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僕をいじめていたヤンキーが懐くとき

2016/04/29 14:15:18
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きよひこはいわゆる番長だ。グループのトップに君臨し、周辺の学校においても結構名をとどろかせていた。
僕はというと、きよひこのパシリだった。
飲み物買って来いとか、カツアゲするとか、そういうやつ。
何かと呼び出されては物取られたり、笑いものにされたり、殴られたり、そんなの日常茶飯事だった。
いじめってやつだよ、もう完全に。
もちろん僕だっていやだよ。こんなこと好きでやってるわけがない。だけど逆らえなかった。
そりゃそうだろ? 相手は僕よりずっと体が大きくて、力が強くして。負けるに決まってんだから勝てるわけないじゃん。
僕のほうが力が強かったりすれば、また状況は変わるかもしれない。そう思っていた。
そう、関係が変わったのは、きよひこが女になった時だった。





「あ、そう……いいっ、そこっ…」
「気持ちいい?」
「すごく、いいっ。としあきのって、本当に元気で……」
放課後の体育倉庫、照明など存在しない空間で、唯一窓から差し込む日の光の中で二人きり。
僕の目の前には半裸になって、丸くて美しい、すべすべでぷにぷにのお尻をきよひこが突き出していた。
僕はそこに遠慮なく入っている。僕が動く度に気持ちよさそうに微声を漏らす。
「いい? 出すよ?」
「あ、うん。俺も、イクっ、出して……あ、あぁぁぁぁっっっ!」
そう、今僕の目の前でイッちゃった女の子こそがきよひこ。
女になったきよひこがグループの他の連中に襲われそうになっていたときだった。
まあ、女に飢えた男達だから目の前にこんな極上の女の子がいたら襲うなんて短絡的なことしても全くおかしくないし。
その場に居合わせた僕としては放っておいてもよかったんだけどね
だってそうでしょ? 今まで僕にさんざんひどいことしてきた人物だよ。そんな奴が窮地に陥っていたらざまあみろって思うものだよ。
そのはずなんだけど、ねえ。でも、助けちゃったんだよねぇ。
なんでだろ? 姿が変わって放っておけなくなっちゃったからかな? あのおびえた姿を自分に置き換えてみちゃったからかな?
その場にあった鉄パイプぶんぶん振り回して、そいつら何人か撃退して、何とかして腰抜かしたきよひこの手を引っ張って逃げてきて、なんとかなったけど。
そしたらきよひこは助かったと知ってか、僕に抱きついてビービー泣きはじめて。
いやもうどうすればいいのかって思ったよ。女の子に全く縁のなかった僕だからこういうときどうすればいいのかよくわからなくて。
それ以来、何故かなつかれた。
普段僕をさんざんな扱いにしているのは変わらないけど、二人っきりになると途端に甘えてくる。
僕をいじめていたのが発展してツンデレ属性になったってこと?
それで僕に甘えてくるって何? 吊り橋効果ってやつ?
まあ、いじめがなくなったからいいか。実際、甘えてくるきよひこはすごくかわいいし。

ただ、きよひこを女にしたのは僕なんだよねぇ。
たまたま見つけた魔導書、それが本物だったとは。本当に女の子になるとは、ねぇ。




1. 日常

昼休み、教室
「おいとしあき。とっととパンと牛乳買って来いよ」
「へーい」

15分後、屋上
「そ、その、さっきのは他の奴らの建前ってやつで、一応番長ってところ見せておかなきゃいけないから……」
いや、そんなもじもじしながら申し訳なさそうに言われても、どうすりゃいいのさ。
僕が買ってきたサンドウィッチと紙パックの牛乳を受け取ると急にこれだもん。
前からそうだったが、きよひこは番長ってだけあって周りに寄せ付けないオーラが強かった。
そして女になってからはそれは変わらず発している。
ところが僕に関しては違った。
表向き、みんなの前では今まで通りの上から目線、使い走り、いじめっ子的立ち位置なのだが、二人っきりになると一転する。
こんな感じで超がつくくらい甘えてくる可愛い女の子になってしまう。なにこれ。
「どっちにしてもお昼はいつも売店でしょ? 僕も今日は売店で買うつもりだったしちょうどいいし」
「そ、そうはいってもだな。お前の金使わせてるし」
いや、いつも後で払ってるじゃん。
「まあ、確かにお金はかかっちゃうからなぁ。やっぱお弁当作ってくるか」
「は? お前が作るの?」
「いや、一応少しぐらいは料理できるし、大体冷凍食品なら手間かからないし」
「そうじゃねえだろっ、こういうのは普通女の方が作るに決まって……あ」
あの、きよひこさん? 顔が真っ赤になっちゃってるけど。
「……俺、女だから…俺が作ってくる」
本気ですか?


昼休み、教室
「おいとしあき。ツラかせや」
「へーい」

屋上
「その、約束通り作ってきたぞ、弁当」
……マジですか?
「あの、きよひこって料理できたの」
「いや、昨日そのために料理の本見てたら姉貴が……」
『お弁当!? あのカレシ君に作ってあげるってこと!?』
『か、彼氏じゃねえよっ。おいこらその本返せっ!』
『うーん、ちょっとあんたにはこれレベル高いんじゃない? 大丈夫っ、あたしが手取り足取り教えてあげるわよっ』
「って感じで、丸一晩かかって……」
ほほう、つまりその指の絆創膏は喧嘩したわけではなくて慣れない料理のせいで包丁で切ったと?
「だからいらないなんて言わせねえぞ!」
「いや、いらないとは一言も……」
「そ、そうかじゃあほら、あーん」
いや、だからってどうしてそれになるのかな? なんかきよひこのやることって飛躍しすぎてない?
まあいいや、とりあえず……
「あーん」もぐもぐもぐもぐ
「ど、どうだ。うまいか?」
「……おいしい」
グッジョブですよお姉さま。よくぞここまで特訓して成果を出しましたね。
「そ、そうか、うまいか。よかった」
うわー。すっごいうれしそうな顔しちゃってきよひこちゃんったら。
まるっきり恋人にお弁当食べてもらってうれしいっていう女の子の顔してるよ。
けどそれは本人には言わない。女の子っぽいとからしいとか言ったら殴られそうだし。
「ま、まだまだあるからな。どんどん食ってくれ」
「ってうぉいっ!? 気が付いたら弁当って重箱じゃないかっっ!!」
今の今まで気が付かなかった僕も僕だけど。
きよひこが持ってきていた弁当箱は運動会でお母さんが気合入れて作りましたクラスを超えてるよ。
五段もあるじゃないか。こんなに作ったの!?
「言っただろうが。一晩かかったって」
桁が違いすぎる。そりゃこんだけ作るのには一晩はかかるだろうけど……
「だ、だからその、いろいろ姉貴が教えてくれて、いつの間にかこんなになっちまったし」
「タフですねお姉さま」
「その、残したらもったいないし」
「………」

