俺こと『おてんば爆乳娘』の『川城花蓮』とクラスメイトの『佐山香介』は付き合っていると噂されている。
噂の出どころは、放課後カラオケに二人きりで入るところを見られたり、休日に手をつないでデートする姿を目撃されたからだ。
だがそれはあくまで噂であって真実じゃない。
五月のある日、俺たちは学校の空き教室で不思議なカメラを発見した。そのカメラを使った俺たちは意識を失い……次に目覚めた時、俺たちの身体が入れ替わっていたのだ。
つまり、本来は俺が佐山香介で、今の『佐山香介』が本物の『川城花蓮』なんだ。
修理店のオヤジによると、カメラが直るのは半年後らしい。そのとき自然に元の生活に戻るためには頻繁な情報交換が必要だ。
だから、俺たちはよく二人きりの姿を目撃されるのだ。まあ、最近は別の行為が目的になりつつあるけど……
入れ替わった始めの頃は、冴えない童貞男子から爆乳美少女になったことに混乱した。
人形のように整っている容姿や長くて綺麗な髪や白い肌はもちろんだが、俺が特に混乱したのは『川城花蓮』の体だ。
なにせこのムチムチの体は立ってるだけで胸も尻もぷるん♡と揺れる。普通に生活しようと思うだけで一苦労だ。
それでも夏頃にはなんとか『川城花蓮』らしくすごせるようになっていた。毎朝の身だしなみもどうにかできるようになったし、巨大なブラジャーを着けるのにも慣れた。ビキニを着てプールにも行ったしな。
川城の方はというと、なんと彼女は元々男になってみたかったらしく、すぐに男に馴染んでいた。
川城いわく、激しいスポーツや男子同士の気安い関係は楽しく、解放されたような気持ちになるんだとか。
俺にはその考えもなんとなくわかる。確かに『川城花蓮』の体は胸や尻が大きすぎてスポーツに適してないし、女子同士の人間関係は面倒な部分が多い……まあ、女子同士の関係はその分助け合い精神も強いので、俺としてはこっちの方が楽だけど。
そして一番肝心な部分、お互いの性的な部分について。
夏休み、俺たちは合意でセックスした。いや、してしまったというべきかもしれない。
それからストッパーが外れたように、川城は俺を四六時中求めるようになったのだから。
ベッドで、リビングで、風呂場で、デート先で、川城はいつでもどこでも俺の体を貪ってきた。
その勢いはまさに性の獣で、川城はコンドームの空き箱をいくつもつくりあげ、俺の体に白濁液をぶっかけまくった。コンドーム装着を義務化しなかったら俺の体は絶対に妊娠していたはずだ。
それは夏休みが終わっても収まることはなく、二学期の始業式が終わり、佐山家の『香介の部屋』に入った瞬間、川城は俺の爆乳を後ろから揉みしだいた。
的確な刺激に俺が喘ぎ声を出していると、川城はすばやく俺の服を脱がせていき……
――その日はこんな風に犯された。
対面から硬いものに突かれ、体に甘い刺激が走り回る。
「あはぁぁぁぁぁんっ♡♡♡」
膣が震え、愛液がぴゅっ♡ぴゅっ♡と結合しているペニスをしたたり落ちていく。ベッドに染みをつくっていく。
俺の白い肌には玉のような汗が浮かび、爆乳にそなわった薄ピンクの乳首はぷっくり膨らんでいる。
目の前の男は俺に顔を近づけると、耳元に息を吹きかけてきた。
「どうかしら?ここが敏感なんでしょ。ほらほら」
「いやぁん♡ らめぇっ♡ 突かないでぇ♡」
自分の指では届かない場所……体の奥を遠慮なくかき回され、俺は男の思うがままの反応をしてしまう。
「なんで突いちゃダメなの?そんなトロトロで気持ちよさそうな顔してるのに」
「イ、イッたばかりだからぁ♡ これ以上されるとこわれちゃうぅからぁっ♡」
「じゃあ壊れちゃいなさい。そのままメスの身体に溺れちゃいなさいよ」
「や、やらぁっ♡ そんなこといわないでぇ♡ いじわるぅ♡ あ♡ あ♡」
ゴリゴリとペニスが膣内で暴れまわる。俺は男に媚びるような声しか出せない。
「やだ♡ またくるっ♡ あんっ♡ またきちゃうううう♡」
「ほら、イきなさい!」
「イ♡ イギッ♡ あ♡ や♡ やあぁぁぁぁぁんっ♡♡」
硬いモノに思い切り突き上げられ、視界に激しいピンク色のフラッシュが焚かれまくる。
男と違って女は何度でもイケる。身を持って俺はそれを体感している。
薄らいでいく意識を保つため、俺は華奢な腕で相手を逞しい体を力いっぱい抱きしめた。お互いのしっとりした体が触れ合い、汗がベッドの上にたれていく。
「あら、佐山くん、またイッちゃったのね。あたしはまだ一度もイッてないっていうのに」
「は♡ あぅ♡ あぅぅぅ……♡」
俺と男は対面座位という形で繋がっている。男のちんぽは未だにギンギンで、俺の雌肉を串刺しにしている。
「こんなに我慢できないなんて、佐山くんって本当に男だったのかしら?」
「お、俺はおと……あぁんっ♡ い、いきなり動かにゃいでぇ♡ はぅん♡」
「そんなわけないわよね。男を誘うためにこんなでっかいケツ振って」
「あぁんっ♡」
「ちんぽ欲しさにまんこをきゅうきゅう締めつけてる子が男なわけないわよねぇ」
「はぁんっ♡ あっ♡ あっ♡」
男の両手が俺の尻を遠揉みしだく。その遠慮ない動きに俺の大きすぎる尻はぷるぷると形を震わせる。
「ちっ♡ ちがっ♡ お、俺はぁ♡ あはぁ♡ や、やめ♡ んっ♡」
「俺、じゃないだろ。あたし、だろ。花蓮」
「お、俺……♡ あっ♡ あぁぁぁぁぁんっ♡♡♡」
俺と口に出した瞬間、突かれてしまい、俺の体が絶頂した♡
こんなに間髪を入れずにイッていたら、本当に壊れてしまう。えっちなことしか考えられなくなってしまう♡
「わ、わかった……わ♡ かわ、佐山くん、こ、これ以上されたら、あ、あたし、変になっちゃうぅ♡ だ、だから……ひゃあああんっ♡」
「変になっちゃうから、どうして欲しいんだ?」
「お、お願いだから♡ あふ♡ も、もっと優しく……」
「優しく……どうしてほしいんだ?」
男の穏やかな声音が耳にあたり、ぞわぞわした気持ちよさを届ける。
男にどうしてほしいのか。そんなことは決まっている。
俺……いや、あたしの口から自然に口から声が出る。
「優しく犯してぇっ♡♡♡」
悲鳴にも似た媚びた声。でもしょうがないわ。今のあたしは男に媚びるしかない存在なんだもの♡
希望通りのことをいったはずなのに、佐山くんは顔でにやにやするだけ。もう♡ 意地悪なんだから♡
「なんで俺がお前の意見を聞かなきゃいけねぇんだ?お前は俺のなんなんだよ」
「あふぅんっ♡ あたしは佐山くんのぉ……♡」
火照った頭でぐるぐると考える。
あたしは目の前の相手にとってなんなんだろう?
『佐山香介』と『川城花蓮』はただのクラスメイト。でも、今はセックスする関係になっている。
じゃあ、セックスフレンド?それが一番近い気がするけど……
でも……それは……なんか……嫌……
あたしが答えないでいると、待つのに飽きた佐山くんが腰をゆさりと振った♡
「あっはぁんっ♡♡」
「花蓮、お前は俺専用のペニスケースだろ?」
茶化すような声。
そうだったわ。これはプレイの一貫。難しく考える必要はない。頭を切り替えなくちゃ。
あたしは淫乱爆乳女子高生の川城花蓮♡ 学校では『おてんば爆乳娘』って呼ばれてるの♡
今日は佐山くんに呼ばれて家にいったら冬服を脱がされてえっちされちゃった♡ 佐山くんったら強引なんだからぁ♡
頭の中にそんな認識が広がって、あたしの考えを変えていく♡
「は、はひっ♡ そうでしゅ♡ あ、あたしはあなた専用のおちんぽケース♡ 爆乳同級生オナホでしゅっ♡」
「よくいえました……おい、口開けろ。キスしてやる」
「あ♡ ありがとうございましゅ♡ んちゅぅ♡ れろぉ♡ はぁっ♡ んんんっ♡♡♡ んむむぅーーーっ♡♡♡」
ディープキスされながらペニスで突かれる♡ 気持ちよすぎぃ♡
お願い♡ もっとあたしを気持ちよくしてぇっ♡♡♡
――セックスの後、意識を男モードに戻した俺は、抗議のために川城をポコンと一発叩いた。
だが、対して効かず、川城は悪ガキのように笑うだけだった。
母性本能とでもいうんだろうか、その顔が妙に可愛く見えて……
川城のやつ。調子乗り過ぎだ。次のセックスのときは絶対流されないぞ……
そんなこんなでセックス三昧の放蕩な日々をすごしていると、あっという間に夏が過ぎ、秋になった。
☆
俺たちの高校では秋に文化祭が開かれる。
俺たちのクラスの出し物はくじ引きによって『チャイナ喫茶』になった。
『女子がチャイナドレスで接客する』という内容に女子たちから文句が続出したが、男子のリーダー格『佐山香介』が売上の大半を女子に渡すと提案したことや男子が許可どりや交渉ごとをすべて担うと申し出たことで、女子たちの文句は全くなくなった。
そんなわけで、うちのクラスの女子たちは髪を二つお団子状態にしてチャイナドレスを着て文化祭に出ることになった。
もちろん女子である俺もチャイナドレスを着ることになった……のだが、俺のドレスは他の女子とは違い、AV女優や風俗嬢がプレイで着るようなコスチュームだった。
服には谷間が見えるようにひし形の切れ込みが入っていて、スリットはショーツが見えるくらい深い。黒いガーターベルトとハイヒールも体のエロさを強調している。
このドスケベ服はクラス女子たちが俺のためにつくった服だ。『爆乳おてんば娘』の体は豊満な胸や尻のせいで普通の服を着れない。そこで女子たちは俺が仲間はずれならないようにコスチュームを手作りしてくれたのだった。
優しさでつくってくれたとはいえ、これを見せられたときは着るのを躊躇した。なにせ『男に犯してください』といっているような格好だ。まともな感覚をしていたらこんなものを着れるわけがない。
だが、今の俺はノリのいい『おてんば爆乳娘』の『川城花蓮』だ。そのイメージを崩すわけにはいかない……それに、この服を作った女子たちの頑張りを無駄にしたくない。
そういう経緯で、俺はこのエロコスチュームで文化祭をすごすことになったのだ。
スリットをひらめかせ、黒いショーツをパンチラしながら教室を歩く。
男たちの目がいつもよりも鋭い。顔、胸、腰、尻。性欲に満ちたオスたちが俺の肉体を交尾目的で見つめている。
この体になって男たちの目には慣れたが、ここまでの量は流石に寒気が走る。
だが、俺たち女子は文化祭の『出し物』であるのだからこうやって見られるのも商売だ。
女子たちとの話し合いもあり、俺は割り切って愛想と媚びを振りまきながら教室を歩いた。
その頑張りが実ったのか、文化祭は一日目二日目と大成功をおさめ、三日目も順番待ちをつくるぐらいの大人気を博している。
噂では爆乳チャイナ娘のイメクラ喫茶と呼ばれているらしく、今では俺やクラスの女子たちのブロマイドが出回っているらしい……かなり際どい写真だから、なにに使われてるかは考えたくないが。
☆
文化祭中、教室はベニヤ板やダンボールで男子担当のキッチンと女子担当のホールに分割してある。
女性客のテーブルに水餃子を届けた後、キッチンの方に戻ると、キッチンとの連絡窓から川城の顔が見えた。両手には大きなダンボールを持っている。
俺は後ろ手を組んで前かがみになり、胸をたゆん♡と強調しつつ川城に声をかけた。
「佐山くん、お疲れ様っ♡」
「おう、川城。お疲れ」
「……って、すごい汗よ。大丈夫?」
周りに人がいるため、お互いの体に合わせた口調だ。
というか今となっては二人きりの情報交換のときくらいしか、本来の口調で話す機会はない。
「忙しいからな……でも、大丈夫。俺、体力だけは自信あっから」
川城は笑顔を浮かべつつダンボールをかつぎなおした。鍛えられた太い腕には大きな力こぶが浮かんでいる。
その顔は爽やかで、かっこよくて、そして……俺、普段、あの腕に抱かれてるのか♡
「う、うん、知ってるわ……♡」
セックスしたときのことを思い出して顔が熱くなる。自然と下腹部がうずき、思わず太ももをすり合わせてしまう。
俺、いつもあの腕とか体とかにしがみついて喘いでるんだな。そして股間のアレに突かれてぐちゅぐちゅにされてるんだ……♡
「……川城、どした?」
「ふぇっ!?」
「なんか顔が赤いけど……」
「な、なんでもないわ!」
お、俺、何考えてんだ。日常会話だっていうのに、セックスのことを考えるなんて。これじゃあ本当に淫乱娘じゃないか!
