「これは、俺のちんぽ」
「そう、あなたが持っていたもの。あなたは魂替の術にかかったのです」
「コンタイ?」
「魂を入れ替えました。それだけではありません。あなたは、女はこうあるべき、と自ら考えていた女になってしまったのです」
「あ、あ、この、これ」
「女はこれを見るとどうなると思っていましたか」
「しゃぶって、ご奉仕せずにはいられない」
「そう、あなたが思っていた通りにしなさい」
囚われの姫は、男のものをしゃぶり始めた。
「しゃぶったら、どうするの」
「くわえて、出されたら、すべて飲み干します」
「そうしなさい」
「う、ぐっ」
姫は苦しそうに顔を歪めながらも全てを飲み込んだ。
「飲んだら、どうするの」
「舐め取って、綺麗にして、もう一度立たせます」
姫は綺麗に舐め取ると、また男のものを奮い立たせた。そして男の顔を見上げた。
「さあ、あなたの想像していた女は、ここでなんと言うの」
「わたくしの中に、これを入れてください」
「ふふ。お望み通り、入れてあげる。さあ、あなたの理想の女は、入れるとどうなるの」
「処女だから、最初は痛がります。しかし出し入れを繰り返す度に感じて、あられもない声をあげて達してしまいます」
「ずいぶん、都合がいい女ね。安心しなさい。その体は処女です。許嫁もいたの。結婚して優しく抱かれて処女を捧げるのを夢見ていた。でもお父様やお兄様と一緒に、その許嫁もあなたに殺されてしまったけれどね」
男は牢の中に入ってきた。
「さあ、あなたが男の時に犯したがっていた女の姿勢になりなさい」
姫は陰部を覆っていた下着を脱ぐと、壁に手を付いて尻を高く掲げた。女の恥ずかしい箇所が丸見えになった。
「あたしの体に随分はしたない格好をさせるじゃないの。わかった。お望み通り入れてあげる」
姫の陰部はすでに十分に潤っていた。
「あたし、触る前からこんなになったことないのに。男の人の想像力ってすごいのね」
男はそそり立つ肉棒を、その中に突き進めていった。
「あ、うぐっ、いっ、痛いっ」
「あらあら、つらそうな声。あたしが経験する筈だった痛みね。ごめんあそばせ。ふふ、でもあたしの中ってきつくて、でも気持ちいい。ずっと突いていたい」
「ああ、くっ」
「涙まで流して。本当に痛いのね。かわいそうだからやめようかしら」
「いいえっ、つ、づ、けて下さいっ」
「そう、あなたが良しとする女はどこまでも殊勝なのね。いいわ。ほらっ」
「うぐっ」
「深く突いてあげる。ほらっ、ほらっ」
「あ、あ、ううっ」
「あら、声が変わってきたわね」
「あ、あぁっ、うっ、痛いのに、なんだか、変、ううっ」
「段々と声が艶っぽくなってくる。本当に痛いの?」
「痛い、です。でも、痛さに慣れてくると、はぁっ」
「気持ちいいのね」
「あっ、はいっ、あっ、ああ、うっ」
「あたし、こんな色っぽい声を出すんだ」
「あっ、ううっ、立って、られな、うっ」
「あら、腰が抜けるほどなの。あたしって、そんなに感じる体なの。知らなかった」
「は、あっ、うっ」
「待って。ほら、腰を持ってあげるから手を床について。四つん這いになりなさい」
「はい。ああ、私をメス犬のように犯してください」
「腰が抜けた後の言葉も決まっているのね。ええ、後ろからがんがん突いてあげる」
「あっ、あっ、ありがとう、ございますっ」
「ああ、あたしの中って本当に気持ちいい。本当にいつまででも突いていたい」
「あっ、あっ、あっ、あっ」
「なんていやらしい声。耳に響く。男の人って、こんな声を聞くとますます興奮するのね」
「あっ、あっ、もう」
「もう、何?」
「なにかがこみ上げてきます。いきそうです」
「あたしも、出そうになってきた。さあ、ここであなたが想像していた女はどうなるの」
「男の人に注ぎ込まれると同時に、イッてしまいます。イク時には、かならず、イク、と言います」
「じゃあ、そうなさい」
「はあっ、もう、もう、どうにかして、どうにでもして」
「さあ、出しますよ」
「ああ、来てください」
「うっ」
「あああぁぁー、イク、イキます。イクーーーッ」
