俺は鬼だ。
仲間達と共に、都を我が物顔に荒らし回っていた。
だが、或る日の事腕達者な武士共が俺たちの住む山に攻め込んできて、俺達一族郎党を悉く斬り殺した。
俺は必死で抵抗しながらも、一人の手練れの侍に右腕を切り落とされてしまった。
大量の失血に朦朧としながらも必死で逃げた。
鬼の力が出血と共に急速に失われて行く…。
何処をどう逃げたのかも分らない、何時しか俺は意識を失った。
俺 は或る泉のほとりで意識を取り戻した。右腕の付け根からの出血は止まっていた。
猛烈な喉の渇きを覚えた俺は泉の水を飲もうとした時、水面に映った俺の顔…。
な、何だ!?これは??
そこに写った俺の顔、逞しい二本の角は縮み、まるで小さな二つの瘤の様に…、更にちりちりの巻き毛が直毛になっていて肩辺りまで伸びていた。
厳つかった顔は細面に成って、ギラギラしていた眼光鋭い吊り目が、垂れ目のどこか愛嬌の或るぱっちりとした目に、更に牙をむき出しにしていた口はおちょぼ口に、こ、これは??まるで女子(おなご)の様では無いか??
更に首から下を映してみると…、何だと!?
広い肩幅と分厚い胸板、そしてそこに盛り上がる筋肉…、それらが全て消え失せ、なだらかに成った首筋から肩に掛けての線、そして何よりもその胸に盛り上がる筋肉とは違う二つの膨らみ…。
う、うそだっ!!この様な事!?
恐る恐る立ち上がり全身を水面に映してみる…。
う、うわあああ~~!!
そこには裸で泉の辺に佇む隻腕の女子(おなご)の姿が映っていた。
右腕は無い…、無いはずなのだが…?何故か感覚が有る??
左手で右手が有った辺りを触ってみると、何も無い空間に確かに右手だという感覚を伝えてくる。こ、これは?俺の念が凝り固まって何も無いはずの右腕が??
その時ふと羞恥の感情が俺を苛む。何だ?これは??
そう、今の俺はうら若き『女子(おなご)』の身体、その身体に心が引っ張られているのか猛烈な羞恥の心が俺を襲う。
い、いやあ~、何か着る物を探さないと…。
どこかに…、何処かに何か着る物は?
揺れる胸・尻、どうしてもクネクネとした歩き方に成ってしまう…。俺は暫く歩いた後、小さな小屋を見つけた。とにかくそこに入ろう、このままでは…も、もし、誰かに裸見られたら…?そんな…やあ、恥ずかしい…。
って何考えてるの?俺??
小屋の戸を開け中に入ろうとした…、えっ!?きゃあああぁぁ~~!!そこには若い男の姿が??
その男は目をまん丸くしたまま。
「だ、誰だ??おめえ?」
俺は咄嗟に両胸と股間を手で隠す。何でっ!?男の前で恥ずかしがっている場合か?
「おめえみたいな娘っ子、ここいら辺に居たっけ??」
娘っ子?そ、そうだ…、俺は今女子(おなご)の身…。
「ひょっとして鬼共に捕まっていたのか?都のお侍様達が鬼を退治したって言ってたが、鬼の山から逃げてきたのか?」
「てか、おめえ丸裸じゃねえか?」
はっ?あああ…、左手で胸を右手で股間を隠したつもりが今は無い右手…、股間の亀裂が男の目の前にさらけ出されていた…。それは嫌が応にも今の俺が女子(おなご)である証拠!
「と、とにかく何か着ろっ!」
若い男は顔を真っ赤にし向こう向きに。
「そ、そこの戸棚に『華扇』の着ていた着物が有る。それを着ろっ!」
えっ!?『華扇』って??
「鬼に攫われた俺の『許嫁』(いいなづけ)だっ!」
俺は男の言われるままに戸棚を開けた。なるほどそこには如何にも若い娘が好むであろう着物が入っていた。
何時までもこの身体をあ奴の目に晒しておく訳にゆかぬ、着物を取ると慣れぬ手つきでなんとか着込んだ。
「き、着たのか?」
うむ…。俺は答えた。
「おめえ名は何て言うんだ?」
お、俺…、い、いや私の名か?(ど、どうしよう?
そ、そうだ…俺は世間で『茨木童子』とか言う名で呼ばれていた。)
わ、私の名は、い…『茨歌仙』(いばらかせん)だ!
