とするとは……。
考えれば考えるほど興奮してしまう。
その証拠に股間のものが固く反り立っていた。
ボクは横を向いてやめてというと、耳にキスされた。
唇が触れた瞬間、
「はんっ」
声を漏らし、背中を反ってしまった。
「気持ちいいんだね、ここ」
ニヤニヤしながら耳を舐めてきた。
ぞくぞくっと感じてしまう。
気づかれたくなくて目を固く閉じ耐えるしかなかった。
男はボクの右脚を抱えるようにして太ももの内側をさすりだす。
膝からふくらはぎを行ったり来たり。
脚ばかり触っていた。
耳の刺激もやめてくれない。
男の吐息があたると、どうしてだか余計感じてしまう。
「顔が真っ赤だよ、かわいいな」
ささやいて髪の匂いを嗅ぎ、
「いい匂いがする。名前教えてよ」
首筋に舌を這わしてきた。
これ以上感じたらやばいと思いつつ、
「ユウキ……」
つぶやくとキスされた。
ぬるっと生温かい舌が入ってきて、ボクのと絡ませてきた。
唇を食べらると思うほど、押し付けててくる。
唾液でベトベトになり、じゅるじゅると吸われた。
初めてなのに……。
苦しくて「ん……」と声を漏らす。
彼はボクをベッドに倒して馬乗りになり、両手で胸をもんできた。
口が離れた。
ボクは横を向き、シーツでヨダレを拭う。
また耳や首筋を攻めてきた。
乳首を摘んでこねられると、我慢できずに、
「ん、はぁ……ん」
と漏らして身をよじってしまった。
彼は乳首を舐めたり吸ったりしながら、やさしくもんでくる。
まさか初めての相手が男好きだなんて……。
なぜか興奮して、アソコが熱く、ムズムズしてきた。
肩から脇の下をなぞり、胸の周りを触り、腰を触り。
おへそを撫でたと思えば、腰から脇の下へなぞって、また胸へ。
腰からおしりへとおりてくると、今度は太ももを行ったり来たり。
ふくらはぎからつま先までおりるとまた太ももへと戻っていく。
ゆっくりと降りていく手の動きや触りがやさしい。
足の付根を何度もさわられれば、自然と身体がくねってしまう。
アソコに握られた瞬間、
「なんだユウキ、すごく濡れてるじゃないか」
彼はボクの顔を見てつぶやいた。
ボクは頭まで一気に熱くなっていた。
「気持いいのか。いいなら言いなさい。先からすごく濡れ出ている」
耳元でささやきながらしごかれ、しかも指を穴へ入れてきた。
そこはっ。
男になっているいまのボクに、穴はひとつしかない。
するっと入ってしまい、
「ふふっ」
彼に笑われた。
むず痒さと異物感。
指を動かされる度、アソコは大きくなっていく。
ボクは全身に力を入れて耐えるしかなかった。
そうしないと涙が出そうになる。
泣いたら本当に女と思われるかもしれない。
ここはせめて、男ユウキとして乗り切るしかない。
横を向いて、感じないよう必死に堪える。
なのに、どうしてなんだろう。
こらえるほど触られているアソコに集中してしまう。
身体が勝手によじれ、脚ももじもじうごいていた。
「ユウキ、聞いてごらん。すごい音だよ」
彼は指を動かしヌチャヌチャと音を立てていた。
あなた最低と心のなかで叫んだとき、ボクの両脚を左右に開いた。
なぜか簡単に大きく開いてしまい、
「あっ」
声を上げるも、
「ちょっと舐めさせて」
と彼はアソコに顔を近づけた。
その先っぽを吸われ、
「うわっ」
と声が出てしまった。
自分で慰めるときに感じるものに似ていた。
そのあと口に咥え、じゅるじゅると音を立てて舐めだした。
一瞬で溜まっていた熱いものが外へ飛び出していった。
これが男の感覚なんだ……。
こんな気持ちがいいのは初めて。
もっと舐めて、もっと……。
心のなかでぼんやり考えていると、
「気持よかっただろ。どうして声を出さないんだ。我慢せず聞かせてほしい」
最低男の言いなりになるもんか。
でも気持よかったのが悔しく、顔を横にしていた。
というより、力が入らず動けなかった。
「行くよ」
彼が言ったかと思えば、ボクはごろんと転がされた。
うつ伏した状態のまま、またお尻に指が入ってきた。
かき回すように指をぐるぐる回してくる。
ボクの体は全く力が入らず、されるがまま、体がビクッと震えた。
その反応に気をよくしたのか、彼は大きく円を描くように動かす。
ボクは戸惑っていた。
なぜって、異物感が気持ちいいに変わりつつあるからだ。
「ちょっ、やめ、はあうっ」
「気持ちいいだろ。震えてる」
されるがまま足をがくがく震える。
たまらずシーツにしがみつく。
「ぴくぴくしている。やはりかわいい」
少し冷たい液体を塗りこまれ、再度指が侵入してくる。
やがて彼は股間の袋をもみしだき、棒の先へとすべらせた。
お尻を指で広げながらしごく。
セックスもまだのボクにはひとたまりもなかった。
先ほど体験した射精感が込み上がる。
「もう……無理」
つぶやくと、彼の手の動きは止まった。
「えっ、なんで」
「もったいない」
しごくかわりに、指の出し入れが激しくなった。
「いっ、はうっ」
「そろそろイキたいだろ」
アソコが熱を持ったようにジンジンうずいて仕方がなかった。
こんな最低男に頼むなんて嫌だ。
心の叫びと裏腹に、ボクは大きく頷いていた。
でも彼は触れてくれなかった。
おしりの刺激が下半身全体に伝わってブルブル震える。
「もう、お願い」
「それじゃあ」