午後の授業
「どうしたとしあき。調子悪いのか」
「いえ、先生。ちょっと食べすぎただけですから」




2. 定期集会

「「「おはようごさいますっ!! きよひこさんとしあきさんっっ!!」」」
もう放課後で夕方だからおはようございますってのはおかしいはずだが。
まあ、芸能界ではどんなに遅くてもその日一番最初の挨拶はおはようございますらしいから大体あってるけど。
それにしても……先ほどの挨拶は高い声が響いた。女子の皆さんが一斉にこちらに頭下げてます。
どーしてこうなった。いや、僕のせいですよわかってますよ。
きよひこに今までこき使われて溜まっていた家来たちが、女になったきよひこを襲おうとしたのがこの前の出来事。
その時はなんとかなったけど、今後同じようにきよひこの美貌(?)にひかれてこいつらが襲ってくる可能性はゼロではない。
さすがにこのままでは警察沙汰になりそうだと思って、例の魔導書使ってそいつら全員女にしちゃったんだよねぇ。
そうすればこいつらもきよひこのこと襲いはしないだろうと思ってね。
ほら、やっぱりあんなに泣かれちゃったら守ってあげたい心理って働いちゃったりするんだよねぇ。
うん、またしても上手くいっちゃったよ。そしてみんなとびっきり可愛い女の子になってんだから。
あれかな? 2回目だったから手順よくわかっていたし、手際よくできちゃって。
だから全員女の子にする魔法だか呪いだかかけるのにそれほど苦労しなかったんだよね。
そんな女の子たちが改造制服(女子用)を身にまとい、一斉に頭下げてるってこれどういうマンガ?
おまけに呪いの設定でかなりレベルの高い女の子にしたからどう見てもここ、ツッパリの定期集会じゃない。
ヅカのおねー様たちの美しき集まりっていうのが適切か?
「さあてお前ら、全員集まったな」
きよひこの第一声。緊張の空気が漂う。
ちなみに僕がここにいるのはいつものこと。使い走りだからでしかないんだけど。それ以上もそれ以下もない、はず。
「そ、その……きよひこお姉さま、よろしくお願いしますっ!」
うーん、きよひこはお姉さまって呼称になったんだ。
そのお姉さまの前で服を脱ぎ始める元不良女子一同。
「ちっ、しゃーねーなー。また一発かましてやっか」
そして同じく服を景気よく脱ぎ始めるきよひこ……ってうをいっ!?
「なにこれどういうことぉ!? 何みんなして脱いじゃってんのっ!!」
「あん? 子分共にカツいれてやんだよ」
カツ入れるって何!? 裸になってする必要あるの!! うわすごっ、極上の女体が僕の視界を埋め尽くして。
僕の疑問をよそに、ばさっと最後の一枚脱ぎ捨て裸になるきよひこ。ちょっと男前っすね、そしてスタイル抜群ですね。
「こいつらもいきなり女になっちまってよ。で、先に女になっていた先輩として俺がちょっと攻めてやったらこれだよ」
「攻める、とは?」
「俺のテクは最強なんだよ。お前らまとめて骨抜きにしてやる。覚悟しろよ」
「「「はぁ~~いっっ、おね~さまぁ~~~~っっっ♪」」」
うわーーーーーっっっ! 百合だ、百合の世界だっっっ!!
きよひこったら、ツッパリグループを百合グループにしちゃったよ。
いくらなんでも激変しすぎでしょ。
いや、皆を女にしたのは僕だから責任の一部は僕にもあり?
それにしても……
「女の子同士百合百合ラブラブって、きよひこモテモテだねぇ(ボソッ)」
「なっっ! い、いっとくけど浮気じゃねーからなてめーこそこいつらに色目使うよ浮気すんなよっ!」
きよひこ、顔を赤くするくらいならやめておこうよ。




3. 水泳授業

本日の体育は水泳です。
そうです。きよひこの水着です。
……といっても学校指定のスクール水着(旧式じゃないよ)ですから特にどうってわけでもないけど。

体育授業は基本男女別。もちろん水泳もまた同様に。
こちら男子たちは淡々と進みます。一方の女子側はというと
「くっ、どうして俺が女子と一緒に……」
いやきよひこ君。文句言ってるけどその姿で男子と一緒は無理でしょ。
ちなみに女子の中には僕が同じく女にしたきよひこの元不良仲間たちも混ざっていたり。
そちらはなんだかなじんで女子やっているような気が……えっと、誰が元男子だっけ?
「み、水着なんて……恥ずかしい」
おや、なんか恥じらいを感じているようですね。
ちなみにきよひこは女子の中では身長は高い。男の僕よりもね。
それでいてあのスタイルの良さだ。出るとこ出て引っ込むところは引っ込む。
こうなると他の女子からは嫉妬の目線があったり。
「くっ、何食ったらあんななるのよ。むかつく男のくせに」
……いや、何食べたっていうよりも魔術のせいなんだけどさ。
しいてあげるなら僕を喰ったってところか?
「あ~、みんなそろったな。なかなか似合ってるじゃないか、ええ」
そして男子側の授業が淡々と進む中で女子の方も進んでいくのだが、問題はその教師。
体育教師らしく筋肉質でマッチョで、ある意味男性ホルモン全開で毛深い太山先生。
うちの学校では体育教師は授業によって変わるのだが、この太山は何故か女子水泳を受け持つことが多い。
いったいどういう手段を使っているのか知らないが、確実に本人が工作していることは間違いないと噂されている。
なぜなら先ほどから女子一同を値踏みするような感じで、やらしい目つきで見て回っているから。
絶対にこの目的のために水泳女子の授業受け持ってるだろ。
おまけに女子水泳部の顧問もしているという。最悪だ。
このため女子からは圧倒的なまでに嫌われている。今もすっごい軽蔑の視線が多くの女子から送られているのだが、本人は気が付いているだろうか。
「ふむ? きよひこもいるのか」
そして視線はきよひこに。当人は腕組んでにらみをきかせているが。
「お前本当に女になったのかぁ? ずいぶんでかいじゃないか。ここになんか入れてんじゃないのかぁ? 」
「ってなにしやがるっ!」
堂々と胸をつつき始めた。その手をはらうが太山は素早くかわした。
これにはきよひこもご立腹だ。当然だ。他女子からも軽蔑の視線が強くなる。
このやりすぎ行為には僕だって頭に来た。普段だっらきよひこの方が手が早いかもしれんが、今回は僕のほうが早かった。
「おおっと足が滑ったぁぁぁぁっっっ!!」どかっ
「ぶべらぁっ!?」ざっぱーん
一気に走ってドロップキックをかましてやった。
どうやらいい具合にヒットしたらしい。勢いよく吹っ飛び、プールに盛大に水しぶき立てて落ちていった。
「がはっ、誰だっ! おまえかとしあきぃぃっ!!」
「いやーすんません。プールサイド走っちゃいけませんよねぇ」
すっとぼけてやった。
「ふざけるなっ! 明らかにわざとだろっ!」
上がってきたその表情はかなりのお怒り具合。
プールの水でクールダウンというわけにはいかないか。怒り心頭だ。
「ただの事故よぉ」
「そーそーワザとじゃないわ」
「先生がふらついてただけじゃないのぉ?」
そしてまさかの女子一同からの援護射撃が。どうやら本当に嫌われているようだ。
そりゃそうだろう。直前にしていたことを考えたら誰も太山先生のフォローに入ろうなどとは思わないだろう。
「ボソッ(ありがと、としあき)」
おやおや、きよひこちゃんからは僕へのお礼ですか。
そうやって小声で言うあたり、一応番長って地位を考えているんだろうなぁ。
しかしよく見たら泣きそうな顔してませんか? たとえ元男でも胸触られたのがそんなに嫌だったのか。
「ざっけんなよ太山ぁ! 自分が酔っ払っていたのを生徒のせいにしやがって!」
そして啖呵を切る。すごい、きよひこは太山先生を酔っ払っていたことにしちゃった。いくらなんでも無理あるんじゃない?
それにしても表裏激しいねきよひこちゃん。ついさっきまで泣きそうな顔していたと思ったんだけど。
「ちょっと福山先生! あんたも注意したらどうですかっ!」
おっと、ここで男子側教師に助けを求めた。自分で弁護しきれないからといって権力に訴えて来たか?
「太山先生、授業なのにお酒飲んじゃいけませんよ」
「ちょっとおぉぉぉぉぉぉっっっ!?」
まさかの救援拒否。こいつ教師からも嫌われているのか?
とにかくセクハラで目撃者多数で間違いなく処分だろう。そこで僕は一言こう言ってやった。
「太山先生」
「なんだとしあき」
「これで済むと思っちゃあ、いけませんからね」