「いばらかせん?変わった名だな??というかおめえ俺の許嫁と同じ名か?」
私は山で『仙道』を修しておる。かせんは歌の仙と書く。お主の許嫁の名とは字が違う。
「へ?てこたあ、おめえさん仙人様って事か?その頭に有る瘤みてえなモノはひょっとして角なのか?昔一本角の偉い仙人様が居て、その方の生まれ変わりがお釈迦様だって話を聞いた事が有るが、おめえ様二本角って事はもっと偉い仙人様て事なのか??」
いやいや待て待て、その『一角仙人』とやらも決して聖人では無かったと伝え聞くぞ。
そのお方の父上自体修行中に、天女の太ももを見て欲情し、思わず精を放ったそうな。
その放った精は川の水に混じりその水を飲んだ牝鹿が孕んで産んだ子が、人の形をしながら額に一本の角が有る男児でやがて成長して『一角仙人』と成ったそうな。
ある年雨が降り続き、道がぬかるんだ為、仙人はぬかるみに足を取られて転び強かに腰を打った。それに怒って雨の原因で有る『龍神』を封じ込めた為、雨の降る日が長く来なかった為、世間に大干魃が訪れ、作物も何も育たず、大飢饉が訪れた。
そこでその国の国王は国一番の美女にその仙人を誘惑させ、まぐわい(性交)、精を放たせる事によって神通力を失わせて龍神を解放し、無事雨を降らせる事が出来たそうな。
「ははあ~!?仙人様は色んな事を知っておられる。けどそのお口から『精を放つ』などとおっしゃられるのも…。」男が顔を赤らめて言う。
えっ!?あ…、そ、そうか今の俺は若い娘の姿、この姿で男女の房中の事を話すなど、若い男子(おのこ)には…。
「も、もし、仙人様さえ良ければ今日はもう日暮れですし此処にお泊まり下さっても。」
どきん…、な、何だ?思わず心の臓が跳ね上がる??
俺はどうしたと言うんだ?
何せ山を追われた今、俺には身を寄せる処が無い。
ここは一つ男に言われるまま夜露を凌ぐとするか。
「お口に合いましたか?仙人様が俺達農民の物をお口になさるかと心配しておりました。」
い、いや、済まないご馳走様でした…。
「仙人様なら霞や草の実しかお召しにならないかと思ってました。」
そ、そんな事は有りません。
そう言いながらかつて野獣の肉はおろか人の肉まで喰らっていた俺、最早舌に残っていた筈の味も忘れつつあったのだった。
「夜も更けて参りました。そろそろお床の用意を致しましょう。」
えっ!?あ…。
「その前に仙人様、家の裏に温泉が湧いておりますので、良ければ湯浴みをして下せえまし。」
ゆ、湯浴み?ああ、そうですね…、いただきましょう。
俺は家屋の裏に案内された。そこは所謂天然の湯が湧いている岩風呂だった。
ありがとう…、そう言いながら俺は衣を脱ぎかける…、おっと!?い、今の俺は…。
「ど、どうぞ…、ゆ、ゆっくりしてくだせえ…。」
途端に男は顔を真っ赤にしながら慌てて小屋の方に戻っていった。
ま、まさか…、脱ぎかけの胸元の膨らみが?み、見られたのか??
俺は『華扇』とやらの男の許嫁であった娘の着物を脱ぎ、ゆっくりと湯に身体を浸す。
かつての赤銅色をした筋骨逞しい俺の身体は最早見る影も無く、透き通る様な白い肌、たおやかな身体に成り果て、胸に盛り上がる膨らみ、括れ、華奢に成った胴回り、張り出した腰、むっちりと肉付きの良くなった尻と太股、そして何よりも逞しい魔羅(男根)が無くなり只縦に亀裂が有るだけの平坦な股ぐら…。
今の俺はかつての鬼の面影を何処にも残していなかった。
…と、その時。
「し、失礼しますだ、仙人様…。そ、そのう~、も、もし良ければお背中を、お、お流しいたしましょうか?」
え…?
俺は思いがけない男の言葉に狼狽え、思わず両の乳房を左手で隠す。
「す、すまねえですだ。『華扇』が居った頃には良く背中を流し合いしたもので…。」
お主と『華扇』と言う娘はずっと恋仲だったのか?
