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異世界にチート転生した娘をゴブリンが丸ごと手に入れた話

2018/08/30 14:35:21
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真っ白な空間で、少女と女性が向かい合っていた。
少女の名前は双葉。猫を助けようとしてトラックに轢かれてしまった少女だ。
双葉に向かい合う女性は説明を続ける。善行を積んだ双葉はもう一度、別の世界へ転生することが許されたのだ。

特典として、1日に1度だけ願いを叶えられる剣、「ティルフィング改」を持って。

双葉が目を覚ますと、そこは森の中だった。
暫く森を探索すると、なんとゴブリンが現れた!

「異世界人ハッケン! オデはサイコーにラッキーだ!」

ゴブリンが持っていた珠を天に掲げると光が満ちる。
2人は光に包まれて、気を失ってしまった。

暫くして、双葉が先に目を覚ました。
辺りを見回し、ゴブリンをじっと見てニターッと嗤い、身体を撫でながら「ティルフィング改」を手にする。

そのままゴブリンに近づき、手に持った剣をゴブリンの脳天に突き刺した!!
あぎ、と断末魔をこぼし、ゴブリンは息絶えてしまった。

「本当にラッキーだったぜ。こーんないいカラダが手に入っちまうなんてなぁ!」

双葉は笑いながら、その場を後にする。
そう、この物語は、願いを叶える剣を手に異世界に転生することになった少女の物語などではない。
その少女の全てを奪い取ることに成功してしまったゴブリンが、そのカラダと能力を駆使して世界の頂点を目指す物語なのだ。

「これでこのカラダは一生オデのモンになった訳だけど……
馴染んでないってことなのか? まだ身体に違和感があるな。『さっさと馴染めばいいのに』」

願望が受理されました。

謎の声が双葉の頭の中を響くと、彼女の身体と宿ったゴブリンの魂が急速に適合し始める。

「が、あ……な、なんだこれ……!!」

ゴブリンの魂が双葉の体内を駆け巡り、肉体の支配者の交代を触れ回る。
魂が脳に達すると、双葉の脳は記憶を新たな支配者に明け渡し、その脳内に魂が持つ記憶を刻み込む。
双葉だった肉体は完全にゴブリンの魂専用の器として完成し、そのすべての権限を明け渡した。

「ぁ…あ……すげぇ…これが、ティルフィング改のチカラ…!」

双葉の中にあった記憶から、この現象が手に持った剣のチカラだと理解する。
そのまま彼は器の記憶を舐め回すように覗き込む。女として生まれ、育ち、そして突然の事故。女神と出会い、剣を渡される。もらった剣の効果の全て。

「ふっ……クク……クヒヒッ……すげぇ、ホントにオデの今日の運勢は最高だ……! こんなすげえ能力を持った肉体、初日以外じゃ絶対奪えないよなァ!」

双葉は前の世界で死んだときと同じ服装、制服の上から大きめの胸をいやらしく揉みしだきながら、新たな肉体の織り成す快楽に酔いしれる。

「とりあえず人間の身体に入って、それから強そうなやつに乗り換えるつもりだったけど……このカラダ気に入ったぜ。
このカラダなら成り上がるどころか魔王すら夢じゃねえ! 本当にいいカラダが手に入ったぜ!!」

「さてと……おい、お前ら! いるんだろ!」

双葉が綺麗な声を乱暴にあげると、茂みからゴブリンが何体か現れる。

「あ、アニキ、本当にアニキなんですかい……?」
「ああ。カラダはこんなカワイくなっちまったが、魂は丸ごとお前らのアニキだぜ。
あの換魂の宝珠は本物だったな!」
「す、すげぇ……アニキが本当に人間に……!」
「待ってろよお前ら。この姿を使ってお前らのカラダも用意してやるからな。」
「でもアニキ、俺にはその身体が強そうには見えないんですが、どうするんですかい?」
「まずはこの剣のチカラで身体の能力を高めるのさ。『強くなりたい』って願ってな。
だからしばらくは隠れ家でこの身体を強化しまくる。食料はまだあったよな?」

