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みかのなかにいる

2015/05/24 18:57:22
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1:「みかのなかにいる」



「いつも『防壁』を張って、率先して前に出る美香を守るって、玲くん言ってくれたよね?」
『あぁ言ったよ、言ったけどさ…』
「美香と一緒になれば、いつでも守れるって思っちゃった?」
『思わなくはないけどさ…。あぁもう、『転移』に失敗してこうなるなんて誰も思わないだろ』
「あ、でも今はあんまり見ないでね? やっぱり下着姿は恥ずかしいし…」
『美香の視線で俺も見てるんだから、無理言うなって…』
「そっか。同じになっちゃったね。そうなると…、玲くんの方でも美香の体動かせるの?」
『え? …おぉ。で、出来るみたいだ』
「…美香が寝てる時に、えっちな事しちゃだめだからね?」
『しねーよっ!?』

『…んぁ、あれ…?』
『美香? 寝てるのか?』
『…起きないな。……動かせるな』
「あ、あー。声も出せる。美香の声だ…」
「……」
…美香が寝てる時に、えっちな事しちゃだめだからね?
「しねーって言ったのに、美香があんなこと言うから意識しちまうだろうが…」
「っ、柔らかい…。転移失敗で融合してから大きくなっちまったけど、これ、美香の胸なんだよな」
「揉んでみても、良いよな。今は俺の体でもあるんだし…、いざという時の為、自由に動かせるようにしておかないといけないよな、うん」
「…すまん美香! お前の視点で見てたけど、これから全部見る!」

「…う、ん、なんだかくすぐったいな。なんだか触ってると、ドキドキしてくるというか…、これ、俺の意識なのか?」
「なんか、息も漏れてくる。少し体が熱くなってきて…、…あれ、乳首が勃ってる…?」
「ちょっと、硬い。…摘まんでみたら…、んひっ! …今のって、俺の声だよな」
「…でも、なんか、背筋がゾクってして…、もっとやってみよう」
「あっ、んっ、んはぁ…! すごい、気持ちいい…、男の時よりずっと…。…ん? なんか股間が濡れてる…?」
「もらした訳じゃ…、ないよな。えぇとこれ、美香の記憶から何か…、…へ、へぇ…、女の体って、興奮すると濡れてくるんだ。…男の勃起、みたいなもんなんだな…」
「…ここがもし、勃起と同じなら…、触ってみても良いよな?」

「うぁっ!? こ、これ、ビリって来た…、なんか、チンコの先っちょ触ったみたいな、それより強いような…」
「もう一回……ん、んっ、だめだ、気持ちよすぎて声が止まんない…」
「あ、あ…、ここ、保健の授業で教わって…、クリっていうのか? あれ、でもこれ俺の記憶じゃ…」
「今はいいや…、だってこんなに気持ちいいし…、もっと触っちゃおうかな…」
「んはぁ…、ここ、クリいい! グリグリすると、気持ちいい!」
「割れ目からのおつゆも、止まんない…。切ないよぉ…」
「触るよ、美香…」


「はあぁぁ! 良いよぉ、身体の中に指が入るの、美香の体が気持ちいいよぉ!」
「指を締め付けてきて、ぷちゅ、ぷちゅってえろい音たてて…」
「…乳首も、大きくなって…、……舐められる、かな? ん、んぅ…」
「んひぃ! お胸がピリってして、でも、良い…、ん、ちゅ、ちゅぅ…」
「胸も、乳首も…、割れ目も、クリも…、美香の体が…、全部、全部ぅ…!」
「なんか、くる…! あっ、あっ! イきそ、イくっ、美香の、体でぇ!」
「イくぅぅぅーっ!!」

「はぁ…、はぁ…、これが、女のイき方…」
「ぱぁって広がって…、頭が弾けそうで…、…ぐちゃぐちゃに意識が融け合って…」
「……『転移』。…跳べる」
「……『防壁』。…出せる」
「…美香? 美香!? ……いない?」
「いや違う。美香がいないんじゃなくて…、俺が美香に、なっちまったのか…?」

「体も心も…、同じになっちゃったね」
「これからは俺が「美香」で、美香が「俺」なんだ」
「…恐がるなよ、俺の中の「美香」。ちゃんと守ってやるから」
「だから…、ふふ、うふふ…、あははは…」


2:「と思っていたのか?(CV.島田敏)」


『あれ、美香の体裸にして、玲くん何してるの?』
「み、美香!? さっきは反応無かったのにどうして!?」
『どうしてって、んーとね。玲くんと美香が融合して、二つの能力を使えるようになってたでしょ?
だから、ちょっと意識だけ『転移』が使えないかなって思ってね』
「…使ってみたら、できたのか?」
『えへへ、出来ちゃった。…多分、玲くんも同じことをしようとすればできると思うよ。
人形とかに向かって跳べば、その体も自由に動かせるみたい』
「…どこに跳んで、体は何を使って試したんだ?」
『玲くんの家に跳んで、玲くんが作ってたガレージキットに入ってみた。おばさんにもこっそり買ってきたアレね』
「うぁ、アレかよ!?」
『もー玲くんったらむっつりスケベなんだからぁっ』
「う、うぅ…」

『…それにこの状態さ、美香が跳んだ時に玲くん、ひとりエッチ、しちゃったでしょ?』
「うぐっ!?」
『もぅ玲くんったら、あれだけ言ったのにするんだもん』
「……す、すま、ない…」
『…良いよ。スケベな玲くんならその内しちゃうかも、って思ってたし』
「うぅぅ…」
『それよりさ、今度美香が一緒にいる時にシてみようよ。二人で感じたら、きっともっと気持ちいいよ?』
「え、お、おい、良いのか?」
『良いよ? あ、それとも玲くん、美香が一人でスるとこ…、見たいの?』
「あ、う、…、……、うん…」
『…えっち』

「い、良いだろ別にっ。…っていうか美香、戻って来たのに主導権が戻ってないぞ?」
『あー、多分それ美香が出ていったから、玲くんに主導権が移っちゃったみたい。
玲くんが一度どこかに跳べば、美香がメインになるかも』
「よし、それだったら…『転『防壁』』っ!?」
『美香の体全体に『防壁』をかけてみたから、玲くんは跳べませーん』
「な、なにするんだよ美香、このまま俺が動かしてても良いのか!?」
『良いよ?』
「さらっと言ったな!?」
『だって、玲くんが美香の事守ってくれるんでしょ? それなら玲くんがメインの方が良いかなーって思ったの』
「…でも、この体は美香の物だろ?」
『え? “俺が「美香」で、美香が「俺」なんだ”、だよね? じゃあ、この体は美香の物でも、玲くんの物でもあるんだよ?』

「う、そりゃ言葉のあやって奴で…」
『だから、玲くんの体でもあるから、動かせるようにならないといけないし。その為には…、ね? えっちな事かしていいから、色々知ってもらわないといけないし…』
「…っ、…良い、のか?」
『良いって言ってるでしょ? 玲くんったら、何度も言わせないでよね』
「解った。じゃあ…、女の体の事、たくさん教えてくれるか?」
『うん。いっぱい教えてあげる。…ずっと一緒にいようね、玲くん』
「あぁ。ずっと一緒だ」

