「へへ、本当に社長になってやがる。」
M&Aで突然外資企業に吸収された我が社。経営陣は刷新され、様々な業務が合理化された。
それは良いのだが、“欧米では残業はない”とか“企業内でのイジメはあり得ない”とか、ありゃあ嘘だったね。
能力別に階級が振り分けられ、最低ランクと見做された俺は庶務課(通称追い出し部屋)に配属され、毎日遅くまで雑用をさせられている。
日本の法律のお陰で簡単にはクビに出来ないらしいから、自分から辞めたいと思わせる環境に追いやられたって訳だ。
ふざけるな。世界最高の大学を出たエリート様だか何だか知らないが、20代の小娘に虫を見るような眼で見下されてたまるか。
ぶっころしてやる……。社長室のある最上階の掃除を命じられた俺は、エレベータに細工をし停止させ、社長が階段を使うまで物陰に隠れて就業時間を待った。
―――
「……全く、エレベータが故障なんて庶務課は何をやっていたのですか?」
「仰る通りです。庶務課は連帯責任とし給与30%カットの処分を通告しておきます」
来た。社長と、秘書の女。勝手な事言いやがって!もう許せねえ。俺は猛然と社長に突撃し、階段から突き落とした……つもりだったが、うっかり一緒に階段を落ちてしまった。
「社長!大丈夫ですか!ああ、すぐに救急車を…」
秘書が“俺の”安否を心配している姿を目にし、俺の意識は落ちていった。
目が覚めるとそこは病院のベッドだった。
どうも個室らしく、調度品が整い何処と無く高級感のあるこの部屋は
VIP向けの特別個室という奴かもしれない。
(なんで俺がこんな部屋に?)
状況を確認するため体を起こす俺。
だが、肩に掛かる重さと視界に入り込む金色の長い髪に困惑は増すばかり。
「社長!気が付かれたんですね!」
今まで付き添っていたのだろうか?
ベッドの隣に座っていた秘書の女が嬉しそう顔で、
って社長?
秘書の嬉しそうな声が頭に響いて痛い。
「双葉さん、頭を打っておられますから動かさないでください」
医者?らしき白衣を着た女がやって来て、秘書を引き離した。ありがてえ。
「さてタチーハさん意識はハッキリしていらっしゃいますか?」
俺の方をはっきり見て“タチーハさん”って言ったな。タチーハってのは、あの忌々しい社長の名前だ。てことはやはり……。
「すいません。イマイチ意識と記憶がはっきりしなくて……、診察は後にして今は一人にしてもらっていいか……いいですか?」
そう言うと、医者は仕方ないですねと言って、秘書と共に部屋から出ていった。
病室のくせに俺の部屋より広いし、窓の外の見晴らしがやたらいい、最上階か?ソファーに姿見やクローゼットまでありやがる。
姿見……、ゴクリと息を飲み込む。鏡に映っている姿は果たして……。
「……へへ、本当に社長になってやがる」
社長になったのは運が良いと判断してしまうが、俺の意識が講してあると言うことはもしかすると元の身体に社長が居ると言う思考になってしまう。この身体を返せと言われても、絶対に手離したくない。
「これは……新聞か」
思わず手に取って見てみるとタチーハを突き落とそうとした俺の姿がはっきりと監視カメラの映像が残って事から。殺人容疑として逮捕するはずだったのだが。俺は頭から血を流して死亡したと記載していたのだ。
「ふふっ、俺の身体が失ったのは全て社長のせいだから。これからはこの身体を有効活用しないと損だよなぁ?」
元に戻ることが出来ないと判断した俺は早速、これからどの様に行動するのか考えることにした。社長になりきる為には記憶とか読み取る必要があるが、どうすれば良いのだろうか?イメージが浮かばない。
ま、なりきれなかったらその時はその時だと割り切り改めて鏡の前に立つ。
