「月岡さーん。月岡渚さーん」
また、この日がやってきた。
2週に一度の義務、女性化薬投与を受けなければならないこの日が。
男女比のバランスが乱れ始めたのはどれほど昔だったか、そのアンバランスは収まるどころか
どんどん大きくなり、いつしか公立中学校は女性化クラスの開設が義務付けられるようになった。
男性落第にして女性化のクラス。通称FailとFemaleのF組
僕はそのクラスに落とされた。
性格自体元々対して男らしくはない僕だけれど、それでも性自認は一応男だし
何より小学校の頃から、男の子として男性検定を勝ち抜く事を教えられてきた少年なんだ。
男でいようとする意志は割と強いと思う。当然女にさせられるのは嫌だ。
だからと言って、この状況をどうこう出来るというわけでもない。
逃げるなり抵抗するなり、今月のF組卒業検定を超えるなり対処方法自体は多い。
でも、そのいずれも出来ない僕の道は女性化しかない。
結局今回の僕も、騒ぐ事すらなく女性化注射を受け入れるのだろう。
度胸も実力もない自分を情けなく思いながら、今の自分の扱いには諦めたような納得しているような…そんな感じだ。
F組の試験(4月)肝心なのは男性機能だそうで
今日は試験の最終日だ。
無事に合格すればF組を卒業し、元のクラスに戻る事が出来る。
しかし、元のクラスに戻れるケースはかなり稀だ。
試験の内容は、学力と体力に加えて男性能力、勃起や射精の力も測定する。
あとは、日常生活での態度や立ち振る舞いも加点や減点の対象となる。
200/100/200点満点の内6割の300点を取ればいいのだがこれが非常に難しい。
なにせ元々このテの試験に不合格だったからF組に落とされたのだ。
それが不合格だった時よりもかなりいい点数を取らなければF組卒業は認められない。
一度Fに落とされたら復帰は無理と言われるくらい難易度が高い。
まだ、女性化教育がさほど行われていない4月末の試験なら見込みはない訳でもない。
でも、僕は今回のテストの出来が悪く稼ぎのはずの英語でも大して稼げなかったのでかなり厳しいと思う。
一応は、この男性機能テスト次第で合格が狙える範囲内だけど自信がない。
落ち着いて、おチンチンを勃起させてなるべく早く、そしてなるべく多く射精するのがコツ。
オプションである、裸の女性の動画で反応しても良い点数がつきやすいらしい。
前の鷹森君が射精を終えたらしい。
半泣きにも見える彼の涙目を見て、結果が悪いんだと分かった。
鷹森君は男性機能の成績自体は悪くなかったらしいけれど、今回はダメなようだ。
ショーツの中に納まり、あまり激しく主張しない膨らみが妙に情けなく見える。
僕が射精を終えると股間がもう少し情けなく見えるんだろうか?
「月岡さーん。月岡渚さーん」
保健の清香先生の呼ばれ、僕も椅子に座り説明を受けた。
「…というわけです。質問はいいかしら?」
「はい特には無いです」
「因みにコレが悪い見本、悪い精子ね」
清香先生が手にした試験管には、少し白い液体が入っていた。
「いい精液はもっと白くてドロドロとしてるんだけど、この精液はダメね。色が薄くて少し透明だしそれに
すごく水っぽくってシャビしゃびなのよ。量が多いのだけは評価してもいいけどほ他はダメね」
「それって、他の人の精液ですか?」
「精液と呼ぶのもおこがましい精液ってところかしら?女としてはコレを胎内に入れられたくはないわぁ」
誰のものかは分からないけれど、ボロクソに言われぞんざいに扱われる精液を見て心と股間が痛んだ。
自分がこんな事言われると男の心が損傷しそうだ。
スカートを脱ぎ、ショーツをずらす。
F組の子は男子という扱いではない為、男性の下着や服を禁止されている。
校則を破ってズボンやトランクスの子もいるけれど、怒られるのが怖いので僕は大人しくスカートもショーツも履いている。
ショーツをずらすと、ピョッコりとチンチンが挨拶をした。
ショーツでの圧迫と、2度の女性化薬で少し元気がなくなっているがそれでも男の存在感は持っている。
割とアッサリ勃起が出来たチンチンを見て、僕はまだ男なんだと少し自信が持てた。
試験内容は、エッチな画像を見たり手でシュコシュコしたりしながら時間内に射精をするもの。
女性の裸で反応したりドキドキすると男らしいとして加点されるようだが、開始前から心臓がバクバク
し、見る前から勃起している僕にはこのボーナスは関係なかった。
アッサリ勃起したのはいいけれど、女性の裸のタイミングだと良かったのになぁ…。
こうなったら早い射精で得点を稼ごう!!
自分のモノを手で扱きながら、裸や下着姿の女性の映像を見て射精を目指す。
しかし、勃起が早かったのにその後は調子よくは進まない。
女の人のエッチな姿で興奮するはずなのに、下の反応はかなり悪い。
下手をすれば、ショーツをずらした直後の方がマシかも知れないくらい調子が悪い。
裸の女性と彼女と仲良くする自分の姿を想像しても、相変わらず調子が悪い。
開始から5分が経過してまだ出ない。早さボーナスはほぼ無理で減点すらあり得るペースだ。
膨らんだ胸やくびれ、下着の下の割れ目には興奮している筈だけど体が上手く反応してくれない。
うぅー。
っていうかこのままじゃ僕自身があの女性みたくなっちゃうよ!!
女として、こんな恥ずかしい格好をして自分の裸を名も知らぬ男子中学生に晒してしまう哀れな女性に。
いや、男子中学生ならまだいい。男性の出来損ないみたいな中学生に晒すとか凄くヤダ。
うぅー。かなり恥ずかしいよー。
そもそもこのまま不合格になったら僕もいつか手術を受けてあんな風に割れちゃうのかな?
膨らんでたものが割れちゃって、反対に胸は膨らんできて。
精液が出せなくなって、男の人に精液を入れて貰って喜んじゃう。そんな風になるのかな?
自分とは似ても似つかないナイスバディーな女性だけど、どうも彼女と自分が重なって見えてしまう。
あれ、なんか調子が…いい?
幸か不幸か恥ずかしい自分を想像していたら、射精寸前まで持っていく事が出来そのままフィニッシュできた。
興奮したタイミングはとても話す事が出来ないけれど、結果時間内に出せたのでOK…かな?
でも、出てきた精液の質は悪そうで悪い例として出された精液よりもさらに薄く透明に近かった。
だらしなく垂れ下がった自分のソレを見てかなり情けなかった。
残った汁は透明で、ショーツを上げたら綺麗に収まる。
射精まで全てがぎこちなく、唯一スムーズだったのがスカートの脱ぎ履きだった僕は、
また今月も男性失格者として扱われるんだろう。
F組の授業は少し特殊なものが含まれます
F組は授業の中身も通常クラスと少し違う。
具体的には主要教科が少なく、家庭科と性教育(保健)の割合が多い。
この時点で将来が半ば決まっているような扱いだ。
嫌なら試験をパスして通常クラスに戻りなさいって事なんだけど。
因みに家庭科が週4時間と保健が週3時間で通常クラスよりどちらも2時間多い。
保健はともかく家庭科、料理や洗濯は苦手じゃないのでそれ自体は苦ではない。
というより5を取る頻度もそこそこあって、英語と同じくらいの得意教科だったりする。
「あんまり手を止めてちゃダメですよ月岡さん♥可愛いだけじゃなくって手際の良い家事力は必須ですよ」
「あっすいません」
「家庭科は他の主要教科と比べても大切な教科です。みなさんにとって将来的に役立つ科目でしょうからね。
男の人の分も頑張るくらいのつもりでやりましょうね♥」
家庭科の千歳先生はいつもにこやかで、褒めて伸ばすタイプの優しい先生で男女とも人気が高い。
ただF組に関しては賛否分かれる。優しく決して押しが強くないけど、女性化を強要してくる雰囲気があるから。
「世の中の一部には女性ばかり家事を押し付けられて不公平という声もあります。確かに間違ってはいません。
でも言い方を変えれば家事力さえ身に着ければ一定の仕事が出来るという女性の特権とも見えます」
「いや、俺達は男だし(小声)」
「それは今度のテストをパスしてから聞きますね?」
誰が言ったか、しかしこのクラスの多数の意見でもある。
ただこの意見は男性として認められない限り負け犬の遠吠えでしかない。
いつも優しそうな千歳先生もこの時は少し怖く見える。
「世の中ではTPO、時や場合によって必要なものが違います。男性なら男性らしい女性なら女性らしい振る舞い
や能力が必要です。本当に不当な扱いならともかく、それ以外の場合は文句を言うよりも先に今の自分に
何が出来るか、何をすれば必要とされるのかしっかりと考えてからものを言いましょうね。男性として頑張る
場合は5教科頑張らないといけないけど、女性なら家庭科特化コースも選び易いですからね」
でもこの先生が人気(特に男子生徒の間では断トツで)なのは納得だ。
不満の溜まりやすい、女性化教育ともとれる家庭科が受け入れられている理由の一つが先生存在だと思う。
同じクラスのこの中には家庭科が大の苦手な子もいる。
その子たちに比べたら僕は大分マシなんだろう。家庭科を楽しいと思えるくらいだし。
このまま女性化を続ける気はないけれど、でもこのまま女の子になった時の為に家庭科はちゃんとやろう。
なにせここでは主要6教科で最強として扱われる家庭科さんだから。
気になる疑問きっと第1位!!F組の使うトイレは男子トイレか女子トイレか?