そう言って双葉はゴブリンたちと歩き出す。そこにはゴブリンの亡骸だけが残った……

あれから1週間……

「ふひっ……思った通りサイコーの身体だぜ……」

双葉は全裸で自らの肢体を慰めていた。
見た目こそそのままだが双葉の肉体は見違えるほどレベルアップしている。
もはやこの世界の並みの冒険者すら相手にならないほどに。

「さてと、そろそろ始めるとするか」

数度の絶頂の末、ようやく起き上がった双葉は汗と愛液でベトベトになった身体を近くの湖で濯いだ後、手下を呼びつけて洗濯させていた服を着る。

双葉のモノだった脳内から下着の着け方も理解し、転生時と同じ服装の双葉に着替えた。

「アニキ、遂に行くんですかい?」
「ああ。カラダ候補が見つかったら転移魔法でお前らを呼びに来るからな。期待して待ってろよ。」
「りょーかいっす!」

そう言って、双葉はゴブリンの隠れ家を後にした。

森を抜け、しばらく歩くと街に着いた。
双葉は転生時にこちらの言葉を教えられていたため、街の人間に話を伺ってギルドらしきところに到着した。

「あ、もしかして転生者の方ですか?」

入った瞬間に受付嬢に呼び止められる。
転生者は服装がわかりやすいとのことだった。
この世界では転生者はそれなりに居て、ギルド側としても多大な功績を挙げやすい転生者は待遇が良いのこと。

また、この世界での冒険者業を理解するために上級冒険者一人としばらくの間行動を共にするらしく、一人の冒険者が上の階から降りてきた。
金髪蒼眼の整った顔。そして何より抜群のプロポーションを誇る女冒険者だった。

「アタシはローザ。これからよろしくね」
「双葉です。よろしくお願いします」

双葉とローザが組んでから数日が経った。
双葉はティルフィング改のドーピングによって転生当時とは比べ物にならないほど強くなっていたが、
それでもローザには遠く及ばなかった。
2人1組で行動することになったときは願ってもないチャンスだと思ったが、
そもそもローザの隙を突いてゴブリンの隠れ家に帰ることすら出来ないまま、
ローザの身体を奪う作戦は保留となっていた。
しかし計画を練ることは諦めなかった。

(「換魂の宝珠」は2時間しか入れ替わりが持続しない。
完全に身体を乗っ取るには2時間以内に相手を殺す。
もしくはティルフィング改の力で俺みたいに魂と肉体を一致させる必要がある。
アイツらをローザの中に入れても絶対ボロが出るから定着はさっさと行わないといけない訳で・・・・・・
そうするとローザと入れ替える為に剣の力が使えない。
ティルフィングの援護無しでアイツらがローザの前に出たら確実に殺される。どうする・・・・・・?)

ゴブリンだった頃はもっと短絡的な思考の持ち主だったが、
双葉の脳を得たおかげで今の彼は思慮深くなっていた。

それからさらに数日、双葉とローザは依頼をこなしていた。
その間にも双葉はティルフィングの性能を確かめていく。
というのも、「強くなりたい」と願ったときに一度に強くなれる限界のようなものがあると感じたからだ。
また、殺したいと願ったときも拒否された。命や魂に関する干渉は許されていないようだ。
つまり、他人の身体を乗っ取る場合は宝珠の力を使う必要がある、ということになる。
1日1回の制約についても段々と解明がされていった。
ティルフィング改には柄の辺りに宝石が装飾されているのだが、願いをかなえるとこれが輝きを失っていた。
そしてその日の0時、日付が変わるときに宝石が光を取り戻すのを確認していた。

これらの情報を元に、少しずつ計画を立てていった。




チャンスは案外早くに訪れた。
2日がけの依頼が舞い込んできて、2人は野宿を余儀なくされた。
2人のうち片方が見張り、もう片方が仮眠の体制だ。
しかしこれだけではチャンスにはならないだろう。
上級冒険者であるローザは殺気を感じるだけですぐ起きて応戦するだろう。
ここでティルフィングの出番となる。

(ローザをしばらく起きないように眠らせろ!)