『あ、でも、ちゅーできないのは…、どっちか転移しないとダメかな?』
「俺が出ていくのは…」
『だーめ♪』


3:「小ネタにおいて世界設定は無くても困らない」

《ドーモ、玲=サン、美香デス》
「…あ、今日の体はそれなんだ…」
《うん、忍者殺しのにしてみたよ。やっぱり稼働フィギュアはいいね、動きやすくて》
「だからって女の美香が男のフィギュアに入らなくても良いじゃないか」
《そんな事言ってる男の玲くんが、女の美香の体に入ってるから、これで良いのです》
「だからアレは不可抗力だって…」
《良いよいいよ、わかってるから。それに美香と玲くんの2人で同じ能力が使えるようになったから、戦いの幅も広がったしね》
「基本、1人1つしか能力が無いから、かなり異例だしな」
《『増殖』使いの三倉先輩や、『強化』使いの西先輩、『融合』使いの立神先輩とか…》
「『転送』使いの鈴に、『予見』使いの座間先輩…」
《…全員が全員繋がって、同じ能力使えるようになったらどうなるかな?》
「やめとけよ?」
《考えるだけだよ。それにさ》
「…それに?」

《……多分、今の玲くんなら、美香の考えてることもわかるんじゃないかな?》
「…混じり合って、2人の邪魔されたくない、か」
《うん、正解。だって美香たちだけじゃないとさ…》
「ん…っ、戻ってきたな」
『こんな風に、2人きりになれないでしょ? 美香の体に他の人が入るのも変な気分だし…』
「あぁ。2人一緒が良いよな」
『じゃあ玲くん。…ちゅーしよ?』
「今は2人一緒だから、鏡に向かってだな?」
『んー、ちゅっ』
「…やっぱ、鏡にするのは変な感じだな」
『でも、美香は鏡に向かってスるの、好きだよ? 玲くんに全部見せて、見られてる感じがしてね』
「やっぱり、ちょっと恥ずかしいけどな」
『目を逸らさないで。ちゃんと見て。…ね?』
「あぁ、ちゃんと見るよ。鏡に映る美香の姿を、全部な」



4:「でも体には慣れないと困るよね」

「おーい、鏡辺ー。…じゃなくて、今は御堂で良いの?」
「あ、三倉先輩。そうです、御堂玲です」
「本来の鏡辺は今どこにいるのさ」
「今は…、カピバラさんのぬいぐるみに入って、ここで寝てます…」
「っぷ、あっはっは! ぬいぐるみはまだしも、よくもまぁ胸の間に入れる気になったね御堂は!」
「言わないで下さいよ、俺だってちょっと恥ずかしいんですから…」
「ちょっと、ねぇ。…最初の頃はどうなるかと思ったけど、アンタたちも随分馴染んだね」
「馴染んだというか、馴染まざるを得なかったというか…」
「御堂と鏡辺がくっついちゃったって聞いた時は、最初はみんな不安だったよ」
「その節はご迷惑をおかけしました…」
「どうしようもなくなった場合、立神が二人に『融合』して身体の要素を選り分けて、澪に『強化』してもらったアタシがその部分を『増殖』させて、桂木が意識をそれ等に『転送』させようかってプランも出た位だしね。
“御堂の要素の体”と“鏡辺の要素の体”を分けたら元々の体は残るし、片方だけ『増殖』させたらもう片方が残るしで、結局難点はあるけどさ」
「あー…、それ、鈴本人から聞きました。されなくて良かったと思います」

「そりゃまた何で?」
「先輩たちの手を煩わせる事は良くないと思ってましたし…、それに立神先輩が『融合』すると…」
「千里が混じる、とか考えた?」
「その、少しは…」
「邪魔されたくないってわけね。はいはいご馳走様」
「別にそこまでじゃなくて…、こんな状態に立神先輩まで巻き込ませたくないと思ったからで…」
「気にする必要もないけどね。千里だって一から十まで融合するわけじゃないし…、ここだけの話、千里も色々試してヤってるみたいだよ?」
「…ホントですか?」
「能力は使い方だから、色々ヤってみたくなる気分は解らなくないけどね。アタシだって体をどこまで『増殖』できるか試してみたよ」
「流石に部分だけですよね?」
「全身『増殖』出来たら恐いね。…いっそ今の美香の体、増やしてあげようか?」
「それは…、美香と相談させてください」
「それもそうね」

「ところで、三倉先輩は何しに来たんですか?」
「そうそう忘れてた。これ、アタシのお古の服だけど使ってよ。美香って女の子した服しか持ってないでしょ?」
「これ、動きやすそうな服ですね。ありがとうございます」
「ズボン履いて動くんだったら、スポーツブラとかちゃんと用意しときなさいよ?」
「わかりました。擦れたら、変な気分になっちゃいますしね」
「擦れることはアタシも経験したけど、男の御堂に言われると邪推するわね…」
「う…、気を付けます」
「良いからちゃんと体には気を使う事。男の時みたいに無茶して、傷は勲章とか言い出したら承知しないからね?」
「はい。美香の体は大事にします」
「よろしい。それじゃ、また明日ね」
「ありがとうございました、三倉先輩」


5:「男の性欲は女の性欲より強いとか?」

「おぉぅ桂木くん、待たせてごめんね?」
「立神先輩? いきなり呼び出してどうしたんですか」
「御堂くんと美香ちゃんの事でちょっとね」
「はぁ…?」
「聞きたい事があるんだけどさ、正直に答えてほしいの」
「それが答えられるものでしたらね」
「そんじゃぶっちゃけ気味に聞くけど、桂木くんって、美香ちゃんに懸想してるよね?」
「…っ」
「やっぱり。最近見てると、普段通りに御堂くんと話してるように見えても、ふとした事で顔を逸らしたりする事があったから、もしかしてと思ったの。
御堂くんが人形とかに入ってる時はいつも通りだったから、もしやと思ってね」
「それが、何だって言うんですか…?」
「…オーライ、桂木くんは回りくどいのが嫌いだったね。
ぶっちゃけ聞くけど、わたしと『融合』してみる気はない?」

「何でそんな事…」
「理由を隠さず言うとね。……大きくなった美香ちゃんの、乳を、揉みたいの」
「…は?」
「最近少しずつ大きくなってきた美香ちゃんの胸は、御堂くんとの同化で一気に大きくなってしまったの!
ブラのカップがBからEになるほどに! その成長の過程が省かれてしまったのはとても悔しい! あぁ、記録を目に焼き付ける事も残す事も出来なくなって恨めしい!
だがそれを差し引いても、あの形のいいおっぱいに成長してくれたことで、わたしの欲求は昂ぶってしまったの!
あぁ、揉みてぇ、あの乳を両手いっぱいに掴んで揉みしだきてぇ…」
「……」
「そんな目で見ないで桂木くん。わかってる、でもこれは当然の事なのよ。
『融合』の弊害でわたしに混じってしまった「男」の欲望は、おちんちんからビューっと発散する事も出来ずに悶々と溜まってしまっているの!
けど時に桂木くんが美香ちゃん懸想してくれた、これはチャンス! 同意を得て『融合』して、身体に御堂くんしかいないのなら、わたしの姿でも桂木くんの姿でもスキンシップの名目で揉める! 桂木くんのちんこだけ出して射精も出来る!
同時に桂木くんは美香ちゃんの体を好きに出来る、あわよくば既成事実も…!」
「そこまでだ立神!」

「うぁっ、座間先輩? どうしてここに…」
「私の『予見』で見えてしまってな…。見えるのは可能性でしかないが、“もし”を考えたら…放置はできなかった。
お前を一時拘束させてもらう! 西!」
「はいよ! 10倍『強化』発動、ほあたぁ!」
「はぎゃぶ!? そ、そこまで倍率を上げられたのね、澪…」
「5倍じゃ見切られる可能性もあったしね。という事で拘束っと。……うぅ、体痛い。座間先輩お願い…」
「…すまないな桂木、餌のような事をさせてしまって」
「良いんですよ、座間先輩。…立神先輩は独房に『転送』すればいいんですね?」
「頼む。後で鏡辺に、立神の“男の思考”に対して『防壁』を掛けられるか、訪ねてみないとな」
「……」
「どうしたの、桂木?」
「…なんでも無いですよ、西先輩」

(仮に俺が立神先輩と『融合』して、身体の主導権を握れたら…。玲と同じ状態になる…。
そうなれば、あいつの苦労も解るのかな…?)