「へえ、俺と華扇はガキの頃からの付き合いで、お互い大人になったら添い遂げようと約束していたもので…、ようやく婚礼を挙げようかと思った途端華扇は行方知れずに…。」
男は幾分寂しげな顔に成る。そしてその顔を見ると何故か俺の胸がきゅうと締め付けられる…。
ところでお主の名は?
「へえ、『利助』と申しますだ。」
『利助』か。構わぬ、私と一緒に湯浴みをしよう。
「へっ?せ、仙人様よろしゅう御座いますか??」
ああ、一晩の宿の礼、私を『華扇』と思って貰っても構わぬ。
「あ、ありがとうございます。実は仙人様とお会いした時、まるで華扇が舞い戻ってきたかと思ったくらい顔立ちがそっくりで…。」
そうだったのか…。さ、早く湯に入りなさい。
「それでは、お言葉に甘えて…。」
そう言うと利助はいそいそと着物を脱ぎ素っ裸に…、最後の褌を外すと股間のモノが勢い良く反り返る!
「あっ!?こ、これは??も、申し訳ねえだ!仙人様の目の前で、こ、こんな…。」そう言いながら顔を真っ赤にして両手で股間を押さえる。
ひっ!?俺も同時に顔を背ける…、何故だ??かつて自分にも有った見慣れたモノの筈なのに…??
顔が熱い、心の臓がどくんと跳ねる。
「ほ、本当に済まねえ事を…。」
消え入りそうな声でそう言うと利助は俺の少し離れた隣に浸かる。俺は気を落ち着けて、利助に話し掛ける。
お主達、未だまぐわい(性交)はしておらぬのか?
「へ!?」
何故か顔が火照る。
「い、いや…、俺と華扇はお互い婚礼を挙げるまで清い身体で居ようと…。」
ならば利助は女子(おなご)を知らぬのですか?
「は、はあ…。」
俺は何でこんな事を聴くのだろう??
仙道では『接して漏らさず』と言う教えが有ります。つまり男は女とまぐわっても、決して精を漏らさぬ様我慢すれば何時までも若さと健やかな身体を保てると言います。
しかし…、そのような事は壮年の殿方ならともかく、若い男の子(おのこ)には無理な話…、あまり精を溜めすぎるのも返って身体に悪い。
そなたも許嫁を失いさぞや身も心も辛い事でしょう。これも何かの縁、私で良ければそなたを慰めてあげましょう。
「せ、仙人様…。」
俺は一体何を言っているのだ??元・鬼で仙道など聞きかじり程度の筈なのに何でこの様な事が口からすらすらと??
しかし…先程から何か身体の奥の方に疼きが…?
私を…、だ、抱きなさい…。
「そ、そんな!?仙人様勿体ねえ事を?」
構わぬ。一晩だけお主の『妻』と成ってあげましょう。
「仙人様ぁ~!!」
堰を切ったかの様に利助は俺の身体にむしゃぶりついてくる。
俺の胸の両の乳房の間に顔を埋めてくる。
「仙人様ぁ~!!はあっ!はあっ!」
あ…はぁ…、わ、私を『華扇』と呼んで…。
「ああ、華扇っ!華扇っ!俺はお前を今宵妻にっ!!」
利助は俺の左の乳首を口に含む…、『ちゅう~ちゅう~』あ、ああ…そんなに強く…やぁ~。
こつんこつん…おれの太股に当たる硬いモノ…、それは大きく反り返り、先が臍に着かんばかりに成っていた。
ああ、こんなに…。
俺は何とも愛おしい気持ちに成り、それを無い筈の右手でゆるゆると上下に扱く。無い筈の右の手の平にそれはどくんどくんと熱い鼓動を伝えてくる。
ああ…熱い、硬い、太い、逞しい…。
「あ、ああっ!!」
利助が呻き声を上げ、そのモノの先からきらきらと光る雫が溢れ出し糸を引いて滴る。
「あ、あああっ!?も、漏れるっ!!」
えっ!?ひっ!!
利助のモノの先から迸る熱くどろりとしたもの、それが俺の腹や太股、更には女子(おなご)の裂け目に降りかかる。
それは白く濁った男の精そのもの…、むわっと栗の花に似た匂いが俺の鼻をつく。
あはぁ…、今の俺にはその匂いが何とも云えぬ甘美な香りに思えてしまう。
「ああっ!?も、申し訳ねえ!仙人様のお体を汚しちまって!」
構わぬ。気にする事は有りません。
そう言いながら俺は腹や太股に撒き散らされた白い汁を左手の指で掬い取ると無意識に口へ持って行った。
じゅるり…、俺は何故そのような事をしたのだろう?
