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続・憑依霊になった爺ちゃん4

2015/06/29 12:27:32
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!caution!
ダークなストーリーです。
苦手な方はご注意ください。

























女性登場人物

#種田明日菜…28歳・主人公の祖父が入院する病院の看護婦だった。祖父霊のメインボディ。
#祖父霊に憑依され娘を出産、現在一児の母。看護師の仕事を離職中。
#種田美駆…もうすぐ4歳になる主人公と明日菜の娘。
#青山美津子…明日菜の母親、美駆の祖母。美人で年齢の割にとても若々しい。


#楠木双葉…32歳・主人公の自宅の向かいの家に住んでいる人妻で夫が原因の不妊に
#悩んでいたが、現在一児の母。
#楠木彩葉…4歳・実は主人公の娘。本人も母親の双葉もその事に気が付いていない。

#佐伯若葉…主人公宅の近所に住んでいる高校生の女の子。祖父霊の新たなひ孫作りターゲットの一人。
#佐伯園子…若葉の母親。祖父霊の新たなひ孫作りターゲットの一人。


#小林先生…美駆が通う幼稚園の先生。











…………。

えっと…。

どうすりゃいいんだ?

喫茶店のトイレの中、ジュニア(しかも勃起済み)丸出しで気絶中の俺の本体…。
俺はパンティー脱ぎ掛けのウェイトレスの姿…。

「おいっ!起きろ!エイリアン爺っ!俺を元に戻せっ!俺を社会的に殺す気か!!」

俺は、俺の本体の顔をべしべしと引っ叩いた。

「う~ん…。お目覚めのチュゥ~♥がないと起きれんのぅ…。ほれ、ぶちゅ~♥」
俺の本体が目を瞑ったまま言った。

唇を突き出してタコ口をしていやがる…。


「もういっぱつブチ込みますね♪」

ニコッ!

俺は笑顔を浮かべながら足を振り上げた。

「だーー!!?やめいっ!種無しになったらどうするきじゃぁ!?わかった!わかった!元に戻すわい…。」

次の瞬間、俺はトイレの床にひっくり返った状態で若葉ちゃんを見上げていた。
股間からは鈍い痛みが感じられる。

「痛つつ…。やい!こらっジジイ!ちゃんと若葉ちゃんを元に戻すんだぞ!」
俺は身なりを整えつつ言った。

「はい、はい…。大人しくワシの(明日菜の肉体)に帰るわい。ワシの腹の中の赤んぼが心配じゃからのう。」

ジジイ…、悪霊のおめー自身が一番の心配ごとだっつーの!!!

…と、怒鳴りつけたかったが自重した。
また拗ねられたらかなわない…。


こうして俺は、美駆を連れて喫茶店から出て家に帰ったのだった…。



…その日の夜


美駆を寝かし付けた俺は、居間でパジャマ姿で寛ぐ明日菜(爺ちゃん)に疑問をぶつけた。

「なあ爺ちゃん…。俺が明日菜の中に中出しするようになってから妊娠するまで、ちょっと早すぎる
気がするんだけど…。」

明日菜(爺ちゃん)は自分の下腹部を擦りながら言った。

「なんじゃ?今気が付いたのか?暫く前からコンドームに穴を開けてたのに気が付いてなかったんか?ふひひ♥」
明日菜(爺ちゃん)は不敵にニヤついてみせた。

やはり…そうか…。

これまで真面目に母親をやっていると思っていた俺が愚かだった…。

「まあ、『穴あき近藤』で孕むとはワシも予想外じゃった。ちょっとしたイタズラ程度に思っちょったんじゃが…。
流石は我が種田家の種じゃな!針で開けた『穴あき近藤』をすり抜けて、ワシの(明日菜の)胎に入り込むとはのう!
産まれる前から元気なひ孫じゃわいっ!♥ガハハハッ!!」

明日菜(爺ちゃん)は、下品な表情で高笑いをしつつ自分の腹をムニムニと揉みしだいている。


このジジイ……。
俺は、頭の中身がエイリアン爺になってしまっている明日菜を睨みつけた。



同時刻
【佐伯家 若葉の部屋】

「はぁ~~~、バイト先であんな事しちゃうなんて・・・まだ清彦さんの事、好きなままだなんて。
もう清彦さんは明日菜さんの旦那さんで美駆ちゃんまでいるのに・・・」
布団の中で今日のバイト先でやってしまった恥ずかしい行為に悶える若葉。
一口だけ飲んだ様子をこっそり覗き見してて、ウキウキしながら楽しんでしまった自分。
飲んだのを確信した時、思わずガッツポーズをして悪戯が大成功して愉快になった自分。
「いやぁ~~~。私の馬鹿馬鹿!明日からどんな顔して清彦さんに会えばいいのよ!や~~~ん」
ついこの前のプールの後もそうだった。
清彦さんの水着姿を見て、一緒に遊んだ為か
あの夜、異常に自分の身体に興奮して まるで初めて自慰した時のように新鮮でとても気持ちいいオナニーを一晩中してしまった。
おかげで翌日から始まったいつもなら辛い生理が、とても軽くあっという間に乗りきってしまった感じだった。

その事も加わり顔をさらに真っ赤にした若葉は、枕に顔を打ち付ける。
こうして若葉の騒がしい夜は更けていった。



…二月になった。


一月は本当に大変だった…。

爺ちゃんは生前(死んでないけど)から、一月は酒癖が特に悪くなる。
正月のテンションが冷めずに騒ぎまくるのだ。
それでもお腹の子の為に、どうにか自重させたが…。

そんな状態でも、美駆の前ではちゃんと母親らしくはしていた。
……俺は、明日菜の体の体力に感謝した。


今日は土曜日だ。

仕事が休みだったので、少し遅くまで寝ていた。

「ふあぁぁ…。」
背伸びをしてアクビをした俺はベッドから起き出して居間に向かった。


何だ?居間から音がする…。



カタカタカタカタ…という機械の作動音。
聞き覚えのあるこの音は…。

居間に入ると、爺ちゃんの遺品(死んでない)の『8ミリ 映写機』がセッティングされていて、映写機が壁に掛けられた
スクリーンに映像を映しだしていたのだった。
明日菜(爺ちゃん)と美駆がそれを観ているのだ。
そう言えば生前の(死んでな…)爺ちゃんは8ミリフィルムの撮影が趣味だったっけか…。
極たまーに、今みたいに映写機を引っ張り出したりしてたっけ。

俺は居間に隣接するキッチンからその様子を眺める事にした。
音が再生されない8ミリフィルム特有のレトロ感ある映像…。
映像の中では、俺の子供の頃の容姿によく似た少年が笑顔で駆け回っていた。

父さんだ…。

亡き父の生前の姿に目頭が少し熱くなった。


「ママこのひとだれなの??」
美駆が明日菜に質問した。

「ふふ…、この人はね美駆の死んじゃったお爺ちゃんなのよ…。」
明日菜(爺ちゃん)が少し寂しそうな様子で答えた。

「ふーん。そうなんだー。」


…馬鹿でエロい爺ちゃんだが、家族を大切にしていたのだ。
それを知る事が出来て嬉しかった。



カタカタカタ…カヒュン…。
8ミリフィルムの再生が終わり、映写機が空回りし始めた。

「それじゃあ、もう一本再生するわね♪」

そう言うと明日菜(爺ちゃん)は、手慣れた手付きで別のフィルムを映写機にセットして映像の再生を始めた。


!!!??
映像を見て俺は凍り付いた。

セピア色の映像の中で、男女が素っ裸で……セックスをしている!??
映像の中の男がカメラに向かって顔を向けた。
男はひどくニヤついた表情をしている。


その顔は…若い頃の馬蔵爺ちゃんの顔だった。


「ママこのひとたちだれ?なにしているところなの???」
美駆が明日菜に聞いた。

「ふふふ…♪この人達はね。美駆のひいお爺ちゃんとひいお婆ちゃんよ♪ひいお爺ちゃんがひいお婆ちゃんに
種付けをして、美駆のお爺ちゃんを作っている所なのよ♥♥♥」

明日菜(爺ちゃん)が笑顔で言った。


じじいいいいいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーー!!!!!???



俺は駆け寄って美駆を抱き上げると明日菜(パラサイト妖怪糞爺)の後頭部を軽くはたいて部屋から連れ出す。
出来る事なら本気でぶん殴ってやりたいところだが、明日菜の身体だからな。
そのままお散歩に行こうと言うと美駆は喜びながら自分でお外に出掛ける時の上着を取りに行った。
最近はなんでも自分でやりたがる。
成長しているんだな。
また赤ちゃんが明日菜のお腹にいることでお姉ちゃんの自覚も生まれたのもあるんだろう。

玄関を出ると偶然若葉ちゃんと出くわした。


「おはよう美駆ちゃん ♪ あっ!お、おはようございます。き、清彦さん」

なんかここ最近、そう。
あのアルバイトの喫茶店に行った頃から若葉ちゃんに避けられてるような気がするだけど気のせいかな?