その日のうちに太山先生を魔術で女にしてやった。




4. 定期集会その2

本日定期集会の日、つまりはきよひこのグループ一同が集まるってことなんだけど……
「誰もこないっ!?」
旧校舎、今は使っていない空き教室には僕ときよひこ以外誰も来なかった。
結構待っている。時間だけが過ぎていく。いつもならばとっくに来ていておかしくないのに。
もともと時間にルーズな人ばっかりだけど、それでもきよひこよりも先に来ている人がほとんどのはずなのに。一人も来ないってのはなぁ。どうしたのか。
「ん?」
ふと気が付いたのは窓の外。2階のこの空き教室から見えるのは学校の裏側だ。
あそこにいるのはメンバーの一人(女子化済)じゃないのか?
ちょっとわかり辛い木の間の物陰の所。なんだろう、知らない男子と一緒にいるみたいだけど……
『あんっ、ちょっと焦らないでよぉ』
『本当に可愛いよね。男だったなんて嘘みたいだよ』
『やだぁ、昔のこと言わないでぇ。あ、やだっ、そんな、おっぱいを……』
……あいびきの真っ最中でした。
そういえばここ最近、女性化した奴らが妙に女の子女の子していると思ったんだよなぁ。
しゃべり方とか完全に女の子だし、化粧とかもしちゃって、とにかく可愛くなった。
制服も改造しているとはいえ、ツッパリ改造じゃなくてはやりの女の子的な改造の方だったし。
だからその他男子たちの注目の的。結構話題になってる。
さらにいえば魔術の効果でレベルは上位クラス。アイドルとかにいそうなぐらいの可愛いレベルだし。
実際今度告白するんだって言っていたやつもいた。恐るべし。
「あ、あいつ、あんなことを……」
きよひこも気がついたようだ。わなわな震えている。そりゃそうだよな、こっちの用事さぼってあんなことしてりゃ。
「なんてうらやましいっ!!」
何を怒っているんだ! どうしてうらやましがるっ!!
そこは番長としてしっかり粛清しなきゃいけないんじゃないのか!? 大丈夫か番長、いったいどこを見ているっ。
がしっ
「ん?」
「としあきっ、こっちも負けてられんっ! 俺たちもラブラブするぞっ」
「何の話!? どーしてそうなるっ!? 脈絡がないんだけどっっ!」
唐突すぎる展開についしていけないのに、きよひこはどんどん進めようとしている。
ちょっと、なにブラウスのボタン外してんですかブラ外してんですかっ!
うわ結構派手なブラしてるんですねきよひこさん。
「だ、大体ここ最近ご無沙汰だったじゃないか。久しぶりにいいだろ」
そういうノリですることかこれ。ご無沙汰って、そういえば確かにここ最近はきよひことやってない気はするけど確かに。
ちょっと、スカートの中に手を入れてショーツおろしてるんですか。うわこっちも派手だしヒモ同然だし。
っておい、きよひこちゃん顔赤いけど。
「そーは言っても、ねぇ」
いまいち乗り気でない僕。いくらご無沙汰だからとはいえ、こうも唐突には。
「なんだよ一体。ど、どうしてしてくれないんだよ。お、俺のこと……嫌いか?」
えっと、そんな泣きそうな顔にならないでよ僕が完全に悪者みたいになってるけど?
こんなことで悪者扱いされたくないし。だからと言ってこのまま突入ってのも。
しかしこんな顔のきよひこちゃんはなかなか見れないですよ。うん、ちょっと意地悪したい気分。
「だからさ、ちゃん言わなきゃわからないよ。何をしてほしいの?」
「え、その……」
おお、どんどん顔が赤くなる。
「どうしてほしいか、言ってよ」
「あ、あの……」
「何をしてほしいの?」
「お、おっぱいモミモミしてお尻をナデナデしてチュッチュッして俺のおマンコにとしあきのおチンチンをハグハグしながらパコパコしてほしいのぉ……」
わーいここまで言うとは思わなかったよ。ごめんなさーい。


「あんっ、あっ……イクっ、イクぅぅぅっっっっ………!!」
これで何回目の絶頂を迎えたやら。
僕と向き合い、またがって、対面座位な姿勢で、だいしゅきホールドも駆使して、ずっと離れないでいる。
この姿勢だと自然とお尻に手が触れて、ナデナデしちゃったり。
きよひこは僕にキスして甘美な声を漏らしたと思ったらまたすぐキスしてきて、唇をずっと離さない。
いつもの番長としての威厳はどこにもない。すごく甘えてくるエッチな女の子でしかない。
「ね、としあきぃ。もう一回……」
「いやもういいでしょ。何回目だよこれで」
「……キライ?」
いやそういう目で見ないでよどうしてそんなにかわいいんだよ畜生目が。
こんな顔されちゃ結局断れない。
いじめっ子といじめられっ子の関係で、きよひこのいうことを断れなかったのが今やこんな形で断れないようになるとは。
仕方ない、もう一回するか。そう思った時だった。