「ふぅ…トイレトイレ」
F組は一部例外的要素があるものの、扱いとしては女子生徒である。
制服も女子のものを使うし、トイレも女子トイレである。
というか隔離気味のこの教室付近には、生徒用のトイレは女子トイレしかない。
通常クラスに潜り込んでまで男子トイレを使った場合は、重大なペナルティが課せられるとか。
5月にもなれば、この女子トイレを使う事にいいかげん抵抗も感じなくなる。
僕の場合は、むしろ出先で女子トイレに入らないようにする方が困るくらいかも。
さて、女子トイレなので当然立ちション用の便器は存在しない。
それに、F組専用の裏校則には立ちションは校則違反と明文化されている。(登下校も含む)
流石にトイレの中を見張ることは出来ないので中には、女子トイレ内で立ちションをする子もいる。
ただ、もし万が一バレたら良くて厳重注意+反省文という扱いになる。
注意が続くと女性化処置を執行するという噂もある。
そんなわけで、バレないように行動すれば(難易度は高くないと思う)立ちションは出来はする。
しかし、今くらいの時期になると立ちションする生徒の方が少数となっている。
友達にも言わずこっそり立ちションしてる子がいるかも知れないけど。
僕はというと、学校の中で立ちションをしなくなっていた。
お咎めや反省文が嫌だら立ってしないというのはある。かなりある。
反省文は書くのが大変というだけでなく、『私は女の子なのに』という一文から始まり
『今後は女らしく』『女子生徒として』といった単語が散りばめられたもので女性化を嫌う生徒ほど嫌がる。
この罰則は見られてなさそうな場面でも、生徒の行動に影響を与えるくらい強力だ。
それに立ってするメリットも実はそんなにない点も、座ってのトイレを習慣づける一因になっている。
ズボンだったらともかく、スカートで個室に入ってると立ってしても大して時短にはならなかった。
それに立ちションは少し間違えると、スカートの裾にかかってしまう危険があるので怖い。
当然、変なシミがつけば立ちションがバレてしまい反省文コースになる。僕も1度だけ経験済み。
だから、私は女の子として今後は女らしく振る舞うと反省文で約束した。拘束力はないけど馬鹿にも出来ない。
人によるけれど、立ちション禁止と女子トイレの使用は強力な精神的女性化効果あるらしい。
生理現象で、対処が難しい上に女として行動しているわけだから効果はありそう。
ただ、この立ちション禁止を嫌がって必死に勉強してF組を卒業した人もいる。
だからこの仕組みは同じ内容なのに生徒を男らしくも女らしくも出来る、ある意味便利なものなのだろう。
基本的にもう一度学校で立ちションをしてみたいと思う僕だけど、今のスタイルで良かったと思う事が一個ある。
『渚、お前本当にツイてるの?見せてみろって』などと覗かれない事だ。
…実はF組って僕にとって悪くない場所なのかな?
保健の時間は半分以上が女性化性教育 隔週でお薬投与も行います
F組は女性化教育を考慮したカリキュラムが組まれ、家庭科の時間は多く取られている。
そして保健の時間も多く取られている。だから保健は家庭科さんと並ぶF組教育の要と言ってもいい。
要なので、少し休むと補習受けなければならないから保健がある日は多少具合が悪くても登校した方が良い。
そして、今日のように女性化の薬を投与するのも保健の時間だ。
投与の日に休むと一発で補習の対象なので、絶対に登校した方が良い。
嘘かホントか、この日風邪で休んだ先輩(まだ男っぽい)が週明けにはクラスで一二を争うほど
女らしくなっていただなんて都市伝説があるくらいだ。
都市伝説と言えばF組自体が都市伝説みたいなものだけど。
薬は注射タイプのものを使う。
注射の跡が目立たないようにある程度日をあけて(その為の隔週投与)注射をし場所も少しずつ変える。
腕の左右を変えたり、肩に近い場所に打ったりと体の事は気遣てくれている。特定の部位には気遣いないけど。
っていうか気を遣うどころか小さくして、最終的には消滅させようとしてるけど。
まだ、今回で3回目だから注射の跡は気にする事じゃない。けどこの先もF組から抜け出せないと…困る。
抜け出すと言えば、前回のF組卒業試験、(男性能力試験とも言う)は3人の合格者が出た。
32人いた、女性化候補あるいは男性落第者たちも30の大台を割った。
3/32は少ないように見えるけれど、実は結構多い方だったりする。1年で全滅という年もあるくらいだし。
そして案の定、不合格になった僕を含める29人は2度の女性化薬投与を受ける事が決まっている。
なので、次の試験は女性化薬が効いた状態でもう少し厳しい試験を受けなければならない。
だから、合格したければ4月か5~6月にカタを付けるのが定石となっている。
番外で夏休み後の9月頭の試験もチャンスと言われている。夏休みで勉強の時間がとれるし
夏休み中は女性化薬を受ける義務がないので、薬が抜けて男性機能面でも好成績が狙える。
…ただそれでも合格者が毎年少ないんだけど。
とにかく、僕たち29人はあと2回は女性化薬を投与される。これだけはもう決定事項だ。
投与中は保健に関するビデオを見つつ自習しながら自分の番を待つ事になっている。
僕がさっきから、こんな風に日記をまとめているのはビデオの鑑賞が少しキツイからだ。気を逸らすための内職バンザイ。
ビデオの種類は毎回違って、ある意味種類は豊富なのだがその内容は全部、少年が少女・女性になるというものだ。
例えばごく普通の少年が1~2年で少女に変わりきった比較映像が出てきたり
例えばイメージ画像の少年が注射をされ胸が膨らむなど女性化を彷彿させる画像に変わったり
例えば図解つきの女性化薬の解説映像だったり
例えば女性化薬を少年に与えたらどんな変化が起こるのかをシミュレーションするソフトを使った映像とか
イメージ画像の少年の体にメスを入れ作り変えられるタイプの映像は個人的に一番強烈だった。
「月岡さーん。月岡渚さーん」
右腕を先生に出し女性化の注射をして貰う。
またこうして今日も、女性化の階段を上り男の階段からは下りていくのだろう。
精神的な問題だとは思うけど、スカート+ショーツの中にあるモノが委縮した気がした。
女性化注射は打たれると体の男性要素が無くなるだけでなく精神的な女性化もついてくるから困る。
SAN値(正気度)ならぬSON値(息子度、男の子の心度合い)が削られてしまいそう。
というより今確実にSON値は削られてると思う。
今流れているビデオ内容は、少年に女性化薬を投与して女性化させている簡易アニメだ。
シルエットの少年ではなく、肌色で顔も書かれている少年が女の子になっていくのでなかなか生々しい。
うっ…しかも女性化が進んだと思ったら下半身にメスを入れられてる。
そしてメスは動き少年を女に作り替えていく…。
決してリアルなCGではないけれど、女性化薬を受けた直後の僕にはリアルが襲ってくるようだった。
幸いなのは、手術を受けた元少年が幸せそうな少女になっている事。
彼女には幸せな女性になって欲しい。簡易アニメに言う事じゃないけど。
正直日記を書く気力も無くなりそう。女性化の映像を気にしない為の日記もどうやら今日は使えなさそうだ。
…っていうか日記の内容がF組女性化教育の内容だったら自分の性別とか意識しちゃうじゃない!!
次回は日記以外の事をして気を紛らわそう。
一般生徒とF組精との関係は?
