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モテモテ計画

2015/01/19 19:19:53
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【プロローグ】



「ぐぬぬ……」
部屋の中でひとり、机で突っ伏して、俺は悩んでいた。
別に机の前にいるからって、悩んでいるのは勉強のことじゃない。俺の頭の中に渦巻いているのは「なぜ俺はモテないのか」という、思春期の少年ならではの悩みだった。
顔や性格は極端に悪いわけではないと自分では思っている。スポーツや勉学もまあまあ。中途半端とも言えるけれど、女子に嫌われているようではない。しかしながら、気になった子には先約がいた、というパターンが大半だった。
俺をさらに落胆させたのは、クラス内で浮いているオタクが、他校の女子と歩いていた(おまけに、けっこう美人)という情報が駆け巡ったということだった。
「アイツに出来てなぜ」と、同じく恋人がいない友人連中と、お互いを慰め合ったりもした。
それは置いといて、だ。モテないのであれば、この夏休みのあいだに自己改革をすればいいと俺は考えたものの、どうすればモテるのか? という答えは見つかっていない。
運動系の部活にでも入っていれば良かったかもしれないが、しかし残念ながら俺は帰宅部だった。まあ、単純にスポーツをすればモテるってワケでもないんだけどさ。
夏休みのあいだ中勉強しまくって、クラスの上位に入る、ということも考えたが、それなりに勉強したつもりでも、中の中くらいに収まる俺の頭では、無理そうなので止めた。
なにかしら雑誌を探してみても、参考にならない当たり障りのない情報ばかりだった。
ホント、どうすればいいんだろうなあ。女子の気持ちが分かれば早いんだけど。まあ、そんなワケにもいかないし。あー、もう分からん。
がたり、と椅子の背もたれにだらしなくもたれ掛かって、天井を見上げて、目を閉じたその時だった。
「なにしてるの、兄ちゃん」と、声が聞こえて、目を開けると、いつの間にか部屋に入ってきていた、妹の双葉と目が合った。
「うおっ。ノックもせずに入って来るなよ双葉!」
「だって、ドア開いてたしー。それにウンウン唸ってる声が聞こえてたからなにしてるのかなーって。それに用事もあったから」双葉は、ニヤニヤと笑いながらそう言った。
「なんでもねえよ。で、用事ってなんだよ?」
「兄ちゃん、マンガ貸してくれない?」
「良いけどよ、マンガばっかり読んでるとバカになるぞー」
「ちゃんと勉強もしてるよ? 兄ちゃんと違って」一々口の減らないヤツだな、と思いながらも妹が欲しいであろうマンガを投げつけた。
「あっぶないなあ! でもさっすが清彦兄ちゃん。私の欲しいものわかってるんだねー、ありがと」そんなことで褒められても嬉かないが、ここで俺の頭の中にひとつの考えが閃いた。コイツにアドバイスを聞いてみるのはどうだろう? 中学生で実の妹に聞くのはちょっと情けないが、女の子は女の子だ。闇雲になにかしようとするよりはいいだろう。
「な。そういえば双葉」とはいえ、直球で聞くのもアレなので、俺は遠回しに聞いてみることにした。
「なに、兄ちゃん?」
「あのさ、そのー……例えばさ、例えばの話だぞ? お前のクラスに俺がいたとして、だ。女子からモテると思うか? 俺って」
「モテないに決まってるでしょ」
即答だった。
「ひっでえなお前!」俺は大声で叫びながら言った。
「うるさいよ兄ちゃん! 事実なんだからしょうがないでしょ! それに回りくどい言い方しないでよ。ようはさっきまでモテたくてウンウン唸ってたでしょ?」
「そうだよ、悪いか?」
「いや、オトコノコならフツーの悩みだしー。それで、私になにか聞きたいってことでしょ?」双葉は、嫌らしい笑みを浮かべながらそう言った。
「無理には頼まんけどさ、女の子目線のアドバイスとかなんかあればと思って」
「アドバイス、ねえ。兄ちゃんの場合はアドバイスレベルじゃダメかも」
「じゃあ、どうすんだよ」
「私に任せて。夏休みが終わるまでには兄ちゃんをモテモテにしてあげる」
「は? んなことお前にできるのかよ?」
「大丈夫大丈夫、他ならぬ清彦兄ちゃんのためだものー」と、双葉は言うものの、その口調は棒読みだった。
「本当に大丈夫かよ?」
「妹の言うことなんだから信じてよ。とりあえずお風呂に入る時に言って、そこからがスタートだから」
そう言って、双葉は俺の部屋から出て行ったのだった。