6:「2人は大人」

ピンポーン

「果たして大丈夫なのだろうか」
「何が?」
「立神の事だ。私達全員の中で、能力のデメリットがハッキリし過ぎている」
「確か御堂は『自分』を介在しなければならない。桂木は『自分』の転送ができない。アタシは『器』しか増殖させられない…」
「私は未来の可能性しか見えない事だな。具体的にどうすれば予見した未来になるのか、はっきりとしたことはいまだ解っていない」

失礼します、オーダーは?

「すまない、カシスオレンジを1つ」
「あ、アタシ黒霧島で」

はい、少々お待ちください。

「…澪の『強化』は倍率に従った反動があることで、美香の『防壁』は…何かあったっけ?」
「一枚しか張れないのと、割れたら反動が来ることだな。鏡辺の能力は比較的扱いやすい部類だ」
「…やっぱり、千里のデメリットはデカいよね。無機物はともかく、意識のある相手と融合したら、意識まで混じり合っちゃうんだもん」
「おかげで最近、立神の視線が男のそれになっているのが否めないんだ」
「わかるわー。刃に見られてるのと似た感じがしてるのよね」
「日下部と三倉は男女のつきあいなのだから良いではないか。 私なんか最近立神にセクハラをされてるんだぞ…?」

「無機物となら平気だったんだけどね。武装船と融合した時は格好良かったんだけどさ」
「問題が顕在化したのは、喋らない相手からの情報収集の為に、他人と融合した時からだったな…」
「そこから千里の変化が始まったのよねー」
「元々おっぱい星人だったのが、今では立派なセクハラ魔人だ。侵蝕度合がどの程度か、気になってしまうんだ」
「『転移』しようとする御堂を『防壁』で止められたって、美香から報告あったし、どうにか『防壁』で抑えられれば良いんだけどね…」
「だがそれをしたら、御堂か鏡辺の『防壁』、片方を封じる事になる」
「いっそ千里が言ってたようにさせてみる?」
「…桂木との『融合』か」
「あそこまで暴走するんだったら、桂木と混ぜて大人しくなるのを期待したいな、と考えたのよね」
「その結果、桂木まで立神のようになったら手におえないぞ」
「問題はそこなのよね」

お待たせしました、カシスオレンジと、黒霧島です。

「来た来た、はい」
「すまないな」

「いっそそうさせたらどうなるか、河原畑に聞いてみよっか?」
「兄の一貴なら、『演算』でどのような状態になるのか予想はしてくれるしな」
「あー…アタシアイツ苦手。思考速度が速くなりすぎるから、こっちが何も言わなくても勝手に予想して動くんだもん」
「トラップ設置など、それが良い方向に動いてくれる時もあるんだがな。良くも悪くも、一貴は指揮にしか回せん」
「弟の幸二は…ありゃダメか。『変質』は直接触れられないと発動しないから、どうやって『心』を掴むんだって話になるわ」
「私達では方針や対策を立てる位しか出来ないか…」
「明日、2人にどうしたいのか直接聞いてみよっか」
「それが一番だな。…もっとも」
「もっとも?」
「必要無くなってる可能性もある訳だが…」
「…何か、見えてる?」
「可能性の話だよ」
「どうすればいいか、見当ついてる?」
「サッパリだな」


7:「肉体の悪魔」

「俺は美香の体を使わせてもらってるとはいえ…、自慰はしたけど最後の最後はしなかった」
《うん》
「美香はまだ…『女の子』だから、破る訳にも行かないじゃないか」
《玲くんは、ちゃんと美香の体の事を考えてくれるんだね》
「当たり前だろ。…だからさ、美香」
《うん?》
「その電動ディルドから出てきてくれ、頼むから…」
《えー…。ちゃんと玲くんに女の性感を教えてあげたいんだけど、ダメなの?》ウィンウィンウィンウィン
「その為に美香が自分の処女を破くなんて、ダメに決まってるじゃないか」
《やっぱりダメだよね。…うん、わかってた。だったら…》
「だったら?」
《玲くんが自分で、美香の初めてを受け止めてくれるの?》
「…あ、そういう事になる?」

《そうだよ。美香が自分で破るのがダメなら、玲くんがしてくれるんでしょ?》
「そうしたいのはやまやまだけど、今の俺じゃ…、その、無いじゃないか…」
《あっても破れない…。だから代わりになる物を持って来ようと思ってね》
「それでディルドか…。…うん、気持ちは解る、ありがとう美香」
《えへへ、どういたしまして》
「でもな、それじゃないんだ。出来る事なら俺は、俺の体で美香を抱きたかったんだ…」
《今は2人で1つの体だから、自分を抱き締める形になるのかな》
「そういう事じゃなくて…、男と女として、でな?」
《えっち…、したかったんだよね?》
「…うん」
《美香も…、したかったな》

「俺が『転移』に失敗しなかったら、きっと出来てたのかな?」
《かもしれないけど…、美香と玲くんの関係は、今とはちょっと違ってたかもね》
「融合しなかったら、ここまでしっかり繋がれなかったからな」
《うん。だからこそ、美香はこれで良かったって思うよ?》
「けど、とかでも、とか思うのは確かだけど…、それは俺も同じだ」
《それじゃあ…、玲くん》
「なんだ、美香?」
《いつもみたいに、挟んで?》
「…ディルドから出たらな」

「玲、美香ちゃん? あんまり夜更かししてると明日に響くぞ?」
「分かったよ親父。…今日は新聞に出てたグラビアアイドルに『変容』してるのか?」
「お、よくわかったな。どうだ玲、親が若いとやっぱり嬉しいか?」
「年がら年中日替わりで女性になってる親だと恥ずかしいよ!」
『玲くんのむっつりスケベって、絶対村雨おじさんの遺伝だよねぇ』
「男はいくつになってもエロイぞ!」
「胸張って言うなこのダメ親父!」


8:「親は親でも子は子たれ」

『昨日の夜は騒がしかったねぇ』
「親父をおふくろがとことん攻めてたしな…」
『アレで整体師だっていうから、おばさんは凄いよね。何というかもう、活殺自在?』
「おかげで体調不良知らずだけどね」
『うん、美香も美鶴おばさんにマッサージしてもらったら、肩こりとか全然感じなかったよ』
「問題は…」
『村雨おじさんの声、えっちかったよねぇ…』
「おかげで寝不足だし、声だけで濡れちまってたし…」
『…気持ちよかったよ?』
「どういたしまして」
『思い出したら…、あ、また濡れてきちゃった』
「うわっ、こっちまで濡れるんだから待てって美香!」
『良いでしょ? 今日は学校お休みなんだし、美香の部屋でしっぽりしよ?』