・・・まさか 爺がしでかしたアレ、覚えているのか?
まさか・・・ね。(冷や汗)



「やあ、若葉ちゃん…。」

「清彦さん、ミクちゃんを連れてお散歩ですか?」

「う、うんそうなんだよ。若葉ちゃんは買い物か何か…う?わっひゃっ!?」


背筋に怖気が走り、一瞬意識が遠のいた。


…良く見ると若葉ちゃんは頬を染めいて、額に薄らと汗をかいているではないか!?
大変だ!!!すぐにシャワーで肢体を洗ってあげねば!!

俺は若葉ちゃんに言った。
「若葉ちゃん!良ければ…いや是非!、我が種田家で遊んでいってくれたまえ!今日!今すぐ!!」

「え?で、でも身重の明日菜さんがいらっしゃるのに、突然お邪魔しちゃご迷惑に…。」

若葉ちゃんは戸惑った様子だ。
なんて初々しいんだ!!



そうだよな。
若葉ちゃんの言う通りだ。
だいたい若葉ちゃんの自宅だって目の前なのに何故わざわざ種田家でシャワーを浴びせて俺が洗ってあげないといけないと思ったのか?
急に冷静になった俺は 「それもそうだね」 と言おうとした。
だが断りかけてた若葉ちゃんが笑顔で逆に乗り気で
「じゃあお言葉に甘えてシャワーお借りしますね♪」
と俺の腕に抱きつき俺の家の玄関を開ける。
玄関には明日菜が居て
「美駆はワシがお散歩に連れていくから心配しないでネ。1時間は戻らないから ♥」とウインク。

「いや、あの、すいません。わ、わたし 急にそのつもりになっちゃって・・・」
あたふたする若葉ちゃんにニコリと笑みを浮かべた明日菜はそのまま美駆と一緒に行ってしまった。

途端に若葉ちゃんの態度が豹変し、
「明日菜さんが気をきかせてくれたんですから早速二人でシャワーを浴びましょう ♥」
と脱衣場に俺を引っ張っていった。



俺と若葉ちゃんは脱衣場で服を脱ぎ始めた。

俺はササっと着ている物を脱ぎ捨てて全裸になったが、若葉ちゃんは恥ずかしそうに
俺に背を向けて服を脱いでいる。
ブラとパンティーだけの姿になった若葉ちゃんは、先にパンティーを脱いだ。

「ほっほーう!うほほ~Wほっほっ!WW」
染み一つない張りのあるプリプリの尻を見て、俺は思わず感嘆の声を漏らした。

…実に素晴らしいケツだ!明日菜ほどの大きさはないが、何より若い!若さは貴重だ!
こういう若さ溢れるケツは、元気な赤ん坊を孕んで産めると古より知られているのだ。


視線を降ろして自分の股間を見てみた。
ジュニアが巨大化して、亀頭が赤黒く変色している。
『袋』からジンジンとする感覚がして、袋のなかの種田家の子種たちが若葉ちゃんの胎内に入り込みたくて
ウズウズとしているのだと思った。



ん?
何かおかしい。
「何かおかしいな」
そう呟いた途端、その考え自体がおかしい、これが普通なんじゃ!と思えた。
なんでおかしいとワシは思ったんじゃか。まったく油断も隙もあったもんじゃないわな。

ハッ!
爺ちゃん!俺に乗り移ってるだろう!
俺から出てけ!

なんと清彦は初めて自分の意思で乗り移っていた馬蔵の半魂を身体の中から追い出す事に成功した!

「な、なんじゃと!?」
びっくりした様子の若葉ちゃん。
どうやら俺の身体から追い出された爺は若葉ちゃんに乗り移ったようだ。



「ならこれはどうじゃ!」
一瞬の目眩、気付けば素っ裸の俺がニヤついて俺を、正確には若葉ちゃんの身体を見ている。
「さあ若葉ちゃん、一緒にシャワーを浴びるんじゃ」
俺はふう~と深呼吸すると正に勃起してギンギンになっている息子を蹴りあげた。
爺は変な声にならない悲鳴をあげて気絶した。

危ないところだった。



う……、ぐぬ!?

『危ないところだった。』

と、若葉ちゃんの体で安心していた筈なのに…
次の瞬間、なぜか俺は床に倒れていた。

股間からはズキズキする痛みと共に、女性器に挿入した時のような温かみが感じられた。
上体を起こして股間を見てみると、若葉ちゃんが床に這いつくばって俺のチン○を口で咥えこんでいた。



ぶちゅるちゅばあっ!ずちゅちゅっ!

「うあああぁぁ…。」

猛烈な射精感が俺に襲い掛かって来た。



畜生!浅かったか!

やはり戻った時の事を考えて微妙に手加減してしまったようだ。
くっ!
それより若葉ちゃんだ!
爺に乗り移られて無理やりこんな事をさせられてる。
た、耐えろ!

また絶妙な舌使い、吸い具合、舐め加減で既に暴発しそうになっている。
先ほどの一撃の激痛故、偶然にもまだ射精していなかったにすぎないが・・・もう限界だった。

か、考えろ!このままじゃ若葉ちゃんの口の中に・・・ピコーン!
「わ、若葉ちゃんの中に出したい!」
それを聞いた若葉ちゃん(妖怪寄生虫大馬鹿ドスケベ変態爺)はニカッと若葉ちゃんの可愛い顔で笑顔を浮かべ
起き上がってアソコへ俺の息子を挿入しようとした。
だが俺は若葉ちゃんの口が離れ、立ち上がった瞬間に床に向けてドピュッと勢いよく射精した!
「あっ!」
慌てて床に這いつくばって舐めとろうとする若葉ちゃん(妖怪糞ったれ変態アホンダラドスケベ寄生虫爺)に後ろから羽交い締めにして床から引き剥がす。
若葉ちゃんの身体にそんな変態じみた事をやらせるわけにはいかないからな。
「勿体ない~~~!」
だが成人男性と女子高生の力の差、しかも後ろから羽交い締めにされていては若葉ちゃんには何も出来ない。

そうすると爺のとる手段は一つしかない。
一瞬の目眩、そして俺は羽交い締めにされていた。
きた!
「こうなったらもう一度、今度はワシが直々に・・・ぐはっ!」



羽交い締めを解き、俺の身体(若葉ちゃんの身体)をクルリと回して向き合わせて話始めたところで今度こそ手加減抜きで必殺の膝蹴り。
手応え充分。
俺の身体の爺は泡を吹きながら白目を剥いて倒れた。
俺はその隙に素数を数えながら極力煩悩を取り除きつつ
若葉ちゃんの身体でシャワーを浴びて出ると
これまた身体を極力見ないようにしながらタオルで優しく身体を拭きあげて下着と服を着て元通りの格好に戻った。
http://www.tsadult.net/z.yotsuba/src/1430217911433.jpg
まぁ極力見ないように頑張ったが完全に見ずには着替えれずに少しだけ鏡越しでチラリと見てしまったが。

「う、痛たた・・・。清坊!もっと自分の身体を大切にせんか!」
「なら他人の身体で好き勝手なことをするなよ!若葉ちゃんをなんだと思ってるんだよ!」
「清坊の種で曾孫を生むって待った!
そう直ぐに蹴ろうとするんじゃない・・・ハァ、子供の頃は素直な良い子じゃったのに。
反抗期かのぅ・・・」



「じじい……。」

俺の怒気を抑えた声を無視してジジイは話を続けている。

「清坊に毛が初めて生えて来た時は、これで種田家の子々孫々の繁栄は約束されたと思ちょったのに
裏切られた気持ちでいっぱいじゃわい…。」
ジジイ(俺の肉体)は股間のイチモツを手で弄びながら言った。

そして、更に勝手な独白を続けている。

「若葉ちゃんの顔を初めて見た時から、我が種田家の子種を孕ませるのに申し分ないと思ちょったのに~
なんでこんなインポになってしまったんじゃキヨボウぅぅ~。」


我慢できなくなった俺は(若葉ちゃんの体)手を握りしめて拳を作り、ゲンコツを爺(俺の体)のドタマに叩き込んだ。


ゴキッ!


「あいたっ!?何するんじゃ清坊っ!元々悪い清坊の頭が、もっと悪くなったら如何するんじゃっ!痛つつ…。」
ジジイ(俺の肉体)は頭を抱えて悶えている。

誰の『頭が悪い』だ!誰の!?
この妖怪まったく反省してねえっ!!



このまま家にいたらまた何かしでかすだろう。
「明日菜と美駆のところに行ってくるから。爺ちゃんは大人しくしてて」
返事を聞く前に家を出た。
なんか自分がスカートを穿いて外を歩くのは変な感じだが、今の俺は若葉ちゃんなのだ。
明日菜達はいつもの公園かな?
そちらに向かう事にした。



本当はサラリーマンで30歳の男の俺が女子高生の若葉ちゃんとして歩くのは変な感じだ。
前回は生理痛が痛くてそんなことを考える余裕もなかったが。
などと考えていたらあっという間に公園に到着した。



公園に入ると砂場で遊んでいる美駆の姿が目についた。

美駆は俺(若葉ちゃんの体)の姿に気が付いて、こっちに走って来た。

トテトテトテトテ…。

…走る姿が途轍もなく可愛らしい!
俺の腹中に納まっている子宮がキュンッ!とする。

「ワカバおねーちゃん!一緒にあそぼーー♪」

「美駆…ちゃん。分かった…わ。でも、その前にママはどこにいる…のかしら?」

俺は少し警戒しつつ明日菜の姿を探した。



何しろ妖怪寄生虫爺がいつまでも大人しく俺の身体の中に居るとは思えない。
しかも股間を痛めていたのだ。
若葉ちゃんの身体の俺が家から居なくなったから、さっさと明日菜の身体の中に戻っていてもおかしくない。

いた!
明日菜だ!