いけ好かない小娘だったが、この整った顔立ちと女性らしい凹凸のある身体が
今や自分の物になったと思うと誇らしく感じる。
「悪いな、これからは俺が”タチーハ”だ。いいよな?社長」
「はっ。もちろんです、清彦様。」
「ご迷惑をおかけしたお詫びに私の体を自由に使って頂いて構いません!」
下手な演技をすると鏡に向かって敬礼のポーズを取る。
今まで俺を苦しめきた社長が今や俺の思うがまま。
溜飲が下がる思いだ。
「本人の許可が出たなら好きにさせてもらうぜ。まずは……胸だ!」
おもむろにボタンを外すと、今まで圧迫されていた胸元の塊がブルンと音でもたてるように揺れ動く。下を見ればたわわに実った女の象徴とも言える巨乳が視界いっぱいに広がってくる。
「これが、俺のもの……! どう扱おうが俺の思うままなんだよな……!」
宣言するように呟くが、誰も否定などしない。当然だ。もう俺がタチーハで、タチーハは俺の身体以外の何者でもない。この身体で何をしようともう俺の勝手だ。
お高くとまったこの肉体を思うままに操って、陵辱の限りを尽くしてもいい。この身体は俺のものなのだから、ただ自分を慰めるだけだから、誰も咎めることはできない。
「女」に生まれ変わったことを使いこなすのもいい。男の頃なら覗くだけで捕まってしまう女湯、女子更衣室、その他もろもろ。タチーハの女体を使えば誰も疑わない。こいつのエロボディを晒しながら、コイツの眼を使って他の女を視姦するというのも中々にそそるものだ。
考えただけで乳房の先がプクッと膨らむ感じがする。俺がしたエロ妄想がタチーハの脳内を流れ、俺の興奮がタチーハの肉体を興奮させている。俺の意思に身体が連動すればするほど、これが俺の新しい身体なんだぞと教えられているようで、背筋がゾクゾクしてくる。
「自分の身体で興奮できるなんて、最高だなぁ……! 悪いな社長。俺に人生乗り換えられたせいでこの身体、これからオナニー大好き淫乱女になっちまうかもしれねぇわ」
勝手にタチーハの人生を決めつけながら乳房を揉みしだく。当然の権利だ。俺は既に「雑用係の清彦」から「大企業の女社長タチーハ」へと人生と肉体を乗り換えたのだから。この身体も、未来も、何もかも俺の思うままなのだ。
「良い、気持ちいい……このでかい乳も、スケベな身体つきも、好き放題使わせてもらうぜ……!」
俺は新しく手に入れた女の肉体を思うまま堪能する。この身体の体力が尽き果てる夜更けまで、タチーハの身体は俺の性欲の捌け口にされ、逃れることは出来ないのだった。
自 分の身体で欲求していると少しずつ頭の中にタチーハの記憶が流れて来る感覚が来た感じがした。幼少の頃から此処まで社長になった人生。曖昧な記憶だが多少 はマシだと考える、暫くすると目の前にスイッチのような物がある。今はOFFとなっているがONにすればタチーハに完璧になりきることが出来ると確信する くらいだ。
スイッチはまだONには出来そうにない。
しかしこのままこの身体を堪能し、開発し、舐りつくして、この身体に残っている“タチーハの残留思念”のような物を磨り潰せば、全てが手に入る。根拠はないが、何故か確信できる。
次の日の朝も、俺はタチーハの身体で目覚める。病院の最上階だけあってシャワー室も備え付けられていたため、まずは昨日の陵辱で愛液まみれになった身体を洗い流すことにした。
「ふぅ……ふふっ……ぐふふっ……!」
シャ ワーを浴びる。ただそれだけで全身が違和感でいっぱいになる。豊満な乳房は流れてくるお湯を一旦せき止め、更に下に流れると逆に股間はするりとお湯を床へ と落としていく。長くサラサラした金色の髪も、お湯を弾いて光る透き通るような肌も、何もかもが俺がもう今までの汚い「俺」でないことを教えてくれるの だ。