あ…、な、何という美味!?それは俺が鬼の頃啜った様々なケモノや人の血、更にはどんな美酒よりも芳しく甘美だったのだ。
俺は夢中で利助の出した精をひとしずく残らず掬い取り口に含み飲み込んだ。
あ…ふぅ…、身体が熱い…火照る…。
俺達は再び湯で身体を流し、小屋に入り閨(ねや)に二人して横になる。
さあ、利助…。
「せ、仙人様!いや、華扇っ!」
利助は俺にのしかかってくる、だが女子(おなご)を知らぬ身、矛先を何処に持って行けば良いか判らぬ様だ。
そのままじっとして、私が導いてあげましょう。
俺は無い筈の右手で、今にも再び精を放ちそうに猛り狂った利助のモノを握りその先を女陰に当てる。
ちゅぷ…、そこはすでに何かの汁が溢れ出し濡れそぼっていた。
さ、そのままゆるりと腰を沈めるが良い。
にゅぷっ!にゅぷっ!「お…、おおおぅ~!」
利助は呻き声を上げながら俺の中に…、あ、ん…。
かつて雄の鬼として人の雌共を犯しまくって居た俺、その俺が今雌として人の雄に犯される、何という因果か…。
利助はぎこちなく俺の上で腰を振り続けながら俺の硬く尖った乳首に吸い付く。
利助のモノが蛇の様に俺の腹の中で荒々しくのたうつ。
あ、ああん…、何とも云えぬ心地良さに知らず知らずに声が漏れる。しかもそれは女子(おなご)の房中で漏らす甘い悦楽の声…。
「ああっ!華扇っ!華扇っ!俺はも、もうっ!!」
びくんびくんと利助のモノが震えるとその途端熱い何かが迸った。
あふぅ!
どくん…、どくん…「あっ!?ああ、あっ!あっ!」利助は腰を振りながら身体を震えさせ俺の腹の中に精を漏らし続ける。
あ…、あはぁ…、俺の腹の中に満ちてゆく…。
やがてがくりと俺の身体の上に突っ伏す利助。
「はあっ!はあっ!堪らねえだ、魂が持って行かれちまうよう。」息も絶え絶えに利助が言う。
心なしか利助の顔が幾分やつれたかの様に思える。しかも髪の毛に幾本か白いものが混じって?
「仙人様ぁ~この世に極楽ってものがあったんですねえ。」
はあ…満足できましたか?今宵一夜の妻である私に…。
「申し訳ねえ!もう少し抱かせて下せえ。」
再び俺の身体にむしゃぶりついてくる利助。
「あれだけ精を放ったのに又高ぶって来る。仙人様はまるで天女さまだあ~!」
あん…、そんなに強く…。
利助は再び俺の女陰に分け入ってくる。
「はあっ!はあっ!」
俺の上で際限なく腰を振り続け、幾度も幾度も精を放ち続ける。
「た、堪らねえ!幾ら放っても放っても切りがねえ!」
はあ…ん、こ、これ余り過ぎると身体を壊すぞ…んんっ、ふぅ…。
利助の顔が更にげっそりとやつれ、頬の肉が痩け落ちる。
更に髪の毛に混じっていた白いモノが増え、ついには全体が白髪頭に…?
よせっ!!利助っ!お主死ぬるぞっ!
だが、俺のそんな言葉も耳に入らぬかの様に無心に腰を使い続ける利助、最早見る影も無くやつれ老いさらばえた爺の様な姿に…。
男の仙人は自分の精を還元させ若さや寿命を保つ『房中術』を使うが、女の仙人は若い男の精気を吸い尽くし、若さと容姿を保つと言う。
ま、まさか…?俺は本当に仙人に生まれ変わったのか??