川城は俺を心配の目で見つめている。やばい。どうにかごまかさないと……
そう思って目をうろつかせると、川城のエプロンに入っているタオルを見つけた。
「そ、そうだ! 佐山くん、汗拭いてあげるわね!」
「え、ああ、あんがとよ」
今の川城はダンボールで両手がふさがって汗がふけないみたいだ。
俺は川城のエプロンからタオルを取ると、川城の額……『佐山香介』の顔を拭きはじめた。
かつて自分のものだったはずなのに、その顔や体は他人のもののように感じる。
成長期の男女は少しの期間で大きく変わる。男の体はたくましくなるし髭も伸びる。春ごろの俺とは全く違う。
だが、俺は目の前の顔のことが嫌いじゃない。いや、むしろ……好……
「って、佐山くん、どこ見てるのよ」
川城は俺の胸元……チャイナドレスに空いた切り込みをじっと見つめ、鼻の下を伸ばしてにやついていた。
その顔はエロガキそのものの顔で、淡くのぼってきたふわふわした気持ちをふっとばした。
「マジその服すげえよな。いや、川城のデカパイがすげえっていうべきか?」
「さ、佐山くん、それ、セクハラ……」
「いやあ、前のビキニもいいって思ったけど、それもいいな。しばらくオナネタに困らねえわ」
「も、も~……♡」
俺は両手でさっと胸を隠した。むにゅにゅう♡と巨大なおっぱいが形を変え、むしろ相手に見せつけるような形になってしまう。
一応、このドスケベコスを着る前に本来の体の持ち主……川城に許可はとってあるから、このやりとり自体茶番なんだけど……
本当に川城って元女子なのか?どう見てもエロオヤジとしか思えないぞ。
「おい、なーにお前らいちゃついてんだよ」
川城の後ろから、男子生徒が声をかけてきた。
初島雅紀。軽音楽部に所属し、プロデビューの話も持ち上がっているというクラスカーストの最上位にいるイケメン男子だ。
俺が佐山香介だったときは絶対知り合いにはなれなかった人種だが、今の『佐山香介』とは妙にウマが合うらしく、今の俺ともグループとしてよく遊んだりしている。
「い、いちゃついてなんて……ないわよ」
「そうだそうだ。それに、文化祭終わった途端、天野とラブホに消えたお前にいわれたくねえぞ」
「げ……見られてたのか」
初島は天野雛子という美人の彼女を持っている。
二人はかなりラブラブであり、二人は高校在学中に子供を作る予定らしい……その発言にちょっとヒイたのは内緒だ。
「天野も愚痴こぼしてたぜ。ほどほどにしとけよ、雅紀」
「はぁ、後でフォローしなきゃな」
「あははは、ひなちゃんなら許してくれるわよ」
「まあ、まさ、雛子は優しいからな……あ、そうだ。香介、料理できてるぞ」
「お、ごくろうさん……川城、この飲茶、三番テーブルまで頼む」
「はいはい。任せて♡」
俺は初島から渡された飲茶を取って身を翻す。商売再開だ。
ふと、後ろから会話が聞こえた。
「香介、そろそろ川城のこと下の名前で呼んでやれよ。カノジョなんだからさ」
「だ、だから、俺と川城はそういうんじゃねーって」
「いつまで隠すんだよ。お前らこそ二人きりでカラオケ行ってるの見られてんだからな。こういうのは男の方からいくべきだぞ。それに、さっきお前の顔を拭いてる時の川城を見ただろ。あれは完璧にお前に惚れて……」
後ろから聞こえた会話はすごく気になったが、俺はどうにか興味を振り切ってホールに色気を振りまく仕事に戻った。
☆
ホールを歩くだけで、客たちの目は俺に釘付けになる。
女性客は『川城花蓮』の美貌を物珍しい美術品を見る目で見てきて、男性客は卑猥な目を向けてくる。中には前かがみになって動けなくなっているやつもいる……まあ、商売と割り切ろう。
俺は胸をゆさっ♡ゆさっ♡と揺らしつつ、飲茶を三番テーブルまで運んだ。
「おまたせしましたぁ♡ ご注文の品でぇす♡」
口から出るのは商売用の高い声。媚びを含んだ俺の声色に、三番テーブルの男性客は顔をデレっとさせた。
怖気が走ったが、これもサービスの一貫だ。我慢我慢。
「それではっ♡お食事をお楽しみくださいませぇ♡」
その時、胸を芋虫のように這い回る不快な感覚がした。
「ひっ……」
俺は自分の大きな瞳で男の顔をはっきりと見つめた。脂ぎった太った中年男がヘラヘラと笑って俺を……俺の深い谷間を見つめている。
今、こいつ、俺の胸を触った。
クラスメイトや他の客は気づいていないのか?
そう思って周りを見るが、ちょうど死角になっていたらしく、誰も俺が痴漢されたことに気づいていない。
「姉ちゃん、どうした?」
「あ、あ、い、いえ……」
「なんか言いたいことでもあんのか?」
勘違いじゃないとわかっているが、この男が開き直って暴れてきたらと思うと強くはいえない。
それに相手は客だ。ここで場を乱すようなことをすれば、店を続けられなくなるかもしれない。
俺は『川城花蓮』だ。ここは笑って流すのが『おてんば爆乳娘』らしいだろう。
「あ、あははっ♡ お客様がかっこいいからジロジロ見ちゃいましたぁ♡」
中年男に触られたのは間違っていない。だが、俺が頭を下げれば丸く収まるんだ。
本来の『川城花蓮』には申し訳ないが、ここは謝っておこう。
「あたしったらおっちょこちょいなんだから♡ ごめんなさ~い♡」
頭をこつんと叩いて腰を曲げる。その動きで爆乳がぶるるんっ♡と揺れた。
普通の男ならこれで許してくれるはずだろう……
「……なに、謝ればオッケーだと思ってる?」
しかし、俺の読みは外れ、中年男は調子づいた。
「い、いえ、そういうわけじゃありませんけどぉ……」
「女って本当に何も考えてねえんだな」
「いえ……すみません……」
「申し訳ないって思ってるんだったら、ちょっとこの後付き合ってくれないか?」
「え……そ、その……」
「いいだろ。すぐ終わるからさぁ」
中年男が再びニヤッと笑った。そして男が勃起していることに気づいた。
こいつは俺の体を見て、裸を想像して、男として興奮してるんだ。
そして、『すぐ終わる』……連れていった先で俺になにをさせるつもりなんだろうか。
だが、ついていかないとトラブルになる。そうなれば店が続けられなくなる。どうすればいいんだ。どうしよう……
「あんた、こいつの胸触ったろ」
後ろから力強い声が聞こえた。
振り向くとそこには『佐山香介』……いや、川城が立っていた。
「さ、佐山くん……」
「川城、後ろにいろ」
川城は俺の肩を引くと、俺と中年男の間に入った。なんだかその背中はやけに大きく、たくましく見えた。
突然現れた屈強な男子に驚いたのか、中年男はしどろもどろになった。
「な、なにいってんだ。触ってねえよ」
「じゃあ、なんでお前の手にチャイナドレスの糸がついてんだよ」
中年男が手を見ると、川城の言う通り糸くずがついていた。俺のチャイナドレスについているものと同じ色をしている。
「こいつのチャイナドレスはクラスの女子の手作りでな。縫いが甘くてよくほつれんだよ」
「ぐ……」
川城の詰め寄りで中年男が追い詰められていく。
よかった。もう大丈夫。彼が守ってくれる……♡
「今ここから出ていくなら見逃してやる……川城、それでいいよな?」
ぽーっとした頭のまま、俺はこくりと頷いた。
「だ、そうだ……さっさと消えろ」
川城がいうと、中年男は青い顔を浮かべて去っていった。
中年男が消えたのを見届けると、川城が深いため息をついた。堂々とした雰囲気だったが、やはり緊張していたのだろう。
「川城、大丈夫だったか?」
「え、ええ……ちょっと怖かったけど、大丈夫」
「強がんなって」
そういうと、川城は爽やかな笑顔を浮かべて俺の頭をポンポンとなでた。
「お前は女なんだからさ。もうちょっと男を頼れよ」
きゅん♡
胸が高鳴り、とろけそうな多幸感が俺の中に広がる。
目の前の男にすべてを委ねたい。身だけじゃなく、心も、全てを相手に任せたい。体の中の女の本能がそう囁いている。
「佐山くん、ありがとう♡……あっ」
緊張がとけて体が緩んだせいか、俺は足をもつれさせてしまった。
「おっと、危ねっ」
それを、川城が抱きとめた。
俺の豊満な胸が川城のたくましい胸板でむにゅぅぅぅ♡と潰れる。
「大丈夫か?」
「う、うん♡」
すっぽりとした安心感。昨日も散々抱きしめられたのに、初めて味わうようなこそばゆい感覚。
俺は少しの間、相手の大きな体に自分の小さな体をもたれさせた。
えっちの相手ってだけではなく、本当に相手のことを求めるこの気持ち。
これが……恋なんだ……♡
☆
その後、『佐山香介』が数人のクラスメイトにさっきの事件を話し、心の安定のために『川城花蓮』は休憩に入るということになった。
俺は休憩場所として使われている空き教室――俺と川城が入れ替わり、俺がレイプされた場所だ――に行った。
そこではひなちゃん……天野雛子が椅子に座っていた。
ひなちゃんは、地毛の金髪をツインテールにしている美少女だ。俺ほどじゃないがかなりの大きい胸を持っていて、俺が『爆乳おてんば娘』と呼ばれてるようにひなちゃんは『巨乳金髪ギャル』と呼ばれている。
軽い感じの喋り方からギャルっぽさを感じるが、本当の彼女は面倒見がよくて優しい性格だ。今の俺とは親友と言えるほどの仲で、たまに二人でショッピングに行ったりもしている。
夏休み前に初島雅紀と付き合い初めたせいか、ギャルっぽさがひそまってきているが、優しい子ということには変わりない。
ひなちゃんは黒いチャイナドレスを着て足を組んでいた。その隙間からピンク色のショーツがチラっと見えている。
「あ、花蓮じゃん。雅紀と佐山から話は聞いたよ。大丈夫?」
「うん。大丈夫よ。ありがとう。ひなちゃん」
「少し休んだほうがいいっしょ。こっちきて座りなって」
ひなちゃんが手招きをすると、彼女の巨乳がぷるんぷるん♡と揺れた。
向かい側に座り、俺は自分の爆乳を机の上にのせた。スライムのように形を変えていくおっぱいと肩から重さが抜けていく感覚……ああ、楽だ。おっぱい片方で一キロ以上あるからなあ。
「うわ、やっぱ花蓮のおっぱいってすごいわ」
「……そういうひなちゃんだって、立派なもの持ってるじゃない」
「あんたには負けるって。お……うちのはせいぜいGカップだし」
「十分でしょうが」
その後、俺たちはとりとめもない話をした。
ひなちゃんが話し上手だったおかげで、俺の心はだんだん落ち着いていった……もしかしたら、俺が痴漢にあったことを気遣って話してくれていたのかもしれないな。
そのうち、話題は『佐山香介』にそれていった。
「でも、佐山もナイス対応だよね。流石花蓮のカレシ」
「だ、だからぁ、あたしと佐山くんは付き合ってなんか……」
『川城花蓮と佐山香介は付き合っている』
その噂が本当か聞かれるたびに、俺と川城は否定しているが、誰にも信じてもらえたことはない。
「……夏のプールで二人でものかげに消えてったのに、付き合ってないってのは無茶があるでしょ……」
「あ、あれは……」
ひなちゃんの指摘に体が熱くなる。
二人で消えていったというのは、ものかげでパイズリフェラをしたことを指しているのだろう。
だめだ。みんなに凹んでると思われてるのにあんなことを思い出しちゃ。
「ふーん……まあ、花蓮がそういうなら、そういうことにしておいてあげるわ」
ひなちゃんは興味なさげにつぶやいた。
「ってか、佐山ってあんなにかっこよかったっけ。春くらいまで空気みたいっていうか、モブっぽかったのに」
『春くらいまでの空気な佐山』というのは、入れ替わる前の俺のことだ。主体性もリーダーシップもない情けない男。それがかつての俺、佐山香介だ。今の『佐山香介』とは大違いだ。
川城を褒められたこととかつての自分を貶されたことに複雑な気持ちになっていると、ひなちゃんが俺に顔を近づけてきた。
ふわりと柑橘系の香りが鼻に届く……なんで美少女っていい匂いがするんだろう?
「でも、ちゃんと捕まえとかなきゃ誰かに盗られるかもよ?」
少し考えて、それが『佐山香介』のことをいっていることに気づいた。
「盗られちゃうって……誰に?」
「色んな女に。アイツ、結構人気あるんだからね」
そのことは情報交換で知っていた。
川城が『佐山香介』になってから、最低でも週に一回は女子から告白されている。
スポーツのうまさやリーダーシップ。凛々しい顔つき。どれも女子から人気が出る要素だ。
「昨日も後輩に告られてたし。一昨日は他校の女子に告られてたっぽいよ」
「え、そ、そうなの?」
「うん。うちもひ、雅紀と一緒に見たから、本当だよ」
ここ数日、文化祭の忙しさもあって情報交換をしていない。
もし、川城が別の子と付き合い始めたら……俺はどうすればいいんだ?