若く瑞々しい肉体は昨日あれだけ好き放題犯し尽くしたにも関わらず既に回復の様相を見せつけてくる。この身体が手に入って良かったと心から思わせてくれて、思わず笑みがこぼれてしまう。
そして何より、その証拠とでも言わんばかりに、鏡には不敵な笑みを浮かべながら自らの裸体を惜しげもなく晒すタチーハの姿があった。
「この美しい身体、絶対に俺のものにしてやるからな…!」
「全く!何を手間取っているのかしら。自分の体なんだからさっさと使い倒せばいいじゃない!」
「これだから仕事の遅い男は嫌いなのよ。」
俺はまた社長のフリをしてみる。
自分の記憶の中の社長とタチーハのおぼろげな記憶を組み合わせて
振る舞いをトレースしたお陰で昨日の下手な芝居に比べると大分マシになった。
「へへ、こうなったら社長も可愛いもんだな。お次は……」
がに股で腰に手を置き、股間を前に突き出しヘコヘコと腰を振る。
マヌケな絵面だから胸とケツがでかいタチーハの体でやるとぶるんぶるん揺れてエロい。
すると股間からは少しずつ液体が滲み出ている感覚が伝ってくる。俺の魂からの男としての興奮が、タチーハの女の肉体に送り込まれて、この身体は女として興奮しはじめたのだ。
この身体を貰ったから何度も味わった感覚だが、あの高慢な女社長の最高級ボディが、彼女にとって道端の石程度の存在でしかなかったはずの俺の思うがままに発情させられ、性欲の捌け口へと堕ちようとする姿はたまらない。
「私はタチーハ。本来の魂を失くした身体。清彦様は私の新しい魂。身体は魂の物。だから私はこれからずっと清彦様の物。どう使われようと清彦様の勝手っ……♡」
今この身体が置かれている状況を的確に口にすると、言葉がジワリと耳に響き、頭の中に染み込んでいく。
股間から出た愛液が遂に尻まで垂れはじめて、俺はそこに再び手を当てると、今までより強い快楽が流れ込んできた。
「はぁあっ……♡ 「私」がどんどん俺化していってるんだ…! やっぱり、この身体で女オナニーを繰り返せば、いずれタチーハは完全に俺の新たな身体になってくれるぞ…!」
タ チーハの身体が俺に徐々に乗っ取られようとしているのを実感しながら、更に強くこの身体へ結び付くべく再びオナニーを開始する。ニヤニヤ笑いながら自分の まんこに指を突っ込み、涎を垂らしながら快楽に蕩ける女社長様の顔は、冷徹で高圧的な彼女からは考えられないもの。俺に身体を乗っ取られなければ絶対しな かったような好色なスケべ女の顔だった。
が、その時だった。コンコンとドアをノックする音が部屋に響く。求めて疼き続けるタチーハのエロまんこをよそに、慌てて部屋にかけてあった患者服を纏ってベッドに飛び込んだ。俺がタチーハと完全に合体するための大事なオナニーを邪魔しやがって……
「タチーハ様、検温のお時間です」
入ってきたナースはなかなかの美人で、スタイルも良い。俺に支配されているタチーハの股間が再びジワリと愛液を生み出すのを感じた。
最近の病院は、額にレーザーを当てて一瞬で検温を済ませられるらしい。
「36.1℃、平穏ですね。続いて採血と血圧測定をしますので袖をまくってください。終わりましたら脳波検査の準備をしますので、少々お待ちください」
普通の患者であれば採血や脳波検査はしないんだろうが、タチーハの身体に万が一のミスがあれば担当医の一人や二人簡単にクビが飛ぶだろうから病院側も神経質に細かく調べているってわけか。
ナースは手慣れた様子で注射を刺し、すぐに血を採った。タチーハほどではないが中々綺麗な指先、この指で“ご奉仕”してもらいてぇな。
「ひぐっ!?」
そんな妄想をしていたら止血バンドを外していたナースが悲鳴をあげて体を硬直させる。
(?なんだ?)
