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ミカワ様の祠

2015/08/23 01:40:30
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「フハハハハハッ!!この身体はオレ様のモンだァ!オメェはそのガキの身体のままくたばりやがれぇッ!!」

目の前の『俺』を刺す。この短刀で刺せば俺も太刀葉姉さんも助かるんだ!

「ガフッ!・・・だ、ダメ。清彦君・・・悪霊に負けないで・・・あ、貴方なら・・・き、きっと勝てるわ」

この『俺』は何を言ってるんだろう?
違う。『俺』じゃあない。これは太刀葉姉さんだ。
太刀葉姉さんは何を言ってるんだろう?
俺には意味がわからない。

夏休み、俺は父の田舎に毎年遊びに来ている。
勿論魚や虫を捕ったりするのが子供の頃から好きだったのもあるが、高校生にもなってもまだ来ているのは太刀葉姉さんに会いたいからだ。
2つ年上の太刀葉姉さんは俺の憧れで初恋の女性だ。

その憧れの太刀葉姉さんに、俺は頭の中の俺に言われるまま
俺の身体の太刀葉姉さんに倉にあった短刀を何度も突き刺した。

不思議な力を持つこの短刀の為か、本来ならとっくに絶命してもよいのだがなかなか死なない。

死んでくれないと、この素敵な太刀葉姉さんの皮を太刀葉姉さんに返さないといけないからな。

大好きな太刀葉姉さん。
大切で尊い太刀葉姉さん。
俺がずっとそばにいて守りたい太刀葉姉さん。


あれ?
じゃあ俺はこんな事してちゃいけないんじゃないか?



うん。順を追って思い出してみよう。

夏休みに入って、じいちゃんの家に遊びに来たんだ。
もちろんじいちゃんに会うのも楽しみだったけど、何より太刀葉姉さんに会いたかった。
高校生になってそれなりに可愛いクラスメイトや先輩も居たけど、どうしても太刀葉姉さんと比べてしまう俺がいた。
初恋の思い出補正ってヤツもあるだろうけど、俺の中での最高の女性って言ったらやっぱ太刀葉姉さんだな。

………
……

昭和初期から現役で走っているらしい電車を降りると、汗ばむ初夏の日差しと爽やかな風が俺を迎えてくれた。
駅から村へ向かう途中のひまわり畑、満開になるのはもう少し後だろうか。

このひまわり畑を過ぎるともうじき祖父ちゃんちの畑だ。
祖父ちゃんや太刀葉姉さんがいるといいな。
そんな事を考えて歩を進めていた時だ。
1人の若い、清彦より少しくらい年上の女性が前を歩いていた。
(ん?あの後ろ姿・・・太刀葉姉さんと同級生の若葉さんじゃないかな?)
若葉さんは祖父ちゃんちの隣に住む太刀葉姉さんの親友だ。
この村の女性の特徴としてやはり美人だ。
そういえばこの村の女の人って本当に美人ばっかりだよな。
っていうか美人しか居ないんじゃないかな?
不思議と村を出ると意識しなくなるけどこの村の女性は凄くレベル高いよな。
何故なんだろう?

っと、それより若葉さんだ。
去年中学三年生の夏に会って太刀葉姉さんと一緒に夏祭り行ったりしたし1年振りか。
挨拶しておこうっと。


若葉さんはまるで見つからない様に祖父ちゃんちの畑を見ているようだった。
なんでだろうと少し疑問に感じたが懐かしくてそんな事を意識せずに俺は
「こんにちは ♪ お久しぶりです!」
と後ろから若葉さんに声を掛けた。
若葉さんはいつものように笑顔で「いらっしゃい ♪ 」と言ってくれ・・・

「誰だ?この村の者じゃないな」

若葉さんは不審者を見る様な怪訝な顔をした。
「やだなぁ~、清彦ですよ。太刀葉姉さんの親戚の。去年も夏祭り一緒に遊びに行ったじゃないですか」
「夏祭り?・・・なるほど・・・わぁ、久しぶり ♪ 清彦くんね。思い出したわ ♪ 」
怪訝な顔が一転太陽の様に眩しい素敵な笑顔になる。
「今年も遊びに来ました。またよろしくお願いします。ところで誰か探していたんですか?太刀葉姉さん?」
「ん?ちょっとね。次は誰になろうかなってネ ? やっば若葉の親友の太刀葉が最有力候補かな。中々隙が無いけど」

すきが無い?何の話だ?
いつの間にか若葉さんは居なくなっていた。何だったんだ?

「ん~?お~い!清彦かぁ~!!電話くれりゃ~駅まで迎えに行ったのによぉ」

偶々畑仕事をしていたじいちゃんと出会った。
駅に付いたら電話してくれとは言われていたけれど、この静かで長閑な散歩道を歩きたい気分だった。
(それに途中で太刀葉姉さんにも会えるかもしれなかったしね)


そう考えたと同時に
「いらっしゃい。清彦君」
「ようきたな。疲れたじゃろ。はようウチはさ、入れ」
祖父ちゃんのとうもろこし畑から太刀葉姉さんとお祖母ちゃんが出てきた!
太刀葉姉さんは畑仕事を手伝っていたようだ。
「太刀葉は清彦君を連れて先にウチに行ってくれ。
わしはまだ婆さんとこっちをやらないかんからな」
「太刀葉、冷蔵庫に麦茶あるから清彦君に」とお祖母ちゃん。

祖父ちゃん、お祖母ちゃん ありがとう!
まさかこんなに早く 太刀葉姉さんと二人っきりで一緒になれるとは?
「暑いから二人とも無理しないでね。清彦君、行こうか」
畑から祖父ちゃん家まで短い距離だが 太刀葉姉さんと久しぶりに話ながら向かった。


お正月以来だから半年ぶり。
太刀葉姉さんはやはり綺麗だなぁ~。
太刀葉姉さんの横顔をチラリと見ながら久しぶりの会話がとても楽しい。

その時は何気なく、本当にたまたま目に入った。・・・と思う。
でも・・・今思い返せば、あるいはこの時に・・・ひょっとしたら何かの力に俺は引き寄せられ魅せられていたのかも知れない。
距離にして1km程だろうか?
川の向こう側の丘の中腹に祠が見えた。
そういえば小学生の1年生か2年生の頃に、あの祠付近にカブトムシやクワガタを捕りに行こうとして
祖父ちゃんに「絶対あそこには行っちゃ行けない!」って祖父ちゃんには珍しく強く言われたっけ。
なんでかは教えてくれなかったが気になるな。


良く見てみるとあの祠の周りだけ草も刈られてるし、道も整備されてる。
でも遠目に見ても祠自体は朽ちかけてるし、いったい何を祀ってるんだろう?
不思議なことに見れば見るほど興味がわいてきた。

(小さな子供だったら危ないのだろうが大きくなった高校生の自分なら大丈夫だろう)

祖父ちゃんから見たら高校生だって子供だと言われるかもしれない。
だから内緒でこっそり近づいて見るだけならバレないだろう。

「……清彦君、あの祠が気になるの?」



この時、何故かはわからないけど素直に言わず 俺は否定してしまった。
ちゃんと素直に言っていればあの事件は起きなかったかも知れない。
祖父ちゃんや祖母ちゃん、特に太刀葉姉さんに凄い迷惑を掛けて巻き込んでしまった。