F組の生活、初めはかなり嫌だったけれど2か月も経つとだんだんと慣れ嫌と感じる場面も減ってくる。
当然好きではないし長くいたいとまでは思っていないけど。
ただ、やっぱりF組で嫌だと思う事、困る事というのは存在する。
休み時間とか一般クラスの生徒とすれ違う時に感じる視線や小声はすごく嫌い。
一般的には女性化のためのクラスというより、男性の失格者が集まるという認識なんだ。
だから、男子生徒からも女子生徒からも下に見られ蔑まれる。
…仮に僕がF組になってなかったら同じような感想だっただろうから強くは言えないけど。
でも、男子からは男の出来損ないとして、女子からは女のまがい物として扱われるのは心が痛い。
そして、これで泣いたりでもしたら余計に自分が男性失格者になった気がしてもっと凹む。
薬のせいか、さっきのひそひそ話のせいか分からないが下腹部が痛む。最悪どこかが実際に凹みそう。
「やあ、久しぶりだね。渚…くん?」
見慣れた顔と聞きなれた声で振り向く。
背の高い男子生徒が目の前にいた。
「聡明(としあき)くん?」
彼は4月末までF組にいた男子?生徒。いや、F組を卒業できたから男子生徒で問題ないのか。
前回の試験で、見事好成績をたたき出し余裕合格を決めた人だ。
もともと聡明くんは、頭も良く腕っぷしも強いのでF組に飛ばされるような人じゃない。
試験をサボったせいで素行不良が原因でF組に飛ばされたという事になっている。
後で本人に聞いた話、どんなクラスか体験してみたくてわざと入ったとか。
ナニソレ?強者の余裕?
などと妬みそうになったこともあるけど、彼の実力なら試験突破は当たり前だ。
F組に入った時に親しい友人がいてくれて少しは気楽になった事を感謝すべきだと思う。
僕と聡明くんって性格は真逆なはずなのに、何故か気が合って親しくなってたんだよね。
「ところで、君は最近のF組って楽しい?」
「どうだろ?楽しいって感じじゃないけど楽にはなったかな?」
「それは良かった…のか?」
決まっているわけではないが、F組は一般生徒から嘲笑の対象として扱われている。
友人であっても否定はできない。「やっぱりF組の僕って見下される存在?」と聞かずにはいられなかった。
「別に?」
彼はあっけらかんと否定した。
「渚くんって良いヤツだし結構好きだし、まぁからかうのは楽しいんだけど」
「相変わらず素敵な趣味で」
「君なら男でも女でも楽しいしまた一緒にいたいとは思っているさ。性別に関係なく」
言い終わると教室へ移動した彼は男性って感じに見えた。
自分の性別、性自認は男でなくなったのかも知れない。
少なくとも今の僕は聡明くんを同性とは見なせなくなっていた。
2度目の試験結果発表
今日の6時間目の保健は先週に行った、5月の試験の結果発表の日だ。
前回は得意の英語で大コケしたせいでダメなのは分かっていたが今回はいい調子だと、手ごたえを感じている。
体育の調子は悪そうだけど、それを差し引いても勝機は十分にある…と思う。
試験に合格する人の半分以上が4月で、残りはこの5月試験に最も多い。
それに、今回クリアしないと水泳の時間が待っている。
他のクラスと合同でない体育は悪くはないけれど、水泳に関しては話が別だ。
女の子の水着を着ての授業はSON値に悪影響を与える。
股間の圧迫もありそうなので、物理的な意味でのSON(ムスコ)値にも悪影響出そうだし。
「なんと!!今回も合格者がいます!!」
先生の号令で、みんな(例外もいるけど)のテンションが上がる。そして誰か分からぬ合格者に拍手喝采!!
これは僕も無事にこのクラス卒業かも?
「飛鳥さん、国語の成績の伸びは良かったです。数学の失敗を補うくらい良かったですよ。
来月もこのクラスで頑張りましょうね」
最初の飛鳥さんは成績自体は良かったようだが、不合格だったようだ。
体育か、男性機能かのどちらかが大きく足を引っ張ったんだろう。
次の漆原さんは全体的に成績が悪く、少し叱咤され気味に不合格宣言をされる。
大蔵くんは体育は稼いだらしいが、英語を中心にちょっとずつ落とし惜しくも不合格だ。
大空くん、織田くんもいいセンはいったらしいが不合格とやはり合格者は簡単に出ない。
悪いと思いつつも、不合格宣言を聞くたびに少しホッとする。合格者が自分のような気がして。
「國崎くん。英語をもっと頑張りましょうね、社会科の伸びは良かったですよ」
褒めてばっかりの結果でも不合格が続いたために今回も駄目だと思っていた。でも…。
「でも男性機能の点数は素晴らしかったです。断トツでクラストップ、75%は胸を張れる結果です。
この点数なら男性も務まりそうです!!もうF組に落とされないように頑張りましょうね。英語とかで」
男性機能の点数は総じて稼ぎにくく、60%を取るのが最も難しいと言われている。
それで稼げたことが響き堂々の合格(クラス2位)だそうだ。
中には悔しがって素直に祝福できない子もいた。僕はどっちかな?
スゴイとは思い祝福したいけど、今回の合格者枠を取られた事が少し悲しい。結構ちっぽけだね僕は。
どちらにせよ今週末にはお別れ会になりそうだ。
古賀くん、小林くん、早乙女さん、と成績が良さそうな子が次から次へと不合格になる。
惜しかったは惜しかったみたいなんだけど。
「篠宮くんクラストップおめでとうございます」
双葉(篠)さんなら合格も仕方がないかな。成績面はクラス内でも確実に上位だし。
体育と男性機能がかなり悪かったみたいだけど今回はそれを上回るほどテストが良かったって。
「ありがとうございます。でも、私は男性として元のクラスには戻りません。このままF組で
女子生徒として生活を送りたい、もし合格が先月だったら普通に男の子として生活したかも
知れない。でもこのクラスで私本当の自分に気がついたんです」
双葉さんの爆弾発言に、クラスの空気は凍りつき暫くして荒れだした。
「私、子供の時から違和感っていうか今の自分がこれでいいのかなって感じる事が多かったんです。
体力と男性機能のなさでF組に編入してから、ここが自分のいるべき場所、これが私のあるべき姿
だってそう感じるようになったんです。なので私は男性として生きる気はないです」
双葉さんの告白にクラスのみんなは混乱したが、少ししたら落ち着きを取り戻した。
反応は拍手とブーイングが同数、それより多いのが傍観・硬直かな。
折角の合格を蹴るなんて、男の子としては勿体ないと思うし少しだけだけど許せないとも思う。
でも言ったのが双葉さんだったので納得も出来た。
F組試験に合格すれば、元のクラスに戻る事が出来る。
このように戻らないという選択をしても良い。…そもそもそんなケースはかなりレアだけど。
試験突破自体が難しいのに、女性化を望む子は総じて男性機能の点数が酷い。
だから試験突破率はもっと低い。下手をすれば過去にないレベルだ。
双葉さんの告白で暫くクラスは荒れて割れ、彼女もきっと大変な思いをするだろう。
でも双葉さんは女子生徒として通常クラスに戻る選択もせず、敢えてF組を選んだ。
その事はみんなも分かってあげて欲しいと思った。
双葉さんの合格蹴りが衝撃的で、みんなの関心は今回の結果より双葉さんの事に移った。
特に今回の結果に自信のない子は、分かりきった不合格より双葉さんの選択の方が大ニュースだろう。
ただ、僕は今回の結果に自信がある。だからこの大ニュースよりも関心は自分の結果にある。
「はい。では次は月岡くんね」
先生に呼ばれ僕は前に出た。
「英語がとても良かったです。苦手教科の理科もこれくらいだったら大して足を引っ張る
点数じゃないでしょう。男に戻りたいという意思が伝わりましたよ?月岡くん」
聡明くんと久々に会って、僕の中のどこかに火が付いたのだろう。
かなり勉強して、主要教科(家庭科さんを除く5科目)でかなり稼いだのは自分でも分かった。
体育の結果が少し悪いのが気になったけどそれを取り戻すだけの結果は出てると思っている。
「体育の悪さを考慮してもクラス3位は立派です。これくらい取れれば次はいけるかも知れないですよ」
褒めたような口調で期待させつつ落とされた。
この結果のショックが大きく、半ば呆然とした僕はこの先の記憶がない。
この先も結果発表が行われたが、3位の僕が不合格という事で盛り上がりのイベントはほぼ消えた。
ただ、気になる結果発表はまだ残っていた。でもそれはまたの機会にしよう。
今の僕はこれ以上書こうと思えないし。
結果発表の追伸
昨日の結果発表は自分の不合格を聞いて呆然となってしまった。
そのせいで日記も半端な感じで切れてしまったので、もう少し続きを書いておこうと思う。
今回の成績上位者は、双葉さんと國崎くんと次いで僕で僕の成績は298/500と2点に泣く事になった。
つまり合格者2人/29人と4人の赤点が最終結果だ。
赤点は合格点300点の半分以下だと該当し、一部の科目の点数が極端に低い場合も赤点となる。
基本的に男性機能が極端に低い(30/200くらいだとアウトらしい)場合が危ない。
赤点をとっても追試にはならない。しかし、2回続けて赤点を取ってしまうと本格的にFとなる。
Fはfailでもfemaleでも可だ。forteやfreezerなんて強そうな意味じゃない。
どんな内容になるかはお察しで。
噂では色々な噂が流れてて、校則に触れない程度に男らしくしていた子が女らしくなったり(洗脳疑惑)
シルエットレベルで別人みたくなったり(怪しい新薬投与疑惑)入院していたなんて話も聞く(手術疑惑)
女性化を強制されるF組と比べてもかなり強烈な強制女性化が行われる(らしい)赤点にはみんな怯えている。
仮に女性化するにしても緩やか穏やかなのがいいよね。
…ってあと一歩で合格できた人間の思考じゃないって。
僕はこの中では最も合格に近い『男』だ!!うん男の子!!
