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俺がウェディングドレスを着たい理由 前編

2015/07/17 15:33:28
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「男子って本当にバカだよねー。あたしが男になってもあんなエロ猿にはならないって自信あるわ」
「ならないっていうかなれないでしょ。でもいえてるー。男子っていつも下ネタばっかいってるし……」
「彼氏持ちとしてはそこんとこどうなのよ、琴葉」
「え、あたし? あたしが男子達のスケベさなんてわかるわけないでしょ」
「えー、現役グラドルなんだからわかるでしょー?えいっ!相変わらずいいもみごたえ~」
「きゃっ!や、やめてぇ~」
「まさか琴葉が水泳部やめてグラビアアイドルになるなんて思わなかったわよね。やっぱり速見に調教されたから?」
「ちょうきょ……そ、そんなことされてないわよ。それに敬二は関係ないわ」
「関係ないわけないでしょ。ほら。こーんな格好、彼氏になにかいわれないとできないって」
「それ、今月の琴葉のグラビア? ……うわ、すごい水着!ポロリしちゃいそう!」
「だ、大丈夫だったわよ。中にニップレスはってたし……」
「ふぅ~ん、でも彼氏の前ではポロリしまくってるんでしょ?」
「そ、それは……」
「あっやしい~……って、噂をすれば、あれ速見じゃない?」
「じゃ、じゃあ、あたしこれで行くわね!バイバイ!」
「あ、ちょっと、琴葉ぁ」
「あーあ、行っちゃった」

★ ☆ ★

カバンを持ち上げた俺は、クラスメイトの女子たちの会話から離れ、教室の出口へ向かった。
一歩踏み出すたび、肩が大きく弾む。原因は視界の下半分をかすめるこの双丘だ。程よいハリと驚きのビッグサイズを誇るコレは周囲と俺自身に『女』を必要以上に感じさせる。
服で隠そうが男たちの目はごまかせない。むしろ制服やニーソックスでこの身体はますます扇情的になり、どんな手段を使ってもスカートの中を覗きたいと 考える男を生み出してしまう。
気もちはよくわかる。なぜなら俺だってその男の一人だったからな……一ヶ月前までだけど。

教室の前扉で立ち止まる。
俺はツインテールにまとめた髪の毛をいじりつつ、そこに立っている男を見上げた。
男は俺に向けて手を上げ、少しだけ微笑んだ。

「よう、琴葉」
「なんのようよ、敬二」

目の前の男『速見敬二』のあいさつに俺はソプラノボイスで返す。
部活で鍛えた逞しい腕で短髪の頭をかきながら、『敬二』は俺に対して呆れたような目をよこした。

「お前を迎えにきたに決まってるだろーが」
「だって敬二がこっちくるなんて珍しいじゃない。どういう風の吹き回しなのよ?」
「今日からしばらく部活が休みなんだよ」
「へえ……」

水泳で少し焼けた顔から目をそらし、俺は少しだけ後ろを見た。
さっきまで話し込んでいた女子たちが、俺達二人を見てくすくす笑っている。
恋人同士の逢瀬を眺めるやつらはだいたいこういう反応をする。あまり気持ちが良いもんじゃねえな。
俺は『敬二』に目を戻した。

「新キャプテンのあんたが頼りないから休みになったんじゃないの?」
「バカ言え、国体三位の俺が頼りないわけねえだろ」
「その実態はただの変態男なのにね」
「彼氏になんつーこというんだお前は」

俺の悪態に苦笑いで応え、『敬二』は俺の手に手を伸ばしてきた。
男の力強い手が俺のか弱い女の手をしっかりつかむ。圧倒的な力の差にドキッとする。

「そろそろいいだろ。いこうぜ」
「……わかったわよ」

手をつなぎながら廊下にでる。下校中の生徒たちが俺達二人のことをチラチラ盗み見ては通り過ぎていった。
教室をチラッと見ると、女子たちが俺に対して『いつまでもお幸せに!』と黄色い声を飛ばしてきた。

★ ☆ ★

『敬二』がずんずんと廊下を歩いて行く。
この世の常識だが、女の力よりも男の力のほうが強い。
女である俺は抵抗もできず、きれいな腕が『敬二』の太い腕の気に召すままひかれていく。

走りながら俺はカバンで尻を抑えた。
バストだけでなくヒップも巨大なせいで、よくスカートがよくめくれてしまうのだ。今だって手の間からひらひらとスカートが舞っているしな。
以前『敬二』から俺のパンチラ写真の裏売買の噂を聞かされたが、なにも自分からオカズを提供することはない。オカズが欲しけりゃグラビア写真でも買え。