がらっ
「すいません遅くなりましたっ!」
「彼氏とイチャイチャ、じゃなくてヤボ用で遅くな……あ」
「あ」
現場に遭遇。真っ最中の現場に。
やってきたのはきよひこの手下達。大幅な遅刻だ。
その方々は部屋の中の様子を見て、つまりは僕たちを見て硬直。
当然僕たちも硬直。見られてしまった。
時が止まった。これはもう言い逃れのしようもない。どうしよう。
「と、としあき貴様っ、粛清してくれるっ!」
「ごぼがばっ!?」
ごまかしに入った。言い逃れできないこの状況を必死にごまかそうとしてるよきよひこは。
抱き合っている構図をヘッドロックしているってことにして、締めて来たよ。
しかしこれはヘッドロックになってない。締めつけるときよひこのおっぱいに埋もれていく!
つまりはパフパフです。すごくいい感触です。すごくご褒美です!
おまけに半裸でヘッドロックすることは普通ないでしょ。どう見てもヘッドロックには見えない、ぱふぱふです。
「そ、そうっすよね。きよひこさんも年頃ですからね」
「じゃあその、お二人でごゆっくり」
「お、俺ももうちょっとカレシといちゃいちゃしてこよーっと」
変に気を使われたよ。そのまま戸を閉めて帰っちゃったし。
おまけに最後の奴、ものすごく気になること言っていたのだが。

「ふっ、うまくごまかせたな」
「いやだからごまかせてないって」
こうしてきよひこの不良グループは解散したのだった。




5. 一方的なライバル

「きよひこぉぉぉっっっ! いざ尋常に勝負せえぇぇっっっ!!」
いきなり校門に硬派な番長が仁王立ちして絶叫していたのでお茶を盛大に吹いてしまった。
学ランにゲタ装備、学生帽にさらし巻いた筋肉質で老け顔の学生、っていつの時代の人?
しかもその人物はきよひこに用があるらしい。
「しつけーぞまさあき。一体何回俺とやりあえば気が済むんだ」
めんどくさそうに校門の前に立つ人物に近づいていくきよひこ。知り合いか。
状況から察するに他校の生徒できよひこと何度も喧嘩しているって感じか。
勝負ってあたりでそんな気がした。けど決闘罪ってやつで逮捕されるかもしれないから気を付けてね。
「むっ、そこの女子(おなご)。何者だ」
「おめーが用のあるきよひこだよ。女になっちまったけどな」
女になっちまったって、信じるかなそんなこと。くだらない嘘つくなとか言われちゃうよ?
「ふっ、まさかお主、しばらく会わぬうちにそっちのほうに目覚めるとは」
あれ? 案外あっさり信じちゃったな。
なんとなく感じていたけど、あのまさあきって人、バカ?
「知らねえうちに女になっちまったんだよ! 目ざめてねーよ!!」
しかし、僕と何回もやってるから目ざめてるかは否定しきれないよ、きよひこ。
「まあよい。このような状況では勝負などできんな。そうであるならワシは……」
「あんだよ?」
「貴様同様、女となって同じ土俵につく。それなら勝負できるであろう!!」
どうしてそういう発想になるんだ!? あの人の頭の中はどうなっているんだか。


「きよひこぉぉぉっっっ! いざ尋常に勝負せえぇぇっっっ!!」
「おいこらまさあきぃぃっ! それは一体どういうことだぁっっ!!」
すいません、僕のせいです。
まさあきっていう番長が女になってやるって豪語していたから、つい面白がってあの人にも呪いかけちゃいました。
「ふっ、ワシの修行の成果じゃ」
完全に自力で何とかしてるって思いこんでるよ。一体どんな修業したんだか。
それにしても……
「あの格好は、何?」
その恰好、竹刀装備はともかく金髪ロングのパーマにセーラー服、足首まで達する長いスカート。
一昔前のスケバンですね、ハイ。
どうしてそんな古い恰好なんだよ。あの人の頭の中本当にどうなってるの?
実は年齢40歳のオッサンじゃないよね?
しかも姿はょぅι゛ょです。
あの魔術、ただ単に性転換するんじゃなくていろいろ体系とかをカスタマイズできるんだよね。
僕も結構いろんな奴に使っちゃって慣れて来たから、面白がって、ちょっと。
どうせなら元が筋肉質大柄だからちょっと子供っぽくしゃえーって感じで、ょぅι゛ょ設定です。
「さあきよひこ。これでワシもお前と同じ土俵の上。いざ尋常に勝負せえ!」
「…………」
女になって大幅に体力低下したまさあきは瞬殺されてしまいました。




6. 水泳授業その2

本日の体育は水泳です。
なんか水泳の授業が多い気がするけど、気のせいかな?
それはいいや。それよりもちょっとした問題が起こっています。

「はーい、みんな来てるぅ?」
妙にテンションの高い、アニメボイスが響きわたっていた。
その声の主は先日きよひこにセクハラして僕が蹴り飛ばしたみんなの嫌われ者、太山先生だ。
生徒の間では女子に手を出しているとか、覗きをしているとか、どヘンタイとかさんざん言われているが、それはほぼ事実だ。
実際、きよひこが被害にあったし。それで頭に来た僕が制裁のつもりで女にしてやった。
これでいやらしい目線で見られる女子の心を理解しろってつもりだったけど、そうはならなかった。
「はぁ、みんなが見てるぅ。こんなみられるなんて、カ・イ・カ・ンっ♪」
……なにがどうひっくりかえったか、視姦されるのに快感をおぼえてしまった。
それは今まで女子担当だったのが男子担当になったことからも裏付けられている。
水泳部までもが女子から男子に変わったっていうし。
うーん、自分が今までした来たことを女性側で追体験させて後悔させるという計画は早くも失敗してしまったようだ。
「くそっ、あいつの性癖に一役立てさせられるなんて」
「つい見ちまうんだよ。畜生っ」
元が何かを知っているだけに男子たちは非常に悔しがります。
しかし、ついつい見てしまう。そういう悲しい事情があるんです。
太山先生の、体系。
アニメボイスがなんとなく似合う小柄な体系。中学生に間違われるかもしれない背丈と童顔。
そして、あの胸。
ビーチボールですかってぐらいでかい胸。細い体系にはアンバランスで無茶苦茶です。
女体化させるときに僕が無茶苦茶盛ったんだよねぇ。嫌がらせの意味を込めて、肩こってろって感じで。
そんな体系で来ている水着は一般的スクール水着。しかも旧式。
ご丁寧に胸には白のワッペンで「ふとやま」なんて書いてやがる。どこで入手したその水着。
そこに胸を無理やり詰め込んでる。だからあふれたお肉でぎっちぎちで苦しそうなんだけど。
「きぃぃっっ太山のくせに。なんなのよどうしてあんなふざけた胸なのよ」
ああ、じょしからは殺意が。あとで盛ってあげるから勘弁して。えーと、そういう魔術あったかな?
「はーいみなさん太山先生のことは無視しましょうね。あれはただのヘンタイですから」
女子担当になった福山先生、ちょっと毒吐きすぎな気が。
「はぁ・・・やっぱ胸が苦しいわ」
そりゃそうでしょうねぇ。それだけ詰め込んでいるんだから。
「ちょっと楽にさせて」
ぷるんっ
「「「ぐごばあぁぁぁぁぁっっっっっ!!」」」
楽にですか、水着を中央に寄せてサイドから乳出して、ですか。
ビーチボールクラスの乳が目の前で露出して生なんだからそりゃあ男子一同絶叫するでしょうねぇ。
下半身をおさえるぐらいでは制御しきれないです。こうなると。
はかいりょくはばつぐんだ!
「はぁっ、はぁっ、見られてるぅ。みんなに、みられてるぅ」
さらには太山先生のテンションも危ない方向にマックスです。
「殺すっ! 太山殺すっ!!」
そして女子達の攻撃力は倍増したのでした。

