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電車で女にされていく

2018/12/08 01:52:28
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「ふふ、君は男なのに男に痴漢されるなんて、と、思っているね」
(あ、あ、そうだ。男同士なのに、胸や股をまさぐられるなんて気持ち悪い。でも、声が出ないっ)
「だったら、君を女にしてあげよう」
(え?)
「それなら、男に女が痴漢されるだけだ。よくある当たり前の、自然なことだろう?」
(そんな、馬鹿なっ!)

「ふふ、揉まれているうちに、自分の胸が柔らかくなっていくのがわかるかい?」
(そんな。でも、そうだ。僕はそれほど筋肉質じゃないけど、痩せているほうだし、こんなに胸が柔らかくはない。はうっ!)
「乳首が大きくなってきただろう? こうしてコリコリすると変な感じになるよね」
(あ、あ、なんだか、胸の先っぽが大きくなって、敏感になっている)
「結構、大きい胸だね。ノーブラだから、ドアの外から見たら、とても、そそられると思うよ」
(あ、うっ、嫌なのに、なんだか、熱い気分になってくるっ)

「実はこんな時のために、こんなものを用意していてね」
次の瞬間、目の前が暗くなった。Tシャツしか着ていなかった僕は、頭から何かを着せられていた。
電車はトンネルに入った。ドアのガラスに僕の姿が映った。ワンピースだ。
「ピンク色で可愛いだろう。大きくなったおっぱいと、くびれた腰がよくわかるようにひもでしばってあげよう。それから羽織るものも着せてあげよう。コーディネートというやつだ」
僕は電車の中で着せ替え人形になってしまった。

さらにはワンピースの下のズボンとパンツまでずり下げられた。ワンピースの下は何も穿いていない。
「ふふ、さっきから声は出せないし、思うように体が動かせずに服を無抵抗に着せ替えられている。変だと思っているだろう」
(そうだ。さっきから、こいつの好き勝手にされている)
「私は出鱈目に君の体をまさぐっているわけじゃない。ツボを押さえているんだ。肩こりを取るツボなんて単純なものじゃない。複数のツボを正しい順番で押していけば、相手を思うがままに操れる」
(そんなことが?)
「それに体を操るだけではなくてね。男を女にすることもできるんだ」

(まさか!)
「まさか、と思っているだろう? でも君の胸はこんな風に、もう女になっている」
そう言って男は、また僕の胸を揉みしだいた。
「例えばこうするとね」
また僕は背中や首の後ろを押された。
(うっ、喉がっ)
一瞬、焼けるように痛くなった。でもそれが治まると、男は僕の喉を撫でた。その撫でられた時の感触が、何か今までと違うと思った。
「喉仏が無くなったのがわかるかい。声を聞けないのが残念だね。次に声を出す時には、女の甲高い声になっているよ」

電車が止まり、後ろのドアが開いて閉じた音がした。ここからしばらくの間、僕の前にある側のドアは開かない。
「こちらのドアが開くまでの間、あまり時間は無いが楽しませてもらうよ」
くそ、この男はこの電車に乗り慣れていたのか。
「押さなければならないツボがたくさんあるから忙しいな」
そう言って彼は僕の体をまたまさぐり始め、時には指でぐいぐいとそこかしこを押していった。体中の皮膚がぞわっとした。悪寒がしたのではない。触られている感覚が鋭くなったような。
「女の柔肌というやつでね。女の皮膚は敏感だ。ほうら、背中を撫でられただけで感じるだろう」
(あ、あ、あ、あ)
間違いない、体中が敏感になっている。
「すね毛なんかはまだ付いているが、何日かしたら全部抜け落ちてすべすべの肌になるよ」

その後も男は僕の体のそこかしこを触り、ツボ押しを続けていった。その度に僕は骨が軋み、筋肉が震え、血液が泡立つ思いがした。
「自分の姿を見てごらん」
電車がまた短いトンネルの中に入った。ドアのガラス窓を見て驚いた。僕はもともと髪が長い。髪を切られる間にただ座っているのが嫌いで、床屋に行っていないからだ。それにもともと優男で男らしいがっちりした顔でも体でもない。でも、正面から見て女と見間違えられるほどじゃない。しかし、窓に映った自分は胸が膨らんでいるばかりではなく、女顔で肩も細く華奢になり、腰回りのくびれ具合もすっかり女らしくなっていた。
「美人だよ。それにそそられる体だ。容姿には自信を持っていい」
もう傍から見たら、女が痴漢されているようにしか見えないに違いない。