俺の中で不安が渦巻いていると、ひなちゃんはにこりと笑った。
「ごめん。発破かけてるつもりだったんだけど、不安にさせちゃったか」
「あ、ううん……大丈夫」
「まー、いざとなったらその体使ってユーワクすれば大丈夫っしょ。男子っていっつもエロイことしか考えてないし」
「あ、それはわかるかも」
「あははは……ってあれ、雨?」
ひなちゃんが外を向くと、向こう側から暗い色の雲がやってきていた。
それはまるで俺の心を示しているようで、休憩時間が終わるまで、俺とひなちゃんはずっとそれを眺めていた。
☆
夕方になり、外ではすさまじい豪雨が降ってきた。
俺はその中を傘をさして歩いていた……『佐山香介』を迎えに行くためだ。
喫茶店の食材が少なくなってきたとき、『佐山香介』は一人で食材の買い出しへ行った。
だが、彼が帰る前にすべての食材がなくなってしまい、一人では買い足せないだろうということと残り時間が少ないことから、『チャイナ喫茶』は早めの店仕舞いするということになった。
携帯で連絡すると、『佐山香介』は近くのバス停で雨宿りしているらしい。それをクラスメイトたちに伝えると、ひなちゃんが「佐山を迎えに行きな」といって傘を一本だしてきた……『恋人である』という噂がこんなところにも影響するのか。
そんなわけで、俺はたった一人で雨の中を歩いていたのだった。
傘のおかげで雨は防げているが、湿気のせいで薄い生地のチャイナドレスが体にひっついてくる。ブラをつけていないせいで、乳首が浮いているように感じる……着替えてこればよかった……。
その時、激しい雨が横から吹いた。
「きゃあぁぁぁっ!」
あまりの強風に傘がひっくりかえる。
男だった頃なら直せたかもしれないが、俺は女だ。傘が持ってかれないようにするだけで精一杯だった。
道には俺の他に誰も通っていなかった。誰もいない。
その光景は不気味で、俺は不安になってきた。ともかく誰かに会いたかった……あの人に会いたかった。
その時、向こう側にバス停が見えてきた。
その下には『佐山香介』……川城花蓮の姿がいた。
「佐山くうん!」
瞬間、俺の心は嬉しさで飛び跳ね、足が勝手に走り出した。
「か、川城?……うわ、その服のままでここまで着たのか?」
「う、うん! あたし、佐山くんを迎えに来たの! こ、これ、傘! だったんだけど……」
「……折れてるな」
「二本持ってこればよかったわ……」
相合い傘で帰ってくるために、ひなちゃんは傘を一つしか渡してくれなかった。それが仇になった……というか、なんで俺も素直に一本しか受け取らなかったんだ……。
結局、俺は迎えに来たのに一緒に雨宿りすることになった。ただ足手まといが一人増えただけだ。いや、思えば俺はいつも川城の足手まといだったかも……
「つーか、お前の服透けすぎじゃね?」
「え……や、やんっ!……み、見ないで」
体を抱きしめて相手に背中を向ける。
裸も見られたし、何度も抱かれた。その上相手は元女で、そもそもこの体の持ち主だ。そこまでわかっているのに、体を見られることがすごく恥ずかしい……
「あ、こ、これは不可抗力っていうか、この前のビキニとかメイド服とかセクシーランジェリーみたいに挑発してるわけじゃなくて……」
恥ずかしさのせいで頭が混乱して、おかしなことをいってしまう。
そんな俺の前で、川城は男子制服の上着を脱いで、俺に向けて差し出してきた。
「わかってるって。川城、そのまんまじゃ寒いだろ。これ羽織っとけ」
「え……あ、ありがとう……」
てっきり昼間のようなセクハラが飛んでくると思っていたので、俺は拍子抜けした。
俺は男子制服を羽織った。俺の体をすっぽり包み込むそれは、まるで川城に抱きしめられているようだった。
学生服に鼻を近づけると、オトコノコの匂いがする。
「ここに立ってると寒いし、中の方に入ろうぜ。寒さはともかく、風は防げる」
「え、ええ……」
バス停の奥へシャツ姿の川城が歩いていく。
俺はその後ろを三歩下がってついていった。
バス停の奥には壁に覆われているスペースがあった。壁にはガラスがはめ込んであり、外の風景が見える。
「よし、ここで雨の勢いが小さくなるのをまとうぜ」
「ええ、そうね……」
「ほら、ここに座れよ」
そういって、川城はベンチの上にハンカチを敷いてくれた。
女扱いされていることは不愉快じゃない。むしろほのかに心地よく、少しむずがゆい。
「ありがとう……」
礼をいって俺が大きな尻をバス停の椅子に置くと、川城は俺を見下ろしてにこりと笑った。
「あ、そうだ。川城」
「なあに?」
「迎えに来てくれてありがとな」
「ふぇっ!?」
不意打ちのようなかっこいい笑顔。こんなの反則だろ……♡
顔が熱くなってくる。やばい。胸のドキドキが抑えられない。
「あと、ここなら普段通りに喋れるから、佐山くんも普段通りにしていいわよ」
「え、あ、ああ、そうなのね。あ、安心だわ……じゃ、じゃなくて、安心だな」
「文化祭中はずっと体に合わせてたから、素に戻るのは久々な気もするわね」
「そ、そそ、そうだな」
川城の横顔から目が離せなくて、返答がしどろもどろになってしまう。
今の自分はどっちモードなのかわからない。切り替えができない。まずい。これはまずい。
「そういえば、うちのクラスはもう出し物終わったのよね?」
「も、もう出すものがなくなったからね……からな。みんな、今は片付けしてるよ」
「後夜祭とかどうするんだろ?」
「こ、この雨はにわか雨だから、キャンプファイアーはできるんだってよ……じゃなくて、てきるのよ……じゃなくて、できるんだよ」
「ふうーん、そうなのね……」
川城はポツリと呟き、外を見た。おそらく、その先には学校があるのだろう。
「文化祭は成功ってことでいいのかしら?」
「う、うん、お疲れ様、川城」
「ありがと。うちの看板娘さんが頑張ってくれたおかげよ」
「あ、ありがとう……ひゃ♡」
川城は俺の前に立つと、頭をポンポンとなでてきた。
きゅぅぅぅ♡と胸が締め付けられる。だ、だからまずいって……♡
「あー、でも、終わり際には立ち会いたかったなあー」
そういって、川城は俺の隣に座った。
勢いよく座ったせいで、椅子から俺の小さな体が少し浮き上がる。
……そういえば、初めてセックス――あの時はレイプだったが――したのも椅子の上だった。あの時は男になりたての川城が性欲を我慢できずに俺を襲ったのだ。
あの時、俺が全力で拒否していたら、今の俺と川城はいないはずだ。
俺は女としてうまく生きていけなかっただろうし、川城は俺を求めなかっただろう。
――その時、俺はひなちゃんが『盗られちゃうかも』と話していたことを思い出した。
俺と川城は『どうしても半年間元に戻れないなら、せめて異性の生活を楽しもう』という約束をしている。
『異性の生活を楽しむ』ということには、やっぱり恋人をつくるということも含まれるはずだ。
「やだ……」
思わず口から出た。
心のもやもやが膨れ上がってくる。この人の相手が他の女子なんて、そんなの……いやだ。
「……ひ、ひなちゃんから聞いたんだけどさ。川城、昨日後輩に告白されたんだって?」
「あら、噂が広まるの早いわね」
「ど、どんな子だったんだ?」
「うーん、どんな子っていわれても、名前も知らない子だったし……いきなり呼び出されて佐山先輩好きです!っていわれて……まあ、いつもどおり断ったわ」
「そ、そっか……こ、好みの女子じゃなかったとか?」
断ったということが嬉しくて、つい声が上ずってしまった。
川城が女子たちの告白を断り続けているのは、もしかしたら別の好きな子がいるからじゃないだろうか。身近にいる女子とか……
「いや、別にそういうことじゃなくて、この体は佐山くんのものなんだし、元に戻った時に困るでしょ?」
その言葉で俺は目が覚めたような気持ちになった。
そうだ。俺は重要なことを忘れそうになっていた。
俺と彼女は入れ替わり相手だ。それ以上でもそれ以下でもない。
「そ、そうだよな。それ、俺の体、だもんな……」
薄笑いを貼り付けて顔を伏せる。
下を見ると、さらりと明るい色の長髪が頬を撫でた。メロンのような爆乳がぷるぷると揺れている。それを細すぎる腰が支えている。ベンチで潰れる大きすぎる尻。モデルのようにすらっと伸びた長い足……すべて借り物だ。
本当の俺はクラスで人気者の美少女じゃない。何の才能もないダサいコミュ障男子だ。
そんなことも忘れて一人で盛り上がるなんて、バカにもほどがある。
――それでも、俺は……
「……でも、最近はそれだけじゃなくって」
川城がポツリとつぶやいた。
顔を上げて川城を見上げる。川城は俺と目を合わさずに遠くを見ていた。
「ちょうどいいかも。佐山くん、ちょっと話聞いてくれるかしら?」
「う、うん……」
「あたしね、最近、自分が男の子なんだなぁって思うの」
川城がごくりとつばを飲み込んだ。外に大きく飛び出した喉仏が上下する。
「力が強いとか、おちんちんがあるからってのもあるけど……心が男の子なんだなって思うのよ。スポーツとか、男子同士のくだらない話が好きとか……えっちが好きとかね」
川城がためらいつつ話したのはそんな内容だった。
だが俺はすんなりとその話を受け入れられた。
だって川城が男子化しているのだとしたら、俺も女子化しているのだから。
最近の俺はウィンドウショッピングやネイルを楽しんでいる。料理やお菓子をつくることが楽しい。女子たち……友達となにげない会話をするだけでも楽しい。
「まあ、それで、人の好きなところも変わってきてる……っていうか、男の子として女の子の好きな部分があってね。かわいい顔とか、大きなおっぱいとか大きなお尻とかはもちろん好きなんだけど」
川城は一瞬口ごもり、決心したようにまた口を開いた。
「人を気遣える心とか、いたずらっぽい部分がある女の子が好きっていうか」
そうか。男の川城はそんな女子が好きなんだ。気遣いのある女子。いたずらっぽい部分がある女子。誰なんだろう……
「春に私が襲ったのに許してくれた心の広さとか、夏にあたしを誘惑してきたいたずらっぽさとか、エロエロコスチュームだっていうのに、それを用意してくれた子たちを思ってつい着ちゃう優しさとか……ね」
「それって……」
「気づいたらあたし、男としてその子のことが好きになってた。その女の子は本当は男なのにね」
自分の顔が熱くなっていくのを感じる。
驚きと嬉しさと恥ずかしさで心の整理がつかない。生理のときだってこんな頭がぐちゃぐちゃにはならない。心の動きが体の中で乱反射して、体の動きをとめている。
「ごめんね。気持ち悪い話して。だけど、どうしてもいっとかなきゃいけないと思って。あたしたち、あとちょっとで元の体に戻っちゃうから……」
「き、気持ち悪くなんかないっ!」
俺はその場で立ち上がった。おっぱいがぶるん♡と揺れたって、ドレスのスカートがまくれたって気にしない。
「お、俺も川城のことが好きだ!女の子だった川城も好きだったけど!今の男の川城のことはもっと!もっともっと大好きだ!!」
「佐山くん……」
「お、俺を川城の彼女にして欲しい!元に戻るまででいいから……お、お願い……お願いします……」
言葉は尻すぼみになってしまった。感情が高ぶって喉奥が痙攣したからだ。
川城は立ち上がると、無言で俺の背中に手を回した。
ぎゅっと抱きしめられている。温かい。外の雨音が静香に聞こえる。
目から涙が溢れてきた。悲しいときじゃなくて幸せなときでも涙がでるんだな。
俺はこの人のカノジョなんだ。この人の恋人なんだ。
好きな人と気持ちが通じ合うってなんて幸せなんだ……♡
★
幸せな陶酔感に浸っていると、おなかに硬いものがあたっていることに気づいた。
勃起したちんぽだ。
いや、わかっている。『爆乳おてんば娘』のムッチムチの体を押し当てられれば、男子は自然とこうなってしまう。
わかっていたが、こんなムードのときにも反応するなんて。
男子の体って本当に単純だな、と呆れそうになる。
「……返事の代わりに抱きしめるのまではよかったけど、お腹にちんこあてるなんて、ムード台無しだぞ」
「男の子ってこういうものなのよ……まあ、春先まで処女だった女の子に男の子の気持ちなんてわからないかな?」
「なっ……そ、そんなこというなら、春先まで非モテ童貞男子だった川城に女の子の気持ちなんて……んむっ……♡」
言葉の途中で唇を塞がれた。相手の硬い唇が俺の柔らかい唇を押しつぶしている。
ただ唇同士をくっつけるだけのキス。恋人同士になったばかりの男女にふさわしい初々しいキス。気持ちよさと嬉しさが体中に広がる。
川城は唇を離すと、いたずらっぽく笑った。
「これでもわかってない? 佐山香介ちゃん?」
「ず、ずるいぞ……♡」
「女の子クイズは正解ってことでいいのかしら? ……ねえ、もっとずるくなってあげようか?」
「……お願いします……♡」
俺がうなずくと、川城はちゅっちゅっとキスを繰り返し始めた。
硬い唇が小鳥のように俺の唇にあたってくる。恋人の俺を本当に大事に思っているという気持ちが伝わってくる。
川城は俺の細腰に手を回し、俺の体を自分の体を引き寄せた。
俺の体に川城の手が這い、登ってくる。
「……そういえば、佐山くん、ゴム持ってきてる?」
「ううん、教室に忘れてきちゃった……♡」
「そっか、それじゃあどうしようかな」
「どうしよっかなってぇ♡ ……ひゃあんっ♡」
チャイナドレスの上から、胸を揉まれて甘い声を出してしまった。
ごつごつした男の手が薄い生地に沈んでいく。ノーブラなせいで、服の上からでも乳首の位置がわかってしまう。
川城は服の上から俺の乳首をなでてくる。焦らすような快感に俺の口は喘ぎ声を抑えられない。
「あぁぁ♡ ひぁぁぁぁ♡」
「ね、今日は生でシていい?」
「い、いいに決まってるだろ……♡ 俺たち、恋人なんだから……♡」
「そうよね……口、開けて」
川城の宣言に、俺は口を開けて迎え舌をした。
従順な俺の態度を満足そうに眺め、川城は俺の顔に覆いかぶさった。
川城の舌が俺の舌に絡み始める。
「ふぁむっ♡ んんっ♡」
恋人になって初めてのディープキス。
今までのキスも気持ちよかったが、これは格別だ。
俺は悦んで男のざらざらした舌に自分の舌を絡ませ、相手の口内を舐めた。
「れろぉ♡ んむ♡ ふぁれ♡ ちゅぷ♡」
男の舌は俺の歯茎の裏や口の奥も舐め尽くした。唾液の交換なんて生易しいものじゃない。これは押し付け合いだ。
「んちゅ♡ んんん♡ ふぁぐ♡ ふぁあぁ♡」
お互いの存在を貪るようなキスはその後もしばらく続いたが、川城が俺の肩を引き離したことでそれは終わってしまった。
俺と川城の口の間にきらきらした綺麗な色が伸びている。
「まだちゅーしてたいよぉ♡」
いつもなら恥ずかしさから否定していたが、カノジョになった今はおねだりも恥ずかしくない。
名残惜しい。このままずっとキスしていたい♡ ずっと抱きしめられてたいよぉ♡
「佐山くんったら、甘えん坊になっちゃったわね……でも、ダメよ。キスだけで日が暮れちゃったら嫌だもの」
優しい声色の命令に、俺はこくりとうなずいた。
「あたし、佐山くんのおっぱいが見たいわ」
「うん♡わかった♡」
声にしたがって、俺は首元の紐を外していく。
ゆっくりゆっくりチャイナドレスを引き下ろしていくと、ブルゥンッ♡と俺の胸が爆発するように外側に飛び出した。
『爆乳おてんば娘』のあだ名通りの凶悪な乳がふるふる♡と揺れ続けている。その先端では膨れ上がった乳首がその身を硬くしている。
川城はごくりと生唾を飲んだ後、俺のおっぱいに手を伸ばし、揉みしだき始めた。
「あふぅん♡ あっ♡ ひゃ♡」
「相変わらず大きいわね、この生意気おっぱい……また大きくなったんじゃない?」
「あひゃんっ♡ 実は……はぁんっ♡ ちょっと前に測ったらHカップになってて……んんっ♡」
「Hカップ……さすが『おてんば爆乳娘』ね」
「はぅん♡ あっ♡ ふぁんっ♡」
そのうち川城は尻にも手を伸ばしてきた。俺の豊かな尻肉に五本の指が食い込んでくる。
「きゃはぁんっ♡」
「なんか佐山くん、お尻も大きくなってない?」
「あん♡ か、川城が毎日触りまくるからだろ……こ、この、痴漢……♡ んあぁんっ♡」
「だって触りたいんだもの。大きくて柔らかくて、ずっと触ってても全然飽きないんだから」