俺は訝しむが不審な素振りはその一瞬だけで後は手慣れた手付きで後片付けを続ける。
「それでは脳波検査の準備ができるまで、私が“ご奉仕”させていただきますね。」
その一言でそれまで病室に漂っていたごく普通の検査の空気が一転して、淫靡な雰囲気になる。
「へ?なんだって?」
聞き間違えかと思い俺は社長の振りも忘れて素で聞き返してしまう。
「あ、いえ……私いったい何を……」
ナースも困惑している。
自分の言動と行動に戸惑っているようだ。
俺も不思議に思うが、若くして社長になったタチーハの脳は違った。
サッと手を伸ばしてナースの腕を掴む。そして、
「私の体をマッサージしてくれるんでしょ?そうよね?」
「は、はひ。マッサージをでご奉仕します……。」
ナースはまた一瞬だけ挙動不審不審になるが、そのキレイな指先でマッサージを始める。
どうやら今の俺は触った相手に思考を流し込むことができるようだ。
相手はそれを自分が思ったことだと認識して行動してしまう。
これは俺の魂が自分の体から抜け出しタチーハの体に乗り移り、
わずかとはいえ記憶という魂の一部を取り込んだことで、
他人の魂にも干渉する術を得たのだろう。
優秀なタチーハの脳みそは今起こっている現象についてそう分析した。
(なら試しに……俺のデカ乳を揉んでもらおうかな!)
「それじゃあ次は……そのデカ乳を揉ませてもらいますね。」
美人ナースはニヤケ面で下品な単語を口にすると、
俺のおっぱいをもみ始める。
「ふへ☆姉ちゃん良い乳してるじゃねえか」
理知的な顔を崩し、鼻息荒く俺の胸を鷲掴みにするナース。欲望を隠そうともせず、おっパブで嬢の胸をおもちゃにするかのように強く揉んで、俺のオッパイを好き勝手に形を変える。
「ん……痛!自分も女なんだから、どう揉んだら気持ちいいか分かるでしょう!?自分がオナる時どうしてるか思い出して」
「あ……し、失礼しました!あまりにもエロいデカ乳でしたので理性が……では、改めて」
そう言うとナースは力を緩め、柔らかく押すように、撫でるように、蠢かすように指の力を調整し愛撫し始めた。
「ぁ♥悪くないな。ふぅん、普段からオナニーする時はその美乳を弄ってるの?」
「そんな、タチーハ様のと比べれば美乳なんて烏滸がましいです……いえ自分でも自慢の美乳なので鏡に映してオカズにしてオナっています」
魂に干渉し、正直に話させる。まあ、言うだけの事はある乳だよな。ナース服の上からでもわかる大きさと形の良さ。ま、タチーハの身体には劣るがね。
(ふふっ、この女、なかなかに気に入ったぞ・・・)
俺はナースの右腕を掴み、左腕はナース本人の美乳を自分で揉ませながら、彼女の魂に
新たな命令を吹き込んでいく。
「さあ、その頭の中を快楽に浸らせながら自分の魂に刻むのよ。あなたの真の主は誰かしら?」
「あっ♡わっ・・・、わたしの主はタチーハ様っ♡」
「そう、その恵まれた身体、優れた知性の全てを以て、私に仕えるために生まれてきた」
「はっ、はい♡わ、私の存在意義はタチーハ様の僕・・・っ!」
彼女を自らの肉体が作り出す快楽を利用して、その魂の形を歪めていく。真の主が誰なのか、
自分の存在意義は何なのか、正しくあるべき魂の姿を歪め、不可逆なものとして固定していく。
その彼女は自らの手でもって、本来歪んではいけない方向へと進んでいることに気が付くこと
なくその魂の形を変えていく。そして・・・
「おおッ、イグ、イグ……~~~~~っ!」
「え?何か来……おぴょ!?☆☆☆」