【計画のはじまり】



双葉が部屋から出て行った後、のんびりゲームをしていたらあっという間に夕方。そろそろ風呂にでも入ろうかなと思い、双葉に声を掛けるために、部屋のドアをノックした。
「あ、兄ちゃん。お風呂入るの? じゃあこれ持ってって」と、部屋から出てきた双葉に手渡されたのは、なにかのクリームらしきも のだった」
「なんのクリームだよ? これ」
「いや、フツーの除毛クリームだけど」
「なに!?」裏を見てみると、確かに除毛と書かれていた。
「兄ちゃんさ、ボーボーすぎるんだよ。女の子から見るとちょっとそれは引くかなーって」
「いや、でもよー。男としてどうなんだ、それって?」
「大丈夫だって。夏休みが終わるころにはちょうどよくなってると思うよ?」双葉が自信ありげな表情でそう言った。
「怪しいクリームじゃ……なさそうだな、大手メーカー製っぽいし」
「かわいい妹を疑ってるわけ? それに塗ってくれないとはじまらないんだけどー」
「なにがだよ?」
「兄ちゃんのモテモテ化計画」双葉は大まじめにそう言った。
「やっぱ止めとくわ」俺は呆れて踵を返した。
「あ、信じてくれないんだ。だったら私にも考えあるけどー。兄ちゃんのえっちな本みーんな捨てちゃおーかなー」
「なっ、なんでお前っ!」
「本棚の裏って取りづらくないー?」
「…………」
「第一ね、男に二言はない、でしょ? さっさとお風呂に行く! あ、このクリーム顔にも塗ってね、兄ちゃんヒゲの剃った跡も濃いし。ただ間違っても眉毛とか髪に塗ったらダメだからね、大変なことになるよ、それじゃ!」双葉は俺にクリームを手渡して、部屋のドアをバタンと閉めた。
「仕方ない、やるしかないか」俺は渋々、クリームを持って脱衣場へ向かうのだった。

「おー、こりゃ凄いな。取れる取れる」湯船に軽く浸かった後、椅子に座りクリームを塗ってみると、驚くくらい毛が抜け落ちていった。
「永久脱毛とかじゃないよな、これ」裏を見てみると、あくまで除毛クリームらしい。それでも若干不安になりながらも、俺は体にクリームを塗り込んでいく。
大まかなところは塗り終わったので、シャワーで洗い流そうかと思ったその時だった。
「兄ちゃん!」と、ドアの外から双葉の声が聞こえた。
「なんだよ、覗くなよ!」と俺は慌てながら返事をした。
「兄ちゃんの裸なんて誰も見たくないって、それよりアンダーヘアにはちゃんと塗ったの? クリーム」
チン毛やらケツ毛やらか。確かに塗ってない。
「そこまでする必要あるのか?」
「見えないところだし、って思ってるでしょ。でもそこが一番女の子が気になるところなんだからね。さっきも言ったけど夏休み終わったころにはちょうどよくなってるから、ちゃんと塗るんだよ」と双葉は言って、トタトタと駆けていった。
「まいったな……。まあ、いいか。笑われるハメになっても仕方ない、モテるためだしな」とひとり呟いて、俺は泣く泣く股間と尻にもクリームを塗るのだった。

風呂から上がると、カゴの上に『お風呂から上がったら塗ること!』と書かれた紙が貼ってある容器が見えた。紙を剥がしてみる。パッケージを見ると、フツーのボディーローションみたいだった。ふと肌をさすってみると、毛は確かに無くなったが、ごわごわしていた。まあ確かに、肌のケアは大事か。
顔に塗っても良いみたいだったので、少し面倒になりながら全身に塗りつけた。塗った後は、いつもより体がポカポカしているような感じがした。

居間に戻った後、ソファーでくつろいでいる双葉に声をかけた。
「んで、次はどうするんだよ?」
「追々かな。クリームはもういいけど、ローションはお風呂上がりに毎日塗ってね」
「次があるならさっさとやってくれよ」
「兄ちゃんの場合、まず見た目をどうにかしてかないと、地道にね」
「ひでー言い草だなおい」
「事実は変えられないの。千里の道も一歩から、でしょ? それじゃ、私はお風呂入ってくるから、ご飯食べるなら食べて」
「ちょ、おい! ……ったくよー」
悪態をついて台所のテーブルを見れば、双葉が作ったであろう夕食の準備が整っていた。
「しかしまあ、子供二人置いて旅行に行く親ってのも、世間体から見てどうかと思うけどな」
家の主である親ふたりは、夏休み初日にふたりだけで旅行に行くと言って、今はいない。まあそんな状況はままあるから、俺と双葉は慣れっこであるのだが。決して育児放棄してない分だけまだいい。
俺は夕食に手を付け始めると、あっという間に平らげて、自分の部屋へと戻るのだった。


