支援図書館(ζ)

最近、妹の様子がちょっとおかしい(仮)3

2019/01/17 23:43:17
最終更新
サイズ
7.33KB
ページ数
1
閲覧数
9719
評価数
0/10
POINT
400
Rate
7.73

分類タグ

「んんぅ……」
「あ、紅葉起きた」

アプリの乗っ取り解除ボタンを押して少しして、紅葉が目を覚ました。
傍らには若葉がいる……っていうか、近い……って、この感じ……

「若葉……凄い口元がベトベトするんだけど……?」
「ふぇ!?き、気のせいじゃないですかね……?」
「口元どころか顎までベトベトにして、もう……ホントキス魔になっちゃったわね……」
「す、すいません……つい」

シュンとする若葉。もう、かわいいなあ、怒る気なくなっちゃう。
ぐい、若葉の顔を引き寄せ、強引にキスする。

「ん、れろ……ちゅぱ……」
「ふぁ、あむ、ちゅ……」
「「ぷはっ」」

「キスならいつでもしてあげるから、意識あるときに言って、ね?」
「紅葉ぃ……? ちゅ……」…………

キーンコーンカーンコーン……
「「げ」」
そのままちゅっちゅとイチャイチャキスして2人で幸せを噛み締めていると昼休み終了のチャイムが鳴ってしまった。

「どーしよ紅葉」
「もう1分も2分も変わんないし、ちゃんとバレないようにして行こう」

そう言ってとにかく太刀葉先輩を起こす。結構イチャイチャキスしてたのにまだ寝てるし……
と言っても品行方正だった太刀葉先輩にマゾ、レズ、雌イヌ、その他もろもろ、
私達に都合のいいようにカスタマイズしちゃったわけだし、なかなか起きないのも無理ないか。
あと凄い体力使ったし……とはいえこのまま寝ていられても困るので起きてもらうことにする。

「先輩、太刀葉先輩ってば、起きてくださーい!」
「ん、んぅぅ……ぁ……あなた、は……紅葉さんと、若葉さん……」
「そうですよぉ。先輩も頭の中整理したいだろうと思いますし放課後集まりましょうか。この部屋って空けられます?」
「……生徒会長権限で無理にでも開けるわ」
「ふふふっ、生徒会より私達を優先するその態度、最高ですよ。ホントにちゃんと人払い出来てたら、ご褒美あげますね」
「ふぁぁあぁっ……」
耳元でご褒美を呟いて、あたしは若葉と教室に戻る。
太刀葉先輩はその場に座り込んで立てそうになかったため、その場に置いていくことにした。


『ストック(1):美原 若葉
ストック(2):天道 太刀葉
ストック(3): 』
急いで教室に向かいながらスマホを確認すると画面にはそう表示されていた。
これで三人中二人で、残りストックはあと一人。
成り行き上仕方がなかったから後悔はしないけれど、最後の一人はもっと慎重に選ぶべきかもしれない。
そんなことを思っていたそのときだった。廊下を曲がろうとしたところで誰かと衝突してしまい、あたしは思わず尻餅をついてしまう。
「いたたっ、すいません急いでてっ」
「こちらこそ・・・すいません、でした」

聞き慣れた声が耳に入ってきて慌ててぶつかってしまった相手の顔を確認する。
予想外な相手にあっと声が漏れてしまう。
あたしがぶつかった相手は利明・・・中身が双葉の利明だった。

「紅葉、見えてるっ。見えてるよっ」
そう後ろからこっそりと若葉が教えてくれたので慌てて脚を閉じる。
ゆっくりと顔を利明のほうに向けると利明は…まるで獣のような目つきで軽く息を荒げてズボンを膨らませながらあたしの下半身を見つめていた。

あたしの視線に気づいたのか、ハッと顔を歪ませてクルリと背を向けて歩いていく利明。
きっと今の姿を若葉に見られたくなかったのだろう。
彼は背筋を縮こまらせて人混みに紛れるようにどこかへ行ってしまった。

「あの人が…本当の双葉ちゃん、なんだよね…?」
「うん…ちょっとびっくりしちゃった。目つきとか、前と全然違ったから…」

放課後に生徒会室でね、と声をかけて若葉と別れる。
双葉の肉体と精神の乖離は想像以上に深刻だったのかもしれない。
あまり時間はかけない方がいいのかな、とそんなことを思いながらあたしは自分の机に俯せになった。


*** *** *** *** ***

「…おい、起きろよ清彦」
体を揺さぶられ、ゆっくりと頭を上げる。
「…なんだ、利明か」
「なんだ、じゃねえよ。もう授業終わったぞ」
寝ぼけまなこで時計を見ると、たしかに授業の時間は過ぎている。
「終わったのか…じゃあ、もう少し寝るわ…」

「おいおい…これを見てもそんなこと言えるのか?」
利明が鞄からチラリと何かを出す。女性の写真…いや、本の表紙…ってこの写真、裸じゃないか。
「お前、またエロ本持ってきたのか?」
「しーっ!声がでかいぞ!」
「お前の方が大きいよ…」
何度も見つかって没収されてるのに、懲りずにこういうの持ってくるんだよな、こいつ。
昔歴史の授業で出てきた人物をもじった「エロ皇帝」の名を冠しているだけはある。