「ひううう…。」
まるで笛の音の様な声を漏らしたと同時に俺の身体の上でぴくりとも動かなくなった利助。
それは最早痩せこけた人の干物、心の臓の音は既に聞こえなくなっていた。
結局、利助は精気を全て吐き尽くし、所謂『腎虚』と成って命を落としたのだろう。今の俺の身体には男の精を吸い尽くす何か呪いの様なものがかけられているのかも知れない。
俺はゆっくりと身体を起こす。
元の身体の半分近くに成った利助の身体を抱えると泉の辺に行き、干涸らびた死体を泉に沈めた。
たった一日の出会いだったが、『女』として身体を許した仲、少し…ほんの少し胸がきゅうと成ったが、俺は元・鬼、そんな情けの心など有ろう筈が無い…多分。
俺は未だ素っ裸である事に気付き、泉でさっと水浴びをした後小屋に戻った。身につける物を漁ったところ、赤い前垂れの様な着物が出てきた。
多分『華扇』とやらが着ていた物だろう。さらに小さな丸い頭巾の様な物が出てきた、ちょうど良い瘤の様に縮んだ角がこれで隠せる。
更に布で右腕を巻いてゆくと無い筈の右手の形が出来上がった。
俺はそのまま利助の小屋に住み続ける事にした。
この辺りの山は山菜やキノコの類いが豊富に採れる為、良く人里から分け入ってくる。
その中の誰ぞが俺の姿を見たのか、何時の間にか人里では山奥に天女の様な美しい仙女が住んでいると噂に成った。
その頃俺は仙人の真似事の様な修行を行っていたが、それも男への欲望を鎮める為に過ぎなかった。
利助との行為により俺の身体は『女』として目覚めたらしい。
ああ、男が欲しい…、精を吸いたい…。
房中術を用いて男の精を吸い続ければこの身体は何時までも『不老不死』を保ち続けるのでは…?
そんな時、俺に好奇心を起こしたのか、度々里の男共が山にやって来る様に成った。
中には真摯に仙人に成りたいと俺に弟子入りを願ってくる者も在った。
だが、その男共の何れをも犯し、精を吸い尽くし干涸らびさせて命を奪ったのだ。
俺の白い肢体に押さえ込まれた男…、俺は男の上で激しく腰を使う。
「あっ!?あああっ!?」男がこの世の物とも思えぬ悦楽の声を上げる。
そうれ、もっと精を放て!まだまだ足りぬわ、我に力を与えよ!
「おっ!?おおおおうううっ!!」
男は夥しい量の精を放ち、俺はそれを子袋に取り込む。
じゅるっ!じゅるっ!じゅるっ!
男の魔羅から一滴も残すまいと俺の女陰(ほと)は牛の乳を搾るが如く男の魔羅を締め上げる。男の精を吸う度に俺の身体は妖しい光を放ち、透き通る様な肌に成る。
やがて庵の中に栗の花の様な妖しい香りが立ちこめる。
そして俺の身体の上でからからに干涸らびた男の死体を担ぐと庵の外に有る泉に沈める。
泉の底には俺に精を吸い尽くされ死んだ男共の白骨が堆く積もっている事だろう。
何時しかあの山の仙人の怒りに触れたら二度と生きて還って来る事は無いと恐れられる様に成った。
今日も意図してなのか、知らずになのか年端も行かぬ男子(おのこ)が迷い込んできた。
俺はその男子を鋭い目で睨み付ける。
何じゃ?お主は?ここがどういう場所か知っておろうの?
「も、申し訳ありません。仙人様、私は貴女様の噂を聞きどういうお方なのか一目知りたいと思い、ですが恐ろしいと噂に違いまるで天女のような美しいお方だと…。」
ほほう…、だがお主は私の処へ参った男共は一人として里に帰った者はいないと聞いておらぬか?
「そ、そんな…、このような美しい仙人様が然様なことを為さるとは。」
うふふ…、さあて、そうかな?見た目に惑わされてはのう?
うむ?その男子(おのこ)の顔を見た時何故か懐かしい様な気がして胸がきゅうと成る。
ああ、そうか…、この男子は死んだ『利助』に面影が似ているのだ…。
何故、今更利助の事を思い出す??俺は元・鬼だそんな感傷など…、だが、この胸が締め付けられるのは??
お主名を何と言う?
「は、はい、『亥助』と申します。」
『亥助』か…、お主この私が怖くないのか?私は『男』を食い殺す魔仙と噂されておるのだぞ。
「そ、そんな…、私には天女と見まごう美しい方と。」
うふふ、まあよい。ところで亥助とやら、お主女子(おなご)は知っておるのかえ?