心の中で世のエロ男たちに悪態をついていると、『敬二』がさらにスピードを増した。
下駄箱に続く階段を通り過ぎ、俺達は下校中の生徒たちの波を逆走する。
周りの生徒達(特に男子)が俺のぽよんぽよん弾む物体を見ていた。見たい気もちはわかるけど、もうちょっとさりげなくやってくれ。

「ちょ、ちょっと、帰るんじゃないの?どこ行くのよ?」
「いいからついてこいって」

こちらを振り向かない『敬二』の口調はぶっきらぼうだった。
進んでいくと、どんどん人が少なくなっていく。生徒も教師も見かけない場所に来た時、やっと俺達は立ち止まった。
そこは、真っ白なネームプレートがかかる教室だった。この場所には心当たりがある。生徒たちの間で噂されている例の教室だ。

「ここは……」
「ほら、はいれよ」

『敬二』に背中をおされ、俺は放り込まれるように中にいれられた。
巨乳と巨大な尻のせいもあり、バランスがとれずに盛大によろめく、女性特有の柔らかい身体のおかげでなんとか転ばずにすんだ。
文句の一つでもいってやろうと思っていると、後ろからガチャリと音がした。

振り向くと『敬二』がドアにもたれかかっていた。さっきの音はここの部屋の鍵を締めた音か。
周りを眺める。カーテンも机もない殺風景な部屋だ。ただ、床だけは綺麗で、本来教室のロッカーがあるべき場所に、ふかふかした布団セットがいくつも重ねてあった。
放置されている部屋にあるふとんシーツは真っ白できれいだった。その理由は、この部屋を使った二人(もしくは二人以上)は、この部屋でした行為の痕跡を残してはいけないという暗黙のルールがあるからだ。
『行為』その言葉を思い浮かべ、ため息が出る。おっぱいが揺れてしまう。

「はぁ……なんでこの部屋なのよ」
「お前と話したかったんだよ」

そういった『敬二』は鼻息が荒く、目で俺の身体を下から上へ舐めまわしている。
ちらりと下半身に目をうつすと、ズボンの上からでもわかるほど、もっこりと股間部分が盛り上がっていた。

この空き教室は通称『ヤリ部屋』と呼ばれている。
つまり、この部屋に男である『敬二』が女である俺を連れ込んだ理由は……まあそういうことだ。

「ヤリたかったの間違いじゃないのかしら?」
「よくわかってんじゃねえか」
「まったくもう……」

呆れて額に手をあてようとしたとき、『敬二』はすでに行動にうつっていた。
額にもっていった俺の手の首を右手でつかみ、左手を俺の腰に回したのだ。
地面にカバンが落ち、ゴツっと鈍い音をたてた。

「もう、我慢できねえ」

一気に抱き寄せられ、俺の豊満な胸が男の胸板にむにゅっとつぶされる。
その接触で俺の中にはこそばゆいような感覚が生まれ始める。
言葉にできない感覚を感じたまま、上目遣いで見上げると、視界いっぱいに相手の顔があった。
男臭い顔だなぁ……そんなことを考えていると、唇を奪われていた。

「んっ……」

唇と唇がおしつけあい、隙間から相手の舌がはいってくる。粗い男の舌が俺の口の中で暴れる。
歯茎や頬の内肉を舐められる。やわらかな舌をひっぱりだされる。俺の唾液が吸い取られ、逆に相手の唾液が送られてくる。
身体が火照り始める。弱火にかけたお湯のようにくつくつと沸騰する。

「ふぁん……れろ……」

いつの間にか応えるように舌を絡ませていた。
男の顔を両手でつつみ、剃り残したひげをなでる。相手は俺の腰や尻をなぞり、俺の中の沸騰を強めていく。
勝手に舌が相手の舌を貪ぼる。熱が高まっていく。

「ん……ちゅ……ふわぁ……」

身体からは力が抜けていったが、腰を支えられているおかげで立ち続けられた。
男の力強さを身体中が感じている。自分のか弱さを再認識し、相手の攻めにもてあそばれるために舌を動かす。

「ひゃぁ……れろ……ン……んん……」

キスに集中していて気づくのが遅れてたが、俺の巨乳と男の胸筋の間に手が挟まっていた。
無骨な男の手が俺の巨乳をゆっくりともむ。柔らかい俺の乳房に指が沈んでいく。
制服とブラジャーの上からの乳揉みだったが、俺の身体はその愛撫に反応し、悶えていた。

唇がはなれる。舌同士の糸がつうとひいている。
名残惜しさを感じたが、顔に出さないようにつとめた……多分できてない気がするけれど。
胸揉みは続いていたが、優しすぎてじれったく、俺の呼吸を戸惑わせた。

「はぁ……はぁ……ん……」
「今日一日ずっともみたかったんだ。授業中もお前のこと考えてたらたまんなくて、何度もトイレで抜くハメになったんだぞ」
「適当な事いってんじゃ……ないわよ……んっ」