痴漢と言えば、僕とこの男は、周りからどう見えているのだろう。
「痴漢にはいい時代になったものだ。誰も彼もスマホを眺めていて、こっちのほうは全然見ていないよ」
男はそう言って笑った。声の出せない僕は、されるがままなのだ。
「それでは本番に入ろうか」
彼は僕の股間に手を伸ばした。
「さっきズボンを下ろした時からずっと勃ちっぱなしだね。こんなに女らしい体になったのに」
図星を突かれたので思わず赤面してしまった。
「だが、それもここまでだ。ここが、精巣を卵巣にするツボだ」
腰骨の横を押されると、
(ウグッ)
股間に衝撃が走った。玉が持ち上がって体の中に吸い込まれていった。
「次に、ペニスを縮ませるツボ」
(あ、あ、)
僕の股間で屹立していたものの感触が消えた。玉と竿がぶら下がっている当たり前の感覚が、全然無くなった。
「膣を作るツボ」
(うぉっ)
ぐりぐりと、ドライバーの柄をめり込まされていくような感触だ。
「そして子宮を作るツボだ」
(こ、こんな)
下っ腹で、何かが膨らんでいく。
「痛くて、重い感じはないかい? 子宮が出来た途端に生理になることもあるからね」
それは無かった。僕は思わず首を振っていた。首から上だけは動かせるようだ。

「これで君はどこもかしこも女の体になったわけだ」
男は満足げに語った。
「男を女にするのはそれほど難しいことではない。生物学的に、男は女から作られる、ということを知っているかい。私は君を女の姿に戻しただけだ。あるいは、君が女に生まれていたらどんな顔でどんな体だったかを具現化したというか」
そう言いながら彼はまた僕の体をまさぐり始めた。
「重要なことがもうひとつ残っている。ここだ」
あちこちを押された後に、首の後ろをぐいと圧迫された。
(あ、ぐっ、頭がっ)
割れるように痛い。
「穴に入れて喜ぶ男と、穴に入れられて悦ぶ女は、脳の構造から違うんだよ。君はこれから甘いものを好み、無意味なおしゃべりを楽しみ、毎朝鏡を見つめて化粧をするようになる。もう君は、女の体をした男、ではない。男だった記憶を持つ女なんだ」
僕は、心まで女になったというのか。

「さあ、それでは女になった体をお互いに愉しもうじゃないか」
もうツボを押されることはなかった。また、胸を揉まれた。柔らかくなった胸を揉まれると、自分が女になってしまったことがより強く感じられた。首筋にキスもされた。
(この人は、女の体に慣れている)
胸の揉み方が優しく、乳首を掌で微妙に刺激してきた。それに女の首筋が意外に敏感で、触れるか触れないかの唇の感触には不快感が無かった。
(僕、感じてる?)
顔が火照ってきたのがわかる。無理矢理女の体にされたのに、感じるなんて恥ずかしい。
「感度がいいね。女にして良かったよ」
男の右手が胸を離れ、僕の股間に伸びていった。

男はまず、ワンピースの外側から僕の股間を撫でた。
「ふふ。ここに何もないのがわかるだろう」
ああそうだ。触られるとあそこが女になってしまったのが、よりはっきりと感じられる。
「さて」
(ああっ)
男はワンピースの裾を前からするすると持ち上げていった。パンツも何も穿いていない僕の股間が露わになった。
「ドアの外から見たら見ものだろうね。女のあそこが丸出しで」
(何て恥ずかしいことをするんだ)
僕は顔を真っ赤にして目を閉じた。その隙に、彼は右手を僕の右腿と左腿の間に滑り込ませた。
「おや、もう濡れているじゃないか」

そう、僕は女になったばかりで胸を揉まれ、すっかり興奮してしまっていた。
「濡れているということは、男を受け入れたい、ということだね」
そんなことは思っていない、と言いたいが声が出ない。せめて両足を閉じて手の侵入を防ぎたかったが、足も動かなかった。
「ここが男を受け入れる女の穴だよ」
僕の女の部分を彼は撫でまわした。僕のあそこは意思に反してますます濡れていった。
「そしてここが」
(あうっ)
「一番敏感なところだね」
やめてくれ、と叫びたかったが、彼はじっくりと撫ですさり、時にそれを跳ね上げ、僕を否応もなく高めていった。僕は顔を真っ赤にしながら目を閉じてその感覚に耐えていた。
「いいねえ、その表情」