でもコレがあったから今の太刀葉姉さんとの関係があるのだから、そう考えると良かったのかな?
まぁこの考えは他の人には黙っていよう。

「えっ? いや、さすがにもう高校生ですからカブトムシやクワガタで
騒がないですよ」
この返事で太刀葉姉さんは俺があの祠に興味があるのではないと考えたようだ。

また俺がまた別の話をし始めた事で、祠の話はそれ以上 太刀葉姉さんの口からは出なかった。
だが余計に俺は興味が出た。

後でこっそり行ってみよう。



駅前とバス停にしか外灯がないこの村は夕方を過ぎれば一気に暗くなる。
黄昏時ってのいうのは『誰ぞ彼』って書いて、『薄暗くなってきてよく見えない、あれは誰だ?』って意味らしい。
今がチャンスだ。
妙に騒ぐ心臓を押さえながら、村の西の橋を渡ろうとした。

「清彦ォ!!!どこ行く気じゃァ!おんめッ!?」

大きな声に驚き振り返ると、鬼のような形相をした祖父ちゃんがいた。



「どこって、そこの自販機にコーラ買いに行こうとしてたんだけど?」
内心かなりビックリしていたが動揺を悟られぬように極力平然と返事をした。
ちょうど西の橋向こうにコカ・コーラの自動販売機があったし。
それに祖父ちゃん家の冷蔵庫には麦茶はあっても炭酸ジュースが無かった。

その返事に何故か安堵したような祖父ちゃんは
「ならええがこの時間、村人以外の者が独りで川向こうでうろうろしちゃいかん。
どうしても用があるならおらやばあ様、太刀葉と一緒じゃなきゃダメだ」
「なんで?」
「いや、清坊が知る必要はない。知らなきゃ知らん方がええモンがこの世にはあるんじゃ」

ジュースを買って祖父ちゃんと一緒に帰った。

だが俺はますます興味が湧いた。
玄関に懐中電灯があったな。
祖父ちゃんは7時過ぎには晩酌して寝ちゃうし後でこっそり絶対行こうっと!

俺は決意した。



夕食も食べ終わり、祖父ちゃんと祖母ちゃんは布団に入った。
娯楽の無い村だし夜は早いんだ。

「明日は海連れてってやっからなァ、清彦も早ぉ眠れぇな」

「うん、おやすみ祖父ちゃん」

祖父ちゃんの高イビキを確認し、俺はあらかじめ用意しておいた服に着替え、音を立てないようにこっそりと外に出た。
リーンリーンと鈴虫の声が響き、満月でぼんやりと照らされた道を歩く。
古くなっていたからか懐中電灯は弱い光を発するだけだった。
祠の前の石灯籠に蝋燭が灯っていなかったら間違いなく辿り着けなかっただろう。

……祠を目の前にして改めて思ったが、ボロいな。でも随分大きい。
遠目からはわからなかったが、古い電線?が引かれているようだ。
電線を辿ってみると、村とは反対側の獣道に続いていた。

(流石に夜の山に入るのは危険だな)

先に祠を調べよう。
時計回りに外周りを確認し、奇妙な事に気が付いた。
中に入る扉が無い。



それに、注連縄が村とは反対方向についている。
注連縄も長い事変えていない様子だ。
漢字のように見える文字が柱に掘られている。
>白 王 糸? 二 千 六 百 ? 拾 ・・・・・・
>・・・・・・ 皮 ヲ
……暗いうえに掠れてしまっていて良く読めない。
しかし『皮』という文字だけ妙にはっきり読める。
まるで誰かが定期的に掘りなおしているように……。

コンコン。

壁を叩いた感じだと中は空洞になっていることは間違いない。
中を覗ける穴もあるが薄暗くて良く見えない。

ん?なんで真っ暗じゃあなくて、『薄暗い』んだ?



良く見ると中で何かしらの照明が点いているようだ。
微かにオレンジ色に見えるから祖父ちゃん家のトイレみたいな電球か蝋燭の炎だと思う。
LEDだったならもっと明るく中の様子がわかったかも知れないのに。
勝手に不満を覚える。
もう少し周囲を調べるか。

探検気分で俺は調査を続けた。



やっぱり何処から見ても扉は無かった。
何のための祠なんだろうか?
他に手掛かりになりそうなのは……。
山奥へ続いている獣道に目をやる。
手持ちの懐中電灯では照らしてみても全く見えない。
草の茂り具合や土の露出してる様子を見れば、偶に誰かが通っている気配はあるけど……。



都会の喧騒に比べて田舎は静か。
田舎を持たない都内の友人はイメージからそう話すけど実際は色々な音で溢れている。
たくさんの種類の昆虫達の鳴き声。
水辺からカエルの大合唱。
風が木々を揺らし音を奏でる。

何だろう?
山奥でもないけど周囲に人がいないからそんな気になるのだろうか?
どうも誰かに視られているような気がする。
勿論周辺に人の気配はない。
ちょっとゾクッとする。
その時だ。

微かに村の方から誰か来る足音が聞こえてきた。

ここにいるのを知られるのはマズイ気がして樹齢数百年はありそうな巨木の陰に隠れた。
来たのは1人だ。
しかも女性みたいだ。

ちょうどその時雲から月が出た。
月明かりに照らされた女性は・・・太刀葉姉さん?

様子がおかしい。
フラフラと千鳥足で歩きながら。
何か歌を口ずさんでいる。
綺麗な声なのにひどく不安になる歌だ。気分が悪い。


変だ。
歌声は確かに太刀葉姉さんなんだけど音が聞こえてくる方角が祠からなのだ。
まるでマイクを通して別の位置からスピーカーで音を出しているのと同じなんだけど
もちろん機械的なものではなく、歌い手の太刀葉姉さんが祠の中で直に歌っているようなのだ。
そして俺がこっそり見ている目の前で・・・太刀葉姉さんは吸い込まれる様に祠の中に姿を消した。

入口も何もなかった壁の中にスッと・・・。

何が起こったのかわからない。
壁を調べてみても入口は無い。中で何が起こっているんだ。
そうださっきの穴だ。穴から覗けば中の様子はわかる筈だ。
吸い寄せられるように中を覗きこんだ。

祠の中心に太刀葉姉さんが倒れている。

「~~~ッ!」

『太刀葉姉さんッ!』と叫んだつもりだったか、声がせなかった。
赤黒い痩せた猿の様なナニカが、祠の隅の影に居た。
炯々とした目がこっちを見ていたのだ。
金縛りにあったように体が動かせない。
ナニカが緩慢に、四つん這いで太刀葉姉さんに近づく。
俺はそれを止める事も出来なかった。逃げる事もできなかった。
ただ見ている事しかできなかった。