じりじりと乳首から伝わるこそばゆさのせいでうまく会話ができない。
相手はゼェハァと激しい息遣いをしていて、俺が漏らす声を聞いて喉仏をゴクリと上下させた。
体の奥からなにか熱いものがじんわりと染み出してくる。体の外にでていこうとし……
ジュンと下の方で音がした気がした。

「お前の胸、やっぱり最高だよ」
「ば、ばかっ」
「大きくて柔らかくて……いやらしくて」
「このスケベ……男……んんっ」

自分の乳首が固くなっていく。瞳が潤んでいく。
腹のあたりに押し付けられていた相手の男の象徴がますます大きくなっていく。
もう一度唇が重なり、ついばむようなキスが終わって目を開けると、ニヤニヤしている男が見えた。

「実はお前も期待してたんじゃねえのか?」
「そ、そんなわけないでしょ……はぁ……あたしはあんたみたいなエロ男じゃないわ……よ」
「へぇ……とかいいつつ下の方は」
「あっ、ちょ、触っちゃやだ……あぁんっ!」

視界が白くボケた。体の中央から五体の先まで気持ちよさが行き渡り、その気持ちよさは増幅して中央に帰ってきた。
足が震え、口がうまく動かせなくなる。頭のなかがぐるぐると溶けていく。
スカートの中で男の指が動くたび、融解が起きる。ただショーツの上からなぞられるだけなのに、この身体は感じやすすぎる。
男は俺の痴態を見て脂ぎった笑いを見せていた。男特有のいやらしい笑いだ。

「やめ……ぁ……ん……」
「身体は正直だな」
「はぁぁぁん……」

スカートの中から手が抜かれ、俺の細腰からも腕が離れた。
身体がすとんと地面に崩れていき、むっちりした足の上に巨大な尻がのり、そのままくずれて女の子ずわりになった。
下着一枚挟んで俺の局部が床と密着する。ひんやりとした感覚が股の間に走る。ショーツ越しに床に液体がしみだしていく。

ぼうっとした耳にカチャカチャと金属の音が聞こえた。
ゆっくり顔を上げると、男がベルトを外し、ズボンとトランクスを脱いでいるところだった。
姿を表した男性器は赤黒く、ビキビキに勃起し、いまにも暴走しそうだった
太く流々とした茎は脈が浮き出ており、むき出しになった亀頭は破裂しそうなぐらい膨らんでいた。

そしてソレは目の前のメスに照準をつけている。
つまり、こいつが俺を犯す準備は万端ということだ。

男が俺の肩に手をかけたと思うと、俺は静かに押し倒されていた。
背中が硬い床にあたり、スカートがふわっとまくれ上がる。

俺が事態に対応できずにいると、男は手際よく俺の制服のボタンを外していた。
ガバっと男の手が制服を開き、俺のブラジャーがあらわになった。
男はブラジャー越しにおっぱいに触る。撫でるような動きに俺は身をよじる。

「やぁ……」
「今日の下着は薄紫色か……だけど」
「あぁんっ!」
「下の方は濃い紫色だな」

指についたぬとっとした液体をもちあげ、俺に見せつける。
いじきたなく笑う男は俺の下着に手を伸ばした。下着をはぎとるつもりなのだろう。
少し手を伸ばして抵抗したが、優しく払いのけられる。俺は目の前の男のいいなりになるしかないのだ。

下着がするすると抜き取られる。涼しい風が裸の下半身に通る。
相手に女性器を見せつけていると思うと恥ずかしかったが、脱力状態ではどうすることもできなかった。
男は俺のショーツを指で広げ、まじまじと見ながらつぶやいた。

「こんなにビショビショにしちまってよぉ。お前って相変わらず濡れやすいよな……いや、感じやすいっていった方がいいか」
「やぁん……ちがうのぉ……」
「なにが違うんだよ。この淫乱女…………ほんと……」

俺のびしょ濡れショーツを床に置き、男は俺のブラジャーに手をかけた。フロントホックを外された俺の乳は拘束からとき放たれ、ぷるんっと弾け出した。

飛び出した巨乳の硬くなった乳首に目を留め、男は今までのいやらしい笑いをひそめた。
そして、関心したように一言つぶやいた。

「……ほんと、男だったなんて思えないわね」

一瞬、時が止まった。
目の前の男がいった言葉はそういう効果があるものだったのだ。
俺は乱れた格好のまま、息をきらせながら相手に質問する。

「い、いまさら……はぁん……口調を戻すのかぁ……?」
「セックスの時くらい素に戻りたいのよ」
「でも誰かに聞かれたら……ン……」
「その時は敬二がもっと女らしく喘げばごまかせるんじゃない?……こんなふうにっ!」
「え……あ……ああぁぁぁんっ!」