「知らなかった。男の人って、とにかく女の人とやりたいのね。優しく女を包み込もう、とかじゃないんだ。それになんだろう、この、イッた女を見下ろしたときの征服感。男が狼、ってこういうことなの。あら、うるんだ眼をしてどうしたの」
「また、ちんぽを清めさせてください」
「あら、イッたばかりなのに。はい、どうぞ。続けて二度も出すと、もう立たないな。さあ、コトが終わったら、あなたが犯し終えた女は、なんて言うの」
「あなたを、ご主人様とお呼びしてもよろしいですか」
「ほほほ。ご主人様なの、あたしが」
「はい。わたくしはもう、ご主人様のちんぽなしでは生きていけません。ご主人様の奴隷にしてください。一生、ご奉仕いたします」
「あははは。いいわ。奴隷にしてあげる。この足をお舐めなさい」
「はい。舐めさせていただきます。……奴隷にしていただいて、ありがとうございます」
ある日、男と姫は馬車で居城の外に出た。門番が声をかけた。
「新王様、どちらへ?」
「そろそろ街も落ち着いてきたようだからな。視察に行く」
「姫様は、そのご恰好でですか」
姫は手枷足枷を嵌められて、首には首輪が巻かれていた。
「そうだ。旧王族がこの姿であるのを見れば、いまこの国の王が誰であるのか、よりはっきりとわかるだろう」
「なるほど。承知いたしました」
馬車を見送った門番は呟いた。
「姫様もおいたわしや」
馬車は街を通り過ぎ、街道脇のひと気の無い所で止まった。
「こんな所で、とはね」
「奴隷はご主人様に飽きられぬように、趣向をこらさねばならぬのです」
男は姫の首輪はそのままにして、手枷足枷を鍵で外した。それから、
「後で使うから」
とハンカチをポケットに押し込んだ。そして二人は道を外れて草むらに入った。
男は自分のモノを取り出して姫に見せた。
「ああ」
姫はうっとりとした顔でそれを見つめた。男はその顔を見ながら声をかけた。
「あなたについていたものです。これを自分で振り回していた頃のことは覚えている?」
「はい。わたくしは女好きでした。妻は早くに亡くしましたが、何人もの女とこれで交わりました。わたくしは、女をこれでひれ伏させるのが好きでした。心も体も私に捧げろ、と言って、それに応じる女ばかりを相手にしていました」
「自分がそんな女になってしまったことはどう思っています?」
「ああ、女になって、奴隷になることは、なんとすてきなこと。わたくしは女たちにとても良いことをしていたのですね」
「さあ、あなたのするべきことをなさい」
姫は、嬉々として男のものをしゃぶり始めた。
舌を巧みに使ってカリを刺激しつつ、玉をやわやわと刺激して男のものを奮い立たせた。
「うまいものですね」
「ひゃい、ごひゅじんさまをよろこはせるのが、どれいのひょろこひてすから」
「それぐらいでいいです」
姫は口を離してそれを見つめると、手に取って頬ずりを始めた。
「ああ、なんて素敵。わたくしはこのちんぽの奴隷なのです。この素晴らしいものをわたくしに入れていただくためならどんなことでもします」
「ふふふ。それならそれにふさわしい格好をしてごらんなさい」
姫は目を輝かせてスカートをめくり、下着を下ろして四つん這いになり、丸出しの尻を男に向けて突き出した。秘所はもうずぶ濡れだった。
太陽の陽光の下、草いきれのなかで、下半身丸出しの女がメス犬のように尻を振っていた。
「あたしって、なんて綺麗で、なんてはしたないんだろう」
男はまず秘所に中指を突っ込んだ。
「ううっ」
「いつからここを濡らしていたの?」
「城を出る頃からです。これから外で犯されるのかと思うと」
「ここに突っ込まれたくてたまらないという顔を、門番に見せていたのね」
「ああ、そうです」
男は姫の尻を叩いた。
「あうっ。ああ、好きなだけ叩いて下さい」
「ふふ。それよりも」
男はまた中指を秘所に入れて出し入れを始めた。
「感じるのね」
「ああっ、そうです。わたくしの理想の女は、ご主人様がイケと言えば簡単に達してしまうのです」
「それでは、イッてしまいなさい」
「あ、ああっ、イクッ」