「はぅん♡ オモチャじゃないんだぞぉ♡ あふ♡」
言葉ではそういいつつ、オモチャのように扱われるのが嬉しくて仕方がない。乱暴にされることが嬉しい♡
胸と尻を揉みしだかれるうちに、体の奥から熱いものが下半身に下っていく。
それはとろりとした粘液として、俺の膣から垂れていき、黒いショーツに深い染みを作った♡
膣にさわられなくても、俺の体はセックス用に仕上がっている。今までの川城の調教の賜物だ。俺の体はとっくに川城のちんぽ専用になっているんだ♡
「ね、ねえ♡ 川城ぉ♡ そろそろぉ♡ お願いぃ♡」
もじもじと太ももをこすり合わせておねだりすると、川城がとびっきり意地悪な顔を浮かべていた。
「そうねぇ。じゃあ、今日は騎乗位にしましょ」
騎乗位。
いきなり言われたセックスの体位に顔が熱くなり、ジュンと股が濡れた♡
「き、騎乗位なんて……♡」
「なにその反応。佐山くん、まるで処女みたいね」
「ひ、非処女で悪かったなぁ……♡」
「悪いわけないでしょ。そもそもあたしが佐山くんの処女を散らしたんだし……そう考えると、その時点からあなたはあたしの女なのよね」
「はぅぅ……♡」
カノジョ扱いされている。嬉しい……♡
でも、いつも正常位や対面座位だったから、こっちが主導で動くのは初めてだ。うまくやれるのかな……。
ジーッという音が聞こえると、川城がズボンをおろしていた。
「さ、あたしのムスコもそろそろ我慢しきれないみたいだしね」
「きゃあっ♡」
川城がスボンと下着を下ろすと、ボロンッとペニスが姿を表した。
ビキビキに勃起した男根は赤黒く光っていて、細い血管を幹に走らせている。
俺を犯すことしか考えていない、オスの権化とでもいうようなその形とたくましさに、思わず吐息が漏れてしまう。
「もう、いちいち反応がかわいいなあ。あたしのカノジョは」
「だってぇ♡ すごいんだもん♡」
「誰がこんな形にしたと思ってるのよ……じゃ、始めましょ」
川城はバス停のベンチに仰向けで寝転がると、俺を手招きした。
俺はベンチの上に登ると、川城をまたがって腰を落とした。大きく腰を前に突き出したいわゆるエロ蹲踞というポーズだ。
まだ下着はつけたままだ。脱ぐのを忘れたわけじゃない。川城はショーツをずらして挿入したり、ショーツを片足に残してたりするのが好きだからだ……この変態カレシめ♡
俺は腰を前に出したまま、勃起したペニスと黒下着がくっつくまで腰フリとすり足で動いていった。動きのせいで巨大な胸がぶるんぶるん♡と揺れてしまう♡
俺の下品で間抜けな姿を見て、川城はにやにやと笑いを浮かべている。
「この角度から見るHカップのおっぱいってすごい迫力ね。顔がちょっとしか見えない」
「か、からかわないでぇ♡ ……はぁんっ♡」
「からかってないわよ。佐山くんのおっぱいがえっちすぎるってだけ」
「え、えっちだなんてぇ♡ やあぁんっ♡」
「お、到着したわね」
下着一枚挟んで、俺の膣と川城のペニスがくっついた。
クリトリスがペニスの先っぽで刺激され、俺の体に甘い快感が走る。
「あふぅん♡」
「じゃあ、そこでちょっと腰浮かしなさい」
「は、はぁい……♡」
「下着をずらして、そこで座りなさい」
俺は下着の端をつまむと、デカすぎる尻の片側に引き寄せた。
ここで初めて、俺の膣が空気中に顕になった。
ちんぽが待ち遠しいからか、俺のはしたないそれはひくついていた。
俺は腰をゆっくりおろしていった。
ヌチュッ♡
「うぁぁぁっ♡」
膣口に亀頭が触れ、そのまま突入してくる。いや、俺が受け入れてるんだ。
カリが膣壁をゴリゴリと刺激し、俺の体中に甘いセックスの快感を走らせる。
「亀頭が全部入ったわ。わかる?」
「ひゃあぁあん♡ わ、わかる♡ わかるよぉぉぉ♡」
先っぽだけしか入っていないのに、この快感。
舌から唾液が出るのを止められない。俺はまるで盛りのついた雌の獣だ。
「相変わらず佐山くんのおまんこはあたしのちんぽに絡みついてくるわね。そんなにちんぽが待ち遠しかった?」
「ち、違ぁ……♡」
いいかけたところで、俺は目の前の男が俺のカレシということを思い出した。
恋人同士で嘘をついていいのか?いや、ダメだ♡
「そ、そうです♡ ちんぽが待ち遠しくって♡ 文化祭中ずっとおまんこぴくつかせてました♡ 頭ポンポンされて、男のクセにおちんぽハメハメして欲しくなってましたぁ♡」
「……ふふっ、正直な佐山くんはかわいいわね」
「か、かわいい、なんてぇ……ひゃああんっ♡」
「ちょっと手伝ってあげるわ」
川城はくすりと笑うと、俺のふとももに手を食い込ませ、俺を引き寄せた。
「え……♡ あ♡ あはぁぁぁぁ♡」
ズプズプズプ♡と俺の膣がペニスを飲み込んでいく。ペニスが進んでいくにつれ、燃えるような快感が俺の脳内で何度も弾け、俺を狂わせていく。
「あはぁ♡ はぁぁぁっ♡」
「大丈夫よ。ゆっくりしていくから……」
「うぅぅぅぅ♡ あぁぁぁぁ♡ ふぁあぁぁぁぁん♡ あ♡ あはぁ♡」
快楽で勝手に体がくねってしまう。
女である俺は男の川城の力に敵わない。女は男に敵わない。この体になって何度も絶望した言葉だったが、今ではその言葉にも幸せを感じる。
だって、この人は俺を守り、気持ちよくするためにその力を使ってくれるんだから♡
「全部入ったわよ。子宮がつかれてるのわかる?」
ぷにぃ♡という快感とともに挿入の動きが止まった。
おかしくなるほどの快楽に川城の逞しい胸板に手をついて休むしかなかった。もう、動けない……♡
「う、うん……わかる♡ あはぁ♡」
「ちょっと動かしてみちゃおうかしら」
「えっ……♡ あっ♡ ら、らめっ♡ イっちゃう♡ イッちゃうからぁぁぁっ♡♡♡」
川城が遊び半分のように俺の体を動かすと、快楽の雷が何発も落ちてきた♡
体中がビクビクと震え、膣からプシャアア♡と愛液がこぼれていく♡
女としての絶頂は何度も味わったが、今回のは格別だ。恋人になったからだろうか、文化祭中お預けされていたからだろうか。
いや、どうでもいい♡気持ちいいってことだけでいい♡
「あ、あはぁ♡ おっ♡ おぉ♡ ああぁぁぁぁあん♡」
「……いつも思ってるけど、佐山くんってイクの早すぎよね」
「ら、らって♡ 気持ちよしゅぎるからぁ♡ おれぇ♡ 淫乱だからぁぁぁ♡」
叫んだ後、俺は再び川城の胸板にへたりこんだ。
川城は苦笑しつつ、俺の頭をなでる。その微細な動きが俺の体を動かして、ペニスの刺激をかけめぐらせる♡
「それで……佐山くん、動ける?」
川城にいわれ、俺はゆっくり起き上がった。
今のところ俺だけが気持ちよくなっている。このままだと川城を肉ディルドーのように扱っているだけだ。
そんなのはいやだ♡ 俺は川城にも気持ちよくなってほしいんだ♡
「う……動けっていって♡」
「え?」
「め、命令してくれたら♡ 動けるから……ぁん♡」
多分、俺はまた一動きしたらイッてしまって動けなくなるだろう。
だが、カレシである川城が命令してくれれば、俺は動き続けられる♡
「じゃあ……動きなさい」
「う、うん♡ わかったぁ♡」
俺は腰をそうっと持ち上げると、川城の腰に自分の腰を打ち付けた。
ぱちゅん♡という肉と肉がぶつかり合う音が響く。
「ああっ♡♡♡ ふああああっ♡♡♡」
打ち付けるたびに体と脳が絶頂に震える。膣からは愛液が、体中から汗が吹き出す♡
「やぁぁぁっっ♡♡♡♡ あああぁぁぁぁん♡♡♡♡♡」
俺の体と心は目の前の男のためのものだ。俺はこの男のカノジョなんだ♡ 恋人なんだ♡ モノなんだ♡
「好きっ♡ 川城っ♡ しゅきぃっ♡」
腰を振りながら、俺はそう叫んでいた。
舌をだして叫んでいたので舌っ足らずになっていたが、意味は通じたようで、川城はほほ笑みを浮かべていた。
「じゃあ、ちんぽとあたし、どっちが好き?」
「どっちもぉ♡ どっちも大しゅきなのぉ♡」
バカな女子高生のような発言。だが、それも今の俺だ。性欲に溺れるバカな爆乳女。
そう自覚していくと、俺の中にたまっていた絶頂が共鳴したように震え上がり、俺の中で爆発した♡
「イ、イクッ♡ イグゥゥゥゥッッッ♡♡♡」
ピンク色のフラッシュが周りに広がり、一瞬俺の全身から力が抜けていった。
俺はまた川城のたくましい胸板の上に体を預けた。かつての自分の顔が優しい瞳で俺を見ている。
川城はかつての自分の顔がみっともなく喘ぎ、淫語を叫んでいることをどう思っているんだろう……嬉しいと思ってくれてるといいな♡
「その体、体力少ないのに頑張ったわね。少し休憩しましょ」
「はぁい……♡」
下半身は繋がったまま、俺は川城の太い腕に抱きしめられた。
肩を指でリズミカルに叩かれている。なんの音楽なのかわからないが、落ち着く。体に刻まれた音楽なのかもしれない。
川城は首を傾け、俺の首筋に唇を当ててきた。
「あぅぅぅぅっ♡」
首筋を吸われ、キスマークをつけられる。この人の所有物であるという証が俺の首についてくる♡
「どう、そろそろ動けそうかしら?」
「無理ぃ♡ 今のキスでイッちゃった……♡」
「もう……可愛いなあ、私の彼女は」
「ふにゃ……♡ にゃにゃ……♡ にゃぁん……♡」
顎の下を撫でられ、猫のような声を出してしまう。今度はネコ耳で誘惑してみようかな……♡
そんなことを考えつつ、猫手をベンチの上でこするとごつごつした感触がした。
「あれぇ、もしかしてぇ……」
「どうしたの?」
「このベンチ硬い……あ、そうかぁ。だから、今日は騎乗位にしたんだな……はぁうっ♡やっ♡ あっ♡ こ、腰ふってごまかすなぁ♡」
「いや、だって痛い思いさせたくないし……カレシはカノジョのこと守るもんだし」
キュゥゥゥン♡♡♡
俺は相手の顔を掴み、自分の柔らかい唇を相手の唇に重ねた。
好き。愛おしい。嬉しい。
様々な幸せの感情をこめてディープキスをする。それに答えるように川城もぺちゃぺちゃと俺の舌を味わった。
口を離し、俺は潤んだ瞳で川城を見つめる。
「でも、やだ♡ 俺、川城が傷つくのやだもん♡」
「えぇ……じゃあ、どうしろっていうの?」
下半身はつながったまま起き上がり、俺はぱっと手を広げた。胸についた巨大な双丘がぷるるん♡と揺れた。
「持ち上げて♡」
「……もう、あたしの彼女はワガママなんだから。よいしょっっと」
「きゃあんっ♡」
川城は体を起き上がらせて軽々と俺の体を持ち上げた。ふとももの下に足を回して持ち上げる、いわゆる駅弁スタイルだ。
「はぁぁあんっ♡♡ イクゥッ♡」
持ち上げられた勢いでペニスが深く食い込み、俺はまた絶頂を迎えた。
川城はとろけた俺の顔を愛おしげに見つめている。
「そろそろあたしも我慢きかないから、ラストスパート行くわよ」
「うんっ♡」
そういうと、川城は腰を大きく動かし、腕二本で俺の体を上下させた。
俺の爆乳や太ももはばるんばるんっ♡とダイナミックに震え、限界まで登ったはずの熱がさらに高まっていく。
「あはぁんっ♡ あぐ♡ また俺だけイッちゃうぅ♡」
「大丈夫よ! そろそろ! あたしもイクから!」
「はん♡ か、川城っ♡ 俺、川城との赤ちゃんが欲しいっ♡」
「それって! 本当は女のあたしがパパで! 本当は男の佐山くんがママになるってこと?」
「あふっ♡ そうっ♡ 中出ししてっ♡ 俺を孕ませてぇ♡」
「もう! しょうがないわねぇ! やってあげるわよっ!」
「あ♡ あふっ♡ ああっん♡」
膣内でペニスがぶるりと震える。
俺は川城の体に腕と足を絡ませた。しょせん女のひ弱な力とわかってはいるが、それでも俺は愛しいカレシの体を一生懸命に抱きしめた。
ペニスの太い幹をドクドクドクッ!と熱い液体が登ってくる。
「出るッ!」
「出してぇっ♡♡♡ はぁぁぁあああああぁぁぁんっっっ♡♡♡♡♡」
膣内に大量の精液が吐き出される。膣壁に白濁液が叩きつけられ、擦り付けられ、染み込んでいく。
大量すぎたせいで膣とペニスの間を精液がどろりと垂れていき、バス停の床にしずくになって落ちていく。
川城の出したオスの液体がメスである俺の子宮に染み付いていく。この絶対に孕ませようとする感覚♡ ママみたいに妊娠していたらいいな♡
しばらく俺と川城はそのまま抱き合っていたが、やはり俺は女だ。情けないが、力が抜けていってしまった。
川城は俺をベンチまで運んで横たわらせた。ちんぽが抜けたからか、ぽっかりとアソコが開き、そこから精液がコポコポとこぼれていく♡
顔を横に向けると、川城のへたったちんぽが見えた。先っぽでは愛液と精液が滴っている……ちょっと汚いかも。
俺はベンチの上で起き上がり、川城を手招きした。
「佐山くん、どうしたの?」
「お掃除フェラ……してあげるから……じっとしてて♡」
俺は精液まみれのちんぽを掴むと、亀頭にちゅっとキスをした。
不思議なことに、そんなことでも心に多幸感が訪れた。まさか、ちんぽにキスして幸せになる日がくるとは思わなかったな♡
精液が額や顔に垂れてくる。特濃精液の匂いがセックスでピンク色になった脳に染み込んでいく。ああ、悪くないかも……♡
俺は川城のちんぽに舌を伸ばし、しゃぶり始めた。ぴちゃぴちゃと舌をならし、ちんぽを綺麗にしていく。
精液なんて好きじゃない。だが、カレシの精液ならいくらでも飲める。たまらない♡中毒になっちゃいそう♡
川城が俺の頭をポンポンとなでる。
俺たちを祝うように、外からの夕日がバス停を照らした。雨が上がったのだ。
でも、もうちょっとだけ、こうしていたいな♡
☆
俺たちは手を恋人つなぎしながら学校へ帰った。
学校につく頃には日は沈んでいて、校庭では後夜祭のキャンプファイアーが焚かれていた。
俺たちはクラスメイトたちと合流すると、付き合い始めたことを発表した。
クラスメイトたちの反応は冷静でみんな「知ってる」と返してきた。
その上、俺の首筋のキスマークを発見され、帰りが遅かったことからセックスしてきたこともバレてしまった。
そのせいでクラスメイトたちからバカップルとあだ名されるようになったが……ちょっと嬉しかった。
クラスでの締めの挨拶が終わった後、俺と川城はキャンプファイアーの周りでフォークダンスを踊ることにした。
春前までは自分が女側でフォークダンスをするなんて考えてもいなかったし、カレシと踊ることなんて想像もしていなかった。
「……俺、小さい頃は男子たちと遊んでたんだけどさ。いつからか女子ってことで距離置かれるようになったんだよ」
踊っていると、川城が男口調で話し始めた。
周りの組とは離れているから聞かれる心配はないが、一応学校ということで男口調を使っている。
「だから、この体になったときは嬉しくってさ。それではしゃいじまって……花蓮にはたくさん迷惑かけちまった」
「ううん、気にしないで。今のあたしには香介くんの気持ち、すごくわかるもの……でも」
「……でも?」
「あたしはこの体が好き。おっぱいが大きすぎて肩が重かったり、太ももが太すぎてまともに歩けなかったりするけど……今の香介くんがあたしを好きっていってくれるのは、あたしがこの体だから」
俺がそう返すと、川城は笑顔をほころばせた。自分の下の名前を人に対して言うのは変な感覚だ。でも、これからは恋人同士になんだから、慣れないと。
川城は俺の細い腰に手を回すと、俺を自分の体に引き寄せた。
「俺、なんか男の責任ってのをさ。お前と一緒なら果たせる気がするよ」
ドキッ♡
責任を取るという宣言に、鼓動が高鳴ってしまう。セックス経験済みで体は乙女じゃないのに、俺はずっとカレシにトキメキっぱなしだ。
「あたし、ずっとこのままでいたい……♡」
だから、つい口から願望が出てしまった。
言ってしまってからまずいと気づいた。
今は幸せな恋人同士だが、結局俺たちは冬には元に戻る。その約束を反故にするようなことをいったら流石に川城も不快になるだろう……
恐る恐る見上げると、川城は本当に幸せそうな笑顔を浮かべていた。
「俺も同じ気持ちだ。花蓮」
川城はそういうと、俺に唇を近づけてきた。
俺は目を閉じてそれを受け入れる。
甘くて長いそのキスは、俺にとって最高の返事だった。
もしいつか元に戻ってしまうとしても、この瞬間だけは永遠だ。
後日、『チャイナ喫茶』の売上の大半が『川城花蓮』のチャイナドレスブロマイドだと判明したが、それはまた別の話。
噂の出どころは、放課後カラオケに二人きりで入るところを見られたり、休日に手をつないでデートする姿を目撃されたからだ。