男の逞しい手がスカートの中に入り、俺の下腹部のある突起に触れた。
その瞬間、体中が悦びで震え、ガックンガックンとランダムに跳ねた。
頭脳のコントロールが失われ、快楽を感じるためだけの意識が何度も塗り替わっていく。
股間から勢い良く水が吹き出し、床を濡らす。口元がゆるみ、唾液が頬にこぼれてくる。

「今日初イキおめでとう」
「あぁっ……はぁぁ……」
「いただきまあす」

眼の焦点が定まらない。
男のシルエットが近づいて、俺の上に覆いかぶさった。
股の間にぴとりと硬いものがくっついた。股間のくぼみぴったりなソレはにちゃといやらしい音をたて、くっついたり離れたりを繰り返した。

「あぅぅ……琴葉ぁ……」
「じゃあ、いれるわよ」

男がゆっくり腰を降ろすと、俺の中にずぷずぷと男性器が侵入してきた。
熱い肉の棒が肉体の内側を侵食してくる。
膣内をゴリゴリと刺激され、俺の口は再びだらしなく開いてしまう。

「あぁぁっ………ああっ……」
「ん~きつきつ。たまらないわ」
「あぁぁあっ……」

肉棒が俺の中を埋め尽くしていく。
そっと相手の肩に両手を回す。身体がその行為を求めている。
俺は肉ひだを動かし、『琴葉』を受け入れていく……

――――――――――――――――――――――――――――――

一ヶ月前の夏の夜、俺たちの肉体は入れ替わった。

水泳部だった俺たちは 自主練習をしようと、深夜にプールへ忍び込んだ。
そして練習中、プールに雷が落ち、俺は琴葉になり、琴葉は俺になった。入れ替わったのだ。

お互いになりきって生活するのは大変だった。服の着こなしや喋り方、人との接し方に考え方、いろいろなものが違うのだ。
情報交換を頻繁にするため、俺達は偽装の恋人という設定を作った。幼なじみとはいえ、年頃の男女がほとんど一緒にいるのはおかしいからな。
しかし、若い異性になるということはそんな小手先でフォローできることじゃかった。

俺の身体は第二次性徴のせいか(それとも入れ替わりのせいか)どんどん女らしくなっていった。
ほのかだった膨らみは大きく外に張りだし、ウェストにはくびれができ、尻がむちっとした安産型になった。肌もきめ細かくなり、容貌の魅力も(元からかなりよかったが)ぐんとアップした。
そんな俺とは逆に琴葉はどんどん男らしい体つきになっていった。その精神に影響をおよぼすほどに。

変わり続ける身体になんとか適応しようと頑張っていた俺達だったが、入れ替わってから二週間後、事件は起きた。
水泳部のシャワー室で琴葉が俺をレイプしたのだ。

その一件がきっかけになったのか、琴葉はすっかり男の性欲に染まり、俺の身体を求めてくるようになった。

本来の身体を人質にとられて抵抗できるわけがない。
それに、そもそも女が男にかなわうわけがないのだから、無抵抗でいたほうがダメージは少ない。
そんなわけで俺も琴葉を拒否しないのだ。

――――――――――――――――――――――――――――――

空き教室にパンパンと淫靡な音が響く。琴葉と俺の肌がぶつかりあう音だ。
快感の海で溺死しそうになったが、それでも俺は肉棒のビクッという動きには気づいた。
何度も感じたこの動きは、琴葉が男の絶頂に至る合図だ。

自分でもわかっているのか、琴葉は腰使いを加速させ、ますます音を大きく鳴り響かせた。
俺の中の快感が上り詰めていく。喘ぎ声はきっと外まで聞こえている。

「はあんっ!やぁんっ!」
「出すわよ!敬二!」
「あぁっ!ぁぁあんっ!」
「しっかり受け止めなさい!」

一番奥で男性器がとまる。俺の体の中の空気が一気に吐きだされる。
ブルルッと男性器が大きく震え、滝のようにオスの液体が俺の中に発射された。

「はぁぁぁあああああああんっ!」

火傷しそうなほど熱い液体が流れ込んでくる。熱さと勢いがすべてが快感に変わっていく。
俺は今日何度目かわからないほどの絶頂をし、意識がぼんやりしていった。
気絶しそうになりながらも俺はわかっていた。琴葉の性欲がこの程度の行為で収まるわけがないということを。
俺の中で、琴葉の『男』が硬さを取り戻していった。

☆ ★ ☆

日曜日の昼、俺は『速見』という表札の家の前にいた。
レンガの屋根と白い外装。どうということのない普通の洋風一軒家だ。
俺はその家の前でつったっていた。
黒いVネックシャツに白い上着、白いミニスカートに黒く光るニーソックスというとても女らしい格好で。

