スライムにされて以来、雨は苦手だ。
昨今の環境汚染で酸性雨が増えてきたのか、雨に濡れると身体が溶けちまう。
雨宿りしなくちゃな……。
そう考えていた所で屋根付きのバス停を見つけた。
ぬめる身体で這うように転がりバス停に上がり込んだ。
(畜生……何で俺がこんな目に合わなきゃならねぇんだ!)
発声器官さえ失った身体では愚痴さえ漏らすことがなかった。
秋雨はしとしとと降り続け、止む気配を見せなかった。
四肢の付いたゲル状のボールの様になってしまった身体をベンチの下に押し込んで少しでも雨を避ける。
1月前、夏のある夜。
昼子神社の祭日で、俺は祟り神の封印を解いてしまった。
彼の神は夜だというのに真昼の太陽の様に輝き、その光に焼かれた俺の身体はズルズルと溶けていき、気が付いたらこの姿になっていた。
神社にあった池を見れば、そこに映る俺の姿は化け物としか言えない物だった。
半透明に溶けた皮膚、ブヨブヨと柔らかい身体。顔は眼らしきものは残っていたが殆どのっぺらぼうのような物だった。
“我を楽しませよ”
アイツはそう言って空に昇って行った。
どうしろというのだ。
こんな体では街にある自分の家に帰る事は出来ない。
もし人に見つかったら間違いなく“駆除”の対象だろう。
仕方なく神社の軒下で一夜明かした。
そして翌朝、起きたら身体はさらに溶けて2本の足で立つ事すら出来なかった。
しかしその事さえ気にならない程ひどく腹が減っていた。
買い物には行けない。
それならお供え物を盗んで喰うしかないと思ったが、そこでのっぺらぼうのように口が無い事を思い出した。
ひとまず軒下から這い出て見れば、空はどんよりと曇っていた。
祭りの出店は既に片付けられた後で残飯一つ残っていなかった。
とにかく腹が減った。
人に見つからない様に這い続けると何かを見つけた。
蛙だ。
しかしその時俺は、何故だかひどく美味そうに思えた。
次の瞬間俺は蛙に襲い掛かっていた。
俺のゲル状の身体が蛙を覆い、ジュウジュウと溶かしていった。
「美味ェ゛!美味ェエ゛!」
こんな旨いものは喰った事が無いと思うほど美味かった。
夢中で喰らい、腹も落ち着いた所で俺の身体に変化が起こった。
退化した足に俄かに筋肉が付き、手には水かきが生えてきた。
顔に亀裂が入ったかと思えばそこに大きな口が出来、長い舌が生成された。
間違いない。
自分の身体の変化だからわかった。
どうやら蛙に近づいた様だ。
大きさはさほど変わっていない。
人から見たら妖怪のような大蛙にみえるだろう。
(まさか、喰ったモノを取り込めるのか?)
そう思った俺は次の獲物を探していた。
あいにく周囲に生き物はいなかったので獲物を求めて移動しようとしたが…
体が重すぎて自在に動けない。
カエルの体の構造上、このサイズでは筋力が不足しているのか?
もっと小さくならなければ!
身体を圧縮するイメージをするとギュッと体が縮まり、10秒ほどで捕食したカエルと全く同じサイズになることができた。
だがこの体では街の方に行くには不向きだし時間も掛かる。
ならば移動に適した体を得るまでだ。
野犬か猫あたりを取り込めば市街まで歩いていけるかもしれない。
だが今はその時じゃない。
この体のことを識らなければ!
それにもっともっといっぱい喰いたい!
山の中には生き物がたくさん住んでいるだろう。
ふらふらと幽鬼の様に、そしてのそのそとウシガエルの様に、俺は野山に入って行った。
そして二週間くらい山で過ごし、俺は自分の身体について理解した。
・まず、直近で食った生物の姿を取り込めるという事。
生物とはいっても動物に限るようで木の実を喰っても変化はなかった。
・次に、新しい物を喰うと、以前喰った者は生きたまま排泄される様だ。
蛙はぴんぴんした様子で逃げていった。
・そして、喰う物は死骸でもいい様だ。偶々蛇の死骸を喰ったら蛇に変身できた。
・4つ目、雨に濡れると身体が溶けるという事。痛みはなかったが濡れすぎると変身は解けてしまい、ただのスライムに戻ってしまう。
その時も取り込んでいた生き物と分離してしまい逃げられる前になんとか再捕食してその姿になることができた。
つまり纏めると、
①人間を取り込めば人の姿に戻れる。
②人間に戻ったらあの祟り神を楽しませて元の身体に戻る。
③取り込んだ相手を排出して謝る。
俺が元に戻るにはこれしかない。
山で猫を取り込み準備完了。
意を決して町へ歩み出した。
国道を歩いている内に雨が降ってきた。
本降りになる前に急いだが雨脚は強まり、変身は解けてしまった。
俺の中から解放された猫がケツを巻いて逃げ去っていく。
雨が当たった所から溶け出し体液が湧き出してくる。
『このままでは死ぬ』
そう思った所に屋根付きのバス停があった。
天の助けとばかりに転がり込んだが、雨を浴び過ぎた。
早く、何でもいいから取り込まなきゃ……。
しかし、周りを見ても都合のいい動物はいなかった。
いよいよこれまでか。
―――きゃ~!すっごい雨!
救いの女神(獲物)が舞い降りた。
近所の高校の制服の女の子が目の前に駆け込んできたのだ!
後ろから見ても巨大な乳。
とても、美味そうに見えた。
バス停のベンチの下にいた俺に彼女は気付いていない。
また周囲に他の人間もいないようだ。
慌てるな!
ここで気付かれ逃げられたら俺は終わりだ。
彼女は空を仰ぎ雨雲の様子を見ていた。
背後から静かに這いより、真後ろまで近付いたところで一気に飛び掛かり彼女に覆い被さった!
警戒心の強い野良猫や野犬、野生のタヌキでさえ気付かれずに捕食(物理的には食べてないけど)できる今のスライム体の俺だ。
ましてや無人のバス停で空の雨雲の様子に意識がいっていた女子高生は自分の背後に迫るスライムに気付くわけがなかった!
またスマホも濡れないように鞄にしまったままだったので彼女は悲鳴もスマホ等で助けを求めることもできなかった。
数分の格闘、必死にもがく彼女だったが少しずつ抵抗が弱まってきた。
恐怖にひきつった顔が安らかになっていく。
身体はどんどん溶けていき、完全にうすだいだい色の液体に変わった。
その後すぐに俺の身体に変化が起こった。
ゲル状の身体が少女と混じり合うようにうすだいだい色に染まっていき、四肢がスラリと伸びてきた。
のっぺらぼうの様だった顔にくりりとした目、柔らかな印象の鼻梁、豊かな黒髪が伸びてきた。
指を動かしてみると自由に動く。
人間の身体がこんなにも素晴らしいものだったとは!
歓喜が身を包む。
「あ、ああ、あああ!!」
声が出る。
それだけの事が喜ばしくてたまらない。
柔らかな肢体、可愛らしい声、何より人としての尊厳!
鉄砲雨の音が祝砲のように感じられた。
「あはは!あはっはっはははッ!!」
湧き出る喜びを抑えきれず、辺りを憚らず大きな声で笑い続けた。
他人が居なくてよかったと、後で自戒した。
・・・・・・
ひとしきり笑い落ち着いた後、この後の事について考えた。
濡れた制服を着て身体が溶けてしまってはたまらない。
まずはスカートを絞ってみたが穿いたままではあまり絞れなかった。
どうせ他人はいないのだからと思い、制服を脱ぎ固く絞った。
どうやら身体の体積が大きければそれだけ溶けにくくなるらしい。
手の平が少しゲル化したものの、直ぐにまた固まった。
次はこの身体の情報だ。
カエルやネコになった時、迷ったり戸惑ったりしないで自然と身体の動かし方は出来たが記憶とかは読めなかった。
人間になってもやはり記憶は読めなかったが身体が覚えている行動、今なら俺が着たこともないセーラー服や制服のリボンの外し方、付け方も自然と身体が動いたし
鞄から取り出したスマホのパスワードも自然と指が動いて使う事ができた。
鞄の中から生徒手帳も見つけ、この身体の名前もわかった。
鈴木太刀葉ちゃんか。
ごめんね、太刀葉ちゃん。
しばらく身体を、太刀葉ちゃんの存在を貸してもらうよ。
とスマホが鳴った!
ママと表示されている!
出るかどうか迷ったがどちらにしろ太刀葉ちゃんの家に行ったら家族として会い、一緒に暮らすのだ。
いきなり会うより電話で会話の方がボロが出にくいし慣れるための第一歩ならこちらの方がハードルが低い。
俺は母親を『母さん』と呼んでいたが太刀葉ちゃんは登録をママにしていたしママと呼んでいた可能性が高い。
「もしもし?ママ?」
「太刀葉ちゃん濡れていない?今どこなの?ラインを先にしたけど既読つかないし、折り畳み傘はこの前の雨のときに使って干したまま家に置きっぱなしで持っていかなかったでしょう。
ママ、ちょうどパートから帰るところだからそのまま迎えに行くわ」
やはり『ママ』の呼び方で正解だったようだ。
また身体に任せて太刀葉ちゃんの家に向かうつもりだったが、それでちゃんと帰れるか心配していたところだったから迎えに来て貰えばそれは非常に助かる。
俺はバス停の名を告げ待つ事にした。
10分ほどすると赤いコンパクトカーが目の前に止まった。
助手席の窓が開き、運転席から太刀葉ちゃんに似た綺麗な女性が笑顔で
「太刀葉ちゃんお待たせ~♪」
と言ってきた。
この女(ひと)が太刀葉ちゃんの母親か。
緊張するけど太刀葉ちゃんとして振舞わなきゃな。
俺は後部座席に乗り込んだ。
母親の隣になる助手席は直ぐにバレてしまうのではないかと考えたし、まだ勇気がいたからだ。
「あら?どうしたのその制服、シワだらけじゃない!」
ママさんはルームミラーで俺の格好を見て驚いた。
無理もない。
何せさっきまで水拭きの雑巾の様に乱暴に絞って水を抜いていたのだ。
悪い見方をすれば、まるでレイプでもされたかのような衣服の乱れに見える事だろう。
(まあ、レイプより酷いことしちまったんだけどな)
そんな思いはおくびにも出さず
「風邪引くよりマシかなと思ってさ」
とバツが悪そうに言った。
ママさんはクリーニングに出さなきゃならないわねと、困ったような顔をしたがそれ以上追求せずに車を発進させた。
聞いた事が無い古い曲が流れているが、やけに耳に馴染む。
気が付けば曲に合わせて足が動いていた。
身体が覚えているという奴だろうか。
音楽に身を任せて歌を口ずさもうとすれば、自然と歌詞が零れてきた。
ボロを出さないように気をつければ、成り済ますことは出来なくないだろう。
「ねえ、今日お夕飯何が食べたい?」
ママさんの問いに咄嗟に正直に『肉料理』と答えそうになったがグッと言葉を呑み込んだ。
先日蛇の死骸を喰ったときは、蛇になってしまった。
例えば、ビーフステーキを喰ったら肉牛になってしまう可能性だってあるのだ。
一瞬考えた結果、「あんまり食欲無いから、サラダと味噌汁だけでいいや」と答えた。
「またダイエットしてるの?成長期はちゃんと食べないとだめって言ったでしょ?」
「夕飯軽めにすると身体に良いって前テレビでやっててさ、その分明日の朝食べるから」
「もう、しょうがないわね」
思い付いた適当な理由でそれっぽく話したが納得してくれたのだろうか?
その後話はとりとめのない日常の話になったが、必死に無難にやり過ごした。
その無難に過ごす方法とは【必殺・寝た振り】
「ママ、疲れちゃったからちょっと眠るね」
そう言って目を瞑る。
後部座席であったことも幸いした。
寝た振りのつもりが安心感や今までの疲れが出たのか、いつの間にか本当に眠っていた。
そして夢の中でアイツ、祟り神が出てきた。
『愉快愉快、もっと我を愉しませよ』
どうやらずっと見ていたらしい!
