「借りるね」
「入れた瞬間に体を入れ替えるのはやめて。だいたい、体を入れ替えられる力がある、ってことだけでもおかしいのに、セックス中でないと入れ替えられない、ってどういうことなの」
「いや、でも、このゲーム、やってみたかったし」
「ステージ15まで行ったんだからね、そこで死なないでよ」
「ああ、うん、大丈夫、たぶん」
「でも腹立つなぁ、ここ、しっかり勃ってるし。もう動かしちゃう」
「あっ、うっ」
「えっ、感じてんの。濡らしもしないでいきなり入ってきたのに」
「おっ、まえの、あそこって、ほんと、俺のちんぽと相性いいのな。くっ」
「ああ、確かに、どんどん濡れて溢れてきた。だったら早くそのゲーム保存してストップして」
「キリの、いい、とこまで。あと、一匹、倒せばいいんだろ」
「だったら早く倒して。もう、照準がぶれまくりじゃない」
「動かすの、ちょっと、止めて。あっ、あふっ」
「ああ、だめ。あたしのあそこ、気持ちいい。締まってくる。もう止めらんない」
「あっ、くっ、また外れた。い、いいっ」
「ちょっと、ゴムしてないで、入れてるじゃない。いま気が付いた。駄目、今日、危険日なのに」
「は、あっ、外に、出して」
「ああ、駄目、気持ちよくて。止められない。出したい。もう、出ちゃう」
「は、あっ、だめ、外に出して、外、あっ、ゴムないと、違う、全然、はぁっ、いくっ、もう、俺もっ」
「ぬっ、けないのっ、こんなの、腰が、溶けそう」
「だめ、だってばっ、あ、また外した、」
「保存、してないんだからぁ、決めて」
「止めて、突くの、止めて」
「だめ、もう、止まんない、もう、出る」
「は、あ、うっ、いくっ、ああああっ」
「く、うっ」
「出され、はああん、たっ、あああ」
「うー、結局、朝からやってた分が駄目になったじゃない」
「彼が来てるのに生返事で、男が脱いでも自分がパンツ脱がされても、ゲームに入れ込んでるからそうなるんだよ。腹立ったよ」
「あー、うん、それは悪かったけど、でも、うー、どうしてくれんの、これ」
「ステージ15までは俺が進めとくよ。面白いな、これ。単純なシューティングじゃないっていうか。お前がのめりこむのもわかるわ」
「はいはい。ところで」
「何?」
「どうして元に戻んないの?」
「さっきから元に戻そうとしてるんだけどね。うまくいかない。ひょっとして」
「何?」
「孕んじゃったかな。そうなると赤ん坊と繋がってる魂が切れないように入れ替われなくなるとかなんとか、ばあちゃんが言ってた」
「ええーっ」
「ばあちゃんって四人兄弟だったんだけど、一番下の弟はひいじいさんが産んだんだよ、とも言ってたな」
「どういう家系なの、あんたは」
「一族全員、セックス中に入れ替われたらしい。でも住んでた地域はもうダムの底で、ちりぢりばらばらだって」
「そんな一族がいたんだ。でもこれからどうしよう」
「とりあえず結婚しよう」
「えっ?」
「お前だって堕ろすの嫌だろ。出来ちゃった結婚ってことで。それなら親も反対しづらいだろ」
「うー、仕事はどうすんの」
「俺の仕事は在宅だし、やり方は教えるよ」
「再生回数のめっちゃ低い筋肉ユーチューバーのくせに」
「そこはアイデア次第。お前が女っぽく演出したら、うけるかもしれない」
「在宅の仕事って聞いて士業の人と勘違いしたあたしが馬鹿だった」
「俺、嘘はついてないよ。あ、コンビニのバイトもよろしく」
「あたしの仕事は」
「総務でつまんない仕事してるって言ってただろ。俺にも出来ないかな」
「あのね。つまんない仕事でもやり方はあるし、それに女同士の会話なんて出来るの? お昼時なんかずっと喋り通しなんだから」
「言葉につまったら突然プロポーズされて呆然自失、って演技でもするかな。頭を打って短期記憶が飛んだふりしてもいいし。どうしても駄目だとなったら寿退社」
「やめちゃダメだってば。苦労して就職したのに。ああ、あんたがゲーム中に突っ込んでくるから。しかも生で」
「ゴムなしだとどれだけ気持ちいいのかな、ってのは興味があった。実際、気持ち良かった」
「そんなことのせいでこんなことに」
「でも外に出してって言ったのに中に出したのはお前だよ」
「うー、出そうな時に抜くのって難しいね。知らなかった。それに、あれ、中にぶちまけたいっていうの、男の本能なのかな」
「俺が出産か。妊婦になりたかったわけじゃないけど。まあ、こうなったらしかたないかな」
「あんた、女に馴染んでない? まさか女になりたかったんじゃないでしょうね」
「おっと。それはない、いや、どうかな。せっかく入れ替われるんだから女の快感を追求したいってのはあったな。つわりや陣痛を経験したかったわけじゃないけど。でもさ」
「なに」
「お前も男に馴染んでないか」
「えー、やだ、男の体って。汗臭いし、ひげ生えるし、すね毛あるし、股に変なものついてるし」
「その股の変なものがさ、自分の下半身はだかの体を見て、立ってるよね」
「なっ、これはっ」
「したいんでしょ。自分の体と」
「うー」
「しようよ」
「はっ、あっ、うっ」
「あー、気持ちよさそうによがっちゃって。なんか腹立つなあ」
「さっきより、長いこと、突かれてるし、今度は、最初から、濡れてるし」
「ほれ、ここがいいのかな。もともと自分の体だから、わかってるんだよね」
「あ、あ、いい、もう」
「いきそうなの。こっちはまだだよ」
「はうっ」
「いっちゃった? でも続けるから」
「あうあう」
「うなずく、ってことは続けていいのね。あんたさあ、やっぱり女になりたかったんじゃないの」
「ふるふる」
「首振ってるけど、どうだか。あ、なんか、こっちも高まってきた」
「あ、は、あ」
「またいくの? ここの相性いいのかな、やっぱり」
「あっ、あっ、あっ」
「ああ、出そう。やっぱり、あたしの中って気持ちいい」
「はああんっ」
「うっ、出る。もう、気にしないで中にぶちまけちゃう」
「またいくっ。ああああっ」
「それじゃ、産まれるまで、旦那様。よろしく」
「ハロワ、行かなきゃだわ」
<終>
1年後や10年後の二人の話も読んでみたいですね。