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運動会で男女とりかえばや(まだ更新中)

2021/04/27 16:05:49
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運動会で男女とりかえばや
(このSSの時代設定は、90年代半ば、平成初期とします)

俺と双葉は家がお隣通しで、幼馴染というやつだ。
今朝、俺と双葉は、双葉の家の前で、ちょっとした口喧嘩をしていた。

「ほら双葉、いつまでも嫌がっていないで、一緒に学校に行くぞ!」
「イヤ、絶対にイヤ! 運動会なんて、疲れるだけで全然楽しくなんて無いわよ!」
「そんなことないぞ、なんで双葉には、運動会の楽しさが分からないのかなあ
「清彦はいいわよ、スポーツ万能で運動は得意だから。運動音痴のあたしの気持ちなんてわからないわよ」
「そんなことねーよ」
「ううん、わかってないわよ。一度清彦もあたしになってみれば、運動音痴の気持ちがわかるようになるわよ」
「ああ、そこまで言うなら、代われるものなら代わってやるよ! それでもお前よりはちゃんとやってみせるさ」

そこまでなら、俺と双葉だけの口喧嘩だった。

「話は聞かせてもらいました。私が一肌脱ぎましょう」
「えっ!」
「えっ?」

通りすがりのお節介な変な女が、なぜだか俺たちの口喧嘩に介入してきたんだ。

「お姉さん、誰?」
「何だよお前、俺たちのことに口出しするなよな!」
「いいから私に任せなさい、それじゃあいくわよ、そーれ!」

俺や双葉の言葉を無視して、その変な女は、俺たちに手をかざしながら変な掛け声をかけた。
その瞬間、俺の気が遠くなり、一瞬意識が跳んだ。
そして次の瞬間、ハッと意識が戻ると、俺の目の前には俺が居た。

「お、俺?」
「え、あたし? なんで?」

俺たちは、体が入れ替わっていたんだ。



そんなバカな!
だけどすぐに、俺はこんな事を仕出かした、犯人に気が付いた。
俺と双葉の口喧嘩に割り込んできた、俺たちより少し年上の、黒ずくめのナイスバディな変な女に食って掛かった。

「これはあんたの仕業か!」
「ええそうよ、私の力で、あなたたちの体を入れ替えてあげたのよ」

黒ずくめの女は、俺と双葉の体を入れ替えた事なんか、別にたいしたことでもないかのように、事も無げにあっさりと認めた。

「なっ、……なんでこんなことしやがったんだ! すぐに戻せ!」
「あら、あなたはさっき、その娘と口喧嘩していた時に言っていたじゃない、代われるものなら代わってやる! それでもお前よりはちゃんとやってみせるって」
「それは、……確かに言ったけど、それはものの勢いっていうか、売り言葉に買い言葉っていうか……」
「あら、つまりさっきそう言ったのは、本心ではなかったと?」
「くっ!」

黒ずくめの女に、痛いところを付かれて、俺はつい口ごもった。
口から出任せ、とまでは言わないが、本当に体を取り替えられるなんて思っていなかったし、実際にこうなってしまうと、やっぱりイヤだった。
だからって、やっぱりさっきのはなし、やり直し、とは直ぐには言いにくかった。
なので、救いを求めるように、俺は双葉に、元の俺、清彦の姿の男に話を振った。

「ふ、双葉、お前からも何か言ってやれ、急にこんなことされたら、お前だって迷惑だろう?」

双葉だって、急に俺の体に、男の体になったら戸惑うだろうし、元の双葉の女の体を、俺に使われるのはイヤだろう?
だけどその双葉、いや元の俺清彦の口からは、意外な返事が返ってきた。

「う、うん、ちょっと恥ずかしいし、何だか変な感じだけど、……でも」
「でも?」
「あたし、もうちょっとこのままでもいいかな、ううん、この体で、運動会に出てみたい」
「な、なんだって! お前本気か!」
「うん本気、あたしだって好きで運動音痴に生まれた訳じゃない。本当は一度でいいから、駆けっこで一位になってみたい、運動会で活躍してみたいって思っていたんだ」

当てが外れたとはこの事だった。まさか双葉が乗り気になるなんて。

「それに、清彦には一度あたしになって、運動音痴のあたしの気持ちを味わってもらいたいしね。清彦だったら、あたしよりも上手くやってみせるんでしょう?」
「……わかったよ、やってやるよ、運動会でお前よりも上手くやってやる」

