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TS薬流行中

2016/05/18 12:39:09
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ある時、TS薬が開発された。
男を女に変える薬、効果は約24時間、長くても2日程度。その間男は女になって、時間がたつと戻る。
目立った副作用はなく、手軽に服用でき、恐ろしく安価に製造販売できるようになり爆発的に普及した。
そして……製薬会社はボロ儲けできた。ぢゃなくて。
とにもかくにも爆発的に普及してしまったせいで多くの男は女になって、街では女が多くなった。
そうなると日常もまたいろいろな変化が起こるだろう。
さて、どんな変化が起こるのか、その一部を垣間見てみるとしようか。




1. 逆ナンパ

清彦は歓喜した。彼女いない歴=年齢の自分に、ついに春が来た。
今日、街に出かけ、人ごみにつかれてベンチに腰掛け休んでいたら女の子が声をかけてきた。
それがまたとびっきり可愛い女の子。
声もエロゲボイスなキュンキュンで、スタイルもよくて。
ああ、服の間から垣間見える谷間が、魅惑的。
そして誘ったのだ。この自分を。
寄せてくる体、当たってくる胸。彼女は一言「ホテル行かない?」と声をかける。
こんな、こんな機会のがしてたまるかっ!
今まさに女に恵まれなかった自分が童貞を捨てるチャンスではないかっ!
それも最初が、初体験がこんなかわいい女の子であるならばっ!
俺は断るわけがなく、彼女を抱き寄せながらホテルへと足を運ぶのだった。

そう、それが最低の脱童貞経験になるとは。

「お、男……」
下半身あらわにし、彼女にパイズリフェラして一発抜かれたところで、俺のハートは急降下した。
彼女は上半身裸。形のいい大きな美しいおっぱいをあらわにして、その谷間には先ほど自身が発射した白い液体がかかっていて。
最高のテクだった。初体験であるが、素晴らしく気持ちよかった。
自分で処理するよりもはるかに気持ちよくて、最高の気分になっていたのに……こいつは俺の気持ちを落とした。
彼女は腹を抱えて笑っていた。理由は俺の反応、見事にひっかかって、愕然としている俺を見て、笑っていた。
彼女は種明かしした。自分が、TS薬で女になった男、と。
「いやマジでお前、気が付かなかったのかよ。くははっっ」
ああ、最高のテクって、男だからどうすれば気持ちいいか知っていたってこと?
どっちにしてもうかつだった。このTS薬が大流行した世の中で、そういうやつがいるってこと、どうして気が付かなかったのか。
「そもそもお前、鏡見てんのか? その顔で逆ナンされると思うか?」
確かに、自分はイケメンでない、平凡な顔だと自覚している。
だがこいつに言われたくない。こいつだって、元は大した顔じゃないんじゃねえの?
「あー、初めてこんなことやってみたけど意外と簡単に引っかかるんだな。男ってやっぱバカだよな」
てめえも男だろうか。
さっきからとことんバカにしやがって。俺の怒りのボルテージはどんどん上昇していく。
落胆していたからこそその勢いは強い。どんどん上昇して、そして、リミットブレイクした。
がし「あれ?」
「始めてって言ったな? お前」
「あ、あれ? ちょっと目が怖いよ」
「俺の初体験ぶち壊してくれたんだ」
「あ、あの、肩の手、痛いんですけど」
「二度とこんなふざけたことできないように、粛清してやるっっっ!!」
「うわちょっと待っ、俺本番やるつもりは……ふぎゃあぁぁぁっっっっっ!!」