今日は琴葉と偽装デートをするために速見家で待ち合わせだ。
デートじゃなければこんな女らしい格好なんてするもんか。

そうなんだ。けっして俺は男に戻ることを諦めたわけじゃない。
この前もヤリ部屋で犯されて、すっかり乱れてしまったが、このまま女でいたいわけじゃない。
女のセックスは確かに気持ちがいい。男のそれをはるかに凌駕するものだ。それは認める。だけど、男の身体に未練がある。

家族を忘れられない。
両親は他人の娘さんを見る目で俺を見る。特別仲が良かったわけじゃないけれど、どこか悲しさがある。
琴葉の両親も優しいが、それは本来の愛娘にむけるべきもので、俺のような男にむけていいものじゃない。

『敬二』が『琴葉』と付き合い始めたと家族につげたときから俺達は家族公認の恋人となった。
今じゃ『琴葉』は『敬二』の母に料理を教えてもらったり、『敬二』の父から合鍵を渡されるほど信頼されている。

色々な悩みがないまぜになり、はぁ、とため息が出る。おっぱいが揺れる。
溜息つくたびに胸が揺れるのはどうにかできねえかなぁ……
俺は浮気の胸ポケットから鍵を取り出し、ドアにさしこんだ。

「お邪魔します」

『敬二』の両親がでかけていることを知っていても、すでに習慣になったあいさつがでてしまう。
玄関で靴を脱ぐ。自分の小さな靴を整え、玄関に乱雑にちらばった『敬二』のスニーカーを整える。
前までは靴を整えるなんてこと考えてなかったなぁ。

二階にある『敬二』の部屋へ行くため階段を上がる。
外とは違ってスカートを抑えなくてもいい。ガンガンパンチラしても見る男どもがいなければ恥ずかしくないのだ。
いや、でも俺のこんな考えを聞いたら母さんは「ダメよ琴葉ちゃん、はしたない」とかいうんだろうか。
母さんたちのことを考えていると、俺の中である考えが膨らんだ。

そうだ。嫁入りすればまた家族に戻れるんじゃないか。血は繋がっていないけれど、家族だ。
母さんのことをもう一度母さんって呼べるし、父さんによくできた嫁さんだって褒められる。彼らにかわいい孫の顔を見せてあげられるじゃないか。
でもそのためには結婚しなきゃな……真っ白いウェディングドレスを着て、みんなの前で男の琴葉とキスをして……夜はめちゃくちゃに……。

「って、俺はなに考えてんだ!」

ぶんぶんと首を振る。ツインテールが顔の周りを飛び回る。
心臓がドキドキと鳴り、そのせいで巨乳がふるふる震える。
なに考えてんだ俺!そんなことありえるわけねえだろ!元に戻るんだから!
考えを打ち消すようにどすどすと階段を上がった。胸がブルンブルンと揺れた。

『敬二』の部屋からいびきが聞こえる。
ノックしても返事がない。寝てるなこりゃ。
家には誰もいないし、元の口調でいいか。

「おい、琴葉、入るぞ……」

ドアを開いた瞬間、俺の鼻にむわっと匂いが広がった。
汗と熱気がこもった匂い。男の部屋の匂いだ。女の身体から出るものとはまったく違う。
ベッドで半裸のトランクス男がいびきをかいて大の字で寝ていた。
ため息をついて寝ぼけ男を起こそうと進んでいくと、独特の匂いが鼻につきささる。

「うっ」

栗の花のような、イカのような、独特の甘い匂い。
このにおいは散々嗅がされ、嗅ぎ慣れている。精液の匂いだ。
しっかり部屋を見渡すと、ベッドの側にティッシュが散乱していた。ゴミ箱にはこんもりとティッシュの山が出来上がっており、テレビの側にはアダルトビデオのパッケージが重なっていた。

おそらく、家にいるときの琴葉は常に盛りのついた猿みたいにシコってるんだろう。
いやらしい女たちを眺めながら、時には元自分の身体を思い出しながら、太くそそりたった陰茎を脈の浮いた手でごしごしとこすっているのだろう。
あの学内一の美少女と呼ばれ、男の性欲に対して文句を言っていた琴葉がこんなオナニー猿になりはてるなんて……月日は恐ろしい。

琴葉の体力はありえないほど強い。
先日のヤリ部屋では外が真っ暗になるまで俺を犯し続け、へとへとになった俺をおぶって走って帰れるぐらいだ。
そういやあの時の背中はやけに大きく感じたな……。

それは置いといて。まあ、気持ちがわからないでもない。
俺だって元男だし、琴葉の身体になった最初のあたりはほぼ毎日オナニーしていた。最近は琴葉に犯されて疲れてできていないけれど。
そういう意味で、男子高校生の性欲に最も理解できる女子高生と自負してもいいと思う……けれど、