「お邪魔しまーす…」
『ただいまー』
「…今日もおばさん、帰って来てないみたいだな?」
『だね。出張の真っ最中だし、まだあと一ヶ月は帰ってこないかな』
「助かった…。ただでさえ超常現象対策班の活動や、俺との関係も認めてくれないしさ…」
『…いっそこのまま駆け落ちしちゃおっか?』
「吝かでもないけど、1人だけで消えたら失踪ととられかねないぞ」
『別にいいよ。その場合は三倉先輩に美香達の体を『増殖』してもらって、片方に美香が、片方に玲くんが入って、一緒に駆け落ちするから』
「1人じゃないから大丈夫、ってか?」
『うん。玲くんもそうだよね?』
「あぁ、そうだな」
『じゃあ…、ね、美香の部屋で、いっぱいシよう?』

「ん、ぁ…、下着が、もうこんなに糸引いて…」
『えへへ、美香がえっちなこと考えたら、玲くんのお股濡れちゃってるね』
「だから待てって言ったのに…。触れるぞ…?」
『んぅ…! 優しく触ってくれるんだね』
「当たり前だろ? 乱暴になんて出来るかよ」
『ちょっとくらいは乱暴にしても良いのにー』
「そうそう、出来るか…っ、ん、ふ…っ」
『玲くん、おっぱいも…触るだけじゃなくて、吸ってみて?』
「あ、ぁん、ちゅ…、んぅぅ…! ちゅ、ふぅ、ぅぅ…!」
『えへへ…、美香の体で一人エッチして…、玲くんが気持ちよさそうにしてる…。美香も良いよ、だから、イこ…?』
「んっ、ぅ、く…っ、んうぅぅぅ…!!」

『あー…、んー…、えへへ、気持ちいいね』
「何度もイって…、疲れたよ…」
『でもその分、美香は玲くんを感じられたよ?』
「俺も、だよ…」
『? 玲くん、玲くんの携帯にラインが来てるよ』
「え…? …鈴じゃないか」
『ほんとだ、桂木くんからだね』
「…話したいことがある、か。悪い、美香。付き合ってくれ」
『うん良いよ。聞かれたくない話の場合、『転移』するね』
「頼む」


9:「きみとぼく」

「…あれ、立神先輩?」
「や、玲。…身体は立神千里でも、中身は俺だよ、桂木鈴だ」
「『融合』したのか? でも何で…」
「気の迷い…なのかな。こうすれば鏡辺とくっついた玲と、普通に話せると思ってさ」
「…そういえば最近、鈴はずっとうつむいてたり、俺の方を見なかったりしてたな」
「実はさ…。多分、俺は2人が好きなんだ。
ずっと親友をしてきた玲と、どこかで女の子として好きだった鏡辺と…。2人が一緒になって、どう付き合えばいいのか解らなくなって…、
それでも気づいたのは、やっぱり2人が好きなんだって事でさ」
「…あぁ」
「2人がくっついて、玲を女として意識したり、鏡辺を玲と重ねて見てしまったり…。
男としてか、女としてか。それが解らなくなったんだ。
こんな状態じゃ二人とどう付き合えばいいのか解らない。いっそ同じになれば…と思ってね」
『…だから、立神先輩と『融合』したの?』
「今は体を使わせてもらってるけどね」

「…大丈夫なのか? その、心の方とか…」
「今はまだね。…時折、立神先輩の精神の影響で女性に色々シたい気分になるけど、男の性欲が元だから俺は慣れてるし、まだ平気なんだ」
『それで、立神先輩とくっついて、桂木くんはどうしたいの?』
「率直に言うと、一歩踏み込みたいんだ。男同士でも女同士でも…、男女の関係でも良い」
『それって…、エッチしたいってこと?』
「それも少しある。…鏡辺の体に触れたいって言うのが、もうちょっと大きい」
「…だったら、手を繋いでみるか?」
「良いのか? それ、男同士がするような事じゃないだろ?」
「何言ってるんだよ。俺は美香の体だし、鈴は立神先輩とくっついてるし、今の見た目は女同士じゃないか」
「…それも、そうだったな」
『それじゃ桂木くん、握手っ』
「……ありがとう、鏡辺」


10:「かわらばさん、ネタ提供ありがとう」

「言った通りだろう。桂木の抱いた疑念など杞憂でしかない」
「だからって、聞きに来たあいつを突き放すような良い方しなくても良いじゃねぇか」
「下手な慰めは傷を深くする。桂木の性格から虚飾抜きで突き放せばいいと判断したまでだ」
「相変わらずよく視えてるな、兄貴はよ」
「計算の結果だ。それが視えれば十分だろう」
「桂木の考えまでは解らないんじゃないか? それに…」
「……何をする」
「いつも通りだよ。兄貴を姉貴に『変質』させてんの」
「…これだけは理解できないな。触れている幸二も同じものに変質してしまうデメリットがあるのだぞ」
「俺が女になっても、困ることなんて無いからな。じゃあ姉貴、今日も…」
「…仕方ない。お前の弱点は識り尽くしている。返り討ちにしてやろう」


11:「御堂家夫婦性活」

「ほうほう、これが今の美香ちゃんの身体、…美鶴は、出かけてるよな? ならば今の内に…」
「村雨さん、何をしているの?」
「ッ!? み、美鶴…?」
「スケベなのは重々承知してましたけど、娘候補の子の体にまで『変容』するなんて…、村雨さんって人は…」
「ま、待て、この体は息子の物でもあr」
「問答無用です。ふぅ…っ」
「…おっ、あ、は、ひぃ…っ! みつ、る、今日は、なにを…っ!?」
「性感のみ増幅させるウィルスを吹きかけました。薬ではありませんが、媚薬と言い換えても良いですね」
「ひいぃぃんっ!!」
「今村雨さんの体は、ウィルスが死ぬまで、息を吹きかけられるだけで絶頂する位のはしたない身体になってます…」
「あ、ぁ…っ」
「恐がらないでくださいな。肩が凝りそうな体を、マッサージしてあげるだけですから。ねぇ、む・ら・さ・め・さ・ん?」


「ほぉら、張りのある胸がこんなに震えて…。先っちょも随分固くしてるんですね」
「だっ、て、美鶴が敏感にさせてるからで…っ」
「さっきも言いましたけど、性感のみを増幅してるんですよ? 感じているのは、村雨さんが“そう思っている”からじゃないんですか?」
「そう、かも、しれないけど…、触り方が、なんかやらし…っ、いぃっ!?」
「女の子の体に合わせたマッサージをしているだけですよ。違う方法を望むなら、『変容』を解除すればいいじゃないですか」
「まっ、待って…、気持ちよすぎて、能力の発動が…」
「それでしたら、このまま続けましょう。足を開きますよ?」
「ひゃ…!」
「…あら、シーツをこんなに塗らしてしまって。村雨さんはこらえ性が無いですねぇ」
「仕方ないじゃ、ないか…、美鶴が…」
「…私が?」
「美鶴が…、うまいんだから…」
「…あら、嬉しい事を言ってくれるんですね。ではここからは、遠慮無しにいきましょうか…」



12:「女の体の男同士」

「…なぁ玲。今鏡辺はいないんだよな?」
「そっちこそ。立神先輩の意識だけ『転移』させたんだろ?」
「意識の『転移』なんて、出来るものなんだな」
「俺と美香の事例から、不可能じゃないと判断しただけだ。そして今は、一つの体に一つの意識だけ…」
「鏡辺と立神先輩は、玲の部屋の稼働フィギュアに入ってる」
「邪魔は入らないな」
「あぁ。…だからこそ」
「だからこそ、出来る」
「男二人だけで買いに行った女物下着の見せ合いが!」