後日、太山先生は公序良俗に反することを行ったということでクビになりました。




7. 入れ替わり

「なに、これ・・・」

まず最初にその言葉が出てきた。
朝、目が覚めてみると見たこともない光景が広がっていた。
知らない部屋だった。状況が呑み込めないままふと横に目を移せば鏡があった。
それを見たら……そこに映っていたのはきよひこだった。
間違いない。この顔、この体。どう見てもきよひこだった。
つまり、僕ときよひこの体が入れ替わったってことになる。
原因は? 一番考えられるのは魔術の暴走。
自分でも覚えてないけど、たぶんあの魔導書の何かが影響しているのかも。
それしか考えられない。まあいい、とりあえず原因は後で考えよう。
それよりも、さっきの「なにこれ」というセリフ。実のところ別の意味もあるんだけど。
「なんで、こんな女の子の部屋なんだあぁぁあぁっっっ!!」
きよひこの部屋についてツッコミせざるを得ない。
ピンクのカーテン、ピンクの水玉模様のベッド、大きなくまさんのぬいぐるみがベッドにあった。
(ということはこのクマさんのぬいぐるみ抱きながら寝ているのか?)
そして今の僕(つまりきよひこの体)が来ているのはピンクのクマさん柄のかわいいパジャマ。
とてつもなく、女の子女の子な部屋です。
って、見たらいつの間に撮ったんだか僕の写真まで飾ってあるし。
きよひこって、ヤンキーじゃなかったっけ? 番長じゃなかったっけ?

「きよひこ起きてんのー? 休みだからっていつまでも寝てないでよー」
はっっ! しまった、いきなりドアを開けられてしまった。
知らない女性がそこにいた。よくよく見ればきよひこそっくりじゃないか。
あれか? 前にきよひこが話していた姉か?
どっちにしてもうまい事ごまかさなきゃ。とりあえずきよひこの口調をまねて人払いしなきゃ。
「い、いきなり開けてんじゃねーよおいっ!」
よしっ、きよひこってこんな感じだろう。これでうまくごまかせて出て行ってくれれば……
「あなたきよひこじゃないわねっ! はっっ、さては体が入れ替わって中身は例のカレシ君ねっっ!!」
「どーしてそこまでわかんだよっ! エスパーかっっ!! しかもカレシ君って何っっ!!」
やばっ、ついツッコミを入れてしまった。認たようなものではないかっ。
「なんでわかるかって? そりゃあきよひこなら『きやっ、いきなり入ってこないでよおねーちゃん』っていうから」
き、きよひこ。君は僕の知らないところでそこまで女の子になってしまったのか。


とりあえず僕になったきよひこの所へ行くとしよう。
パジャマから着替え、我が家の前へとやってきた。
ここでもきよひこの口調をまねて「邪魔するぞとしあきぃ」なんて言ったものの母さんが「あらあら、あの子の所にこんなかわいい女の子が来るなんて。隅には置けないわねぇ」
といい、
「私はお邪魔ね。それじゃ二人でごゆっくりぃ」なんて言って出かけてしまった。
変に気づかいせんでいい、母さんっ!
とにもかくにもきよひこと二人っきりです。
「よ、よおとしあき。なんか変な事になっちまったな」
うん、全くもって。しかし原因に心当たりがあるからうかつなことは言えない。
下手気に原因のことを対策しだしたら僕がきよひこを女に変えたことがばれてしまう。
そうなったら一体何をされるか、何を言われるか分かったものではない。
ここは別の話題にそれとなく切り替えなきゃ。そう、別の話題……
「きよひこ、やったでしょ?」
「ぎくっ。な、何を言ってんだ」
本当に隠し事が下手なんだから。ばっちり顔に出てるよ。
「この部屋、ちょっと生臭いにおいしてるよ」
うん、匂いなんだよ。そう、例のアレ。
この部屋に入った瞬間匂いが来て、もうすぐにわかったよ。
それにしても、女の体になって敏感になったかな?
「う、うるせえっ! そ、その……久しぶりだし、としあきのと思ったら、つい」
正直だねぇ、きよひこ。
「そ、そういうとしあきはどうなんだよっ! お前そうやって着替えてきてるってことは…お、俺の裸、見ただろ」
あーうん、さすがにパジャマのままで来るわけにはいかなかったからねぇ。
あの奇想天外なお姉さんに即バレして「一人じゃ着替えられないでしょぉ?」とか何とかいわれて着せ替え人形にされました。
つまり、今着ている服はそのお姉さんのコーディネートです。
しかもただ単純に服をコーディネートするんじゃなくて下着までひん剥かれてます。
「やっぱ二人っきりになるんだからぁ、可愛い下着にしなきゃねぇ」とか何とか言って。意味わからん。
その際に鏡の前に立たせられて「きよひこちゃんの体、素敵よねぇ」って具合で裸しっかりと見させられました。
その事実は、一応黙っておこう。
「けどさぁ、きよひこ。今まで散々やってるから今更裸みられても、じゃない?」
「うっ……」
「それよりも、あの部屋の方が衝撃的だったけど」
「だあぁぁーーーーっっ!! し、しまったそっちのほうが」
「おまけにベッドの上にクマさんのぬいぐるみあったってことは、いつも抱きながら寝てるの?」
「わーーーっ、わーーーーっっ!!」
顔真っ赤にして完全にパニックになってる。なんだか見てて面白い。