だがそれはあくまで噂であって真実じゃない。
五月のある日、俺たちは学校の空き教室で不思議なカメラを発見した。そのカメラを使った俺たちは意識を失い……次に目覚めた時、俺たちの身体が入れ替わっていたのだ。
つまり、本来は俺が佐山香介で、今の『佐山香介』が本物の『川城花蓮』なんだ。
修理店のオヤジによると、カメラが直るのは半年後らしい。そのとき自然に元の生活に戻るためには頻繁な情報交換が必要だ。
だから、俺たちはよく二人きりの姿を目撃されるのだ。まあ、最近は別の行為が目的になりつつあるけど……
入れ替わった始めの頃は、冴えない童貞男子から爆乳美少女になったことに混乱した。
人形のように整っている容姿や長くて綺麗な髪や白い肌はもちろんだが、俺が特に混乱したのは『川城花蓮』の体だ。
なにせこのムチムチの体は立ってるだけで胸も尻もぷるん♡と揺れる。普通に生活しようと思うだけで一苦労だ。
それでも夏頃にはなんとか『川城花蓮』らしくすごせるようになっていた。毎朝の身だしなみもどうにかできるようになったし、巨大なブラジャーを着けるのにも慣れた。ビキニを着てプールにも行ったしな。
川城の方はというと、なんと彼女は元々男になってみたかったらしく、すぐに男に馴染んでいた。
川城いわく、激しいスポーツや男子同士の気安い関係は楽しく、解放されたような気持ちになるんだとか。
俺にはその考えもなんとなくわかる。確かに『川城花蓮』の体は胸や尻が大きすぎてスポーツに適してないし、女子同士の人間関係は面倒な部分が多い……まあ、女子同士の関係はその分助け合い精神も強いので、俺としてはこっちの方が楽だけど。
そして一番肝心な部分、お互いの性的な部分について。
夏休み、俺たちは合意でセックスした。いや、してしまったというべきかもしれない。
それからストッパーが外れたように、川城は俺を四六時中求めるようになったのだから。
ベッドで、リビングで、風呂場で、デート先で、川城はいつでもどこでも俺の体を貪ってきた。
その勢いはまさに性の獣で、川城はコンドームの空き箱をいくつもつくりあげ、俺の体に白濁液をぶっかけまくった。コンドーム装着を義務化しなかったら俺の体は絶対に妊娠していたはずだ。
それは夏休みが終わっても収まることはなく、二学期の始業式が終わり、佐山家の『香介の部屋』に入った瞬間、川城は俺の爆乳を後ろから揉みしだいた。
的確な刺激に俺が喘ぎ声を出していると、川城はすばやく俺の服を脱がせていき……
――その日はこんな風に犯された。
対面から硬いものに突かれ、体に甘い刺激が走り回る。
「あはぁぁぁぁぁんっ♡♡♡」
膣が震え、愛液がぴゅっ♡ぴゅっ♡と結合しているペニスをしたたり落ちていく。ベッドに染みをつくっていく。
俺の白い肌には玉のような汗が浮かび、爆乳にそなわった薄ピンクの乳首はぷっくり膨らんでいる。
目の前の男は俺に顔を近づけると、耳元に息を吹きかけてきた。
「どうかしら?ここが敏感なんでしょ。ほらほら」
「いやぁん♡ らめぇっ♡ 突かないでぇ♡」
自分の指では届かない場所……体の奥を遠慮なくかき回され、俺は男の思うがままの反応をしてしまう。
「なんで突いちゃダメなの?そんなトロトロで気持ちよさそうな顔してるのに」
「イ、イッたばかりだからぁ♡ これ以上されるとこわれちゃうぅからぁっ♡」
「じゃあ壊れちゃいなさい。そのままメスの身体に溺れちゃいなさいよ」
「や、やらぁっ♡ そんなこといわないでぇ♡ いじわるぅ♡ あ♡ あ♡」
ゴリゴリとペニスが膣内で暴れまわる。俺は男に媚びるような声しか出せない。
「やだ♡ またくるっ♡ あんっ♡ またきちゃうううう♡」
「ほら、イきなさい!」
「イ♡ イギッ♡ あ♡ や♡ やあぁぁぁぁぁんっ♡♡」
硬いモノに思い切り突き上げられ、視界に激しいピンク色のフラッシュが焚かれまくる。
男と違って女は何度でもイケる。身を持って俺はそれを体感している。
薄らいでいく意識を保つため、俺は華奢な腕で相手を逞しい体を力いっぱい抱きしめた。お互いのしっとりした体が触れ合い、汗がベッドの上にたれていく。
「あら、佐山くん、またイッちゃったのね。あたしはまだ一度もイッてないっていうのに」
「は♡ あぅ♡ あぅぅぅ……♡」
俺と男は対面座位という形で繋がっている。男のちんぽは未だにギンギンで、俺の雌肉を串刺しにしている。
「こんなに我慢できないなんて、佐山くんって本当に男だったのかしら?」
「お、俺はおと……あぁんっ♡ い、いきなり動かにゃいでぇ♡ はぅん♡」
「そんなわけないわよね。男を誘うためにこんなでっかいケツ振って」
「あぁんっ♡」
「ちんぽ欲しさにまんこをきゅうきゅう締めつけてる子が男なわけないわよねぇ」
「はぁんっ♡ あっ♡ あっ♡」
男の両手が俺の尻を遠揉みしだく。その遠慮ない動きに俺の大きすぎる尻はぷるぷると形を震わせる。
「ちっ♡ ちがっ♡ お、俺はぁ♡ あはぁ♡ や、やめ♡ んっ♡」
「俺、じゃないだろ。あたし、だろ。花蓮」
「お、俺……♡ あっ♡ あぁぁぁぁぁんっ♡♡♡」
俺と口に出した瞬間、突かれてしまい、俺の体が絶頂した♡
こんなに間髪を入れずにイッていたら、本当に壊れてしまう。えっちなことしか考えられなくなってしまう♡
「わ、わかった……わ♡ かわ、佐山くん、こ、これ以上されたら、あ、あたし、変になっちゃうぅ♡ だ、だから……ひゃあああんっ♡」
「変になっちゃうから、どうして欲しいんだ?」
「お、お願いだから♡ あふ♡ も、もっと優しく……」
「優しく……どうしてほしいんだ?」
男の穏やかな声音が耳にあたり、ぞわぞわした気持ちよさを届ける。
男にどうしてほしいのか。そんなことは決まっている。
俺……いや、あたしの口から自然に口から声が出る。
「優しく犯してぇっ♡♡♡」
悲鳴にも似た媚びた声。でもしょうがないわ。今のあたしは男に媚びるしかない存在なんだもの♡
希望通りのことをいったはずなのに、佐山くんは顔でにやにやするだけ。もう♡ 意地悪なんだから♡
「なんで俺がお前の意見を聞かなきゃいけねぇんだ?お前は俺のなんなんだよ」
「あふぅんっ♡ あたしは佐山くんのぉ……♡」
火照った頭でぐるぐると考える。
あたしは目の前の相手にとってなんなんだろう?
『佐山香介』と『川城花蓮』はただのクラスメイト。でも、今はセックスする関係になっている。
じゃあ、セックスフレンド?それが一番近い気がするけど……
でも……それは……なんか……嫌……
あたしが答えないでいると、待つのに飽きた佐山くんが腰をゆさりと振った♡
「あっはぁんっ♡♡」
「花蓮、お前は俺専用のペニスケースだろ?」
茶化すような声。
そうだったわ。これはプレイの一貫。難しく考える必要はない。頭を切り替えなくちゃ。
あたしは淫乱爆乳女子高生の川城花蓮♡ 学校では『おてんば爆乳娘』って呼ばれてるの♡
今日は佐山くんに呼ばれて家にいったら冬服を脱がされてえっちされちゃった♡ 佐山くんったら強引なんだからぁ♡
頭の中にそんな認識が広がって、あたしの考えを変えていく♡
「は、はひっ♡ そうでしゅ♡ あ、あたしはあなた専用のおちんぽケース♡ 爆乳同級生オナホでしゅっ♡」
「よくいえました……おい、口開けろ。キスしてやる」
「あ♡ ありがとうございましゅ♡ んちゅぅ♡ れろぉ♡ はぁっ♡ んんんっ♡♡♡ んむむぅーーーっ♡♡♡」
ディープキスされながらペニスで突かれる♡ 気持ちよすぎぃ♡
お願い♡ もっとあたしを気持ちよくしてぇっ♡♡♡
――セックスの後、意識を男モードに戻した俺は、抗議のために川城をポコンと一発叩いた。
だが、対して効かず、川城は悪ガキのように笑うだけだった。
母性本能とでもいうんだろうか、その顔が妙に可愛く見えて……
川城のやつ。調子乗り過ぎだ。次のセックスのときは絶対流されないぞ……
そんなこんなでセックス三昧の放蕩な日々をすごしていると、あっという間に夏が過ぎ、秋になった。
☆
俺たちの高校では秋に文化祭が開かれる。
俺たちのクラスの出し物はくじ引きによって『チャイナ喫茶』になった。
『女子がチャイナドレスで接客する』という内容に女子たちから文句が続出したが、男子のリーダー格『佐山香介』が売上の大半を女子に渡すと提案したことや男子が許可どりや交渉ごとをすべて担うと申し出たことで、女子たちの文句は全くなくなった。
そんなわけで、うちのクラスの女子たちは髪を二つお団子状態にしてチャイナドレスを着て文化祭に出ることになった。
もちろん女子である俺もチャイナドレスを着ることになった……のだが、俺のドレスは他の女子とは違い、AV女優や風俗嬢がプレイで着るようなコスチュームだった。
服には谷間が見えるようにひし形の切れ込みが入っていて、スリットはショーツが見えるくらい深い。黒いガーターベルトとハイヒールも体のエロさを強調している。
このドスケベ服はクラス女子たちが俺のためにつくった服だ。『爆乳おてんば娘』の体は豊満な胸や尻のせいで普通の服を着れない。そこで女子たちは俺が仲間はずれならないようにコスチュームを手作りしてくれたのだった。
優しさでつくってくれたとはいえ、これを見せられたときは着るのを躊躇した。なにせ『男に犯してください』といっているような格好だ。まともな感覚をしていたらこんなものを着れるわけがない。
だが、今の俺はノリのいい『おてんば爆乳娘』の『川城花蓮』だ。そのイメージを崩すわけにはいかない……それに、この服を作った女子たちの頑張りを無駄にしたくない。
そういう経緯で、俺はこのエロコスチュームで文化祭をすごすことになったのだ。
スリットをひらめかせ、黒いショーツをパンチラしながら教室を歩く。
男たちの目がいつもよりも鋭い。顔、胸、腰、尻。性欲に満ちたオスたちが俺の肉体を交尾目的で見つめている。
この体になって男たちの目には慣れたが、ここまでの量は流石に寒気が走る。
だが、俺たち女子は文化祭の『出し物』であるのだからこうやって見られるのも商売だ。
女子たちとの話し合いもあり、俺は割り切って愛想と媚びを振りまきながら教室を歩いた。
その頑張りが実ったのか、文化祭は一日目二日目と大成功をおさめ、三日目も順番待ちをつくるぐらいの大人気を博している。
噂では爆乳チャイナ娘のイメクラ喫茶と呼ばれているらしく、今では俺やクラスの女子たちのブロマイドが出回っているらしい……かなり際どい写真だから、なにに使われてるかは考えたくないが。
☆
文化祭中、教室はベニヤ板やダンボールで男子担当のキッチンと女子担当のホールに分割してある。
女性客のテーブルに水餃子を届けた後、キッチンの方に戻ると、キッチンとの連絡窓から川城の顔が見えた。両手には大きなダンボールを持っている。
俺は後ろ手を組んで前かがみになり、胸をたゆん♡と強調しつつ川城に声をかけた。
「佐山くん、お疲れ様っ♡」
「おう、川城。お疲れ」
「……って、すごい汗よ。大丈夫?」
周りに人がいるため、お互いの体に合わせた口調だ。
というか今となっては二人きりの情報交換のときくらいしか、本来の口調で話す機会はない。
「忙しいからな……でも、大丈夫。俺、体力だけは自信あっから」
川城は笑顔を浮かべつつダンボールをかつぎなおした。鍛えられた太い腕には大きな力こぶが浮かんでいる。
その顔は爽やかで、かっこよくて、そして……俺、普段、あの腕に抱かれてるのか♡
「う、うん、知ってるわ……♡」
セックスしたときのことを思い出して顔が熱くなる。自然と下腹部がうずき、思わず太ももをすり合わせてしまう。
俺、いつもあの腕とか体とかにしがみついて喘いでるんだな。そして股間のアレに突かれてぐちゅぐちゅにされてるんだ……♡
「……川城、どした?」
「ふぇっ!?」
「なんか顔が赤いけど……」
「な、なんでもないわ!」
お、俺、何考えてんだ。日常会話だっていうのに、セックスのことを考えるなんて。これじゃあ本当に淫乱娘じゃないか!
川城は俺を心配の目で見つめている。やばい。どうにかごまかさないと……
そう思って目をうろつかせると、川城のエプロンに入っているタオルを見つけた。
「そ、そうだ! 佐山くん、汗拭いてあげるわね!」
「え、ああ、あんがとよ」
今の川城はダンボールで両手がふさがって汗がふけないみたいだ。
俺は川城のエプロンからタオルを取ると、川城の額……『佐山香介』の顔を拭きはじめた。
かつて自分のものだったはずなのに、その顔や体は他人のもののように感じる。
成長期の男女は少しの期間で大きく変わる。男の体はたくましくなるし髭も伸びる。春ごろの俺とは全く違う。
だが、俺は目の前の顔のことが嫌いじゃない。いや、むしろ……好……
「って、佐山くん、どこ見てるのよ」
川城は俺の胸元……チャイナドレスに空いた切り込みをじっと見つめ、鼻の下を伸ばしてにやついていた。
その顔はエロガキそのものの顔で、淡くのぼってきたふわふわした気持ちをふっとばした。
「マジその服すげえよな。いや、川城のデカパイがすげえっていうべきか?」
「さ、佐山くん、それ、セクハラ……」
「いやあ、前のビキニもいいって思ったけど、それもいいな。しばらくオナネタに困らねえわ」
「も、も~……♡」
俺は両手でさっと胸を隠した。むにゅにゅう♡と巨大なおっぱいが形を変え、むしろ相手に見せつけるような形になってしまう。
一応、このドスケベコスを着る前に本来の体の持ち主……川城に許可はとってあるから、このやりとり自体茶番なんだけど……
本当に川城って元女子なのか?どう見てもエロオヤジとしか思えないぞ。
「おい、なーにお前らいちゃついてんだよ」
川城の後ろから、男子生徒が声をかけてきた。
初島雅紀。軽音楽部に所属し、プロデビューの話も持ち上がっているというクラスカーストの最上位にいるイケメン男子だ。
俺が佐山香介だったときは絶対知り合いにはなれなかった人種だが、今の『佐山香介』とは妙にウマが合うらしく、今の俺ともグループとしてよく遊んだりしている。
「い、いちゃついてなんて……ないわよ」
「そうだそうだ。それに、文化祭終わった途端、天野とラブホに消えたお前にいわれたくねえぞ」
「げ……見られてたのか」
初島は天野雛子という美人の彼女を持っている。
二人はかなりラブラブであり、二人は高校在学中に子供を作る予定らしい……その発言にちょっとヒイたのは内緒だ。
「天野も愚痴こぼしてたぜ。ほどほどにしとけよ、雅紀」
「はぁ、後でフォローしなきゃな」
「あははは、ひなちゃんなら許してくれるわよ」
「まあ、まさ、雛子は優しいからな……あ、そうだ。香介、料理できてるぞ」
「お、ごくろうさん……川城、この飲茶、三番テーブルまで頼む」
「はいはい。任せて♡」
俺は初島から渡された飲茶を取って身を翻す。商売再開だ。
ふと、後ろから会話が聞こえた。
「香介、そろそろ川城のこと下の名前で呼んでやれよ。カノジョなんだからさ」
「だ、だから、俺と川城はそういうんじゃねーって」
「いつまで隠すんだよ。お前らこそ二人きりでカラオケ行ってるの見られてんだからな。こういうのは男の方からいくべきだぞ。それに、さっきお前の顔を拭いてる時の川城を見ただろ。あれは完璧にお前に惚れて……」
後ろから聞こえた会話はすごく気になったが、俺はどうにか興味を振り切ってホールに色気を振りまく仕事に戻った。
☆
ホールを歩くだけで、客たちの目は俺に釘付けになる。
女性客は『川城花蓮』の美貌を物珍しい美術品を見る目で見てきて、男性客は卑猥な目を向けてくる。中には前かがみになって動けなくなっているやつもいる……まあ、商売と割り切ろう。
俺は胸をゆさっ♡ゆさっ♡と揺らしつつ、飲茶を三番テーブルまで運んだ。
「おまたせしましたぁ♡ ご注文の品でぇす♡」
口から出るのは商売用の高い声。媚びを含んだ俺の声色に、三番テーブルの男性客は顔をデレっとさせた。
怖気が走ったが、これもサービスの一貫だ。我慢我慢。
「それではっ♡お食事をお楽しみくださいませぇ♡」
その時、胸を芋虫のように這い回る不快な感覚がした。
「ひっ……」
俺は自分の大きな瞳で男の顔をはっきりと見つめた。脂ぎった太った中年男がヘラヘラと笑って俺を……俺の深い谷間を見つめている。
今、こいつ、俺の胸を触った。
クラスメイトや他の客は気づいていないのか?