すこし寝息が深くなったように思えた。
双葉はニヤリと笑うと転移呪文(以前ティルフィングで覚えた)でゴブリンの住処に飛んだ。

「むにゃ・・・・・・はっ、アニキ!?」
「よし、起きたやつの中で誰でもいいから1人来い」

我先にと準備し、たまたま最初に来た手下を連れて再度転移呪文を唱えた。
転移の最中落胆するゴブリン共の声が聞こえたが今回は一刻を争うので無視した。

ローザはまだ眠っていた。
剣の力が思ったより利いていることを感じながら、連れてきた手下に宝珠を渡す。
そしてゴブリンはローザに向かって宝珠をかざした!

ローザの口から赤いもやのようなものが、ゴブリンの口からも黒いもやのようなものが飛び出て、
黒いもやはローザの口の中に、赤いもやはゴブリンの口の中に入り込んでいく。
もやが入っていくと2人の身体は抵抗するようにビクビクと痙攣していたが、
やがてその痙攣もおさまっていく。

しばらくの沈黙の後、先にローザが目を覚ました。
ローザは手をまじまじと眺め、その手を地面について起き上がった。

「新しいカラダの具合はどうだ?」
「これが、俺っすか・・・・・・すっげぇ、力がみなぎってくるっす・・・こりゃゴブリンごときじゃ勝てないわけだ」
「問題ないなら定着させるぞ」

先ほど、日付が変わったことで剣の宝石が光を取り戻していた。
入れ替えの手助けに1回、定着に1回。
どうしても願いを叶えるしか手段がなかった為、この短時間で2回願いを叶える手段を思案したのだ。
その内容はいたって簡単。計画中に日付が変わることだった。

そして剣が光を放ち、ローザの身体に中の魂が定着する。

「くひひ、ふーん・・・これがローザの記憶、私の記憶かぁ・・・・・・
この世界のことも、この身体のことも。全部分かる。凄いわ双葉。私、完全に乗っ取られてる!」

ローザは嬉しそうに身体を撫で回し始めた。

「自分の身体なのに、他人みたいに気持ちいい。自分の匂いに興奮してるっ!
アニキ、この身体、最高だよ!! んふぅーっ・・・・・・」

そのままローザは自らの肢体を慰め始めてすこしして、倒れていたゴブリンが目を覚ました。

(ん・・・・・・? 私、寝ちゃった・・・? あれ、やけに身体が・・・)

「え? な、何この手!! え、声も!? な、何が起きたの!?」
「あー、目が覚めたか」
「え、双葉? と、もう一人は・・・・・・私!? え、なんて格好してるのっ!?」

そこにはやけに冷静な双葉と一心不乱に自慰にふけるローザの姿があった。

「ローザさん、あなたの身体と力。我々が有効に使わせて貰いますね」
「え、まさか、あなた・・・・・・双葉じゃない・・・?」
「この身体の本来の持ち主の事なら、とっくに死んでますよ? あなたに遭う前にね」
「そんな・・・・・・じゃあ、最初から・・・」
「ええ、あなたに出会ったその瞬間から、計画は始まったんですよ」
「くっ・・・・・・私の身体も、双葉の身体も、ゴブリンなんかの好きにはさせない!!」

ゴブリンは立ち上がり、たまたま持っていたこん棒を構えた。

「おいローザ、いつまでオナってんだ、やれ」
「えぇ・・・もうすぐ7回目の絶頂だったのにぃ・・・・・・」

ローザはいやいやながら自慰をやめ、剣を地に突いて立ち上がる。
まだ自慰の余韻が残っているようで、足はガクガク震え、なんとか立っている状態だった。
そうこうしているうちにゴブリンがローザに突進し、殴りかかる!
・・・・・・いとも簡単に、ローザは身をかわしてしまった。