結局、俺はこの状況を、しぶしぶ受け入れるより他はなくなってしまったんだ。

「後でちゃんと、元の体に戻してくれるんだろうな?」
「ええそうね、運動会が終わったら、今日の夕方、もう一度ここで会いましょう。その時に戻してあげるわ」
「よし、言質はとったぞ、約束だからな」
「ええ、私は嘘は言わないわ」

黒ずくめの女との間に、そんな口約束が成立して、俺はようやくホッとした。
少なくとも、夕方には元の俺の体に戻れるメドは付いたんだと。
だけど逆に言えば、夕方までは俺と双葉の体は入れ替わったまま、俺は双葉として過ごさなければならない、ということでもあったのだった。

「では夕方まで、それぞれ今の体で運動会を楽しんでね。じゃあねお二人さん」

それだけ言い残して、黒ずくめの女は去っていった。
後のこの場には、双葉の体になった俺と、元の俺の体、清彦になった双葉が残された。

せっかく楽しみにしていた、年に一度の運動会を、運動音痴の双葉の体で過ごさなきゃならないなんて。
元の双葉の手前、口に出しては言えなかったが、俺は内心落ち込んだ。

「それじゃあ双葉、一緒に学校に行こうか、双葉がぐずぐずしていたから、急がないと運動会に遅れてしまう」

そんな俺とは逆に、清彦になった双葉は、さっきまで運動会へ行くのを嫌がっていたのが嘘のように、妙にはりきっていた。

「いや、双葉はお前だろ、それに運動会を嫌がってぐずぐずしていたのもおまえだし」
「違うよ、今のあた…おれは清彦で、あなたが双葉よ。ここでならまだ間違えてもいいけど、学校で皆の前で間違えないでね、わかった」
「……わかったよ、俺は、いやわたしは、今から双葉だ、それでいいか、ふた…清彦?」
「うん、それでよろしい、じゃあいくぞ双葉」

そんな訳で、この時から、俺の双葉としてのミッションがはじまったのだった。

「うわあ、この体、背が高いからか、いつもより視点が高い。それにいつもより力があり余ってるって感じがするよ」

登校の途中も、今の清彦はハイテンションだった。
そして双葉の体の俺はと言うと、

「……そりゃ良かったな。俺は逆に、いつもより体が非力に感じてる。なんか無理したら、この体だと壊れちまいそうで、なんか頼りねえ感じがする」
「それは、……そうかもな、大変だながんばってな双葉」
「……言ってろ」

頑丈な男の体から、やわな女の体へのチェンジだったから、余計に今の体のその非力さを感じていた。
非力なことに加えて、骨格が男と違うせいで、体の重心もいつもと違っていて、なれていないうちは歩くのも一苦労だった。
それに、これは口に出して言いにくいが、ううう、女子の制服のスカートがひらひらして足元が落ちつかねえし、そもそも女子の制服を着て表を歩くのが、女装して歩いているみたいで、気分的には恥ずかしいしイヤだった。
今の清彦は、そういう意味での羞恥心は、あまり感じてはいないようだった。
男が女装して表を歩くよりも、女が男装をして表を歩くほうが、ハードルが低そうだしな。
それでも、学校に着く頃には、この体で歩くのには慣れて、女装をしている姿を人目に見られることにも、どうにか慣れてきたのだった。
そうこうしているうちに、俺と双葉の通っている、地元の高校に到着した。

「そっちは違うよ双葉、そっちの列は男子の下駄箱、女子の双葉の下駄箱はこっちの列だよ」
「え、あ、そうか、今の俺そっちなんだよな」
「双葉、言葉遣い、双葉は自分の事を『俺』なんて言わないから」
「それは、……そうかもしれないけどさ」
「ここから先は、他の生徒の目もあるから、言葉遣いには気をつけろよな」
「わかったよ」
「言葉遣い」
「わかったわよ! これでいい?」
「それでいいよ、それじゃオレは先に行くから」

そう言いながら、清彦はいつもなら俺が使っている男子側の下駄箱のほうに移動した。

「それじゃ、また後でね」
「……ああ」

そして、まだ戸惑っている俺を尻目に清彦は、いつもなら俺が履き替えていた内履きに履き替えて、先に校内へと移動していったのだった。

……って、呆けていないで、俺も行かなきゃ。
双葉の下駄箱って、……あった、ここか?
双葉用の下駄箱の中には、内履きのスニーカーと、体育用の外履きのスニーカーが置かれていた。
俺は、今俺が履いている女子の革靴を脱ぎ、ひとまず内履きのスニーカーを取り出した。
いつもの清彦のスニーカーよりも、一回り小さかった。