ナニカが黒い刃の短刀で太刀葉姉さんの胸から腹を切り裂いた。
太刀葉姉さんが死んでしまう!そう思った瞬間。切り裂かれた太刀葉姉さんの腹から人体模型の様な筋肉と脂肪がむき出しになったものが出てきた。
ナニカは『皮』から『中身』を引っ張り出し、もう用はないとばかりに『中身』をその場に捨てた。
元から祠に居たナニカが、『太刀葉姉さんの皮』をじいっと見つめ、腹に開けた穴から皮を『着』始めた。
『太刀葉姉さんの皮』はナニカが中に入っていくのに従って、伸びたり膨らんだりしていた。
ナニカが完全に中に入ったが、子供が大人の服を着ているような不恰好さだった。
しかし、徐々に『中身』が膨らんで『太刀葉姉さんの皮』にフィットした。
太刀葉姉さんがムクリと起き上がると、自分の身体を満足げに眺め口の端が裂けるような笑みを浮かべた。


どうしようもなく悪夢のような光景だった。
だが、不意に足に冷たい物がかかった感覚によって、現実に引き戻された。
恥ずかしい話だが失禁していたのだ。
夢だ。夢に決まっている。
俺は無我夢中で祖父ちゃんの家に逃げ帰り、入り口にたどり着いた時安心感で緊張の糸が切れ眠ってしまった。

(これは夢だ。夢なんだ。朝起きたら太刀葉姉さんも無事なんだ。)

…………
………
……



チュンチュン・・・コケコッコ・・・

色々な鳥の鳴き声で目が覚める。
「!?」
俺はちゃんと布団の中で眠っていた。
ちゃんとパジャマを着ていて。
#(普段はTシャツ&トランクス一丁だが太刀葉姉にその姿は見られたくないから祖父ちゃん家に着た時はパジャマを着用)
慌ててパンツを確認する。
失禁した形跡は無い。

夕べのは夢だったのか?
洗面所で顔を洗ってタオルで顔を拭きながら鏡を見ると太刀葉姉がいつの間にか背後に立っていた。

笑顔で。


「おはよう!清彦君!いい天気だねェ!」
満面の笑みの太刀葉姉さんを見て安心した。
確かに雲一つない良い天気だ。この調子だと30度を超えるだろう。
「おはよう太刀葉姉さん」
そうだ、今日は海に行くんだ。太刀葉姉さんも一緒に。
太刀葉姉さんの水着姿。考えるだけでワクワクドキドキする。
目測Eカップ?いやFあるかも……。
「海水浴楽しみだなぁ」
つい口に出してしまった。エロい事考えてたのバレなかったかな?
「海に行くの?外に出るの久しぶりだから嬉しいなァ!」


あれ?太刀葉姉さん今、『海に行くの?』って言ったけど、祖父ちゃんから聞いてないのかな?

「昨日祖父ちゃん海に連れてってくれるって言ってたじゃない。あと最近村の外出てなかったの?」

「……うんそうだったネ昨日お爺ちゃん言ってたわね、ずぅっと村の中に居たから、外の世界が楽しみだなァ……」
ニィィと広角だけ上げて笑っている太刀葉姉さん。ゾッとした。
なんというか、太刀葉姉さんなのに太刀葉姉さんじゃないみたいだ。
「う、うんそうだね。俺ちょっと準備しなくちゃいけないから」
「ウン、また後でね」
終始笑顔の太刀葉姉さんを後にし俺は部屋に戻った。

・・・・・・・・・・・

祖父ちゃんの車に乗って30分、隣に座っている太刀葉姉さんにおかしなところは無かった。
『こんなことがあったよね』とか他愛もない思い出話に花を咲かせた。でも……。
「太刀葉姉さん、昨日もその話したじゃないか」
「昨日……、そうだったわね!畑から家に行く途中で話したのね!」
こんな感じで昨日話したことを忘れてしまっているようだった。
「おぉい、そろそろ海に付くぞぉ」
祖父ちゃんの声で窓の外に目をやると、蒼い海と真っ白な砂浜が見えた。


湘南の海や都内のプール等の超過密なところと違って人はそれほど多く無い。
真っ青な空と海。
太陽はさんさんと降り注ぎまさに海水浴日和だ。
海の家に荷物を持ち込み、俺は一足早く着替えると砂浜に立った。
まだ9時だと言うのに素足だと砂が既に熱い。
サンオイル塗っておかないと日焼けが酷い事になりそうだな。
小学生の頃、一日海水浴場で日焼け止めも塗らずに遊びまわっていたら夕方真っ赤になってかなり痛かった。

「おまたせ!清彦君!」



振り返るとそこに美の化身が立っていた!


太陽よりもまぶしいとはこの事か。
純情少年な俺には直視できなかった。

「どうかな?この水着、似合ってるかな?」
正直鼻血が出そうです!
「に、に、似合ってますよ?」
ドモってしまった。恥ずかしい。
「今日はいっぱい遊ぼうね!」

心にこの夏を刻みつけよう。俺はそう誓った。

・・・・・・・・

太陽が少し西に傾き始めた頃、俺はパラソルの下でうたた寝していた。
(……よひこくん……きよひこくん……清彦君!……)
全裸の太刀葉姉さんに呼ばれる夢を見た。夢の中の俺はフラフラと太刀葉姉さんに近づいていく。
(清彦君……げて)
あと3歩で、あのオッパイに手が届く。
あと2歩で、形のいいヒップが触れる。
(……げて、き…ひこ…ん……)
近づけば近づくほど、何故か太刀葉姉さんの声が遠のく。
でもあと1歩で瑞々しいピンクの唇に届く。

( 逃 げ て ! 清 彦 君 !! )

太刀葉姉さんの声が鮮明に聞こえた瞬間。
目の前に居た筈の太刀葉姉さんが、あの祠に居たナニカに変身した。
その瞬間俺は目をさました。
全身に油汗をかいていて気持ちが悪い。海パンもぐっしょりだ。
……俺は失禁はしてない。多分してないと思う……してないんじゃないかな?


もうすぐ帰る時間だ。周りを見渡しても太刀葉姉さんは居なかった。
海岸を少し歩いた所に磯があった。
腐敗臭がする不快な場所だ。見渡せば、大型の獣に齧られた様な魚の死骸が沢山落ちている。
そこに太刀葉姉さんは佇んでいた。

「……太刀葉姉さん?」

さっきの夢がフラッシュバックし、恐る恐る太刀葉姉さんに声をかける。
しかし、太刀葉姉さんはあっけらかんとしていた

「あら?清彦君?どうしたの?」

「もうそろそろ帰る時間だからさ。迎えに来たんだ」

「もう?う~んまあ仕方ないか。これからはいつでも来られるしね」

いつもの太刀葉姉さんの笑顔。
なのに、なんでこんなに違和感があるんだ?

この時俺は、『太刀葉姉さん』の手についていた魚の血に気が付けなかった。



海にバシャバシャと手を入れて遊ぶ太刀葉姉さん。
そんな何気無い動作でもまるで童心にかえって楽しそうにはしゃぐ太刀葉姉さんは可愛かった。
一緒に海の家に向かいながら歩く。
傍から見れば俺と太刀葉姉さんは恋人同士に見られるかな?
去年までは身長が一緒にまで伸びた。
今年は数センチ伸びたし俺の方が少しだけ高い。
中学生一年生だと完全に姉弟に見えたが今なら・・・さすがに無いか。
美人で優しい姉さん。
一緒に居るとこんなに幸せな気持ちになる。

なのに何故 あんな夢を見たのだろう?