畜生!文句の1つも言ってやりたいが、機嫌を損ねさせたらもっと悪くなるかも知れない。
『食事のことじゃが選べるようにしてやろう。この姿になりたいと強く念じて食べれば変身できて、ただ食事として食べただけでは肉体はそのままだ。では引き続き我を愉ませよ…』
あっ!待て…
「太刀葉ちゃん、着いたわよ。起きて」
今のは夢?
それとも本当でお告げなのか?
お告げが本当なのなら肉料理が食べられる!
果たしてどちらだろう?
だが夢とは思えないほど実感があった。
屋根付きの車庫で雨に濡れずに家に入れたのは助かった。
太刀葉ちゃんのママの目の前で少しでも溶けたりしたら大変だし大騒ぎになるからな。
うっかり眠ってしまい道順がわからなくなってしまったがこの辺りを見回して知っているところで安堵する。
俺の友達、敏明の家がある住宅地だったからだ。
これなら明日、太刀葉ちゃんの学校に行けるな。
「風邪引かないようにお風呂入って温まってきなさい」とママさん。
一応、カエルの時に湧水の沢の水を飲んだり乾燥防ぐ為に水浴びしたが酸性雨でなければ溶けたりはしなかった。
たぶんお湯でも大丈夫だろう。
先ずは手で試すけど。
ん? お風呂?
お風呂ってことは裸になるんだよな?
い、今は俺が太刀葉ちゃんなんだし風邪とか引いて迷惑掛けるワケにはいかないよな。
そ、それに俺はずっと山にいたし太刀葉ちゃんのような可愛い女子高生の身体から獣のような臭いをさせたりしちゃマズいよね。
それに身体を綺麗にするのは宿主に悪いし。
寄生というより取り込んで変身なんだが一応理由をつけて不可抗力でお風呂に入ることにした。
ヒャッホ~♪ 風呂だぁ~♪
洗面所の隣がお風呂場だ。
そして洗面所には大きな鏡があった。
その鏡に映っているのは濡れたセーラー服を脱ごうとしている美少女の姿。
つまり俺が取り込んで変身して化けている太刀葉ちゃんが鏡に映っている。
改めて思うがやはり可愛いい。
湿った制服を洗濯カゴに放り込むと、洗面台の鏡には生まれたままの姿の太刀葉ちゃんが映った。
若い女の子特有の柔らかなラインと肌の張り。
運動神経はイイみたいだし体育会系の部活に所属しているのかな?
ウエストラインはキュッと締まっている。
そしてこの大人顔負けの大きなお乳!
手の平で両サイドから押してやるとふんわりと形を変え、手を放すとプルンと元に戻った。
しばらく我を忘れ、オッパイ弄りに夢中になった。
『あら?まだ入ってなかったの?』
廊下からママさんの声が聞こえた。
慌てて言い訳を考える。
「え~と、石鹸、そう石鹸が無くなりかけててさ!新しいのはどこだったかなって!?」
『洗面台の下にあるでしょう?』
洗面台の下の戸を開けると、結構お高そうなミルク石鹸が出てきた。
「あったあった。ありがとう。じゃ、じゃあ入っちゃうね!」
引き戸を開けた先には、家のサイズに見合う豪華な風呂があった。
浴室暖房までついている。
「ほぇ~。俺ん家とは大違いだ・・・。
石鹸はちょうど終わるところか。
だからママさんも石鹸のことを疑問に思わなかったんだな」
太刀葉ちゃんの可愛い声で俺の口調で喋る。
さっきまでママさんと一緒だったから女の子らしい言葉使いで必死に太刀葉ちゃんを演じていたからな。
本当の太刀葉ちゃんが普段どんなか全く知らないから上手くできていたかはわからないけど。(汗)
まぁ一応今までのところ失敗はしてない(?)し、怪しまれていない。・・・と思う。
この勢いのまま乗り切りたい。
浴室の鏡に映る太刀葉ちゃんの身体に見惚れ、つい先ほどのようにおっぱいを揉みたくなるが我慢してシャワーを浴びる。
先に手を洗ったが幸いお湯でも石鹸でも身体が溶ける感覚も実際溶けることもなかった。
よし、安心して浴びれるな。
降り注ぐ温かいお湯が気持ちいい。
女子高生のプルプル艶々のお肌がお湯を弾き流れていく。
高そうなシャンプーで髪を洗い、次は石鹸を泡立て両手で太刀葉ちゃんボディーに塗っていく。
特にお気に入りのおっぱいは念入りに♪
豊かな胸から曲線が美しいウエスト、大人びた丸みを帯びたヒップをなぞり引き締まったフトモモに泡を乗せる。
ちなみに俺自身は右肩から洗う癖があったが、この身体は無意識にフトモモから洗い始めた。
力の入り方に違和感があると思ったらこの身体は右利きの様だ。
スポンジも右手に持っている。
※俺は左利き
おっぱいもいいけど美脚だよなぁ。
すらっと長いけど女の子らしい肉ものってる♪
一通り太刀葉ちゃんの癖に任せて身体を洗う。
殆ど力を入れないで泡を乗せて柔らかく洗うやり方は女性の柔肌に合わせたものなのだろうか。
俺が自分の身体を洗う時は、垢すりタオルにボディーシャンプーつけてガシガシ洗っていたものだが……。
そんなことを考えていると何となく自分の身体が恋しい。
一刻も早く取り戻さなければ!
「あれ?こっちのボディシャンプー……」
俺が使っていたのと同じ弱酸性石鹸だ。
深く考えずそれを手に取ると
「痛ってェ!?」
手の平が少し溶けてしまった。
幸い一部分だった。
俺は馬鹿か!
酸性雨で溶けるんだから、酸性の物は駄目だろう!
自戒しながらボディーソープを流した。
溶けた部分がほんの一部だったからか、程なくして奇麗な手の平が再生した。
(そうか、酸性の物って意外と身近にあるし気を付けなきゃな)
湯船につかりながら、今後についてぼんやりと考えた。
温かく心地よいお湯に包まれリラックスしつつ思考を巡らす。
太刀葉ちゃん家に向かっている時に見た夢。
あれが事実ならアイツは今も俺のことをどこからか見ているんだろう。
今のアクシデントも太刀葉ちゃんの姿でうろたえた俺を面白がって見ていたかも知れない。
俺としては全く面白くないが。
・・・見ているか。
もし誰か第三者がこのお風呂場を覗いても、湯船に浸かっているのは可愛い女子高生の太刀葉ちゃんにしか見えないんだよなぁ~。
本当は男の俺が、運動部所属で同級生と比べても巨漢の俺が入っているのに人には美少女にしか見えないんだから。
そういえば俺はどういうことになっているんだろう?
1ヶ月前の夏祭りから行方不明になって両親とか心配しているだろうな。
母さんや父さん、友達にも会いたい!
あっ!そうだよ!
今の俺の姿は人間ジャン!
太刀葉ちゃんとして俺ん家の様子を見に行くこと出来るじゃんか!
明日の学校帰りに寄ってみよう!
なんか目的や予定が決まると安心するな。
スライムになってから山の中でとにかく生きるのに必死だったからな。
今の俺はこんなに可愛い女子高生だし、この後風呂から出たら人間らしい食事して太刀葉ちゃんの部屋に行って夜は太刀葉ちゃんの布団に入って♪
太刀葉ちゃんのお布団も枕もきっといい匂いするんだろうな~♪
「ふふ、清彦君のエッチ♥」
思わずそんな風に呟いてみる。
太刀葉ちゃんの可愛い声で言われて自分で言って自分で照れるw
なんか成りすましもこのまま上手くいくような楽観的な気持ちになったのは温かいお湯に入っているからかな~。
後は酸性のモノに気をつけて…あ、もし夕食で酢の物でたらどうしよう?
俺の大好物のお寿司とかも食べられないのか!
風呂から上がり、用意された私服に着替える。
キャラクターもののTシャツに動きやすいショートスカート。
活動的な印象の太刀葉ちゃんによく似合っている。
まあ、本人の私服なんだから似合うのは当然なんだけど。
着替えてからリビングに行くと、テーブルにはママさんの手料理が奇麗に盛り付けられていた。
注文通りのサラダと味噌汁、これだけでは足りないだろうという気遣いで用意してくれたのかメンチカツとコロッケまであった。
え?コロッケおかずにご飯食うの?
俺の中にはなかった発想だが郷に入っては郷に従え。
「一応用意しておいたけど食べる?」というママさんに「ありがとう、頂きます」と答え、箸を進める。
美味い。
人間らしい食事なんて一か月ぶりだ。
思わず涙さえ出そうになった。
「ご馳走様」
メンチカツはとても食べたかったけどもしメンチカツの元となった豚に変身してしまうと困るからお腹いっぱいで食べれなくてごめんなさいと言って残した。
食事中の会話はなるべく無難に済ませた。少し愛想悪い感じになったけど、下手な受け答えして不信感持たれても困るしな。
食事を済ませ太刀葉ちゃんの部屋へ向かう。
この家の感じだと多分二階かな?
階段を上がって一部屋一部屋覗いてみると、女の子らしい可愛らしい部屋があった。
机の上には太刀葉ちゃんとその友達の写真。
部活の写真なのかバスケのユニフォームを着ていた。
卓上カレンダーには部活のスケジュールが書かれているが明日からの土日祝日は休みらしい。
さてと……まずは
①部屋を物色する
②ベッドで太刀葉ちゃんの身体を調べる
③日記で太刀葉ちゃんの内面を調べる
④スマホであの神社と神について調べる
まずはスマホであの神社と神について調べることにしよう。
いつまでかはわからないが当分は太刀葉ちゃんとして過ごさせてもらうつもりだ。
太刀葉ちゃんに成りすます以上、少しでも色々と知っておきたい。
物色するというと聞こえが悪いが(実際勝手に襲って乗っ取っているから悪いのだが)成りすます為に必要なのでコレは仕方ないのだ♪
おっと、部屋の鏡に映る俺(太刀葉ちゃん)の顔はずいぶん楽しそうだ。
仕方ないじゃん!
身体は美少女女子高生の太刀葉ちゃんでも今の中身は思春期の男子高生なんだし!(力説)
クローゼットで下着類や私服を見付け、試着したいのはガマンして机を調べる。
(エライゾ、俺。よく我慢した。まぁ後でじっくりとハート️)
おっ♪ 引き出しに日記帳を発見♪
ザッと流し見しただけでも毎日の色々な出来事や感想が書かれている。
これは太刀葉ちゃんを知る為にも、俺が太刀葉ちゃんに成りすます為にもとても役立つな♪
だが日記の前に…あの神社や奉られているアイツの事を調べよう!
俺は太刀葉ちゃんのスマホを取り出すと神社とアイツの事を検索した。
グーグルで『昼子神社』と検索してみる、が何も出てこない。
以前授業で日本の神社は全て都道府県の神社庁に登録されていると聞いた事がある。
出てこないなんてありえないんだが……字を間違えたかな?
『昼了』、『昼十』……出てこないな。
嫌な予感がする……。
グーグルマップを起動してあの神社がある筈の所を調べてみると、そこには何もなかった。
ストリートビューを見ても荒れ地が広がっているだけだった。
ぞっとして背筋が寒くなる。
少なくとも1ヶ月前のあの日、あの神社の祭りに遊びに行って誤って石碑を倒してしまい、祟り神の封印を解いてしまった為に俺はこうなった。
小さな田舎神社とはいえ、屋台は数軒出ていたし祭りに俺以外に来ていた人たちだって10人前後はいた記憶がある。
現に今、俺がこうして太刀葉ちゃんを取り込んで太刀葉の姿になっているのが夢でも幻でもなく実際に起こった事だと実証している。
昼子……ちゅうし?ひるこ?……『蛭子』?
イザナミノミコトとイザナギノミコトの最初の子。
確か不具の神で海に流されたっていう……。
だから俺をあんな姿にして、どう克服するか見たかったって事なのか?
でも、何であんなところに神社があったんだ?
『骨のない水蛭(ひる)のような子』でヒルコか……。
思えばあの神に焼かれた身体は確かに骨と四肢のないスライムのような体だった。
ヒルコは、他人を自分と同じ身体にして、それをどう乗り越えるのか見たかったのだろうか。
水蛭子の他には、『太陽の神の子』の意味で『昼子』と書く場合もあったという。
確かに真昼の太陽のような光だった。
そのほかに情報は……
・・・・・・
こうして夜が更けていった。
纏めると
#多分『水蛭子神』=昼子神社の神
#大漁・豊穣の神の側面の他『死と再生の神』『克己の神』の面を持つ。
#この町(土地)とは縁もゆかりも無い筈。
#『勧請(かんじょう)』とか言う他所の神を招く文化がある。
#海の神を山に招くと良くない事が起こる?