俺はタチーハの体で感じたアクメをそのままナースに流し込む。
直後カエルが潰されたような悲鳴をあげるが、
それは致命的に変質する魂の最後の悲鳴だった。さらに、
「へへ。今度は美乳ナースか。お、記憶も読めるぞ。」
俺は他人の魂を認知した結果、己自身の魂の存在も自覚できるようになった。
なので僕にするついでに俺の魂を受け入れるように
ナースの魂を加工して乗り移ったという訳だ。
「うっ、私は……」
俺が抜けて本人の魂が動き始めたのだろうか。
タチーハが体を重そうに起き上がらせる。
「目が覚めましたか。気分はどうですか、元タチーハ様。」
「あなたは……、ここは病院?」
起きたばかりで意識が混濁していた様だが、目に力が戻り始めると
その力強さに比例するように顔を青くしていく。
「え、私、なんっ。」
「へぇ、俺が何をしていたか覚えているようだな。脳みそは同じだからかな」
キッと睨みつける。
「あんた!うちの社員の清彦だったわね!こんな事してタダで済むと思っているの!」
「こんな事とは?元タチーハの分際でタチーハ様に楯突くなんて、身の程を知りなさい。」
「ふざげないで!タチーハは私よ!」
俺の言葉に激怒した社長はナースコールに手が伸びる。
「今すぐ人を呼んであんたを……、はい。残念。また気が向いたら返してやるよ。むひっ♥」
腕を掴まれていた事に気が付かなかったタチーハの体をあっさりと取り返すと、
俺はニンマリと笑う。
魂の加工や移動は接触が条件だが、タチーハに対してはまだ移動しかできないようだ。
恐らくだが、タチーハの魂の質量が大きく例のスイッチを押さない限りは
加工はできないのだろう。
「さ、脳波検査と行こうか。いつまでも呆けてるなよ、変態ナース。」
「あん♥かしこまりました。案内させて頂きます、タチーハ様♥」
念の為検査は普通に受けたが、全くの健康体という結果が出た。
これはつまり、医学上は他人の魂が入ってようがそれを検出する事は出来ないという事だ。
そして、健康という事はこの身体で第二の人生を謳歌するのに支障が無いという事だ。
・・・・・・
「―――以上で今後の定期検査の説明を終わらせていただきます。他に何かご質問はございますか?」
「いえ、特にないわ。また今度来た時はよろしく」
さっさと退院することにした。
女医や他のナースたちを物色するのも良いが、俺にはT&Sカンパニーという大事な会社(オモチャ)が待っている。
ナースの若葉にはオンナを悦ばせる手段をインストールしてある。若葉に視線を向けるとウインクをし、唇だけを動かした。
(はい、わかってますよタチーハ様♥本来の私なら断固としてやらなかったでしょうけど、タチーハ様の為に尊敬する女医先生や、友達の同僚ナース達をマゾメス奴隷に調教しちゃいまーす♥)
主治医が隣にいるから彼にバレない様にだが、若葉は勃起した乳首をナース服に押し当て横ピースして見せた。どうやらノーブラノーパンの様だ。
さて、これからどうするかな。
元のタチーハと誼のある大物議員に働きかけて同性婚を認める法案を可決させて、会社の方でエロ下着を作る部門でも発足させて……いや、広報部で専属契約してるアイドルを“加工”するのも面白そうだ。
全く、金と権力があると遊び方が広がって仕方がねえや♪
俺はウッキウッキしながら出社する。
会社に来た俺を見る社員の目は追い出し部屋にいた頃とは全く違う。
集まる羨望と好奇の視線とモーゼの海割りが如く社員が前を譲ることに優越感に浸る。