「うわ、さすが最低級モンスターのゴブリンっすね。足ふらついてても遅すぎて簡単に避けれる」
「そんな、嘘・・・」
「じゃあまあ、こっちもちょっとだけ・・・」

そういってローザはゴブリンめがけて剣を振るう。出来るだけ手加減して。
ゴブリンは必死に応戦しているが、手を抜いているローザに押され始める。
そして遂に、ローザの剣がゴブリンのこん棒を吹き飛ばしてしまった!

「終わりっすね」
「そんな、いや、やめて。私の身体っ、そんなやつに操られないで!!」
「この身体はもう俺のモンっすよ。でも安心してね?
記憶も、知識もぜーんぶ私の脳みそから頂いてるから。
誰もゴブリンが身体を乗っ取ってるなんて気づかないわ。
これからは俺が、ローザを引き継いでやるっすよ。じゃ、そゆことで」

ローザは剣を振り下ろし、ゴブリンを両断した。
そうしてあっけなく、ゴブリンは息絶えた。

「これでローザはこちら側についた訳だ。」
「ええ。今日から私はゴブリン様たちに仕える忠実な奴隷として、私のすべてを捧げるわ」

双葉は次なる計画を考える。
転生したばかりの双葉とゴブリンだけではこの世界の知識についてはどうしても不足していた。
ローザの中身になったゴブリン自体には期待していなかったが彼女の知識には価値がある。
思考の末、しばらくは冒険者として人間どもに身を隠しながらその身体を奪っていくこと。
となると双葉、ローザを含めてパーティを結成するのがもっとも効率的だろうということ。
3人目として迎えた相手が次のターゲットとなるだろうこと。
以上が決定事項となった。

「そうなると、前衛職の俺とどこでもいけるアニキに追加する1人ってのは魔道士とかがいいんすかね?」
「・・・・・・そうだな。魔道士か。メンバーを増やすときはやっぱりギルドなのか?」
「ですね。申請とかはローザがやっときますよ。
上級冒険者なおかげで顔も結構知れてるし、結構いい魔道士が拾えるかも知れないっすね」
「そうと決まれば俺は寝るぞ。見張りは任せた」
「ふふん、いいっすよ」
「なんだ、やけに聞きわけがいいな」
「ぐふ、アニキも結構いい身体してるっすよね・・・・・・この身体も引き締まっててスケベっすけど、
俺としては結構そっちも・・・・・・」ジュルリ
「・・・・・・寝るのやめるわ」
「ええー・・・・・・」

結局双葉は見張り交代の時間まであまり眠れなかった。
ローザは熟練の冒険者とは思えないほど爆睡していた。
依頼自体は万全の体調になったローザが一瞬で片付けた。

「じゃあアニ・・・双葉、依頼完了の報告と一緒に魔道士の募集もしてくるから、その辺でのんびりしててね」
「わかった・・・・・・ねむ・・・」

ほぼ徹夜で眠そうな双葉を置いて、ローザはギルドに報告に向かった。
募集はかけたものの普通は募集に食いつく人が来るまで時間が掛かる為、
肩慣らしもかねてしばらくは適当に依頼をこなすことになった。

数日たって、毎晩夜這いに現れるローザに貞操の危機を感じ始めたころのことだった。

「あの、ローザさんが魔道士を募集してるって話を聞いて来たんですけど・・・・・・」

現れたのは、小柄な少女だった。

(おい、お前どう思う?)
(どう? っすか? めっちゃかわいいっすね。腹の奥がキュンキュンするっす)
(お前じゃなくてローザのほうに聞いてんだよ! どう考えても弱そうだろ!)
(えぇ・・・うーんと、魔道士は魔力とそれを行使する判断力で実力のほとんどが決まるみたいっす。
だから、別に見た感じ強そうじゃなくてもすげぇ魔道士は結構居るみたいっす)
(で? コイツはどうなんだ? 上物なのか?)
(うーん、わかんないっすね。ローザちゃんは戦士寄りなんで、魔道士のことはあんまり・・・
でも俺としてはカワイイからこの子採用でいいと思うっす!)
(それはもう分かったから)