【変化の兆し】



風呂上がりにローションを塗る生活を始めてから数日。効果のほどは確実に出ているらしく、ごわごわとした肌がさらさらになっていた。
でも、確かに見栄えとしては良くなったけれど、除毛した毛が未だに生えてこないのは気になる。というかヒゲもだ。それだけクリームの効果が強かったのか? と思ったけれど、塗ってしまったものはもう仕方ないと諦めた。
「そろそろ次のステップね。まあ、兄ちゃんも分かってるとは思うけどー」と、風呂に入る前、双葉に声を掛けられた。
「まあな。髪だろ? 肌がさらさらになってるから違和感がすげーんだよ」
「そういうこと。というわけで、はいこれ。今日からこれ使ってね」と言って、双葉が俺に手渡したのは、シャンプー・トリートメント・コンディショナーの三点セットだった。
「おいおい、こんなにいらないだろ? 女子じゃあるまいし」
「ダメよ。兄ちゃんの髪見た目でもダメージ受けてるって分かるし。そ・れ・に、使ってみれば分かるから、ね?」
「第一さ、これお前が使えばいいんじゃないのか? 高そうだぞ、これ」表面を見れば、海外のブランド物のようだった。
「私なりの愛ですよ。特別に用意したんだから、ね?」と言って、双葉は俺をぐいぐいと脱衣場へと押し出した。
「愛ねえ。ま、ありがたく受け取っとくよ」
「あ、シャンプー・トリートメント・コンディショナーの順番にね」
「わかったわかった」俺は脱衣場のドアを閉めた。
やれやれ、また面倒なことが増えたな。

「確かに泡立ちはいいけどなー。面倒だなあやっぱり」それでも髪は短いから、女子よりは時間はかからないか、思いながら髪を洗う。
トリートメントを付けたら流して。今度はコンディショナー。こうしてみると、女子ってホントにめんどくさいこと毎日やってるんだなあって思った。
洗髪が終わって、ゆっくりと湯船に浸かる。
髪を触ってみると、心なしかつやつやしている気がした。

風呂上がり、いつものようにローションを塗って、服を着てドライヤーを掛けたら、髪がさらさらになっていた。
「ね、兄ちゃん。わかったでしょ?」双葉がニコニコ笑いながらそう言った。
「確かに良いなアレ、1日でこれとか幾らしたんだよ」
「ないしょ。兄ちゃんは気にしなくていいよ。それじゃ、私もお風呂入ってくるから、ご飯食べるなら食べてて」
夕食の準備はできてはいるが、昨日辺りからなんだか腹の減り具合がおかしいんだよなあ。あんまり空かない。変な生活を始めたからリズムが狂ったんだろうか。
双葉が風呂に入り終わるのを待ってから食べるとちょうどいいくらいなので、待つことにした。
双葉が戻ると、一緒に食事を取る。俺が早く食べ終わって、部屋に戻ろうとしたら「兄ちゃん、皿くらい洗ってよ」と言われたもののそれはスルーして、自分の部屋へと戻った。



それから数日が経った。
俺は、風呂の中にある鏡を見ながら、自分の体を観察していた。
肌が最近、さらさらというか、なんだかつるつるで、ぷにぷにとなり始めている気がした。親がいないからってだらだらし過ぎたんだろうかと思って、部屋で軽く筋トレをしていたら、双葉にストップをかけられた。
「ダメだよ兄ちゃん、私からみたらそれくらいが良いし。筋肉なんてあんまりつけないほうがいいよ」とのこと。モテるためのアドバイスだと判断して、俺は筋トレをするのは止めた。
とはいえ、だ。気になるところはここだけじゃない。
髪がシャンプーを変えた日から、やけに伸びるのが早かった。これも双葉に「兄ちゃん今までがダメダメだったから髪が弱ってるんだよ。それに、長い方が似合ってると思うし、気にしなくてもいいよ」と言われた。
首の真ん中あたりまで伸びた後ろ髪。なんだか、心なしか小さくなっているチンコ。そういえば、最近性欲もやけに落ちている。やっぱり慣れない生活で、分からないうちにストレスが溜まっているのか?
双葉に良いようにされているような気もする。でも、それが不安に感じていないのは気のせいか?
そんなことを、俺は考えていた。

風呂上がり、服を着たとき違和感を感じた。体が服に擦れる度、ごわごわして気持ち悪い。特に、胸の辺りがジンジンと熱くなる。
「ヘンだな。洗濯するとき柔軟剤は使ったよな? うん」
脱衣場から出て、双葉と風呂を交代して上がるのを待っているあいだにも、違和感は高まっていく。時間が、やけに長く感じた。
双葉が戻ってきた。飯を食べれば紛れるだろうか、と思った。けれど、食べているあいだも胸がジンジンして辛い。
「兄ちゃんどうしたの、大丈夫?」双葉が、心配そうに俺に言った。
「い、いや。なんでもない。ごちそうさま」
「そお? そういえば兄ちゃん最近残すね、次から量減らす?」
「あ、ああ。そうしてくれ」
そういえば最近食欲も減っていた。けれど今は、そんなことを気にしている場合じゃない。俺は急いで部屋へ戻った。