(やっぱこの体だと扱いが違うなぁ。まぁ注目の的になっているのはそれだけじゃないんだが。)
俺は勝手知ったるといった感じでエレベーターに乗ると最上階の社長室を向かう。
「社長!?もう出社されたのですか?てっきり今日はお休みになるかと。」
「検査の結果は全くの健康体だったのにこれ以上休むわけにはいかないわ。」
「それより今すぐタスクフォースを呼びなさい。緊急案件よ。」
タスクフォースというのはタチーハが連れてきた子飼や元々いた社員から抜擢した
女性社員で構成された親衛隊の様なチームだ。
俺が庶務課に配属されたのもこいつらの言う”業務改善”の結果らしい。
「招集は可能ですが、あの……その格好は?」
秘書は言いづらそうに俺の格好に言及する。
無理もない。
今の俺は、ブラが見え隠れする位置までボタンが開けられたカッターシャツに、
その舌にある下着を隠す役目を半分以上放棄している様な
ウルトラマイクロミニのスカートというエロ社長スタイルだ
「あら?何かおかしいかしら。社員の士気向上を思えば、この程度など安い物。そうは思わない?」
「い、いえ・・・。しかし・・・」
秘書はかなり困惑した様子で視線を泳がせている。実際おかしいと思っているのだろう。
まあ当然だろう。常に魅力的な肢体を隠しながらもそれを上品に引き立てる。普段のタチーハで
あればそういう格好を好んでいた。そんな尊敬すべき社長が、あろうことか男性社員でも
なければ士気が上がらない、いうなれば破廉恥な格好を正当化しようとしているのだから。
(そう言えばこいつも、大概俺のことを馬鹿にしてやがったよな・・・)
社長室の掃除をすればまるで姑のように毎度毎度こざかしい内容でいちゃもんをつけ、
到底無理な内容を終業近くになって押し付けて自分は定時退社、あまつさえそれで
仕上がりが悪ければ言及を具申する・・・
(上等だ・・・。今までの恨み、お前にも身体で返してもらうとするか・・・!)
「ねえ、パソコンの調子がおかしいのだけれど、見てもらってもいいかしら?」
「は、はい、かしこまりました。しかし、社長がいつ出社してもいいように準備しておけと
指示をしておいたのですが、庶務課の怠慢ですね」
そう言って秘書はパソコンを確認しようとし、俺の近くに寄ってくる。彼女はパソコンの画面に
夢中で、俺に背中を預けている。つまり、無防備だ。
そんな彼女の首に腕を回し、ヘッドロックの要領で引き寄せながら首を絞める。
「し、社長!いったい・・・!」
「うるせぇ!今までの非礼!てめぇが身体で払いやがれ!!」
「あぐっ!!うあぁ!」
腕を通して彼女の魂への干渉を開始する。最初こそ抵抗されたが、すぐに力が抜けて
口からは蚊の羽音のような情けない声が出続ける始末だ。あの憎き社長の秘書が、
今こうして俺に改造されるために身を預けている。その事がたまらなく爽快だ。
今回はあのナースと違い、より脳に近い首根っこを確保している。これでどの程度効果が
上がるのかは分からないが、より根本から魂の形を捻じ曲げてやろう。そしてこいつを俺に
とっての本当の意味での忠実な奴隷にまで下げ堕とす。表向きはいつもの通り怜悧で有能な
秘書として、そして本来の姿は肉奴隷として、その一生を使い潰してやる。そうだ、俺のみ
ならず庶務課の連中へもくれてやるとしよう。さあ、どうカスタマイズしてやろうか。
どう無様にしてやろうか、俺の中で妄想が膨らみ、タチーハの下部から愛液が垂れ流される。
呼吸が止まり、身体が酸素失う時もっともダメージを受ける部位はどこか?