「……こんな小さいスニーカー、俺に履けるのか?」

小さいと感じた双葉の内履きのスニーカーは、今の俺の小さな足には、サイズがぴったりで普通に履けた。
双葉の内履きに履き替えた俺は、いつもの教室へと向かうのだった。

「遅いよ双葉!」
「ごめん、……若葉」

教室に到着した俺を、真っ先に出迎えてくれたのは、双葉の女友達の若葉だった。
若葉は双葉と仲が良いって知ってはいたけど、俺は若葉とは顔見知り程度でそこまで仲が良いわけではなく、俺自身が若葉に双葉として出迎えられたことには、戸惑いを感じた。

「なーんてね、でも良かった。今日は双葉は運動会を休むかもって心配していたから、休まず来てくれてほっとしたわ」

え、双葉って、若葉にも運動会を休むかもしれないって、心配されていたのか?

「双葉、昨日はあんなにも運動会を嫌がっていたのに、今日はよく来てくれたわね」
「う、うん、まあ、おれ……じゃなくて、清彦に誘われたから」
「清彦に誘われた? それって本当に自分の意思で来たの? 清彦にむりやり連れて来られたんじゃないわよね?」
「う、うん、無理やりじゃないよ、自分の意思で来たんだよ」

まあ、黒ずくめの変な女の介入はあったけど、最終的にはあいつ自身が乗り気になって、俺も俺の意思でここに来ているんだから、自分の意思で来たってことで良いよな、……多分。

「まあ、双葉がそういうなら、それで良いけどね。あんたの幼馴染を悪く言うつもりはないけど、あいつこういう事では、女の子に対してデリカシーが無さそうだからね」
「そんなことねえよ!」
「えっ?」
「あ、いや、そんなことないわよ、おほほ」

つい地が出ちまった。上手くごまかせたか?
それにしても、俺ってデリカシーがなさそうって、若葉にはそう思われていたんだ。
俺ってそんなにデリカシーがなさそうに見えるのか?

「まあいいわ、とにかく双葉も早く運動服に着替えて、早い人はもう着替えて、グラウンドに行っているわ」
「う、うん」

そういう若葉は、とっくに上は半袖の体操服、下は黒のブルマの、女子の体操服姿に着替え終わっていた。
そして、俺が体操服に着替えるまで、待ってくれるのだった。

着替え自体はすぐに終わった。
というのも、俺が女子の制服の、夏服のブラウスとスカートを脱いだら、そのすぐ下には半袖の体操服とブルマを着ていたからだった。
そういえば、今日の通学の時に持ってきたスポーツバッグには、着替えやタオルだけではなく、お弁当や水筒にお茶までちゃんと用意してあった。
双葉のやつ、運動会へ行きたくない、とか言いながら、しっかりと準備はしていたんだ。

「清彦はデリカシーがない、……か」

そう言われてみれば、そうかもしれない。運動会に行くのを嫌がる双葉に対して俺は、確かに俺は強引だったかもしれない。
イヤだとかいいつつ双葉は、こうして運動会に行く準備は、しっかりしていたんだ。
まったく運動会に、行く気が無いわけじゃなかったんだ。
だったら俺は、頭ごなしに強引に、運動会に来い、と言うのではなく、もう少し嫌がる双葉の事を思いやって、言葉や態度を選ぶべきだったんじゃないだろうか?
そうしていたら、あの女に俺と双葉の体を入れ替えられて、今こういう事にはならずに済んだかもしれない。

「そうしてくれていたら、あたしだって、あそこまで意地をはらないでいたのに……ってあれ?」

俺は今、何を考えていたんだ?
もしかして、今のは双葉の本当の気持ちなのか?
双葉の体になったせいで、俺はそれがわかるようになったのか?

さすがにこれ以上は、プライバシーの侵害でまずいと、俺は慌てて頭を振った。
ただこうも思った。
今のこの境遇は、さっきの俺の双葉に対する態度への罰として受け入れよう。
元の体に戻ったら、さっきのことを、双葉に謝ろうと。

「双葉、準備が出来ているみたいね、じゃあ一緒に行こう」
「うん」

俺は、余計な事を考えるのを中断して、若葉に返事を返した。
そして若葉と一緒に、教室を出たのだった。

だから気付かなかった。それが元の俺らしくない思考だった、ということに。



入場行進やら、開会式やら、俺は双葉の代わりに、女子の双葉として、女子の列に並んでいた。
俺の位置からは見えないが、清彦は俺の代わりに、男子の列に並んでいるはずだ。
わかっていたことだけど、実際にこうして女子の側にいることに、俺は戸惑いを感じていた。
開会式の型通りのプログラムが進み、面白くも無い校長の開会の挨拶も終わり、最後に選手宣誓が終わって、いよいよ運動会の本番が始まった。