明日菜は笑顔を浮かべつつ近づいて来た。

「あら、若葉ちゃんも来たのね♪主人(俺の事)は一緒じゃないの?」

…本物の明日菜なのか?

「え、ええ…清彦さんはご自宅にいます…。」
俺は答えた。

「そう?ごめんなさいね若葉ちゃん。主人のワガママに付き合わせちゃって。」

「い、いえ。とんでもないです…。」


…どうやら本物の明日菜の様だ。

「ねえワカバおねえちゃんあそぼーよ~?」

美駆が急かして来た。

「美駆、若葉おねえちゃんは少しお疲れみたいだから、ちょっと一人で遊んでてくれる?」
明日菜が言った。

「は~い。」
美駆は聞き分け良く、俺と明日菜の目の届くところで遊び始めた。

そして俺と明日菜は、そんな美駆を眺めつつ公園のベンチに並んで腰を降ろした。



今は本物の明日菜でもいつ、爺ちゃんが明日菜になるかわからない。
なんか爺ちゃんの霊体?魂?みたいなモノが勢いよく飛び込むと、ウッと呻いたりとか、ビクッと身震いするからわかるときもあるんだが。
静かに身体を重ねて入り込んだり潜り込まれると全くわからないからなぁ~。
さらに乗り移った身体の知識や記憶まで活用して成り済ましられると俺には全くわからない。
実は今の、この本物の明日菜に思える明日菜だって俺より先に来てて既に乗り移っているのかも知れないのだ。
ハァ~・・・、体力的じゃなくて精神的に疲れるな。
「若葉ちゃん、その、それじゃ見られちゃうわよ?」
しまった!
腕組みして考え込みながらドカッと座った為に俺は思わずがに股で座っていたのだ!
他の人に見られずに、特に男が通らなくて助かった!



「す、すいません!」
俺は慌てて足を閉じた。

「うふふ♪いいのよ♪でも、女性にとって赤ちゃんが産まれて来る所だから大切にしてね。」

明日菜は微笑みながら言った。

「は、はい分かりました…。」
あ、危ない所だった…。

俺は一人で遊ぶ美駆を眺めつつ明日菜に言った。
「………美駆ちゃん大きくなりましたね。明日菜さんのお腹の中に居たのがウソみたい。」

「うふふ♪そうね…私も時々そんな気持ちになるの。私がお母さんになってるなんてね…夢みたい。」

「そ、そうなんですか?」

「時々、もしかすると本当は今が夢で、本当の私は看護師をしていた時の私なんじゃないかなって…ね。」

明日菜……。



「若葉ちゃんは好きな人はいるの?」

明日菜は柔和な表情で聞いて来た。

「え!?え…、い、いないです…。」
だ、だよな?本人じゃないから解らん…。

「そう?早く彼氏を作った方が良いわよ?清彦の赤ちゃんを孕んで貰って、身代わりにそいつに責任を取って貰うから♥」

………………

………おい。



俺は明日菜の耳元で、若葉ちゃんの声にドスを効かせながら言った。

「おい!エイリアン!俺をとっとと元に戻せ!大至急成仏しろっ!」

「あら?若坊、いつ気が付いたんじゃ?遠慮せずにもっと女体を味わってイイんじゃぞ♥ふひひ♪」

そう言いつつ、明日菜は俺の乳房を鷲掴みして来た!

ムニュンっ♪

「あん!?こ、こら止めろジジイんは♥」

明日菜は俺の乳房(正確には若葉ちゃんのだけど)を揉みつつ、自身の乳房を掴んで揉み比べをしている。」

「流石…若い若葉ちゃんの若パイね!乳腺が沢山詰まってハリハリしてるわ♪でも、ワシ…私のオッパイも負けてないわよ♥
授乳の実践経験があるから、私のオッパイは『オッパイ大佐』ね!若葉ちゃんのオッパイはまだ『オッパイ少尉』位だから
頑張って大きく育てなさい♥♥」


明日菜(エイリアン爺)は、意味不明な乳自慢をし続けている。




「いい加減にしろ!毎回毎回…俺をたばかり腐りやがって!着地点はどこなんだよ!!どこっ!??
ハッキリ言えやオラッ!」

ブチ切れた俺は、若葉ちゃんの外聞をかなぐり捨てて怒鳴った。

「き…、清坊?お、お、落ち着けっ!」

狼狽した様子の明日菜(爺)は、目をパチクリさせて戸惑っている。

若葉ちゃんの肉体の俺と、明日菜(爺)の口論を見て、美駆が怯えた表情をみせて泣き始めた。

「うぇ~~~ん!おねえちゃんこわいーー!!」



俺の怒気に気圧されたのか、明日菜(爺)は俺の要求を受け入れた。
一部だけ。

「わ、分かった!分かった!戻してやるわい…。」
その言葉の直後、視界が暗転した。

戻ったか…??

自分の体で目を覚ました俺は、自宅のトイレの中で気が付いた。

…。

状況は明らかだった。
俺の体は便器にアタマを突っ込んで気絶していたのだ。
こ、これは…インベイダー老いぼれの悪意あるイタズラだ。

…。

ちぃきぃしょぅぅうーーー!!



暫くして明日菜が美駆を連れて帰って来た。
美駆は少々浮かない表情だったが、既に泣き止んでいた。

明日菜(ボケGG)の方は、いつになく神妙な顔をしている。

「若葉ちゃんの事は上手く取り繕っておいたわい…。」

「あっそ。」

「き、きよぼう…。」

ワザと素っ気ない返事をして俺の怒りを伝えた。
いい機会だから、しっかりと躾けなくてはならん。
































あれから3週間たった。

明日菜(じじい)とは必要最小限の会話のみで生活している。
その間、爺ちゃんは明日菜の肉体に引きこもってちゃんと主婦をしていた。
また、信じがたい事に酒を控えて、食事にも気を使っている様だ。
明日菜のお腹の中の子供を心配しての事らしい。

言動には十分配慮しているのだが…、子供はこういった夫婦喧嘩(…なのか?)にはとても敏感だ。
ここのところ美駆は、少し塞ぎこんだ様子で過ごしている。



そろそろ許してやろうかな?

それとも断固とした教育指導を行うか?
題して『再教育的愛のラーゲリ明日菜じじい調教計画』とかなんとか…。

はたまた、プランBで行くか??


俺は一体どうしたらいいんだ。



ところが翌朝、事態が急変した。

チュッ♥
頬に温かくて心地良い感触。
「おはよう清彦、朝ご飯出来てるわよ♪ 」
慌てて飛び起きるとそこには笑顔の明日菜がいた。
これは本物の明日菜だ。
俺の直感がそう告げる。
だがこの三週間、本物の明日菜が全く現れなくなった訳じゃない。
ただ爺との喧嘩状態を明日菜も引き継いでしまい、夫婦の会話が全く弾まなかった。
明日菜にしてみればとんだとばっちりだったが、原因がわからないまま何かひどく俺を怒らせたという事だけに懸命に謝ってきたが明日菜自身が悪い訳じゃないので
「怒っていないから明日菜は謝らなくていいよ。」
という俺の態度が余計明日菜を困らせてしまったようだ。
そんな訳で本物の明日菜も俺に対して恐る恐ると言うか、必要以上に過剰に俺に気を使い家庭内がギクシャクした。
そしてそんな雰囲気を美駆も敏感に感じ取って更に塞ぎ込み・・・。

「パパおはよう ♪ 」
起きてきた美駆もまるでこの三週間の出来事が無かったかのように元気に明るい。
2人に爺が分身憑依しているのか?と一瞬チラッと脳裏を掠めたが、一時的な和解の雰囲気を作り出す為に2人に乗り移ってこんな茶番を行ったと俺に思われたら状況はさらに悪化するだけだ。
爺がそんな馬鹿な事を実行するとは思えなかったし、考えれば必然故行動に出る事は無いだろう。



とすると爺はあの日の出来事を明日菜と美駆の記憶から抜き去ったか別の楽しい出来事の偽の記憶に上書きしたんだろう。
そしてほとぼりの冷めるまで、俺の怒りが解けるのを待つ作戦に出たのかもしれない。
そんな事を考えていた時だ。
家の電話が鳴った。
電話を掛けてきたのは病院。
そう、爺が入院している病院からだった。

「朝早くからすいません。落ち着いて聞いて下さい。清彦さん、馬蔵さんが、馬蔵さんが!」



「意識を取り戻しました!」
爺ちゃんが7年振りに自分の身体で目覚めたのだ!