「玲はスポーツインナーがメインなのか」
「身体を動かす必要がある関係上、どうしてもな。三倉先輩にも用意しとけって言われたし」
「それだけ胸が大きいと…、やっぱり肩がこるのか?」
「どうしてもこるな。母さんにマッサージしてもらって、大分楽になってるよ」
「それに引き換え立神先輩の体は…」
「そっちの何が悪いんだよ。背が高くて、バランス良いじゃないか。モデルも出来ると思うぞ」
「小さくてかわいいものに憧れる…、っていうのも、立神先輩の中にあるんだよ」
「…それ、性欲もあるんじゃないか?」
「多分にある」

「鈴の方はどんなの買ったんだ?」
「俺の収穫は…、見ろ!」
「こ、これは…、大事な所を隠さない、スリット入りのレース下着!?」
「そう、立神先輩は18歳。だからこんなアダルティな下着もいける…!」
「くっ、TATUSYAのアダルトコーナーに入れない身分が恨めしいぜ…」
「『融合』の度合いを調整して、立神先輩と俺の要素を半々に混ぜた姿であれば、男に見えるから借りに行っても平気だ。
悪いな玲、一足先に大人の階段上らせてもらったよ…」
「いや別に良いんだけどな、俺は美香と一緒にシてるし」
「…そうだったよ、玲はそうだった。鏡辺と一緒だから…」
「鈴も立神先輩と一緒なんだろ? そういう事はしないのか?」
「する。けれど立神先輩の趣味で…、俺の棒から出す事の方が多くてな…」
「さもありなん…。鈴と『融合』しててなおの事、男の意識の方が大きいもんな」
「けどな、女性としての手で触られると…、元の時よりずっと感じやすくてな…。これが鏡辺の手だったらどんなだろうって、ずっと思ってるよ」
「…やらねぇぞ?」
「くっ」

「まぁそれはいい、玲が了承してくれた時の楽しみにしておく。後でお互い、買ってきた下着を付けて写真を撮って送ること」
「色気は俺の方が圧倒的に不利じゃないか」
「だったら玲はポーズで頑張ってみろ。俺も可能な限り、扇情的に撮ってみるから」
「あー…、そういう意味じゃそっちにいる立神先輩の存在はデカいな」
「男と女と、1人で両方の視点でアドバイスくれるからな」
「美香は最近、『他の人にあんまり見せちゃダメ』って言ってくるから協力取り付けられないんだよ…」
「じゃあ村雨おじさんは…、……ダメだな」
「あぁダメだ。最近美香の姿に『変容』して、母さんに責められるソフトSMやってやがる…」
「お盛んだよな、あの2人。玲に弟妹が出来ないのが不思議だよ」
「親父がいつも女性の姿になってるから、疑似的に女同士なんだよ。デキるはずも無いんだ…」
「そうか…。…そろそろ向こうの話し合いも終わる頃か。お互い戻らないといけないな」
「よし、そんじゃ鈴、また明日」
「あぁ、またな」


13:「親から見た子供のこと」

「珠重の考えも理解できるわ。超常現象対策班の活動は、いつだって危険だもの」
『それを理解してくれるなら、美鶴先輩からも言ってやってください』
「対策班の活動を止めろ、って? 本人たちが望んでやっていることを?」
『…無理だと言いたいのですか?』
「言っても聞き入れないと思うわよ」
『誰かがやらないといけないから、ですか』
「だから私も村雨さんも所属した。珠重も『吸収』なんて能力を持ってたから所属した」
『そこは確かに、そうですけど』
「…そして、加々美君が死んだ。だから辞めさせたいのよね」
『お見通しなんですね、美鶴先輩は』
「うちの子は実家住まいだもの、いつか大怪我してしまわないか。出動した時はいつも恐ろしく思っているわ」
『…引きずるのは良くないと思っています。だけど加々美は、夫は、美香を抱くことなく逝ってしまいましたから…』

「だから美香ちゃんにも辞めてもらいたい」
『できる事なら、玲くんにもです。あの子の能力では、目の届かない所に行く事の方が多いじゃないですか』
「だから2人のお付き合いを認めたくない」
『…心配なんです、私は。できる事ならこんな長期の仕事なんて早く終わらせて、一刻も早く帰りたい』
「だから余計に心配になる」
『……美鶴先輩』
「なぁに、珠重?」
『たまに、あの子たちの能力が逆ならば、と思った事、ありませんか?』
「無いわね」
『…アッサリしてますね』
「私達の子だからこそ『転移』能力を持つ玲が産まれた。あなた達の子だからこそ『防壁』能力を持つ美香ちゃんが産まれた。
そこだけは信じてるし、きっと変えられないわ」
『意味のない“もし”を考えるな、って事ですか?』
「そこまでは言わないわ。ただ、信じてあげなさいってだけ」
『美香の事?』
「美香ちゃんと、彼女が好きな人の事よ」

『つまりは2人の事を…、って事ですね』
「いい加減珠重が認めてくれないと、あの子たちも爆発しちゃいそうだしね」
『…解りました、今度帰ったらしっかり玲くんと話してみます』
「……今度?」
『美鶴先輩? なにか玲くんの方に問題があったんですか?』
「…………いやー、なんて説明したらいいのかなと思っちゃって」
『何かあったんですね?』
「とりあえず命の心配とかじゃないわ、そこだけは安心して」
『はぁ、そいうことでしたら解りました』
「玲と話す前に、じっくり状況を説明するから。…とりあえず今は、あなたの仕事を優先させてね」
『はい。美香の事、よろしくお願いしますね』


14:「案ずるより」

『ねぇ玲くん。お母さんが帰ってくるの、あと2週間くらい後だね』
「それまでにどうにかしないといけないんだよなぁ」
『どうにか…、どうしよっか?』
「それを考えてるんだよ。このままおばさんに話すのはダメだろうし…、
どうにかして別々の体に分けられれば良いんだけど…」
『えー…』
「…嫌なのか?」
『…ちょっとね。できる事なら、ずっと一緒にいたいなぁ』
「それは…、俺もだけどさ。やっぱり真ん前から美香を抱きしめたいっていう思いもあってな…」
『鏡相手じゃ…、ダメだよね』
「あぁ、見るみられるならいいんだけど、それだけじゃ足りないって思う部分もあるんだよな」

『んー…、んー…。玲くんが等身大フィギュアに入ってもらうのは…』
「その手段も無くもないが…、等身大フィギュア、高いんだぞ…? 6桁の金額が大体だし」
『おじさんやおばさんに援助してもらうとか…』
「こんな俺の不始末にカンパしてもらうのもなぁ…」
『…それじゃあやっぱり三倉先輩の能力、借りる?』
「身体を『増殖』させてもらうか…。まずは美香だけををおばさんの所に返す為には、そうするしかないな」
『でもほとんど美香の身体だから、玲くんは変わらないけど…』
「それでも良い。…その場合出てくる問題は、俺とおばさんはもう顔を合わせられないってことだ」
『あ、そうなるとお付き合いとか結婚の報告とかできなくなっちゃう…』
「問題はそこだ」

『うー、んー…、どうしよう。お母さんにも玲くんとのお付き合いを認めてほしいのに、これじゃぁ嫌だよ…』
「他の男に美香が取られるのは俺だって嫌だ。お見合いの話を突きつけられる可能性だって…」
『やだやだ、美香だって考えたくないよ!』
「ならどうするか…」
『うーん…、うーん…! ……あ』
「どうしたんだ、美香?」
『ちょっと気は進まないけど…、どうしたらいいのか、河原畑先輩に聞いてみない?』
「それって…、一喜先輩の方か?」
『そうそう。きっといい案を出してくれるよ!』
「…そうだな。第三者の意見も聞いてみるか」