そして、やっぱり落ちる。
「えぐっ、えぐっ……痛かったよぉ、無理やりしやがってぇ」
彼女(?)の股間からは白い液体に交じって赤い液体も。
これは処女喪失というのだろうか。
「じ、自業自得だ。それにお前も気持ちよかったんじゃないか? いい感じであえいでいたじゃねえか」
「て、TS薬って媚薬効果もちょっとあって、エッチな気持ちになるけど、けど……えうっ」
「ああもうっ。お、男のくせに泣くんじゃねえっ」
「い、今は女だもん。それに、俺だってなんで泣きたいのかよくわからなくて。あ、う……」
あ、なんかやばい感じ。
「ふ、ふえぇぇんん……」
うわ、本泣きしやがった。
「な、泣くんじゃねえよ。男のくせにピーピーと」
「今はおんなだもおぉぉんっっ」
「こらっ、離せっ。いいから泣くのやめろっ」
「ばかっ、ばかぁ。責任とれよぉぉぉっっ……」

その後、なぜかこいつと交際することになってしまいました。




2. 自宅警備員

今やネットで何でも入手できてしまう時代。TS薬だってネットで買えてしまう。
それは多くの自宅警備員達にとってもありがたい話。わざわざ外出することなく入手できるのであり、そして自宅で楽しむことができる。
「おお……」
正彦は服用して女になった自分の体をまじまじと見た。
姿見なんてものはない。だからウェブカメラで自身を撮影して、モニタに移している。
その画面には女になった自分の体が映し出されていた。
男の容姿はとてもいいものではなかった。小柄で小太りで、不細工だとかキモイだとかさんざん言われた自分。
見た目にコンプレックスを抱いていた自分だが、TS薬を服用して女になったこの姿はどうか。
顔は丸みを帯び、くりっとした目が可愛らしい童顔フェイス。
むっちりとした体形、しかし出るところは出て、特にこのおっぱいは大きくて形がよくて。
ただの脂肪の塊と誰が言ったか。そうかもしれないけど生で見たことのない女性の体に違いなく、魅惑的なことは確かだった。
「あ、重っ……」
持ち上げてみれば確かな重量感。そして、柔らかい。
この触感が心地いい。そして自身の脳に伝わってくる何か。
「あ、んっ……」
モニタの女の子は自分のおっぱいを揉んで、とろけそうな顔になって。それはすなわち自分の顔であり。
そうしているうちに興味の対象は下の方へと続いていく。
昨日まで男のそれがあった場所。今はわずかな茂みと割れ目があって。
「あ、あ……」
撫でるだけでぞくぞくする。いまだかつてなく経験したことのない気分。不思議な気分。
男の体では感じたことのない、言いようのない何かが込みあがってくる。
「はぁっ、やっ……」
割れ目の中に指を入れてみれば、さらに快感は増して。
それに合わせて漏れる自分の声。野太い声からアニメボイスになった自分の声、それが余計に興奮する。
モニタ目中の女の子がカメラの前でおっぱい揉みながら足を広げてあらわにして、大事なところをまさぐって。
「あ、やっ、あぁっ……!!」
イッた。どくどくと爆発する何か、全身を駆け巡っていく何か。未知の感覚に酔いしれて。
「はぁ、はぁっ……」
改めてみるモニタの自分。あられもない姿。
確かに可愛くなった自分。しかし、ふと服装を見る。
いつもの野暮ったいパーカーを羽織っていて、足元には先ほど脱ぎ捨てたハーフパンツが。
可愛いのに、こんな服でいいのか?
どうせならもっとかわいい服がいいんじゃないか? フリルのついた、白のワンピとか似合うだろうか?
いや、服だけじゃない。下着だって。今穿いていた安物トランクスじゃなくて、もっとかわいい下着を。
買わなきゃ。それで着てみよう。
着てどうする? こんな家にいて自分だけでいても、見てくれる人はいない。
ネットで生放送してみる? うん、それだけじゃもったいない。もっといっぱい人に見てもらいたい。
外に出て、街に行ってみよう。

こうして一人の自宅警備員が辞職しましたとさ。




3. プール

服用すれば約24時間誰でも手軽に女になれるTS薬。
当然本物の女たちは反発した。
一番問題になったのは公共施設での男女分け。男女別に使う施設などで一緒にいてほしくないというわけだ。
そりゃそうだろう。
というわけで温泉とか更衣室とか、そこらでは身分証提示が義務付けられた。
見た目女でも身分証で男となっていればそのまま男性側に行けということで。
そうなると男性側は混乱に陥ってしまう。女になった男がこうしてプールの男性更衣室へ入る事態となってしまったのだから。