それにしてもさっき見掛けた喰い千切られた魚はいったい何に襲われたのだろう?
しかもほんの数時間前やついさっきまで生きていたような新鮮な魚だったし。
とても先週の台風の時に打ち上げられて死んだ魚を喰ったようには思えなかった。
大型の鯛みたいな魚も切断面から推測すると恐らく一口で喰い千切られていたようだし、相当大きな口に鋭利な歯を持った生き物だ。
鮫でも相当のサイズだろう。
人間の頭でも口に入る程じゃないだろうか?
でもこの海水浴場に大型の鮫が出たなら騒ぎになるだろうし、実際巣潜りした時も魚はたくさんいたけど小型のネコザメさえ見掛けなかったよな。

でも太刀葉姉さんが磯に行く少し前まで、もしかしたらソイツが近くに居たのかもしれない。
もしかしたら太刀葉姉さんがソイツに襲われていたかもしれないと考えてゾッとした。
気にはなったが太刀葉姉さんにその話をして怯えさせるのは躊躇いがあったので磯での話は
太刀葉姉さんが海の家で着替えている間に浜辺のライフセイバーにだけ磯の事を話した。
そうして敢えて太刀葉姉さんにも祖父ちゃんにもその話をしなかった。


祖父ちゃんの家に帰る頃にはすっかり暗くなっていた。
村に入った時、何か様子がおかしい事に気が付いた。
雲一つない星空の夜なのに、どの家も雨戸を閉めている。
台風が来るなんて言う予報も無かった。

「まさか……だが、そんな……」

祖父ちゃんが訝しげな顔で呟いた。

「お前ら、ちょっと待っとれ」

祖父ちゃんは俺たちにそう言うと車を降り、村長さんの家のインターホンを押した。
何やら口論し一悶着あった後、村長さんが玄関から出てきた。

手に持っていたのは……。
祖父ちゃんちに合った懐中電灯?


あれは夢じゃなかったのか?

逃げ帰った時、あの祠に落としたか忘れたのか!?
確かに夢の中ではとにかく逃げるのに必死で気付けば、手には何も持っていなかったような・・・。

でも今朝見た時、ちゃんと懐中電灯は玄関にあった。
だから俺はあれは夢だって思ったんだけど・・・。

ハッとして太刀葉姉さんを見た。
いや、昨夜のあれが夢じゃなかったのなら、太刀葉姉さんの姿をした何かを。
太刀葉姉さんの姿を奪い、太刀葉姉さんの皮を着込んだ何かを!

でも太刀葉姉さんは澄ました顔でなんでもない。といった感じで笑顔で祖父ちゃんの車の座席に座っていた。

祖父ちゃんは車に戻ってくると何も言わずにエンジンをかけ、家へと出発した。

「祖父ちゃん?何があったの?」

祖父ちゃんは車の運転をしながらも思考に没頭し、俺の質問も聞いていない様子だった。

「……清彦」

ガレージに車を入れたところでようやく祖父ちゃんは口を開いた。

「お前……まさか『ミカワ様の祠』には、行っとらんだろうな?」

射る様な眼だった。『ミカワサマ』?、『三河様』?、『御皮様』?
あれは夢じゃあなかった?
あの懐中電灯、良く考えれば同じ店で買ったなら祖父ちゃんと村長さんが同じ物を持っていてもおかしくは無いんじゃあないか?
考えがまとまらない。
「あの、祖父ちゃ「おい、太刀葉は何処へ行った!?何時からいない!?」


太刀葉姉さん(?)が俺の代わりに答えた。
「今は俺が太刀葉なんだからちゃんとここにいるじゃないの、お爺ちゃん ♪
元の中身なら今までの娘達と同じようにわたしが別の娘になるまで祠の中に居るわ。
だからそれまでちゃんと孫として扱ってね ❤ 」
「み、御皮様・・・早く無いですか。太刀葉は・・・御皮様が着用される娘は秋の収穫祭からが習わしでは・・・」

祖父ちゃんと太刀葉姉さん(?)が何を言っているのか理解できない。
確かに日本語で会話しているし、言葉はわかるんだがないようが俺の理解を超えて処理しきれないからわからないのだ。


太刀葉姉さん(?)が硬直したまま動けない俺に天使のような笑顔で
「昨夜は大変だったんだよ? 清彦くんは玄関で気を失っているし下半身は失禁している上に転んだためか泥だらけで汚れちゃっているし。
さっきの懐中電灯だって祠の近くに落ちていたから持って帰ったんだ。
村長には気付かれちゃったようだけどw
全部俺が後始末したんだよ ? お風呂で身体を洗って着替えさせて、洗濯もしてあげたんだから。
でもね、その事は不快でも面倒くさくも無かったな。
それどころか逆に清彦くんの面倒みるとそれだけ皮に残った太刀葉の気持ちが俺の中に入ってきてどんどん太刀葉に馴染んだからね。
やってて凄く楽しかった ♪全部清彦くんのおかげだよ ❤ 」

目の前に居る太刀葉姉さんは、どうやら御皮様とやらが成り済ましていたらしい。
身体の周りの空気が固まったみたいに動けないのに、意外にも頭はやけに冷静だった。
目の前に居る『太刀葉姉さんモドキ』が太刀葉姉さんの顔で笑い、太刀葉姉さんの声で喋り、太刀葉姉さんの記憶を語っている。
俺はそれを冷静に眺め、沈着に咀嚼し、……。

「なんだ?お前、ふざけるな」

血が沸騰するような憤怒に駆られた。喉が震え、視界が真っ赤に染まった。

コイツは俺の太刀葉姉さんを奪った。
太刀葉姉さんを装った。
太刀葉姉さんの想いを盗んだ。
太刀葉姉さんの手で無為に魚を殺した。
太刀葉姉さんの眼で俺のチンコを見た。

許せねえ



気が付けば俺は『太刀葉姉さんモドキ』の首を絞めていた。
白く、美しく、細い。太刀葉姉さんの首そのものだ。

「止めろ清彦ッ!御皮様は殺しても殺せんのだッ!」

祖父ちゃんが俺の手首を掴んで引き離そうとする。

「アハハ♪そうだよォ清彦君?『俺』は死なな~い♪昔っから弱っちい癖に粋がっちゃってカワイイよねェ❤
『私』にイイところ見せようとして結局怪我して泣いちゃってたよねェ?」

折れてもおかしくない位強く絞めているのに黙らない。

「今回だってさァ?キヨヒコクンが『俺』の祠に来なかったら、『私』は太刀葉のままだったんだよ?
キヨヒコクンが居なくならなかったら、太刀葉がこの時期に夜外に出るわけなかったんだから」

俺の、せい?