さて、そんなことより問題はどうやって元に戻るか、だ。
魔術の何らかの暴走、ということなんだろうけどその解析のためにはまず魔導書を確認する必要がある。
しかし、ここでその魔導書を広げるのもまずい。
そんなことしたらきよひこが女になったことが僕だということがばれてしまうし。
となるとどうやってきよひこにばれないように魔導書を分析するか、だ。

がし
「ん?」
どさっ
「え、あの?」
いきなりきよひこが僕の肩をつかんで、押し倒しましたよ。
「なあ、としあき」
「な、なに?」
「こういう体が入れ替わった時って、エッチすれば戻るのが定番だよな」
どっひゃーーーーーーーーっっっ
「い、いや定番といってもそれはフィクションの話で現実には起こるわけがなく」
「としあきのムスコがさ、すごく元気なんだよ。だからさ、ひとつに、なろ♪」
「いやちょっとそんなこと言ったって自分の体相手にして……どわぁーーーーーーーっっっ!!」
き、きよひこそんな丁寧にひん剥いて……あ、ちょっとそこ触らないでっ。
す、スカートに手を突っ込まないでっっ。
「なっっ! これ俺のお気に入りの勝負下着っっ!!」
「あー、お姉さんに下着までコーディネートされちゃって」
「ね、姉ちゃぁぁぁぁんっっっ!!」


只今5回戦目が終了いたしました。
「はぁ、はぁっ……す、すごっ」
きよひこの女の体ですっかりイかされてしまった。
迂闊にも「やさしくしてよ」なんていったものだから火に油を注ぐ様なことをしてしまったわけで。
でも実際にきよひこはやさしくしてくれたのだけど。
おかげで最高なまでに気持ちよかった。
女の体って男と全然違うんだよな。どっちがいいって言えないけど、種類が違うっていうか。
簡単に言うと、きゅんきゅんしてはぐはぐしたくなるって感じ?
きよひこがよく抱きついてくるのがなんとなくわかった気がする。
「いやぁ、俺も久しぶりに出したぁって気分だよ」
きよひこにとっては久しぶりの男の体だからなぁ。
記憶に合ったものが復活したのか? それでテンション上がったか?
それにしてはテクニシャンだったけど。あれか? 自分の体だから何がいいのか知りつくしてるとか。

「……あれ?」
などと考えていたら、戻っている。
いつの間にか目の前には女のきよひこがいて、僕の体もいつもの感覚が戻ってきている。
何がきっかけで戻ったんだ? まさかきよひこの言う通り本当にやったら戻ったってわけじゃないよね?
がし
「ねえ、としあき」
「ん?」
そんなことを考えていたらきよひこが僕の肩をつかんで、じっと見つめと、顔を自分に向けさせて……
「戻ったんだから、続きを……や、ろ♪」
逆らえませんでした。


結局さらに4回戦目までやってしまいました。
「いやぁ、上手くなったなとしあき。マジ失神するかと思ったわ」
ああ、うん。なにせ自分できよひこの体になってどこがどういいのかわかっちゃったからねぇ。
普段と反応が全然違って面白かったわ。きよひこが今までに見たこともないくらいに喘いでいたし。
本気でいやいやした時もあったし。うん、今後に役立てよう。
「ところでとしあき」
「ん、なに?」
きよひこがギュッと僕を抱き寄せる。
やった後のきよひこは大抵僕に抱きつき、ボリュームたっぷりの自分の胸に僕の頭を埋める。
うん、乳枕ってやつかな?
「お前の部屋に合った魔導書、あれ使って俺を女にしたのか?」
ぎっくうぅぅぅぅぅぅっっっっっ!!
ヤバイ、ばれてしまった!?
なんてこった。自分が女になった原因が僕にあると知れたとなると、何をされるか。
復讐? そうだよな、僕だったらそうする。
ある意味自分を破滅に至らせる結果を作ったんだから。何するつもりだ? どうするつもりだ?
「そこまでして、俺と一緒になりたかったのか!」
「………………………は?」
「そんなに俺の事を思ってくれていたなんて……としあき、だーいっすき♪」
強く抱きしめてくるからさらなる乳プレスが。息が…
つーか何この女の子。僕に無茶苦茶ラブラブなんだけと。
これが、きよひこの復讐だろうか。一生僕を離さないという。




8. 姉という存在

「そう、二人を入れ替えたのは実は私なのですっっ!」
衝撃の告白だった。
それは僕ときよひこが戻って数日後、放課後に「おい、ちょっとツラをかせ」といってきよひこが僕を自分の家に呼んだ時だった。
丁重に僕を招いたきよひこのお姉さんが飲み物を持ってきてくれた時、唐突に放った言葉だった。
ところでお姉さんの服装は部屋着用と思われるショートパンツに伸びきったタンクトップ。
だらしないファッションです。爆乳がこぼれそうです。着替えてください。
「な、な……どういうことだよ姉ちゃん」
「ふっふっふ、じつはこんなものを持ってましてね」
あー、それ見たことある。僕が手に入れた魔導書とおんなじものだ。
ちなみに後で確認したんだけど僕が持っている魔導書にも入れ替わりの魔法が載っていた。
それを読んで誰かが何かの目的で入れ替わりをしたんだなと思っていたから、僕の方はちょっと驚きは少ないかな。
まあ、お姉さんがそれをやったというのはちょっと予想外。
だとしたら僕らが入れ替わっていたことを知っていたわけで、初めて入ったとき中身が僕だって気が付いたことはエスパーでも何でもなかったということ。
ただ単に真犯人がここにいたというだけだった。詐欺師めが。
「ね、ねーちゃんが、どうして」
「そりゃあ仲むつまじい二人にいたずらしたくなったからに決まってるでしょ」
すがすがしいぐらいにレベルの低い動機ですね。
なにそれ嫉妬? ぶっちゃけ嫉妬されても困るんだけど。お宅の妹さん(?)がほぼ一方的に僕に迫っているんだけど。
「それともうひとつ、ここで種明かしをしちゃいましょう」
「な、なんだよ」
「こういうことです」指ぱっちん
「あ? ああぁぁぁぁっっっっ!?」
「ど、どうしたのきよひこ」
「どうしてこんな事を勘違いして……ね、姉ちゃんじゃない。兄貴じゃないかあぁぁぁぁっっっっ!!」
とんでもない改変しやがってたあぁぁぁぁっっ!!