プログラムの早い段階で、早速俺の出番が来た。
個人競技の百メートル走だった。
まずは女子が走り、それが終われば次に男子が走る、という順番だった。

「双葉、順位は気にしないでいいから、がんばって走ってきてね」

若葉からの、励ましになっていない励ましに、俺は苦笑した。
苦笑しながらも、俺は若葉に、「一等取ってくるから、まあみてなよ」と応えておいた。
俺の返事に、若葉は意外そうな顔をしていた。
実際、この時点で俺は、それなりに自信はあったんだ。
双葉の体でも、女子が相手なら負けやしない、勝てるって。

そして双葉の、俺の順番が来た。
俺の競争相手の顔ぶれを見ると、ガチ運動部の女子はいない、それなら俺の経験でスタートダッシュでいける!
そして、スタートのピストルの合図に、俺は競争相手の誰よりも上手くスタートを切った、……はずだった。
なのに競争相手の他の女子たちは、上手くスタートしたはずの俺をすぐに抜いて、全員がどんどん俺の先に走っていく。
元の俺の感覚だと、競争相手の女子は全員遅い、なのに今の俺は、さらにそれより遅かった。

『そんな、全力で走っているつもりなのに遅い、全然体に力が入らないし、思った通りに走れない、なんでだ!』

慣れていない双葉の身体が、上手く使えていないからなのか?
それとも、走ったときに、今の俺の胸に付いている、ぷるぷる揺れるおっぱいが、気になっているせいなのか?
いや違う、双葉の体の運動能力が、根本的に競争相手の女子にも劣っていて、多少の工夫やテクニックでも、どうにもならないからだった。
そして俺は、最初の百メートル走で、ビリでゴールした。

「この俺が女子100メートル走でビリだなんて……こんなはずじゃなかったのに」

すごくショックだった。
それでもそれまで心の中で持っていた、俺の自信とプライドが、この時がらがらと音を立てて崩れたのだった。



100メートル走が走り終わったら、ゴール近くの各順位の旗の後ろに順位ごとに並んで座って、後の走者がゴールするのを見ながら待つことになっていた。
俺はビリの旗の後ろに並んで、そして尻からへたり込むように座った。

『俺がビリ、生まれて初めての……ビリ』

俺自身が自分で思っていた以上に、俺はショックを感じて、呆けていた。
俺の少し後の順番で走った若葉がゴールしてきて、俺を励ますように俺に声をかけてきた。

「双葉、さっきのスタートは今迄で一番だったんじゃない、すごくよかったわよ」
「……ありがと」

そういう若葉は一番でゴールだったんだよな。
一番のだったやつにそんな風に無理に褒められても、結果はビリだった俺は、逆に惨めな気分になって素直に喜べなかった。
俺は、運動会や100メートル走などの結果で、こんなネガティブな気持ちになったのは、初めてだった。
そうこうしているうちに、女子100メートル走は、全員が走り終わったのだった。

女子が走り終わったら、次は男子の番だ。
ゴール近くで並んで座っていた女子は、解散して次の男子のために場所を開けた。
もっとも一部の女子は、そのままゴール近くで男子の結果を見たり、お目当ての男子の応援をしたりするのだが。

「あれ、双葉はここで、男子の応援をしていかないの?」

若葉は、この場を去ろうとする俺を不思議がって、一旦引き止めた。
確かにいつもの双葉なら、俺への応援なのだろうか、ゴール近くで見ていることが多かった。
だけど今の俺は、本心を知られたら心が狭いと思われるかもしれないが、清彦が一位でゴールする所を、なぜだか見たくなかったんだ。
だから適当な理由をつけて、この場を離れることにした。

「ごめん、実はさっきからトイレに行きたかったんだ、もう我慢の限界が近くて」

と、もじもじとおしっこを我慢する振りをした。

「そっか、それならしょうがないわね」

と、納得してくれたまでは良かったが、

「あたしも一緒にトイレに行く」
『来なくてもいいのに!』

と、内心思いながらも、まさか来るなとも言えず、若葉も俺と一緒に、トイレについて来ることになってしまった。
なお、男子の100メートル走、清彦は、俺とは逆にスタートで出遅れたが、その地力であっさり他をまくって一位になったようだった。


ところでこういう場合、俺が双葉の体で、間違えて男子トイレの方に行きかけて、
若葉に「違う双葉、そっちは男子トイレ」とか言われて、止められるイベントがお約束だろうか?
今回は結果的には、そんなイベントが発生する余地が無かった。