『どうした御堂。親御さんの事で相談か』
「はい、一喜先輩。…あれ、声高くありません?」
『幸二に女にされたまま戻されていない。それがなにか問題か?』
「いえ…。相談ごとで言えば、はい、さっき言われた事です」
『なるほど。鏡辺の親御さんなら、そのまま喋ればいいだろう』
「…え?」
『どうせ娘の身を案じて二人の付き合いを拒んでいるだけだ。隠し立てはせずすべて話せ』
「…それは解りますけど、大丈夫なんですか?」
『鏡辺の親御さんも対策班に籍を置いていた過去がある、理解はしてもらえるぞ。
問題は御堂がどれだけ鏡辺の親御さんの心を掴めるかだ』
「…それは、どうしたらいいんですか?」
『知るか。『演算』で予測は立てられても心の動きまでは読み切れん。混乱は常に計算の範囲外だ』
「…解りました、ありがとうございます。こうなったら覚悟決めて、男気見せてみます」
『女の体でか』
「今は一喜先輩もそうでしょう?」
『だったな』


15:「現在、過去ありき」

《ドーモ、親父=サン。息子です》
「ドーモ、息子=サン。親父です。忍者殺しのフィギュアに入ってどうした?」
《そっちこそ、今日の親父は胸が平坦な子じゃん。…親父に一つ聞きたい事があってさ》
「何だ?」
《美香の親父さんの事って、知ってるか?》
「……あぁ、加々美の事か」
《知ってるんだな?》
「知らない筈があるか。こちとら対策班創設メンバーだぞ」
《それも初めて知ったよ》
「教えなかったからな。…むしろどうして今更聞く気になった?」
《一貴先輩から、美香の親父さんも対策班に居たって事を聞いたから》
「そっかー、一貴くんかー…。出来るなら伝えてほしくなかった事だったんだがな」
《事実を淡々と突きつけてくるからなぁ、一貴先輩は。…それが今回は有難かったけどさ》
「…苦い思いもあるから、あまり語りたくはないんだけどな」
《言える所までで良いよ》
「そうするわ。まずはどこから話すかだが…」


「…加々美はね、今の美香みたいに活動の度に身体を張ってたわ」
「お父さんの能力って聞いた事ないけど…、どんなものだったの?」
「『反射』よ。攻撃を受け止めて、相手側に跳ね返す。単純な能力だけど、それ故に強力だったわ」
「なんだか美香の『防壁』と似てるね?」
「初めての発現からずっと、この街でしか確認されてない『能力』使い達だけど…、能力の質が遺伝する事は分かってるのよ」
「…じゃあ、玲くんの能力も遺伝してるの?」
「えぇ。『感染』は変化を起こし方々に散る、『変容』は1つ所に留まらない。だから『転移』という、“自分の位置を変える能力”になったと見てるわ」
「お母さんの能力が『吸収』で、お父さんが『反射』だから…」
「『吸収』は他者の要素を取り込むために、『反射』は攻撃を受け止める為に、自らの立ち位置を確立しておかなければいけない」
「だから美香の『防壁』が…、“受け止める能力”になったの?」
「そうよ。そしてきっと、美香には加々美の能力が強く遺伝したのね…」


「俺達対策班が動くべき超常現象は、名前を一括りにしても実態が様々なのは分かってるだろ?」
《あぁ。ポルターガイストみたいなのから、次元の裂け目を通ってくるバケモノから…、色々とあるな》
「俺達も似たようなモノと戦ったよ。…そうして、美香ちゃんの出産予定日にも、バケモノが現れたんだ」
《……》
「初めて見た顔のないアイツは、ハッキリ言えば加々美と相性が悪すぎた。玲、『反射』のデメリットは何か、解るか?」
《え? えぇと…、跳ね返せる攻撃やダメージに限界がある…、とか?》
「違うな。ざっくり言えば…“反射できるのは、そう認識した攻撃だけ”なんだ。
具体的に言えば、心のどこかで「無理だ」と思えば、その段階で能力が完全に発動しなくなる」
《…そいつは、どんな攻撃をしてきたんだ??
「空間を抉り取って消滅させた。突然発生する球体状の攻撃が当たった所は、スプーンでくり抜いたように消えてしまうんだ」
《だったら、逃げれば…》
「俺もそうしろと、加々美に言ったんだがな…」


「…全部、美鶴先輩からの又聞きなのだけれど、加々美は敵に向かっていったのよ」
「どうして…? 村雨おじさんが言ってたように、逃げればよかったのに…」
「『こいつを野放しにして俺が逃げたら、珠重も子供も危険に遭う。それ以上に、人を守るための対策班じゃないか』って言ってたのよ…。
どうにかする為に、『反射』を踏み込む位置にかけて、足場にして勢いを付けて…」
「……」
「突っ込んでいくから、結局、その勢いのせいで球体の攻撃を避けられなくて…」
「……もういいよ、お母さん…。もう、言わなくて…」
「…、……っ、…」


「加々美の突撃のおかげで、敵の体勢が崩れた。持ち直される前に、そいつの頭目掛けて、『変容』で膨張させた拳をぶち込んだ…」
《それで…、敵は倒せたのか?》
「動かなくはなった。ダメ押しで美鶴に、凶悪な殺人ウィルスを『感染』させてもらって、内側から腐らせて殺した…」
《それでようやく…、だったのか》
「加々美の方は…、心臓を掠めて胴の大半と膝まで、そして右肩から先が大きく消滅していた」
《それじゃあもう…》
「…あぁ。無念だったよ。どうしようも無かった…」


村雨、センパイ…、

あぁ…

俺、もうだめ、みたいです…。

すまない…、俺達では、助けられない…。

良いんですよ…。自己満足ですが…、俺としちゃ…、珠重と子供が無事なら…。

あぁ、きっと無事だ。無事に生まれてくるから…。

…二人を、頼みます。


「……」
《すまねぇ、親父…。そんな事、語らせちまって…》
「良いんだ、お前たちが対策班の活動を続けるのなら、遅かれ早かれ語っておくべき事だったからな」
《…このこと、みんな知ってるのか?》
「あぁ。理解した上で対策班に属している」
《そうか…。……そうなんだよな》
「玲はどうする? 嫌なら対策班から籍を抜いても構わないが…」

「正直に言うとね、私は美香に対策班の活動を止めてほしいと思ってるの。
これ以上危険な目にあってほしくない。加々美の能力特性を強く継いだからこそ…、危険も多い。
…心配なのよ、どうしようもなく」
「ありがとう、お母さん。…でもね、美香の考えは決まってるの」


