俺こと佐山香介と『おてんば爆乳娘』川城花蓮が不思議なカメラのせいで入れ替わったのは5月の話。
あれから数ヶ月経ったが、俺たちの入れ替わり生活は順調だった。
定期的にお互いの情報を交換していたし、同じクラスということもあって直接お互いの生活のフォローをしあえている。
そもそも川城は前から男としての生活に憧れていたらしいので、『佐山香介』として男の生活を演じるのは容易だったようだ。
入れ替わってからの川城は男の身体の力強さに酔っているのか、女の肉体から解き放たれた開放感からか、積極的にスポーツに打ち込んでいる。数ヶ月たった今では、運動部に勧誘されるほどの実力を手に入れている……元の身体に戻ったとき困るので断らせたが。
顔つきもどこか凛々しくなってきていて、女子から告白されることもしばしばあるらしい……元の『佐山香介』とは似ても似つかないが、周りから違和感を持たれていないので良しとしている。
俺の方といえば、言葉遣いさえ気をつければ、『川城花蓮』として違和感を覚えられることは全くなかった。
『おてんば爆乳娘』とあだ名されるほど、抜群のスタイルを持つ美少女女子高生の中に、まさか冴えない男子高校生が入っているとは誰も考えもしないのだ。普段は動きにくいだけだが、そういう意味ではこの巨大すぎる爆乳に感謝した方がいいかもしれない。
普段の生活としては、なんと俺は女子のおしゃれにハマりつつある。女同士の話題についていくために苦し紛れに手を出した趣味だったが、女子のファッションの種類の多さや装飾の細かさなど、興味をそそられる部分が多くあったのだ。最近はクラスの女友達とショッピングへ行くのを楽しく感じている。
制服のスカートの防御力の低さにも慣れてきたし、短ければ短いほど可愛いという気持ちもだんだんわかってきた。
そして俺たちにとって一番重要な部分、性的な部分についてのことだが……。
川城はレイプの日以来、俺に迫ってくることはなかった。
あの後すぐに『川城花蓮』の身体が生理を迎え、妊娠していないことが明らかになっても、川城はしつこいほど謝罪をし続けた。それほどあのことを深く反省しているということだろう。
そして当然だが、あれから川城は俺に手を出してくることはなかった。異性の身体になって数ヶ月経ったことで、川城が男の性欲に慣れてきたという部分もあるかもしれない。それでも俺は川城の義理堅さに感動している。
入れ替わった相手が川城でよかった。今ではそう思うくらいに。
★
あっという間に季節が過ぎ、夏になった。
夏休み前の休日、俺たちは川城家で勉強会を行うことにした。
俺たちの学力は同じくらいで、ふたりとも成績は上の方だったが、それでもお互いを助けることで成績は上がるはずだと思ったからだ。
そんな事を考えながら川城を待っていると、昼を過ぎた頃に川城家のインターホンのチャイムが鳴った。
玄関へ行くために慌てて立ち上がったせいで、胸がぼよんと揺れ、こけそうになる。この胸はいつまでたってもバランスが取りにくい。
川城家の上品なドアを開けると、その先に俺の待ち人『佐山香介』がいた。
「いらっしゃい、佐山くん」
「よう川城……って、な、なんだよその服」
「なんだよって……この服変かしら?」
「いや、別に変じゃねえけど、その、薄着すぎるっつうか……」
「そうかしら……?」
女言葉で返答しつつ、俺は自分が着ている服を思い出した。
胸の谷間が見えるほどボタンを開けたノースリーブのシャツ。シャツの丈が短いせいでヘソが丸見えになっている。その下には頼りないスカートがまとわりついているだけ。
確かに、どこかの企業のキャンペーンガールといっていいほどの露出度高めの服だった。
女子同士のショッピングではこういう服装が当たり前だったが、男友達を招く格好としては間違っている気がする……この相手は例外な気もするけど。
「た、確かにそうかもしれないわね。着替えてこようかしら」
「い、いや、別にそのままで構わねえよ……でも、川城、去年そんな服持ってなかったよな?」
「ううん。この服はこの間、ひなちゃんとこのちゃん……クラスの友達と一緒に水着を買いに行ってね。そのときについでに買ったのよ」
「み、水着を買ったぁ?」
「うん。夏が近づいてきたから、新調しようと思って」
「新調?」
『佐山香介』が俺の体をじろじろと舐め回すように見ている。そして、そのあと気まずそうに顔をそらした。
しかし、その瞳にともっていたギラギラしたものは、俺の中に戸惑いを生んだ。なんだこの感じ……。
おかしな雰囲気の膠着状態を壊すように後ろから女性の声がした。
「あら、その子が香介くん?」
「ま、ママ」
俺の後ろに川城のお母さんが立って、ニコニコしている。
美人大学生といっても不思議ではない若作りの母親は、娘よりも少し大きめの胸と、妊娠で膨らんだ腹をもっていた。
彼女が腹をさすりながら、玄関先に目を映すと、『佐山香介』が綺麗に頭を下げた。
「始めまして。佐山香介です」
「あら、初めまして。花蓮の母です」
「かわし……花蓮さんとは親しくさせていただいています」
久々の親子の対面だと言うのに、母側は全く気づいている様子がない。
きっと寂しがるだろうな……そう思って『佐山香介』を見ていたが、そんな様子はおくびにも出さなかった。その姿が少しだけ痛々しい。
「花蓮、ちょっと」
川城のお母さんに肩をゆすられ、体を回転させられる。
そのまま川城の母親が内緒話でもするかのように顔を近づけてきた。ふんわりと女性のいい匂いが漂ってきて、身体上は母娘だというのにドキドキしてしまう。
「ど、どうしたの、ママ?」
「……私が十六歳で一番上のお兄ちゃんを産んだのは知ってるわね?」
「え、う、うん」
「私のお母さん……あなたのおばあちゃんは十五で初めての子供を産んだわ」
「そ、それがどうしたの?」
「花蓮、頑張るのよ。お金のことはパパとママが助けるから、心配しなくていいわ」
「頑張るって、ママ、それって……」
「私もそうだけど、今から明日のお昼まで他の家族は帰らないからね。香介くんとうまくやるのよ」
「ちょ、ちょっと待っ……」