たった今 太刀葉姉さんの姿をした何者かの言葉を反芻する・・・。

「アハハ♪そうだよォ清彦君?昔っから弱っちい癖に粋がっちゃってカワイイよねェ❤
『私』にイイところ見せようとして結局怪我して泣いちゃってたよねェ?」

太刀葉姉さんに成り済ましている何かが、太刀葉姉さんが俺に対して思っていた事を・・・考えていた事をあっさりと隠さずに太刀葉姉さんの姿で、声で、俺の心をえぐる。
見透かされていた・・・カッコ悪いところをしっかり見られていた・・・覚えられていた・・・。

その言葉に俺は茫然とし、自然と手が離れていた。



「今回だってさァ?キヨヒコクンが『俺』の祠に来なかったら、『私』は太刀葉のままだったんだよ?
キヨヒコクンが居なくならなかったら、元々の私がこの時期に夜外に出るわけなかったんだから。
でも気にしないで。
元々の私はちゃ~んと今の私になる事を理解したうえで覚悟を決めて外に出たんだから。
愛だよねぇ~♪
そうなの ? これは私自身の意志でもあるのよ。だからちゃ~んとその気持ちも引き継いたのよ♪」

俺の・・・せい?
俺がこっそりダメだと言っていた祠に行ったから・・・太刀葉姉さんは『御皮様』に姿を盗られ・・・祠に代わりに閉じ込められてしまったのか?

俺が勝手な事をしたせいで・・・。



「だからね、今の太刀葉になった私である俺もそんな清彦くんが大好きなの ? 可愛くて可愛くて堪らないの ♪
昔っから弱っちい癖に粋がっちゃっう清彦くんが可愛くて大好き❤
『私』にイイところ見せようとして結局怪我して泣いちゃってた清彦くんが可愛くて大好き❤
だからね、太刀葉になった俺も太刀葉になったわたしとして清彦くんが大好きなんだ ❤
この太刀葉の秘めた想いも恋心も今の俺には私自身の気持ちなんですもの ♪
例え今こんなに殺意を向けられてもね、その気持ちが真剣だけに嬉しくて堪らないわ ♪
ほんとうなら来年には返すんだけど、もうずっと太刀葉のままでいたくなっちゃった ♪ 」


「そ、そんな!御皮様!」
「もう!おじいちゃんたら。御皮様じゃなくて太刀葉でしょ♪
俺は貴方達の家族なんだから。
話を戻すわね。もちろん普通ならそんな事できないけどね。
でも清彦君が望むなら、願ってくれるならそれが可能なの ❤」
ニッコリ微笑む太刀葉姉さん。


俺は……、俺はどうすればいいッ!?
目の前に居るのは太刀葉姉さんじゃあない!
頭では分かっている。
だがこの柔らかな声が、甘い香りが、優しい微笑みが!

俺の心が、『目の前に居るのは太刀葉姉さんなんだ』って認めようとしてやがる。

「どうかな?清彦君。『俺』なら元の『私』より上手く太刀葉をやれるよ?
君の若い情欲にだって答えてアゲル?」

俺は……俺は……



考えてはいけない事を、考えてしまった。
否、最初から思っていたのかもしれない。
昨日、あの祠でミカワサマとやらが太刀葉姉さんを着込んだのを見た時。
・・ ・・・・・
『ソレは俺の物だ。返せ。俺がソレを着る』
そう思ってしまった。
当然人が『皮』を剥がされる瞬間なんて見たことが無かった。
剥がせる物だと考えたことも無かった筈だ。
しかし、あの時『着込む事が出来るのだ』と直感で理解した。

今、自分の中の後ろ暗い想いを理解した。

『俺は、太刀葉姉さんを着たい』



「……ッ!ふふふ、ちょっとゾクッと来たわァ」

俺の眼を見た御皮様が冷や汗を流した。……どんな顔してたんだ俺。まあいいや。
人間『中身』はどうでもいい。『外見』が大事なんだ。
思い出せ、『皮』の剥ぎ取り方を。
昨日コイツはどうやって太刀葉姉さんを剥ぎ取った?

・・・・・・・・・・

先ず、黒い刃の短刀で太刀葉姉さんの胸から腹を切り裂いた。
そうだ太刀葉姉さんが死んじゃうと思った瞬間。
切り裂かれた太刀葉姉さんの『皮』から『中身』を取り出したんだ。
それで、腹に開けた穴から皮を『着』始めたんだったな。
・・・・・・・・・・

ビリィ!!
「キャアアアッ!」

太刀葉姉さんのお気に入りのワンピースを力尽くで破り、食い入るように『太刀葉姉さん』の腹を見る。
昨日きり裂かれた筈なのに傷一つない。
他の人ならこの距離で見ても気が付かなかったかもしれない。
だが俺には解かった。普通の刃物でも裂ける。
まだるっこしい。拳で車の窓ガラスを割り、ガラス片を『太刀葉姉さん』の腹に押し当てる。



「お願いやめて……清彦君……やめて、やめろ、ふざけるな小僧ッ!退けッ!離せェェェェッ!!」

俺は太刀葉姉さんが欲しいんだ。欲しくて堪らないんだ。
「太刀葉姉さんを寄越せぇぇぇッ!!!」
まるで風船に針を刺すような感覚で、ガラス片は『太刀葉姉さん』の腹に沈んでいき、『太刀葉姉さん』は空気の抜けた風船のように萎んだ。

中には何も居なかった。


厚手のゴムの様な柔らかさと、人間の皮膚の質感を備えた太刀葉姉さんの皮。
手から人肌のぬくもりが伝わってくる。
俺は、バケモノから太刀葉姉さんを取り戻したんだ!
俺は達成感と多幸感に包まれた。
そして今、太刀葉姉さんは俺の手の上に居る。

(……俺が『着』たらどうなるんだ?)



「……おい!清彦!おいッ!」

祖父ちゃんの声が聞こえ正気に戻った。
いったい俺は何を考えてたんだ!?
早く太刀葉姉さんに皮を返さなきゃ!

「説明してくれ清彦。昨日祠で何を見たんじゃ?」

俺は包み隠さず昨日の事を話した。

「……」

祖父ちゃんは顎髭を撫でながら深く考え込んだ。

「確認するぞ清彦。『石灯籠に明かりが灯っていて』、さらに祠の中も『薄暗かった』んだな?」


「あ、ああ、そうだけど…」
念を押すように確認する祖父ちゃんの勢いに若干怯みながらもそう答える。

「そうか…、祠の中まで明るくなっていたらもう駄目じゃったかもしれんが、それならまだ太刀葉は助かるかもしれん。
やはりまだ時期が早かったんじゃ。恐らく御皮様の本体はまだ『前の娘』の中におる。
じゃから、御皮様の本体よりも先に祠に行って太刀葉を元に戻してやるんじゃ」

そう言いながら祖父ちゃんは車をカッ飛ばし、例の川に架かった橋の袂で止まった。

「いいか清彦、お前は急いで祠に向かって太刀葉を元に戻すんじゃ。
元に戻したらすぐに祠から離れろ。御皮様は祠の中以外では『着替え』はできんはず。
途中見知った顔に会っても決して相手にしてはならんぞ。
わしは隣村の住職を呼んでくる。頼んだぞ清彦」

祖父ちゃんは再び猛スピードで車を発進させ走り去った。


とにかく本物の太刀葉姉さんのところへ行こう!
抱き抱えた太刀葉姉さんの皮を持って俺は走り始めた。

腕が振れないと以外と走り辛い。
特に石段や石畳だと・・・

そうだ! 俺がこの太刀葉姉さんの皮を着て、俺自身が太刀葉姉さんになって走ればいいんじゃないかな?
祠に到着したら脱いで太刀葉姉さんに返せばいいんだし。
そう考えた俺はさっそく太刀葉姉さんの皮を着始めた。

早くしないと太刀葉姉さんが助からない。
太刀葉姉さんの皮を手に持ったままだと、間に合わないかもしれない。
だからしょうがない。これっぽっちも下心は無いんだ。

きょろきょろ

つい周囲を見回してしまったが、後ろめたさがあったとかそう言う訳ではなくミカワ様が居ないかどうか確かめただけなんだからな!