「こいつ……まだ勃つのか」

こいつの底知れない性欲の前じゃそんな自負は木っ端にすぎないかもしれない。
大の字で広がっている足の間から新しく塔がたち、トランクスに我慢汁のシミを作っていた。
本人は寝ているというのに体の方はまだまだ臨戦態勢のようだ。それを眺めているうちに、ある考えが浮かんできた。

「デート中に勃起されても困るよな……」

つぶやいたあと、俺は琴葉を起こさないようにゆっくり近づいていった。

「こいつ、すぐにトイレに行ってオナニーするし……デートのテンポ悪くなっちまうよな……」

いいわけになっていないとわかっている。身体が勝手に動いてしまう。
俺は足の間にひざまずき、そおっとトランクスのゴムを持ち上げ、それをおろしていった。

「こいつの性欲が……どうなってるか……調べるためなんだ……」

トランクスを脱がすと、拘束をなくしたペニスがビィンッとはねた。
カーブを描いた剛直な肉の塊は、衰えを知らないようにそびえたっていた。
穴の先っぽで半透明な液体がしずくのようにぷっくりとふくらんでいる。

「はぁ……はぁ……」

俺は鼻を近づけ、その液体の匂いを嗅いだ。
独特の臭いがする。男の性欲の匂いを頭でダイレクトに感じる。俺の身体が熱を持ち始める。
口を開いて舌を出す……別におかしいことじゃないんだ……これは……

「うぅん……」
「っ!?」

男性器まで数ミリのところで舌が硬直する。ぶわっと冷や汗が出る。
まさか起きたのか!?
でも、それは杞憂ですんだ。その証拠に琴葉は再びいびきをかきはじめた。ただの寝相だったようだ。

「こ、こんな勃起してんのに起きねえのかよ……」

ドキドキと緊張と興奮で胸が高鳴った。
もし琴葉が途中で起きたらどうなるんだろう。犯されるんだろか……言葉責めをされて、ねちっこくいろいろなところを弄られるのだろうか……
下半身から温かい水が漏れだし、下着を濡らした。

「身体……暑い……」

そうだ。身体が暑いから服を脱がなきゃいけないんだ。特に胸を出さなきゃいけない。谷間は汗をかきやすいからな、あせもなんて出来たら困っちまうし……
俺はシャツを胸の上に持ち上げ、ブラジャーを上にずらした。胸がまろびでて、俺の肩に負荷をかける。
弾けでた双丘を琴葉の肉棒に近づけ、その暴力的な物体をやわらかくつつみ込む。
胸の両サイドに手をあてて上下させ、俺はパイズリを開始する。

「はぁ……はぁ……」

目の下でゆっさゆっさと巨乳がゆれる。だが俺の目は琴葉の陰茎に釘付けになっている。
正気じゃないぞ。頭の奥で『男』の俺がそういっている。だがやめられない。
これは本能だ。女の体が男の体に奉仕したいという本能なんだ。

「射精……しろよ……射精してよぉ……はぁ……」

早くやめなければ引き返せなくなる。早く射精させなければ俺はダメになってしまう。
それとは反対にずっとしていたいという気もちも湧いている。
主人が寝ているという一方的な奉仕への興奮に乳首が硬くなっていく。
少しくらい舐めてやろう……早くしないといけないし……

「れろ……」

舌の先を鈴口にえぐり込ませ、亀頭周りを舐めていると、ぶるっと琴葉のペニスが震えた。大成功だ。
俺は顔をゆっくり離し、琴葉の射精の様子を眺めることにした。
数瞬待った後、男性器から噴水のように精液が発射された。

「あはぁ……」

胸や顔に精子のシャワーがかかる。
白い粘液たちが俺の身体をデコレーションしていき、俺の身体に染みこんでいく。
たまらない匂いだ。くらくらする。とろけていきそうだ。

俺のおっぱいの間で男性器が元気をなくしていく。暴力的なものがへたれるってのはなんだかかわいいな。
そうだ。きれいにしないとばれちまう。
舐め取らないといけない。お掃除しないと……

俺は舌をだし、掃除のためのフェラチオの準備をした。
舌先が甘い精子を欲している。早く飲みたい。口を近づけていく……

「本当、敬二は精子が好きねぇ」
「え……き、キャアッ!」

後ろに飛びのいてしりもちをつく。ベッドから距離を取ろうと思ったが、ショックで体が動かなかった。
琴葉がじいっと俺を見ている。そう、琴葉が起きていたのだ。
見られた!見られちまった!
いつからかわからないが、とにかく琴葉は俺の痴情を観察していた。
トランクスをおろし、パイズリをし、フェラチオしようとした俺のことをずっと見ていたのだ。