次回こそはきっと合格するぞ!!
お別れ会~F組を無事に卒業した男子生徒
今月もお別れ会の時期になった。
今回も無事に(?)合格者を出したため会が行われる。
お別れ会は結果発表の週の週末、つまり金曜の6時間目にする事となっている。
因みに、本来は保健だ。このお別れ会の為に金曜6時間目が保健になっているとか。
通常クラスよりやたらと多い(1時間に対しての3時間は破格の多さだよね)保健の時間はこんな風に
割と特別イベントによって消費される。ただこのお別れ会も性を学ぶイベントと言えない事もない。
だからある意味、保健(女性化教育)に相応しい。男女の境界線を越えるシーンを目撃するようなものだから。
そして自分達は男の道を歩めなかったという事実を体験してしまう…。
今回の合格者は、篠宮双葉さんと國崎清果さんだ。いや、國崎くんは國崎清彦くんと呼んだ方が良いね。
これからは男子生徒として、男性として生きるわけだし。清果さん呼びは良くない。
双葉さんの方は自分の意思で、ここに残ったからお別れは國崎くんのみ。
みんな彼にお別れとお祝いの言葉を送っている。皮肉交じりなのもあるけど、本当は仲が良いのは知っている。
「合格おめでとう」
「清彦に戻る前に存分に清果って呼ばなきゃな、清果ちゃん」
「裏切り者め!!でも良くやった」
「今回の成績は悪いとか言って~、コノコノ~」
「まさか合格したのは清彦Dだとは思わなかった。AかCならまだしも」
寂しがりつつも、仲間の羽ばたきを祝福できるのって良い事だよね。
名残惜しいけど、國崎くんとは今日でお別れだ。
彼がスカートを履くことも、女の子として扱われることもきっともうないのだろう。
彼は立派に目標を達成したのだから、男として扱われる権利はある。
余計な心配だったけれど國崎くんは無事に見送られている。
ひょっとするとクラスの誰かが彼の合格を妬んで…なんて可能性を考えていたけれどそんな事は無くて良かった。
そしてあらぬ疑いをしてしまった自分が恥ずかしい。
自分の結果は残念だったけれど、今回も仲間の中から無事に卒業できた人がいて良かったと思う。
ただ、1つだけ気になる事もある。双葉(篠)さんの扱いだ。
彼女は試験を無事に合格したのに、自分の意思でF組に残った。
本人の自由と言えばその通りなのだが、みんなが欲しくて手に入らなかった合格を
自分の意思で拒否したのは反感を買っても仕方がない事だと思う。
僕自身、自分の不合格が悔しかったのもあって彼女の行為はどうも受け入れがたい。
とは言え、時折感じる針の筵のような雰囲気は流石に酷い。
双葉さんは(みんなが合格しなければ)この先も一緒に過ごす仲間なんだ。
男になれるチャンスを蹴ったとしても、もう少し大切に扱ってあげて欲しい。
保健室での出来事
6月に入り来週から水泳の授業が始まる。
F組クラスの大半にとって憂鬱な時間となる。
その理由やどんな水着を着用するかは敢えて言うまでもないよね?
体のラインとか目立ちそう。今から憂鬱だ。
などと昼休み中に一人で憂鬱になっていると双葉さんを見かけた。
「あれっ?どうしたの双葉さん?」
「ああ、渚ちゃん。ちょっと保健室に用事があってね」
教室に戻ろうかと思ったら彼女に呼び止めらてた。
「もし暇なら、もしよかったら一緒に来てくれない?ちょっと緊張してて」
「うん?いいけど」
一体何なんだろう。
「遅かったわね、それじゃあ早速始めましょうか」
「ええ。清香先生お願いします」
「ところで渚ちゃんもなの?一応予備はあるけど飛び入り参加は感心できないわね」
「えっと…どういう事ですか?」
「?どういう事なのかは私の方が聞きたいんだけど」
「渚くんには私の付き添いでついて来て貰ったんです。ちょっと心細かったし、それに何となくだけど
これからやる事を見て欲しいかなって思ったんです」
「そうね、どういうものか実際に見て貰った方が良いかもね。双葉ちゃんにとっても渚さんにとってもね」
なんだか良く分からないけど、清香先生から説明を受ける事になった。
「簡単に言えば女性化薬投与の追加Verね。君も愛用している奴とはちょっと違うタイプ
の薬も併用することでより美しく、女らしく変身しましょうってところなの」
「分かりやすいですね、でも女性化薬を愛用してはいないです」
「でも現在、愛用してるようなものでしょ?」
「うぅっ」
反論できないのが何だかイヤだ。
因みにいつも使ってる薬は内側を中心に女性化し、こちらの女性化薬は豊胸やお尻を大きくする
など外側の女性化効果がより強いらしい。内側の女性化もそれなりには強いけど。
「それじゃあ注射は双葉ちゃんだけでいいのね?」
「本当にやめて下さいよ?」
「じゃあお注射するわね双葉ちゃん」
先生がそう言い終わると双葉さんはベッドでうつ伏せになり、お尻を突き出した。
「うっ…痛っ!!」
「筋肉にお薬が入るようにしたからね、ちょっと痛いわよ?」
「そういう忠告はもう少し早くしてくれないと」
「うふふ、ごめんなさいね。でもどんなに痛くても注射は受けるでしょ?」
「ええ。痛いからって受けないわけにはいかないです。特にプール前ですしもう少しくらいゴニョゴニョ」
「まぁ頑張りなさいな♪」
「筋肉に注射ってなんだか痛そう…」
「渚ちゃんも受けてみる?」
「絶対に嫌です!!」
「ありがとね、渚ちゃん」
「いいよ別に付き添いくらい」
「実は付き添いだけじゃなくって、見て貰いたかったっていうのもあるんだけどね」
「うん?」
「私は自分の意思でF組に残った。クラスのみんなは合格して旅立つ國崎くんをちゃんと祝福できるような
人だっていうのは分かってる。でも私みたく男子生徒に復帰できる権利を蹴るような子だとまた事情が違
ってくるのよね。君もなんとなくそんな気持ちがある?」
「少しだけ…ね。」
「試験に落ちて男性失格者の烙印を押され、女性化処置を受ける。どういう学校で経緯があったかは
分からないけどF組の生徒は男子生徒に戻りたがっているのが普通。そりゃそうよね、つい最近まで
男子生徒だったし女性化とは無縁の環境にいた子達だもん。私ですらそうだよ」
「僕も、今すぐにでもスカート脱いで男らしく振舞いたいし、男子トイレでの立ちションに憧れる」
「で、せっかく頑張って男子生徒に戻る権利を得たのに手放す私が理解しがたいし、許せない
とすら思う心がある…と」
「うん」
正直そこなんだよね。
合格したのは努力の結果だしそれでもクラスに残るのは彼女の自由、でもどうしても受け入れがたい。
「言い訳だけどこれだけ言わせて?」
「うんん、分かった」
「私、女になる道を選んだけど楽だとは思ってない。茨の道でも構わないと思っている」
双葉さんの言葉は力強かった。きっと覚悟を決めた人の強さなのだろう。
少なくとも、今の僕にその強さは無い。
水泳の時間
「はぁー」
「あぁーあ」
「嫌だなぁ」
3時間目が始まる前から、クラス中でため息が溢れている。
今日は朝からため息祭りで、しかもそれがだんだんと激しくなっているのだ。
今日はプール開き、つまりF組のみんなにとって今日は女子用水着の着用を義務づけられる日なのだ。
僕も水着に関して結構憂鬱だったりする。水泳部の水嶋くんや白鳥くんすら得意の水泳より水着を嫌うほど。
クラス全体がため息まみれの中、唯一機嫌が良いのは双葉さん(篠宮さん)くらいだろう。
思えば最初の頃のスカートもみんな抵抗があった。
ただ、その時はすぐに合格できるだろうと楽観視してたのとみんなが同じ格好でみんな嫌がっていたから
割と受け入れる事が出来た。それが、2か月経ち、自分はF組からの脱却が難しいと感じるようになり、
少数だけど旅立った仲間がいて、自らの意思で女性化を決めた双葉さんみたいなケースもある。
焦りのようなものがあるからだと思う。
僕は次回には合格できる自信があるけど、それでも少し焦ってるし…。
何より体のラインとかがはっきりと出ちゃう水着はスカートよりも難易度が高いんだよね。
男子用水着なら下の膨らみが分かりにくいものと選べるけど、女子用にはそんなのないし。
ただ、胸を隠せるのは個人的にアリだと思う。
さて、4時間目の体育になり更衣室に入る。
僕たちは扱いの上では女子なので教室ではなく更衣室で着替える。