「おいこら高明! 女性化男性エリアはあっちだろうがここで着替えるな!」
いくら中身男性とはいえ、まったく一緒というのもどうなのだ? ということで男性更衣室にはそういう人のためのエリアはちゃんと用意しされている。
が、あまり守られてないのが実状だったり。
事実、こうして女になって一緒にプールに来た高明は俺の目の前で堂々と着替え始めたし。
「だーいじょうぶだって。ほらちゃんと下に着てるんだから。のーぷろぐれむ」
そうしてあっという間に水着に着替えた高明だったが、その水着がまあ。
TS薬で女になった男は概してスタイルがいい。その素晴らしきボディを包む水着は、実にきわどい。
一応ワンピースな水着なはずだか、見事に布地が少ない。紐と布の中間って感じ?
「だけどそれ、下着着てなくて帰りどうするんだ?」
「………」
「………」
「男は細かいこと気にしないっ!」
「今は女だろうがっ!!」



今日もプールはにぎわっていた。女子率が高い。
もちろんその女子のほとんどがTSした男達だ。
本物かTSかは見分けるのは簡単だ。TS女子は大抵エロい水着を着ている。
TS薬の副作用の一つに媚薬効果があるそうな。つまり、TS女子はエロい気分になりやすい。
「あんっ、ブラが外れちゃったぁ」
…あんなふうにわざとポロリをすることも少なくない。
エロい気分にあるから開放的になりたいという欲求があるらしい。
一歩間違えば露出狂だ。
「ままー、あのひとぬげちゃってるー」
「こらっ、見ちゃいけませんっ」
……親は大変だな。
「ふふっ、今日は露出日和だな」
「公然と脱衣宣言すんじゃねぇ。犯罪だぞ」
「ここでこそ俺の水着が効果を発揮するときっ!」
「あん?」
「見よっ! このちょっと走って乳が揺れただけでポロリするすばらしき仕様を持った水着をっっ!」
「…………」
今日、こいつと一緒に来るんじゃなかった。



体が冷えるとトイレが近くなる。今日はだいぶ暑いから水温も高いけど、あまり関係はないかもしれない。
ところで、現在男性更衣室の個室トイレの使用率が高い。
ほぼすべてといっていいぐらいに扉が閉まってカギがかかっている。
理由は簡単。
「ぅ…っ……」
「ゃ……ぁ……」
そこでやってるってことだ。
知り合い同士で来ている奴らでか、それともTS女子が男ひっかけてか。
どっちにしてもこんなところでやってんじゃねえ。
こうなると男はいいが、TSした奴らにとってはいい迷惑だ。
体の構造上個室トイレを使用したい。だが御覧の通り使用率が高い。困惑してしまう。
中にはプール側からは身分証提示がないことをいいことに女子更衣室に行ってそっちのトイレで用を足す奴もいる。
が、それ以上のつわものもいる。
「ったくよー、こんなところでイチャイチャしてんじゃねーよ迷惑だっつーの」
そういった素っ裸の女(TS野郎)は足を広げ、男子用小便器の前で見事に用足ししていた。
「あーったく、やっぱこれは着なおすのめんどいからやめときゃよかったかな」
そういって用を終えたそいつは旧式スクール水着を着なおし、立ち去って行った。
……強者もいたものだ。