「いや、でもこいつはすごいぜ?昨日で10回は抜いちまったよ」
「あー、すごいすごい…って10回は多いな!?」
「ほら、俺ってば?絶倫だから?10回くらい朝飯前っていうか?晩飯前だったけど」
「…早くないか?」
「ばっか。帰ってから晩飯までで3回、食ってから10回だよ」
「増えてるじゃねーか…」

「この本もいいけどさ、双葉ちゃんもいいよなー」
「お前、中学生に欲情するとか…てか兄の前でよく言えるな」
「だって可愛いし、発展途上で先が楽しみじゃないですか、お義兄さん!」
「誰がお義兄さんだ。せめて懐かれてから言えよ」
「そんなこと言ってもさあ、最近の双葉ちゃんつれないじゃん?」
「あー、まあ年頃ってやつだからな…最近は俺や父さんにも冷たいぞ」
「そうか…じゃあ俺が一肌脱いで」「兄としてお断りします」
「冷たいこと言うなよー。じゃあお前んち行こうぜ」
「何がじゃあなんだ…まあ、帰るか」
「さっすが。話が分かるぜ、義兄さん」
「だから義兄さんじゃねえっての…」

*** *** *** *** ***


「…ねえ、起きなよ紅葉」
体を揺さぶられ、ゆっくりと頭を上げる。
「もう授業終わっちゃったよ?先生怒ってたよ?」
寝ぼけまなこで時計を見ると、たしかに授業の時間は過ぎている。
「…じゃあ、もう少し寝る…」
「ちょっと、部活あるんじゃないの?」
何言ってるんだ、俺は部活なんて……?あっ!?
がばっと起き上がると一瞬めまいがする。頭を軽く振るとあたしの髪が首筋を撫でる。

さっきのは夢…いや、あたしが清彦だったときの記憶だ。
あの時は、まさか体だけとはいえ本当に兄妹になるだなんて、夢にも思わなかった…今はまた他人だけど。
自称絶倫の、自他ともに認めるエロ皇帝。その体には今は妹の、双葉の魂が入れられている…
その心と体は…おそらく馴染んでいない。あるいは体に無理矢理心を引きずられているのではないだろうか。
さっき偶然会った時の獣のような目つきがそう思わせる。放っておいたら大変なことになるかもしれない…

「そうだった。早く行かないと」
「がんばってらー」
クラスメイトに見送られつつ、陸上部の友人に「用事があるから少し遅れる」という旨のメッセージを送る。
すぐに「オッケー。川原先生や部長に言っとくね」と返事が来る。
…今日は先生ちゃんと来るのかな…そんなことを考えながら、あたしは生徒会室に向かった。


生徒会室のやたらと高そうな木製のドアをゆっくりと開けると、
すでに太刀葉先輩がこれまた高そうな椅子に座ってあたしのことを待っていた。
しかしなぜか太刀葉先輩は呼吸を荒げて胸を上下させている。
何となくあたりを見渡して机の角っこを見て、ああなるほどと納得する。
くっしょりと湿っている机の角。おおかた一人エッチに耽っていたら時間に気づかずについにあたしが来てしまい、
急いで椅子に座ってごまかしたということだろう。もしかして授業を休んでまでオナニーしてたのかな?

「別に隠さないでもいいのに…ね、先輩?」
図星をつかれたのか先輩の肩がビクンと跳ね上がり顔が赤く染まっていく。
あのクール堅物な先輩がこんな顔をするなんて…やはり根はウブな女の子ということなんだろう。
もしかしたら、というかこれからどんどん『俺』色に染まっていくんだろうけれど。
「今までこんなこと一度も…あのときから私がなんだか私じゃないみたい。
…あなたが原因なんでしょう、私にいったい何をしたの?」
ああそれは、と口を開きかけたところで再びドアが開いた。勿論入ってきたのは若葉である。これで場は整ったわけだ。
言いかけた言葉を飲み込みあたしは太刀葉先輩に話を切り出した。

「若葉も来ましたから始めましょうか……お昼休みの続きを」
「そ、そんなことやるわけないでしょ!あの時は冷静さを欠いていたのよ」

太刀葉先輩は否定をするが、その視線は若葉に向かい僅かな期待の色を見せている。
先ほどまでおこなっていたオナニーで体が興奮しているのだろう。

「私を期待した目で見ながら言っても説得力がありませんよぉ先輩♪」

若葉の声に反応して太刀葉先輩の肩がピクリと跳ねる。
そこへあたしが畳み掛ける。

「原因……知りたいんでしょう?続きをしたら教え……いえ、わかりますよ」

あたし達の言葉に太刀葉先輩は戸惑いの表情を見せた。
投稿にあたり、改行の追加・削除及び一部を修正させていただきました。
たちは板の某きよひこ
0.400簡易評価
0. コメントなし