男子生徒であることを主張して、教室で着替えてもいいが女子用水着でプールに移動する
のはみんな嫌なので今回に関しては大人しく、女子生徒らしく女子更衣室で着替える。
地味に孔明の罠が設置されているのがF組の特徴だ。いったい誰がこういうの考えたんだろう?性格悪そう。
F組になって良かった事と言えば、絶対に入れないであろう女子トイレや女子更衣室を使える事がそうだろう。
とは言え、入ってみれば憧れる要素なんてないんだけどね。小便器のないトイレとロッカーしかない更衣室じゃ。
そこそこは綺麗になっているけど、ロッカーがあるだけの何の変哲もない小部屋だ。そこにはロマンも何もない。
僕たちはみんな女子更衣室に入り、急いで着替える。
そう言えばスカートって着替える時に便利だよね。体育の着替えの時パンツ姿にならなくていいって。
これに関してはスカートで良かったと思う。プールの時はそこまでメリットがあるわけじゃないけど、
でもタオルで上を隠しつつスカートで下を隠せるから、やっぱり着替えの時は便利だと思う。
昔から体育の着替えの時に脱ぐのって嫌だっただけに、パンツ姿を回避できるスカートが履けるのもF組の利点だったね。
去年までは着替える時、他の男子生徒の裸を確認して茶々を入れられる光景があったけど今年は違う。
みんな自分の体を隠すことを優先して人の事はいいから、まず着替えよう。そんな感じだ。
「うぅーやっぱり恥ずかしいー」
僕はそうつぶやいた。そして同じようなつぶやきは他にいくつもあった。
やっぱり女子用水着の着用は恥ずかしい。
特に股間部分が男子用水着より細くとがっているせいでもっこりラインが目立ちやすいのが恥ずかしい。
股間と言えば、F組には水着着用時に股間用のパッドの使用が認められている。
どちらかと言えば推奨されている…かな?強制まではされないけど、出来ればつけるようにという扱いだ。
扱いは女の子という事で、やはり股間は膨らんでいない方が好ましいらしい。
胸パッドは、一応つけてもいいよ。という扱いだ。
禁止はされてないけど、股間用パッドのように推奨はされていない。
学校で行う注文での一括購入も、女子用水着と股間パッドは一覧にあるが胸パッドはない。そんな感じの扱いだ。
水着の形状から、下半身の膨らみが目立ちやすく恥ずかしい。
去年の時点でも水着の上から膨らみが分かるのは恥ずかしかったけれど、今年はそれ以上だ。
あと、胸の膨らみもかなり恥ずかしい。
ホルモンバランスの関係か、思春期の男の子も多少なら胸が膨らむらしい。膨らんで見えるってレベルかな?
比べた事は無いけれど女の子のそれとは膨らみのレベルが違うし。
ただ、今年は胸をちゃんと隠せる水着なので多少の膨らみなら大丈夫だ。
でも胸のラインが去年と違うような気がする。
ひょっとして、薬の影響で胸が膨らんできた!?
試しに水着をずらして自分の胸を少しだけ見てみる。
去年と比べて僕の体が成長したのかな?(震え声になりながら囁く)
女性化薬の投与ももう4回だ。もともと小柄なうえに余り男らしい体型じゃない僕には薬の効き目も早いのかも知れない。
これは次回の試験には合格しないとマズい事になるかも。
幸いなのは、胸が多少膨らんでも水着越しだからか膨らみが分かりにくい事か。
少なくとも、今より目立った起伏のない去年の方が胸を丸出しだった分、気になって恥ずかしかった。
僕の胸って男の子にしては膨らんでないか、変に見られてないかってね。
その代りじゃないけど、今年は股間の膨らみが余計に恥ずかしかったりするんだけど。
男子用水着を着ていて男子生徒していた去年ですら恥ずかしかった股間の膨らみ、今年は女子用水着
で目立つうえこっちの膨らみが目立ったらダメというのもあって去年より恥ずかしい。
…ん?去年と比べて胸が膨らんでも平気で股間が膨らむと恥ずかしい。
来ている水着の形状的に当然と言えば当然の内容だけど、どこかがおかしい。
いつの間にか僕はF組の女性化教育の影響を受けていたのだろうか?
中には股間の膨らみを堂々とアピールし、膨らみが大きい事を自慢する人もいた。
「鷹森さん、女子生徒が股間の膨らみを時間するとは何事ですか!!週末までに反省文!!」
なんてオチがついた。
ところで、今日は初日だからか準備運動が凄く長い。
今日ばっかりは早く水の中に入りたいのに…。女子用水着を意識される狙い?
水泳が終わって、お昼の時間だというのにみんなグッタリしている。
水泳のせいで体力を消耗した…というのもあるけれどそれ以上に精神的な疲れがあるからだろう。
女子用水着の着用はやっぱり堪える。
でも、全員がキツそうというわけではない。双葉(篠)さんは楽しそうにすら見える。
というか鼻歌交じりで絶対楽しそうだ。
「楽しそうだね双葉さん…」
クラスメイトが楽しそうにしていること自体は喜ばしいんだけど、今の自分の状態が状態なだけに
あまりあまり喜べない…少しムカッとするくらいだ。
そんな双葉さんに腹を立てたのは僕だけではない。というかクラスの多くが多かれ少なかれムカついている。
「何だよアイツ」とか「いい気なもんだ」とか小声で彼女を悪く言う言葉が幾らか聞こえた。
双葉さんは顔を強張らせて、抗議しようとしたように見えたが言葉を飲み込んだようだ。
僕たちF組、男子生徒の落第者たち、Failの悪名を持つクラスの者だ。
合格率こそは低いけれど、僕らは(ほぼ)皆このクラスから脱出することを目的としている。
だから、見事に合格してここを旅立った聡明くん(は少し特殊だけど)とか國崎くんの旅立ちは素直に祝福する。
自分の不合格に対して、クラスメイトが合格するという結果。
悔しがったり嫉妬心が芽生える事はあるかもしれない。でも、それでも旅立ちはちゃんと祝福する。
そういう取り決めがあったわけじゃないけれど、各自そうしようとクラス分けの時に言い合った。
仲間の門出は呪わず祝う。旅立ちをちゃんと笑って見送りあいたいから。
だから、双葉さんが孤立してるこの空気も視線も、悪口なんてもってのほかだ。
「双葉さんは女になる道を選んだ。ある意味でここのクラスをちゃんと旅立ったんだよ?」
珍しく大きな声を出す僕にクラス中の視線が集まった。
双葉さんを庇うようなことを言ったからか視線は痛くて冷たい。でも、ちゃんと言おう。
「クラスメイトとして、仲間として、ちゃんと旅立てた双葉さんを祝福してあげようよ。立派じゃない。
クラス脱出をしないのにちゃんと高得点を取って卒業できるのに敢えて残ったんだよ?男性としての
試験に堂々と合格して、その上で女としての人生を選んだんだから文句なく立派だよ!!僕は顔も体も
性格だって男らしくないけど、そんな彼女の決断を認められないような男らしくないマネはしたくないよ!!」
誰かが拍手をし、拍手の音がだんだんと大きくなった。
何人かの生徒は居心地が悪そうな顔をしていた。そして口々に謝りだした。
彼らだって本当は分かっていた。双葉さんの選択と頑張りが軽くない事を。
取り敢えず、和解は出来たかな?
この時期は保健の時間も実は水泳になる
昨日は初水泳と、その後のゴタゴタがあって凄く疲れた。
でも、水泳は今日もある。うー、憂鬱だ。
親には全部伝わってるものの、女子用水着を母さんに洗ってもらうのは抵抗があるので自分で洗った。
F組の事を知ってるとは言え女子用水着の洗濯を任すのは息子として抵抗があるからね。
どうやらクラスメイトの多くが、(日ごろは家事をしない子も含め)水着は自分で洗ったらしい。
家事スキルの高さは女子力の基本だし、女の子らしさがアップしてウレシーナー。
普段は時間数が削られる体育だけど、女子用水着着用の水泳だけは例外だ。
というか、保健の時間の1時間が水泳と同じ内容になるって言った方がいいかな?
女子更衣室で女性用下着を脱ぎ、女子用水着を身に着けて、人によっては股間の膨らみをサポーターで隠す。
割と普通に女性化授業っぽいから保健の授業の内容としても申し分ないんだろう。
あと、困った事に今回は先生も女子更衣室で着替えている。
なんでも女の子として生活できているか…下着チェック編だそうだ。
先生が生徒の下着をチェックって凄く危険な香りがする。
まぁ一応は女同士という扱いだから問題はない…かな?