こうして目覚めた馬蔵爺ちゃんは一週間の精密検査を受け、身体に全く異常がない事と
本人の強い希望と予想外の肉体の回復に退院の許可が下りて自宅、つまり種田家に帰った来る事になった。
明日菜と美駆も喜んでくれた。
美駆も今まで俺のお見舞いに一緒についてくる事があったので、眠り続けるジイジを心配していただけに大はしゃぎだ。
落ち着きがあって冷静で慌てる事がめったにない明日菜も「馬蔵お爺様が昏睡中に結婚した明日菜です。不束者ですがよろしくおねがいします」なんてテンパって変な挨拶しているし・・・。

いや、そこの爺はこの5年間明日菜の身体を乗っ取ってこの家でしゃあしゃあと暮らしていたんだけどな。
しかも俺達の愛娘にだって乗り移っていたし・・・明日菜自身は気付いていないんだろうけど。
爺ちゃんと言えば白々しく、
「なんという別嬪さんじゃ!それに美駆ちゃんか、実に可愛らしい曾孫じゃ ♪ 清坊、でかした!」

とまるではじめて知ったような態度を演じているが・・・まさかここ5年、明日菜の身体や楠木さんの身体を乗っ取って色々やらかした記憶が無いんじゃないだろうな?


猜疑心を込めた視線で爺ちゃんを直視していると爺さんはこちらをチラッと見て慌てて眼を逸らし
「眠くなったから寝る」
と呟いて寝てしまった。
それでもジイ~と見つめ続けていると
「お爺様は疲れているのよ。もっと優しく丁寧に最高級の感謝ともてなしをしないといけないわ!」と力説する明日菜。

「・・・爺ちゃんだろ」
「ゴホゴホ、わ、ワたシは貴方の嫁の明日菜よ?」



憑依することを止めるつもりは無さそうだが明日菜の身体を根城にしているのと、爺ちゃんの自分の身体でいるのでは大きな違いだ。
動揺している爺ちゃん(明日菜)に思わずプッと噴き出す。
きっと爺ちゃんなりに必死に考えて出した俺との和解案なんだろう。



俺は爺ちゃんを許してやることにした。
爺ちゃん(明日菜)は瞳に涙を浮かべながら「ありがとう」と抱き付いてきてさらに熱烈なキスを繰り返した。
うん。これが爺ちゃんの身体だったら気色悪いところだったが、幸い明日菜の身体だからヨシとしよう。
しかし自分の身体に戻っても憑依能力は消えないのか。
てっきり二度と使えなくなるからいつまでも自分の身体に戻らないで明日菜の身体に乗り移っているとばかり思ってた。
それを聞いたら爺ちゃん(明日菜)もそうなると思っていたそうだ。
だから自分の身体に今まで戻らなかったと。
だから爺ちゃんはもう二度と憑依して女性の身体を楽しめなくなる覚悟で自分の身体に戻ったそうだ。
俺との和解と許してもらうために。
まぁ試しにやってみたら明日菜にあっさりあっという間に今までと変わらず憑依できたそうだが。






これで大団円に!
なる筈だと思っていた・・・この時は。

俺は爺ちゃんの身勝手さを甘く見ていた。
爺ちゃんの言い分を信用するなんてな・・。
散々好き勝手しといて突然改心しただなんて。

自分のお人好しさに慚悔の念に堪えなかった。

・・とは言うものの、そもそも俺に対策の立てようなんてあったのだろうか??



悪戯されたり意地悪されたり弄られたりしたけれど一応は爺ちゃんに溺愛されていたんだよな。
危ういし自分の力ではないが俺はそこを上手く活用して活路を見出だすべきだった。
うーん。
まだ遅くない。
試しにやってみるか。
まぁ、この事はこの時点ではわかっていなかったからな。
後に語るとしよう。

さて、時間をこの時に戻そう。
美駆は爺ちゃんのあぐらをかいた膝の上で絵本を読んでもらっている。
こうして見る分には実に微笑ましい光景だ。
昨日は俺、明日菜、美駆、馬蔵爺ちゃんの四人でいつもの近所の公園へ散歩中にゆっくりと歩いていたら若葉ちゃんに会った。
若葉ちゃんも馬蔵爺ちゃんが元気になって退院したことを喜んでいた。
# ※あの記憶も明日菜や美駆と同じように改変されたようだ。
「ワシが知ってる若葉ちゃんは小学生じゃったからのぅ~。大きくなってべっぴんさんになったのぅ♪」
白々しく語る爺ちゃん。
あんたこんなに優しい若葉ちゃんに、散々乗り移ったり、俺を憑依させて色々させたりしただろう!



美駆を膝の上に座らせた爺ちゃんが絵本を読み終えた。

「ねえ、ひーおじいちゃん!もっとご本読んでよ!」

「おー!いいぞ美駆!次はこれを読むかのぅ。」

そう言うと、爺ちゃんは新しい本を脇から取り出した。

あ、あれは!


爺ちゃんが取り出したのは洋物エロ写真集だった。
美駆はキョトンとした顔をしながら、爺ちゃんと一緒に写真集を見始めた。

「わ~、このおねえちゃん達オッパイデッカイね!ママよりおっきい~!」

「ほっほっほ!美駆も腹いっぱい食べればこの位『パイ乙かいでー』になれるぞい!」

「ほんと!?」

「本当じゃとも!一緒にケツもデカくして玄孫を沢山産めるようとせんとのう♥」
爺ちゃんはそう言うと、美駆の小さな尻を撫で擦った。



その様子を見て、俺は頭が痛くなった。

俺が仕事中は爺ちゃんを監視する事が出来ない…。
おまけに憑依能力を持ったエロじじいだぞ?
今まででも手に余ってたのに、一体全体どうすりゃいいんだ!?

俺は…。

○とりあえず爺を叱り飛ばし、しばき倒す。(その場しのぎ。)
○明日菜に憑依させて爺本体は寝たきりにする。(明日菜ごめん。)
○爺ちゃんに成仏するよう言い聞かせ入滅を促す。(最終的かつ決定的な解決方法。)
○etc…。(エトセトラ)



鼻の下を下品に伸ばし、美駆の小さくて可愛らしいお尻をエロく撫でまわす爺!
本気で頭をぶん殴ってやりたいが・・・。
(今、俺が美駆だったらその顎にアッパーを喰らわせてやるのに!)
その瞬間、お尻を撫でまわされる感覚。
気づいたら俺は美駆になっていた。
俺を見ると無表情で立っている。
「清坊?」
爺が俺の身体を見て不思議そうな顔をして呼び掛けた。
えっ?
またいつもの爺の爺による強制転移憑依じゃないのか?
(明日菜になりたい!)
一瞬で視界が変わり、俺はキッチンにいた。
(若葉ちゃん!)
若葉ちゃんの部屋だ。

なんとしょっちゅう憑依させられたこの三人にだけ、俺は自由に俺の意思で乗り移れるようになっていた。
魂がこの三人に馴染んでいたからか?
取り敢えず美駆になると俺は爺ちゃんに目潰しを食らわせた。



「ぐわわーー!?目、目がぁぁーー!何するんじゃ美駆ーー!?」
爺が喚き散らす。
いい気味だ。

「何やってるの!美駆!止めなさい…キャーー!!清彦!?」
明日菜が美駆に乗り移っている俺に声を掛けた途端に、俺の本体が床に崩れ落ちる様に倒れた。

「き、清坊どうしたんじゃ!?そ、そうじゃ!人工呼吸をせにゃっ!ゲホゲホっ!こ、この老いぼれの体じゃむりじゃ!」
爺がそう言うと突然、白目を剥いて倒れた。

「えっ!?こ、今度は馬蔵さんまで!?ど、どうなってるの…ひ!?ひぃっ!?」

俺を介抱しようとしていた明日菜はそう言うと…。

「ふぅ…。このワシのメインボディ(明日菜の体)なら肺活量バッチリじゃわいっ!」

…と言って、俺の本体に人工呼吸を始めた。



爺が明日菜になっている状態で俺が明日菜になってみるとどうなるんだ?
俺は美駆の身体から明日菜になりたいと念じた。
誰かにぶつかって収まる感覚。
俺は俺の身体に人工呼吸していた。
「なんじゃ!?なんでワシが自分の身体に戻ってるんじゃ?」
爺がそう言っているのを確認して俺は自分の身体に戻る。
その瞬間、明日菜が俺に懸命に人工呼吸していた。
俺は明日菜を抱きしめ「大丈夫。ありがとう」と言ってキスをした。
「爺ちゃんも散々俺をオモチャにしてくれたがちゃんと心配してくれたんだな。一応お礼を言っとく。
ありがとう。
でも美駆のお尻を撫でまわしたりセクハラは別だ。
もしまた繰り返すようなら」
きょとんとしている美駆になり、クルっと爺ちゃんと向き合うと目潰しする真似。
「な、なんじゃ!清坊も憑依能力に目覚めたのか!?」
「そうみたいだ。爺ちゃんみたく記憶とか読めないけどな」と明日菜に一瞬で乗り換えて話す。
爺ちゃんはビックリした様子で明日菜になった俺を見ていたが、その瞬間 何か感覚的にぶつかった感覚。
物理的ではないが感覚的に人が当たった感覚に似てる。
「明日菜ちゃんに入れんだと!」
やはり幽体離脱した爺ちゃんが明日菜になっている状態の俺に押し退けて憑依しようとしたらしいが弾かれたらしい。