「女になってしまった戸惑い。痴漢をされて逆らえない屈辱。しかし興奮していく体。無理矢理与えられた快感。私はね、そんな顔を見たくて、男をわざわざ女にしているんだよ」
なんて身勝手な。僕は体こそ自由にされているが、心までそんな男の言いなりになりたくはなかった。歯を食いしばって快感に耐えようとした。
「そう、それだよ。苦悶が悦楽に変わる所を見たかったんだ」
彼は僕の陰部を時には強く、時に弱く刺激し続けた。僕のあそこからはだらしなく蜜が流れ、心臓の鼓動は早まる一方だった。
(ううっ、耐えられなっ、あっ、いいっ。この指に逆らえないっ)
結局、僕は快楽に屈服した。
(は、あ、あ、駄目だ、どんどんおかしくなる)
女の脳になったという頭が、次第に真っ白になっていった。
(はぁ、あっ、もう、だめ)
僕の心は、彼の与える感覚をもっともっとと求めてやまなかった。そして彼の指は遠慮なく容赦なくそこを弄んだ。僕はもう、快感を貪る、ただの女に過ぎなかった。
(ああーっ)
抵抗も空しくあっけなく、僕は絶頂に達してしまった。

(これが、女の体……)
頭のしびれた感じがなかなか去らなかった。射精で何もかも終わってしまう男の体とは全然違う。
だが余韻が去ると、今度は自己嫌悪に襲われた。
(ああ、結局この男に、好き勝手にやられてしまった)
「女になったばかりだというのに、ずいぶん感じていたね」
そう男に囁かれた。その無神経さにムッとした。
「今度は、私が楽しませてもらおう」
言われた直後は意味がつかめなかった。そのすぐ後だった。突然、ワンピースの裾を後ろから引き上げられた。何も穿いていないお尻が外気に晒された。
(ひゃうんっ)
声が出せていたら僕は珍妙なことを口走っていたに違いない。その直後、僕は体の胸から上の部分を、ドアの窓に押し付けられた。
(うぁっ)
次の瞬間、男のものが僕の中に入ってきた。股から串刺しにされたような激痛が走った。

「女になったすぐ後に、処女を失った気分はどうだい?」
(あ、う、あ)
あまりの痛さに息が止まってしまった。
「痛覚を和らげるツボもあるんだがやめておこう。これも女になった記念だ。初めて犯される痛みを存分に味わってくれ」
(くっ、どこまでも勝手なことを)
痛いながらも息がつけるようになると、別なことに思い至った。いくらなんでも電車の中で性行為などをしたら、周りの注目を浴びるのではないか。
「周囲にばれないかと気を使うことはないよ。私は薄手のコートを、前をはだけて着ている。コートに隠れて、繋がっている部分は周りに見えない」
この男はそんな恰好をしていたのか。暑がりにはTシャツ一枚でも平気な陽気なのに。
「君のあそこは具合がいいね。よく締まる。こうしているだけでも気持ちいい。でもそろそろ動くよ。もうあまり時間がない」
(ああああ)
男は抽送を始めた。痛い。串刺しされた上に、中を抉られるような感覚が続けて起こった。

「おお、これは素晴らしい。入れるだけでも気分が良かったが、動かしていると中でぬめぬめとまとわりついてくる。君は名器だよ。女にした甲斐があった」
ほめられていたようだが、それに注意を払う余裕は無かった。苦痛ばかりで早く終わってくれ、とばかり願っていた。
「これほどの名器はじっくり味わいたいものだな」
男は抽送するスピードを緩めた。時間をかけて僕をいたぶる気か。
「苦しいか。まあ、たいていの女が通る道だ。我慢してくれ」
勝手に僕を女にしたくせに何を言っているのか。
(あ?)
その時、違う感覚が中で生じた。痛さの中に、なにかむず痒いようなものが加わった。
「おや、息の吐き方が変わったね」
耳元で男が囁いた。