でも初回から先生と同室の着替えはキツいからね。2回目からで良かったよ。
同室じゃないのならもっと良かったけど。
「というわけで、女の子なのにトランクスなんて履いてた7人は反省文ね」
バレないと思って油断してた人が案外多いようだ。
むしろ出席者28人中21人がショーツって事に驚くべき?
一般的にはやっぱり僕たち失格者
2時間目の難関を乗り越え、ようやく昼休みだ。
理科の実験の片づけをしていた僕は、帰るのが遅くなった。
双葉(篠)さんが手伝ってくれたから少しはマシかな?
昨日の一件でまた少し仲良くなったみたいでひょっとすると、今F組で一番親しいかも。
前のクラスで親しかった聡明くんは今はもういないし。
「手伝ってくれてありがとね双葉さん」
「昨日の渚くんが私にしてくれた事を考えたら片づけくらいどうってことないわよ」
元々、クラスの中でも親しい方だったし彼女の方も女性化薬の投与シーンを見せたので
僕の事を少なからず信頼してくれてるって事だろう。何かと大変なF組も仲間がいると居心地がいいよね。
教室へ向かって歩いていると、去年まで同じクラスだった男子生徒2人とすれ違った。
「おい、アイツらF組じゃねえか?渚っぽいのいたし」
「パッと見は女っぽかったけど女装か」
「女装だけじゃなくってなんか怪しい薬だかをやってるらしいぜ」
「マジかよ?まじで男として終わりじゃねーか」
「そりゃあ男失格FailのF組だからな。でも女でもないからFemaleもFailだな」
「要するにF組はダメって事だな」
僕たちがどんなに頑張っても、双葉さんなんて難しい試験を突破したというのに…。
一般的に僕らは失格者、出来損ないの扱いなんだ…。
反論の言葉が出ない自分が哀しかった。
双葉さんすらフォローできないのが哀しかった。
反論も出来ずに、足を動かして逃げる事も出来ず、僕達はその場に立ち尽くした。
そんな僕たちを知ってか知らずか、二人の心ない言葉は続いた。
「しっかし、どうしてF組なんての作ったんだろうな?」
「さぁ、でも男の出来損ないって感じだし丁度いいんじゃないか?」
「だな。月岡も篠宮も男ら良さが身についてないし」
「でも女になったところで男が相手するか?元男だろ、いや結局男のままか?」
「どうだろうね、男女半々の気持ち悪い形状とか」
「フタナリかよwww」
「男にはモテないがフタナリ厨には人気とかwww」
「フタナリ厨が脊髄反射しない理由がわからんwwwwみたいなwwww」
「そら草生えるわwwwww」
こんな事を言われれば、僕だって怒れる。
ましてや隣の友達が泣きそうになっていたら、もう黙ってなんていられない!!
僕が一歩前に出て彼らに近づき出すと、彼らの後ろから人影が近づいてきた。
「楽しそうじゃん君達さ?」
「げっ!!」
「赤川!?」
「聡明くん?」
「よっ!!渚くん、あと篠宮さん久しぶり」
「どうも聡明くん」
「で、モブズコンビ君のナントカとカントカも久しぶり」
「さっき会ったばっかだろ」
「ってか名前は何とかじゃねえって」
「モブズなのは否定しないんだ、じゃあ次回からはモブズで統一で」
「「変な略し方すんなー」」
「まぁ顔がモブっぽいし良いんじゃない?メガネ&ニキビが良かった」
「口が悪いよお前は」
「君らも似たようなもんだけどね。まぁ君達の方がましか」
「そうだよ」
「強そうな相手には口が悪くない分」
「なっ」
「そもそも、この二人がフタナリってどうして分かったんだか?スカートの中身を見たのかスケベ、
性別見境なし君はないわー」
「見てるわけないって」
「じゃあ妄想で、股間の様子を思い浮かべてフタナリとか言ってたわけ?もっとないわー」
「もういい」
「だな、お前みたいなのと付き合ってられない」
モブズの二人は聡明くんに言いくるめられたと思ったらそのまま帰っていった。
「ありがとう助けられちゃったね」
「赤川くん、やっぱり良いトコあるのね」
「まぁ別にだよ。渚くんは良いヤツだし篠宮さんもまぁまぁは良いヤツだし泣かれるのも
なんだかなー。って思っただけだ」
「やっぱ、男らしさが違うのかな?聡明くんと僕達だと」
「私の場合は余計に同性って感じはしないけど。でも本当にありがとう」
「だから気まぐれだよ。強いて言えば2人の頑張りを多少は知ってるから手を貸したってところか」
そう言ってそのまま別れる聡明くんの背中はかなり大きかった。
これで、もしも僕が女の子だったら恋の始まりになったんだろうか?
同性に見えない彼を見て、もし僕が女の子だったら『キュン』してたかな?
などと明後日の方向にぶっ飛んだ考えをしていて、自分にハッとした。
男の僕が男友達に助けられただけ。…の話だ。
それが、男友達に異性を感じ、もしも自分が女だったらなんて事を考えしかもキュンとしそうになって。
しかも、もしもの話は明後日方向のトンデモ話ではない。
仮に僕が一度首を縦に振れば、その明後日方向が今後の進む方向になる。F組とはそういうクラスだ。
彼に男を感じながら、自分の中に男がないような気がした。
そう思うと今はぶらさがっているモノが飾りのように思えた。
実際、月に一度の男性機能チェックの時以外はほぼ飾りだ。
精子を薄くしないように、無暗な射精はしないようにし、手で射精させるのは避けている。
薬の副作用か、そういう気分にならないっていうのもあるけど。
それからオシッコの時も飾りに近づいている。
学校では確実に座っていてるし、外のトイレは避けていて、座ってのオシッコに慣れたせいで
家でもついクセで立ちションをせず、座ってするようになっていた。
…思った以上に男としての僕はマズいのかも知れない。
女性化薬投与はオプションも大事なんです
洗脳ソングとか、そこまでいかなくとも特定の歌や音楽が頭から離れない事ってあるよね。
今日の、この時間はまさにソレだ。あとで他のみんなにも感想を聞きたいところだ。
流石に授業中(保健の女性化薬投与の時間)じゃ聞きにくいからね。
「ボク…男に生まれたのに全然男らしくなれない。本当は女の子に生まれたかったなぁ」
「大丈夫、そんな時はお医者か学校の先生へ相談だよ!!」
自分の性別に疑問を持ったら、先生に相談だ。
間違った体は作り替えられる、間違った性別は変えられる。
日本TS境界協会の加盟校、加盟病院にご相談ください。
女性化薬投与の時間は女性化っぽい色々な映像が流れるけど、今日のはCM風の映像だ。
このスタンダードタイプ?の他に病院の感じが強く出たもの。
加盟校一覧の出る学校中心のものなど、何種類かあるようだ。
共通するのは男らしくない男の子が女の子に変身して幸せそうにしてるアニメがある事だ。
そして、なんかこのCMは頭に残って離れないのなんの。自分も該当者だから?
女性化のCMは公的機関が作ってるような事を最後に言っていたけど。
偉い役人や優秀なクリエイターが作ったんだよね?
この国大丈夫かな?
CMは頭に残りやすいけど。
女性化効果は本人の気付かぬ場面でも現れます
先週の女性化CM(仮)はやっぱりみんなにとってもインパクト抜群のものらしい。
そして精神的には男子生徒であるみなさん(僕も当然含める)にはかなり不評だった。
双葉(篠)さんはやっぱり好評なのもやっぱり予想通りだった。
気に入りすぎて、外部に流出(ネットにUP)しない事を条件にCMのデータを貰ったくらいだって。
実は今回のCM以外にも薬投与の時に流れる映像のデータをちょこちょこ貰ってたんだって。納得…かな?
僕は、例のCMが頭から離れないで休日に何度か脳内再生されて焦った。
『顔も体も性格も、生まれた時から男らしくない僕…いいえこれからは私!!』
『スカートに脚を通した時に感じました。こっちが私の本当の姿なんだって』
『きっと僕は女の子に生まれるべきだった。だから今日、正します』
『わたしって…本当は…女?』『ええ』『ここなら本当のアナタを取り戻せるわ』
今日もプールの時間になり、スカートに手をかける。
『こっそり母のスカートを履いて脱ぐ、いっそずっとスカート姿なら…』
ショーツを脱ぐ『私の可愛いショーツとそれに似合わぬ突起物』
ダメだ。着替えるだけでCMが脳内再生される。早く水着を着ないと!!
よし!!ちゃんと胸まで隠せた!!
『男の僕が同性のこの前で海パン姿、普通の事が恥ずかしい。もし胸も隠せる水着だったら…』
このCMのモデルって実は僕っぽい?