そう思って周りを見るが、ちょうど死角になっていたらしく、誰も俺が痴漢されたことに気づいていない。
「姉ちゃん、どうした?」
「あ、あ、い、いえ……」
「なんか言いたいことでもあんのか?」
勘違いじゃないとわかっているが、この男が開き直って暴れてきたらと思うと強くはいえない。
それに相手は客だ。ここで場を乱すようなことをすれば、店を続けられなくなるかもしれない。
俺は『川城花蓮』だ。ここは笑って流すのが『おてんば爆乳娘』らしいだろう。
「あ、あははっ♡ お客様がかっこいいからジロジロ見ちゃいましたぁ♡」
中年男に触られたのは間違っていない。だが、俺が頭を下げれば丸く収まるんだ。
本来の『川城花蓮』には申し訳ないが、ここは謝っておこう。
「あたしったらおっちょこちょいなんだから♡ ごめんなさ~い♡」
頭をこつんと叩いて腰を曲げる。その動きで爆乳がぶるるんっ♡と揺れた。
普通の男ならこれで許してくれるはずだろう……
「……なに、謝ればオッケーだと思ってる?」
しかし、俺の読みは外れ、中年男は調子づいた。
「い、いえ、そういうわけじゃありませんけどぉ……」
「女って本当に何も考えてねえんだな」
「いえ……すみません……」
「申し訳ないって思ってるんだったら、ちょっとこの後付き合ってくれないか?」
「え……そ、その……」
「いいだろ。すぐ終わるからさぁ」
中年男が再びニヤッと笑った。そして男が勃起していることに気づいた。
こいつは俺の体を見て、裸を想像して、男として興奮してるんだ。
そして、『すぐ終わる』……連れていった先で俺になにをさせるつもりなんだろうか。
だが、ついていかないとトラブルになる。そうなれば店が続けられなくなる。どうすればいいんだ。どうしよう……
「あんた、こいつの胸触ったろ」
後ろから力強い声が聞こえた。
振り向くとそこには『佐山香介』……いや、川城が立っていた。
「さ、佐山くん……」
「川城、後ろにいろ」
川城は俺の肩を引くと、俺と中年男の間に入った。なんだかその背中はやけに大きく、たくましく見えた。
突然現れた屈強な男子に驚いたのか、中年男はしどろもどろになった。
「な、なにいってんだ。触ってねえよ」
「じゃあ、なんでお前の手にチャイナドレスの糸がついてんだよ」
中年男が手を見ると、川城の言う通り糸くずがついていた。俺のチャイナドレスについているものと同じ色をしている。
「こいつのチャイナドレスはクラスの女子の手作りでな。縫いが甘くてよくほつれんだよ」
「ぐ……」
川城の詰め寄りで中年男が追い詰められていく。
よかった。もう大丈夫。彼が守ってくれる……♡
「今ここから出ていくなら見逃してやる……川城、それでいいよな?」
ぽーっとした頭のまま、俺はこくりと頷いた。
「だ、そうだ……さっさと消えろ」
川城がいうと、中年男は青い顔を浮かべて去っていった。
中年男が消えたのを見届けると、川城が深いため息をついた。堂々とした雰囲気だったが、やはり緊張していたのだろう。
「川城、大丈夫だったか?」
「え、ええ……ちょっと怖かったけど、大丈夫」
「強がんなって」
そういうと、川城は爽やかな笑顔を浮かべて俺の頭をポンポンとなでた。
「お前は女なんだからさ。もうちょっと男を頼れよ」
きゅん♡
胸が高鳴り、とろけそうな多幸感が俺の中に広がる。
目の前の男にすべてを委ねたい。身だけじゃなく、心も、全てを相手に任せたい。体の中の女の本能がそう囁いている。
「佐山くん、ありがとう♡……あっ」
緊張がとけて体が緩んだせいか、俺は足をもつれさせてしまった。
「おっと、危ねっ」
それを、川城が抱きとめた。
俺の豊満な胸が川城のたくましい胸板でむにゅぅぅぅ♡と潰れる。
「大丈夫か?」
「う、うん♡」
すっぽりとした安心感。昨日も散々抱きしめられたのに、初めて味わうようなこそばゆい感覚。
俺は少しの間、相手の大きな体に自分の小さな体をもたれさせた。
えっちの相手ってだけではなく、本当に相手のことを求めるこの気持ち。
これが……恋なんだ……♡
☆
その後、『佐山香介』が数人のクラスメイトにさっきの事件を話し、心の安定のために『川城花蓮』は休憩に入るということになった。
俺は休憩場所として使われている空き教室――俺と川城が入れ替わり、俺がレイプされた場所だ――に行った。
そこではひなちゃん……天野雛子が椅子に座っていた。
ひなちゃんは、地毛の金髪をツインテールにしている美少女だ。俺ほどじゃないがかなりの大きい胸を持っていて、俺が『爆乳おてんば娘』と呼ばれてるようにひなちゃんは『巨乳金髪ギャル』と呼ばれている。
軽い感じの喋り方からギャルっぽさを感じるが、本当の彼女は面倒見がよくて優しい性格だ。今の俺とは親友と言えるほどの仲で、たまに二人でショッピングに行ったりもしている。
夏休み前に初島雅紀と付き合い初めたせいか、ギャルっぽさがひそまってきているが、優しい子ということには変わりない。
ひなちゃんは黒いチャイナドレスを着て足を組んでいた。その隙間からピンク色のショーツがチラっと見えている。
「あ、花蓮じゃん。雅紀と佐山から話は聞いたよ。大丈夫?」
「うん。大丈夫よ。ありがとう。ひなちゃん」
「少し休んだほうがいいっしょ。こっちきて座りなって」
ひなちゃんが手招きをすると、彼女の巨乳がぷるんぷるん♡と揺れた。
向かい側に座り、俺は自分の爆乳を机の上にのせた。スライムのように形を変えていくおっぱいと肩から重さが抜けていく感覚……ああ、楽だ。おっぱい片方で一キロ以上あるからなあ。
「うわ、やっぱ花蓮のおっぱいってすごいわ」
「……そういうひなちゃんだって、立派なもの持ってるじゃない」
「あんたには負けるって。お……うちのはせいぜいGカップだし」
「十分でしょうが」
その後、俺たちはとりとめもない話をした。
ひなちゃんが話し上手だったおかげで、俺の心はだんだん落ち着いていった……もしかしたら、俺が痴漢にあったことを気遣って話してくれていたのかもしれないな。
そのうち、話題は『佐山香介』にそれていった。
「でも、佐山もナイス対応だよね。流石花蓮のカレシ」
「だ、だからぁ、あたしと佐山くんは付き合ってなんか……」
『川城花蓮と佐山香介は付き合っている』
その噂が本当か聞かれるたびに、俺と川城は否定しているが、誰にも信じてもらえたことはない。
「……夏のプールで二人でものかげに消えてったのに、付き合ってないってのは無茶があるでしょ……」
「あ、あれは……」
ひなちゃんの指摘に体が熱くなる。
二人で消えていったというのは、ものかげでパイズリフェラをしたことを指しているのだろう。
だめだ。みんなに凹んでると思われてるのにあんなことを思い出しちゃ。
「ふーん……まあ、花蓮がそういうなら、そういうことにしておいてあげるわ」
ひなちゃんは興味なさげにつぶやいた。
「ってか、佐山ってあんなにかっこよかったっけ。春くらいまで空気みたいっていうか、モブっぽかったのに」
『春くらいまでの空気な佐山』というのは、入れ替わる前の俺のことだ。主体性もリーダーシップもない情けない男。それがかつての俺、佐山香介だ。今の『佐山香介』とは大違いだ。
川城を褒められたこととかつての自分を貶されたことに複雑な気持ちになっていると、ひなちゃんが俺に顔を近づけてきた。
ふわりと柑橘系の香りが鼻に届く……なんで美少女っていい匂いがするんだろう?
「でも、ちゃんと捕まえとかなきゃ誰かに盗られるかもよ?」
少し考えて、それが『佐山香介』のことをいっていることに気づいた。
「盗られちゃうって……誰に?」
「色んな女に。アイツ、結構人気あるんだからね」
そのことは情報交換で知っていた。
川城が『佐山香介』になってから、最低でも週に一回は女子から告白されている。
スポーツのうまさやリーダーシップ。凛々しい顔つき。どれも女子から人気が出る要素だ。
「昨日も後輩に告られてたし。一昨日は他校の女子に告られてたっぽいよ」
「え、そ、そうなの?」
「うん。うちもひ、雅紀と一緒に見たから、本当だよ」
ここ数日、文化祭の忙しさもあって情報交換をしていない。
もし、川城が別の子と付き合い始めたら……俺はどうすればいいんだ?