両親が海外出張が多くて家には僕ら二人でいることが多かった。
当然家のことのほとんどは僕がやっていて、まだ小さかったきよひこも僕が面倒見ていた。
きよひこは僕にとって本当に可愛い弟でね、いい子だったんだよ。
だけどね、成長するにつれてすれていったんだ。
小さいころはあんなに素直だったのにどうしてだろう。悲しくて悲しくて。
ふと思ったんだ。兄って限界がある、同じ男兄弟だと甘えられないんじゃないかって。
そんなとき見つけてしまったんだ、魔導書を。
そこに書いてあった性別を変える魔術、女の子になる魔術。
それを使って、僕が、女の子に、お姉ちゃんになれば、きっと素直になってくれる。

「そしてふたりでおねショタあまあま一直線のはずだった」
途中まではよかったのに完全変態一直線になってるじゃないか。
ブラコンの兄貴ってなにそれ怖い。あまあま一直線ってよくそんなこと考えられたね。
そのころ既にきよひこはヤンキーだったんでしょ? それをよくショタなんていえるね。
「だというのに君はきよひこを女の子にしちゃって」
ああ、なるほど。これできよひこの貞操は変態兄貴から守られたわけですね。僕のお手柄。
もっと誉めてほしい。
「あれ? でも姉妹百合百合ってのもいいんじゃね?」
変態は立ち上がるのが早かった。
「冗談じゃねえっ! そんなのねえだろ兄貴っっ!!」
そりゃそうだよね。きよひこも実の兄にそんな目で見られていたとなればね。
「俺はとしあきのものだぁぁっっっ!!」
あれ、それ火に油注ぐ発言じゃね?
「ううっ、可愛い妹に拒否されるなんて……おねーちゃんショック」
いや、あんた兄でしょ自分で言っていたでしょ。
四つん這いになってがっくりうなだれてますけど嘘くさいですよ、本当に。
あとこのアングルだとのびきったタンクトップのせいで谷間くっきりです、中まではっきりです。わざとでしょ。
「こうなったら、かくなる上は……」
あ、なんか嫌な予感。ところで「かくなる上は」って、「こうなったら」って意味だから並べて使うのは間違ってますよ。
なんて説明する前に行動された。
「妹襲ってカレシ君から寝取ってくれるぅーーーーーーっっ!」
やっぱしそう来たかーーーーーーっっ! つーかその顔ちっともがっくりしてないじゃん。すっごく楽しそうな顔してるじゃん。絶対予定行動だろ。
大体寝取るなんてどうするつもりなんだよ百合百合展開か、と思っていたら……
あ、やっぱしいやな予感的中。下半身が、下半身が。
「か、下半身にテントがぁぁーーーーーっっっっ!!」
あ、きよひこが悲鳴を上げた。うん、確かに起き上がって迫ってくるおねーさんのショートパンツ、すっごくテント張ってますねぇ。
「ふっふっふ、こんなこともあろうかと用意しておいたのさ」
いや絶対予定行動だろ。最初からきよひこ襲う気満々だっただろ絶対。
景気よくタンクトップを脱ぎ捨てたら爆乳がぽろ~んとこぼれ、いやらしくショートパンツをゆっくりおろせばショーツに収まりきってないブツが。
「いやーーーーっ、毒マツタケがーーーーーっっ!!」
いや何をそんな可愛い悲鳴上げてんだよきよひこ。ぼくと同じもの散々見てるでしょ。それ以前に自分にもあったでしょ。
挙句つい先日入れ替わったときは懐かしいとか言いながら抜いてたでしょが。
まあたしかに、おねーさんの奇麗な女体に違和感抜群の男のソレが生えていたら、毒マツタケっていうのもちょっと納得だけど。
しかもけっこうでかいし。
「はぁ、この日を何度待ち望んだか。おねーちゃんになってもここだけ残しておいてよかったわぁ」
法悦とした表情を浮かべ、思いに浸っているおねーさん。一方で下半身は不気味にビクンビクンと脈打ってます。
待ち望んでいたってことは、きよひこが男のままであってもそれ使って掘ろうと思っていたということか。
うん、これは危険、非常に危険。
「冗談じゃねえぇぇっっっ! やだやだあんなのに襲われてたまるかぁーーーーっっっ!」
迫る巨根、怯えるきよひこ。恐怖ゆえに半泣きになって僕だきついてくる。
必然的に僕ときよひこはゼロ距離で密着。うん、柔らかい、そしていい匂い。
ぷるぷる震えるきよひこはまるで恐怖におびえる子犬か。なんとしても魔の手から逃れようと必死にすがりつき、ズボンのチャックもおろして……
「ってなんで僕のズボンのチャックを下しているのさ!」
「あんなのに入れられるぐらいだったら先にとしあきの入れておいたほうが安全だろーが!」
何その理屈、おかしいでしょその理屈。どうしてその結論に至るのか全く理解できないんだけど。
そういう考えに至るあたり、やっぱり兄弟そっくりじゃないか。
ってうわ早っ! きよひこ自身もうすでに下半身脱いでインしてるっっ!
「あはぁ、やっぱしとしあきとの相性いいねぇ」
ねっとりとからみつくようなきよひこの中、確かに相性はいいかもしれない。
あっという間に僕と結合してハグハグして、いつのまにかたくし上げておっぱい密着させて腰を動かすきよひこ。
これじゃただの痴女じゃないかーーーーーっっ!!
ちょっときよひこそんな色っぽい顔しないでよ幸せそうな顔しないでよ我慢できなくなるじゃないかーーーーーっっ!
「くっ、ラブラブぶりを見せつけよって。おのれカレシ君!」
僕に敵意むき出しなのだが、さっきから使ってるそのカレシ君という表現はどうなのだろう。
脅しのパワーが半減している気が。
ただ、対面座位でだいしゅきホールド中のきよひこにはアングル的におねーさんが見れないだろうけど、あの顔は何か企んでいるようにしか見えない。
「これで大丈夫だと思うなよきよひこぉ」
そしてがっちりホールドしているせいで僕も動けない、きよひこも動かない。だからおねーさんの接近を許してしまった。
背後から忍び寄る魔の手。何を実行しようとしているのか、僕はその一部始終をしっかりとみることになってしまった。
「ひゃびっ!? お、おしりにぃぃぃっっっっ!?」
「こっちは処女でしぉ。後ろの初めてはおねーちゃんがもらっちゃったよぉ」
迫り、密着し、挿入する。どこに? 後ろの、アナルだねぇ。
接近してがっちりきよひこのお尻をとらえ、後ろの穴に挿入してしまったよあの凶器を。
そうする気がしていたんだけど、危険が迫っていたことをきよひこに伝えきれなかったよ。
なにせ僕と接続して夢中になっていたわけで、しかもがっちりホールドしてくれていたから動くこともできずに。
「ば、バカ抜けよざけんなよ兄貴ぃぃっっ!」
「やーだーよ。ああ、それにしてもぷにぷにの素敵なおしりだねぇ」
「や、あぁっ……お、おなかで前と後ろで2本がぁぁ………」
きよひこの中でも伝わってくるおねーさんの凶器の存在。結構激しく動いてるし。
当然こんな経験したことないからきよひこはしんどそうだ。
「やだやだぁ。あ、あぁっ……としあきぃぃっ」
あー、半泣きだよ。怯えた子犬のような顔して僕を見つめてぎゅっと抱きつく腕を強める。
こういうのが一番対処に困る。強く抱きついてくるきよひこに対して自然と僕もぎゅっと抱く。
そして頭なでなで。泣いてる子供をよしよししてなだめている親みたい。
「だ、ダメっ……イッちゃう、イッちゃう………!!」
「お? イク? いくよね? じゃあ一気に出しちゃうよ?」
一人テンション高めで楽しそうにしているおねーさん。僕もその流れに逆らえない。
きよひこが絶頂を迎える。それが肌から、中から、ひしひしと伝わってくる。
僕も結局、それに合わせるようにして……吐き出す。
「やっ、あぁぁぁっっっっっっ………………………………!!」