「は、はあ??」顔を真っ赤にし、しどろもどろになる。
ふふ…その様子では未だ『筆下ろし』はしておらぬようじゃな。
「い、いえ…。」
まあよい、それでは私がお主の初を頂こう。
さあ、こちらへ参れ。
俺の手招きに応じ、ふらふらと吸い寄せられる様に歩いてくる亥助、それをしっかりと両の腕(かいな)で抱きしめる。
「ああっ!?せ、仙人様ぁ!」
俺はそのままゆっくりと亥助を草むらに寝かせる。
ふふ…可愛い。
どうだ?女は怖いかえ?
「い、いえ、仙人様は綺麗です。それにとても良い香りが…、うぷっ!」
俺は亥助の口を吸った。
更に舌を差し入れ、亥助の舌と絡ませる…、うんむぅ、ちゅう~ちゅぷっ!
すでに亥助の股引(ももひき)の股の辺りが張り裂けそうに盛り上がっていた。
俺は手でその辺りをさわさわと撫で回す。
「うぷっ!あああ…。」
俺は自分の胸元をはだけ、両の膨らみを晒す。
さあ私の乳を吸って…。
俺は左の乳首を亥助の口元に持って行く。
「はむっ!ちゅ、ちゅう~!」
あ、あは…。そ、それ、吸うているだけでなく舌先で乳首を嬲れ…、はあっ!ふぅん…。
俺は亥助の股引を引き下ろし張り裂けそうに成っていたモノを楽にしてやる。
びくんっ!やや小ぶりながら血筋を浮上がらせ天を向いて屹立していた。
「ああ、仙人様、そ、それは…。」
怖がる事は無い私に身を任せよ。
そのモノの先は半ば皮を被っていた。手でゆっくりと扱くと皮がめくれ薄桃色をした雁首が現れ、先から露を滴らせた。
乳房に貪り付いている口を離させ、俺はそのモノに口を近づけてゆく。舌を伸ばし先に滴る露を舐め取る。
ちろっ、ちゅぷっ…。
「うっ!!うああっ!!」びくびくと亥助が身体を震わせる。
しかしこの男子、若く見える、おそらく十四、五歳か?
のう?お主『精通』は来ておるのか?
「ううっ!!は??」
精を漏らした事が在るのかと聞いておるのだ?
「言われている事が判りませぬ…、ああっ!!」
先程から亥助は俺の舌の動きに合わせて身体をひくつかせている。成程、これは未だ『初精』を漏らしておらぬのかも?
男子(おのこ)が初めて漏らす精、それは何よりも神通力を高めるのに効能が有るという。
ふふ…、これは楽しみだ、俺は思わず舌なめずりをする。
百年に一度『龍神』が美女に化けて地に舞い降り、若い男の『初精』を求めると言い伝えられているほどだ。
最早亥助の男根(へのこ)は鉄(くろがね)の棒、この元・鬼で有った俺が人の金棒で退治されるのか?くふふふ…。
ゆっくりとソレを口に含む、じゅぷ、うんむう~!じゅぽっ!じゅぽっ!じゅぽっ!俺は激しく口を使い亥助の男根を嬲ってやる。
「あ…、ああっ!あああっ!?せ、仙人様!な、何か尿(いばり)が漏れそうな…?あっ!あっ!」
待て待て、どうせなら私の中で漏らすが良い。
そう言いながら俺は亥助の上に跨がり、着物の裾を捲り女陰(ほと)を露わにし、亥助の男根を握ると陰門にあてがいそのまま腰を下ろして行く。
あ…、あふぅ…。
濡れそぼった俺の女陰は亥助の男根をぞぶりぞぶりと飲み込んで行く。
「ひ?ひあああ~!」亥助は魂消る様な声を上げる。
あはあ…、そんなに具合が良いかえ?そおれもっともっとじゃ!
俺は更に腰を振り、亥助の男根を絞り上げる。
「あっ!!あああああ~~!!」
どぷっ!どぷっ!男根の先から熱いモノが迸る。それは通常の精よりも濃く粘りが有り、どろりどろりと俺の子袋に注ぎ込まれる。
同時に身体の隅々に気が満ちてゆくのを感じる、あはあ…いい…。
「せ、仙人様!て、天にも昇るようです!あああっ!?」
亥助が腰を突き上げる度に後から後から精が漏れ出す。初めての精通の快楽に溺れきっていた。
俺の子袋は亥助の『初精』で満たされていた。何か得体の知れない力が身体の奥底から沸き上がってくる。
今なら空でさえ飛べそうだ。これが『初精』のもたらす効力なのか?