そして弾かれると爺ちゃんの自分の身体に戻されてしまうようだ。
「ぐぬぬ・・・」
なんか子供みたいに悔しがる爺ちゃん。
今まで一方的に爺ちゃんにされるままだった俺が、ようやく少しだけとはいえ反撃できるようになったのだ。
突然美駆が「ワシを苛める清坊なんて嫌いじゃ!」と言って乳房を揉んだ。
「美駆、そんな事しちゃダメでしょ?」
俺は明日菜になりきって美駆の頭を撫でたのだったw


この状態で俺が自分の身体に戻ったが明日菜は俺が抜け出した後も美駆の頭を幸せそうに撫で撫でしている。
「ママに撫で撫でされて良かったね。美駆」
「うん♪」
横を見ると爺ちゃんと目が合う。
俺と同時に美駆から自分の身体に戻ったようだ。
フン!
そっぽを向いて悔しそうだ。
おかしくて嬉しくて俺は久しぶりに晴れやかな気持ちで大笑いした。



その夜、明日菜が眠ったのを確認して俺は明日菜に乗り移ってみた。



今までは予期せぬ状態で明日菜の身体に、爺ちゃんの能力で好き勝手に憑依させられて戸惑ったが
今は自分の意思で明日菜になれたのだ!
そっと同じベッドの隣で眠っている美駆を起こさないように起き上がり洗面所に向かう。
鏡に映るのは俺の最愛で美しい妻の明日菜だ。
「綺麗だ ♪ 」
思わず見惚れてしまう。



誰も見てないよな?
美駆は眠っていたし耳を澄ませば爺ちゃんの部屋から豪快なイビキも聞こえてくる。
よし!
ウッフ~ン ♥
鏡に向かってウインクしつつセクシーポーズ。
クラッとするくらい似合うし可愛いし綺麗だ!
素敵だよ、明日菜 ♥



エロい気分になってきたが…。
って…だめだ!だめだ!!


俺の(正確には明日菜の)腹の中には赤ちゃんが居るんだぞ!?
冷静になった俺は、ベッドに腰かけて俺と明日菜の赤ん坊が納まっている腹を撫でた。

まだ、妊婦と分るほど大きくなっていないが、それでも少しポッコリと出てきたお腹…。
今は俺が明日菜の肉体を乗っ取っている以上、母親としてしっかりせねば。
…でも、変な気分だ。
俺の精子で出来た胎児が自分の子宮に納まっているというのは…。

俺は改めて良く考えてみた。

ジジイが老いぼれた本体に戻ったとは言え…。
俺が日中に留守にしている間に、今まで通り明日菜の体を乗っ取るに違いがない。
(むしろジジイの本体が我が家に帰って来た事で、事態が悪化したのではないか?)
…そんな嫌な予感が脳裏をよぎった。



ハァ。
本来なら爺ちゃんが退院したことは喜ばしい事なのに。
爺ちゃんがここ5年間に明日菜の身体で結構好き勝手した分、爺ちゃんを邪魔者に思ってしまう。
明日菜と結婚できたのも、俺達夫婦の世界一可愛い天使である美駆も爺ちゃんのおかげとはいえ それ以上に苦労したからか。
暴走しなければいい爺ちゃんなんだけどな。
男の俺とは違ってスベスベな肌をとお腹を中にいる胎児を慈しむように撫でながら俺は明日菜の身体で再びベッドに潜り込むと自分の身体に戻った。



こうしてジジイと俺と明日菜と美駆の家族生活が始まった。

ジジイが(の本体が)帰って来てひと月程がたったが、俺の予想に反して爺は大人しくしている。
もっとも、性行為を要求してくるのは相変わらずだが、それでも概ね常軌を逸した行動はしていない。

明日菜のお腹も順調で、服の上からでも妊婦だと分かるくらいに大きくなって来た。
このまま何事もなく(色々な…特に霊的な意味で)万事が上手く行けば良いのだが…。

…そう俺が考えていた矢先に事は起こった。

俺が会社で昼食を食べ終わった時、いつも録画して観ているテレビドラマの録画予約をセットするのをし忘れたのを思い出した。
明日菜にやって貰うか…。
携帯を取り出して明日菜にメールを打とうして気がついた。

そうだ、明日菜に憑依してやればいいじゃん!

妙案を思いついた俺は、明日菜の体に意識を飛ばした…。



明日菜、美駆、若葉ちゃんの3人に憑依出来るようになってから明日菜と美駆には何度か乗り移っている。
さすがに若葉ちゃんには申し訳ないから爺ちゃんが若葉ちゃんに乗り移って悪戯しそうな時だけ爺ちゃんの魂を押し退ける為に入った事はあるが。

明日菜の身体に飛び込んだ瞬間、ドンと霊体にぶつかった感覚。
ちなみに明日菜が起きていても眠っていても明日菜だけならこんな当たった感覚は発生しない。
つまりこれは明日菜の身体の中に別人の魂が入っている時だ。
つまりは馬蔵爺ちゃんの魂が入っている状態。
しかも軽かったからどうやら半分だけの分魂の状態だったようだ。
なるほど。
明日菜になった俺の目の前であたふたしている楠木双葉さんがいる。
楠木双葉さんがいるのは問題ない。
昔爺ちゃんが楠木双葉さんに乗り移ってその姿で妊娠検査薬を持って押し掛けた時は、突然家に来て意味不明な振る舞いに明日菜は怒った事がかつてあったが
今は同じ年頃の幼い娘を互いに育てている者同士。
馬も合い、ママ友として仲良くなって互いの家に遊びに行たり来たりして おしゃべりや一緒に料理したりと親友同士みたいな関係で家族ぐるみで仲良くやっているのだから。

だが今日はちょっと、いや。だいぶ違う。



何故なら目の前の楠木双葉さんはバニーガールの格好だからだ。
何か言おうとして気付く。
胸元が今朝出勤前に見た服ならこんなに乳房が見える訳がないと。
嫌な予感がしつつ部屋の壁に掛かっている鏡を見ると・・・。
俺の姿も同じくバニーガールの格好だった。
目の前の楠木双葉さんが慌ててこっそりと部屋を出ていこうとしたから俺は明日菜の顔で笑顔で
「ちょっとよろしいかしら?このクソ爺ちゃん」
と呼び掛けた。



ギクリッ!と…足を止める双葉(?)さん。

明日菜の体に乗り移っている俺は、双葉さんの目の前で腰に手を当てて仁王立ちになりながら言った。
「双葉さん…バニーガールのコスプレを私にさせて…おまけにご自分もそんな格好で、一体…何をするつもりなんですか???」

双葉(?)さんは普段の落ち着いた雰囲気からは想像も出来ないような、卑屈な笑みを浮かべなが答えた。
「い、いえね…。明日菜さんも二人目がお腹に出来て大変そうだから、バニーガールの格好で応援しようと思ったんです♥」

俺は調子を合わせて言った。
「まあ!そうだったんですか?私ったら御免なさい。変な誤解をしてしまって…。」


双葉(?)さんは安堵した様な表情を見せると、おもむろに俺の前に跪いてバニースーツに包まれた俺の(正確には明日菜の)
ポッコリと突き出た腹部に頬ずりをして来た。

ピッチリとしたバニースーツ姿に不似合いな俺の腹部の盛り上がり…、それを愛でるバニーガール姿の双葉(?)さんは
異様にエロティックだ…。

調子に乗った双葉(?)さんは更に言った。
「私…、清彦さんのチンポコ子種汁が明日菜さんの子宮の中で育ってる事を確かめたかっただけなんです…うふっ…♥」



「元気よく育っているみたいで。とても嬉しいですわ。
ところで・・・」
双葉さんの頭を両手で押さえ、拳を握ってグリグリと圧迫する。
(勿論明日菜のか弱い手だし、中身が妖怪ドスケベ変態寄生虫爺ちゃんでも身体は双葉さんだから手加減はしたが)
「なんで明日菜と双葉さんに分身憑依してこんな怪しい事をしているんだ?」
笑顔でグリグリを続ける。
「イタタタタ・・・ま、待て。清坊・・・は、話せばわかる・・・あ痛たたたたたた・・・」