ぐいっ
「ん?」
そんな複雑な光景を目の当たりにして困惑していた俺はいきなり引っ張られ、個別シャワーの1つに連れ込まれた。
連れ込まれ、そしてカーテンが閉められる。
そこにいたのは当然のように。
「ふっふっふ。つかまえたぁ」
高明だった。
「何する、高明」
「何って、ナニに決まってるじゃん」
やっぱりか。
「あんなトイレなんて完全防備なところ好かねえよ。このシャワーのカーテン一枚で仕切られた、ばれちゃうんじゃないかっていうスリルの方がマジたまんねえって」
やっぱり変態だった。
確かにここは危険だ。カギのついた扉なんてものはない。下手に動けば簡単に外に出てしまい、痴態をさらけ出す。
しかも隣を仕切るついたては高さが低く、とりあえず目線までは何とかなるがその気になれば隣を覗き見ることは容易だ。
その中でこいつは艶めかしい動きを繰り返す。
「ほらほらぁ、ここにおいしそうな女体があるんだぜぇ、いいじゃねえかよぉ」
俺に抱き着き、体中の柔らかいところをこすりつけ、見事に誘っている。
「…………」

「ぜぇ、ぜぇ……お、お前マジでテクニシャンつーか鬼畜な」
指だけで足腰立たなくしてやった。以前自分でTS薬飲んで女体を熟知していることは絶対に言わないが。



「いやー久しぶりのプールもいいものだなぁ」
ちっともよくない。俺は心労が重なっただけだ。
「やっぱたまにはひと運動するに尽きるよ」
どこが運動だ、泳ぎか? それとも別か?
「それはそうとお前、下はどうしてんだ?」
こいつが着ているのは薄い生地のミニスカート。ちょっと風が吹けば巻き上がってしまうのではないかというぐらいの。
「んふふ~♪ 中が気になるなんてエッチなんだから」
「ちげーよ。てめえが露出狂で逮捕されないか不安なんだよ」
「ふっ、俺もさすがにノーパンにするほどあほじゃねえ。みろっ!」
ばさっ
「………」
「ふっ、すばらしいだろ」
一瞬たくし上げたスカートの中、やっぱりノーパンだった。
しかし全く何もないわけでは確かになかった。大事なところは絆創膏を張ってガードしていた。
「マエバリってのもなかなかいいものだなぁ」
やっぱこいつは変態だ。
そう思っていたら突然の風。
「きゃっ」
「やんっ」
前を歩く二人の女性のスカートがまくりあがった。
「………」
一瞬見えてしまった中身。二人とも何もつけてなかった。
「俺だけじゃないだろ?」
そこで勝ち誇っても何にもならねえよ、と言いたかったがやめておいた。




4. 男子寮

それなりの年齢になると盛りが付いてくるのが男子というもの。
それがよりあつまれば倍の倍に増幅されていくものだったりする。
特に男子寮という24時間を共に生活していたりするとそういう話になるのが決まり事だったり。
こういうことしているから彼女できないんだよ……
とにもかくにもそういう男子たちにとってTS薬というのは実に素晴らしい一品なわけで。
女に飢えている男子共、エロ本やAVやネット画像では満足しきれない者、それらにとって本物と接触できる最高の一品というわけだ。

「というわけで女になってみました~っ」
わ~っと拍手する一同。
そこには4人の女子が。TS薬を飲んで女になった寮生、元男であった。
「す、すばらしいっ」
「いいねぇいいねぇ」
「彼女いない歴イコール年齢の俺に、ついに生女子がっ!」
感極まっているやつら。中身が同じ寮生であり男であるということをどこまで覚えているのだろうか。
「ところで、その服はいったいどうしたんだ?」
この場にいる一人から出された疑問、それは4人の女子が今着ている服に合った。
順に言うと……超ミニスカートの学生服、透けてんじゃないかっていうナース服、面積が多くて逆にそそられる旧式スク水、ピンクのスケスケなベビードール。
どう考えても一般男子が持っている服じゃない。いや、一般女子でも持っているかどうか。
「ふっ、我々がいつか付き合った人に着せるために購入したものだよ」
そういうことしているから彼女できないんじゃないかな?
「でもぉんっ、こういう時に仕えたから、シ・ア・ワ・セ♪」
ナース服からのコメントにひゅーひゅーと歓声が飛ぶ。
「お兄ちゃんたち、好きでしょこういうの」
スク水からの問いかけに一同好きですっ、と一斉回答。誰だよお兄ちゃんって。
「ところでぇ、TS薬って副作用でちょっとエッチな気分になっちゃうのぉ」
ベビードールの誘惑によりテンションが上がる観客。
「順番にお相手してくれるかな? どスケベ共」
とどめとばかりに学生服がシャツをくいっと引っ張り谷間をアピール。
こうかはばつぐんだ。一同大歓声。しかし……