「・・・うーん、私たち両方とも魔道士の人を見てもどれくらい出来るかわからないのよね。
だから、一度私たちと一緒に依頼を受けてもらいます。
その成果で組むかどうか決めるってことで。」
「なるほど。わかりました。魔道士のサフラと申します。よろしくおねがいします」
「うん。私がローザ、こっちが双葉っていうの。よろしくね」

こうして魔道士サフラが仲間に加わった。
サフラの魔道士としての能力は凄まじかった。
魔法攻撃による強力な攻撃性能、支援魔法によるメンバーへの能力補正。
怪我を負ったときには回復魔法もこなす魔法職の理想形。
経験豊富なローザでもここまでの魔道士はなかなか見ないとのことだった。

(決まりだな)
(そうっすね。ぜひ味方に欲しいっす。かわいいし)
(お前そればっかりだな・・・・・・
まあいいか、今日の夜に住処に連絡、明日の夜に実行するぞ)
(了解っす。サフラちゃん自身ローザちゃん目当てみたいでしたし、今日はこっちで引き付けておくっす)
(そうか、任せるぞ(心配だけど))

その日の夜、計画通り双葉はゴブリンの住処に転移した。
住処に転移すると、何匹か準備して待っていたゴブリンが見えた。
無駄なところで学習しやがってと思いながら双葉は全ゴブリンを呼び出す。

「お前らの中に魔法が使える奴って居たっけ?」
「「「「えっ」」」」

ゴブリンたちがざわついた。
それはそうだ。そもそも低級魔族であるゴブリンに魔法など使えるはずもなく、
実戦でも使い物にならない魔法など種族単位で才能のないゴブリンには無縁のものであった。
しかし・・・・・・

「お、おれ、魔法、手からちょっと炎出すだけなら・・・・・・」

それなりに数居るゴブリンの中には1人くらい変なことをし始めるものが居るものなのだ。
双葉の機嫌が少しよくなった。

「そうかそうか。じゃあ次はお前だな。明日の夜にまた来るから、それまでに支度しておけ」

そういって双葉は転移魔法で元の街に戻った。転移前に後ろからぶーたれる声が聞こえたが無視した。

次の日、ローザが依頼を持ってくる。双葉の希望通り、夜営込みの長距離系の依頼だ。
今回はローザがこちら側についているため、依頼の種別も自由に指定できた。
こうして3人は街を離れ、移動を開始した。

軽く道中の魔物を蹴散らし、進んでいく。街近郊にもはや敵などいない状態になっていた。
しばらく進んでいると日も暮れ、夜営の時間となる。

「はい。おつかれさま。」
「あ、ありがとうございます」

ローザがサフラに水を渡す。作戦はいたってシンプルで、この水に痺れ薬が入っているのだ。
はじめは双葉は睡眠薬のつもりだったが、この世界の睡眠薬は効きにくいらしく(ローザ談)痺れ薬になった。

「ぁ・・・ぇ・・・・・・?」

サフラがコップを落とし、地面に倒れる。

「上手くいったみたいだな」
「みたいっすねぇ」
「・・・ぇ、なんで・・・・・・」
「この薬、どれだけ効くんだ?」
「1時間ぐらいって書いてありましたよ。そんなかからないっしょ」
「そうだな。ま、5分ぐらいだろ」