俺の中で不安が渦巻いていると、ひなちゃんはにこりと笑った。
「ごめん。発破かけてるつもりだったんだけど、不安にさせちゃったか」
「あ、ううん……大丈夫」
「まー、いざとなったらその体使ってユーワクすれば大丈夫っしょ。男子っていっつもエロイことしか考えてないし」
「あ、それはわかるかも」
「あははは……ってあれ、雨?」
ひなちゃんが外を向くと、向こう側から暗い色の雲がやってきていた。
それはまるで俺の心を示しているようで、休憩時間が終わるまで、俺とひなちゃんはずっとそれを眺めていた。
☆
夕方になり、外ではすさまじい豪雨が降ってきた。
俺はその中を傘をさして歩いていた……『佐山香介』を迎えに行くためだ。
喫茶店の食材が少なくなってきたとき、『佐山香介』は一人で食材の買い出しへ行った。
だが、彼が帰る前にすべての食材がなくなってしまい、一人では買い足せないだろうということと残り時間が少ないことから、『チャイナ喫茶』は早めの店仕舞いするということになった。
携帯で連絡すると、『佐山香介』は近くのバス停で雨宿りしているらしい。それをクラスメイトたちに伝えると、ひなちゃんが「佐山を迎えに行きな」といって傘を一本だしてきた……『恋人である』という噂がこんなところにも影響するのか。
そんなわけで、俺はたった一人で雨の中を歩いていたのだった。
傘のおかげで雨は防げているが、湿気のせいで薄い生地のチャイナドレスが体にひっついてくる。ブラをつけていないせいで、乳首が浮いているように感じる……着替えてこればよかった……。
その時、激しい雨が横から吹いた。
「きゃあぁぁぁっ!」
あまりの強風に傘がひっくりかえる。
男だった頃なら直せたかもしれないが、俺は女だ。傘が持ってかれないようにするだけで精一杯だった。
道には俺の他に誰も通っていなかった。誰もいない。
その光景は不気味で、俺は不安になってきた。ともかく誰かに会いたかった……あの人に会いたかった。
その時、向こう側にバス停が見えてきた。
その下には『佐山香介』……川城花蓮の姿がいた。
「佐山くうん!」
瞬間、俺の心は嬉しさで飛び跳ね、足が勝手に走り出した。
「か、川城?……うわ、その服のままでここまで着たのか?」
「う、うん! あたし、佐山くんを迎えに来たの! こ、これ、傘! だったんだけど……」
「……折れてるな」
「二本持ってこればよかったわ……」
相合い傘で帰ってくるために、ひなちゃんは傘を一つしか渡してくれなかった。それが仇になった……というか、なんで俺も素直に一本しか受け取らなかったんだ……。
結局、俺は迎えに来たのに一緒に雨宿りすることになった。ただ足手まといが一人増えただけだ。いや、思えば俺はいつも川城の足手まといだったかも……
「つーか、お前の服透けすぎじゃね?」
「え……や、やんっ!……み、見ないで」
体を抱きしめて相手に背中を向ける。
裸も見られたし、何度も抱かれた。その上相手は元女で、そもそもこの体の持ち主だ。そこまでわかっているのに、体を見られることがすごく恥ずかしい……
「あ、こ、これは不可抗力っていうか、この前のビキニとかメイド服とかセクシーランジェリーみたいに挑発してるわけじゃなくて……」
恥ずかしさのせいで頭が混乱して、おかしなことをいってしまう。
そんな俺の前で、川城は男子制服の上着を脱いで、俺に向けて差し出してきた。
「わかってるって。川城、そのまんまじゃ寒いだろ。これ羽織っとけ」
「え……あ、ありがとう……」
てっきり昼間のようなセクハラが飛んでくると思っていたので、俺は拍子抜けした。
俺は男子制服を羽織った。俺の体をすっぽり包み込むそれは、まるで川城に抱きしめられているようだった。
学生服に鼻を近づけると、オトコノコの匂いがする。
「ここに立ってると寒いし、中の方に入ろうぜ。寒さはともかく、風は防げる」
「え、ええ……」
バス停の奥へシャツ姿の川城が歩いていく。
俺はその後ろを三歩下がってついていった。
バス停の奥には壁に覆われているスペースがあった。壁にはガラスがはめ込んであり、外の風景が見える。
「よし、ここで雨の勢いが小さくなるのをまとうぜ」
「ええ、そうね……」
「ほら、ここに座れよ」
そういって、川城はベンチの上にハンカチを敷いてくれた。
女扱いされていることは不愉快じゃない。むしろほのかに心地よく、少しむずがゆい。
「ありがとう……」
礼をいって俺が大きな尻をバス停の椅子に置くと、川城は俺を見下ろしてにこりと笑った。
「あ、そうだ。川城」
「なあに?」
「迎えに来てくれてありがとな」
「ふぇっ!?」
不意打ちのようなかっこいい笑顔。こんなの反則だろ……♡
顔が熱くなってくる。やばい。胸のドキドキが抑えられない。
「あと、ここなら普段通りに喋れるから、佐山くんも普段通りにしていいわよ」
「え、あ、ああ、そうなのね。あ、安心だわ……じゃ、じゃなくて、安心だな」
「文化祭中はずっと体に合わせてたから、素に戻るのは久々な気もするわね」
「そ、そそ、そうだな」
川城の横顔から目が離せなくて、返答がしどろもどろになってしまう。
今の自分はどっちモードなのかわからない。切り替えができない。まずい。これはまずい。
「そういえば、うちのクラスはもう出し物終わったのよね?」
「も、もう出すものがなくなったからね……からな。みんな、今は片付けしてるよ」
「後夜祭とかどうするんだろ?」
「こ、この雨はにわか雨だから、キャンプファイアーはできるんだってよ……じゃなくて、てきるのよ……じゃなくて、できるんだよ」
「ふうーん、そうなのね……」
川城はポツリと呟き、外を見た。おそらく、その先には学校があるのだろう。
「文化祭は成功ってことでいいのかしら?」
「う、うん、お疲れ様、川城」
「ありがと。うちの看板娘さんが頑張ってくれたおかげよ」
「あ、ありがとう……ひゃ♡」
川城は俺の前に立つと、頭をポンポンとなでてきた。
きゅぅぅぅ♡と胸が締め付けられる。だ、だからまずいって……♡
「あー、でも、終わり際には立ち会いたかったなあー」
そういって、川城は俺の隣に座った。
勢いよく座ったせいで、椅子から俺の小さな体が少し浮き上がる。
……そういえば、初めてセックス――あの時はレイプだったが――したのも椅子の上だった。あの時は男になりたての川城が性欲を我慢できずに俺を襲ったのだ。
あの時、俺が全力で拒否していたら、今の俺と川城はいないはずだ。
俺は女としてうまく生きていけなかっただろうし、川城は俺を求めなかっただろう。
――その時、俺はひなちゃんが『盗られちゃうかも』と話していたことを思い出した。
俺と川城は『どうしても半年間元に戻れないなら、せめて異性の生活を楽しもう』という約束をしている。
『異性の生活を楽しむ』ということには、やっぱり恋人をつくるということも含まれるはずだ。
「やだ……」
思わず口から出た。
心のもやもやが膨れ上がってくる。この人の相手が他の女子なんて、そんなの……いやだ。
「……ひ、ひなちゃんから聞いたんだけどさ。川城、昨日後輩に告白されたんだって?」
「あら、噂が広まるの早いわね」
「ど、どんな子だったんだ?」
「うーん、どんな子っていわれても、名前も知らない子だったし……いきなり呼び出されて佐山先輩好きです!っていわれて……まあ、いつもどおり断ったわ」
「そ、そっか……こ、好みの女子じゃなかったとか?」
断ったということが嬉しくて、つい声が上ずってしまった。
川城が女子たちの告白を断り続けているのは、もしかしたら別の好きな子がいるからじゃないだろうか。身近にいる女子とか……
「いや、別にそういうことじゃなくて、この体は佐山くんのものなんだし、元に戻った時に困るでしょ?」
その言葉で俺は目が覚めたような気持ちになった。
そうだ。俺は重要なことを忘れそうになっていた。
俺と彼女は入れ替わり相手だ。それ以上でもそれ以下でもない。
「そ、そうだよな。それ、俺の体、だもんな……」
薄笑いを貼り付けて顔を伏せる。
下を見ると、さらりと明るい色の長髪が頬を撫でた。メロンのような爆乳がぷるぷると揺れている。それを細すぎる腰が支えている。ベンチで潰れる大きすぎる尻。モデルのようにすらっと伸びた長い足……すべて借り物だ。
本当の俺はクラスで人気者の美少女じゃない。何の才能もないダサいコミュ障男子だ。
そんなことも忘れて一人で盛り上がるなんて、バカにもほどがある。
――それでも、俺は……
「……でも、最近はそれだけじゃなくって」
川城がポツリとつぶやいた。
顔を上げて川城を見上げる。川城は俺と目を合わさずに遠くを見ていた。
「ちょうどいいかも。佐山くん、ちょっと話聞いてくれるかしら?」
「う、うん……」
「あたしね、最近、自分が男の子なんだなぁって思うの」
川城がごくりとつばを飲み込んだ。外に大きく飛び出した喉仏が上下する。
「力が強いとか、おちんちんがあるからってのもあるけど……心が男の子なんだなって思うのよ。スポーツとか、男子同士のくだらない話が好きとか……えっちが好きとかね」
川城がためらいつつ話したのはそんな内容だった。
だが俺はすんなりとその話を受け入れられた。
だって川城が男子化しているのだとしたら、俺も女子化しているのだから。
最近の俺はウィンドウショッピングやネイルを楽しんでいる。料理やお菓子をつくることが楽しい。女子たち……友達となにげない会話をするだけでも楽しい。
「まあ、それで、人の好きなところも変わってきてる……っていうか、男の子として女の子の好きな部分があってね。かわいい顔とか、大きなおっぱいとか大きなお尻とかはもちろん好きなんだけど」
川城は一瞬口ごもり、決心したようにまた口を開いた。
「人を気遣える心とか、いたずらっぽい部分がある女の子が好きっていうか」
そうか。男の川城はそんな女子が好きなんだ。気遣いのある女子。いたずらっぽい部分がある女子。誰なんだろう……
「春に私が襲ったのに許してくれた心の広さとか、夏にあたしを誘惑してきたいたずらっぽさとか、エロエロコスチュームだっていうのに、それを用意してくれた子たちを思ってつい着ちゃう優しさとか……ね」
「それって……」
「気づいたらあたし、男としてその子のことが好きになってた。その女の子は本当は男なのにね」
自分の顔が熱くなっていくのを感じる。
驚きと嬉しさと恥ずかしさで心の整理がつかない。生理のときだってこんな頭がぐちゃぐちゃにはならない。心の動きが体の中で乱反射して、体の動きをとめている。
「ごめんね。気持ち悪い話して。だけど、どうしてもいっとかなきゃいけないと思って。あたしたち、あとちょっとで元の体に戻っちゃうから……」
「き、気持ち悪くなんかないっ!」
俺はその場で立ち上がった。おっぱいがぶるん♡と揺れたって、ドレスのスカートがまくれたって気にしない。
「お、俺も川城のことが好きだ!女の子だった川城も好きだったけど!今の男の川城のことはもっと!もっともっと大好きだ!!」
「佐山くん……」
「お、俺を川城の彼女にして欲しい!元に戻るまででいいから……お、お願い……お願いします……」
言葉は尻すぼみになってしまった。感情が高ぶって喉奥が痙攣したからだ。
川城は立ち上がると、無言で俺の背中に手を回した。
ぎゅっと抱きしめられている。温かい。外の雨音が静香に聞こえる。
目から涙が溢れてきた。悲しいときじゃなくて幸せなときでも涙がでるんだな。
俺はこの人のカノジョなんだ。この人の恋人なんだ。
好きな人と気持ちが通じ合うってなんて幸せなんだ……♡
★
幸せな陶酔感に浸っていると、おなかに硬いものがあたっていることに気づいた。
勃起したちんぽだ。
いや、わかっている。『爆乳おてんば娘』のムッチムチの体を押し当てられれば、男子は自然とこうなってしまう。
わかっていたが、こんなムードのときにも反応するなんて。
男子の体って本当に単純だな、と呆れそうになる。
「……返事の代わりに抱きしめるのまではよかったけど、お腹にちんこあてるなんて、ムード台無しだぞ」
「男の子ってこういうものなのよ……まあ、春先まで処女だった女の子に男の子の気持ちなんてわからないかな?」
「なっ……そ、そんなこというなら、春先まで非モテ童貞男子だった川城に女の子の気持ちなんて……んむっ……♡」
言葉の途中で唇を塞がれた。相手の硬い唇が俺の柔らかい唇を押しつぶしている。
ただ唇同士をくっつけるだけのキス。恋人同士になったばかりの男女にふさわしい初々しいキス。気持ちよさと嬉しさが体中に広がる。
川城は唇を離すと、いたずらっぽく笑った。
「これでもわかってない? 佐山香介ちゃん?」
「ず、ずるいぞ……♡」
「女の子クイズは正解ってことでいいのかしら? ……ねえ、もっとずるくなってあげようか?」
「……お願いします……♡」
俺がうなずくと、川城はちゅっちゅっとキスを繰り返し始めた。
硬い唇が小鳥のように俺の唇にあたってくる。恋人の俺を本当に大事に思っているという気持ちが伝わってくる。
川城は俺の細腰に手を回し、俺の体を自分の体を引き寄せた。
俺の体に川城の手が這い、登ってくる。
「……そういえば、佐山くん、ゴム持ってきてる?」
「ううん、教室に忘れてきちゃった……♡」
「そっか、それじゃあどうしようかな」
「どうしよっかなってぇ♡ ……ひゃあんっ♡」
チャイナドレスの上から、胸を揉まれて甘い声を出してしまった。
ごつごつした男の手が薄い生地に沈んでいく。ノーブラなせいで、服の上からでも乳首の位置がわかってしまう。
川城は服の上から俺の乳首をなでてくる。焦らすような快感に俺の口は喘ぎ声を抑えられない。
「あぁぁ♡ ひぁぁぁぁ♡」
「ね、今日は生でシていい?」
「い、いいに決まってるだろ……♡ 俺たち、恋人なんだから……♡」
「そうよね……口、開けて」
川城の宣言に、俺は口を開けて迎え舌をした。
従順な俺の態度を満足そうに眺め、川城は俺の顔に覆いかぶさった。
川城の舌が俺の舌に絡み始める。
「ふぁむっ♡ んんっ♡」
恋人になって初めてのディープキス。
今までのキスも気持ちよかったが、これは格別だ。
俺は悦んで男のざらざらした舌に自分の舌を絡ませ、相手の口内を舐めた。
「れろぉ♡ んむ♡ ふぁれ♡ ちゅぷ♡」
男の舌は俺の歯茎の裏や口の奥も舐め尽くした。唾液の交換なんて生易しいものじゃない。これは押し付け合いだ。
「んちゅ♡ んんん♡ ふぁぐ♡ ふぁあぁ♡」
お互いの存在を貪るようなキスはその後もしばらく続いたが、川城が俺の肩を引き離したことでそれは終わってしまった。
俺と川城の口の間にきらきらした綺麗な色が伸びている。
「まだちゅーしてたいよぉ♡」
いつもなら恥ずかしさから否定していたが、カノジョになった今はおねだりも恥ずかしくない。
名残惜しい。このままずっとキスしていたい♡ ずっと抱きしめられてたいよぉ♡
「佐山くんったら、甘えん坊になっちゃったわね……でも、ダメよ。キスだけで日が暮れちゃったら嫌だもの」
優しい声色の命令に、俺はこくりとうなずいた。
「あたし、佐山くんのおっぱいが見たいわ」
「うん♡わかった♡」
声にしたがって、俺は首元の紐を外していく。
ゆっくりゆっくりチャイナドレスを引き下ろしていくと、ブルゥンッ♡と俺の胸が爆発するように外側に飛び出した。
『爆乳おてんば娘』のあだ名通りの凶悪な乳がふるふる♡と揺れ続けている。その先端では膨れ上がった乳首がその身を硬くしている。
川城はごくりと生唾を飲んだ後、俺のおっぱいに手を伸ばし、揉みしだき始めた。
「あふぅん♡ あっ♡ ひゃ♡」
「相変わらず大きいわね、この生意気おっぱい……また大きくなったんじゃない?」
「あひゃんっ♡ 実は……はぁんっ♡ ちょっと前に測ったらHカップになってて……んんっ♡」
「Hカップ……さすが『おてんば爆乳娘』ね」
「はぅん♡ あっ♡ ふぁんっ♡」
そのうち川城は尻にも手を伸ばしてきた。俺の豊かな尻肉に五本の指が食い込んでくる。
「きゃはぁんっ♡」
「なんか佐山くん、お尻も大きくなってない?」
「あん♡ か、川城が毎日触りまくるからだろ……こ、この、痴漢……♡ んあぁんっ♡」
「だって触りたいんだもの。大きくて柔らかくて、ずっと触ってても全然飽きないんだから」
「はぅん♡ オモチャじゃないんだぞぉ♡ あふ♡」