姫は呆気なく絶頂に達してしまった。
顔を草に押し付けて突っ伏している姫の腰を男はがっしりと掴んで肉棒を差し入れた。
「あうっ、いっ、イったばかりで、くうっ」
容赦なく男は腰を打ち付けた。
「主人に文句を言うのですか」
「いいえっ、めっそうもっ」
「女になってどう?」
「ああっ、いいっ、いいですっ」
「奴隷になってどう?」
「ずっと、ずっと、お仕えしますっ」
「そんなことを言う女が好きだったの?」
「女はそうしたものとっ、思っておりましたっ、ああっ、いいっ、また、またぁっ」
「イキそうなの?」
「はいっ、でも、出されなければ、イケませんっ」
「ふふ、さっきあなたの口の中に出さなかったから、そんなに待たせないよ」
「ああっ、早く、今にも、今にも、ああ、苦しい」
「イキそうでイケないのは苦しい?」
「いえ、いえっ、ああ、でも」
「欲しい?」
「はい、子種を、子種を注いでください」
「子種ね、こんなに何度も注いでいたら孕んでしまうかもね」
「ああ、孕ませてください。ご主人様の子供でしたら、わたくしが、一人ででも、立派に育てます」
「ふふっ、一人ででもね。どこまで都合のいい奴隷なんだろう」
「ああ、もう、もうっ」
「そろそろ出そう、出るっ」
「いくっ、あああーーーーっ」
「これは清めなくていいから、しばらくそこにいなさい」
絶頂に達してぐったりしている姫に、男はそう言った。そして自分のハンカチで肉棒の先を拭き捨ててから身なりを整えた。次に男は馬車に向かった。馬車の中に置いた手枷足枷を自分に嵌めると、自らそれに鍵をかけた。男はそれを姫のいる草むらに放り投げた。
怪訝な顔をして姫がその鍵を拾うと、男は真言を唱えた。
「†††♂♂♂×××♀♀♀†††」
真言を唱え終えた男は、目を見開いて驚愕していた。口元は
「なぜ?」
と動いた。姫は鍵を持ったまま男に近づくと、男の口元にハンカチを押し込んだ。姫が男の上半身を押すと、手枷足枷をした男はあっさりと地面に倒れた。
「自分の体を取り戻した上で、どうやって城から逃げようかと思っていたのだけれど。ふふ、まさかあなたのほうから外で犯してくださいと言われるとはね」
姫の口調は先ほどまでの、女奴隷のものとは全く違っていた。
「あなたの体になってから、お父様の真似事をしてみたけれど、全然駄目。軍を統べるのも政を行うのもあたしには向いてないし、もうバレそう。悔しいけれどこの国はあなたにあげる。それにお父様も失政があったから、あなたに隙を突かれたのだろうし、自業自得なところがあって、あまりあなたを恨む気がしないの」
姫はしゃがんで男の顔を覗き込んだ。
「どうしたの? まだ驚いているの? それとも女奴隷に戻りたいの? あはは。あなたは自分が成りたがっていた王様になるしかないの。ふふ。
でもあなたは覚えている。男の精の味を。
あなたは覚えている。破瓜の痛みを。
あなたは覚えている。女の快楽を。
あなたは覚えている。嬉々として奴隷になると誓ったことを。
あなたは覚えている。あたしが来なかった日に自らを慰めたことを。
あなたは覚えている。この首輪を受け取って奴隷の印と歓喜したことを。
そしてあなたは覚えている。太陽の下で女の絶頂に達し草むらに顔を埋めたことを」
「うぐっ、うぐっ」
男は何かを言おうとしていたが、その声は聞き取れなかった。姫は男の様子に構いもせず、鍵を力一杯放り投げた。放物線を描いて、それは道の真ん中に落ちた。
「這いつくばって行って、あの鍵を拾いなさい。その間にあたしはこの馬車で逃げます。この首輪は記念に貰っていく。あなたは城に帰るのね。それともあたしを追いかける? あたしを見つけ出して、女奴隷に戻してくださいと泣いて頼む? あはははは」
笑いながら姫は馬車に乗り込み、去っていった。後にはまだ、驚愕に震えたまま倒れている男が残された。