「お前らぁっ! 寮内でなにを騒いでるかぁっ!」
「りょ、寮長?」
騒ぎを聞きつけてか、寮長が部屋に殴り込んできた。
普段は寮の管理を任され、清掃や食事や、学生たちの世話に加え悩み相談にものってくれる気のいい人柄。
学生たちとも年が近く、信頼できる兄貴的立ち位置の人だ。
とはいえ、怒ると怖い。それだけに学生たちは怒らせることのないよう細心の注意を払っているのだが、今回は少々騒ぎすぎた。
なかなかお目にかかれない美女(中身は知った男だが)を目にして、つい有頂天になっていた。油断した。
さすがにこの状況では弁解の余地はない。と思っていたのだが……
「あの、寮長」
「なんだ?」
「その姿は、どういうことです?」
寮長とわかる顔であったが、全体の印象はいつもより丸まった柔らかい顔。
肩幅は狭くなって腰回りはくびれ、安産型か。そして、爆乳。
身に着けているのは、こぼれんじゃないかってくらいのマイクロビキニ。
うん、誰がどう見ても女になっている。
「くっくっく、お前らがTS薬を手にしているのを見た時に何するかは大体想像できていたわ」
「あ、あの、寮長? 目が怖いんですけど」
「こちとら彼女いない歴イコール年齢。いつ婚期が来るのかわからん身分よ。だが」
「だが?」
「それだけに盛りのついた男が何するかは容易に想像できるわ」
「え? いや、あの。いやな予感しかしないんですけど」
「お前らまとめて相手したるわかかってこいやあぁぁぁぁっっっっっ!!」
寮長がおそってきた。
「ちょ、ちょっと待って暴走しないでえぇぇぇぇぇっっっっっっ!!」

男子寮は大体そんなものだった。




5. 秘密クラブ

辰則とは昔からの付き合いで、学校はずっと同じだった。
だけど僕は引っ込み思案な性格で、その反対に辰則はやんちゃな性格で、不良に近かった。
正反対な僕らだが、ある種の友人関係は続いてて。まあ、これを友人関係というかはわからない。
僕が辰則に引っ張りまわされる。それが近い。
そして今回も辰則に引っ張られてここにいる。

「ほら光幸、とっとと来いよ」
「う、うん」
僕の手を取り引っ張っていく美女。チューブトップとデニム地のマイクロミニスカートで露出の多い姿をしているこの美女が今の辰則の姿。
最近辰則が手に入れたお気に入りのおもちゃがTS薬。服用すると誰でも女になるという薬。
辰則はずいぶん気に入ったらしい。ここ最近は休みの日は女の子の姿でいることのほうが多い気がする。
そしてこの服装。本人が言うには女になるとエッチな気分になるからこういう服装がしたくなるらしい。
そんな辰則は女の子になって一体何をしているのだろうか。
普段から気にはなっていたけど、今日はそれを教えてやると言ってきた。
連れられたのは街中の雑居ビル。狭い階段を通って地下に進んでいく。
戸惑う僕を気にすることなく辰則はどんどん進んでいく。
不安と心配がある一方、女の子と手をつないでいるという事実が僕を緊張させる。
もちろん中身が辰則だってことはよくわかっている。
けれどもその手の感触は普段の辰則とは程遠い、柔らかくて、手触りがよくて。
今まで女の子と手をつなぐなんてなかったから、余計に緊張している。