俺の肌は白く透き通る様に…、それに引き替え亥助は息も絶え絶え、少しやつれた様に見える。
「はあ…はあ…、仙人様有り難うございました…、私を一人前の男子(おのこ)として頂き…。」
構わぬ、私とてお主から力を貰ったのだ礼などいらぬ。
「実は私、仙人様を以前山菜採りに出かけた折お見かけした事が有るのです。」
ふむ…?
「何と気高くお美しい姿で有ったことか…、私は一目で仙人様に心を奪われてしまいました。」
「その後、私の想いは仙人様の事ばかり、何時かお目にかかる事を思い続けておりました。」
「お願い致します。是非私めを弟子に、いえ、それが叶いませんでも下働きの奴(やっこ)として身の回りのお世話をさせて下さい!!」
下らぬ事を言うな!私とて未だ修行中の身、それと知っておろう?私が人里で若い男の精を吸い尽くす、『魔仙』と言われているのを…。
「知っております、それと『女仙』が房中術を用い、男の精を吸い、通力を高める事も…。」
ならば、何故?
「私は仙人様のお役に立ちたいのです!好きに成った女子(おなご)の役に立つ事、男子(おのこ)の本望でございます。」
馬鹿な事を言うでない!
「構いません!さあもっと私の精を!!」
そう言うと華奢な身体に似合わない力で俺を押し倒す。
俺の両足を開き、力尽くで俺の女陰に男根を…、はあっ…んっ!!
よせっ!!お主、命を落とすぞ!
「構いませぬ、仙人様のお力に成れるのならば、ああ…。」そう言いながら亥助は稚拙に腰を使い続ける。
ああ…、や、止めよ…そんなに…したら…お、抑えが利かぬ…、ああん!!
俺はもう無意識に逃さぬ様亥助の腰に両足を絡めていた。
あ…、あんっ!ああんっ!!
俺は亥助の腰の動きに合わせて腰を使う、だが、その内亥助が俺の体の上で揺さぶられる様に…。
「おっ!おっ!おおおお~~!!」亥助が悲鳴とも悦楽の声とも知れぬ雄叫びを上げる。
どぷっ!どぷっ!再び俺の子袋に精を注ぎ始めた。
もはや俺は男の精を吸い尽くす事に囚われた妖魔に過ぎなかった。
やがて俺は女の頂を迎え、意識を飛ばした…。
ふと意識を戻すと俺の体の上には干涸らび枯れ果てた老翁の様な亥助の身体が…。
えっ!?こ、これ!しっかりせいっ!!
やがてか細い消え入りそうな声で…「せ、仙人様…こ…んな…私めでも…お…お力に…成れ…ました…でしょうか…?」
ば、馬鹿っ!!喋るなっ!!お主は『腎虚』に成っておる…、そのまま静かに寝ておれ!
「か,構いませぬ…、私の…身は…せ、仙人様に…。」
かくっ!亥助は首を前に折るとそのまま静かに成った…。
えっ?そ、そんな…??あ…、あああぁぁ~~!!俺は訳の解らぬ叫び声を上げながら亥助の遺体を力一杯抱き締める。
『ぶふぉっ!!』遺体は細かい埃と成って舞い散った。
俺は暫く立ち上がれない位、身体の力が入らなかった。
ふと、頬が濡れているのに気付く。何だこれは??両の眼(まなこ)からそれは滴り落ちていた。
まさか…?ふふっ、下らぬっ!元・鬼のこの俺が『涙』などと…。
のう?『利助』。俺…、いや私はやはりお前の『妻』には成れそうに無いようだ。
それから時は流れ、何時しか私は『茨歌仙』改め『茨木華扇』と名乗る様に成った。
世俗の欲を全て絶ち、ひたすら仙道の修行に勤しむ。
いや…、しかし…只淫欲のみ断ち切る事が…。これも我が通力・美貌を保つ為致し方なく。
身体が疼いてやむを得ぬ場合、夜中に人里に赴き寝ている間に若い男子の精を吸う。が、しかし『腎虚』に成らぬ程度、命を落とさぬ程度に加減する事が出来る様に成った。
何時しか私の事を人々はこう囁く様に『淫美仙人』と…。
(完)