(馬車の操り方を習っていて良かった。お父様は娘が相手だと何も教えようとしなかったから。ええっとこの先は、隣国か。叔母様がいるからまず頼ってみよう。あらいやだ。あそこから男の精が出てる。気色悪いけどハンカチは全部使ってしまったし。精を口の中に出さなくて良かった。あんな生臭くてまずそうなもの、口の中に残したくないし。ああ、でも、本当に孕んじゃったかなあ。あの男の望む女だと孕むことになるんだよね。孕んでいたら産もうか、仕方がない。あたし子供好きだし。でも男はなぁ。抱き合っている時に男が何を考えているのかわかっちゃったから、もう結婚とかはしたくないなぁ。でもあれか。あたし、自分で自分を調教してしまったんだっけ。これから男が欲しくてたまらなくなっちゃったらどうしよう。それも相手をご主人様とか呼んで、無理矢理後ろから犯されないと感じない体になっていたりして。まあいいや、叔母様のところに着いてから考えよう。まだ叔母様のお城に入れてもらえるかどうかもわからないんだし)
王朝の名前も王の名前も正式名称を書き続けるのは煩雑である。ここからは慣例に従って、クーデター以前を旧王朝、クーデター以後を新王朝、新王朝初代の王を新王と書くことにする。
クーデター成功の後、新王の粛清は苛烈であった。王と王子は先ほど書いたように宮中で殺された。だがそればかりではなく、クーデターに加わらなかった旧王朝の重臣たちもそのほとんどが粛清で首を刎ねられた。それは旧王の娘、姫の許嫁である侯も例外ではなかった
しかし新王は姫だけは殺さず、牢屋に閉じ込めた。新王は好色でもあったから、凌辱するために生かしておいたのだろう。
その姫だが、新王と二人、馬車で王宮を出た後、馬車で逃げたという。新王は一人、歩いて帰ってきた。飽きたのか情にほだされたのかわからないが、姫を一人放り出して新王が馬車で帰ってきたのならまだ理解できる。逆なのは奇妙である。
新王のその後の政治に破綻は見られない。失政の多かった旧王朝末期に比べれば善政であった。
なお新王の傍には、常に屈強な男がいたという。自分がクーデターで政権を取っただけに、身辺警護のためと言われている。ただその屈強な男は新王の寝室の中にまで入っていたと言うから、新王は男色に走ったのかと噂された。もちろん噂であり書類上の証拠などはない。
クーデター時の新王には、早くに亡くなった正妻との間に10歳の男児があった。新王はクーデターから8年後、その男児が成人した日に王位を譲った。その後の新王の没年は明らかではない。息子に王位を譲ったのち、旅に出た。旅先で客死したのではないかと伝えられている。
姫のその後だが、隣国に政略結婚で嫁いだ叔母がおり、その叔母を頼ったようである。隣国で娘を生んだという記録もある。時期からして新王との間の子であろう。当時の隣国は女性の記録については冷淡だった。それ以上のことは何も文献には残っていない。
ところで旧王朝には魂替の術というものがあったという。内容は現在で言う「入れ替わり」であり、心と体を入れ替えるものである。文献にもいくつか例が記されている。しかし現実的に考えて、心と体を入れ替える方法があるなどと、俄かには信じがたい。現在では、自分に起きたことを相手に起きたと信じさせる、つまり記憶を混乱させる、催眠術のようなものではなかったかと推定されている。
新王朝になってから魂替の術に関する記録はない。失われた秘法というものであろう。
(「ナル・ヌル国興亡記」下巻より)
「お母様、あの男の人、誰?」
「隣の国の王様。実はね、あなたのお父様なの。それに、あなたのお祖父様、伯父様のかたきでもあるの。よくここを探り当てたものね」
「そのお父様? が、どうしてずっとお母様に土下座していたの?」
「あの人ねえ、お母様と入れ替わって女になりたいんだって。それも女奴隷になりたいんだって。もう女を抱いても男に犯されても満足できないんだって。メス犬のように扱われたいんだって」
「お母様の言っていることがよくわからない」
「わからないわよねぇ。ああ、これを渡して、様子を見てくれる?」
それは古びた、革製の首輪だった。
「お母様、あの男の人、声を上げて泣いていました」
「そうなの。ふうん、どうしてくれようかしら」
<了>