こんなところか。
ノートの空きスペースに書いてみたものを読み返す。
明日からの土日祝日は休みなんだ。
車庫に自転車あったし、あの神社や俺の自宅の様子の両方を調べる為にも直接現地に行ってみよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(眠れない…こんなにいい香りがする太刀葉ちゃんのベッドで太刀葉ちゃんのパジャマ着て可愛い下着つけて落ち着いて眠れるわけ無いよな…)
車の中で寝てしまったのもあって妙に目が冴えている。
眠くないのに寝なきゃならないとなると、矢鱈と色んな事が気になって来る。
時計の針の音、窓を揺らす風の音、妙に近く感じる天井……そういやベッドで寝るのって初めてかも。
俺布団派だったし。
……否、誤魔化した所でしょうがない。
寝返りを打つたびに振りまかれるシャンプーの香り、
気にしない様に気を付ければ気を付けるほど気になってしまう何もない股間。
男のアレの縮れ毛とは全く違う、柔らかな毛とパンティーが擦れあう感触。
重力に従って身体に圧し掛かって来る二つの膨らみ……
(オッパイ大きいとブラ自体も柔らかいヤツになるんだな、知らなかった)
「こんなん……こんなん眠れって言う方が無理だろ!」
時計は午後11時。
どうせ明日は学校も休みみたいだし、ちょっとくらい遊んでも大丈夫か。
自分で自分に言い訳し、1階のママさんパパさんを起こさないよう静かにベッドから立った。
部屋に姿見の大きな鏡があったが他にスタンド型の少し小さな鏡もあった。
それを持ってトイレに入った。
男と女の体では、膀胱周りに大きな差がある。
男の場合はチンコがある分、物理的に尿道が長いが、女はそれが無い分尿道が短い。
そして、子宮などの臓器で膀胱が圧迫される分、女の身体の方が圧倒的に尿を我慢できないのだ。
「なんて、冷静になってる場合じゃないな……」
内股になりながら早足でトイレに駆け込む。
パジャマとパンツを降ろして便座に座り込み、足を大きく開いた。
「せっかくだしね?後学の為というか……」
誰に言うでもなく言い訳をし、手鏡で股間を見ながら下腹部に力を入れた。
「ん……ッ♡うわ、意外と溜まってたんだな……あれ?」
シャーッと勢いよく水音を立てて溢れ出す小便。
それを吐き出しているのは膣の上にあるクリトリス……ではなかった。
クリトリス=男でいうペニスだと思っていたからてっきりここから出るものだと思っていたけど、違う所から出ていた。
「はふぅ~♪気持ちよかった♪ 女の子はオシッコの後拭くんだよな。その前にビデか?」
男の俺は今までウォシュレットは大きい方で散々使用したがビデ機能は使ったことがない。
ちょっとドキドキしながらボタンを押した。
(ヤバッ!気持ち良くてまた疼いてきた!)
温かいお湯が敏感なアソコを洗浄しているだけなんだが
太刀葉ちゃんという女の子の身体になった中身の俺が性的興奮している為に、身体も連動して興奮状態になっているようだ。
「このままじゃ眠れないもんな。スッキリして寝ないと!」
うん、快眠の為には必要なことだ。
理論武装完了。
トイレを出て洗面所からバスタオルを3枚ほど太刀葉ちゃんの部屋に持ち込んだ。
ベッドの上にそれを敷きセーラー服を模したパジャマと下着を汚さない為に脱ぐ。
裸になったところでふと思い付いたシチュエーションを実行に移す。
パジャマの上だけ着てから
「清彦君、わたしのおっぱいを見たいの? もう、エッチなんだから♪ はい♥」
鏡にはパジャマを捲し上げながらおっぱいを見せてくれる太刀葉ちゃんの姿が♥
俺の興奮に身体も同期しているから火照っていてサーモンピンクの綺麗な乳首はピンと勃っている。
妄想の設定は本当の俺と恋人関係にある太刀葉ちゃんが俺と今からエッチをするってヤツ。
「清彦君、大好き♥」
口にすると照れ臭いし恥ずかしいが、正面の姿見に映る全裸の美少女が俺の名前を言いながらエッチな顔しておっぱいを揉んでいる姿と実際おっぱいから得られる弾力ありながらも柔らかい感触はメチャクチャ興奮する!
嗚呼、メチャクチャ可愛い♥
本当にこんなに可愛い太刀葉ちゃんが俺の彼女だったらいいのに!
元に戻ったら絶対太刀葉ちゃんに会って告白するぞ!
「あっ♪いい♥」
実際は自分の手で揉んでいるのだが脳内では太刀葉ちゃんのおっぱいを本当の俺が揉んで太刀葉ちゃんが恥ずかしながらも気持ち良さそうについ喘ぎ声を出している想定だ。
だってこの大人顔負けの大きなお乳!
お風呂に入る前に洗面所で楽しんだように手の平で両サイドから押してやるとふんわりと形を変え、手を放すとプルンと元に戻る弾力ともちもちとしたやわらかさを併せ持つ奇跡の太刀葉ちゃんのおっぱい♪
そして触れば、揉めば揉むほど快感でどんどん気持ちよくなっていく。
オッパイ弄りに夢中にならない訳が無い!
昂る快感に誘われるまま俺の手は下半身に伸びる。
まさに茂みを掻き分け愛蜜が滴り始めているアソコに指先が触れる寸前、
1階のトイレの水を流す音が聞こえて俺は硬直する!
太刀葉ちゃんのママさんかパパさんが用を足したのだろう。
(もうちょっとで、イけそうなのに……)
しかし、深夜にオナってるのを両親に見つかるのは、非常に恥ずかしい事なのでは?
ましてや自分の意志ではなく、太刀葉ちゃんは俺に姿を貸してくれているだけなのだ。
見つかるリスクは避けなければ……。直ぐに止めなけきゃ。
(って思っても、手が止められない……)
この身体はおそらく処女だろう。処女がオナニーでイけるのはほぼ例が無いと聞く(ネット知識)。
しかし、俺自身は彼女いない歴=年齢の童貞。
女性の身体を弄繰り回せることに激しく興奮している。
そして俺の精神が高ぶっているのに引っ張られ、この身体も実に気持ち良くなっているのだ。
(水音が消えるまで続けよう)
耳に神経を集中させながら、両手で胸と下を痛くならない範囲で揉み触り続ける。
(ああ…底なしに気持ちよくなっていく…ハート️ 止めなきゃ…ダメなのに…止められない…)
ベッドの上の太刀葉ちゃんの姿が映るように移動させた姿見にはオナニーの快感に酔いしれる太刀葉ちゃんの姿が映っていた。
可愛らしい童顔なのに淫靡な肉体が乱れる様を見て、俺のテンションは最高潮さえ突破した。
女性が“イク”には肉体的興奮より、精神的な興奮が必要なのだが、エロい少女のオナニーを特等席で眺めるという行為は最高のオカズだった。
精神の昂ぶりに引っ張られ、少女の肉体は忘我の境地に達した。
(ヤバ♡イク!イクッ!イク~~~!!」
気が付けば声をあげてエビ反りになっていた。
男の射精とは違う、爆発的な快感が波のように押し寄せてくる。
余談だが、英語圏では自分が“イク”のではなく、オーガニズムが“来る”のだという。
だから洋ピン女優はCOME IN COME IN言ってるのだ。
……何を考えてるんだ俺は。女の身体でも賢者モードはあるのか?
賢者モードついでに思い出した。
今、パパさんかママさんは起きている。
下の階のトイレで用を足して“いた”。
今は、水音は聞こえない(やけに長い間流していた様に思えるが)。
そして今、誰かが階段を上って来る音が、ぎしりぎしりと聞こえている。
ママさんかパパさんかわからないけど誰か来る!
あまりにも凄くて喘ぎ声出ちゃったの聞かれた!?
バレた!?
パニックになり頭が真っ白になる!
な、なんかしないと!
何をすればいいんだ!?
とりあえず急いでパジャマを着こみ、布団を被った。
愛液でべっとりな手は、太刀葉ちゃんの部屋に備えてあったウェットティッシュで拭けば……うん、大体きれいになったかな。
濡れてしまったパンツは、履き直すと気持ちが悪いからベッドの隙間に隠した。
コンコンと、部屋をノックする音が聞こえ心臓がもう一段早くなった。
「太刀葉ちゃん、入るわね……」
ギィィと音を立てて扉が開いた。
声からするとママさんだろうか。
誤魔化せると良いのだが。
ママさんの気配は、部屋の入口から動いていない様子だ。
何かを伺っている様だが、こちらは狸寝入り中だ。
動く訳には行かない。
10秒、20秒くらい経っただろうか、ゆっくりとした足音が部屋に入ってきた気がする。
―――かちゃり。
今の音はなんだ?
音の方向にあったものを、記憶をたどり思い出そうとする。
(……そうだ。姿見があったな)
「あらあ?なにかしら、このお汁」
しまった!まさか愛液が飛んでいたのか?
―――ぴちゃ、ぺちゃ、ぺちゃ。
何の音だ?水音?
確かめたいが、もし目が合ってしまったら狸寝入りがバレる。
狸寝入りがバレれば、何をしていたのか言わなければならない。
女の感は鋭い。誤魔化しきれない気がする。
―――きし、きし。
僅かに床板が鳴る。
どうやらこっちに近づいている様だ。
俺が頭まで被っていた布団に手が掛けられ、ゆっくりと提げられていく。
「すぅすぅ」
「……寝てるみたいね」
寝息を装い、全身全霊で寝たふりをする。
他の事はもうどうでもいい。
ここを凌げばもし翌朝何か聞かれても、『寝てたからわかんない』と言えば済むのだ。
顔の近く数十センチの所から視線を感じた。
息遣いさえ肌で感じる気がする。
実際の時間は、ほんの数秒だったかもしれない。
しかし、緊張からかその数秒が10分、20分にさえ感じられた。
しばらくしてママさんの気配が遠ざかっていくのを感じた。
何とかなったかと安堵した。
しかし、一向にドアが開く音が聞こえない。
―――カチャリ。
……今の音は?
ドアの方から聞こえた。
―――トン、トン、トン。
確実にこちらに向かって来る足音?
まさか、バレちまったのか?
布団の隙間から手が入って来て、
“ママさんの指が、俺のアソコに入ってきた”。
「ひゃあう!?」
「あらあああ?何でこんなに濡れてるのかしらぁ?」
あまりの事に驚き、目を開けると、そこには全裸で頭にパンツを被ったママさんの姿があった。
しかも被っているパンツは俺(太刀葉ちゃん)がさっきまで履いて居たモノの様だ。
「こんなエッチな子はオシオキしなきゃねええ♡♡」
その目は狂気に満ちていた。
パニックと恐怖で身体が動かなかった。
その一瞬をママさんは見逃さず、太刀葉ちゃんのパジャマの胸元に手を掛け、一気に引き破った。
「きゃ!むぶ!?」
思わず悲鳴をあげそうになった瞬間、ママさんの口で口を塞がれた。
唇の柔らかな感触を味わう暇も無く、一気呵成に舌が攻め込んできた。
一見清楚に見えた人妻の怒濤の攻撃に、経験の浅い(ひょっとしたらファーストキスかもしれない)太刀葉ちゃんの口内は一気に蹂躙された。
「じゅぶ!ぶちゅるる!!ちゅば」
下品な程のキスの音が頭に直接響く。
組み敷かれる体勢で頭を固定され、キスからは逃れられず、ママさんの手は獲物を嬲る蛸の触腕のように身体を刺激してくる。
(ヤバいヤバい!オナニーとは全然違う!)