彼は勢いよく指を引っこ抜いた。
「あうっ、……はあ、あぁ」
抜くと同時に声が出てしまった。
「入れてってお願いしてごらん。そしたらイカせてあげる」
肩で息をするボクの耳元で、彼はいたずらっぽく囁いた。
しかも囁きながらお尻全体を撫でている。
ボクの我慢は限界だった。
「入れて……」
もう耐えられない。
どうにでもして欲しかった。
「じゃあ、セックスしてあげる」
指が入っていたところに何かがあたり、ゆっくり入ってきた。
「すんなり入るね。このままゆっくり奥へ入れるから」
彼は後ろから腰を推し進めてきた。
ボクは指よりも大きな異物感にたまらず息が漏れる。
「むりぃ、やっぱだめだめだめ」
「大丈夫、いけるよ」
でも途中でつっかかる。
ここであきらめてくれるかもしれない。
そもそもどうしてボクはこんなところにいるんだ。
ひと息ついて冷静さを取り戻した瞬間、がっちり腰を掴まれた。
逃さないといわんばかりに、腰を突き出してきた。
「うっあぁ」
ボクは声にならない声をあげていた。
少しず中が擦れるたびに熱くなる。
ゆっくり侵入してくる異物にどうしても力が入ってしまう。
だけどがっちり押さえられていては逃げるなんでできない。
「がんばったね。全部入ったよ」
頭を撫でられる。
ボクのおしりに彼の腰がピッタリくっついてるのがわかった。
「く、苦しい」
「すぐに慣れる。気持ちいいから。ユウキの処女を頂いたよ」
本当の処女はまだだいじょうぶ。
だけどこれから犯されると思うだけで、怖くてたまらない。
そんなボクの気持ちを無視し、ゆっくりと腰を動かしはじめた。
のの字を描くようにかき回される。
「あ……」
自然に漏れる声。
ゆっくり擦れて気持ちいい。
今度はゆっくり腰を引く。
「うぅ、はぁ……」
強烈な排泄感が襲ってきた。
なのにそれが、堪らなく気持ちいい。
ある程度引いたところで折り返し、また挿入。
ゆっくりスムーズに最初の位置まで戻る。
「気持ちいいかな」
「そ、そんなわけ……」
「ふーん。じゃあこのまま続けるね」
少しづつ腰の動き早くなる。
そのたびに、ピタッとボクのお尻に彼の腰がぶつかる。
ひと突きされるごとに熱くなり、正直気持ちいい。
バレてしまう。
隠したくて、震える足を支えるのに必死だった。
ボクは自分の股間に目を向けた。
縮んで皮をかぶるものが腰の動きに揺れながら、先から糸をひくように液がたれていた。
その量、かなり多かった。
彼がボクの縮んだアソコを掴み、
「すごい出てるね」
腰の動きに合わせて器用にしごき出す。
慣れた手つきで皮を剥いた。
「あぁっ」
親指で遠慮なく先を擦る。
奥からくる鈍い気持ちよさと先端の鋭い快感が合わさる。
「硬くなってきたね」
彼の言う通り、こね回されて硬くなっていくのがわかる。
ほどなく射精感がこみ上がってきた。
だけど彼の手はしごく事なく、先端を擦りつけるだけ。
自分で慰めるときの感じに似ていた。
もう我慢できそうにない。
「あうッ、あっ」
喘ぎ声ともつかない歓声を上げてしまった。
もう少しだった。
アソコから手を離した彼は、再び腰を掴んで挿入してきた。
しかも先程の動きではなくはげし腰使い。
「あっあっあっあーっ」
全身に快感が伝わり、同時に頭のなかが真っ白になる。
ボクの喘ぎ声とお尻と腰のぶつかる音が響き渡る。
彼は黙って息を切らすような音しか出さない。
擦られて熱い。
気持ちよすぎる。
ベッドに顔をうずめるような状態を維持するのがやっとだった。
そんなボクの身体を撫でるようにすべらせ、両乳首を摘んできた。
「えっ、あぁ……あっ」
くすぐったい感覚が腰へと広がり、快感が高まってしまう。
「じゃあそろそろ」
一気に刺激され、
「うっあ、ああああーっ」
ボクは叫んでしまった。
追い込みをかける激しいしごきで、ボクの腰がビクンと跳ねた。
同時に激しい射精がおきた。
「ああああー、ああああーっ」
叫ばずにはいられない。
経験したことのない快感に全身が痙攣した。
ビュッビュッと勢いよく出ているのがわかる。
最後の一滴まで搾り取るようなしごきが終わった。
ボクに覆いかぶさっていた体を起こす彼。
両手で腰を掴み、ズンと大きくひと突き、ふた突き。
「はうっ、ぐっ」」
その動きで完全にトドメを刺され、目の前が暗くなっていった。
昨日はどうやってホテルを出たのか記憶にない。
気が付くと、自分の家に戻っていた。
しかも家を出たときとおなじ服装。
あの男が着替えさせてくれたのだろうか。
わからない。
ひょっとしたら、夢だったのかも。
そう思った瞬間、胸や股間に痺れる痛みが走る。
アソコはうずくし、お尻にはなにか入っている感覚が残っていた。
ボクは気を張り、制服に身を包んでいつものように登校した。
その道すがら、ふと視線を感じた。
まさかと思って見ると、信号待ちをしながらボクを見る人がいた。
金髪に染めた長身の男性。
きちんとした身なりをしているも、サラリーマンっぽくはない。
……って、よくみたら昨日の最低男だ。
そう思ったとき、一瞬目があった。
「昨日のユウキ、かな」
目の前に来て声をかけられる。
ボクは息を吐き、
「ちがいます。ボクは女です」
顔を伏せながら、男の袖をつまんでいた。
二人のその後も気になりますね。