川城のお母さんは俺の静止を無視して『佐山香介』に向き直ると、そのまま頭を下げた。巨大すぎる胸がぼよぉんと下に向けて弾んでいる。
「香介くん、花蓮をよろしくお願いします」
「はい、任せてください。お義母さん」
戸惑う俺をよそに、かつての親子は示し合わせたようににっこり笑いあっている。
どうしたものかと腕を組むと、胸の下で組んだせいで寄せてあげるようになってしまい、シャツからおっぱいがこぼれそうになってしまった。
☆
川城のお母さんを予定より早く出かけさせ、俺たちは『かれんの部屋』で隣り合って勉強を開始した。
進捗は順調だった。川城の得意科目は英語で、俺の得意科目は数学だ。脳みそはお互いの身体のままなのに、得意科目が変わらないのはなんでだろう。
しばらく時間が経つと、隣からペンが机の上に置かれる音がした。
「ふう、ねえ、休憩しない?」
「やっと休憩か……」
「始めてから二時間も経ってるからそろそろね。佐山くんも疲れたでしょ?」
「うん……」
「じゃあ休憩しましょ」
川城は女口調でそういうと、そのまま机に上半身を寝かせた。
口調は身体に合わせたものに戻している。川城のお母さんが言ったとおり、今の川城家には俺と川城以外誰もいないのだ。誰かに聞かれることもないだろう。
女口調で話す『佐山香介』は気色悪いが、それでも安心感が勝つ。二人きりでいるとき以外に俺たちは本来の自分に戻ることができないのだから。
俺はペンを机に置き、正座を崩してぺたんと床に大きな尻をつけた。そして小さく腕を回す。この巨乳はすぐに肩がこる。今では川城が男の身体になって喜んでいた気持ちがよくわかる。
「そうだ。休憩がてら情報交換するか?」
「ええ、そうしましょ。とはいっても最近新しく起こったことはないから……」
「じゃあ、悩み相談だな。困ったこととかあるか?」
「悩み相談ね……うーん」
入れ替わってから俺と川城は定期的に情報交換会を開いている。
しかし、今話しているように最近は交換するべき情報がなくなってきていおり、情報交換というより、悩み相談会になってきている。
「最近よく女子に告白されるんだけど、その度に泣かせちゃって困ってるの。うまい振り方ってないかしら」
俺と入れ替わってからの川城はスポーツに打ち込んでいることや、顔つきがかっこよくなってきたことで、徐々に女子にもてるようになっていった。そして今では『女泣かせ』の佐山と呼ばれているくらいに女子から告白を受けるようになっている。
男なら憧れるあだ名だが、元に戻ったとき、俺は演じられるんだろうか……。
「女の子をうまく振るのって大変ね。泣きながらせめてキスだけして欲しいとか言われても困っちゃうわ」
「えっ、き、キスしたのか?」
「してないわ。キスなんてしたらますますそういうのって止められなくなるでしょ……って、こういうのって佐山くんにはわからないわよね。ごめんなさい」
川城が申し訳なさそうに謝っていたが、この言い方は『モテない男のお前にはわからないだろう』といわれているように聞こえて少しだけカチンときた。
しかし、すぐに冷静になった。俺が『佐山香介』だったとき女子に告白されることがなかったのは事実だし、今の俺は『おてんば爆乳娘』の『川城花蓮』だ。張り合ったところでどうしようもない。
「そういえば、佐山くんはまだ男の子に告白される?」
「ああ、まあ」
「どれくらい?」
「先週は五回……断るのってめんどくせえな」
俺が事実をつぶやくと、川城は目を丸くして俺を見つめていた。
川城がこの身体だったとき、週に何度告白されていたかわからないが、この反応はもっと多くなっているということだろう。
この体になってから俺から男たちへの評価はひどく下がっている。なぜなら、俺に告白してくる男子たちはほとんどがこの身体目当てだからだ……せめて告白のときくらいはおっぱいじゃなくて顔を見ろ。
「まあ仕方ないわね。佐山くんがあたしになってから、ますますエロ……女らしくなったって話題だもの」
「そんなこといわれてるのか……それはともかく、男子たちって、『付き合ってるのはわかってるんですけど』っていって告ってくるんだよな。本当に厄介だぜ」
「付き合ってるって……誰と?」
「川城……いや、佐山くんと」
「ああ、まだあの私たちが付き合ってるって噂話続いてたのね……」
川城が短髪をガリガリとかいてため息をつく。
俺と川城が入れ替わってからすぐ『佐山香介と川城花蓮は付き合っている』という噂が高校中に流れた。俺たち二人は何度も否定していたが、度々一緒に出かけることを目撃されていることもあり、ほとんど周知の事実とされている。
しかし、この付き合っているという噂話からの話の流れはなんだか見覚えがある気がするな。
――そのとき俺は二ヶ月前、5月のできごとを思い出した。
俺たちの身体が不思議なカメラのせいで入れ替わってから、すぐに『佐山香介と川城花蓮』は付き合っているという噂が流れ始めた。入れ替わったその日に一緒に帰った姿を周りに見られていたせいらしい。
そして、ある情報交換の日、川城はその事実を本当のことにしてしまえばいいと考え……俺をレイプしたのだ。
もちろん、あれは川城が異性の性欲に振り回されてしまったことと俺が無防備過ぎたことで起こった事件だとわかるが、それでも若い男が若い女をレイプしたことは事実だ。
あのあと川城が平謝りしたことでそのことは許したが……。
くしくも今、同じような状況になっている。二人以外誰もいない空間で、恋人同士の噂話が持ち上がっている。
レイプされた時のことを思い出すと、身体が震える。
男の力で好き放題蹂躙される恐怖。男に女はかなわないと魂に刻み込まれるような体験。そして初体験の破瓜の痛み。今でも鮮明に思い出すことができる。
「……ねえ、佐山くん」
川城の声が聞こえる。俺の身体に響く低い声だった。
その振動に反応して身体に熱が灯る。下腹部にうずくような感覚が生まれ、太ももをもぞもぞと動かしてしまう。
そして俺は自分が震えていることが、ただ恐怖に対してだけのものでないことに気がついた……これは期待なのか?