「続けるよ」 /《続けるよ》
「…どうして?」/「…理由を聞こうか」

「お父さんがそうまでして守りたかったのなら…、能力と一緒にその想いも継ぎたいって思ったの。でなきゃ…」

《美香の親父さんがそうまでして守った美香が、想いを継いでいつも『防壁』を、身体を張ってる中で…、男の俺が逃げ出したんじゃ…》

「《大切な人に対して胸を張れないの/んだ》」



16:「みかとともにいる」

《そんな事もありまして》
「お母さんにお願いしたい事があります」
《…大きな事故がありまして、俺と美香は合体してしまいました。こんな事を言うのもなんですが…、彼女を傷つけた責任は全身全霊で負います!
お願いします、美香さんとのお付き合いを…、続けさせてください!》
「美香からもお願いします!」
「……」
《…………》
「……………………」
「玲くん。いくつか…、約束してくれるかしら」
《はい》
「浮気はしないこと。それと…、美香を1人にしないこと。それを守ってくれるのなら、認めるわ」
《…、はい! 必ず守ります!》
「お母さん…、良いの?」
「対策班の活動も続けるんだから、これ以上意地張っても仕方ないでしょう。もう二人とも、自分の行動に責任を持っていけるようにもなったでしょうしね」
「…ありがとう、お母さん!」
「敢えて玲くんに1つツッコミ所を挙げるなら…、なんで今の姿が強殖装甲なの?」
《いや、だって他のって火星ゴキブリとかシンキング・マンとかなので…》
「後は女の子のフィギュアばっかりだもんねー…」
「…やっぱり許可を出すのはやめておくべきだったかしら」

『えへへー♪』
「昨日からずっとご機嫌だな、美香は」
『だってー、お母さんから公認貰ったんだし、これでずっと一緒にいられると思うとね♪』
「そりゃ確かに…、な」
『玲くんの声も嬉しそうだね、えへへー。…あぁもうだめ、ニヤニヤ止まんない!』
「ちょっと待て美香、俺の方までつられて笑いそうに…、鈴が来るから我慢してくれ!」

「玲、おはよう」
「あぁ鈴、おはよ…。今日は鈴の姿なんだな」
「学校の時くらいはな。話は村雨おじさんから聞いたよ。…鏡辺と正式に付き合うことになったんだってな」
「あぁ…、そうなった。ちょっと鈴には悪い気がするけどさ」
「良いよ別に。考えてみれば最初から勝ち目のない勝負だったんだしさ。そう思えば、納得もするよ」
「すまないな、期待を持たせるような事したりして」
「気にするなって。…悪いと思ってるなら、後で胸を揉ませて乳首イキする姿を見せてくれ」
「鈴、お前、立神先輩の影響受けてるだろ?」
「少しだけな」

「…変なところまで行ったら『転移』して逃げるぞ、俺は」
「そこに行くまでは触らせてくれるんだな?」
「ジャッジは美香に任せる」
「それを楽しみにしつつ、今日の学校を頑張らせてもらうよ。んじゃ先に行くな」
「あぁ、んじゃまた昼に」

『桂木くんと立神先輩、くっついちゃえば良いのにね』
「物理的にくっついてるけどな。…でも、あの状態だから前よりずっと落ち着いてるのは確かなんだよな」
『立神先輩が“男の欲望”に振り回された結果、セクハラ魔人になっちゃってたから、ある程度自制できる桂木くんがくっついた事でバランス取れたんだっけ』
「一貴先輩の見立てではその筈だって。安定させる為にもしばらく『融合』したままでいるみたいだし…」
『これで安心して、美香達もいちゃいちゃできるね?』
「でもその前に…」
『学校だっけ』
「あぁ、美香と…、先生が協力してくれてるけど、俺の分の単位、二つ取らなきゃいけないから大変だ」
『大丈夫だよ、きっと二人ならできるよ』
「あぁ。頑張ろう」

『卒業したら、結婚しようね』
「それまでに体を分ける手段も見つけておこうな」
『2人で子ども、一緒に産もうね』
「痛いって聞くけど…、怖気づいてられないな」
『元気に育てて、子供と一緒に歳を重ねようね』
「珠重おばさんに抱かせてあげたいし…、親父たちにも自慢したいな」
『対策班としても、親としても、戦っていこうね』
「絶対片方が欠けるなんて事はしないし、させない」
『えへへ…。ねぇ、玲くん。今美香が言いたいこと…、わかる?』
「当たり前だろ? 同じ体で、同じ気持ちを抱いてるんだから」
『じゃあ一緒に言ってみよ? せーのっ』

「『大好き。愛してる』」



番外1:「カルマ底無し沼」

「失礼します。ご依頼主の叶野幸栄さんですね。
初めまして、ボディーガード兼“代理人”の、御堂村雨です。
…えぇ、広告の通りです。通常のボディーガード業務の他、ご要望があれば一定期間あなたの「代理」を行います。
方法に関しては企業秘密という事で。納得いかなければ忍術みたいなものだと思ってください。
どうしても抜けられない仕事と、どうしても外せないプライベートの両立の為に、自分の体がいくつもあればと思った事は、一度や二度ではない筈です。
それを疑似的とはいえ行う為に、この仕事に就いたものですので。

さて、詳しい話をお聞きしましょう。今回あなたはお仕事側の代理人を頼まれましたが…、研究者ですか。
あぁいえ、さほど詳しいというわけではありませんが…、ご心配なく。記憶力だけはいいもので、見たもの聞いたものは覚えてしまうんですよ。
管理職でもある叶野さんが今統括している事など、ある程度を教えていただければ、大きな問題が起こらない限りは代わりは出来ます。
…え、疑問が残る? そうですねぇ…、叶野さんはテレビは見ていらっしゃいますか? 例えば四日前の生放送だった音楽番組なんですが。
アレの内の1人が自分だったと言われたら、信じます? 良ければお見せしましょうか。

…ご理解いただけて何よりです。問題が無いようでしたら、お話の続きをいたしたい所なんですけど。

……はい、はい。…成る程。
解りました、では翌日は私が叶野さんとして出勤しますので、家を出てから所定の場所で落ち合いましょう。その後交代という事で。
これでお暇させていただきます、叶野さんは早めにお休みください。デートはベストコンディションでの状態が良いでしょうしね。
では、また明日。


…入手できたのは髪の毛が3本。あ、む。
…全部本人のものだな、友人か誰かが入ってればなお良かったんだけど。…ふむ、お相手は二回りも違うのか。俺より上とは、大分年上趣味なんだな。
まぁ良いか。これが「叶野幸栄」のデータだから、明日は他人の記憶と混同しないようにしておかないとな。

帰ったらたっぷり堪能してみてよう」



番外2:「若かりし、在りし日の2人」

「鏡辺加々美さん?」
「…そうだが、アンタは?」
「荻野珠重。あなたも対策班に所属するのよね」
「…そうだが、それが?」
「私も同じよ。お仲間って事でしょう? よろしく」
「…………」
「ちょっと、何で何も言わないのよ!」
「必要無いと思ったからだ」

「でですね、聞いてくださいよ美鶴先輩! 鏡辺の奴ったら何言われてもなしのつぶてですよ! 対策班の活動だっていつも一人で動くなんて、おかしいですよ! せっかくこの美少女が声をかけてやってるってのに!」
「さぁねぇ。珠重が可愛いから気が引けたんじゃない?」
「やっぱりそうですよね、だったら次はちゃんと鏡辺の視界に入るように…」
「まぁ冗談なのだけれど」
「…え?」
「でも、そうやって『反射』使いの前に無理矢理ねじ込もうとすれば、弾かれて当然でしょう?」
「…私、鏡辺の能力、初めて知りました。何ですかそれ」
「あら…、鏡辺君は言ってなかったのね」
「ちょっと御堂先輩に聞いてきます!」