(……俺は誰に対して言い訳をしているんだ)

高まる胸を抑えきれず俺はそっと太刀葉姉さんの腹の穴に手を入れた。
着るやり方はあの時見ていた。


皮は伸縮性に富み、穴から足を入れると皮が俺の足の形に膨らんだ。
破けそうでヒヤッとしたが、何とか奥まで着た。

「うわっ!?」

少しずつ足が締め付けられるような感触に、思わず声を上げてしまう。
目を疑うような光景だが、俺の足の形が浮いて見えていた皮がどんどん収縮して、太刀葉姉さんの足そのものになってしまった。
触ってみるとまるで素肌を触っているような感触。そして素足を触られているような感覚だった
俺は何かに誘われるように足、腕、そして最後に頭を着込んでいった。
最期に眼の位置を調節し終わると、視界が一瞬ぼやけた。

「……上手くいったのかな?」

携帯の自撮り機能を使ってみると、そこには全裸の太刀葉姉さんが居た。

(しまった。服を着た上から皮を着てしまった!)


服を着たまま太刀葉姉さんの皮を着てしまったが肌から感じる感覚は裸の状態だ。
触ってみても俺の身体とは全く違う肌触りだし、とてもこの皮膚の下には服を着たままの俺が収まっているとは思えない!
全裸の太刀葉姉さんになっているという状態だがさすがに今は興奮して楽しむ心境じゃない。
ぐずぐずしていたら太刀葉姉さんがいなくなってしまうかも知れないのだ!
あっ・・・これを俺が着るのか。
取り出したのは太刀葉姉さんが今日海で着用していた黒いビキニ水着。
ワンピースと下着は俺があの時に引き裂いてしまったから。
靴は履いていたパンプスをそのまま掴んで車に乗ったので今履くのはこれしかない。
一応俺の運動靴を履いてみたがブカブカ過ぎてまだパンプスの方が動きやすい。
俺の運動靴をじいちゃんの車にあったコンビニ袋に入れて俺は祠に向かおうと進み始めた時だ。

「太刀葉?どうしてそんな格好でここに居るの?」
突然後ろから声を掛けられた。
この声は知っている。
振り向くとそこに居たのは……。



「若葉さん!?」
「若葉『さん』?」
言われた若葉さんも不思議そうな・・・そうか!太刀葉姉さんも若葉さんも親友でとても仲が良い2人は
互いに名前を呼び捨てで呼び合っていた。


「あ、あら若葉、この格好?ちょっと清彦君が川遊びしたいって言ってたから……」

双葉さんを巻き込むわけにはいかない!
そう考えた俺は太刀葉姉さんに成り済ますことにした。

「そうだったんだ、清彦君もまだ子供ねぇ♪
でもこんな時間までそんな恰好でいると風邪ひいちゃうわよ?
ほらコッチにいらっしゃい……」

若葉さんの態度に違和感を覚える。
ふと、祖父ちゃんの言葉を思い出した。

>「ならええがこの時間、村人以外の者が独りで川向こうでうろうろしちゃいかん。
>どうしても用があるならおらやばあ様、太刀葉と一緒じゃなきゃダメだ」

若葉さんはなんでこの時間に川のこっち側に居るんだ?

>「いいか清彦、お前は急いで祠に向かって太刀葉を元に戻すんじゃ。
> 元に戻したらすぐに祠から離れろ。御皮様は祠の中以外では『着替え』はできんはず。
> 途中見知った顔に会っても決して相手にしてはならんぞ。
> わしは隣村の住職を呼んでくる。頼んだぞ清彦」

>決 し て 相 手 に し て は な ら ん ぞ

「……カンの良いガキだなァ、テメェはよォ……! 」


「若葉こそどうして・・・」
その言葉を言っている時に勘付いた為だったのか。
俺はきっと表情に出てしまった。
皮を着ている感覚は全く無く、既に自分自身の様に感じられる太刀葉姉さんの身体でもきっと表情を曇らせ、気付いた事を相手に知らせてしまった。

俺一人くらいなんとでも出来るからだろう。
「……カンの良いガキだなァ、テメェはよォ……! 」
若葉さんは・・・いや若葉さんの皮を被り若葉さんに成り済ましていた【御皮様】は若葉さんの綺麗な顔で、素敵な声で、不敵な表情でそう呟いた。
台詞からすれば忌々しいとか、見抜かれたとでもいう表現だが
表情も態度も現れた時から全く変わっていない。

その程度の事では全く障害にもなりはしないという圧倒的な事実に基づいた自信の表れだ。
そしてその評価は間違っていない。
「逃げちゃイヤよ ? 」
そう言いながら笑顔で近づいてくる若葉さん(御皮様)。
俺は・・・。


「ひっ!?」
ゆっくりと歩み寄ってくる若葉さんの顔はにこやかだが、言いようのない禍々しい気配があたりを覆っていく。
「う、うわあああああっ!?」
耐え切れず俺は恐怖を振り払うように踵を返し、ひたすらに祠を目指して走り出した。
胸元で太刀葉姉さんのおっぱいが弾み暴れるせいで、走る姿勢のバランスが上手く取れない。
何度も転びそうになったけれど、太刀葉姉さんの肌に傷をつけるわけにはいかない。
注意しながらも必死に走る。

くそっ。よく考えたら太刀葉姉さんの皮を着込む必要が本当にあったのか?
もたもたと時間をかけて着込んでいたせいで追いつかれたんじゃないのか?
皮を抱えて多少走りづらくても、全力で走っていればもうとっくに祠についていたはずじゃないか。
でも…、でも俺は…。
それでも俺は、太刀葉姉さんを着たかった?
走りながらそんな考えが次々と頭に浮かび、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。

ハァ、ハァ、やっと祠が見えてきた!


迷っている時間は無かった。
確か・・・あの時招かれた太刀葉姉さんはあの位置の壁に吸い込まれる様に祠の中に入った。
太刀葉姉さんの身体になっている今の俺なら入れる筈!
目前に迫る壁!
後ろを一瞬振り返っても若葉さん姿の【御皮様】の姿は見えなかったが間違いなくこの太刀葉姉さんの身体を狙い追ってきている筈だ!
「ええ~い、ままよ!」
体当たりする気分で覚悟を決めて壁に突っ込む!

激突する衝撃に備えていたが・・・1秒・・・2秒・・・3秒・・・いつまでもそれは起こらなかった。

恐る恐る目を開けるとそこは祠の中だった。
大急ぎで水着を脱ぎ裸になる!
太刀葉姉さんにこの皮を返さなくては!