視線が相手の目と股間を行き来してしまう。川城の股間は机に隠れていてよく見えなかったが、あそこにはかつて俺についていたものがあるはずだ。二ヶ月前俺の中に入ってきて、めちゃくちゃにかき回したちんぽがあそこに……♡
「それよりも新しい水着ってどうしたの?」
「えっ?」
しかし、俺にかけられた言葉は普通の言葉だった。
「ほら、玄関で話したでしょ。でもあたしってそもそも水着もってたじゃない?」
普通の話を続けている川城に対して、俺はうずいている体を押さえ込みながらも返答する。ど、どうしよう……。
「も、もってるって言っても、去年のやつだろ。あれ、サイズが合わないんだよ。その……特に胸の部分が……はぁ……♡」
去年もっていた水着を試しに着てみたが、キツキツで胸や尻に食い込ませないと身に着けられなかった。乳首なんて浮き出ていて、性器の形もくっきりわかるようなドスケベ使用になってしまっていたのだ。それを見た川城の妹たちに写真をパシャパシャ取られまくったことは記憶に新しい。
とてもじゃないがあんな水着はプールでは着れない。あんなものを着ればプール場の男たちに輪姦されても文句は言えないだろう。
「そ、それで、あいちゃん……はぁ……♡ 友達に相談したら、みんなで服を買いに行こうってことになって……ふぅ……♡」
「ふうん……どんな水着選んだの?」
「み、み、見たいのか?」
「だって自分の体だし、気になるわよ。ね、どんな水着買ったの?」
川城が机に腕を乗せる。血管の浮いた太い腕だ。俺の体などすぐに押し倒せるくらいの……。
そのプレッシャーに負け、俺は後ろに手をついて後ずさろうとしたが、手の下に紙でもあったのか、俺は体を後ろに滑らせてしまった。
「きゃあっ」
「危ないっ……ふう、よかった」
とっさに動いた川城のおかげで俺は頭を床に叩き落とすことはなかった。
川城の太い腕が俺の後頭部を掴んでいる。そして、片方の腕は……。
「か、川城……あんっ……♡」
偶然、川城の片手は俺の巨乳に沈んでいた。甘い声が漏れてしまう。
その手から逃れようと身じろぎをすると、体の上で男のたくましい手が動いた。今日の俺はブラジャーをしていない。シャツ一枚挟んで生乳を揉まれている……。
「佐山くん……」
俺を押し倒したまま、川城がじっと俺を見つめている。不思議と自分の眼が潤んでいってしまう。
熱い男の目。荒い呼吸。ダメだ。このままじゃ、俺、またあの時みたいに犯される。
あのレイプされたときのことが思い浮かび、俺はギュッと目を閉じた……。
「ご、ごめんなさい!」
そういって川城は俺から離れていき、その場に立ち上がった。
「あ、あたしったら……もう、女の子の身体をあんな無遠慮に触るなんて」
「い、いや、いいって。本当は川城の身体なんだしさ……それに、転びそうなところを助けてくれてありがとう……」
礼をいいながら相手を見上げると、
「あ、それ……」
川城のズボンの股間がテントを張っていた。
屹立したそれは、俺に対して興奮しているという証だった。眼の前の女の身体に反応して子孫を残そうと勃起しているという紛れもない証拠だった。
「あ、あたしトイレ行ってくる!」
川城は叫んだあと部屋を飛び出し、前かがみになった情けない姿勢のままトイレへ向かっていった。
★
ぺたんと床に座りながら、俺は川城に感動していた。
あんなにちんぽを勃起させていたのに俺に手を出さなかった。つまり、俺のことを本当に大事に思ってくれているということだ。
胸からキュンキュンと高鳴る音が聞こえるようだった。この感情の正体はわからないが、俺にとって心地いいものであることは確かだった。
その反面、がっかりしている自分もいた。
こんな絶好のシチュエーションでこんな魅力的な女に手を出さないなんて、男としてどうなんだという理不尽な感情だ……まあ、川城は本来女子なんだからこんなことを押しつけるのは間違いのはずなんだけど。
それらはともかく、頑張った川城になにかご褒美を与えなくてはと思う。どうしようか……。
「そうだ。川城、水着が見たいっていってたな……」
俺はゆっくり立ち上がり、扉に姿見が張り付いたクローゼットの前へ歩いていった。
鏡に向かって向き直ると、俺はおもむろに身につけていた服を脱いでいく。
しゅるしゅると薄手のシャツとスカートが体から離れていく。今日はブラジャーをつけていない。そのまま真っ赤なショーツに手をあて、ゆっくりと大きな尻から外していく。ショーツのクロッチの部分には大きな染みができていた。
足から下着を外して、そのまま鏡に向き直ると、そこには何も身に着けていない『おてんば爆乳娘』の『川城花蓮』が立っていた。
「綺麗……」
入れ替わってから数ヶ月たち、何度も風呂場で裸を見た今でもこう思う。
この肉体は美しい。
とはいっても、神秘的な美しさではなく、性的なアピールの激しい下品な美しさだ。
さらさらの髪の下にある大きな瞳や白い肌。童顔だというのに、どこか蠱惑的な雰囲気を漂わせている整った顔。
爆発でもしたかのように大きく張り出した形のいい胸。きゅっとしまったくびれ。触られるためだけに膨らんだような大きな尻。まっ平らな股間の下にあるピンク色の性器。
確かにこの体はエロい。
そう自覚すると、股間の部分からたらりと愛の雫が垂れてきた……あ、まずい。
近くのティッシュを手に取り、股間から垂れてきた液体を拭く。男の考えで見つめたことで、女の身体が反応したのだろう。
股間を拭きながら思う。もしちんぽがここついていたら、俺はこの身体に対して勃起していたんだろうか。そもそも、ちんぽがあったときの感覚とはどういうものだっただろう。