答えは、“脳”だ。
無様に口から泡を吹き、チアノーゼを起こし顔を青くしている秘書に、口移しで空気を送り込んでやる。当然、送り込んでやるのは空気だけじゃないがね。
(さあ、新しい自分を迎え入れやがれッ!)
秘書の身体に送り込んだ呼吸の中には、当然ながら俺の魂が含まれている。
あのナースに腕から伝えてアレだけの影響を及ぼせたのだ。ならば、内側から
彼女そのものを蹂躙してやればどうなるか、その事に気が付けたのもまた、
タチーハの優秀な頭脳があってこそだ。有能で尊敬する上司の脳がまさか
自分に、それも目の敵にさえなっていたであろう庶務課の俺のために牙を
向き、自らの全てを破壊しつくすなどとは彼女も思っていなかったであろう。
余りに衝撃が強すぎたのか、もはや意識を失っている彼女の身体はされるが
ままに俺の事を受け入れていく。肺を通じて取り込まれた酸素とともに、俺が
秘書の脳へと伝わり、その構成を書き換えていく。その肉体の持ち主を本人から
俺の要素をたっぷりと詰め込んだ「俺」へと切り替え、そのすべてを明け渡しに
かかる。同時に、彼女の生涯が口を通じて俺の中に伝わってくる。なるほど・・・
(こいつ、学生時代にストーカー被害に遭ったからアレだけ男を毛嫌いする
ようになっていたのか・・・。まあ、実際美人だし頭いいし、魅力的な女
ではあるわな。だがそれも今日までだ・・・!)
支配者が切り替わり、俺の有利に運ぶように情報を明け渡してきた彼女の身体へ、
その中に巣食う「俺」へ最適な指示を出す。俺は方向性を示すだけでいい。あとは
彼女の脳が勝手に答えをはじき出してくれる。自らの実績に最大限傷をつけ、
その持ち主が最も拒絶したい事を、自ら望んで選んでくれる。これでいい。
「ふぅ、支配完了ね・・・。なかなか面白かったわ。あなたの人生」
タチーハに成りすまし、意識を完全に挿げ替えられ、身体を時折引くつかせて無様に
横たわる秘書へと声を掛ける。白目を向き、舌を出し、全身を尿や液でドロドロに
した様は普段の彼女からは考えられないほどの醜態であった。俺は当然のように彼女の
醜態を記録する。万が一の時はこれで脅せばいい。
おっと、庶務課のみんなにも楽しんでもらわないとな。この無様で忠実な「右腕」の
肉体を、メインディッシュをたっぷりと堪能してもらうとしよう。俺は慣れた手つきで
庶務課へ内線を掛ける。
『はい、庶務課、内藤でございます』
「あら、内藤。私の部屋が散らかってしまったの。大至急片づけてくださる?」
電話に出たのは課長の内藤だ。元々は営業担当で温和で優しい人なのだが、
決断力が余りにも足りず、庶務課に追いやられてしまった。タチーハの頭の
中にもそう残されていた。おかげで営業課は雰囲気が成果こそ上がったが、
ギスギスしすぎて空中分解寸前だったはずだ。こういうまとめ役の意味を
理解していない視野の狭さに頭が痛くなる。行き過ぎた成果主義はただの
恐怖政治でしかない。自分のことしか見ていない証拠と言えるだろう。
しかし、この内藤課長は俺としても世話になった人の一人だ。この人になら、
たっぷり楽しんでもらうのもやぶさかではない。彼の到来を俺は今か今かと
待ちわびていた。
内藤Side
・・・・・・
内線に表示された番号は001、社長室から直々のコールだ。
それを見た瞬間、庶務課の皆が一瞬固まってしまった。
なにしろ僕らの立場は崖っぷちに立っていると言ってもいいくらい危ういものだ。
何とか嫌がらせのような業務を耐え、辛うじて会社に“籍を置かせて頂いている立場”だ。