俺は部屋のドアを閉めると、着ている服を脱ぎ捨てて、ジンジンとしている胸を、思い切り掻いた。
「んあっ!」体中に刺激が走り、我ながら気持ち悪い声を上げてしまった。
未だにジンジンとなっている胸を、今度は優しく掻いた。
「あっ。はっ……乳首、立ってる」
いつの間にか、俺は自分の胸を優しくもみ始めていた。
久々に感じた性欲。けれど、チンコを触る気にはまったくならなかった。
体の内側が熱い。けれど、股間が熱くなる感覚は感じない。不思議な気分だった。
「あっ……ああ……い、くっ!」
あっという間に、俺はイってしまった。けれど、まだ体は熱く、快感を求めていた。けれど、ひとつ妙な事に気が付いた。
「あ、あれ……せーし……でてない」
疑問に思ったけれど、体の力が急激に抜けていって……俺は、そのまま床に突っ伏した。


【変化】



ごそごそと物音がして、俺は目覚めた。けれど、体中が重く、起き上がることができなかった。眩しい光に瞬きをしながら、目だけを動かすと双葉がいた。
「あ、兄ちゃん。起きたの?」双葉が目覚めた俺に気が付いたのか声をかけた。
「ああ」ガラガラな声で、俺は返事を返した。
「まったくもう、夏とはいえ裸で部屋にいるなんて。暑かったかもしれないけど、だから風邪引くんだよ。布団に押し込むの大変だったんだからね!」
「すまんな」まさか、全裸になって胸触ってたら、イって気絶してました、とは言えないよな。
「ひとつ貸しだよ。ところでなにか食べてくれないと困るんだけど、薬飲まないと治るものも治らないよ」
「果物かなにか無いか?」
「ミカンがあるから持ってくるよ」
双葉はトタトタと俺の部屋から出て行って、割とすぐにミカンと風邪薬と水を乗せた容器を手に戻ってきた。
「自分で食べられる?」
「ん、なんとか」
双葉に手伝って貰いながら、体を起こして、鈍い手でミカンを食べた。
「はい薬、よく効くやつだから、すぐに治るよたぶん」
双葉から薬を受け取ると、俺はぐいっと飲み干した。
「寝るわ、だるい」
「ん、了解。なにかあったら呼んでね」
そんな双葉の言葉を聞きながら、俺の意識はすぐにまた飛んでいった。



夢も見ずに、ぱちりと目が覚めた。日が高かったので、まだ昼みたいだ。
からだがプルプルと震えた、尿意だ。どうしようかと思ったけれど。体は薬を飲んで寝たからか、少しだけ楽になっていたので、トイレへと向かった。自分が全裸のままなのは分かっていたけれど、漏らしてしまう方が嫌なので仕方ない。
頭がクラクラとして、フラフラになりながらもトイレに到着した。便座を上げて、自分の竿を掴もうとした。けれど、それが無かった。
「あ、あれ……う、嘘だ。どうなってるんだ?」風邪を引いているので声がおかしいのは当たり前だけれど、なぜだかその声が自分のものじゃないように聞こえた。
股間を、ぺたんと触ってみる。そこには、棒どころか、玉もなく……1本の筋が、走っていた。
「な、ない。チンコ、なくなってる!」俺はショックと体のだるさで、尻餅をついて、その場にへたり込んだ。
体中の力が抜ける。そして「しゃー」という音が聞こえてきた。床に、じわじわと液体が広がっていく。
「あ、止まれ、止まれよお……」俺の目に涙が溢れ出す。チンコが消えていたという絶望感と、この年でお漏らししてしまった恥辱感が、俺を揺さぶった。
「兄ちゃん?」振り返ると、そこには双葉がいた。
「み、見るなあ!」俺は、両手で顔を覆った。まさか、妹にこんな現場を見られてしまうなんて。絶望が俺を襲った。
尿の音が止まる。俺はどうすることもできずに、へたり込んだままだった。
「えっと。兄ちゃん、立てる?」優しげな声で、双葉がそう言った。
ショックで、俺はなにも考えられなかった。
「待ってて、タオル持ってくるからね」トタトタと、双葉が駆けていく音がした。
俺は、目を瞑って顔を塞いだまま、なにも出来なかった。
ぽんぽん、と床の叩く音が聞こえる。
「待っててね、床のほう先にやるからね……こんなところでいいかな。兄ちゃん、立てる?」
かろうじて俺は、ふるふると首を横に振った。
「しょうがないなあ」双葉は、俺の足を開いた。
「やっ!」女の子のような声が俺の口から出た。それを無視して、双葉は俺の下半身を拭き始めた。
そのあいだ、俺は双葉にされるがままだった。
「それじゃ、布団に戻ろうね」子供に声をかけるように、双葉が俺に言った。
そして、双葉は俺を抱えた。ぐるぐるとした頭で、なぜという感情が頭に浮かぶ。双葉が俺を抱えられるはずなんてないのに。けれど、双葉の腕の中で、俺はまた意識が遠くなった。