「こ、琴葉……こ、これは、あの、ち、ちがくて……」
「……へぇ~」
「い、家に誰もいなかったから、だから、えっと」

しどろもどろになっていく。顔から火が出そうだ。ぶっかかった精液が汗の代わりにたらりと垂れていった。
そんな俺を琴葉はニヤニヤと見つめている。ずり落ちたトランクスだけという情けない格好なのに、ずいぶん余裕のある態度だ。これが非童貞の余裕ってやつなのか?
そして、琴葉はとびっきり脂ぎった笑いを俺にむけた。

「ねぇ、最後までしないの?」
「さ、最後……?」
「うずいてるんでしょ。そ・こ」

琴葉が俺の下半身を指す。そのときやっと俺はしりもちをついたときに開脚していたことに気づいた。
見せびらかしていたショーツをスカートを抑えて隠す。だが、琴葉には俺のピンク色の下着が洪水の被害にあっているのを見ただろう。
琴葉はあぐらをかきながら俺を見下し、さらにニヤニヤ笑いを加速させた。

「そうだ。たまには敬二からやってみる?」
「は? 俺から?」
「騎乗位っていうの?たまには敬二が上になるってのもいいんじゃない?」

騎乗位。その言葉に違和感を覚えた。
セックスの主導権はいつも琴葉が握っていた。というか、セックスを持ちかけるのはいつも琴葉だったのだ。
だから、俺が上になってセックスをするというのはだいぶ違和感、というか抵抗感があった。

「ねぇ、やってみましょうよ」
「いや、そんな……」
「あ、でも、もしやるならニーソックスは残してね?ソッチのほうが燃えるから」

琴葉は笑いながら指先でネチョネチョとペニスをいじっている。射精したばかりのそれはすでに大きくなっていた。
身体の熱はまだ収まっていない。俺は口の中に残っていた精液をこくっと飲み込んだ。

「…………わかった」

俺は琴葉が眺める前でストリップショーを始めた。
精液まみれになった上着とシャツを脱ぎ、背中に手を回しブラジャーのホックを外す。
シュルシュルと音を立てながらショーツを脱いでいくと、性器から漏れた液体がツゥーと一本の線を描いていた。
ヤバイ、かなり恥ずかしい。

ペニスを舐めるだけで興奮する身体に恥を覚え、俺は顔を伏せながらベッドに上がった。
琴葉とベッド上で見つめ合う。男の逞しい胸板が俺の前に立ちはだかっている。
平らな胸板を見て、大事なことに気づいた。

「あのさ……ガイド頼む」
「ガイド?……ああ、そのおっぱいじゃ下が見えないものね」
「うん……」
「わかったわ。さ、始めましょっ」

琴葉はそういうとベッドに寝っ転がり、下から俺のふとももに手を這わせた。
ふとももを揉まれる感覚にゾクゾクと身体が震え、足腰の力が抜けていく。
俺は琴葉の身体を足の間に通し、ゆっくりゆっくり身体を下げていった。

「もうちょっと後ろよ……そう、そこ」
「あ、ああ」
「まっすぐに降りてこればいいわ……うん。そこで腰を下ろせばいいわよ」

ぴとっと琴葉のペニスが俺の大陰唇にひっつく。俺の愛液がペニスに伝って落ちていく。
元男が元女にレイプされるのもおかしいが、元男が自ら騎乗位に望むなんてありえないだろう。
一ヶ月前の俺ならそう思っていたはずだ。
そして、一ヶ月後の俺は、ためらいながらも自らペニスを飲み込んでいった。

「あぁぁぁ……」

肺から息が抜けていく。気持ちよさが膣から身体中に広がっていき、溜まっていく。
しかし、油断はできない。油断したら一気に男性器を受け入れてしまうことになる。
その時は肺が空っぽになるくらいじゃすまないはずだ。快感で頭がぐちゃぐちゃになり、狂ってしまうかもしれない。
なぜかそのことに期待している自分もいる。

「はぁぁぁあ……」
「大丈夫よ……ゆっくり……」

声掛けに俺の中の『女』が安心し、低い声に愛液がさらに漏れてしまう。
豊富な潤滑油のおかげで俺は完全に男性器を身体の中にいれることができた。琴葉のペニスの形がはっきりとわかる。
外では薄い陰毛と濃い陰毛が絡まり、中では子宮口にペニスがこつんとあたっている。
耐え難い快感が俺の中をふわふわと舞っている。

「相変わらずギュウギュウ……搾り取られそうね……」
「はぁぁ……」
「どう、敬二動けるかしら?」
「うん……らいじょうぶ……」

俺は琴葉の腕の力を借りながら、へろへろの腰を持ち上げた。

最初の一往復はのろのろしたものだった。
その往復だけで俺は軽くイッてしまい、琴葉の厚い胸板で数分休憩することになった。
再開した後は琴葉が持ち上げのコツを掴み、俺の中の快感が着火し、淫靡なスクワットはいつまでも続くようになった。