「もうこんなに並んでいる、これはしばらくかかりそうね」
「……そうね」

というのも、グラウンドの側の屋外トイレでは、すでにトイレ待ちが数人並んでいて、すぐに使用できそうになかった。
そのおかげでトイレの男子と女子を間違える以前に、その手前で止まってしまって、別の判断をしなければいけない状況に追い込まれていた。

「どうする双葉、この後ろに並ぶ? それとも別の所にいく?」
「どうするって……うっ」

トイレに行きたい、と言ったのは、あの場を離れる口実だったから、別にすぐにトイレに入れなくても良いけど、この場はどうごまかそう。
と思いかけたその時、それまでの緊張が解けたせいだろうか?
それともトイレの手前まで来たせいで、この体が条件反射的に、それを連想してしまったからだろうか?
急に尿意を感じて、俺は本当におしっこがしたくなってきたんだ。

う、この感じ、なんかやばい、思っていたよりも我慢の限界が近い!?

俺は余計な事を考える間もなく、咄嗟に股間に手をやって押さえた。
そして今度は、芝居などではなく、本気でおしっこを我慢して、内股でもじもじしはじめていた。

「双葉、そんなに露骨に態度に出しちゃったら、まわりにバレバレになっちゃうよ」
「そ、そんなこと言われたって……」

もし俺が男の清彦のままで、一人で行動していたら、こっそり校舎の裏とか木陰とか、適当な穴場に移動して、そこでこっそり立ちションですませていたかもしれない。
だけど今の俺は、女の双葉の体で、おまけに若葉という連れまでいる。そんなことができるわけがなかった。

「その様子だと、ここで順番待ちしている余裕もなさそうね、……しょがないわねえ」

若葉は、校内の手薄なトイレに移動して、そこで用を済ませることを提案した。
他に名案の無い俺は、その若葉の提案に同意したのだった。
ちなみに、校内に来てみると、校内の正面玄関近くのトイレも、わりとトイレ待ちの人がいた。
外のトイレほど混んではいなかったので、ここで少し待つという選択肢もあったが、

「こっちに行きましょう双葉」

更に若葉に連れられて、着いた先は職員トイレだった。
現在は使用者ゼロで、誰もいなかった。

「ここ、生徒が使っても良いのか?」
「別に生徒が使ったらダメって決まりはないわ。普段は先生が使う場所だから、生徒は遠慮して近寄らないけど」

中で生徒が先生と鉢合わせると気まずいので、普通の生徒はあまり使わない。
ところが若葉は、状況に応じて使い分けていたらしい。

「他の生徒はあまり来ないから、混んでいる時は逆に穴場なのよ。今日は先生たちも運動会でほとんど外にいるから、今は貸しきり状態みたいね」
「なるほど」

俺はまだ、普段の若葉を良く知らないが、結構たくましい女の子なんだなと思った。

「それよりも双葉、もう我慢の限界なんでしょ」
「あ、そうだった」

さすがに人目を気にして、今は股間を手で押さえてはいないが、俺は今は内股ぎみに結構もじもじしていた。
なんか男だったときよりも、この体は我慢が利かないっていう感じがしているし、いつ限界が来るのか、臨界点がわからないという不安もあった。
もう躊躇している余裕は無い。
俺は若葉と一緒に、職員トイレ(女)の中に突入して、手前の個室の中に飛び込んだ。

(ここまでたちは板で掲載)
(以後、わかば板で続きの予定)
たちは板に貼られていたイラストが気に入ったので、ついそのままSSを書いてみました。
ただ、書いているうちに思いました、このSSってリレーSSの多いたちは板向きじゃないなと。
短い話ならまだ良いのですが、書いているうちに思ったより話が長くなりそうになったので、途中からわかば板に変えることにしました。
今回は試験的に、たちは板に掲載した分だけ、図書館にあげてみました。
わかば板では、この続きから掲載してみようかと思っています。

イラストのブルマの体操服姿は、現在では見られない光景ですよね。
それにあわせてこのSSでは、舞台を90年代半ばに設定することにしました。
それ(ブルマ)以外では、たいした意味のある設定ではないんですけどね。
E・S
0.760簡易評価
10.90KCA
若い人はいざ知らず、中年以上のフェチな方々には人気のブルマ。
TS娘に着て恥ずかしがらせる鉄板コスチュームですね~。ナイスブルマ!
21.100Turtle
すごく好きです!ぜひ続きお願いします!