グルグルと鳴った自分の腹の音で、俺は目覚めた。
体を起こそうとしてみる。昨日までとは違って、嘘のように頭も、体もすっきりとしていた。
起き上がると、感じたのは天井がやけに高いということ。そして、やけに髪が体にまとわりついているということ。
急に、昨日の惨状が頭の中に浮かび、布団の中に顔を埋める。それでも、急いで確認しなければいけないことがある。深呼吸をして、覚悟を決めた。
脱衣場へ向かうために、立ち上がった。その時、自分が服を着ていることに気が付いた。手を見てみる。小さな手。着ているのは、見たことがあるパジャマ。
「ははっ。あははははっ」自嘲めいた声。それは、やけに甲高かった。
笑いながら、俺は脱衣場へと向かった。
脱衣場につくと。パジャマを脱ぎ捨てた。それは双葉が着ていたものだった。
鏡に自分の体が映る。そこには、髪の長い、大きな瞳をして、リボン付きの子供用のぱんつを穿いた……小学生くらいの、女の子にしか見えない、自分の姿があった。



「俺、やっぱり、女の子になってるよ。あははっ、はっ……これ、ちっちゃいけど……おっぱいまで、あるし……」
覚悟はしていたけれど、現実を突きつけられた俺は、ショックでその場にへたり込んだ。
なぜ? どうして? 思い当たることはひとつしかない、双葉のせいだ。あのシャンプーだとか、ローションのせいだ。けれど、疑問は残る。気になって自分でも調べて見たのけれど、あれは間違いなくメーカー製のものだ。それにこんな効果があるとは思えない。
「兄ちゃん、起きてたんだ。ぱんつ一枚でなにしてるの?」
振り返ると、そこには双葉がいた。
「双葉お前っ! 俺になにかしたなっ!」俺は、双葉に食って掛かった。
「なにを?」しらばっくれてやがる。
「俺を女の子にしたのお前だろっ! モテるためとか言って始めからこうするつもりで!」
「兄ちゃん。いい加減現実見ようよ。女の子になったのが辛いのはわかるけどさ、私に責任押しつけないでよ」
「なった? お前がしたんだろ!」そう言った俺に対して、双葉は首を横に振った。
「違うよ、兄ちゃん病気で女の子になったんだよ」
「は? なに言ってるんだ、お前? しらばっくれ……る?」
俺の言葉は、双葉によって遮られた。なぜかって、双葉が俺の頭を撫で始めたからだ。
「辛いよね、高校生の男の子だったのに、急に小学生くらいの女の子になっちゃうんだもんね」
双葉は、なでなで、なでなでと俺の頭を撫でる。
「でも、そろそろ書類の手続きも終わるみたいだし、心の整理つけないとダメだよ?」双葉が、訳の分からないことを言った。
「書類って、なんのことだ?」
「兄ちゃんの書類だよ、戸籍の変更とか色々するのに、パパとママが泊まりがけで行ってるんじゃない」
「え? 父さんと母さんは旅行で…
双葉が、また俺の頭を撫でる。
「旅行? 旅行になんて行ってないよ」
そうだったかな?
「病気になった兄ちゃんのために頑張ってるんだから、兄ちゃんも頑張らないと」
そうだ、よな?
なでなで、なでなでと、双葉は俺の頭を撫で続ける。その度に、俺の頭の中がかき乱される感じがして……。そして、考えがまとまった。
「ごめん、双葉。頭の中混乱してた」
「最近色々あったし、しょうがないよ。それにひどい風邪引いてたせいもあると思うよ」双葉は、にこやかに笑いながらそう言った。
「そうだな」
「でー……うん、おねしょはしてないみたいだね、兄ちゃん。昨日あんなことがあったから、どうなることかと思ったけど」
「なっ!?」俺は顔を真っ赤にして双葉を睨んだ。
「あははっ。怒れるくらいなら治ったみたいだね、風邪。女の子になったばっかりだから、ああいうこともあるって、ね?」
双葉は、俺の頭をぽんぽんと叩いた。
「そうだ、明日にでも気分転換に買い物に行こっか。私のお下がりだけじゃかわいそうだし」
改めて、自分の着ていたものが双葉の物だというものに気が付いて、改めて気恥ずかしくなる。いくら女の子になったからと言っても、やっぱり男用の服着たいし。
「ん」と、同意するように俺は返事を返した。
「じゃ、早く服着ないとまた風邪引いちゃうよ」
そんな双葉の言葉の後、俺は「くちゅん」とかわいらしいくしゃみを出した。