いや、十二月にはもとに戻るんだ。そんなことを今考えたところでどうしようもない。
「よし……水着着るか……」
俺はクローゼットの奥に手を伸ばし、ショッピングモールの袋を取り出した。
そして、中から縞模様の薄い生地のビキニを取り出し、しゅるしゅると身に着けていく。店員に無料でつけられた花の髪飾りを髪につけ、鏡に向き合う。
そこには縞模様の扇情的なビキニに身を包んだ絶世の美女が立っていた。
悩殺、なんて古い表現だが、男がこの姿を見たら悩殺されて獣になってしまうかもしれない。ビキニをずらし、そこにあるものを刺激したいという欲求にとらわれるかもしれない。
「や、やっぱやめとこうかな」
少し自分を取り戻し、怖気づきそうになったが、その時、後ろから足音が聞こえた。
トイレから帰ってくる男の重い足音だ。
ここは男らしく覚悟を決めよう。俺は机の前に女の子座りで座った……ビキニに身を包んで男らしいもなにもないか。
★
「おまたせ、佐山……くん……」
「お、おかえり、川城」
トイレでなにかしてきたのか、どこかすっきりした顔で部屋に入ってきた川城は、俺の姿を見て刺さるような視線で俺の身体を見回した。
「ど、どうしたのよ、その格好?」
「こ、これか? この前買った水着」
「え、いや、だから、なんでそんな格好してるのよ?」
川城は目に見えるようにうろたえている。視線をそらしたり、こっちに向けたりしてどうにかこの状況を解決しようとしているようだ。その一生懸命さが可愛いと感じてしまう。
俺は立ち上がり、胸の下に手を組み、胸を持ち上げてみた。圧倒的なボリュームを誇る爆乳は俺の細腕に乗っかり、深すぎる谷間を形成した。
「さっき、どんな水着買ったのっていってたじゃないか」
「そ、そりゃ、いったけど」
「だから気になってると思ってさ……なあ、感想教えてくれよ?」
俺が胸から手をどけると、胸がぼよぉんと跳ねた。うっすらと乳首の形がわかるような薄い生地は、そのままふるふると揺れ続ける。
川城はごくりと生唾をのむと、そのまま顔をうつむかせた。
初心な男子小学生のようなリアクションがかわいい。すっかり俺は川城をからかうことが楽しくなっていた。
俺はそのまま軽い足取りで川城に近づき、相手に身体をすりつけた。
「なあ、黙ってないで、なにかいえよな……」
相手の太い腕を胸ではさみこみ、上下させる。疑似パイズリだ。男ならたまらないだろう。
川城の顔を見上げると、『佐山香介』のものだった額には脂汗が滲んでいる。可愛いと思ってたが、こうやってみると、やっぱりかっこよくなってるんだな……って、なんか顔が近づいてきてないか?
「んむむっ!?」
一瞬、何が起きたかわからなかった。自分のぷるぷるの唇になにか硬いものが当てられた。その硬いものの間からぬめりけのあるものが俺の口の中に潜入してきた。
キスされている。それに気づいた頃には俺の肩は相手にがっしり捕まれ、逃げられなくなっていた。
「んんっ……♡ ふぁぁ……♡」
犬のような荒い呼吸を上げながら、俺の口の中を蹂躙してくる川城の舌。逃げようと思っても男の力に女がかなうわけがない。腹の部分に勃起した股間を押し付けられている。
俺はそのまま相手のなすがままに蹂躙されていく。
「ちゅぱ……♡ れろ……♡」
ざらついた舌が俺の口の中を暴れる。舌同士はもちろん歯茎の裏や表、口の奥までも相手の舌が動き回っている。
「ちゅぅぅ♡ ふぁぁぁぁ♡」
まるで味を覚えさせられるような舌の動きに俺の頭はじんじんと痺れ……じゅんと身体の奥を熱くさせた。
しばらくすると、口が離れた。名残惜しさを感じつつ、俺はかろうじて相手の名前を呼ぶ。
「はぁ……はぁ……川城……♡ んっ♡」
「我慢していたのに、せっかく我慢していたのに……」
川城はぶつぶつと呟きながらまた顔をうつむかせ……そして俺の胸に手を伸ばした。
「あはぁんっ♡」
水着の上から揉みしだかれる。その荒々しい動きに俺の女体はびくんと跳ねてしまう。
「なんか今日おかしいと思ったのよ。薄着してたり、水着になってたり……最初からこうされたかったんでしょ?」
「ち、ちがうぅ♡ ただ、水着を見てほしくってぇ♡」
川城は水着の下に手を入れ、俺の生乳に手を這わせた。そして、勝ち誇った顔を浮かべると、俺の乳首をぴんと弾いた。
「はぁぁぁんっ♡♡」
俺に電撃のような快楽が走る。女の快楽が身体を痺れさせる。気持ちがいい♡
身体の中の熱が下腹部に向かっていき、漏れ出す。快楽のおもらしが俺のボトムスを濡らしていく。
「乳首を立たせて、身体もできあがってるのに……ただ水着を見てほしかった?」
「これはち、違うぅ♡」
「へぇ、まだいうのね……でも」
「あ、ら、らめっ、そこはぁ♡ ひぃん♡」
俺の快感具合をすべて把握しているのか、川城は俺のおなかに手を這わせ、そのままボトムスの中に手を突っ込んだ。
そして、その中の女性器と硬い突起を手で触れると、それをしごき始めた。
「あぁぁぁあぁんっ♡ にゃぁぁっ♡」
「こんなに水着を濡らしてクリトリスも固くしちゃってるくせに、なにが違うのよ」
「や、やめっ、イッちゃう♡ イッちゃ……はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ♡♡♡」
巨大な快楽の雷が落ち、俺の中を暴れまわった。視線が定まらず、よだれがこぼれていく。白い肌のあらゆる部分から汗がこぼれおちていく……♡
俺は絶頂したのだ。耳元で川城に言葉攻めをされ、指でクリトリスをしごかれ、女としてイッてしまった。
身体から力が抜けていき、そのまま床に落ちていきそうになる。しかし、川城はそれを許さなかった。