そんなことを考えているうちに目的の場所にはたどり着いた。
そこにあったのは一つのドア。鉄製のドアで一見すると何でもないように思える。
「では、どうぞ~」
扉を開けて中に入って、そしてその光景に絶句する。
「なに、これ」
激しい女額が鳴り響き、それに合わせるようにいたるところでテンションを上げているであろう半裸の男女達が、絡み合っていた。
使い古されたであろうソファやテーブルが無造作におかれ、そのソファやテーブルに座ったり寝そべったりして。
あるものは男女ペアで、あるものは女が複数の男を相手に、あるものは一人の男に複数の女が群がって。
入り乱れていた。つまりは、乱交。
「最近の俺らの交流。もち全員男だけど」
そんな気はしていた。辰則が女になっている時点で。
TS薬使って女の体になってエッチなことしている人が少なくないのはもちろんわかっていたけど、ここまで大勢でやっているというのは。
それにしても、女の子たちがみんな美人だ。
個性はある。大人びていたり、ちょっと子供っぽかったり、体系も胸が大きかったり、控えめだったり。
しかし、それだとしても文句なしに皆が皆、可愛いとか美人とか言えるレベルになっている。
TSで女の子になると決まってクオリティが高いとか。自分の理想の女の子になるとかいう話も聞いたことあるけど、その通りかもしれない。
女になった辰則自身も美人でスタイルがいい。実のところ、僕のタイプだったり。
「よう辰則。そいつか? 新人君ってのは」
そこに近づいてきた一人の女性。ほぼ裸の姿で何の恥じらいもなく近づいてくる。
中身が男だから別に恥ずかしくないってことだろうけど、僕としては裸の女性が近づいてくるってことでドギマギしてしまう。
「おうよ。ほれ、こっちだこっち」
またしても引っ張られ、空いていたソファに座らされる。
それと同時に僕を取り囲む、女の子たち。みんな半裸だったり、全裸だったり。
必然的に女の子たちのあらわになった胸が、おっぱいが目に入って緊張する。
それだけじゃない。僕の服を脱がせ始め、脱げたところで体を密着させてきて、そのせいで柔らかい感触が。
「え? あの……」
「いいだろぉ? 普通の女じゃこんなことやりたくても簡単にはできねえぜぇ」
辰則は座る僕の上にまたがってきて、服を脱ぎ始めた。
チューブトップをあえて全部脱がないでたくし上げて胸をあらわにする。形のいい、大きなおっぱいが僕の目の前に。
同じようにしてスカートもたくし上げて。下に身に着けていたのは白い紐にしか見えないショーツだった。
辰則が体を密着させてくる。辰則だけじゃなくて、集まっていた女の子たちもまた、僕に体を密着させてきて。
「おめーの童貞もらってやるよ。今夜だけの一大サービスだ、ハーレム味合わせてやるよ」
魅惑的な声とセリフ、僕に囁くように言ってきた。


「うおっ、やべっ! 時間忘れてた。戻っちまった」
「てめっ、いい時に戻りやがって畜生っ!」
……なんか、隣のペアが男同士で合わさってかけあっちゃう事態になってますけど、大丈夫ですよね?




6. 父子家庭

うちは父子家庭だ。俺が幼い時に母さんは病気で死んでしまった。
依頼、親父が一人で懸命に育ててくれた。
もちろんその恩は感じている、感謝している。仕事で疲れ切って帰ってきて、ぐったりして何もしなくて、家事とかほとんど俺がやっていたけど。
それでもどんだけ苦労しているかってのはよくわかっている。だからこそ反抗なんてしなかった、と思う。
自分であれこれと勝手に決めることがあって、イラッとしたこともあった。
それでも結局俺が折れた。特に何も言わない、そういうことにした。
だけど、今回はそうはいかなかった。