夕方、風呂の時間。女の子になって何度目かの風呂……のはずなのに、なんだか初めて入るような感覚がした。
鏡に映る自分の裸に、やけにドキドキする。
「は、早く体洗おうっ!」そう力んで、体を洗いはじめた。
「ひゃっ!」体に石けんをこすり付けたとき、体が飛び跳ねるくらい敏感に反応した。
「強くこすり付けすぎたかなあ、もっと優しくかな?」
優しく、撫でるように体を洗う。特に胸のあたりは気を遣って……最後に、アソコが残った。
「ここも洗うんだよ、な?」
手に石けんをつけて、筋をなぞった。
「ひゃっ……あっ……」小さな女の子の体なのに、感じ方はむしろ、男だったときも激しかった。
いつのまにか、俺は右手で筋をなぞりながら、左手で胸を揉み始めていた。
「ん……にゃあっ……」まるで、発情期の猫みたいな声を出してしまう。
体中が熱くて、せつない。気持ちいい。もっと、もっとと動かす手を早くする。くちゅくちゅとイヤらしい音を立てた。
「あ……んっ……ああっ!」
びくん、びくんと体が跳ねる。
「はあっ……はあっ、これが、オンナノコ、のっ……」
股間が濡れた感じがしたので、まさかまた、と思って見てみると。イヤらしい愛液が、とくとくと溢れ出していた。
「気持ちいい……もう1回……でも、双葉待たせるのも……やめとこう」
弱い勢いのシャワーを体にかけて、俺は湯船に浸かった。

風呂上がり。双葉が用意した服を着る。
ぱんつを手に持ったとき、なんだか胸がどきどきして、恥ずかしかった。初めて穿くはずじゃないのに。やっぱり、男物じゃないと落ち着かないなあ。
着替え終わって、居間に戻ったら、双葉に声を掛けられた。
「どうだった? 初めての一人えっちは」双葉は、くすくすと笑った。
「えっ!? い、いや、そんなこと、してな」
「ごまかしてもダメ、あんなおっきい声出してるもの、聞こえるに決まってるじゃない」
「……気持ちよかったけど」
「くすっ。恥ずかしがることないよ、兄ちゃんだって女の子なんだから」双葉は俺の頭を撫でて、風呂へと向かった。

双葉が風呂から上がって、食事を取り始めた。俺は早く食べずに、双葉と時々話をしながら、ゆっくりと食べた。
「ごちそうさま」と二人で言い合って、俺は皿を台所へ持って行った。
「洗ってくれるの?」双葉が言った。
「うん、いつも世話になってるから……」いつもならする気がしなかったのに、今日はなんだかする気が沸いたので、俺は皿を洗い始めた。
「ありがと、兄ちゃん」
なんだか照れくさくなって、俺は頭を伏せた。


【めざめ】



翌日、朝朝食を取ってすぐに電車に揺られて、隣町のデパートへ。
「スカートのほうがかわいいのに」隣で、双葉がうなだれていた。
「スカートなんか穿けるかよ」ツン、と俺は横を向いた。
今の俺の装いは、無地のTシャツにジーンズ。装いだけで言えば男と同じような服装だ。インナー以外は。
「それに……まあ後で分かると思うけど」双葉がなんだか意味ありげなことを言った。
気にはなったけれど、それはスルーすることにした。

「ほら、だからスカートにしたほうが良いって言ったのに」
「うう……」
デパートに着いた俺は、双葉に手を引かれてうつむきながら歩いていた。なぜかって、歩くたびにジーンズが擦れて落ち着かなかったからだ。
「女の子になりたてなんだから肌が敏感になってるんだよ。サイズぴったりのジーンズじゃないんだし」双葉が嫌みったらしく言った。
「なんでも良いから……はやくっ、着替えさせてくれ」足をすりすりとすりあわせながら、俺は言った。
「なんでも良いのね?」そう言って、双葉は俺の手を強く引っ張っていく。たどり着いた先は、女の子用の子供服売り場だった。
「お、男物にしてくれよお」
「だーめ、なんでも良いって言ったでしょ。これなんか似合うんじゃないかな?」双葉が持ってきたのは、よりにもよってピンク色で、フリルの付いたワンピースだった。
「嫌だ、そんなフリフリした服なんて」俺は首を横に振って、抵抗の意志を見せた。
「はいはい、わがまま言わないの」そう言って、双葉は俺を試着室の前に誘導した。
「サイズが合わないジーンズと、このワンピース、どっちがいい?」どす黒い笑みを浮かべる双葉に、俺は若干震えた。
どうする? このまま歩き続けたら、間違いなく公共の場でオカシナことになってしまうのは明白だし、かといって、こんな女の子してるワンピースも……。
「返事しないなら、無理矢理着せちゃうよ?」
「ああっ、わかった。着る、着るからぁ!」俺は思わず、そう口走ってしまった。
「くすっ。素直になればいいのに、はいどうぞ」双葉は、俺にワンピースを手渡した。
もう逃げられない。そう感じた俺は、服を脱いで、仕方なく試着室の中へと入った。