「~~~~ッ♡♡♡」
“何故”とか“どうして”とか考える余裕も無く、母娘レズレイプによってイかされてしまった。
忘我恍惚の中で、何かが“どさ”と、倒れる音を聞いた。
夢うつつの俺には何が倒れたのか確かめる事は出来なかったが、その時俺は目の前に神々しい光を見ていた。
『御前が楽しむのではない。我を、愉しませるのだ』
怒気を含んだような声に気圧され、畏怖してしまう。
そうだ、これは“アイツ”だ。
昼子神社のご神体だ。
『昼九つ、我の元に来い』
それだけ言い残して、光は消えていった。
徐々に意識が覚醒すし、辺りを見渡すとベッドのわきには全裸のママさんが倒れていた。
おそらくトイレに起きた所で、アイツに取り込まれたのだろう。
太刀葉ちゃんの細腕ではママさんを運ぶ事は出来そうにない。
さて、どうしよう。
①ママさんの身体を取り込み、歩いていく。
②放置、起きたら寝ぼけて部屋に入ってきたことにする。
③頑張って太刀葉ちゃんの身体で背負って運ぶ。
①ママさんの身体を取り込み、歩いていく。
時間はあまりないだろう。考えた末出した結論は
「食べさせて頂きますね」
いい香りがするママさんの髪を口に入れて咀嚼しはじめるとママさんの身体が何故かグミかゼリーのように柔らかくプルプルになる。
良かった。
これはスライムの能力かヤツの神通力なんだろう。
おかげで本当にママさんを齧ったり人肉を食べる羽目にならなくて済んだ。
そのままチュルチュルと吸い込むとママさんの身体は萎み不思議と苦しくなること無くどんどん飲み込めた。
と同時に太刀葉ちゃんの身体もググッと成長し始めママさんの全身を飲み込んだ時には鏡にはママさんに変身した俺の姿が映っていた。
こういう取り込みと変身の仕方もあるのか。
と背中にムズムズした感覚がするとまるでサナギが羽化するや脱皮するかのように太刀葉ちゃんが現れて分離する。
今までのカエルや猫の時と同じだ。
呼吸を確かめ普通に眠っているのを確認して俺は急いで太刀葉ちゃんにパジャマを着せた。
不思議なことにさっきパジャマは破られてしまったのに太刀葉ちゃんのパジャマを拾い上げると不思議なことに破けていない。
あの時確かに引き裂かれたのに!?
これもアイツの力なのか。
とにかくパジャマを着させて太刀葉ちゃんの部屋の明かりを消すと1階に静かに降りた。
ママさんの名前は“双葉”というらしい。
一階の奥の部屋のドアに掛かっていたネームプレートに、Futabaと書いてあった。
幸い夫婦別室の様だ。
隣の部屋にはTarouと書かれたネームプレートが掛かっていた。
おそらくこれがパパさんの名前だろう。
「あなた、たろうさん、たろうちゃん、たろうくん、太郎くん……なるほど“太郎くん”呼びか」
何回か双葉さんの口で発音してみると、自然と“慣れた”呼び方が出てきた。
太刀葉ちゃんだった時に気が付いたが、考えないように、無意識に行動すれば自然に身体がやりやすい様に動いてくれるようだ。
それさえ気を付けておけば、成り済ますことも容易だろう。
チラリと玄関を見たら、ゴルフバッグが準備されていた。
どうやらパパさんは朝からゴルフに行く予定らしい。
好都合だ、朝早くから出かけるなら、顔を合わせずに済む。
安堵すると流石に眠くなってきた。双葉さんの部屋に入り、ベッドの上のネグリジェを着て、眠りについた。
熟れた大人の体に興味がないでもなかったが、さっきアイツに釘を刺されたばかりなので流石に自重した。
「しかし双葉さんって若くて美人だよな。高校生の娘がいる母親には見えないよ」
最初にバス停に迎えにきてくれた時、太刀葉ちゃんのママさんに頼まれてお姉さんが迎えに来たと思ったくらいだ。
太刀葉ちゃんが可愛い系の美少女ならママさんである双葉さんは綺麗な美女系だ。
太刀葉ちゃんのママさんだけあっておっぱいも大きい♪
釘を刺されたから自重するけど少しくらいなら見たり触ったりしてもいいよな?
少しはだけさせおっぱいを剥き出しにしてみる。
大きな乳房がプルンと揺れる♪
「太刀葉ちゃんのおっぱいとはまた違ってこれはこれで素晴らしいイイモノだ♥」
太刀葉ちゃんが巨乳なのは間違いなく双葉さんの血をひいているな。
このおっぱいで太刀葉ちゃんは育ったんだ。
・・・ゴクリ。
いや、我慢我慢。
ガマンしないと…ダメだよな?
時計を確認すると、もう深夜2時に迫っていた。
流石に寝なければならない。
というよりも眠くてたまらない。
何しろ昨日まで野山で暮らしていたのだ。
太刀葉ちゃんとは違った大人の女の身体も魅力的だが、柔らかなベッドで泥のように眠るのも非常に魅力的な事なのだ。
(あ、枕すっげぇ柔らかい。芳香剤、バラかなんかかな?良い匂い……だ)
太刀葉ちゃんの身体の時、車でうたたねしたが、やはりベッドは良い物だ。
すっかり熟睡してしまった。
目が覚めたのは朝8時だった。
ほんの6時間程度の睡眠だったが身体が軽い。
もともと双葉さんがショートスリーパーだったのかもしれないし、ここ一か月で俺が短い睡眠時間に慣れたからかもしれない。
まあ、どっちでもいいか。
そっと廊下から玄関を見るとゴルフバッグは無かった。
もう夫は出かけたようだ。
一方リビングからはテレビの音、太刀葉ちゃんはもう起きている様だ。
どうしようかな。アイツが言ってた“昼九つ”というのは正午の事だから、移動の時間を考えても2~3時間は自由にできる。
#①やっぱこの熟れた身体を探索しなきゃ!
#②クローゼットが気になる。夜の夫婦生活を彩る衣装があるのでは?
#③一応神社についてもう少し調べよう
#④太刀葉ちゃんに朝ごはんでも作ってあげるか
太刀葉ちゃんに朝ごはんでも作ってあげるか
深呼吸して…俺は太刀葉ちゃんのママ、俺は太刀葉ちゃんのママ、オ、ワタシは太刀葉ちゃんのママ、わたしは太刀葉ちゃんのママ
「おはよう。ゴメン、ママお寝坊しちゃったわ。今、何か作るからね」
「おはよう。大丈夫、パパにサンドイッチ作ったときにママの分も一緒に作ったわ」
ダイニングの方を見ると美味しそうなサンドイッチがラップを掛けて置いてある。
「ありがとう。さっそく頂くわ」
夢の中で言われた通り、ハムやシーチキン、玉子で変身したりはしないだろう。
・・・多分。
ハムサンドで豚に変身したりはしなかった。
良かった。
安心すると美味しいサンドイッチを味わって食べた♪
片面焼いてバター塗ってある、ひと手間くわえたサンドイッチだ。
元の俺の味覚だったらもう少しマスタードでも欲しかったかもしれないけど、今は丁度良く感じた。
やっぱり味覚とか、身体の感覚は借りた身体のモノに準拠してるんだな。
つまり昨日の夜あれだけ感じまくってたのは、太刀葉ちゃんの身体が元々ド淫乱ボディの可能性が?
「ん?どうしたのママ?私の顔に何かついてる?」
「い、いえ、何でもないわ」
太刀葉ちゃんを見てて気になったこと。
昨日のバス停で俺に襲われた記憶やそれ以降の乗っ取られていた記憶はどうなっているのだろう?
普通にしているしパニックや怯えている様子は全くない。
黙っていてもよかったがやはりはっきりしておきたい。
「ねぇ太刀葉ちゃん。昨日バス停に迎えにき、行った時のことなんだけど」
「昨日?え~と、部活終わった後、急に雨が降ってきたからバス停で雨宿りして、……!?
なんで私、服脱いでたの?いくら濡れてて気持ち悪かったからって何考えてたんだろ……」
どうやら記憶は残っている様だ。
しかし言われるまで自分の行動に疑問を持っていなかったようだから、下手に突っ込むと藪蛇かもしれない。
(オナニーとか母親(アイツ)に襲われた事とか)
「そういえば私、この後に神社と隣の町内に出掛けようと思っていたけどなんでそう考えていたんだろう?」
それは俺が太刀葉ちゃんになっていた時に俺の自宅の様子やあの神社を調べに行こうと考えていたからだ。
どうしよう?
このまま双葉さんの身体でそうするか?
それとも太刀葉ちゃんに再びなって予定通りに行動するか?
どちらの身体の方が都合よいのだろう?
考えて出した結論は…ママさんである双葉さんより太刀葉ちゃんの方が活動しやすいよな?
実際に成ってみて解ったが、やっぱ若さって大事だわ。
当然この熟れた身体も魅力的ではあるんだが、高校生の若さには敵わない。
今だって疲れが取れなくて少し眠い。
一方の太刀葉ちゃんはどうだ。
昨日夜遅くまでオナニーしたというのにピンピンしている。
むしろ心なしか艶っぽくさえ感じられる。
(いや?太刀葉ちゃんは取り込まれてただけで、実際オナったのは俺だし太刀葉ちゃんが元気なのは当然なのでは?)
検証せねばなるまい。
俺は双葉さんの姿のまま、そっと太刀葉ちゃんの後ろに回り込み、女の子らしい小さな体を抱きしめた。
「ママ?どうしたの?」
太刀葉ちゃんは顔だけ振り返り言った。
その顔には困惑しか浮かんでいない。
「太刀葉ちゃん……イタダキマス」
「ひッ!?」
頂きますと言った瞬間、双葉さんの顔が崩れスライムとなった俺が太刀葉ちゃんを飲み込んだ。
趣味が悪いかもしれないが、ちょっとした悪戯心が湧いてしまったのだ。
恐怖心で顔を引きつらせる美少女……やべえ、何かに目覚めそうだ。
ゆっくり太刀葉ちゃんの身体に染み仕込むように浸透する。
その際に太刀葉ちゃんの身体の細胞に気持ちよくなるように快楽物質も。
母親と思っていた化け物に突如襲われ身体に入り込まれていく恐怖と、何故か全身に発生する快感に太刀葉ちゃんは混乱しているが快楽にだんだん思考ができなくなっていく。
俺の身体が太刀葉ちゃんの中に完全に染み込むと今度は太刀葉ちゃんの背中からママさんである双葉さんが浮き出し現れた。
もし傍から見たらセミの羽化のように見えただろう。
ただ服を透過して現れているし、双葉さんも裸でなく俺が着替えた服になっているのは神の力なのかも。
ぼんやり半覚醒状態だ。
ふとここでイスに座るよう言ったら聞いてくれそうな気がしたので
「ママ、イスに座って」
と言うと双葉さんは催眠術に掛かった人のようにゆっくりとだが俺の指示とおりに動きイスに座った。
ほどなくして「太刀葉ちゃんの作ってくれたサンドイッチ美味しいわ。ありがとう」
と笑みを浮かべて太刀葉ちゃんになった俺にお礼をしてきた。
どうやら昨夜からあいつ蛭子神や俺に身体を乗っ取られたことはわかっていないようだ。
あれ?気のせいかもしれないけれど、双葉さん昨日より若返ってないか?
なんというか、妙齢の女性であるのは間違いないんだけれど、
湯上り卵肌というか生まれたての赤ちゃん肌というか……。
ふと太刀葉ちゃんの手を見ると、元々若かったからわかりにくいが、間違いなく肌の艶が良い。
これはひょっとすると……、俺が取り込んだ後『生まれ直す』から、若返るって事か?
その時、昨日スマホで調べた記述が脳裏をかすめた。
>大漁・豊穣の神の側面の他『死と再生の神』『克己の神』の面を持つ。
死と、再生。
まさか、俺(スライム・ヒルコ)に取り込まれるって事は、一旦……。
「太刀葉ちゃん?どうかしたの?」
双葉さんの言葉で思考が遮られた。そうだ、考えても仕方がない事だ。
結局、あの神社を調べなければ何もわからないんだから。
考えると怖い考えしか思いつかないから後回しにしよう。
昨日考えた通り、今日は俺の自宅の様子と神社があったはずの場所に行ってみよう。
「ママ、ちょっと出掛けてくるね。夕方には戻るからお昼ご飯はいいわ」
そう言って俺はガレージにあった自転車に乗って出掛けた。
続く
昨今の環境汚染で酸性雨が増えてきたのか、雨に濡れると身体が溶けちまう。
雨宿りしなくちゃな……。
そう考えていた所で屋根付きのバス停を見つけた。
ぬめる身体で這うように転がりバス停に上がり込んだ。
(畜生……何で俺がこんな目に合わなきゃならねぇんだ!)