崩れ落ちていく俺の太ももに手を当てると、そのまま俺をお姫様だっこした……俺の太ももに指が食い込んでるぅ♡
「私だってずっと我慢してたのに、あんな挑発されちゃ、もう我慢できないわ」
「わ、わざとじゃない……ひいん……♡」
「もう言い訳は聞かないわ。覚悟しなさい」
絶頂したばかりで体中敏感になっている俺は、川城の指示通り黙り込むことにした。しかし、胸の高鳴りは抑えられず、水着からはみ出た薄ピンク色の乳首はぷるぷるといつまでも揺れていた。
朦朧とした意識で見上げると、そこには俺をお姫様だっこする一人の男が立っているだけだった。かつての『おてんば爆乳娘』はどこにいったのだろう。そんなことを考えていると、川城は俺をベッドの上に乱暴に寝転がせた。
「きゃぅん!」
カチャカチャと音が聞こえてそちらを見ると、川城は自分の服を脱いでいるところだった。六つに割れた浅黒い腹筋がみえる。俺はその肉体美に少し見とれてしまった。
川城がボクサートランクスを下ろすと、赤黒いちんぽが姿を表した。それはそのまま俺の方へ向き、照準を犯すべき雌……俺へと合わせた。
ビキビキに血管を立てたちんぽを揺らしながら、川城がベッドの上に上がってくる。
「佐山くん、四つん這いになりなさい」
「よ、四つん這いなんて……そんなぁ♡」
「早く!」
「わ、わかった♡ わかったから怒鳴らないで……♡」
川城が大声を出すとなぜか逆らえなくなった。服従するべき相手だと体が知っているのか、俺の身体は自然と動いていった。
俺は腕をベッドの上につけ、尻を相手に向けて大きく上げた。屈辱的な格好なはずなのに、相手の指示を聞いたということが俺の中に深い満足感を与えた。
「それでいいのよ。それで……」
「はぅぅぅ♡」
川城は後ろに座り込むと、俺の大きな尻を撫で始めた。愛おしそうに撫でられ、俺の中にぞわぞわした快楽が登ってくる……焦らされてる♡
そして、片手は尻をなでたまま、もう片手で俺のボトムスに手をかけ、ずりおろしていった。
「ら、乱暴に下げないでぇ♡ これ、新しい水着なんだよぉ♡」
「新しい水着のことを気にするなんて、すっかり女の子になりきってるわね。佐山くん……また本当の女の子にしてあげるわ」
「そ、そんなぁ…………♡」
「ほら、お待ちかねのおちんちんよ。非処女さん」
「いやぁぁぁあ♡」
ボトムスが片足を通され、俺の女性器が相手に向けて露にされた。
ひくひくと動くぷっくり膨らんだ女性器が後ろの男にまじまじと見られている……恥ずかしすぎる♡
俺の恥ずかしさをよそに、川城が動く気配がする。そして、ぴとりと俺の性器に硬いもの……肉棒が当てられた。
俺の女性器はぬるぬるで、少し動くだけで俺の膣に入ってしまうだろう。もうダメだ。犯されてしまう……♡
しかし、そのままちんぽは動きを止めた。
「そんなに嫌がるんだったら、選ばせてあげるわ」
「え、選ぶぅ?」
「そうよ。選ばせてあげる……佐山くん、いれてほしい? いれてほしくない?」
「え……?」
「だって、さっきまでの言い方だとおちんちんをいれてほしくないはずよね? 言うとおりにしてあげるわ。『入れてほしくない』って言えば、入れないであげる。私はさっきみたいにトイレで抜いてこればいいだけだからね」
「ひょ、それはぁ……♡」
もちろん選ぶべきは『いれてほしくない』ということがわかっている。今はこんなことになっているが、俺は本来男だ。男なのに女の快楽に負けていいはずがない。
それに、もし俺がここで相手にちんぽをねだったらどうなるか。男子高校生の性欲なんてとどまることを知らない。おそらく俺はいつでも犯される肉便器や性奴隷になってしまうだろう。そんなことはできない。
「ほら、どうするの?」
「はぁぁ……♡」
つんつんと性器の周りをつつかれる。それだけで俺の身体は悶えてしまう。
俺の柔らかい膣肉が硬いペニスに突かれ形を変え、早くいれられなさいよと叫んでいる。
そのことが、俺に今の性を自覚させた。今の俺は女で男に犯されるだけの存在なのだ。そもそも生活の主導権なんて必要ないだろう。男がいればそれだけで……。
「い……」
「い?」
「……い、いれて欲しいですっ♡ お、俺のいやらしいおまんこに……たくましいおちんぽをいれて欲しいですっ♡」
言ってしまった。屈服してしまった。もう取り返しの付かない。こうなっては川城の……後ろの男に従うしかない。
しかし、不思議と後悔はなかった。
水着に着替えたのだって、出迎える時に薄着になったのだって、今考えてみれば相手に屈服したいという思いの現れだったのかも……♡
「よく言えました。じゃあ川城くん。セックスするわよ」
「お願い♡ きてぇ……♡」
デカケツと呼ばれた安産型のお尻をふりふりと振る。
いれられない時間に耐えられない。しかしこの焦らしがたまらないという気持ちもある。
俺の腰にたくましい腕がそえられ、俺の膣にペニスが挿入されてきた。
「はあぁん……♡」
カリが膣壁をごりごりと刺激してくる。声が漏れてしまう。初体験のときと違い、痛みはまったくない。気持ちよさだけが身体に広がってくる♡
「ああー、久々のセックスは最高。手コキやオナホとは段違いね」
「あぁ……川城、ゆっくりぃ……はぁん♡」
「無理よ。今まで我慢してきたんだから、強引にやらせなさい」
「そ、そんなぁ♡ ああんっ♡」
ちんぽの進み方が早くなった。進行が早くなればなるほど、俺の中に生み出す快楽が大きすぎて、なにも話せなくなってしまう。馬鹿になっちゃう♡
「あぁぁん♡ はぁぁぁっ♡」
「私のちんぽをきゅうきゅう締め付けてきてる。最高よ、佐山くん」
「ら、らめっ♡ も、もっとゆっくりぃ♡」