「母親がいなくて、ずっと寂しい思いを雅治にはさせてきたから」
「……ああ」
「強がっていたとしても、男親には限界がある」
「……ああ」
「特に男の子には、母親の存在は強いから」
「……ああ」
「だから、母親が必要と思ってな」
「……ああ、それはなんとなくわかった。けど、それで『再婚しました』っていうならまだわかる」
「わかってくれたか?」
「わからんっ! それがどーして自分が女になって母親になるって結論に至るんだぁぁぁぁっっっっっ!!」
絶叫した。いや、したくなる。
今俺の目の前にいる親父はいつもの力のない疲れ切った顔の中年サラリーマンではなかった。
ロングヘアでとにかく巨乳の超絶美女だった。
「そんなこと言われても、結婚なんて一人でできないだろ?」
「一人でした結果がこれか! 頑張って相手探せぃっ!!」
ツッコミを入れざるを得なかった。
たしかに俺自身、母親がほしいなんて思ったことはあった。特に子供の時は。
実の母の思い出はある。幼いときながらも俺のうちにしっかりと。一方で父親が再婚して母親ができないかと考えたこともある。
そしてそれを口にしてしまったことも。
それが父親を傷つける言葉かもしれないと理解して、それ以降は一切言わなかった。
が、傷は思ったよりも深かったのだろうか。
元々引っ込み思案な親父が結婚できたという時点で奇跡かもしれん。
そこからまた新たに相手を探すというのは至難の業かもしれない。
そこでできた新たな選択肢が、TS薬で自分が女になって母親になるってか?
無茶苦茶だ。勘弁してほしい。
「ねえ、雅治」
「なにさ」
「ひょっとして、反抗期?」
「ちゃうわボケぇっ!!」



リラックスするのに風呂は最適と昔からよく言ったものだ。誰が言ったか知らないけど昔の人、ありがとう。
おかげで先ほどの親父のせいで荒れた気分が落ち着いていく。
そうすると冷静に物事を見ることができるようになる。
TS薬の効果が約24時間っていうのを思い出したのもそのおかげだ。
24時間もすれば親父は元の姿に戻るわけで、ずっとあのままってわけじゃない。
つまり、あれは親父の一時の気の迷いであって、ずっと続くってわけじゃないということ。
男に戻れば現実を見て、自分の考えが無茶苦茶だったということに気付くだろう。
うん、風呂はいいものだ。本当にリラックスできる。リラックスして考えられる。
そう思っていた時期が私にもありました。

がらら
「雅治、はいるよー」
ばっしゃーん
「ちよっ!? なんで入ってくるんだよっっ!!」
油断した。思わず浴槽内で派手に滑ってしまった。
そりゃ慌てるだろ。親父だけど見た目は超絶美女が全裸で入ってきたんだから。
しかも何もガードしていない。だから胸とか下とか全部丸見え。
さっき服の上からも気になってしまっていたが、特にあの胸は反則だろ。
風船でも入れてんの? なんて思ったけど正真正銘本物。でかすぎるだろ。
「なんでって、いつものことだろ?」
いやいやいや、それは否定しない。
事実、親父とのちょっとした交友の場が今までは風呂だった。
裸の付き合いってやつ? だからこそ包み隠さずいろいろと話もできたってところはあるけど。
但し、今は状況がまるで違う。俺だってそれなりの男子である以上、異性への意識はある。
だから目の前に裸の女がいたら、当然意識するだろーが。
わかっているのだろうか、親父は。自分が女になってる自覚本当にあるのか?
「ふう」
俺の心境などよそに浴槽内に入ってくる。狭い浴槽だから二人で入るのは頑張れば大丈夫だが、距離は非常に近い。
目の前に接近する女体。ふむ、乳って本当に水に浮くんですね、それどこの潜水艦ですか?
これ以上接近したら接触は免れられない(特に浮上している潜水艦に)。なんとか体を縮小して、スペースを確保する。
「やっぱりいつものようにお風呂なら話できるか?」
できません。なんとか下を見ないようにするので精一杯です。
「私はお前のことが心配でな」
俺は今、股間がおっきしないか心配です。
「将来のことを考えて、母親がやはり必要と思って」
将来よりも今そこにある危機があります。
「かといって、いい相手がいるわけではなくて」
いい相手よりもいい合いの手が考えられません。
「ならばと思って、少々強引だがTS薬で私自ら母親になるというのも」
TS薬よりも馬鹿につける薬を服用してください。
「だからな、これから私のことをお母さんといってほしい」
大バカ者といいたいです。
いや、それよりもお願いだから迫ってこないでくれます? ぷかぷか浮いている奴が異常接近してくるんだけど。
普段そんなことしないよね? なにこれ誘惑してるの?
色々まずいんだけど。父親だとわかっていても女体に変わりないから意識しちゃうんだけど。
下半身に流れようとしている血流を何とかして食い止めて、食い止めていたら、頭にのぼってきて……
のぼせました。