「どういう事ですか御堂先輩。鏡辺の能力の事、私さっき初めて聞いたんですけど!」
「あー…、その事か…」
「隠してたんですね?」
「悪気は無かった。何より本人から言うなと言われていたからな、黙っていた」
「直球で聞きますよ、何でですか?」
「…こちらも聞くが、聞いてどうするつもりだ? あいつの『能力』で発生した、あいつ自身の問題だぞ」
「真正面から立ち向かいますよ。『反射』使いだからって何でもかんでも跳ね返せると思ったら間違いだって教えてやるの」
「揺らがないな、萩野は。ただ言わせてほしい事があるとするなら…。女性主導でも強姦罪は適応されるぞ?」
「…………」
「待て、俺を『吸収』しようとするな!」
「聞いても無駄みたいなんで、御堂先輩の記憶に直接聞きます」
「解った、話す、話すから放せ! 感覚がつながり始めている!」
「ぺっ」
「はぁ、はぁ…」
「じゃ、早く話してください」
「あ、あぁ…、ちょっと落ち着かせてくれ…」
「仕方ないですね、お茶淹れてきますので、それまでには息を整えておいてくださいね」
(…肩から前に重りが載るような感覚…、あれが女性の胸か…、……考えたが辞めていた事、女性への変容…、やってみるか…)

「聞いたわよ、鏡辺」
「何をだ。昨日の俺の行動か」
「鏡辺がそうなった理由」
「っ!? どこまで聞いた!」
「全部。御堂先輩からね」
「アイツ…っ」
「……ん」
「腕を広げて、どうしたんだ。太陽の塔の真似なら大阪に行け」
「違うわよ、抱きしめてあげるから来なさいって言ってるの!」
「…何でそうなる」
「『反射』を行った事で家族を失ったのは、私にはわからない。解るなんて間違っても言えない。けれど『能力』を怖がるのは解るわ」
「アンタは確か…『吸収』使いだったか。怖がるのかよ、そんな能力で」
「恐いわよ。…他人を『吸収』して、記憶や能力…時には生命力でさえ自分のモノにしてしまう。けれど自分であることは変わらない」
「俺とは違うな、何でもかんでも受け入れようとする。…だからその行動か?」
「かもね。私の中で、同情心が大きいのは解ってる。でもね、鏡辺を見捨てられないって思う考えも確かにあるのよ。
いくら跳ね返せる能力があったとしても、誰も近づけたくなくても、私が受け止める。
鏡辺が拒絶したとしても、何度だって近づいてあげる。私は跳ね返せない存在だって、鏡辺に教え込ませてあげる」
「…バカじゃねぇの」
「バカで結構。この考えは曲げないからね!」


「というのが、2人の付き合いの始まりだったな」
《へぇ~…、お母さんに聞いても教えてくれなかったよ》
「やはり恥ずかしかったんだろうな。なにせ押せ押せで加々美を落したようなモンだし」
《なんだか美香と似てるね。美香も玲くんを押せ押せで落としたし》
「その辺はやはり、2人は親子だと思うよ」
《教えてくれてありがとう、村雨おじさん》
「今はもうおじさんじゃないだろう?」
《あ、そうだった。えーと、…お義父さん》


その後1:「弊害とその先」

《玲くん、もう見ていい?》
「あぁ。…どうだ? ワンピースも含めて、俺の考えで買ってみたんだけど…」
《おぉっ、すっごく良いよ! それにそのビキニ、前に欲しいなって思ってた奴だ》
「やっぱりな。美香の好みから、そうじゃないかと思ってたよ」
《…んー、えへへ。解ってもらえてるって良いねぇ》



《…結局、玲くんの体は引きはがせなかったね》
「鈴と立神先輩に協力してもらったけど、もう文字通り一つになってたから、分けようが無かったって」
《病院で精密検査した結果もね。びっくりしたよ、いろいろごちゃごちゃになっててさ》
「改めて考えると、変な感覚だよな」
《うん。美香の卵巣の1つが玲くんの精巣に置き換わってたりとか、男性の身体能力になってたりとかさ》
「……これ、勝手に俺達の胎内で受精しないかな」
《今の所してないって言われてたけど…。…でもね》
「なんだ?」
《無理かなって思ってた子供、作れるかもしれないんだよね》
「…そうだな。この体の中に、俺達の子どもが宿るかもしれないんだよな」
《そうなったら、シングルマザーになっちゃうのかな?》
「2人一緒だから、シングルって訳じゃないだろ」
《あ、そっか。いざとなればどっちかが別の体に入ればいいんだしね》
「いっそ、ほんとに三倉先輩に身体を『増殖』してもらおうか?」
《…うー、んー。そうすればちゃんと二人でちゅーできるけど、一緒にいられなくなっちゃう…》
「悩むんなら、まだこのままで居るか」
《…うん。そうする》
「まだまだ前途は多難だな?」


その後2:「どちらも行ける、どこでも行ける」

「んんんんん…、てやぁっ!」
「ぅわっ、とと…、立神先輩、いきなり『融合』解除をするって何を…、わっ」
「んー? たまには鈴をきちんと抱きしめたくなってね。それより、ちゃんと名前で呼びなさい?」
「は、はい…。千里…?」
「よろしい。あー…、腕の中に大切な人がいる感触って、やっぱ良いわー…」
「後ろから抱き付くばっかりじゃなくて、俺にも抱かせてくださいよ」
「何言ってるの、後ろから抱き付いて、鈴の胸を揉むのが良いんじゃない」
「んぅ、っふ、ぅ…、千里は、『能力』が成長してから、こんな事ばっかりして…」
「良いじゃない。お互いの『融合』度合いを変えた状態で分離できるようになったんだもの、お互いの性別が変わっても何も問題無いわ」
「…それは、俺の尻に俺のモノだった棒が当たってる状態でいう事か?」
「女の度合いを鈴に渡したんだもの、わたしが男になるのはしょうがないじゃない」

「半々くらいじゃダメなのか?」
「そうしたらお互い中途半端になっちゃうからね。…ね、鈴、入れていい?」
「ダメだって言っても入れて…、ん、うぅぅ…!」
「あぁ…、はぁ…。やっぱり良いわぁ、女性の中って…。わたしの膣と鈴の棒、もうピッタリ…」
「中に入ってるのって、やっぱり慣れない、なぁ…」
「そんな事言っても、鈴の中は締まってきてるよ? 乳首を抓めば、ほら」
「ひ、んっ!」
「中がキュンキュンしてくるじゃない。ほら、もっと喘いで?」
「んぅ、は、ぁぁ…っ、千里の…、俺の、が、中を突いて来て…っ、子宮、こんこん、ってぇ…!」
「…あぁ、やっぱダメだぁ、気持ちよすぎて出る…!」
「んぅぅぅ…っ!」

「はぁ…、出した出した…」
「千里…、次は俺の方がしたいんだけど、良いかな…?」
「当たり前でしょ。『融合』発動…、ずぶずぶ。……離れるよ?」
「…ん、ふぅ。体は元に戻したのか?」
「そりゃぁね。今度は鈴が…、ほら、してくれるんでしょ?」
「さっき千里が出した俺の精液、まだ千里の膣に残ってるんだな」
「今度はちゃんと、鈴が注いでよ? イってないからまだ身体が火照ってるんだしさ」
「自分1人だけイって、よく言うよ」
「それじゃあ今度は、一緒にイこうか?」
「そうしたいな。できる事なら沢山シたいよ」
「だったら今夜はずっと…、ね?」
「あぁ、手を変え体を変えて…、いっぱいな…」
ひさびさに何も考えず書いてた気がします。
罰印
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数多くの無粋な要望に応えて頂きありがとうございました。m(_ _)m
35.無評価きよひこ
死神参上の続き待ってます