そういって双葉は転移魔法を唱え、ゴブリンの住処に飛んだ。

「な、なんで・・・・・・」
「ま、普通そういう反応するっすよね。聞きたいことはいっぱいあるんでしょ?
その薬、口は動くって聞いてますし、話し相手になってもらうくらいは大丈夫っすかね
うーん、質問は多いとおもうんすけど、何から話しましょっか」
「あ、あなたは、ローザさんじゃないの・・・・・・? 本物のローザさんはどこなの?」
「うお、いきなり核心っすね。ふふ、このカラダは正真正銘、ローザちゃんのモノっすよ。
頭のてっぺんからつま先まで、丸ごとぜーんぶ。ね?」

そういいながらローザは身体を撫で回し、恍惚とした顔を浮かべる。

「中身が・・・・・・違う・・・・・・?」
「さっすがっすねぇ、それで当たりっすよ。
ローザちゃんの鍛え抜かれたエッチボディは今、元ゴブリンの魂に乗っ取られてるっす!」
「う・・・そ・・・・・・じゃあ、本物のローザさんは・・・?」
「その辺で土くれにでもなってるんじゃないっすか?」
「・・・・・・そんなっ・・・・・・」
「ローザちゃんより自分の心配したほうがいいんじゃないっすかね」

そのとき、双葉がゴブリンをつれて転移してきた。

「おい、何はなしてんだバカ」
「いいじゃないっすか、俺暇だったし」
「はぁ、さっさと終わらせるぞ」

双葉は連れてきたゴブリンに宝珠を渡す。

(?! まさか、魔道具・・・? これでローザさんを・・・!)

考えているうちにゴブリンが受け取った宝珠を起動させる。
ゴブリンの口から黒いもやのようなものが飛び出す。
しかし、痺れ薬で満足に動けない中サフラは必死の抵抗を行った。
サフラの口からもやが吐き出されない。

(これ大丈夫なんすか?)
(わからん。だから余計なこと話すなって言ったんだ・・・・・・)

しばらくはゴブリンから飛び出たもやが空中にあるばかりだったが、遂にもやはサフラの口めがけて飛び込んでいった!
意識のあるまま、身体を痙攣させながらもやはサフラの口内に次々と潜り込んでいく。
しかしサフラからもやが出て行くことはなく、サフラの体内には2人分のもやが入り込んだことになった。

「ぅ・・・・・・くっ・・・ぃや・・・ぁ・・・・・・出て行って・・・・・・出て行ってよぉ・・・・・・」
「なるほど、こうなるのか」
「アニキやけに冷静っすね!? こいつこの女に主導権取られてままっすよ!?」
「だからこれがあるんだよ」

双葉はおもむろにティルフィング改を取り出す。

『サフラの意識を弱めて、ゴブリンに取り込ませろ』

「え、嫌、なに・・・・・・これ・・・・・・ぃしき・・・・・・が・・・ぁ・・・・・・ぅ」

サフラはみるみるうちに弱っていき、意識を失った。
その後しばらくぁ、ぅ、とうめき声をあげていたがいつしかそれも収まった。

そしてゆっくりとサフラが目を覚ました。

起き上がり、自らの手を眺めながらグーとパーを繰り返す。
痺れ薬はもう切れているようだ。

「調子はどうだ?」
「・・・・・・不思議な感じね・・・『サフラ』の人格を後ろから操ってるような、そんな感じ・・・・・・」
「元の人格は前に出られないっすか?」
「いや、意識すれば『おれ』になれるみたいなんですけど、『サフラ』状態のほうがしっくり来る、みたいな?
でもこれはこれで気分はいいの。私の能力もインスタントに100%手に入ってるし」
1すれ目のやつです。ライブ感で書いちゃった感ありますがそこはそれということで。
2すれ目についてはしばしお待ちを……ごめんね。
ファンタのコーラ味
0.1980簡易評価
12.100seconfd
グッドだ!
続きは気分が気分が乗った時にすればいいと思うよ
38.100きよひこ
最高です。
いつか2すれ目くると良いなぁー
39.100きよひこ
すばらしい!!