「うう……」
「大丈夫? 雅治」
自宅の風呂でのぼせるなんて今までなかったよ。どうしてこうなった。
まあいい。こういうのは水分補給して少し横になっていればすぐに回復するし。
「飲む?」
「ああ、もらうよ」
親父がのぼせた俺に水を持ってきてくれたようだ。なんだかんだ言って面倒見がいいからな親父は。
とりあえずありがたくいただくとしよう。

ぱふっ

「……………ふごぐぼっ!?」
なにこれっ!? 水くれるんじゃなかったの? どゆこと、どうして親父がおっぱい押し付けてくるの!?
いやちょっと待て、なんか甘いものが口に……
「いっぱい飲んでいいからね母乳」
水分補給にならねーーーーーっっ! それ以前に何で出る親父っ!!
「やっぱり母親心かな? 子供のことを思っていたから出るように」
なるかーーーーーーっっ!
し、しかし脱出できん。乳プレスされ甘い味が口に広がっていると、物理的にも精神的に抜けられなく……
くっ、こうなっては仕方あるまい。
「あっ……!」
徹底的に攻めてくれるっ。乳首攻めの開始だ。
そっちが仕掛けたんだからな、文句言ってくれるなよ。
「やだ、雅治ったら。そんなに夢中になって」
ふぬーーーーーーっ、敵は難攻不落か。やはりそう簡単には落城しないか。
確かにこちらは初心者。だが徹底的に攻めれば……
「やっ、でもっ……ちょっと、激し………」
お、ちょっとは兆候が見えて来たか? ふむ、次第に母乳も増してきているが。
この調子であれば陥落も時間の問題。一気に攻める。
「あ、そんな……やっ、そんなに……」
口にしているのと反対側の胸にも触れ、揉み、乳首を攻めて。
「やだ、やめ……い、イクっ、あ、あぁっ!?」



「ふっ、まいったか」
胸だけでイッたか。親父は今、床にぐったりと仰向けになっている。
果てた瞬間は一気に母乳が噴出したから驚いた。その母乳まみれになっていて、なんだかエロい。
「こんな、ことって……」
ある程度落ち着いてきたか、起き上がったものの、いまだしおらしくしている親父。
ショックだったか、ざまあみろ。母親気どりなんてするからだい。
これにこりたらアホみたいなことはしないで、そのまま普通にしていればいいんだよ。
「こんなに、お母さんって受け入れてくれたのね!」
……………………はい?
「こんなに、こんなにおっぱい飲んでくれるなんて、やっぱり寂しかったのね」
「ぶわっぷ、ちょ、親父っ……」
いきなり抱き寄せられた。そして生でぱふぱふされる。やば、柔らかい。
「受け入れてくれるか心配だったけどこれで安心したわ。これからも、母親として頑張るから、おっぱい飲ませてあげるからね」
あれ、なにこの展開。どうしてこういう解釈になっちゃうの。
俺が一気飲みしたせい? あれは本当は拒否するのが正解だった?
とにもかくにも今この結果ははっきりしている。

やっちまったーーーーーーーーーーーっっ!
こちらも過去に板にアップしていたものにあれやこれや付け加えたもの。そのうち追加エピソード加えるかも
XJ
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37.100きよひこ
母乳TS最高