祠の中には皮を剥がされた太刀葉姉さん。そしてあの赤黒い影、『御皮様』が居た。

【よく来たじゃねェかァ、清彦よォ】

御皮様の歯並びの悪い口からおぞましい声が聞こえる。

【ここまで着たらあとはお前さん次第だよなァ?】

生理的な嫌悪感、恐怖心を抑えつけ御皮様を睨みつける。

「黙れ化け物!俺は太刀葉姉さんを助けるんだッ!」

ザ ク ッ ! !

祖父ちゃんからもらった短刀で御皮様を切りつけた。

【……ククク……ヒャハハッ!そうか!そう来たか!その短刀かッ!
ソレで俺を切っちまったかッ!!終わりだよッ!
太刀葉も!お前も!『今回の』オレ様もッ!!】

なんだ?何を言っているんだ?

【好きにしろ!やりたい様にしろッ!お前にはその権利があるッ!】ジュウウウゥゥ……

謎の捨て台詞を残し、御皮様は煙のように消え、御皮様の立っていた所には皮が落ちていた。
これは、俺の皮!?

「清彦……君?」

ッ!、太刀葉姉さん!
そうだ時間が無いんだった!



急いでこの『俺の皮』を着せて、太刀葉姉さんを殺さなきゃ!



太刀葉姉さんを救えるのは俺しかいない。
まずは太刀葉姉さんに俺の皮をかぶせる。

「あなた……清彦君なの?これって……清彦君の皮?」
「安心して太刀葉姉さん。俺が何とかするから!」


俺の皮は直ぐに太刀葉姉さんにフィットして、元の俺そっくりになった。


【ヤるべき事は……解るだろう?清彦よぉ?】

(五月蠅いだまれ。俺の中で囁くな)

俺は俺の姿になった清彦にそっと口付けをした。

「ん!?んむぅ、プハァ!清彦君何を……?」

途惑う俺(太刀葉姉さん)をそっと抱きしめ耳元で囁く。

「大丈夫。全部私に任せて……」

自分の口から出たとは思えない妖艶な声だった。
あむ、ちゅぱ……れろぉ
『俺』の耳を太刀葉姉さんの柔らかな唇と舌を使い舐めてやると、『俺』は酷く身悶え情けない声を出した。

「ひゃうう!?や、やめて『私』の身体で何をするの!?」

『俺』の身体で情けない声出さないでほしいんだけどなぁ。
『俺』の胸板にオッパイを擦りつけながら口での攻めは首筋に移行した。
女性目線だとこんなに筋肉なかったのか。もっと鍛えとけばよかったなぁ。
涙目で荒い吐息をこぼす『俺』を見ながら頭を撫でてやった。
俺も童貞だし中身の太刀葉姉さんも性経験はないだろう。
更に皮を着たばかりで敏感な肌が女性の柔らかさで包まれているのだ。
当然『俺』は既に勃起していた。

「何……これ……!?」

『俺』の乳首を舐めながら右手で玉を擦ってやると、かつてないほど大きくなった俺のチンコがあった。

(太刀葉姉さんがシテるからか?それとも『オレ』のテクニックのおかげか?)

指を絡ませるようにチンコを掴む。先走りでもうヌルヌルになっているからこするのも楽だ。

「ねえ?気持ちイイ?私の手コキ」

「アナタ誰?本当に清彦君なの……?」

「見ての通りなんじゃないかな?情けなくチンコ勃起させてるのは誰?
いやらしく男に纏わり付いてるのは誰に見える?
そう……貴男が『清彦』で私が『太刀葉』。他にどう見えるの?」

「違う……、私は……私が太刀葉……」

動かす手を速めながら『俺』に言葉攻めをする。
こうすれば太刀葉姉さんに『俺』の皮が馴染んで助かるんだ。

ドピュ。

「あらぁ?イっちゃったの?自分の事太刀葉だって言ってるのに、自分の事女だと思ってるのに
精液出しちゃったんだ?」

手についた精液を舐めとって見せる。酷いエグ味だが不思議と美味しく感じた。
『自分が出した精液を自分が舐めとる』。この倒錯した光景に興奮したのか『俺』の股間は再び固くなっていた。

「ふふ♪次はこっちで……」

『俺』を押し倒し、チンコを手で調整し太刀葉姉さんの穴に宛がった。
太刀葉姉さんの初めて、イタダキマス。

ズブチィィ!

脳天に突き抜けるような痛みが襲う。
処女膜破れるのって、こんなに痛いのか!
しかし痛いのはオレじゃない。俺だけだ。
オレはゆっくりと腰をグラインドさせて『清彦』から精を搾り取る。


「あとは、俺がこの短刀で……」

短刀を逆手に持ち直し、力が入らず仰向けに倒れたままになっている太刀葉姉さん(in俺の皮)に跨る。
……?なんで俺は『短刀を太刀葉姉さんに向けている』んだ?

なんとなく直感的に浮かんできた『太刀葉姉さんを助ける方法』に従ってここまできたけど、何かがおかしい。

「フハハハハハッ!!この身体はオレ様のモンだァ!オメェはそのガキの身体のままくたばりやがれぇッ!!」

!?

口が勝手に!?



(そうだ!刺せ!殺せ!でないとオレは太刀葉姉さんになれないんだ!)

そうだな。刺さないと。

振りかぶって勢いよく短刀を突き立てる。

あまり好ましくない感触が手から伝わるが

(刺せ!もっと刺せ!一生太刀葉として生きたかったらこいつを殺せ!)

そうだね。俺が言う通り殺さないと太刀葉姉さんにこの素敵な皮を返さないとダメだ。
たから殺さないと。

ザクッ!

やはりイヤな感触。

でも続けなきゃ。

「ガフッ!・・・だ、ダメ。清彦君・・・悪霊に負けないで・・・あ、貴方なら・・・き、きっと勝てるわ」

ザクッ!

まだかな?

……

ザクッ ザクッ ザクッ
何度刃を突き立てただろう。
頭に靄のかかったような状態からふと気がつけば、俺は俺の姿をした太刀葉姉さんの上に馬乗りになっていて、
太刀葉姉さんは動かなくなっていた。
俺の手には短刀が握られ、しかし周囲に血溜まりができるでもなく、ただ手に嫌な感触だけが残っている。
「夢…? なわけないよな…」

俺は短刀の柄を俺の姿の太刀葉姉さんの額にポンと押し当てる。
すると…、その目がゆっくりと開く。
「あれ…俺は一体…? はっ!? 太刀葉姉さん! 大丈夫だったの!?」
そう言って、“俺の姿の太刀葉姉さん”は、“太刀葉姉さんの姿の俺”に向かって尋ねてくる。
「ええ、清彦君のおかげで私は見てのとおり無事よ。本当にありがとう。御皮様も消滅しちゃったみたい」
俺は太刀葉姉さんの声で、太刀葉姉さんとしての言葉で答えてやり、
「よかった…! 本当に、よかった…!」
抱きついてくる“俺”の頭を撫でてやった。