言葉ではそういいつつ、オモチャのように扱われるのが嬉しくて仕方がない。乱暴にされることが嬉しい♡
胸と尻を揉みしだかれるうちに、体の奥から熱いものが下半身に下っていく。
それはとろりとした粘液として、俺の膣から垂れていき、黒いショーツに深い染みを作った♡
膣にさわられなくても、俺の体はセックス用に仕上がっている。今までの川城の調教の賜物だ。俺の体はとっくに川城のちんぽ専用になっているんだ♡
「ね、ねえ♡ 川城ぉ♡ そろそろぉ♡ お願いぃ♡」
もじもじと太ももをこすり合わせておねだりすると、川城がとびっきり意地悪な顔を浮かべていた。
「そうねぇ。じゃあ、今日は騎乗位にしましょ」
騎乗位。
いきなり言われたセックスの体位に顔が熱くなり、ジュンと股が濡れた♡
「き、騎乗位なんて……♡」
「なにその反応。佐山くん、まるで処女みたいね」
「ひ、非処女で悪かったなぁ……♡」
「悪いわけないでしょ。そもそもあたしが佐山くんの処女を散らしたんだし……そう考えると、その時点からあなたはあたしの女なのよね」
「はぅぅ……♡」
カノジョ扱いされている。嬉しい……♡
でも、いつも正常位や対面座位だったから、こっちが主導で動くのは初めてだ。うまくやれるのかな……。
ジーッという音が聞こえると、川城がズボンをおろしていた。
「さ、あたしのムスコもそろそろ我慢しきれないみたいだしね」
「きゃあっ♡」
川城がスボンと下着を下ろすと、ボロンッとペニスが姿を表した。
ビキビキに勃起した男根は赤黒く光っていて、細い血管を幹に走らせている。
俺を犯すことしか考えていない、オスの権化とでもいうようなその形とたくましさに、思わず吐息が漏れてしまう。
「もう、いちいち反応がかわいいなあ。あたしのカノジョは」
「だってぇ♡ すごいんだもん♡」
「誰がこんな形にしたと思ってるのよ……じゃ、始めましょ」
川城はバス停のベンチに仰向けで寝転がると、俺を手招きした。
俺はベンチの上に登ると、川城をまたがって腰を落とした。大きく腰を前に突き出したいわゆるエロ蹲踞というポーズだ。
まだ下着はつけたままだ。脱ぐのを忘れたわけじゃない。川城はショーツをずらして挿入したり、ショーツを片足に残してたりするのが好きだからだ……この変態カレシめ♡
俺は腰を前に出したまま、勃起したペニスと黒下着がくっつくまで腰フリとすり足で動いていった。動きのせいで巨大な胸がぶるんぶるん♡と揺れてしまう♡
俺の下品で間抜けな姿を見て、川城はにやにやと笑いを浮かべている。
「この角度から見るHカップのおっぱいってすごい迫力ね。顔がちょっとしか見えない」
「か、からかわないでぇ♡ ……はぁんっ♡」
「からかってないわよ。佐山くんのおっぱいがえっちすぎるってだけ」
「え、えっちだなんてぇ♡ やあぁんっ♡」
「お、到着したわね」
下着一枚挟んで、俺の膣と川城のペニスがくっついた。
クリトリスがペニスの先っぽで刺激され、俺の体に甘い快感が走る。
「あふぅん♡」
「じゃあ、そこでちょっと腰浮かしなさい」
「は、はぁい……♡」
「下着をずらして、そこで座りなさい」
俺は下着の端をつまむと、デカすぎる尻の片側に引き寄せた。
ここで初めて、俺の膣が空気中に顕になった。
ちんぽが待ち遠しいからか、俺のはしたないそれはひくついていた。
俺は腰をゆっくりおろしていった。
ヌチュッ♡
「うぁぁぁっ♡」
膣口に亀頭が触れ、そのまま突入してくる。いや、俺が受け入れてるんだ。
カリが膣壁をゴリゴリと刺激し、俺の体中に甘いセックスの快感を走らせる。
「亀頭が全部入ったわ。わかる?」
「ひゃあぁあん♡ わ、わかる♡ わかるよぉぉぉ♡」
先っぽだけしか入っていないのに、この快感。
舌から唾液が出るのを止められない。俺はまるで盛りのついた雌の獣だ。
「相変わらず佐山くんのおまんこはあたしのちんぽに絡みついてくるわね。そんなにちんぽが待ち遠しかった?」
「ち、違ぁ……♡」
いいかけたところで、俺は目の前の男が俺のカレシということを思い出した。
恋人同士で嘘をついていいのか?いや、ダメだ♡
「そ、そうです♡ ちんぽが待ち遠しくって♡ 文化祭中ずっとおまんこぴくつかせてました♡ 頭ポンポンされて、男のクセにおちんぽハメハメして欲しくなってましたぁ♡」
「……ふふっ、正直な佐山くんはかわいいわね」
「か、かわいい、なんてぇ……ひゃああんっ♡」
「ちょっと手伝ってあげるわ」
川城はくすりと笑うと、俺のふとももに手を食い込ませ、俺を引き寄せた。
「え……♡ あ♡ あはぁぁぁぁ♡」
ズプズプズプ♡と俺の膣がペニスを飲み込んでいく。ペニスが進んでいくにつれ、燃えるような快感が俺の脳内で何度も弾け、俺を狂わせていく。
「あはぁ♡ はぁぁぁっ♡」
「大丈夫よ。ゆっくりしていくから……」
「うぅぅぅぅ♡ あぁぁぁぁ♡ ふぁあぁぁぁぁん♡ あ♡ あはぁ♡」
快楽で勝手に体がくねってしまう。
女である俺は男の川城の力に敵わない。女は男に敵わない。この体になって何度も絶望した言葉だったが、今ではその言葉にも幸せを感じる。
だって、この人は俺を守り、気持ちよくするためにその力を使ってくれるんだから♡
「全部入ったわよ。子宮がつかれてるのわかる?」
ぷにぃ♡という快感とともに挿入の動きが止まった。
おかしくなるほどの快楽に川城の逞しい胸板に手をついて休むしかなかった。もう、動けない……♡
「う、うん……わかる♡ あはぁ♡」
「ちょっと動かしてみちゃおうかしら」
「えっ……♡ あっ♡ ら、らめっ♡ イっちゃう♡ イッちゃうからぁぁぁっ♡♡♡」
川城が遊び半分のように俺の体を動かすと、快楽の雷が何発も落ちてきた♡
体中がビクビクと震え、膣からプシャアア♡と愛液がこぼれていく♡
女としての絶頂は何度も味わったが、今回のは格別だ。恋人になったからだろうか、文化祭中お預けされていたからだろうか。
いや、どうでもいい♡気持ちいいってことだけでいい♡
「あ、あはぁ♡ おっ♡ おぉ♡ ああぁぁぁぁあん♡」
「……いつも思ってるけど、佐山くんってイクの早すぎよね」
「ら、らって♡ 気持ちよしゅぎるからぁ♡ おれぇ♡ 淫乱だからぁぁぁ♡」
叫んだ後、俺は再び川城の胸板にへたりこんだ。
川城は苦笑しつつ、俺の頭をなでる。その微細な動きが俺の体を動かして、ペニスの刺激をかけめぐらせる♡
「それで……佐山くん、動ける?」
川城にいわれ、俺はゆっくり起き上がった。
今のところ俺だけが気持ちよくなっている。このままだと川城を肉ディルドーのように扱っているだけだ。
そんなのはいやだ♡ 俺は川城にも気持ちよくなってほしいんだ♡
「う……動けっていって♡」
「え?」
「め、命令してくれたら♡ 動けるから……ぁん♡」
多分、俺はまた一動きしたらイッてしまって動けなくなるだろう。
だが、カレシである川城が命令してくれれば、俺は動き続けられる♡
「じゃあ……動きなさい」
「う、うん♡ わかったぁ♡」
俺は腰をそうっと持ち上げると、川城の腰に自分の腰を打ち付けた。
ぱちゅん♡という肉と肉がぶつかり合う音が響く。
「ああっ♡♡♡ ふああああっ♡♡♡」
打ち付けるたびに体と脳が絶頂に震える。膣からは愛液が、体中から汗が吹き出す♡
「やぁぁぁっっ♡♡♡♡ あああぁぁぁぁん♡♡♡♡♡」
俺の体と心は目の前の男のためのものだ。俺はこの男のカノジョなんだ♡ 恋人なんだ♡ モノなんだ♡
「好きっ♡ 川城っ♡ しゅきぃっ♡」
腰を振りながら、俺はそう叫んでいた。
舌をだして叫んでいたので舌っ足らずになっていたが、意味は通じたようで、川城はほほ笑みを浮かべていた。
「じゃあ、ちんぽとあたし、どっちが好き?」
「どっちもぉ♡ どっちも大しゅきなのぉ♡」
バカな女子高生のような発言。だが、それも今の俺だ。性欲に溺れるバカな爆乳女。
そう自覚していくと、俺の中にたまっていた絶頂が共鳴したように震え上がり、俺の中で爆発した♡
「イ、イクッ♡ イグゥゥゥゥッッッ♡♡♡」
ピンク色のフラッシュが周りに広がり、一瞬俺の全身から力が抜けていった。
俺はまた川城のたくましい胸板の上に体を預けた。かつての自分の顔が優しい瞳で俺を見ている。
川城はかつての自分の顔がみっともなく喘ぎ、淫語を叫んでいることをどう思っているんだろう……嬉しいと思ってくれてるといいな♡
「その体、体力少ないのに頑張ったわね。少し休憩しましょ」
「はぁい……♡」
下半身は繋がったまま、俺は川城の太い腕に抱きしめられた。
肩を指でリズミカルに叩かれている。なんの音楽なのかわからないが、落ち着く。体に刻まれた音楽なのかもしれない。
川城は首を傾け、俺の首筋に唇を当ててきた。
「あぅぅぅぅっ♡」
首筋を吸われ、キスマークをつけられる。この人の所有物であるという証が俺の首についてくる♡
「どう、そろそろ動けそうかしら?」
「無理ぃ♡ 今のキスでイッちゃった……♡」
「もう……可愛いなあ、私の彼女は」
「ふにゃ……♡ にゃにゃ……♡ にゃぁん……♡」
顎の下を撫でられ、猫のような声を出してしまう。今度はネコ耳で誘惑してみようかな……♡
そんなことを考えつつ、猫手をベンチの上でこするとごつごつした感触がした。
「あれぇ、もしかしてぇ……」
「どうしたの?」
「このベンチ硬い……あ、そうかぁ。だから、今日は騎乗位にしたんだな……はぁうっ♡やっ♡ あっ♡ こ、腰ふってごまかすなぁ♡」
「いや、だって痛い思いさせたくないし……カレシはカノジョのこと守るもんだし」
キュゥゥゥン♡♡♡
俺は相手の顔を掴み、自分の柔らかい唇を相手の唇に重ねた。
好き。愛おしい。嬉しい。
様々な幸せの感情をこめてディープキスをする。それに答えるように川城もぺちゃぺちゃと俺の舌を味わった。
口を離し、俺は潤んだ瞳で川城を見つめる。
「でも、やだ♡ 俺、川城が傷つくのやだもん♡」
「えぇ……じゃあ、どうしろっていうの?」
下半身はつながったまま起き上がり、俺はぱっと手を広げた。胸についた巨大な双丘がぷるるん♡と揺れた。
「持ち上げて♡」
「……もう、あたしの彼女はワガママなんだから。よいしょっっと」
「きゃあんっ♡」
川城は体を起き上がらせて軽々と俺の体を持ち上げた。ふとももの下に足を回して持ち上げる、いわゆる駅弁スタイルだ。
「はぁぁあんっ♡♡ イクゥッ♡」
持ち上げられた勢いでペニスが深く食い込み、俺はまた絶頂を迎えた。
川城はとろけた俺の顔を愛おしげに見つめている。
「そろそろあたしも我慢きかないから、ラストスパート行くわよ」
「うんっ♡」
そういうと、川城は腰を大きく動かし、腕二本で俺の体を上下させた。
俺の爆乳や太ももはばるんばるんっ♡とダイナミックに震え、限界まで登ったはずの熱がさらに高まっていく。
「あはぁんっ♡ あぐ♡ また俺だけイッちゃうぅ♡」
「大丈夫よ! そろそろ! あたしもイクから!」
「はん♡ か、川城っ♡ 俺、川城との赤ちゃんが欲しいっ♡」
「それって! 本当は女のあたしがパパで! 本当は男の佐山くんがママになるってこと?」
「あふっ♡ そうっ♡ 中出ししてっ♡ 俺を孕ませてぇ♡」
「もう! しょうがないわねぇ! やってあげるわよっ!」
「あ♡ あふっ♡ ああっん♡」
膣内でペニスがぶるりと震える。
俺は川城の体に腕と足を絡ませた。しょせん女のひ弱な力とわかってはいるが、それでも俺は愛しいカレシの体を一生懸命に抱きしめた。
ペニスの太い幹をドクドクドクッ!と熱い液体が登ってくる。
「出るッ!」
「出してぇっ♡♡♡ はぁぁぁあああああぁぁぁんっっっ♡♡♡♡♡」
膣内に大量の精液が吐き出される。膣壁に白濁液が叩きつけられ、擦り付けられ、染み込んでいく。
大量すぎたせいで膣とペニスの間を精液がどろりと垂れていき、バス停の床にしずくになって落ちていく。
川城の出したオスの液体がメスである俺の子宮に染み付いていく。この絶対に孕ませようとする感覚♡ ママみたいに妊娠していたらいいな♡
しばらく俺と川城はそのまま抱き合っていたが、やはり俺は女だ。情けないが、力が抜けていってしまった。
川城は俺をベンチまで運んで横たわらせた。ちんぽが抜けたからか、ぽっかりとアソコが開き、そこから精液がコポコポとこぼれていく♡
顔を横に向けると、川城のへたったちんぽが見えた。先っぽでは愛液と精液が滴っている……ちょっと汚いかも。
俺はベンチの上で起き上がり、川城を手招きした。
「佐山くん、どうしたの?」
「お掃除フェラ……してあげるから……じっとしてて♡」
俺は精液まみれのちんぽを掴むと、亀頭にちゅっとキスをした。
不思議なことに、そんなことでも心に多幸感が訪れた。まさか、ちんぽにキスして幸せになる日がくるとは思わなかったな♡
精液が額や顔に垂れてくる。特濃精液の匂いがセックスでピンク色になった脳に染み込んでいく。ああ、悪くないかも……♡
俺は川城のちんぽに舌を伸ばし、しゃぶり始めた。ぴちゃぴちゃと舌をならし、ちんぽを綺麗にしていく。
精液なんて好きじゃない。だが、カレシの精液ならいくらでも飲める。たまらない♡中毒になっちゃいそう♡
川城が俺の頭をポンポンとなでる。
俺たちを祝うように、外からの夕日がバス停を照らした。雨が上がったのだ。
でも、もうちょっとだけ、こうしていたいな♡
☆
俺たちは手を恋人つなぎしながら学校へ帰った。
学校につく頃には日は沈んでいて、校庭では後夜祭のキャンプファイアーが焚かれていた。
俺たちはクラスメイトたちと合流すると、付き合い始めたことを発表した。
クラスメイトたちの反応は冷静でみんな「知ってる」と返してきた。
その上、俺の首筋のキスマークを発見され、帰りが遅かったことからセックスしてきたこともバレてしまった。
そのせいでクラスメイトたちからバカップルとあだ名されるようになったが……ちょっと嬉しかった。
クラスでの締めの挨拶が終わった後、俺と川城はキャンプファイアーの周りでフォークダンスを踊ることにした。
春前までは自分が女側でフォークダンスをするなんて考えてもいなかったし、カレシと踊ることなんて想像もしていなかった。
「……俺、小さい頃は男子たちと遊んでたんだけどさ。いつからか女子ってことで距離置かれるようになったんだよ」
踊っていると、川城が男口調で話し始めた。
周りの組とは離れているから聞かれる心配はないが、一応学校ということで男口調を使っている。
「だから、この体になったときは嬉しくってさ。それではしゃいじまって……花蓮にはたくさん迷惑かけちまった」
「ううん、気にしないで。今のあたしには香介くんの気持ち、すごくわかるもの……でも」
「……でも?」
「あたしはこの体が好き。おっぱいが大きすぎて肩が重かったり、太ももが太すぎてまともに歩けなかったりするけど……今の香介くんがあたしを好きっていってくれるのは、あたしがこの体だから」
俺がそう返すと、川城は笑顔をほころばせた。自分の下の名前を人に対して言うのは変な感覚だ。でも、これからは恋人同士になんだから、慣れないと。
川城は俺の細い腰に手を回すと、俺を自分の体に引き寄せた。
「俺、なんか男の責任ってのをさ。お前と一緒なら果たせる気がするよ」
ドキッ♡
責任を取るという宣言に、鼓動が高鳴ってしまう。セックス経験済みで体は乙女じゃないのに、俺はずっとカレシにトキメキっぱなしだ。
「あたし、ずっとこのままでいたい……♡」
だから、つい口から願望が出てしまった。
言ってしまってからまずいと気づいた。
今は幸せな恋人同士だが、結局俺たちは冬には元に戻る。その約束を反故にするようなことをいったら流石に川城も不快になるだろう……
恐る恐る見上げると、川城は本当に幸せそうな笑顔を浮かべていた。
「俺も同じ気持ちだ。花蓮」
川城はそういうと、俺に唇を近づけてきた。
俺は目を閉じてそれを受け入れる。
甘くて長いそのキスは、俺にとって最高の返事だった。
もしいつか元に戻ってしまうとしても、この瞬間だけは永遠だ。
後日、『チャイナ喫茶』の売上の大半が『川城花蓮』のチャイナドレスブロマイドだと判明したが、それはまた別の話。
このままでいくと次話で完結だけど、もう少し閑話もほしいところ。
単なるミスなのか、何か事情があるのか・・・
次回も楽しみに待っています!
雅紀くんは過去作?それとも次回以降の人?