発声器官さえ失った身体では愚痴さえ漏らすことがなかった。
秋雨はしとしとと降り続け、止む気配を見せなかった。
四肢の付いたゲル状のボールの様になってしまった身体をベンチの下に押し込んで少しでも雨を避ける。
1月前、夏のある夜。
昼子神社の祭日で、俺は祟り神の封印を解いてしまった。
彼の神は夜だというのに真昼の太陽の様に輝き、その光に焼かれた俺の身体はズルズルと溶けていき、気が付いたらこの姿になっていた。
神社にあった池を見れば、そこに映る俺の姿は化け物としか言えない物だった。
半透明に溶けた皮膚、ブヨブヨと柔らかい身体。顔は眼らしきものは残っていたが殆どのっぺらぼうのような物だった。
“我を楽しませよ”
アイツはそう言って空に昇って行った。
どうしろというのだ。
こんな体では街にある自分の家に帰る事は出来ない。
もし人に見つかったら間違いなく“駆除”の対象だろう。
仕方なく神社の軒下で一夜明かした。
そして翌朝、起きたら身体はさらに溶けて2本の足で立つ事すら出来なかった。
しかしその事さえ気にならない程ひどく腹が減っていた。
買い物には行けない。
それならお供え物を盗んで喰うしかないと思ったが、そこでのっぺらぼうのように口が無い事を思い出した。
ひとまず軒下から這い出て見れば、空はどんよりと曇っていた。
祭りの出店は既に片付けられた後で残飯一つ残っていなかった。
とにかく腹が減った。
人に見つからない様に這い続けると何かを見つけた。
蛙だ。
しかしその時俺は、何故だかひどく美味そうに思えた。
次の瞬間俺は蛙に襲い掛かっていた。
俺のゲル状の身体が蛙を覆い、ジュウジュウと溶かしていった。
「美味ェ゛!美味ェエ゛!」
こんな旨いものは喰った事が無いと思うほど美味かった。
夢中で喰らい、腹も落ち着いた所で俺の身体に変化が起こった。
退化した足に俄かに筋肉が付き、手には水かきが生えてきた。
顔に亀裂が入ったかと思えばそこに大きな口が出来、長い舌が生成された。
間違いない。
自分の身体の変化だからわかった。
どうやら蛙に近づいた様だ。
大きさはさほど変わっていない。
人から見たら妖怪のような大蛙にみえるだろう。
(まさか、喰ったモノを取り込めるのか?)
そう思った俺は次の獲物を探していた。
あいにく周囲に生き物はいなかったので獲物を求めて移動しようとしたが…
体が重すぎて自在に動けない。
カエルの体の構造上、このサイズでは筋力が不足しているのか?
もっと小さくならなければ!
身体を圧縮するイメージをするとギュッと体が縮まり、10秒ほどで捕食したカエルと全く同じサイズになることができた。
だがこの体では街の方に行くには不向きだし時間も掛かる。
ならば移動に適した体を得るまでだ。
野犬か猫あたりを取り込めば市街まで歩いていけるかもしれない。
だが今はその時じゃない。
この体のことを識らなければ!
それにもっともっといっぱい喰いたい!
山の中には生き物がたくさん住んでいるだろう。
ふらふらと幽鬼の様に、そしてのそのそとウシガエルの様に、俺は野山に入って行った。
そして二週間くらい山で過ごし、俺は自分の身体について理解した。
・まず、直近で食った生物の姿を取り込めるという事。
生物とはいっても動物に限るようで木の実を喰っても変化はなかった。
・次に、新しい物を喰うと、以前喰った者は生きたまま排泄される様だ。
蛙はぴんぴんした様子で逃げていった。
・そして、喰う物は死骸でもいい様だ。偶々蛇の死骸を喰ったら蛇に変身できた。
・4つ目、雨に濡れると身体が溶けるという事。痛みはなかったが濡れすぎると変身は解けてしまい、ただのスライムに戻ってしまう。
その時も取り込んでいた生き物と分離してしまい逃げられる前になんとか再捕食してその姿になることができた。
つまり纏めると、
①人間を取り込めば人の姿に戻れる。
②人間に戻ったらあの祟り神を楽しませて元の身体に戻る。
③取り込んだ相手を排出して謝る。
俺が元に戻るにはこれしかない。
山で猫を取り込み準備完了。
意を決して町へ歩み出した。
国道を歩いている内に雨が降ってきた。
本降りになる前に急いだが雨脚は強まり、変身は解けてしまった。
俺の中から解放された猫がケツを巻いて逃げ去っていく。
雨が当たった所から溶け出し体液が湧き出してくる。
『このままでは死ぬ』
そう思った所に屋根付きのバス停があった。
天の助けとばかりに転がり込んだが、雨を浴び過ぎた。
早く、何でもいいから取り込まなきゃ……。
しかし、周りを見ても都合のいい動物はいなかった。
いよいよこれまでか。
―――きゃ~!すっごい雨!
救いの女神(獲物)が舞い降りた。
近所の高校の制服の女の子が目の前に駆け込んできたのだ!
後ろから見ても巨大な乳。
とても、美味そうに見えた。
バス停のベンチの下にいた俺に彼女は気付いていない。
また周囲に他の人間もいないようだ。
慌てるな!
ここで気付かれ逃げられたら俺は終わりだ。
彼女は空を仰ぎ雨雲の様子を見ていた。
背後から静かに這いより、真後ろまで近付いたところで一気に飛び掛かり彼女に覆い被さった!
警戒心の強い野良猫や野犬、野生のタヌキでさえ気付かれずに捕食(物理的には食べてないけど)できる今のスライム体の俺だ。
ましてや無人のバス停で空の雨雲の様子に意識がいっていた女子高生は自分の背後に迫るスライムに気付くわけがなかった!
またスマホも濡れないように鞄にしまったままだったので彼女は悲鳴もスマホ等で助けを求めることもできなかった。
数分の格闘、必死にもがく彼女だったが少しずつ抵抗が弱まってきた。
恐怖にひきつった顔が安らかになっていく。
身体はどんどん溶けていき、完全にうすだいだい色の液体に変わった。
その後すぐに俺の身体に変化が起こった。
ゲル状の身体が少女と混じり合うようにうすだいだい色に染まっていき、四肢がスラリと伸びてきた。
のっぺらぼうの様だった顔にくりりとした目、柔らかな印象の鼻梁、豊かな黒髪が伸びてきた。
指を動かしてみると自由に動く。
人間の身体がこんなにも素晴らしいものだったとは!
歓喜が身を包む。
「あ、ああ、あああ!!」
声が出る。
それだけの事が喜ばしくてたまらない。
柔らかな肢体、可愛らしい声、何より人としての尊厳!
鉄砲雨の音が祝砲のように感じられた。
「あはは!あはっはっはははッ!!」
湧き出る喜びを抑えきれず、辺りを憚らず大きな声で笑い続けた。
他人が居なくてよかったと、後で自戒した。
・・・・・・
ひとしきり笑い落ち着いた後、この後の事について考えた。
濡れた制服を着て身体が溶けてしまってはたまらない。
まずはスカートを絞ってみたが穿いたままではあまり絞れなかった。
どうせ他人はいないのだからと思い、制服を脱ぎ固く絞った。
どうやら身体の体積が大きければそれだけ溶けにくくなるらしい。
手の平が少しゲル化したものの、直ぐにまた固まった。
次はこの身体の情報だ。
カエルやネコになった時、迷ったり戸惑ったりしないで自然と身体の動かし方は出来たが記憶とかは読めなかった。
人間になってもやはり記憶は読めなかったが身体が覚えている行動、今なら俺が着たこともないセーラー服や制服のリボンの外し方、付け方も自然と身体が動いたし
鞄から取り出したスマホのパスワードも自然と指が動いて使う事ができた。
鞄の中から生徒手帳も見つけ、この身体の名前もわかった。
鈴木太刀葉ちゃんか。
ごめんね、太刀葉ちゃん。
しばらく身体を、太刀葉ちゃんの存在を貸してもらうよ。
とスマホが鳴った!
ママと表示されている!
出るかどうか迷ったがどちらにしろ太刀葉ちゃんの家に行ったら家族として会い、一緒に暮らすのだ。
いきなり会うより電話で会話の方がボロが出にくいし慣れるための第一歩ならこちらの方がハードルが低い。
俺は母親を『母さん』と呼んでいたが太刀葉ちゃんは登録をママにしていたしママと呼んでいた可能性が高い。
「もしもし?ママ?」
「太刀葉ちゃん濡れていない?今どこなの?ラインを先にしたけど既読つかないし、折り畳み傘はこの前の雨のときに使って干したまま家に置きっぱなしで持っていかなかったでしょう。
ママ、ちょうどパートから帰るところだからそのまま迎えに行くわ」
やはり『ママ』の呼び方で正解だったようだ。
また身体に任せて太刀葉ちゃんの家に向かうつもりだったが、それでちゃんと帰れるか心配していたところだったから迎えに来て貰えばそれは非常に助かる。
俺はバス停の名を告げ待つ事にした。
10分ほどすると赤いコンパクトカーが目の前に止まった。
助手席の窓が開き、運転席から太刀葉ちゃんに似た綺麗な女性が笑顔で
「太刀葉ちゃんお待たせ~♪」
と言ってきた。
この女(ひと)が太刀葉ちゃんの母親か。
緊張するけど太刀葉ちゃんとして振舞わなきゃな。
俺は後部座席に乗り込んだ。
母親の隣になる助手席は直ぐにバレてしまうのではないかと考えたし、まだ勇気がいたからだ。
「あら?どうしたのその制服、シワだらけじゃない!」
ママさんはルームミラーで俺の格好を見て驚いた。
無理もない。
何せさっきまで水拭きの雑巾の様に乱暴に絞って水を抜いていたのだ。
悪い見方をすれば、まるでレイプでもされたかのような衣服の乱れに見える事だろう。
(まあ、レイプより酷いことしちまったんだけどな)
そんな思いはおくびにも出さず
「風邪引くよりマシかなと思ってさ」
とバツが悪そうに言った。
ママさんはクリーニングに出さなきゃならないわねと、困ったような顔をしたがそれ以上追求せずに車を発進させた。
聞いた事が無い古い曲が流れているが、やけに耳に馴染む。
気が付けば曲に合わせて足が動いていた。
身体が覚えているという奴だろうか。
音楽に身を任せて歌を口ずさもうとすれば、自然と歌詞が零れてきた。
ボロを出さないように気をつければ、成り済ますことは出来なくないだろう。
「ねえ、今日お夕飯何が食べたい?」
ママさんの問いに咄嗟に正直に『肉料理』と答えそうになったがグッと言葉を呑み込んだ。
先日蛇の死骸を喰ったときは、蛇になってしまった。
例えば、ビーフステーキを喰ったら肉牛になってしまう可能性だってあるのだ。
一瞬考えた結果、「あんまり食欲無いから、サラダと味噌汁だけでいいや」と答えた。
「またダイエットしてるの?成長期はちゃんと食べないとだめって言ったでしょ?」
「夕飯軽めにすると身体に良いって前テレビでやっててさ、その分明日の朝食べるから」
「もう、しょうがないわね」
思い付いた適当な理由でそれっぽく話したが納得してくれたのだろうか?
その後話はとりとめのない日常の話になったが、必死に無難にやり過ごした。
その無難に過ごす方法とは【必殺・寝た振り】
「ママ、疲れちゃったからちょっと眠るね」
そう言って目を瞑る。
後部座席であったことも幸いした。
寝た振りのつもりが安心感や今までの疲れが出たのか、いつの間にか本当に眠っていた。
そして夢の中でアイツ、祟り神が出てきた。
『愉快愉快、もっと我を愉しませよ』
どうやらずっと見ていたらしい!
畜生!文句の1つも言ってやりたいが、機嫌を損ねさせたらもっと悪くなるかも知れない。
『食事のことじゃが選べるようにしてやろう。この姿になりたいと強く念じて食べれば変身できて、ただ食事として食べただけでは肉体はそのままだ。では引き続き我を愉ませよ…』
あっ!待て…
「太刀葉ちゃん、着いたわよ。起きて」
今のは夢?
それとも本当でお告げなのか?