俺の皮を着せられた太刀葉姉さんは、もう完全に普段の俺と見分けがつかないくらい、俺らしく振舞っていた。
短刀の効果だろうか、元が誰だったかすっかり忘れているようだ。
太刀葉姉さんは、祠に向かって走っていた、皮を着る前までの記憶を持つ俺になっていた。

二人で連れ立って祠からの帰り道の石段を下る。
さっきからどんどん皮が俺に馴染んできている感じがある。自然と太刀葉姉さんとして振舞うことが出来るようになっていた。



俺の手の中には短刀が二本握られていた、祖父ちゃんにもらったやつと、もう一本、御皮様が消えた後に残っていた黒い短刀だった。
これは御皮様が太刀葉姉さんの皮を剥がすのに使っていたやつだ。
何故か、この二本の短刀が元々は揃いのものだということが俺の頭に浮かんだ。というより、俺は“識っていた”。
人の皮を剥がす「皮だけを切る短刀」と刺した相手の内面を操作できる「中身だけを切る短刀」。元々二つは“俺のものだった”、と脳裏に浮かぶ。

ふと思いついて、俺は自分の、太刀葉姉さんの細く白い右手首を左手の人差し指で縦になぞる。
と、そこから小さく皮がぱっくり開き、俺は二本の短刀をそこから皮の中に仕舞いこむ。
短刀が入っても皮の表面にその厚みが浮かぶことはなく、もう一度指でなぞると皮の裂け目もきれいに消え去った。
これでいつでも短刀を取り出して使うことが出来る。

その手で前を歩く“清彦君”の手を握ると、二人は手を繋いで石段をゆっくり下っていく。



しばらくすると前方から懐中電灯の光が見えた。
お祖父ちゃんや隣村の住職だろう。
バレないように気を付けなきゃ。
『バレそうになったら御皮様に皮にされて記憶喪失になったことにしよう』
と頭の中の俺が囁く。
うん。そうする。


「おぉ~い、大丈夫だったかぁ!」

袈裟を着た坊さんの間延びした声が聞こえてきた。
この人が祖父ちゃんの言ってた隣村の住職か。
先代なら手こずったかもしれないけど、この坊さん程度の法力なら、祠の外に出ちゃえば封印できないんだよな。

(ってなんで俺は住職の先代のこと知ってるんだ?)

気にするな。

(うん、気にしない)

「住職さん、お久しぶりです。清彦君が助けてくれたんです」

太刀葉姉さんとして振る舞うのも随分慣れてきた。
“太刀葉姉さんの姿の俺”に褒められたからか、隣に居る“俺の姿の太刀葉姉さん”が得意げな顔をしている。



……翌朝、主を失った祠は一日で数十年の時が流れたように劣化し、朽ち果てていた。
御皮様に娘を奪われる心配がなくなった村の親たちは、安堵し、ささやかに祝杯を挙げた。

・・・・・・

「やっぱり取り壊しちゃうんだ」
「おう、要らないモンは壊して、忘れちまった方が良いからな」

祠は重機で取り壊され、後には何も残らなかった。

・・・・・・

勝手に祠へ行った俺はこってり絞られた。
俺のせいで太刀葉姉さんを危ない目にあわせてしまったし反省しなきゃ。

・・・・・・

「ええッ!?太刀葉姉さん東京の大学受けるの?」
「うん、私も広い世界を見たいなって思ってさ」

太刀葉姉さんは凄く勉強が出来る様だ。模試の判定だと帝衛洲大学でA判定だったしな。
(あれ?なんで俺、太刀葉姉さんの模試の判定知ってるんだ?)

「夏休みの間東京の予備校に通うから、私も清彦君の家に泊まるわね?」
「マジで!?やったぁ!」

こうして俺は太刀葉姉さんと一緒に東京へ帰った。

…………
………
……



それから一か月間経った。
その間俺の家の周りで奇妙な事件が起こるようになった。
若い女性が一日にして人が変わったようになってしまうのだという。
そしてそれに伴い一人の男が行方不明になっているという。

「ふひひひぃぃぃ!四葉さんのオッパイデッカすなぁぁ!」

お隣の四葉さんが奇声を上げて自分のオッパイをもんでいる。
おしとやかで控えめな美人(まあ太刀葉姉さんの方が美人だという確固たる自信はあるが)だったのに。

まさか……御皮様の呪いか何かを持って帰ってしまったのか?

「清彦君……『気にしないで』」
「うん……気にしない」

太刀葉姉さんの声が聞こえた。心が落ち着く。
何も不安な事なんてないんだ。
心からそう思った。

――――――END
くぅ~疲れましたw これにて完結れしゅぅぅぅ!
実は、ネタレスしたらだいこう続きをのぉおお話投稿しゃれたのぉおおが始まりれしたのぉおお
本当は話のぉおおネタにゃかったのぉおおれしゅぅぅぅが←
ご厚意を無駄にしゅるのぉおおわけには行かにゃいぃのぉおおれ流行りのぉおおネタれ挑んれみた所存れしゅぅぅぅw
以下、太刀葉達のぉおおみんにゃへのぉおおメッセジをどぞ

御皮様「みんにゃ、見てくれてぁあああ あぉりがとう
ちょっと腹黒にゃところも見えひゃったけど・・・気にしにゃいぃれね!」

若葉「いぃやーぁあああ あぉりがと!
私のぉおおかわいぃしゃは二十分に伝わったかにゃ?」

太刀葉「見てくれたのぉおおは嬉しいぃけどちょっと恥ずかしいぃわね・・・」

清彦「見てくれぁあああ あぉりがとにゃ!
正直、作中れ言った俺のぉおお気持ちは本当らよお゛お゛お゛ぉ!」

祖父ちゃん「・・・ぁあああ あぉりがと」ヒゲファサ-

れは、

清彦、太刀葉、若葉、祖父ちゃん、御皮様、四葉さんの皮を乗っ取ったモブ「皆しゃんぁあああ あぉりがとうごじゃいぃましたのぉおお!」



清彦、太刀葉、若葉、祖父ちゃん、御皮様「って、にゃんれ四葉さんの皮を乗っ取ったモブくんが!?
改めましてぇぇぇぇ゛、ぁあああ あぉりがとうごじゃいぃましたのぉおお!」

本当のぉお゛お゛本当に終わり ぃ

書いといてなんだがアヘ顔ダブルピースの祖父ちゃんを想像して草を禁じ得ない。
リレー清彦
0.2370簡易評価
16.100きよひこ
面白かったです。
選択次第で別のエンドも読んでみたいです。
18.100きよひこ
よいお話しをありがとう。
25.100きよひこ
参加させて頂いた者です。
ラストが変わっていますね。
てっきり清彦と一体になって一緒についてきた御皮様が日替わりとか数日の間だけ
清彦と分離して太刀葉さん以外の女性になってその身体を楽しんでいると思っていたのですが、
今は太刀葉姉さんに成り済ましている本物の清彦の周辺の男達が、気になる女性を皮にしてもらい着込んでいるようですね。
彼女達はちゃんと元に戻れる(行方不明だった男が非常に充実した、生き生きとした状態で発見される)のでしょうか?
一生乗っ取られたままではちょいダークとは言えないような・・・。(^_^;)
33.100きよひこ
GJ!
50.100きよひこ
後書きが臭い -114514点