先日の清彦君が事故を起こしてしまった件だろうか。僕は課長という立場だが、詳細は何も聞かされていない。
一瞬で考えを巡らせ、意を決して電話に出る。
「はい、庶務課、内藤でございます」
『あら、内藤。私の部屋が散らかってしまったの。大至急片づけてくださる?』
この声はタチーハ社長だ。社長室常駐の秘書の方から指示を受けることは何度かあったが、社長から直接というのは初めての事だ。平静を装い声を絞り出す。
「はい、道具を揃えてすぐに伺います」
『道具はこちらで用意するから5分以内に来なさい。貴男一人でいいわ』
そう言うと電話は切られてしまった。
いよいよ年貢の納め時だろうか。
「皆、社長室の掃除をして欲しいだけらしいから大丈夫だよ、そんなにひどい汚れでもないようだから、僕一人で行って来る」
課の皆に心配を掛けない様に笑顔を作り、エレベータに乗り最上階を目指した。
タチーハ社長に代わってから導入された最新式のエレベータは、僕に考えを纏める時間も与えてくれず数秒で最上階に着いてしまった。
掃除はおそらく呼び出しの建前だろう。
解雇通告、課の解散、子会社への出向命令……。
最悪のシナリオは何かを想定しておけば、ある程度傷を浅くする対策も立てられる。営業時代に学んだことだ。
(40過ぎで再就職は難しいよなぁ、庶務課の皆の為にも何とかせめて現状維持のメリットを示さなきゃ)
フロアの半分以上を占める社長室。そこには社長専用の仮眠スペースや浴室まで作ったって噂だけど、僕自身は見た事が無い。
コンコンコン
「庶務課内藤参りました」
『入ってぇぇイイよォ♥』
何か違和感があったけど、秘書の双葉さんの声だ。まだ25歳くらいだけど帝江洲大学を出た秀才で、タチーハ社長に代わってから大抜擢された才色兼備の才媛だ。
「失礼しま……!?」
社長室に入った瞬間目に飛び込んできたのは、やけに艶めかしい服装のタチーハ社長と、“パンツを頭に被り裸ブレザーで四つん這いになっている若葉さん”の姿だった。
まるで犬の様に舌を出しハッハッと呼吸している
見開かれた目はこちらを射抜き……?
いや、視線が低い?彼女の視線を追うと僕のズボンを見ているのだろうか。チャックは開いていない事を確認し、もう一度双葉さんの方を見ると、見た事も無いほどだらしなく目尻を下げ、吊り上がった口角の端からは夥しい涎が垂れている。
「お゛、お゛ヂンボキタアあア!!♥♥♥」
嬌声を上げながらレスリング選手のような低いタックルで僕を押し倒し、乱暴にベルトに手を掛けた。
「双葉ッ!ステイ!」
「キャイン!?」
タチーハ社長が叫ぶと、双葉さんは僕から飛び退き、飼い主に怒られた犬の様に床に伏せた。
「ごめんなさいね内藤。この子、優秀だけど本当は“中年男性の身体に目が無いクソ変態ビッチ”なの。普段は取り繕ってるけれど、今日は発作が酷いみたい♪」
「は、はぁ……左様で……」
心臓がバクバク言っている。驚いたというのもあるが、久しぶりに若い子の柔らかい身体に触れ、シャンプーの香りを嗅いでしまい、少し下半身が反応してしまった。
「あの、本来の御用件というのは……あと、そのお召し物はどうなさったのですか?」
「あら?お目汚しだったかしら♥」
腰にシナを作り、超ミニタイトスカートの裾をチラチラアピールさせてくる社長。
「い、いえ!滅相もありマセン!」
「ふふ♪よかったわ。それで呼び出しの件だけど、双葉が粗相したから床掃除して、ついでに身体も拭いてあげてくれる?」
パソコンの前の床に不自然な水貯まりが出来ていた。ツンとしたアンモニア臭とそれに混じって独特な刺激臭。これは間違いなく……