「ここかな」
先ほどの違う感覚は無くなった。苦痛だけが戻ってきた。
「違うか。ここか」
むず痒い感じがまた始まった。
「そうか、ここか」
何か変な感じが続くようになった、と思った。だがその変な感じが、体中で震えるようなものに変わっていった。
(あっ、あっ)
痛いだけではないものに、気がついたらその震える感覚に包まれていた。小さな揺れが大地震に変化していくようで、僕はたちまちのうちに、その振動に捉われてしまった。
(お、お、おぉっ)
男の動きに自分の体が反応していくのを抑えられなかった。
「そんなに感じているのか。腰を動かせるようにしてみるか」
またどこかを押された。すると彼の腰の動きに合わせて、僕の腰もそれを迎えるように自然に動き出していた。
「処女を失くしたばかりだというのに、ずいぶん乱れやすい体だな」
先ほどのクリトリスを刺激された時とは違う。あれは表面側から与えられたものだった。今度は体の奥底から奈落に落ちるような、震えながら泥沼に沈んでいくような気分だった。
(あああ、駄目だ、駄目っ)
何が駄目なのか。それはこれに身を委ねて自分を見失ってしまう恐怖感だった。それに抗えないことがなおさら恐怖だった。
「男を喜ばせ、自分も歓ぶ。最高の体だな」
男の声もろくに耳に入らなかった。
(落ちる、堕ちるっ)
足元の板が割れて、谷底に落ちるような心地がした。
(あぁあーっ)
声も出ぬままに、首から上を反らせて、僕は絶頂に達した。

何秒間か、立ったまま意識を失くしていたらしい。それを取り戻すと、ドアの窓に押し付けられた顔がひんやりとしているのが感じられた。
男のものが中に入っている感覚は無くなった。代わりに、そこになにか生暖かいものが注がれていた。
(中に……、出された)
持ち上げられていたワンピースの裾は、元に戻っていた。
(女に、されてしまった)
そんな感慨に包まれた。体を女にされたばかりか、女の絶頂まで知らされてしまった。この記憶と感覚は、生涯自分から離れることはないだろう。
「最高だよ」
男がまた囁いた。電車が止まろうとしていた。
「気に入らない女になっていたら、男に戻すんだがね。この体を元に戻すのは勿体ない。君は生涯、女として生きていくんだ」
オーガズムの後の気怠い感覚の中で彼の声が聞こえた。また、体のあちこちをまさぐられ、指で何カ所かを押された。
電車が止まった。
「声と体は自由にしたよ」
目の前のドアが開いた。はっ、と思った。振り返ろうとしたが、その前に背中を、トン、と押された。僕はホームに押し出された。
転びそうになった。ようやく持ち応えて後ろを振り向いた時には、もうドアは閉まり電車が走り出していた。


女になってしばらくは大変だった。生活も激変した。だが結局、人はどんな環境にも慣れていくものと知った。そしてあの男の予言通り、甘いものを好み、おしゃべりを楽しみ、毎朝鏡を見つめて化粧をするようになった。
あれから何度も、あの電車に乗った。同じ時間、同じ車両で、あの時と同じワンピースを着て。
彼に会ってどうしようというのか。この人は痴漢だ、と糾弾したかったのか。男に戻せ、と訴えたかったのか。女の快楽を刻みつけられた体に、また同じ快感を与えて欲しかったのか。自分でもよくわからなかった。
だが、彼の顔も知らない。手掛かりは薄手のコートを着ていることだけだ。そんな男はしばらく見かけなかった。季節が進むと、誰も彼もコートを羽織るようになった。なおさらわからなかった。

その日もあのワンピースを着て、羽織るものに袖を通して、あの電車のあの車両にいた。ドアの窓から外を眺めていた。
背後から聞き覚えのある声がした。

「やあ、また会えたね」

思わず微笑んでいた。
わたしは、彼に逢いたかったのだ。

<了>












痴漢は当たり前でも自然なことでもありません。犯罪です(自分ツッコミの一例)。
TSFはどう書いても話に無理があるものですが、この話くらい書いていて、「そんなわけないだろ」と自分ツッコミを入れたものは無かったです。
それでも、こういう話を好きな人がいるんですね?
おかげで何を書いても、読んでくれる人は必ずいる。そんな自信がつきました。
みあ
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