「だから、無理だっていってるで、しょ!」
「あはぁぁぁぁあぁんっ♡♡♡」
俺の抗議を無視した川城は、一気にペニスを突き入れた。
子宮まで達したペニスが、身体の中にズンと深い音が響かせる。そして、一瞬遅れて凄まじいまでの快感が俺の脳を登ってきた。
「ふぁあああああんっ♡ はぁっ♡ アァァァアァンッ♡」
処理しきれない快楽が俺の身体を痺れさせる。この身体はこのちんぽ専用になんだと俺自身に自覚させるように膣が勝手に収縮し、相手のちんぽを包み込む。
膣からプシュッと愛液のしずくが垂れ落ち、足がガクガクと震えてしまう。男のちんぽにイかされた……♡
「そろそろ動くわよ」
「い、今イッた♡ イッたからっ♡ ちょ、ちょっと休ませて♡」
「だめよ。こっちは全然満足してないもの。それに私を挑発した責任を果たしてもらわなきゃ」
「そんなぁ♡ あ、またイクッ♡ あはぁぁぁっ♡ ゆ、許してぇっ♡」
川城のグラインドが始まった。ずんずんと突き立てられるたびに俺の身体は震え、部屋中に響き渡る甘い声が飛び出した。
「あはぁぁんっ♡」
相手が動くたびに胸に備わった爆乳がぶるんぶると震える。乳首が刺激され、どこからも快楽が襲ってきた。今や空気の流れも気持ちがいい。
「い、イってる♡ イってる最中だからぁ♡ らめっ♡ らめぇぇっ♡」
グラインドしつつも川城はちんぽを俺の中でぐりんぐりんと回して刺激をしていった。
まるでちんぽを馴染ませようとするその動きに俺の身体はいちいち悶えてしまう。
「はぁぁぁっ♡ アハァァァン♡ ああああんっ♡」
快楽のせいで脳はとろけていて、確かな判断力は失われていた。ああ、それにしても気持ちいい♡
「か、かわしろぉ♡ こ、これ以上されたらっ♡ こ、壊れちゃうよぉ♡」
後ろの男に声を掛けると、彼はにやりといやらしい笑いを浮かべていた。脂ぎったその顔にはいいことを思いついたと書かれているようだった。
「川城? なにいってんだ? お前が川城だろ」
「何言ってぇ……あぅぅぅんっ♡」
「証拠を見せてやるよっ」
「ハァァァァァンッ♡」
そのまま両手を引き上げられ、相手の身体に寄せられる。そのせいで再びペニスが奥深くに突き刺さった。パアンッと肉同士がぶつかる深い音が響く。
俺は脳を揺らされ、相手にされるがままに膝の上に載せられた。そのまま男は身体を横方向に捻った。
ふらふらしつつ顔をあげると、前にクローゼットの姿見があった。
そこにはセックス中の『佐山香介』と『川城花蓮』が映っていた
「おい、この姿見てみろよ。俺に犯されてるデカパイデカケツのだらしない女が映ってるだろ……あれがお前だ。お前は『おてんば爆乳娘』、川城花蓮だろ?」
鏡の中の『川城花蓮』は口元に笑みを浮かべ、潤んだ瞳で俺を見つめていた。発情しきったメスの顔だった。
その『おてんば爆乳娘』の股間には『佐山香介』のたくましいペニスが刺さっている。かつて俺も憧れていた学校中のアイドルが男とセックスしている……。
あれが、俺……いや、違う。俺は佐山香介だ。不思議なカメラで川城と入れ替わっだけで……。
「ち、違う……♡ ひぁぁ♡ お、俺はさ、佐山……♡」
「顔をそらすな。花蓮っ」
「にゃぁぁぁぁんっ♡♡♡」
鏡から顔をそらそうとすると、男の太い手が俺の両胸をもみしだいた。胸から届く快感に悶えながら再び鏡を見つめる。どうしても俺はこの男の声には逆らえないようだ。
俺が鏡を見つめると、鏡の中の『川城花蓮』も潤んだ瞳で俺を見つめた。
俺が甘い声を発すると、鏡の中の『川城花蓮』も小さな口を開いて艶やかな息を漏らした。
俺が快楽欲しさに腰を落とすと、鏡の中の『川城花蓮』もちんぽを求めて腰を落とした。
あの鏡の中の『川城花蓮』は間違いなく俺だった。
「川城花蓮はお前で、佐山香介は俺だ。お前は俺の上でよがってる淫乱女なんだよ」
「淫乱……♡俺は……淫乱女……♡」
「俺は、じゃないだろ。あたしは、だろ」
「お、俺は……あたしはぁ……あぁぁぁんっ♡」
「なあ、花蓮、俺の女になれ。そうすれば一生抱いてやるぜ」
耳元に男……佐山くんが息を吹きかけてくる。俺……あたしの頭はどうにかなってしまいそう♡
『俺の女になれ』という今の言葉は佐山くんからあたしへのプロポーズにもとれる気がする。でも、彼は本当にそういう気持ちでいったのだろうか。えっちしているときのただの冗談じゃないだろうか。
あたしの疑う目が気になったのか。佐山くんは爽やかに笑った。かっこいい……♡
「あの噂を本当にしようぜってこと……さっ!」
「あはぁぁぁぁんっ♡♡♡」
佐山くんが腰を大きく動かすと、あたしの小さな体は上下して、思いっきりペニスに串刺しにされた。その瞬間、沸騰するような快楽が体中を襲い、またイッちゃった……♡
「あぁぁ……♡ な、なります♡ あたし、佐山くんの、あなたの女になります♡」
「よくいえたな。花蓮」
佐山くんの手があたしの頭をぽんぽん撫でてくる。セックスとは違う意味で気持ちいい。思わぬ優しい動作に胸がキュンとしてしちゃう。
「おら、キスしてやるから舌出せ」
「はい……♡」
どちらともなく唇をくっつけ、舌を絡めあった。ペチャペチャという粘りついた音が部屋に響く。まるで小鳥がついばむようなディープキスにあたしは気持ちよさと心地よさを感じていた。
「花蓮、幸せか?」
「はい。あなたの女になれて幸せです……♡」
「俺の嫁になるか?」
「はい。お嫁さんになって、たくさんあなたの赤ちゃん産みます……♡」
あたしはこれから佐山くんのお嫁さんになるんだ。高校生同士の結婚だから、周りは反対するだろうけど、ママは応援してくれるっていってたし……ただ、なにかひっかかってるような……?