お告げが本当なのなら肉料理が食べられる!
果たしてどちらだろう?
だが夢とは思えないほど実感があった。
屋根付きの車庫で雨に濡れずに家に入れたのは助かった。
太刀葉ちゃんのママの目の前で少しでも溶けたりしたら大変だし大騒ぎになるからな。
うっかり眠ってしまい道順がわからなくなってしまったがこの辺りを見回して知っているところで安堵する。
俺の友達、敏明の家がある住宅地だったからだ。
これなら明日、太刀葉ちゃんの学校に行けるな。
「風邪引かないようにお風呂入って温まってきなさい」とママさん。
一応、カエルの時に湧水の沢の水を飲んだり乾燥防ぐ為に水浴びしたが酸性雨でなければ溶けたりはしなかった。
たぶんお湯でも大丈夫だろう。
先ずは手で試すけど。
ん? お風呂?
お風呂ってことは裸になるんだよな?
い、今は俺が太刀葉ちゃんなんだし風邪とか引いて迷惑掛けるワケにはいかないよな。
そ、それに俺はずっと山にいたし太刀葉ちゃんのような可愛い女子高生の身体から獣のような臭いをさせたりしちゃマズいよね。
それに身体を綺麗にするのは宿主に悪いし。
寄生というより取り込んで変身なんだが一応理由をつけて不可抗力でお風呂に入ることにした。
ヒャッホ~♪ 風呂だぁ~♪
洗面所の隣がお風呂場だ。
そして洗面所には大きな鏡があった。
その鏡に映っているのは濡れたセーラー服を脱ごうとしている美少女の姿。
つまり俺が取り込んで変身して化けている太刀葉ちゃんが鏡に映っている。
改めて思うがやはり可愛いい。
湿った制服を洗濯カゴに放り込むと、洗面台の鏡には生まれたままの姿の太刀葉ちゃんが映った。
若い女の子特有の柔らかなラインと肌の張り。
運動神経はイイみたいだし体育会系の部活に所属しているのかな?
ウエストラインはキュッと締まっている。
そしてこの大人顔負けの大きなお乳!
手の平で両サイドから押してやるとふんわりと形を変え、手を放すとプルンと元に戻った。
しばらく我を忘れ、オッパイ弄りに夢中になった。
『あら?まだ入ってなかったの?』
廊下からママさんの声が聞こえた。
慌てて言い訳を考える。
「え~と、石鹸、そう石鹸が無くなりかけててさ!新しいのはどこだったかなって!?」
『洗面台の下にあるでしょう?』
洗面台の下の戸を開けると、結構お高そうなミルク石鹸が出てきた。
「あったあった。ありがとう。じゃ、じゃあ入っちゃうね!」
引き戸を開けた先には、家のサイズに見合う豪華な風呂があった。
浴室暖房までついている。
「ほぇ~。俺ん家とは大違いだ・・・。
石鹸はちょうど終わるところか。
だからママさんも石鹸のことを疑問に思わなかったんだな」
太刀葉ちゃんの可愛い声で俺の口調で喋る。
さっきまでママさんと一緒だったから女の子らしい言葉使いで必死に太刀葉ちゃんを演じていたからな。
本当の太刀葉ちゃんが普段どんなか全く知らないから上手くできていたかはわからないけど。(汗)
まぁ一応今までのところ失敗はしてない(?)し、怪しまれていない。・・・と思う。
この勢いのまま乗り切りたい。
浴室の鏡に映る太刀葉ちゃんの身体に見惚れ、つい先ほどのようにおっぱいを揉みたくなるが我慢してシャワーを浴びる。
先に手を洗ったが幸いお湯でも石鹸でも身体が溶ける感覚も実際溶けることもなかった。
よし、安心して浴びれるな。
降り注ぐ温かいお湯が気持ちいい。
女子高生のプルプル艶々のお肌がお湯を弾き流れていく。
高そうなシャンプーで髪を洗い、次は石鹸を泡立て両手で太刀葉ちゃんボディーに塗っていく。
特にお気に入りのおっぱいは念入りに♪
豊かな胸から曲線が美しいウエスト、大人びた丸みを帯びたヒップをなぞり引き締まったフトモモに泡を乗せる。
ちなみに俺自身は右肩から洗う癖があったが、この身体は無意識にフトモモから洗い始めた。
力の入り方に違和感があると思ったらこの身体は右利きの様だ。
スポンジも右手に持っている。
※俺は左利き
おっぱいもいいけど美脚だよなぁ。
すらっと長いけど女の子らしい肉ものってる♪
一通り太刀葉ちゃんの癖に任せて身体を洗う。
殆ど力を入れないで泡を乗せて柔らかく洗うやり方は女性の柔肌に合わせたものなのだろうか。
俺が自分の身体を洗う時は、垢すりタオルにボディーシャンプーつけてガシガシ洗っていたものだが……。
そんなことを考えていると何となく自分の身体が恋しい。
一刻も早く取り戻さなければ!
「あれ?こっちのボディシャンプー……」
俺が使っていたのと同じ弱酸性石鹸だ。
深く考えずそれを手に取ると
「痛ってェ!?」
手の平が少し溶けてしまった。
幸い一部分だった。
俺は馬鹿か!
酸性雨で溶けるんだから、酸性の物は駄目だろう!
自戒しながらボディーソープを流した。
溶けた部分がほんの一部だったからか、程なくして奇麗な手の平が再生した。
(そうか、酸性の物って意外と身近にあるし気を付けなきゃな)
湯船につかりながら、今後についてぼんやりと考えた。
温かく心地よいお湯に包まれリラックスしつつ思考を巡らす。
太刀葉ちゃん家に向かっている時に見た夢。
あれが事実ならアイツは今も俺のことをどこからか見ているんだろう。
今のアクシデントも太刀葉ちゃんの姿でうろたえた俺を面白がって見ていたかも知れない。
俺としては全く面白くないが。
・・・見ているか。
もし誰か第三者がこのお風呂場を覗いても、湯船に浸かっているのは可愛い女子高生の太刀葉ちゃんにしか見えないんだよなぁ~。
本当は男の俺が、運動部所属で同級生と比べても巨漢の俺が入っているのに人には美少女にしか見えないんだから。
そういえば俺はどういうことになっているんだろう?
1ヶ月前の夏祭りから行方不明になって両親とか心配しているだろうな。
母さんや父さん、友達にも会いたい!
あっ!そうだよ!
今の俺の姿は人間ジャン!
太刀葉ちゃんとして俺ん家の様子を見に行くこと出来るじゃんか!
明日の学校帰りに寄ってみよう!
なんか目的や予定が決まると安心するな。
スライムになってから山の中でとにかく生きるのに必死だったからな。
今の俺はこんなに可愛い女子高生だし、この後風呂から出たら人間らしい食事して太刀葉ちゃんの部屋に行って夜は太刀葉ちゃんの布団に入って♪
太刀葉ちゃんのお布団も枕もきっといい匂いするんだろうな~♪
「ふふ、清彦君のエッチ♥」
思わずそんな風に呟いてみる。
太刀葉ちゃんの可愛い声で言われて自分で言って自分で照れるw
なんか成りすましもこのまま上手くいくような楽観的な気持ちになったのは温かいお湯に入っているからかな~。
後は酸性のモノに気をつけて…あ、もし夕食で酢の物でたらどうしよう?
俺の大好物のお寿司とかも食べられないのか!
風呂から上がり、用意された私服に着替える。
キャラクターもののTシャツに動きやすいショートスカート。
活動的な印象の太刀葉ちゃんによく似合っている。
まあ、本人の私服なんだから似合うのは当然なんだけど。
着替えてからリビングに行くと、テーブルにはママさんの手料理が奇麗に盛り付けられていた。
注文通りのサラダと味噌汁、これだけでは足りないだろうという気遣いで用意してくれたのかメンチカツとコロッケまであった。
え?コロッケおかずにご飯食うの?
俺の中にはなかった発想だが郷に入っては郷に従え。
「一応用意しておいたけど食べる?」というママさんに「ありがとう、頂きます」と答え、箸を進める。
美味い。
人間らしい食事なんて一か月ぶりだ。
思わず涙さえ出そうになった。
「ご馳走様」
メンチカツはとても食べたかったけどもしメンチカツの元となった豚に変身してしまうと困るからお腹いっぱいで食べれなくてごめんなさいと言って残した。
食事中の会話はなるべく無難に済ませた。少し愛想悪い感じになったけど、下手な受け答えして不信感持たれても困るしな。
食事を済ませ太刀葉ちゃんの部屋へ向かう。
この家の感じだと多分二階かな?
階段を上がって一部屋一部屋覗いてみると、女の子らしい可愛らしい部屋があった。
机の上には太刀葉ちゃんとその友達の写真。
部活の写真なのかバスケのユニフォームを着ていた。
卓上カレンダーには部活のスケジュールが書かれているが明日からの土日祝日は休みらしい。
さてと……まずは
①部屋を物色する
②ベッドで太刀葉ちゃんの身体を調べる
③日記で太刀葉ちゃんの内面を調べる
④スマホであの神社と神について調べる
まずはスマホであの神社と神について調べることにしよう。
いつまでかはわからないが当分は太刀葉ちゃんとして過ごさせてもらうつもりだ。
太刀葉ちゃんに成りすます以上、少しでも色々と知っておきたい。
物色するというと聞こえが悪いが(実際勝手に襲って乗っ取っているから悪いのだが)成りすます為に必要なのでコレは仕方ないのだ♪
おっと、部屋の鏡に映る俺(太刀葉ちゃん)の顔はずいぶん楽しそうだ。
仕方ないじゃん!
身体は美少女女子高生の太刀葉ちゃんでも今の中身は思春期の男子高生なんだし!(力説)
クローゼットで下着類や私服を見付け、試着したいのはガマンして机を調べる。
(エライゾ、俺。よく我慢した。まぁ後でじっくりとハート️)
おっ♪ 引き出しに日記帳を発見♪
ザッと流し見しただけでも毎日の色々な出来事や感想が書かれている。
これは太刀葉ちゃんを知る為にも、俺が太刀葉ちゃんに成りすます為にもとても役立つな♪
だが日記の前に…あの神社や奉られているアイツの事を調べよう!
俺は太刀葉ちゃんのスマホを取り出すと神社とアイツの事を検索した。
グーグルで『昼子神社』と検索してみる、が何も出てこない。
以前授業で日本の神社は全て都道府県の神社庁に登録されていると聞いた事がある。
出てこないなんてありえないんだが……字を間違えたかな?
『昼了』、『昼十』……出てこないな。
嫌な予感がする……。
グーグルマップを起動してあの神社がある筈の所を調べてみると、そこには何もなかった。
ストリートビューを見ても荒れ地が広がっているだけだった。
ぞっとして背筋が寒くなる。
少なくとも1ヶ月前のあの日、あの神社の祭りに遊びに行って誤って石碑を倒してしまい、祟り神の封印を解いてしまった為に俺はこうなった。
小さな田舎神社とはいえ、屋台は数軒出ていたし祭りに俺以外に来ていた人たちだって10人前後はいた記憶がある。
現に今、俺がこうして太刀葉ちゃんを取り込んで太刀葉の姿になっているのが夢でも幻でもなく実際に起こった事だと実証している。
昼子……ちゅうし?ひるこ?……『蛭子』?
イザナミノミコトとイザナギノミコトの最初の子。
確か不具の神で海に流されたっていう……。
だから俺をあんな姿にして、どう克服するか見たかったって事なのか?
でも、何であんなところに神社があったんだ?
『骨のない水蛭(ひる)のような子』でヒルコか……。
思えばあの神に焼かれた身体は確かに骨と四肢のないスライムのような体だった。
ヒルコは、他人を自分と同じ身体にして、それをどう乗り越えるのか見たかったのだろうか。
水蛭子の他には、『太陽の神の子』の意味で『昼子』と書く場合もあったという。
確かに真昼の太陽のような光だった。
そのほかに情報は……
・・・・・・
こうして夜が更けていった。
纏めると
#多分『水蛭子神』=昼子神社の神
#大漁・豊穣の神の側面の他『死と再生の神』『克己の神』の面を持つ。
#この町(土地)とは縁もゆかりも無い筈。
#『勧請(かんじょう)』とか言う他所の神を招く文化がある。
#海の神を山に招くと良くない事が起こる?