「あんっ、あぁんっ」
「ド迫力ね。おっぱいにつぶされそう」
「バカな、はぁんっ、こと、ひゃんっ、いってんひゃねえ、あはぁんっ!」

文句をいいつつ、身体の中に広がる熱に逆らうことはできない。
巨乳が上下にばるんばるん弾んでいる。確かに上から見ている俺からしてもド迫力だ。硬くなった乳首が風で刺激されて気持ちがいい。
俺は両手を琴葉の胸板につけながら腰をふる。ベッドがギシギシきしむ。

「これ……楽でいいわぁ……」
「はぁぁん、お前、ふざっ、ああんっ」
「ふざけてないわよ。全然ねっ」
「ふわわぁあああっ!!あああああんっ!」

目の前で火花が散り、股間から粘液が大量に漏れる。頭のなかが快感でうめつくされていく。
俺が腰を落としている時に琴葉が指でクリトリスを弾いたのだ。
絶頂した俺は琴葉の上で女の子ずわりになり、快感に打ち震えた。
足に力が入らない。それを見透かしたのか、琴葉が浅く笑った。

「腰振るのにつかれたなら動くだけでもいいのよ」

琴葉の言葉に従い、俺は腰をぐりぐりと動かした。
イッたばかりの身体には少しの刺激も雷撃のようで、俺は軽い絶頂を何度も重ねた。

「はぁぁん……ああっ!」

琴葉の上で渦を巻く。俺の身体の中にも渦が生まれている。快感の渦だ。
決して男の時は味わえなかった快感。女の中でも特別製のこの身体でしか感じられない快感。
この身体を手放すなんて考えられない……

顔を横に向けると、そこに姿見の鏡があった。中には男にまたがっている極上の女がうつっていた。
女は美貌をとろけさせ、鏡の向こう側から俺を見つめている。淫らに顔を乱し、妖艶に身体をくねらせている。
あんな体つきと美貌なら男は放っておかないだろう。俺も男だし、あんな美女がいたら犯したくなる……

鏡の中の美女をもっと乱れさせたくて、俺はスクワットを再開した。
腰を上げると膣内で肉棒がずるずると内側をめくっていき、腰を落とすと内側をこじあけていく。何度腰をふっても同じコースだったことはない。
俺の脳みそはピンク色の快感でグチャグチャになっていく。

「あはぁぁぁんっ!」

髪を振り乱し、身体の疲労を考えずに腰をふる。
頭が朦朧としている。俺が何者で下の男が何者かなんてどうでもよかった。
ただこの行為が気持ちよく、俺はそれを味わうだけだ。

ブルブルッと膣の中で男性器が震えた。
俺は腰を持ち上げ、亀頭を膣でつつみこんだ。
ビクンビクンッと陰茎が激しい脈をうち、俺の中に濁流を発射した。

「ゃぁぁああああああんっ!」

絶頂のショックで身体の力が抜けていき、俺は男の胸の上に身体を預けた。
ペニスがぬるると抜けていき、その後、コポコポと俺の性器から精子が溢れだす感覚がした。
精子をベッドに吸わせるなんてもったいない……

頭にポンと男の手が置かれる。
鬱陶しさを感じたが、その手が俺の頭をなで始めると、俺の中に暖かいものが広がっていった。
俺は相手の身体にしがみつくように身体を密着させた。
守られているという絶対的な安心感。これが……女の幸せ……

こうへんにつづく
続編に二年もかかってしまって申し訳ないです。てへへ。
この二年の間に面白い作品が生まれては消えを繰り返し、わびさびを感じます。
イレカ
0.2900簡易評価
17.100きよひこ
続編もいいですね。前作以上に今の身体に振り回されている感じで、結婚を妄想してしまうくだりが個人的には一番好きです。
28.100きよひこ
続編期待
あと画像表示されてないのあるみたいけど
29.100きよひこ
最高です!
30.100きよひこ
前のも結構繰り返し読んでたわ
まさか続いてくれるとは
32.100きよひこ
兄妹の続きもヨロ
36.90きよひこ
100点以外付けようがないじゃないか・・・と思ったのだが、28氏に同じく
貼れていない画像が気になるので10点マイナス。
しかし期待値は数字には出来ません。
1ヶ月が経ってより「女」に馴染む敬二君の台詞や心情の流れが良いですね。
後編に向けて全裸待機!
45.100kk
ストーリーはいいけど絵が表示されてなくて残念です・・・
46.100きよひこ
まさしく嬉しい限りです
消えてる画像がチト残念
48.無評価きよひこ
えるしってるかきえてるがぞうはFirefoxなら「画像だけを表示」→「戻る」でなんとかよみこめる
52.100ゴロー
面白くて一気に読んじゃいました!!!