俺にグリグリされながらも、双葉さん(じじい)は戯言を言い続けている。

「あ、あだだ!あ、新しい命を生み出すのって素敵ですよね♥私達女の特権……痛ててっ!」

双葉さん(じじい)は、自分の腹部を押さえながら言った。

「いつつっ!…私の子宮は今は空っぽですから、今日は馬蔵さまの子種を宿させて頂こうと♪…ぐわ!?」

俺は、双葉さん(じじい)をベッドの上に張り倒した。



「本気で言ってんのか!(激怒)」
「じょ、冗談じゃよ!ただ妊婦の明日菜ちゃんと美人人妻双葉ちゃんのいけない昼下がり。レズビアン、ちゅーエロビデオを撮影していただけじゃわい」
確かに部屋の隅にHDビデオカメラが作動していた。
念のため再生してみると普通の服装だった二人が愛を語らいながらやから下着姿になり、いつの間にか用意してあったバニーガールの衣装を互いに着せ合う様子が映っていた。
見てる俺が恥ずかしくなる。
「どうじゃ!チンコがビンビンになるじゃろう!おっと、今は明日菜ちゃんじゃからアソコが濡れ濡れかな?」
双葉さんの姿のエロ妖怪がドヤ顔で聞いてきた。
爺の元の姿だったらさぞかしぶん殴ってやりたい表情だろう。
今は美人の双葉さんだからドヤ顔も似合っているが。



そして、またしても妖怪じじいの妄言と痴態行動が始まった。

双葉さん(じじい)は自分の胸元に手を伸ばし、おもむろにバニースーツをずり降ろした。

ポロンッ!…と、双葉さんの乳房が露わになる。

「ふふふっ♪どうです私のオッパイ♪娘の彩葉を産んでからも、形崩れしてないんですよ♥」

…確かに双葉さんの乳房は以前と変わらず綺麗だ。
お椀型の美乳でピンク色の乳首に乳輪……妊娠前と変わっていない。

双葉さん(じじい)は自分の乳房を弄びながら言った。
「私のオッパイ…母乳の出が明日菜さんの乳程には良くなかったんですけど…、それでも彩葉の為に授乳を頑張ったんです♥」

「…………。」

「娘の彩葉は、『父親の!』清彦さんに良く似てオッパイが大好きだったので、離乳までが大変でしたわ♥」

そう言うと双葉さん(じじい)は、明日菜の体の俺の胸元に手を伸ばして、俺が着ているバニースーツをずり降ろしに掛かった。



「おい…、こら、やめい!」
俺の制止をまるっきり無視して、双葉さん(じじい)は乳語りを続けている。

「まあっ!やっぱり明日菜さんのお乳は乳首が茶色になっていますね!?」
双葉さん(じじい)は、露わになった俺の(正しくは明日菜の)乳房を見て、さも驚いた様な顔を見せた。

「うふふ♪この茶色くなった乳首から出た乳汁で美駆ちゃんを育てたんですね♥」

おのれが明日菜の体を乗っ取って授乳してたんだろうが!?

「またお乳が沢山出る様に、わたくしが明日菜さんのお乳をマッサージしてあげますわね♥」

カプッ!

「あん♥」

双葉さん(じじい)は俺の左乳房の突起を口に含んで吸い付き始めた。



「や、やめ・・・あん ♥」
あまりにも気持ち良すぎて思わず喘ぎ声を出してしまった。

もしここに第三者が居て端から見ていれば美人人妻のレズ行為に見えるだろう。
中身で考えれば祖父と孫の男の子のホモ行為だが。



こ、このままでは非常に不味い。
い、今更だがホモだなんてっ!


焦った俺は…。

○女体の獣欲に身を委ねる。
○双葉さん(じじい)をぶん殴り拒絶する。
○妖怪じじい本体の所に行ってボコボコにしてやる。
○諦めて会社に放置中の俺の体に帰る…。



○妖怪じじい本体の所に行ってボコボコにしてやる。
俺はこのまま身を委ねたくなる衝動を気力を振り絞って双葉さんを振り払うと爺の部屋にフラフラになりながらもなんとか入る。

はぁはぁ・・・。呼吸を整える。
目の前には魂が双葉さんに入っている為にただ気持ち良さそうに寝息をたててる爺ちゃんの身体。
本当はぶん殴ってやりたいところだが今は我慢だ。

爺ちゃんを押し潰さないように跨がりおっぱいアタック(乳プレス)
本当はしたくもないが爺ちゃんのぺニスを撫で始めた。
「き、清坊?」
双葉さんの身体で俺を追ってきた爺ちゃんはそれを見てビックリしている。
「ちょっ、ちょっと待っちょれ!」
爺ちゃんが即座に本体に戻った!
実にスケベな表情で明日菜の乳房を揉もうと手を伸ばす。
「私もお手伝いしますわ!」
後ろから双葉さんがそう言いながら俺(明日菜)の後ろに同じように跨がったようだ。
背中に双葉さんの柔らかい胸の感触。



背後からまわされた双葉さんの手が明日菜の胸を再び揉もうとする。
半分だけ本体に魂を戻したか。
だがそこまでだ!

とそこで俺は爺のチンコをパンツの上から力一杯握り締めた!
「~~~~~~~~!!!!!!!!!!」
悶絶する爺。
と同時に俺(明日菜)の背中にくたりと意識を失った双葉さんが寄りかった。

その後意識を取り戻した爺にこってりお灸を据え、明日菜と双葉さんの記憶を本来のお茶会に戻させてから録画予約をセットして会社の俺の身体に戻った。

「長いトイレだったな。便秘か?」



「便秘ちゃうわ!」
クソ。これも爺のせいだ。
仕事を終えて帰宅すると俺の様子に爺は本体を抜け出し明日菜の身体に逃げ込んだが俺も明日菜に憑依した事で追い出された爺はさっさと自宅を逃げ出し帰ってこなかった。
ほとぼりが冷めるまで帰ってこないつもりか。

美駆にも若葉ちゃんの中にも居ない。
俺が憑依できない双葉さんや佐伯さん、小林先生か
全く知らない誰かかもしれないが取り敢えず平穏な日々はしばらくは過ごせるか。

あれがなければ良い爺ちゃんなんだがなぁ。






























……あれから2日程たったが爺が帰ってこない!

明日菜は心配して警察に届け出ようと言っているが、そんな必要は当然ない。
どうせ昔の愛人の所に体を置いて、なにか良からぬ事を企んでいるに違いがないのだ畜生。

人間の根幹を崩す事すら厭わないジジイ…。
『あまねく女はワシの物で、ワシのポコチンをマ○コで咥えこんで喘ぎ声をあげるのは当然の帰結!』
なんて…、昔から訳分らない妄言を言って憚らないクソじじいなのだ。

まったく…、性欲さえなければ良いお爺ちゃんになる資格があるんだけどな…。

しかし、ジジイの本体も凄まじい体力だ。
あれだけ長期間病院のベッドで寝たきりだったのに、これ程回復するとは…。
爺ちゃんの主治医が腰を抜かして驚いていたのを思い出した。


そこまで考えて嫌な予感がした。
もしかして…、今度は復活した自分の本体を使ってジジイの言う所の【種付け】をするんじゃあるまいな!?
以前は、爺ちゃんが自分の体に帰れば問題が解決すると思っていたが…もしかすると状況が悪化したのではないのか??

俺はいつの間にか冷や汗をかいていた…。



だが、意外な事にジジイは翌日に帰って来た。
何事もなかったかのように。
自分の体で…。

しかも、どう言う訳かジジイは心を入れ替えたかのように、今までの様な妄言と妄動が改善していた。
(もっとも、今までに比較しての事だが。)
最初は俺を騙す為の擬態だと思っていたが一週間…二週間と時間が経ち、本当に改心したのだと確信出来る様になった。


どう言う訳か分からないが良かった…。
心を入れ替えてくれて…ジジイ…いや、爺ちゃんは本当に最高の爺ちゃんだ!


明日菜のお腹も順調で、もうすぐ6カ月に入るし、温かくなって来て気分も良いし!
俺は、物事が良い方向に進んでいる事に安堵を覚えた。







久しく味わっていなかった平穏な日々…。
今日も仕事が終わり、俺は足取りも軽く家路についた。


…が、自宅の前まで来て異変に気が付いた。
(あれ?玄関灯が点灯していない?)
いつも明日菜がつけていてくれるんだけどな…どうしたんだろ?

微かな異変を感じつつ鍵を使って玄関を開けて家の中に入った。
家の中も真っ暗で電気がついていない…。
しかし、人の気配はする。

取り敢えず俺は美駆の部屋の戸を開けて、美駆の様子を確認する事にした。
…美駆は可愛らしい寝顔を浮かべながらベッドの上で寝ていた。


次に居間に向かい電気をつけて部屋を明るくすると、明日菜がうな垂れた姿勢でソファーに座っていた。
寝ているのかと思ったが…どうやら起きているようだ。
ただならぬ気配を感じた俺は、努めて落ち着いた口調で明日菜に声を掛けた。

「ぁ…明日菜。ただいま…。」

少し間を置いて、明日菜は初めて俺の存在に気が付いたかの様子で答えた。

「あ…、お帰りなさい清彦…。」

「い、一体…どうかしたの??」

「………………うん。私のお母さんがね…。『妊娠』したんだって…。」


はい???????



????????