CMの効果が残っていたのは僕だけではないようで半分以上が着替え中に悶えていた。
妙に内股になったり、ギリギリまで胸を出していた人が胸出しを恥ずかしがったり、
モジモジ・ソワソワは初日以上で、股間の膨らみを隠すサポーターを借りに行った子も何人かいた。
比喩でなく洗脳されてるんじゃないかと疑うくらい、女性化CMは効果的だったようだ。
っていうか、今更だけど1時間の間に何種類のCMが流れてたのさ!?
まぁそんなこんなで、みんなして落ち着きがない状態で着替えていたのでほぼ全員が遅刻した。
CMソングの影響を受けなさそうな双葉(篠)さんや男っぽく精神力のありそうな結城くんなどは間に合ったけど。
あと、森永双葉さんや小倉若葉さんなんかも突破した。意外と精神力あるのかな?
いつもは遅刻にうるさい(普通の先生はうるさいよね)先生も今回は解っているのか、お咎めなしだった。
反省文他、ペナルティを受けなかったのは嬉しいけどCMの影響でモジモジして着替えられない事を解ってるの?
気にはなったけれど、そのまま泳ぎ出した。
水の中でも音楽とフレーズは自然と再生された。
「こっちが私の本当の姿なんだって」
「だから今日、正します」
昼休みにこう言い合う、双葉(森)さんと若葉(小)さんを見てCM画像が浮かび上がった。
マネする2人は当然、ワンフレーズで大体わかり映像まで浮かんでくる僕も大概だ。
そして彼女達の未来も何となく分かった。
子供ってCMとかTVのマネをする事って多いけどさ。
でもこれってつまりそういう事だよね?
うん。CMのフレーズって時々マネしたく、ナルモンネー(棒)
単に影響されただけかも知れないし、言った通りに『本当の私』だったり『取り戻し』たいのかも知れない。
どっちが真実なのかを知るのは運命の女神か、性別の神か、どちらにせよ今月は2人は卒業者が出そうだ。
来週末の試験の内容でF組は大きな転機を迎える。そんな気がする。
6月の試験 学力編
前回はあと少しのところで不合格になってしまった。2点差は悔しい。
今回は前回と比べてもかなり勉強したので、自信は十分にある。
加えて昨日の体力テストも悪い結果じゃない。推定52点(前回よりも6点UP)
このペースならかなり楽勝なんじゃないかな?
女装三昧で、女性化の薬まで投与される日々には正直参ったけどその日々も今となってはいい思い出だ。
さてと、休み時間の途中だし今のうちにトイレに行こう。女子トイレに。
スカートをまくって、ショーツを下ろして座ってのトイレもあと数回で最後と思うと少し寂しい。
最初はイヤだイヤだと思って立ってした事すらあった。で、いつの間にか慣れてて座ってする方が普通になってた。
そして今は女子トイレで座ってするのが終わりそうで少し寂しくなった。
…でもF組卒業を拒否する気はないからね?
このクラスのみんなの方が前のクラスより仲がいいとか居心地がいいとは思うけど。
それでも女性化教育を受け続ける気があるわけでもない。
女性化教育を受けても私は男の子だと思う。
…日頃の教育の影響で日記まで一人称が私になっていたけれど、それでもわたs…僕は男の子だ。
最後の英語と明日の男性器機能テストを終えて、もう卒業だ。
でも…水泳時は胸も隠したいな、ここを卒業しても。微妙に膨らんだし。
…元のクラスに戻ったら戻ったで大変そうだ。男として生きていくのって。
6月の試験 男性機能チェック
「月岡さーん。月岡渚さーん」
「はい」
保健の清香先生に呼ばれて、保健室の中へ移動する。
英語の結果も思ったより良くできて、余裕合格ラインも見えてきたんじゃないかと思う。
自己採点結果だったら5科目平均で8割は取れてると思う。
必死さが違うからかF組に入ってから成績は結構上がったんだよね。特に今回は前回の悔しさもあって頑張ったし。
前の鷹森君を始め落ち込んでるように見える人は多い。
特に今回は学力テストがやや難しめだったため、コレに期待してた人も多いんだろう。
ただ、殆どの人は落ち込んでるけど落ち込み方が浅いように見える。ダメなのは分かってました…みたいな。
負けに慣れすぎると闘志や気力のようなものも削がれて、負けても当然ってなるのかも知れない。
その気力のなさは、まるで去勢されたように…って感じだ。
うっ!!生々しい光景考えちゃった。
しかもこのクラスの意図や内容がアレなだけにまるで○●されたようには正直シャレにならない。
変な事を考えてしまってちょっぴり後悔した。SAN値が少し下がって勃起しにくくなった気がする。
でも、きっとこれで最後になると思うから気合い入れて頑張ろう!!
スカートも、ショーツも、自分のスカートをまくるのも、あと射精も…。
って射精が最後はダメだって。最後なのは射精テストだよ!!
スカートをまくり、ショーツをずらす。
最初はスカートを脱がないとうまくできなかったけど、この3か月でスカートの扱いにも慣れ脱がずに出来るようになった。
それから、体型にも変化が出ていて胸が今までと比べても微妙に膨らんだし
お尻の部分がゆるゆるだったショーツも割とぴったりになった。
前が微妙に邪魔くさいのを除けばほぼジャストフィットだ。
うーん。女性化薬の効果って結構出てるのかな?余裕でいたら少しマズい…のかな?
ぴょっこりと出てきた小さめのソレは、ちゃんと目にするのが少し懐かしい。
画像はイメージであって一部加工されている可能性があります。
F組では女の自分を想像させるために、たくし上げ画像を修正して胸を大きくしたり
下半身の膨らみを失くした画像に修正するのです。
今回の試験は、女性化薬の効果が出ている事を考慮して少しハードルが下がっているんだとか。
具体的には、エッチ系の画像や動画を自分で選んだり操作出来るようになる。
女性の裸に反応する方が男としての役割を果たせるそうだ。
エッチ系の素材には賛否があるけど、あえて使用しているところに攻めの姿勢を感じる。
そういう意味では性教育に力が入っているよねここって。
ある意味で存在そのものが最高位の性教育と言えなくもないんだけどね。
僕自身、そういうの、女の人の体に興味が無いってわけじゃない。一応は年頃の男子だし憧れるのはあるよ。
男っぽい事なんてここしばらくずっとできてないけど、F組に入る前から割と男らしくないし。
だから女性の裸を見てちょっぴりドキドキする。
彼女たちの綺麗な肌や膨らんだ胸には憧れる。
絡み合う男女の映像を見てふと思った。
女性の体は男性を魅了するために発育し、男性の体は女性を守るために発達する。
画面上の男性の立派な体に対して、僕の体の貧弱な事よ。
腕も方も背中も、こんな割れた腹筋とかとても同じ性別とは思えない。
まだ女性の体の方が近いくらい。まだ若いからか肌質、彼女よりいいくらいだし。
うっ…どうして女性の方に自分を重ねちゃうのさ!!
気を取り直して、意識を自分の下半身に集中させる。
10分以内になるべく多くの、そしてなるべく濃い精液を出さないといけない。
射精出来ないなんてもってのほかだ。
エッチシーンに自分を重ねて、ちゃんと射精!!
気持ちよさそうな男女の映像を凝視してこすらないと!!
エッチな映像を反応せず、手で扱いても反応はイマイチ。
そんなこんなで成果が出ないまま5分が経過した。この調子じゃ早さは低得点になってしまう。
画面の前の女体を見て、ドキドキはするものの反応としては現れない。
4月の時は不慣れで緊張していたからうまく動かなかったというのもあった。
それが5月になって多少は慣れて少しは安定して出来るようになった。
もう少し慣れている筈の今月がなぜ出来ない!?
画面の前の男の人はもうすぐ射精を迎えそうだ。
どうにか頑張って彼を自分と重ね合わせ出してみよう。
僕は男として女の人とシて、ちゃんと射精をするんだ。
頑張ってその気になれば女性化薬で多少は影響が出ていてもちゃんと反応する!!
『女性として生きるのなら下半身を大きくしてはいけません。大きくして良いのはあくまで男性、相手の方です』
女性化薬投与の時に見たCM映像が頭の中に流れた。反応していたソレの反応は小さくなり、そして止まった。
いや、気が進まなくても手で刺激を与えればちゃんと反応するよ!!
『女の子なら抱いて貰う、愛して貰うものよ♥』
またこのテのが流れてきちゃったよ?…ってどうやって手を動かしたらいいんだっけ?
まずは、アソコをちゃんと大きくするところから!!
膨張がちゃんとできればそれだけで部分点が入るんだ!!