「いやー、カレシ君なかなかタフだねぇ」
僕ときよひこが全裸でぐったりしている一方、平然としている変態おねーさん。
いまだ元気いっぱいで下半身はしっかり上向いてるし。なんか腹立つ。
しかも結局一回では飽き足らず、3Pで何回かやっちゃったし。
しかしほぼ僕とおねーさんできよひこを蹂躙するようなプレイになってしまったのはどうなのか。
そしてそのきよひこは
「あぅぅ、もうだめぇ」
白い液体をいっぱい浴びてぐったりあお向けに伸びています。
いやもうすいません、おたくの変態おねーさんにのせられて断れなくてついついやっちゃいました。
やはりやりすぎて痛みとかあるのだろうか、自分の下腹部をさすってるし。
「あぁ、としあきのが、いっぱい注がれちゃった♪」
……思ったより元気そうだ。
だけどきよひこ。後ろの方はおたくのおねーさんがいっぱい注いでますけど、それは無視ですか無かなかったことにしてるのですか。
まったく、この人のせいで滅茶苦茶になったよ。結局乱交していただけじゃないか。
おかげで僕自身も結構汚れちゃったよ。きよひことかおねーさんの液体で。
さっさと服脱いで正解だったか。危うく汚れた服で帰ることになりそうだったよ。
ちょっとシャワー借りて体洗って、今日は帰るか。……と、思ったところで、立ち上がろうとしたときに違和感が。
「な、なにこれぇぇぇぇっっっっ!?」
なんか体が重いなー、肩に負担がかかるなーと思っていたら、胸に荷物が。
あの、その、正確には……僕におっぱいが! しかも爆乳!?
「だけじゃないっっ! な、ないっ!?」
股がすーすーするとおもったら、僕のブツがなくなっているっ! そこにあったのは割れ目だけ!?
しかもこうして体を見下ろしてみれば、手は細くなってるし全体に筋肉が落ちてるし。
「ま、まさかっ……か、鏡っ!」
「はいどーぞ、鏡です」
待ってましたとばかりに姿見を用意して、それを僕に見せつけて、そこに映っていたのは……
「……爆乳美人だねぇ」
そこに映っていた顔は紛れもなく僕だ。だけど、ちょっと角ばったものが取れて柔らかい印象。
そして首から下、お約束のようにどーんと大きい胸、くびれた腰、ボリュームのあるヒップライン、細い手足。
最後に消失した、股間。
……どこからどう見ても女の子です。きよひことおねーさんに比べて身長が低いからちょっとロリ風味を感じます。
ロリ爆乳というやつです。結構可愛いです。はいありがとうございます。
「どうしたしましてぇ」
「感謝の気持ちなんてねーよ! あんただなこんなことしたのはっ!!」
「そのとーりですっ。私がカレシ君を魔術使って女の子にしてみましたーっ♪」
やっぱりかっ!!
「いやー折角ここに元男だけど美人になった姉妹がいるからさぁ、カレシ君もと思って」
何が折角だ!
「カレシ君身長低いから女の子にしたら魅力的になると思っていたけど、これは最高傑作だね」
やかましいっ!
くそっ、どうすんだこれ。ここはさっさと帰って元に戻る魔術探さないと。
あったよな、元に戻すための魔術。
「ちなみにこの手の魔術はかけた張本人しか元に戻すことができませーん♪」
僕の心を読んだかのように絶望を突きつけやがった!!
つまり僕の今後はこの邪悪なおねーさん次第か。どうする、何とか脅して元に戻させないと……
首絞めればいいか? それとも包丁突きつけるか? 水責めのほうがいいだろうか。
「きゃあぁぁぁっっっっ!?」
そんなこと思案していたら素晴らしいぐらいにきよひこの女の子の悲鳴が響く。
「な、なんだどうし……た?」
ある程度回復した様子のきよひこ。女の子座りしてまたしても泣きそうな顔してる。
悲鳴を上げて連動してその表情か。ますます女の子っぽくなっていくなきよひこ。
だけど、僕が注視したのはそこじゃなくて……
「お、俺の股間に毒マツタケがぁぁぁっっっ!?」
うん、すっごく大きいです。すっごく大きいそれがありました。隆々としてます。
それにしてもさっきもだけど悲鳴上げるのはどうかな? 元々男で自分の体にあったものでしょ?
「折角なので、きよちゃんのそこだけ生えさせちゃいましたー♪」
なにが折角だ!
いや、ちょっと待て。女になった僕、生えてるきよひことおねーさん、さっきまで僕とおねーさんで攻めていたきよひこ、2対1。
ということは?
「さーて続きをしましょうか。今度は私ときよちゃんでカレシ君を2穴攻めしちゃいましょー♪」
あぁぁっ、やっぱりぃぃっっっ!!
ちょっと待ておねーさん後ろに引っ付くな何かお尻に固いものが当たってるってちょっと!!
「きよちゃん、前の処女はあげるから、そのかわり後ろの処女は、わたし、ね?」
「え? としあきの処女、もらっても、いいの?」
ちょっと何ときめいたような雰囲気で危ないセリフ言ってんのきよひこぉっ!!
なにそれ、股間が嬉しそうに反応してビクンビクンしているんだけどっ!!
「大丈夫、優しくして、あ・げ・る・か・らっ♪」
耳元でささやくなぁぁぁっっっっ、危ないセリフでしかないからっ。
あ、ちょっと待っ……あぎゃあぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっ………………!!
一度板にアップしていたものに加筆修正してアップ。とりあえずこんなものかと。
XJ
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9.100きよひこ
お気に入りの話だったので、図書館での再掲載はうれしいです。
ただし、話が完結していなくて、中途半端な状態なので、普通に続きに期待したいです。
11.100きよひこ
お兄さんの変態度が非常によいです
16.70きよひこ
人を呪わば穴二つ、かな