こんなところか。
ノートの空きスペースに書いてみたものを読み返す。
明日からの土日祝日は休みなんだ。
車庫に自転車あったし、あの神社や俺の自宅の様子の両方を調べる為にも直接現地に行ってみよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(眠れない…こんなにいい香りがする太刀葉ちゃんのベッドで太刀葉ちゃんのパジャマ着て可愛い下着つけて落ち着いて眠れるわけ無いよな…)
車の中で寝てしまったのもあって妙に目が冴えている。
眠くないのに寝なきゃならないとなると、矢鱈と色んな事が気になって来る。
時計の針の音、窓を揺らす風の音、妙に近く感じる天井……そういやベッドで寝るのって初めてかも。
俺布団派だったし。
……否、誤魔化した所でしょうがない。
寝返りを打つたびに振りまかれるシャンプーの香り、
気にしない様に気を付ければ気を付けるほど気になってしまう何もない股間。
男のアレの縮れ毛とは全く違う、柔らかな毛とパンティーが擦れあう感触。
重力に従って身体に圧し掛かって来る二つの膨らみ……
(オッパイ大きいとブラ自体も柔らかいヤツになるんだな、知らなかった)
「こんなん……こんなん眠れって言う方が無理だろ!」
時計は午後11時。
どうせ明日は学校も休みみたいだし、ちょっとくらい遊んでも大丈夫か。
自分で自分に言い訳し、1階のママさんパパさんを起こさないよう静かにベッドから立った。
部屋に姿見の大きな鏡があったが他にスタンド型の少し小さな鏡もあった。
それを持ってトイレに入った。
男と女の体では、膀胱周りに大きな差がある。
男の場合はチンコがある分、物理的に尿道が長いが、女はそれが無い分尿道が短い。
そして、子宮などの臓器で膀胱が圧迫される分、女の身体の方が圧倒的に尿を我慢できないのだ。
「なんて、冷静になってる場合じゃないな……」
内股になりながら早足でトイレに駆け込む。
パジャマとパンツを降ろして便座に座り込み、足を大きく開いた。
「せっかくだしね?後学の為というか……」
誰に言うでもなく言い訳をし、手鏡で股間を見ながら下腹部に力を入れた。
「ん……ッ♡うわ、意外と溜まってたんだな……あれ?」
シャーッと勢いよく水音を立てて溢れ出す小便。
それを吐き出しているのは膣の上にあるクリトリス……ではなかった。
クリトリス=男でいうペニスだと思っていたからてっきりここから出るものだと思っていたけど、違う所から出ていた。
「はふぅ~♪気持ちよかった♪ 女の子はオシッコの後拭くんだよな。その前にビデか?」
男の俺は今までウォシュレットは大きい方で散々使用したがビデ機能は使ったことがない。
ちょっとドキドキしながらボタンを押した。
(ヤバッ!気持ち良くてまた疼いてきた!)
温かいお湯が敏感なアソコを洗浄しているだけなんだが
太刀葉ちゃんという女の子の身体になった中身の俺が性的興奮している為に、身体も連動して興奮状態になっているようだ。
「このままじゃ眠れないもんな。スッキリして寝ないと!」
うん、快眠の為には必要なことだ。
理論武装完了。
トイレを出て洗面所からバスタオルを3枚ほど太刀葉ちゃんの部屋に持ち込んだ。
ベッドの上にそれを敷きセーラー服を模したパジャマと下着を汚さない為に脱ぐ。
裸になったところでふと思い付いたシチュエーションを実行に移す。
パジャマの上だけ着てから
「清彦君、わたしのおっぱいを見たいの? もう、エッチなんだから♪ はい♥」
鏡にはパジャマを捲し上げながらおっぱいを見せてくれる太刀葉ちゃんの姿が♥
俺の興奮に身体も同期しているから火照っていてサーモンピンクの綺麗な乳首はピンと勃っている。
妄想の設定は本当の俺と恋人関係にある太刀葉ちゃんが俺と今からエッチをするってヤツ。
「清彦君、大好き♥」
口にすると照れ臭いし恥ずかしいが、正面の姿見に映る全裸の美少女が俺の名前を言いながらエッチな顔しておっぱいを揉んでいる姿と実際おっぱいから得られる弾力ありながらも柔らかい感触はメチャクチャ興奮する!
嗚呼、メチャクチャ可愛い♥
本当にこんなに可愛い太刀葉ちゃんが俺の彼女だったらいいのに!
元に戻ったら絶対太刀葉ちゃんに会って告白するぞ!
「あっ♪いい♥」
実際は自分の手で揉んでいるのだが脳内では太刀葉ちゃんのおっぱいを本当の俺が揉んで太刀葉ちゃんが恥ずかしながらも気持ち良さそうについ喘ぎ声を出している想定だ。
だってこの大人顔負けの大きなお乳!
お風呂に入る前に洗面所で楽しんだように手の平で両サイドから押してやるとふんわりと形を変え、手を放すとプルンと元に戻る弾力ともちもちとしたやわらかさを併せ持つ奇跡の太刀葉ちゃんのおっぱい♪
そして触れば、揉めば揉むほど快感でどんどん気持ちよくなっていく。
オッパイ弄りに夢中にならない訳が無い!
昂る快感に誘われるまま俺の手は下半身に伸びる。
まさに茂みを掻き分け愛蜜が滴り始めているアソコに指先が触れる寸前、
1階のトイレの水を流す音が聞こえて俺は硬直する!
太刀葉ちゃんのママさんかパパさんが用を足したのだろう。
(もうちょっとで、イけそうなのに……)
しかし、深夜にオナってるのを両親に見つかるのは、非常に恥ずかしい事なのでは?
ましてや自分の意志ではなく、太刀葉ちゃんは俺に姿を貸してくれているだけなのだ。
見つかるリスクは避けなければ……。直ぐに止めなけきゃ。
(って思っても、手が止められない……)
この身体はおそらく処女だろう。処女がオナニーでイけるのはほぼ例が無いと聞く(ネット知識)。
しかし、俺自身は彼女いない歴=年齢の童貞。
女性の身体を弄繰り回せることに激しく興奮している。
そして俺の精神が高ぶっているのに引っ張られ、この身体も実に気持ち良くなっているのだ。
(水音が消えるまで続けよう)
耳に神経を集中させながら、両手で胸と下を痛くならない範囲で揉み触り続ける。
(ああ…底なしに気持ちよくなっていく…ハート️ 止めなきゃ…ダメなのに…止められない…)
ベッドの上の太刀葉ちゃんの姿が映るように移動させた姿見にはオナニーの快感に酔いしれる太刀葉ちゃんの姿が映っていた。
可愛らしい童顔なのに淫靡な肉体が乱れる様を見て、俺のテンションは最高潮さえ突破した。
女性が“イク”には肉体的興奮より、精神的な興奮が必要なのだが、エロい少女のオナニーを特等席で眺めるという行為は最高のオカズだった。
精神の昂ぶりに引っ張られ、少女の肉体は忘我の境地に達した。
(ヤバ♡イク!イクッ!イク~~~!!」
気が付けば声をあげてエビ反りになっていた。
男の射精とは違う、爆発的な快感が波のように押し寄せてくる。
余談だが、英語圏では自分が“イク”のではなく、オーガニズムが“来る”のだという。
だから洋ピン女優はCOME IN COME IN言ってるのだ。
……何を考えてるんだ俺は。女の身体でも賢者モードはあるのか?
賢者モードついでに思い出した。
今、パパさんかママさんは起きている。
下の階のトイレで用を足して“いた”。
今は、水音は聞こえない(やけに長い間流していた様に思えるが)。
そして今、誰かが階段を上って来る音が、ぎしりぎしりと聞こえている。
ママさんかパパさんかわからないけど誰か来る!
あまりにも凄くて喘ぎ声出ちゃったの聞かれた!?
バレた!?
パニックになり頭が真っ白になる!
な、なんかしないと!
何をすればいいんだ!?
とりあえず急いでパジャマを着こみ、布団を被った。
愛液でべっとりな手は、太刀葉ちゃんの部屋に備えてあったウェットティッシュで拭けば……うん、大体きれいになったかな。
濡れてしまったパンツは、履き直すと気持ちが悪いからベッドの隙間に隠した。
コンコンと、部屋をノックする音が聞こえ心臓がもう一段早くなった。
「太刀葉ちゃん、入るわね……」
ギィィと音を立てて扉が開いた。
声からするとママさんだろうか。
誤魔化せると良いのだが。
ママさんの気配は、部屋の入口から動いていない様子だ。
何かを伺っている様だが、こちらは狸寝入り中だ。
動く訳には行かない。
10秒、20秒くらい経っただろうか、ゆっくりとした足音が部屋に入ってきた気がする。
―――かちゃり。
今の音はなんだ?
音の方向にあったものを、記憶をたどり思い出そうとする。
(……そうだ。姿見があったな)
「あらあ?なにかしら、このお汁」
しまった!まさか愛液が飛んでいたのか?
―――ぴちゃ、ぺちゃ、ぺちゃ。
何の音だ?水音?
確かめたいが、もし目が合ってしまったら狸寝入りがバレる。
狸寝入りがバレれば、何をしていたのか言わなければならない。
女の感は鋭い。誤魔化しきれない気がする。
―――きし、きし。
僅かに床板が鳴る。
どうやらこっちに近づいている様だ。
俺が頭まで被っていた布団に手が掛けられ、ゆっくりと提げられていく。
「すぅすぅ」
「……寝てるみたいね」
寝息を装い、全身全霊で寝たふりをする。
他の事はもうどうでもいい。
ここを凌げばもし翌朝何か聞かれても、『寝てたからわかんない』と言えば済むのだ。
顔の近く数十センチの所から視線を感じた。
息遣いさえ肌で感じる気がする。
実際の時間は、ほんの数秒だったかもしれない。
しかし、緊張からかその数秒が10分、20分にさえ感じられた。
しばらくしてママさんの気配が遠ざかっていくのを感じた。
何とかなったかと安堵した。
しかし、一向にドアが開く音が聞こえない。
―――カチャリ。
……今の音は?
ドアの方から聞こえた。
―――トン、トン、トン。
確実にこちらに向かって来る足音?
まさか、バレちまったのか?
布団の隙間から手が入って来て、
“ママさんの指が、俺のアソコに入ってきた”。
「ひゃあう!?」
「あらあああ?何でこんなに濡れてるのかしらぁ?」
あまりの事に驚き、目を開けると、そこには全裸で頭にパンツを被ったママさんの姿があった。
しかも被っているパンツは俺(太刀葉ちゃん)がさっきまで履いて居たモノの様だ。
「こんなエッチな子はオシオキしなきゃねええ♡♡」
その目は狂気に満ちていた。
パニックと恐怖で身体が動かなかった。
その一瞬をママさんは見逃さず、太刀葉ちゃんのパジャマの胸元に手を掛け、一気に引き破った。
「きゃ!むぶ!?」
思わず悲鳴をあげそうになった瞬間、ママさんの口で口を塞がれた。
唇の柔らかな感触を味わう暇も無く、一気呵成に舌が攻め込んできた。
一見清楚に見えた人妻の怒濤の攻撃に、経験の浅い(ひょっとしたらファーストキスかもしれない)太刀葉ちゃんの口内は一気に蹂躙された。
「じゅぶ!ぶちゅるる!!ちゅば」
下品な程のキスの音が頭に直接響く。
組み敷かれる体勢で頭を固定され、キスからは逃れられず、ママさんの手は獲物を嬲る蛸の触腕のように身体を刺激してくる。
(ヤバいヤバい!オナニーとは全然違う!)