いや、ダメよ花蓮。佐山くんを疑うなんて。悪い女だわ……でも、悪女として正義の味方にお仕置きプレイってのも悪くないかも……♡
「……ふふっ」
「ど、どうしたんですかぁ。佐山く、旦那様ぁ……♡」
あたしの旦那さまがクスクスと笑っている。その顔はかっこよかったけど……なにかいたずらっ子のような、おてんば娘のような……?
「いや、ちょっとからかったらこんなに女の世界に入っちゃうなんて、佐山くんが可愛くって可愛くって」
「からかったってぇ……?」
からかった? 女の世界? 佐山くん? あたしの中に疑問符が浮かび……そして、認識が戻ってくる。
そうだ。俺は川城花蓮じゃない。佐山香介だ。今は女だが、本当は男だ。
なにが『お嫁さんになって赤ちゃんをたくさん産みます♡』だ。
恥ずかしさと少々の怒りから、俺は後ろの諸悪の根源に対して拳を叩きつけた。もちろん、下半身はつながったままだが。
「か、川城♡ ひどいじゃないかぁ♡」
「ごめんごめん。でもそのお詫びに佐山くんをもっとイカせてあげるから」
俺の叩きつけは全くダメージになっていないらしく、ポコポコと殴るだけになってしまう。
「そ、そんなのお詫びになってな……んうううっ♡」
無理矢理腰を引き落とされ、ずん、と川城のちんぽがこの体の性感スポットを思いっきり叩きつける。声もあげられない快感が広がる。
「こ、この、『女泣かせ』め……ぁぁぁあぁぁっ♡」
俺の言い返しに『女泣かせ』の『佐山香介』はにやりと笑って、身体を小刻みに揺らし始めた。
そろそろイクということかもしれない。
「そろそろあたしも限界だわ。『おてんば爆乳娘』」
「はぁっ♡ あ♡ あ♡」
「しっかり中で受け止めなさい」
「あっ♡ あっ♡ あああああっ♡」
「ラストスパートいくわよ」
川城はそういうと、鏡に身体を向けたまま、俺の身体を上下させた。
ぶるんぶるんとダイナミックに動く爆乳や太ももが男によって動かされている。鏡の中の『川城花蓮』の姿はエロティックの極みと形容してもいいものだった。
そして、そのうち俺の中でペニスが大きくブルリと震え、その中の液体をどくどくと陰茎をのぼらせていき……俺の中に大量の精液を放出した。
「ううっ!」
「ああぁぁぁぁんっ♡♡♡」
俺の膣壁に精液が叩きつけられる。あまりにも量が多いせいか、身体が飲み込みきれずにペニスと膣の間から白い液体がベッドへ漏れていく。
子種を含んだ雄の液体が、雌である俺の身体を孕ませようと侵食してくる。その感覚が心地いい……♡
俺は身体から完全に力を抜いて後ろの相手に身体をもたれさせた。川城は軽々と俺を支えている。今の川城からすればこの体なんて重くないんだろう。
鏡の中の『川城花蓮』の膣からは精液が漏れ出してきていた。その顔は幸せそうに緩みきっていて、確かに淫乱女の名前がふさわしいものだった。
俺は身体をよじり、横に倒れた。ずるずると股間からちんぽが抜けていく。精液がコポコポとこぼれていった。
とりあえず、今日はこれで終わりかな……そう考えていると、川城が俺の顔を挟むように腕をベッドに立てた。なんだ?