頭の中に大量の疑問符が飛び交う。
…そして、意味を理解した俺は狼狽した。

い、い、い、いやっ!!俺はあの時(注;図書館『続・憑依霊になった爺ちゃん2』を参照)避妊を!………してないけど。
中出しはしてないぞ!?
ど、ど、、どう言う事だ???
身体中から汗が滝のように湧き出て来るのを感じた。

明日菜は話を続けている。

「今日お母さんが来てね…。自分のお腹に赤ちゃんが出来て…産むって言うのよ…?私…、信じられないわ……。」

明日菜はこんもりと膨らんだお腹を擦りながら言った。

「今になって弟か妹が出来るなんて…。しかも、美駆や私のお腹の中の赤ちゃんよりも年下になるのよ?」

「……………。」

俺は言葉が出せなくなった。
頭の中では必死に否定しようとしているが…、い、いや、まさか、これは、このじ、事態は??


その時、視線を泳がせる俺の視界にある物が目に入る。
俺は、明日菜が座るソファーの脇に『注射針の付いていない注射器』が落ちているのに気が付いた。



ボタボタと大粒の汗が額から落ちる。

こ、これはつまり……?

「私…、どうしたらいい…ひぃ!?」

明日菜はそう言うと、憔悴した表情からニンマリとした笑顔になった。
そして、自分の膨らんだ腹部ををポンポンと叩きながら言った。

「清坊!やったのうっ!美津子ちゃん(明日菜のお母さん)も目出度く孕ませたのうっ♪流石は我が種田家の種じゃわい!」

「お、俺は…中出しなんてしてな…。」

「ワシが清坊に代わってコイツを使って、美津子ちゃんのマ○コに清坊の種汁を注入したんじゃよ♥がはは!」

明日菜は注射器を拾い上げると、俺にこれ見よがしに見せて来た。



俺は…

○激怒する。
○新しい命の誕生にむせび泣き、喜ぶ。
○「やっぱり、おいどんの子種は受精率100%じゃわい!」…と、感動する。
○発狂する。
○「堕ろせ!今すぐだっ!」…と、怒鳴り散らす。
○エトセトラ(その他)



激怒する。

「どういう事だ!?この寄生虫妖怪!!」

「な、何をそんなに怒っとるんじゃ清坊?清坊の種がワシの体(明日菜の事)の母親の胎の中に宿ったんじゃよ♥がはは♪」
明日菜はお腹を擦りながら言った。

「く!?くぉ?このジジイ…。」

「あ~、何て素敵なんじゃ♪ワシの体を産んでくれた美津子ちゃん(明日菜のお母さん)の胎の中で、今度は清坊の種が
育っておるなんてのう♥」



もう何を言ってもダメだ…このジジイ隣を一緒にいる人は不幸になる。

明日菜の母さんも若葉ちゃんも、言ってしまえば明日菜さえもだ…。
俺と結婚したばかりにこんなことになったんだ…
どうすればいい?俺には明日菜のために何が出来る?

…………いや、答えはとっくに出ている。
なんや感や言っても俺はこの生活が好きだからこそ、この答えを先延ばしにしてたんだ。

ごめんな…美駆。
お前が一番の被害者かもしれない。だけどこれしか出来ないんだ。

「……………………離婚だ」


「…………え?」


明日菜(中身は糞爺)の驚いた声が聞こえる。

「な、何を言っとるん」
「言葉の通りだ。明日菜と美駆には迷惑かけると思う。でもどの分の慰謝料はきっちり払う。もう親族じゃなくなるんだジジイは俺がしっかり引き取る。それに弁護士も立てないとな、俺はレイプ犯として刑務所に入るかもしれないがそれもいいかもな…それもいいな、刑務所で女性と無縁な生活を送ればいいんだ。
これで満足かよ…爺ちゃん」

明日菜は呆気に囚われていた



明日菜(じじい)は慌てて引き留めに掛かって来た。

「き、きよぼうっ!な、何て事いうんじゃっ!?」

「もう爺ちゃんみたいな妖怪には付き合いきれない。」
俺は明日菜(じじい)の手を振り払った。

「きよぼうっ!堪忍してくれ!大切な孫を務所送りになんて出来んわい!
美津子ちゃんの胎の子は、ちゃんと美津子ちゃん夫婦の子として記憶認知させたから大丈夫じゃ!」
明日菜(じじい)は狂乱しそうな表情で言った。

「そういう問題かっ!!!」

パンッ!

思い切り明日菜の頬を引っ叩いた。

「キャっ!?」

そして、俺は居間から出て行こうと背を向けた。

「うう…悪かったわい清坊…。えぐ…、もう二度とひと様の胎に種付けをしたりせんから赦してくれい…うぅぅ…。」

明日菜(じじい)が嗚咽をもらしながら語りかけて来た。



「分かってくれ清坊…、これもそれも何もかもカワイイ孫である清坊を思ってやった事なんじゃ…。」

「………。」

「かわいい孫が豚箱にぶち込まれて、臭くてザクザクの麦飯を食わされる事になるなんて我慢出来ん…うう…。」

「全部ジジイお前のせいだっ!!」

「ううう…、えぐっ…。」

大分弱って来たようだが…どうしてくれよう?



こんな程度じゃだめだ、そんなに子供つくりたがっているなら作れなくしてやればいい。
俺は自分の股間の玉を引きちぎり握りつぶした。遅れてくる経験したことのない痛みと絶叫のなか俺の意識はきえた。



………次に目を覚ました時、凄く眩しいものが目に飛び込んで来た。

それが天井で光っている蛍光灯の明りだと気が付くのに少し時間が掛かった。

(見覚えのない天井だ……。)

霞む目を動かして廻りを確認する。
如何やら俺はどこかの病院の病室にいるらしい。

…と、そこまで気が付いた所で病室の戸が開き看護婦さんが入って来た。

その看護婦さんは俺の顔を見ると、慌てた様子で部屋から出て行った。


それから…多分20分位経った。
俺は今、医師から自分の容体の説明を受けている。

「種田さん。残念ながら貴方の左睾丸は酷く挫滅していたため手術で摘出しました。右の睾丸は無事です。
しかし、いったい何が起こったのですか?警察には届け出ますか??」

俺は家庭内での事故なので、その必要はない事を医師に言った。


今は痛み止めが効いているが、股間を握りしめた時の事を思って身震いした。
冷静を保とうとしてたけど錯乱してたんだなオレ……。

そう考えた時、病室の外からバタバタとした足音が響いて。
病室の戸が乱暴に開いた。


「キヨボウーー!!大丈夫かーー!!うぉおおー!?」

「お、奥さん!!落ち着いて下さいっ!!」

美駆を抱いた明日菜が飛び込んで来たのだ。
その顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっている。



その姿を見た時、俺はしくじったことを悟った。
無意識のうちに股間に手が伸び残った玉を今度こそ確実ににぎりつぶした。痛みを感じた瞬間サイド記憶が飛んだ。
そして次に目覚めた時俺の姿は俺のものではなく女子高生になっていた。



…という妄想を抱きたい所だが、現実は甘くはない。

「なんて事するんじゃ清坊…。もう子作りはせんから無茶なマネはせんでくれ…。」

今、明日菜は俺の胸に顔をうずめて泣き悔やんでいる。

「分かった…分かったから…。美駆が見てるんだから泣き止んでくれ。じい…明日菜!」


「ママ!ママのおなかの中のあかちゃんも泣いちゃうから泣かないで。」

そんな俺達夫婦の様子を見ていた美駆が言った。



「わかった!わかった!美駆もじじ…明日菜も落ち着いてっ!」

…その後、明日菜と美駆を説得して帰宅させた。
不服そうだったが当然の事だ。
明日菜は身重だし、美駆はとても幼いのだ。


やれやれ…、病院のベッドで横になりながら状況を整理した。


美津子さんが俺の…子を妊娠…。

美駆から見れば、美津子さんのお腹の子は年下の叔父か叔母にあたる訳だ。
しかも父親がこの俺なのだから同時に、美駆にとっては腹違いの弟か妹でもある…。

明日菜から見れば、父親違いの非常に年の離れた弟か妹が出来た訳だ…。



「うああああああぁ!ぉあああぁぁぁあああっ!」

思わず叫んだ。

なぜ、こんなマイノリティ向け18禁ゲームみたいな事が現実になってしまったんだ…。

…俺は天を仰いだ。



4日間の入院の後、俺は家に帰宅した。
身重の明日菜に負担をかけない為に一人で帰って来た。



あれ?明日菜と美駆がいない??
……寝たきりのジジイは居る。


ま、まさか家出か!?と、心配になった所で居間のテーブルの上に置いてある
茶封筒に気が付いた。

封筒には爺ちゃんの筆跡で『謝罪文』と書かれている。

ま、まさか…。

俺は封筒を開けて中に入っていた手紙を読んだ。



『清坊へ

本当にすまんかった。清坊の家族愛が身に染みたわい。
清坊は清坊のままでゐてくれ。

ありの~ままの~キヨボゥ~でいいの~~♪

・・・と、冗談はさて置き。
妻のワシから見て、清坊は素敵な男じゃわい。

洋食屋でビフテキ

・・・・・・焼肉屋でカクテキ

・・・・・・・・・・・・・・・今晩の晩飯は我が家でスキ焼♥

と言う訳で、ちょっとスーパーに買い物に行って来るわい。
じゃあの!