「~~~~ッ♡♡♡」
“何故”とか“どうして”とか考える余裕も無く、母娘レズレイプによってイかされてしまった。
忘我恍惚の中で、何かが“どさ”と、倒れる音を聞いた。
夢うつつの俺には何が倒れたのか確かめる事は出来なかったが、その時俺は目の前に神々しい光を見ていた。
『御前が楽しむのではない。我を、愉しませるのだ』
怒気を含んだような声に気圧され、畏怖してしまう。
そうだ、これは“アイツ”だ。
昼子神社のご神体だ。
『昼九つ、我の元に来い』
それだけ言い残して、光は消えていった。
徐々に意識が覚醒すし、辺りを見渡すとベッドのわきには全裸のママさんが倒れていた。
おそらくトイレに起きた所で、アイツに取り込まれたのだろう。
太刀葉ちゃんの細腕ではママさんを運ぶ事は出来そうにない。
さて、どうしよう。
①ママさんの身体を取り込み、歩いていく。
②放置、起きたら寝ぼけて部屋に入ってきたことにする。
③頑張って太刀葉ちゃんの身体で背負って運ぶ。
①ママさんの身体を取り込み、歩いていく。
時間はあまりないだろう。考えた末出した結論は
「食べさせて頂きますね」
いい香りがするママさんの髪を口に入れて咀嚼しはじめるとママさんの身体が何故かグミかゼリーのように柔らかくプルプルになる。
良かった。
これはスライムの能力かヤツの神通力なんだろう。
おかげで本当にママさんを齧ったり人肉を食べる羽目にならなくて済んだ。
そのままチュルチュルと吸い込むとママさんの身体は萎み不思議と苦しくなること無くどんどん飲み込めた。
と同時に太刀葉ちゃんの身体もググッと成長し始めママさんの全身を飲み込んだ時には鏡にはママさんに変身した俺の姿が映っていた。
こういう取り込みと変身の仕方もあるのか。
と背中にムズムズした感覚がするとまるでサナギが羽化するや脱皮するかのように太刀葉ちゃんが現れて分離する。
今までのカエルや猫の時と同じだ。
呼吸を確かめ普通に眠っているのを確認して俺は急いで太刀葉ちゃんにパジャマを着せた。
不思議なことにさっきパジャマは破られてしまったのに太刀葉ちゃんのパジャマを拾い上げると不思議なことに破けていない。
あの時確かに引き裂かれたのに!?
これもアイツの力なのか。
とにかくパジャマを着させて太刀葉ちゃんの部屋の明かりを消すと1階に静かに降りた。
ママさんの名前は“双葉”というらしい。
一階の奥の部屋のドアに掛かっていたネームプレートに、Futabaと書いてあった。
幸い夫婦別室の様だ。
隣の部屋にはTarouと書かれたネームプレートが掛かっていた。
おそらくこれがパパさんの名前だろう。
「あなた、たろうさん、たろうちゃん、たろうくん、太郎くん……なるほど“太郎くん”呼びか」
何回か双葉さんの口で発音してみると、自然と“慣れた”呼び方が出てきた。
太刀葉ちゃんだった時に気が付いたが、考えないように、無意識に行動すれば自然に身体がやりやすい様に動いてくれるようだ。
それさえ気を付けておけば、成り済ますことも容易だろう。
チラリと玄関を見たら、ゴルフバッグが準備されていた。
どうやらパパさんは朝からゴルフに行く予定らしい。
好都合だ、朝早くから出かけるなら、顔を合わせずに済む。
安堵すると流石に眠くなってきた。双葉さんの部屋に入り、ベッドの上のネグリジェを着て、眠りについた。
熟れた大人の体に興味がないでもなかったが、さっきアイツに釘を刺されたばかりなので流石に自重した。
「しかし双葉さんって若くて美人だよな。高校生の娘がいる母親には見えないよ」
最初にバス停に迎えにきてくれた時、太刀葉ちゃんのママさんに頼まれてお姉さんが迎えに来たと思ったくらいだ。
太刀葉ちゃんが可愛い系の美少女ならママさんである双葉さんは綺麗な美女系だ。
太刀葉ちゃんのママさんだけあっておっぱいも大きい♪
釘を刺されたから自重するけど少しくらいなら見たり触ったりしてもいいよな?
少しはだけさせおっぱいを剥き出しにしてみる。
大きな乳房がプルンと揺れる♪
「太刀葉ちゃんのおっぱいとはまた違ってこれはこれで素晴らしいイイモノだ♥」
太刀葉ちゃんが巨乳なのは間違いなく双葉さんの血をひいているな。
このおっぱいで太刀葉ちゃんは育ったんだ。
・・・ゴクリ。
いや、我慢我慢。
ガマンしないと…ダメだよな?
時計を確認すると、もう深夜2時に迫っていた。
流石に寝なければならない。
というよりも眠くてたまらない。
何しろ昨日まで野山で暮らしていたのだ。
太刀葉ちゃんとは違った大人の女の身体も魅力的だが、柔らかなベッドで泥のように眠るのも非常に魅力的な事なのだ。
(あ、枕すっげぇ柔らかい。芳香剤、バラかなんかかな?良い匂い……だ)
太刀葉ちゃんの身体の時、車でうたたねしたが、やはりベッドは良い物だ。
すっかり熟睡してしまった。
目が覚めたのは朝8時だった。
ほんの6時間程度の睡眠だったが身体が軽い。
もともと双葉さんがショートスリーパーだったのかもしれないし、ここ一か月で俺が短い睡眠時間に慣れたからかもしれない。
まあ、どっちでもいいか。
そっと廊下から玄関を見るとゴルフバッグは無かった。
もう夫は出かけたようだ。
一方リビングからはテレビの音、太刀葉ちゃんはもう起きている様だ。
どうしようかな。アイツが言ってた“昼九つ”というのは正午の事だから、移動の時間を考えても2~3時間は自由にできる。
#①やっぱこの熟れた身体を探索しなきゃ!
#②クローゼットが気になる。夜の夫婦生活を彩る衣装があるのでは?
#③一応神社についてもう少し調べよう
#④太刀葉ちゃんに朝ごはんでも作ってあげるか
太刀葉ちゃんに朝ごはんでも作ってあげるか
深呼吸して…俺は太刀葉ちゃんのママ、俺は太刀葉ちゃんのママ、オ、ワタシは太刀葉ちゃんのママ、わたしは太刀葉ちゃんのママ
「おはよう。ゴメン、ママお寝坊しちゃったわ。今、何か作るからね」
「おはよう。大丈夫、パパにサンドイッチ作ったときにママの分も一緒に作ったわ」
ダイニングの方を見ると美味しそうなサンドイッチがラップを掛けて置いてある。
「ありがとう。さっそく頂くわ」
夢の中で言われた通り、ハムやシーチキン、玉子で変身したりはしないだろう。
・・・多分。
ハムサンドで豚に変身したりはしなかった。
良かった。
安心すると美味しいサンドイッチを味わって食べた♪
片面焼いてバター塗ってある、ひと手間くわえたサンドイッチだ。
元の俺の味覚だったらもう少しマスタードでも欲しかったかもしれないけど、今は丁度良く感じた。
やっぱり味覚とか、身体の感覚は借りた身体のモノに準拠してるんだな。
つまり昨日の夜あれだけ感じまくってたのは、太刀葉ちゃんの身体が元々ド淫乱ボディの可能性が?
「ん?どうしたのママ?私の顔に何かついてる?」
「い、いえ、何でもないわ」
太刀葉ちゃんを見てて気になったこと。
昨日のバス停で俺に襲われた記憶やそれ以降の乗っ取られていた記憶はどうなっているのだろう?
普通にしているしパニックや怯えている様子は全くない。
黙っていてもよかったがやはりはっきりしておきたい。
「ねぇ太刀葉ちゃん。昨日バス停に迎えにき、行った時のことなんだけど」
「昨日?え~と、部活終わった後、急に雨が降ってきたからバス停で雨宿りして、……!?
なんで私、服脱いでたの?いくら濡れてて気持ち悪かったからって何考えてたんだろ……」
どうやら記憶は残っている様だ。
しかし言われるまで自分の行動に疑問を持っていなかったようだから、下手に突っ込むと藪蛇かもしれない。
(オナニーとか母親(アイツ)に襲われた事とか)
「そういえば私、この後に神社と隣の町内に出掛けようと思っていたけどなんでそう考えていたんだろう?」
それは俺が太刀葉ちゃんになっていた時に俺の自宅の様子やあの神社を調べに行こうと考えていたからだ。
どうしよう?
このまま双葉さんの身体でそうするか?
それとも太刀葉ちゃんに再びなって予定通りに行動するか?
どちらの身体の方が都合よいのだろう?
考えて出した結論は…ママさんである双葉さんより太刀葉ちゃんの方が活動しやすいよな?
実際に成ってみて解ったが、やっぱ若さって大事だわ。
当然この熟れた身体も魅力的ではあるんだが、高校生の若さには敵わない。
今だって疲れが取れなくて少し眠い。
一方の太刀葉ちゃんはどうだ。
昨日夜遅くまでオナニーしたというのにピンピンしている。
むしろ心なしか艶っぽくさえ感じられる。
(いや?太刀葉ちゃんは取り込まれてただけで、実際オナったのは俺だし太刀葉ちゃんが元気なのは当然なのでは?)
検証せねばなるまい。
俺は双葉さんの姿のまま、そっと太刀葉ちゃんの後ろに回り込み、女の子らしい小さな体を抱きしめた。
「ママ?どうしたの?」
太刀葉ちゃんは顔だけ振り返り言った。
その顔には困惑しか浮かんでいない。
「太刀葉ちゃん……イタダキマス」
「ひッ!?」
頂きますと言った瞬間、双葉さんの顔が崩れスライムとなった俺が太刀葉ちゃんを飲み込んだ。
趣味が悪いかもしれないが、ちょっとした悪戯心が湧いてしまったのだ。
恐怖心で顔を引きつらせる美少女……やべえ、何かに目覚めそうだ。
ゆっくり太刀葉ちゃんの身体に染み仕込むように浸透する。
その際に太刀葉ちゃんの身体の細胞に気持ちよくなるように快楽物質も。
母親と思っていた化け物に突如襲われ身体に入り込まれていく恐怖と、何故か全身に発生する快感に太刀葉ちゃんは混乱しているが快楽にだんだん思考ができなくなっていく。
俺の身体が太刀葉ちゃんの中に完全に染み込むと今度は太刀葉ちゃんの背中からママさんである双葉さんが浮き出し現れた。
もし傍から見たらセミの羽化のように見えただろう。
ただ服を透過して現れているし、双葉さんも裸でなく俺が着替えた服になっているのは神の力なのかも。
ぼんやり半覚醒状態だ。
ふとここでイスに座るよう言ったら聞いてくれそうな気がしたので
「ママ、イスに座って」
と言うと双葉さんは催眠術に掛かった人のようにゆっくりとだが俺の指示とおりに動きイスに座った。
ほどなくして「太刀葉ちゃんの作ってくれたサンドイッチ美味しいわ。ありがとう」
と笑みを浮かべて太刀葉ちゃんになった俺にお礼をしてきた。
どうやら昨夜からあいつ蛭子神や俺に身体を乗っ取られたことはわかっていないようだ。
あれ?気のせいかもしれないけれど、双葉さん昨日より若返ってないか?
なんというか、妙齢の女性であるのは間違いないんだけれど、
湯上り卵肌というか生まれたての赤ちゃん肌というか……。
ふと太刀葉ちゃんの手を見ると、元々若かったからわかりにくいが、間違いなく肌の艶が良い。
これはひょっとすると……、俺が取り込んだ後『生まれ直す』から、若返るって事か?
その時、昨日スマホで調べた記述が脳裏をかすめた。
>大漁・豊穣の神の側面の他『死と再生の神』『克己の神』の面を持つ。
死と、再生。
まさか、俺(スライム・ヒルコ)に取り込まれるって事は、一旦……。
「太刀葉ちゃん?どうかしたの?」
双葉さんの言葉で思考が遮られた。そうだ、考えても仕方がない事だ。
結局、あの神社を調べなければ何もわからないんだから。
考えると怖い考えしか思いつかないから後回しにしよう。
昨日考えた通り、今日は俺の自宅の様子と神社があったはずの場所に行ってみよう。
「ママ、ちょっと出掛けてくるね。夕方には戻るからお昼ご飯はいいわ」
そう言って俺はガレージにあった自転車に乗って出掛けた。
続く
話も面白いです。
引き続き参加させていただきます。
正直太刀葉チャンや双葉サンの心理描写してないだけで、彼女たち視点から見たら不気味な怪物に乗っ取られてるわけだから、ダーク系なつもりで書いてマシタ。
あと、スレが落ちた後、再度貼ってくれた方、有難うございマス。
×押絵(おしえ) 貼り絵の一種
○挿絵(さしえ)
オチアイ殿の作品楽しみです。
>22
ご教授ありがとうございます。
お恥ずかしい。
修正しました。