「んっ!」Tシャツを脱いで、ジーンズを降ろした時、俺は小さく喘ぎ声を出してしまった。
ぱんつを見てみると、染みが出来て酷いことになっていた。うう……最悪だ。
「双葉ぁ……」懇願するように、俺は言った。
「なに? 兄ちゃん」小声で双葉は返事を返した。
「あのさ、ぱんつ、がさ」
「こうなると思って予備の持ってきてるから、後でトイレに行って取り替えよ?」
「分かった」
意を決して、ワンピースに着替える。
「うう……すーすーして落ち着かない」
あえて、鏡は見ずに、試着室のカーテンを開けた。
「あら、早かったね。うん……やっぱり似合ってるけど、自分でちゃんと確認した?」
「見る余裕なんてあるはずないだろっ」
「そうかもしれないけど、やっぱり自分で見てみないと、ねっ?」
双葉は、俺の体を試着室の方向へと向けた。
「これが自分じゃなきゃ、似合ってると思うよ。自分じゃなきゃな」鏡の中には、顔が少しだけ赤く染まった、可愛らしい洋服を着た女の子がそこにいた。
「よかった。じゃ、えーっと……あっ、すいませーん、この子、この服気に入ったみたいなので、着たままで買っても良いでしょうか?」双葉が店員を見つけて、そう尋ねた。
「ええ、よろしいですよ」と、店員は返事を返した。
本当は気に入っていないけれど……ってかこの子ってなんだよ、この子って。でもまあ、あのジーンズを穿くよりは、このすーすーする感覚の方が、まだ俺にとってはマシだった。

ワンピースを買って、女子トイレの中。仮にも元健全な男子高校生の俺が入ってもいいのか? と思ったけれど、双葉に有無を言わさず引っ張られたので、はずかしさを感じる余裕もなかった。
「じゃ、これね」双葉に手渡されたぱんつを見て、俺は目を丸くした。
「え!? ちょっと、これはさすがに嫌だって」
「子供っぽい方が似合ってるし。それに女の子になりたての兄ちゃんには色々いいと思うよ? それに、拒否権は無いんだから」
「いいと思うって、なにがだよぉ……それに、ここデパートだから、もっとマシなの買って来て」
「ダーメ、さっさと穿いて買い物の続き」
またも、逃げられない。目に少し涙を浮かべながら、俺はぱんつを穿きかえた。

それでも、買い物は続く。俺は双葉に手を引かれて、自然と小さな歩幅で、かつ内股で歩いていた。大股歩きなんかで歩いたら、今俺が着ている服だと、ぱんつが見えてしまうかもしれないから。
「ほら、言った通りでしょ? 色々良いって」
「うん……」
可愛らしい猫の模様が描かれたプリントぱんつは、俺の仕草だけではなく、心まで縛り付けているような気がした。
双葉の言うままに、俺は服を選ばされていく。可愛らしいスカートやシャツ……靴下から、パジャマまで。途中で、靴も履き替えさせられた。
ノーが言えなくなった俺は、なにも知らない外から見れば、姉の言うことをよく聞く妹にしか見えなかったと思う。

「どれでもひとつ、好きなものを買っていいよ?」
買い物の最後に、双葉におもちゃコーナーに手を引かれて、そう言われた。
この年でおもちゃなんて、と思ったけれど、中にゲーム屋があったっけ? そう思って、そちらへ行こうとした時、ぬいぐるみと目が合った。つぶらな瞳、ふわふわしてそうな毛。小さな、くまのぬいぐるみだった。なぜか、俺はそれから目を離すことができなかった。
「これが欲しいの?」と双葉が言った。
「バカ。男の俺がこんなの、欲しいわけ……ないだろ」最後は、声のトーンが小さくなった。
「くすっ、抱いてみる? はい」双葉が、俺にくまのぬいぐるみを手渡した。
俺はそれを、ぎゅっ、としてみた。なんだろ、凄い落ち着く。
「恥ずかしがらなくて良いんだよ。今の兄ちゃんは、女の子なんだから」双葉が、俺の頭を撫でた。
「欲しい」俺がそう言うと、双葉はにこりと笑った。



家に帰って、軽い昼食を取った後、双葉と二人で服の整理をした。俺は、その間もワンピースを着たままだった。初めに着たときは、すぐにでも脱ぎたかったのに、不思議な気分だった。
夕食はハンバーグにするということだったので、俺も一緒に作るのを手伝うことにした。生地をこねる作業だけだったけど。服とぬいぐるみのお礼じゃないけれど、これからもちょこちょこ手伝いしないとな、と思った。
手伝いをしていると時間は過ぎるのは早くて、風呂の時間。昨日とは違って、自分の体のことは気にしないで、自然と入れた。風呂上がり、双葉が買ってきた可愛いぱんつと、そして……はじめての、ブラジャーを付けた。小さいけれど、おっぱいはおっぱい。形が崩れないようにって、双葉が言っていた。
パジャマを着て、なんとなく鏡の前でポーズを取ってみた。そうしていると、双葉がいつの間にか後ろにいて、はずかしくなった俺はそそくさと居間に戻った。
夕食、少しだけ自分で手伝ったハンバーグは美味しかった。
部屋に戻ったら、いつもより早く眠たくなったので、くまのぬいぐるみを抱いて、布団に入った。
今日一日だけで、すっかり俺は女の子らしくなってしまった気がする。けれど、それは怖くなんかなくって、むしろ、幸せなことのように思えた。