「さて、今度は正常位でいくわよ?」
「えぇっ?」
「私を挑発したバツはまだまだ精算できてないわ。今日はとことんヤるからね」
「そ、そんな……す、少し待って……♡」
弱々しい力で抵抗する俺に対して、川城はゆっくりとのしかかってきて……♡
その後、俺たちは夕食の時間まで勉強をほったらかしてずっとセックスをすることになった。
流石に妊娠が怖いので、三回目からコンドームをするようになったが。
★
夏休み一周目、俺たちはクラスの男女数人で近所のレジャープール施設にいくことになった。
そのメンバーの中にはもちろん俺こと『川城花蓮』と『佐山香介』もいる。
プール場に入った当初は刺さるような男たちの視線を感じたが、今はあまり感じなくなっていた。浮き輪をもって水の中に入っているからだろうか。
「やっぱり水着はプールで着るもんだよなあ」
「ん? 花蓮なにかいった?」
「う、ううん。男子たちがはしゃいでるなあっていったのよ」
俺は他の女友達に首を振り、自分の言葉をごまかした。
首を振ると、その反動で縞模様のビキニに包まれた爆乳がブルンブルンと震えた。いかん。これはまたネタにされる。
顔をあげると、案の定、あいちゃん、ひなちゃん、このちゃんの全員が俺のおっぱいを見つめていた。
「いやー、やっぱりすごいね。花蓮ちゃん」
「な、なにがよ」
「佐山が羨ましいわ」
「だからなにが。って、佐山くんは関係ないわよ」
「またまた……さっきからプールに漂うふりして彼氏の方チラチラ見てたくせにぃ」
「そ、それは……佐山くんの泳ぎがすごいから目をやっちゃっただけで……」
「別に彼氏って言っても佐山とはいっていませんけど?」
「ぐ……うう……」
付き合っていないとごまかそうとしても中々うまくいかない。どうすればいいんだ。
そう考えていると、女子たちは俺の言葉につられたのか男子たちの方へ目を移した。
男子たち『佐山香介』を含んだ数人は競泳プールへ行ってレースをしていた。ほとんどのトップは『佐山香介』だ……バタフライなんてできたんだな、あの身体。
「うわ、佐山すごいね。誰も勝てないじゃん……今度、知り合いの彼氏の水泳部の主将でもつれてこようかな」
「知り合いってあの巨乳グラドルの子?」
「そうそう。んで、その彼氏が体育大学の推薦も受けるくらいすごいらしくって……って、佐山、どうしたの?」
女友達の言葉につられて顔を動かすと、プールサイドに『佐山香介』が仁王立ちしていた。六つに割れた腹筋を輝かせて、凛々しい表情で俺だけを見つめている。
「川城、さっきの競争見てたか?」
「え、ええ、見てたわ……」
「じゃあ、ちょっとこっち来てくれ」
「わ、わかったわ」
俺が浮き輪を持ちながら相手に近づいていくと、『佐山香介』はまるで童話の中の王子様のように俺に手を差し伸べた。
俺がおずおずと手を重ねると、『佐山香介』は俺の身体をゆっくりと水から引き上げた。そして、俺の手を引いたまま歩き始めた。
後ろからきゃーと囃し立てる女子たちの声が聞こえた。
俺たちが人の気配がない場所にたどり着くと、川城は足を止めた。
なんで川城はこんなところに連れてきたんだ?
「佐山くん……こんなところに連れてきてどうするつもり?」
「約束してたろ。レースで勝つたびその水着でパイズリしてくれるって」
「え? そんな約束してな……んっ」
川城が俺をがばりと抱きしめる。相手に包み込まれるこの体制に、こそばゆさと気持ちよさを覚えてしまう。
「ぜってーした」
「……いつ?」
「この間のセックス中。イキまくってから川城には聞こえなかったかもしれねえけど」
「それって、私が聞こえないと思って約束させたんでしょ。故意犯じゃな……」
俺が抗議すると、その途中で川城が俺の手を自分の股間に移動させた。
男物の水泳パンツの下で、もっこりと硬いものが盛り上がっている。サポーターをつけていてもわかるこの感覚は勃起したちんぽだ。
俺がさすっていると、川城のちんぽはびくびくと震えていた。その動きが少しだけかわいらしくて笑ってしまう。
「もう、男の子ってこんなところでも勃っちゃうの?」
「川城の水着がエロすぎだからしょうがねえだろ」
「うふふ……♡」
「それに、ここなら誰もいないから口調も戻せるしな」
川城はそうつぶやくと、自分のパンツをおろし、ボルンッとちんぽが飛び出させた。相変わらずたくましいちんぽが俺へ狙いをつけている。
「それじゃあ、お願い。佐山くん」
「はいはい……わかったよ。川城。そこに寝そべってくれ」
お互いの本来の名前を呼びながら、お互いとは違う役割をこなす。倒錯的だ。
川城が仰向けで寝そべると、俺はその身体の上に寝そべった。
俺の眼の前にちんぽがある。雄臭い匂いが鼻に届き、頭をしびれさせる。
この反り返ったちんぽがいつも俺の中で暴れまわってるんだよな……そう考えると体の奥が熱くなってくる。
「な、なあ、なんか、このちんぽ、だんだん成長してないか?」
「そうかもしれないわね。この身体って成長期みたいだし……でもそんなこというなら、佐山くんのおっぱいだって大きくなってるじゃない。今どれくらいのサイズなの?」
「93センチ……Gカップ……」
「Gカップってすごいわね。流石『おてんば爆乳娘』……どれどれ」
「あぁんっ♡揉まないでぇ♡」
「しょうがないじゃない。こんな爆乳を目の前にしてもまない男はいないわよ」
ビキニをずらして揉みしだいてくる相手に対して、『お前は女だろ』といおうとしたが、何故かいえなかった。
それは、この眼の前の川城を女といっていいんだろうかと思ったからだ。
川城は口調こそ女だが、それ以外はすでに男になりきってるように見える。
逆に考えると、俺はどうなんだろう。
女友達とビキニを買いに行き、自室で女としてのセックスをする。そして今ではプールの裏側に入ってパイズリをしている。
こんな調子で元の身体に戻ったとき、お互いの生活に戻れるんだろうか……。
「佐山くん、どうしたの?」
「え? いや……」
「大丈夫?」
川城が心配そうに俺を見つめている。その顔はとてもかっこよくて、もし戻れなかったとしても、目の前の男がいれば大丈夫なんだろうなと思わせるような表情だった。
「ああ、大丈夫だ。じゃあ始めるぞ」
俺はパイズリをするべく、川城のペニスを『おてんば爆乳娘』の爆乳で挟み込んだ。
続く
もしかしてだけどエピローグのグラドルと主将って…
このまま行くのか、何か一山あるのか、続きを楽しみにしています。