種田明日菜』



「き……、きぇぇえええええええっーーーーー!!!きょぁああああぉぁおあぁーー!!おがががっおばまっ??!!!」



…我に返った時、俺の足元には細切れになった紙切れが散乱していた。

俺は退院前に医者が処方してくれた薬…ロラゼパム錠をガブ飲みして精神の安定を図った。



少し落ち着いた俺は明日菜になろうと意識を集中した。



しかし誰かの胎内に入ってしまったようだ
今度は誰のなんだ…



まさか明日菜の中の赤ちゃんに?
何故だ?
俺は爺ちゃんが憑依しまくった為に魂が馴染んだ明日菜、美駆、若葉ちゃんの三人にしか 自らの意思で乗り移れない筈だ?
最近爺ちゃんが明日菜や美駆になっていないでおとなしく眠っていたように見えていたのは
実は明日菜のお腹の赤ちゃんに乗り移っていたのか?

色々と考えるが温かく心地好い感覚に思考が鈍る。



真っ暗で目が見えないし、何かの液体に体が浸かっていて呼吸が出来ない。

……が、何故かまったく息苦しくないし恐怖も感じない。

耳に手を当てた時に聴こえる体の中を血液が流れる『ゴゴゴゴ…』という様な音と、心音が絶え間なく聴こえ続けている…。


頭がボンヤリとするが…、手足を動かしてみた。
身体中を包み込む温かい液体をかき分ける感触がする。

あまり自由に動かせないが、腕をめいいっぱい伸ばしてみると手が【壁】に突き当たった。

何というか…生肉を触ったというか、口腔内の粘膜に触れた様な感触がしたが不快感は全く感じず
むしろ子供の頃に母親と手を繋いだ時の様な安心感を感じた。


その【肉壁】を強く押してみると【壁】の向こうから人の声が聞こえて来た。

『おっ、なんじゃ?今日は元気に動いとるのう。』

水中音の様な声だが…
これは…やはり?





間違いない。
俺は今、明日菜の胎内の赤ちゃんになっている。
俺はこのまま眠ってしまいそうになるのを堪え、意識を外に拡げると
意識が急激に覚醒し、爺ちゃんの魂を押し出した感覚と愛する明日菜に抱きついて一体になる感じがした瞬間、
俺は左手に缶を持ち スーパーの託児コーナー(幼児の遊び場コーナー)のソファーに座って美駆が遊んでいるのを見ていた。



舌に残る味は俺が明日菜になる直前に喉を潤した飲み物だろう。
ってコレビールか!?

左手に持った缶を慌てて確認すると一応はノンアルコールビールだった。
だがいくらノンアルコールビールでもこんな場所で飲む飲み物じゃない!
「美駆ちゃん、ママはちょっとこれを捨ててくるから待っててね」



「よいしょっと…。」
俺と明日菜の赤ちゃんが入っているお腹を抱える様にして、ソファーから立ち上がりゴミ箱に向かって歩き始めた。

すると、お腹に違和感を感じた。

最初は腸が動いているような感覚だと思ったが、膨らんだお腹の中から『ボコリっ!』…という蠢きを感じる…。

!?

視線を腹部に落として見ると、どうやら胎児が大きく胎動しているのだと理解出来た。



「こ、これが胎児の胎動 ♥ 」
本来なら、男の俺なら絶対感じれない感覚や体験に感動する!

中身を近くの洗面所に流して空き缶は缶入れに。
再び託児コーナーに戻りソファーに座る。
ポコッと胎内で元気に動き回る赤ちゃんに感動しながらそっとお腹を撫でる。
美駆も近付いて来て俺の、正確には俺が憑依し乗っ取っている明日菜のお腹に手を伸ばして触れる。
「あっ、動いた ♪ 」
「元気に育ってるわね ♪ 」
そのまま美駆はお腹に顔をうずめ、頬ですりすりとしながら
「早くミクやママとパパ、ジイジに会いたいって ♪ 」



「はやく生まれてきてねっ!あかちゃん♪」

美駆は俺の大きなお腹に顔をうずめながら、乳房に手を触れた。

「ママのオッパイあかちゃんのために大きくなってきてるんだよねママ?」

「そ、そうよ美駆ちゃん♪」

「ミクもママのオッパイ大好き!」

「う、うふふ♪…ママ嬉しい…わ♪」

「ねえ…お願いがあるんだけど…。」
美駆はもじもじとしながら、恥ずかしそうに言った。

「あかちゃんが生まれるまえに、ミクもママのオッパイ『チューチュー』しても良い…?」

美駆は上目使いで母親である俺を見つめている。



「もちろん・・・」
(いいわけないだろ、このクソ爺!)
俺は明日菜の身体を抜けて美駆の身体に、美駆に潜んでいるであろう爺の魂を弾き飛ばすように入り込んだ!

やはり美駆には爺が入り込んでいやがった。
美駆が急に明日菜の乳房に手を伸ばす直前に、ビクッと身体を身震いさせたのを俺は見逃さなかった。
「あらあら、(女神の微笑み)ミクちゃんもおっぱい吸いたくなっちゃった?」
本当の明日菜が優しく微笑みながら聞いてきた。
なんと答えてよいかわからなかったから俺は美駆から明日菜になった。
「ううん、みくはもうおねえちゃんだから。ママのおっぱいはみんな赤ちゃんにあげるの!」
これまた天使の笑顔で答える美駆。
嗚呼、なんて可愛いんだ♥



「さ…、そろそろ帰るわよ。」

俺は、明日菜…というかジジイが買った買い物袋を手に取った。

!?
何だこりゃ…?
レジ袋の中身を見て驚いた。
手紙に晩飯はスキ焼にするとか書いてあったから牛肉は分かる。
………………が、一緒に袋に入っている『その他の肉』は何だ!?

『キンカン(鶏の卵巣)…豚のチチカブ(乳房)…豚のコブクロ(子宮)…豚のホーデン(精巣)。』
レジ袋の中は、本物の明日菜なら絶対に買わないであろう臓物系の肉で一杯だった……。

こげな臓物肉で作るのはスキ焼じゃねえ!!闇鍋じゃねーか!??
一体何を作る気だったんだ!!??

俺が怒りを抑えて立ちすくんでいると、美駆が天使の笑顔で言った。

「ママ!早くおうちにかえって『スキヤキ』食べてよ♪そうすればママのお腹の中のアカチャン早く大きくなるんだよね♪」


このクソ爺は・・・そうとう遠くまでぶっ飛ばしたつもりだったが性懲りもなく
すぐさま舞い戻って来て再び美駆ニ乗り移ったようだ。



明日菜の体で脳の血管が切れそうな程の怒りを感じたが、どうにか抑えて家路についた。
美駆の体にへばり付いた老いぼれの生き悪霊が小うるさかったが…無視した。


家に帰り付いて玄関をくぐった所で、明日菜の体の俺は猛烈な眩暈に襲われた…。



う……?何が起こったんだ?

俺は、何か…生臭い臭いを感じて目を覚ました。



あれ?この天井は・・・



この天井は…我が家の居間だ。
どうやら俺は居間のソファーに寝っ転がっているらしい。

「ママ、このお肉なんかくさいよ…。」

「栄養が一杯なんだから頑張って食べなさい美駆。ふふふっ♥」



体を起こして目を開けてみると…、居間のテーブルに食事が用意されていて明日菜と美駆が夕食を食べている所だった。

…………が。
何だこれは!?

明日菜と美駆は何故か裸で食事をしている…。
明日菜は、何か…得体の知れない丼料理(多分さっきの臓物肉)をバクバクと食べていた。

「うふふっ♪ママがお肉を沢山食べると、ママのお腹の中に栄養が廻って赤ちゃんがでっかく育つんだから♥げぷぅっ!」

そう言うと明日菜は箸を止めて大きく膨らんだ腹を撫でてみせた。



ジジイの所業に俺は頭を抱えた。

明日菜(ジジイ)を問い詰めた所で臓物丼を喰うのはお腹の赤ちゃんを大きく育てる為。
裸でいるのは体力をつける為…とか何とか言って自己を正当化するに決まっている…。

どうすりゃ良いんだ…。

そこまで考えて閃いた。

俺が明日菜になって生きて行けば明日菜を守れるんじゃないか…?
俺は…。



いや、それだと明日菜の自由意思が・・・。
しかし今の現状だと爺の好き勝手にされている訳だし
それに比べれば俺が明日菜になって生きていく方が明日菜も幸せな筈だ。


まてまて、それじゃ爺と変わらない!
美駆やこれから産まれてくる子供の生活だってある。

俺は悩んだ。
取り敢えず今は・・・明日菜の身体に飛び込み爺の魂を弾き出しといた。
「はぁ~、本当にどうしよう?」
俺は明日菜の身体でそう言ってため息をついた。
オリジナルの投稿を尊重するため、書き換え修正等は行っておりません。
ご了承下さいませ。
たちは板より
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