【エピローグ】



「兄ちゃん、起きて……起きてよ」双葉の声が聞こえて、目が覚めた。
目を開けると、すっかり日は高く昇っていた。昨日あれだけ歩いたから、疲れていたのかもしれない。ふわーっと、あくびをひとつ。
「やっと起きた。パパとママ、帰って来たんだよ」
そっか、旅行……じゃなくて、俺の書類の手続きとかに行ってたんだっけ。
「私から伝えてくれって言うから、言うね。兄ちゃん、私の妹になるって」
「そう……なのか」
そうだよな。今の俺、双葉よりちっこいし。それはしょうがないか。
「それでね、夏休みが終わったら、小学校に行って貰うって言ってた」
「小学生からやり直しかあ……」
高校生が小学生に混じるうえに、女の子として通わなきゃいけないなんて……俺は、底知れぬ不安を感じていた。
「大丈夫、兄ちゃんならモテモテだよ? 可愛いし」そう言って、双葉は俺の頭を撫でた。
「そうかな?」
「でも、言葉使いとかはちゃーんと特訓しないとね、今日から練習だよ、兄ちゃん……じゃなくて、三葉」
「みつば?」
「兄ちゃんの新しい名前だよ」そっか、清彦って名前じゃまるっきり男だもんな。
「はい、じゃあ今から私がお姉ちゃんで、三葉が妹だからね」
「今から!?」
「ほらー、女の子らしくしないと、学校でいじめられちゃうよ?」
それは、やだ。
「どうすればいい?」
「まず俺は無しだよ。私、がいいかな? じゃ、私にお願いしてみて。女の子のこと、教えてあげるから」
「えっと……ふ……お、お姉ちゃん……お、お……わたし、にっ、女の子の仕草とか、喋り方とか、教えて、ください……」
「よくできました。まだまだたどたどしいけど、夏休みが終わるまでには、完璧にしてあげるから、ね?」
双葉は……お姉ちゃんは、私に笑顔で、そう言った。











【おまけ、その後】



私が女の子になってから一年が経ちました。
中学生になって、毎日が忙しいです。すっかり、私も女の子らしくなったけれど……。
「今日も満載だねー、三葉」お姉ちゃんが、私をからかいました。
「からかわないでよ、お姉ちゃん」靴箱には、満載のラブレター。いつものことだけれど、少しだけ気分が沈みます。
「これ、全部に返事するんでしょ? 大変だねー」
「だって、元々は男の子だったから、出した側の気持ちもわかるんだもん。だからそれに答えてあげたいし」
「くすっ、三葉らしいね。それじゃ、また放課後」
「うん、お姉ちゃん」



放課後、校舎裏に呼ばれたりして、ようやく部室の前に着きました。
「ごめんなさい。お姉ちゃん、敏美せんぱい。今日も遅れちゃいました」ドアを開けて、私はそう言いました。
「おそいよー、みっつー」敏美先輩がそう言いました。敏美先輩は、お姉ちゃんと同級生で……私を、女の子にした張本人のひとりです。
『黒魔術研究部』そう書かれた、部室のドアをくぐった瞬間、私はすべてを思い出しました。私が女の子になってしまったのは、病気のせいなんかじゃないって。すべては、お姉ちゃんと敏美先輩のせいでした。あのローションやクリーム、シャンプーは全部、黒魔術がかかっていたそうです。それでも、お姉ちゃんや敏美先輩を憎めないのは、たぶん黒魔術のせいなんだろうけど。
「まーた告白されてたの?」お姉ちゃんが言いました。
「うん」と私は返事をして、スカートを気にしながら椅子に座りました。こうしてみると、モテモテになったのは確かにそうかもしれません。
「椅子座るだけでも、いちいち可愛いんだよなー、みっつーは」敏美先輩がケラケラ笑いました。
「からかわないでくださいっ、苦労してるんですから」
部室に入ったときから強くなった、元男の子という事実と、無理矢理女の子にされてしまったことが、私の羞恥心を強く刺激して、慣れたはずのおトイレとか、お風呂とか、着替えとかもぜーんぶ恥ずかしくって仕方ないんです。それが今の一番の悩み。
小学校からのお友達に「三葉ちゃん、最近もーっと可愛くなったよね」って言われたときは、嬉しいのか悲しいのかわかりませんでした。
「あーあ、わたしもみっつーみたいな妹欲しいな。けど、みっつーより小っちゃいほうがいいかも」
「じゃあさ、そろそろ力も溜まってきたし……やってみる?」
敏美先輩とお姉ちゃんが、恐ろしいことを言いました。今度は私も手伝わされることになるんだろうな。

はあ。と、ため息をひとつ。
リアルタイムで文章は書くものじゃない(挨拶)。
というわけで大幅な改稿を強いられました。季節すら変わってるのは気にしない!
逆に読んだ人でも楽しめる……たら幸いです。

ロリ……幼女化モノもっと増えないかなあと思う今日この頃。
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67.無評価きよひこ
萌えました!