『このお薬は強力です!!女の子には似つかわしくない膨らみもこの通り』
うぅ。またCM画像が頭の中に浮かんできたよ。
それで、脳内映像と同じように膨らんでたそれが縮んできちゃった。
『ホラホラ、アナタは女の子なんだからそんなのしちゃダメよ?』
ごめんなさい、つい…。ボ、私女の子なんだから射精なんてしません。
『ええ、女の子だもん。出していいのはそんなのじゃないわ?』
ええ、それを出すのは愛しの彼の方♪
…ってとうとう自分がCMの登場人物になりきちゃうし。
このなりきりじゃ、ボ私女の子なんだから射精なんて出来ません。
時間ももう少し。
男の人でも女の人でもいいから、とにかく集中して見る。
エッチな画像を見続けてれば、そのうち射精もする。
『あんっ♥あぁんっ♥ぁあぁぁんっ♥』
『ええ、こんなに気持ちがいいなんて女になれて幸せ♥』
コレってこんな内容だったっけ?でもとにかく集中!!
食い入るように画面を凝視し、一心不乱に手を動かす。
下がどうなっているかは最後まで見ないけれど、手ごたえ自体はある。
『ずっと好きだった人とあん♥こんな事が出来るなんてんん♥女になれて幸せ』
このタイミングでビフォーアフターのイメージ映像とかでなくていいから。
♂タイプのイメージ画像が♀タイプのイメージ画像に変化するアニメとかいらないから!!
流す映像を間違って操作したみたいだけど、幸いにも反応は悪くない。
目は画面に集中!!手は股間に集中!!でどうにか乗り切ろう。
指でピストンを再現し、気持ちよさそうな登場人物になりきる。
ん♥時間は残ってないけど、もうすぐイきそう。もうあと少しを頑張る。
『「あっ、あぁっん♥いっちゃうわ♥」』
全身の力が抜け、絶頂を感じた。
丁度画面の前でも同じような状態になっていた。
僕は女優の人とほぼ同時に同じような声を出しながら絶頂を…って違う!!
でも、イけたんならこの際文句はないか?射精さえできれば合格点が取れるくらい稼いでたんだし。
「残念だけど、絶頂は迎えられても射精は出来なかったみたい。強いて言えば透明な雫ちゃんがちょっとだけ」
清香先生にそう告げられ、僕の赤点が確定した。
6月の結果発表
6月はなんと7人もの合格者が現れた。
お尻に火が付くという事だろうか?
女子用水着の水泳に焦って、勉強を頑張りつつ効果的に射精できる方法を友達と開拓したらしい。
因みに合格者は、綾崎くん・鏑木くん・佐々木くん・高木くん・春名くん・南野くん・小倉さんの7人
ほぼ全員が男性機能で稼げたのが勝因らしい。春名くんと若葉さんはそうでもないみたいだけど。
最初の頃、男性機能テストでうまいこと動けずに終わったのが慣れて点数稼げるようになったとか。
エッチな映像の使い方が上手くて、部分点や追加点を稼いだのが上手くいったそうだ。
そして若葉(小倉)さんは合格を拒否し女の子として生きる事を宣言した。
前に双葉さんの事もあった為、顰蹙もあまり買わず(全くないとまではいかなかった)祝福されここに残った。
因みに双葉さんは学力と体力のテストは受けたが男性機能テストは受けなかった。
まぁ体の変化はまだだけど、彼女は女の子だから射精はしないよね?
一方、僕は合計225点で合格点には遠く及ばなかった。
言うまでもなく、男性機能の点数が致命的に低くてダメだった。
それなりに部分点があったはずだけど、女性と同じような声を出して絶頂を迎える。
といった行為が減点対象となり5/200点だ。不合格はもちろん、男性機能のボーダーを下回ったので赤点扱いだ。
赤点は僕を含めて8人とこちらもまた人数が多い。
そして、前回も赤点だった森永双葉さんと千歳清菜さんのFが確定した。
何処か上機嫌な双葉さんに対して、声を押し殺しながらも泣いている清菜さんが印象的だった。
いや、清菜さんじゃなくって清彦くんだったね。…でももう戻れないから清菜さんと呼ぶしかないか。
彼女と彼(?)にはいつの日か素敵な女性として幸せになって欲しい。特に清菜さんに。
ここ最近、小倉さんと森永さんはCMのマネしてたけどまさか本当にその通りになるなんて…。
いや、あの様子だと遠くないうちに、『正します』や『羽化しよー』に『生まれ変わり』を体験するのは当然か。
自分の事も、男になる人の事も、女になる人の事も、いろいろな事が頭の中を巡っていく。
何故は良く分からないけれど、不思議と涙がうっすらとだが出てきた。
お別れ会~6月編
今月も無事(?)にお別れ会を迎える事が出来た。
毎月の定番行事と化しているけれど、合格者が出なければお別れ会も開かれない。これって結構すごい事みたい。
だから合格者0の年は、一度もお別れ会を開くことなく卒業を迎える事となる。
前にも書いた気がするけど、今回の合格者は7人とかなり多い。
小倉さんが合格を辞退したから実質6人だけど、それでも凄い人数だ。
で、連続赤点の森永さんと千歳さんもある意味お別れと言えない事もない。
男性としての卒業する6人と女性として卒業する3人と、計9人が旅立ち、27人が18人になった。
ただし女子生徒となった合計4人(双葉篠さん含む)は女子生徒としてF組には残るんだけど。
普段は女子生徒らしい振る舞いを強要されているF組だけど、お別れ会の時は無礼講らしい。
男子生徒として旅立つ人達を送る時だけは、同性として送り出してもいい…という事だとか。
女性化を強要されてはいるけれど、寛大なところがあるから意外とF組って居心地が良いのかも知れない。
清彦君たち旅立つ男子生徒をF組に残る面々が祝福しつつ見送る。そのやり取りは男同士の友情に見えた。
旅立つものも送るものもみんなスカート姿で女っぽい外見をしている。それでもみんな男子に見えた。
双葉さん(篠宮さんも森永さんも)とか例外もいるけど。
「お前らホントによく頑張ったよ、グータッチ!!」
「清彦6兄弟だか6姉妹が3人も旅立つとは少し寂しいよな」
「これで3兄弟3姉妹ってところだな」
「アハハ、清彦って呼ばれるの懐かしいな。なぁ清彦Cさん」
「俺達頑張ったもんなAさん」
「今日で最後かもしれないからスカートめくり、えいっ」
「男のパンツなんて見て面白いかっての」
「駿君ってばトランクスだなんてはしたないわ~」
「捲るお前がはしたない、ってか俺はもう男だから問題ないだろ」
「ええ、駿君はお咎めなし。女の子のスカートを捲る破廉恥女子は女の子らしさを磨くため
放課後にビデオ鑑賞からの感想文提出です!!」
「ええ~、そりゃないよ~」
制服はともかく、やっぱり男同士のやり取り男同士のノリって感じだ。男同士でスカート捲りはやらないけど。
こんな感じで同性同士でつるむ男同士のやり取り。元々こういうノリは得意というわけじゃない。
ただ、F組になってからこんな振る舞いをしたいと思った事はあるし、数回だがした事がある。
男っぽいものに憧れて、一緒になって騒いだりとか。
でも今はこの男同士のノリがとても遠いところにあるような気がする。
少なくとも彼らより双葉さんの方がまだ自分に近く感じる。
男でも女でもないF組の仲間に男を感じただ、自分自身はどうなってるんだろう?どう見えるんだろう?
プールの時間と性別に関する認識
双葉さんのように女性化を受け入れ、むしろ喜んで着る生徒はともかく
女性用水着を喜んで着ている子は殆どいない。 僕ですら例外ではないくらい。
自分で僕ですらっていうのもアレだけど、でも僕ですら…だ。
ただ、それでも慣れというものは恐ろしい。自分が着る方の水着は女子用、その決まりには慣れてきた。
例えば、……僕なんかはこの前購買に行ったときについでに予備の水着を見てみたんだけど
女子用の方は見てみたのに、男子用の方は存在喰ら忘れててチラリとも見てないくらい。
そこまで極端な子は珍しいかも知れないが、女子用水着の着用に抵抗を覚えたり恥ずかしがったり、
着なれないで苦戦したり。なんてことはなく抵抗なくごく普通に着られるのが殆どになっていた。
しかもいつの間にか膨らみを隠すサポーターも普及してるからビックリ、私も前につい買っちゃったし。
「ごめんね、少し入るわよ~」
突然、清乃先生が更衣室へ入っていった。先生は立て看板らしきものを持っていた。
「どうしたんですか先生?」
「体育前に少しやりたい事があってね。それでちょっとした道具も持ってきたの」
清乃先生の持っていたのは水着の女性の立て看板っていうのかな?
多分等身大の大きさだと思う。水着女性のプレートだ。こんなものを何に使う気なんだろう?
「コレ、何に使うか分かる人挙手」
「はいっ×5」
「じゃあ双葉さん、たまには森永さんの方に答えて貰いましょう」
「それはもうアレしかないですよ。彼女のプロポーションを目標にする為に目のつく場所に
こんな写真をおいておいていつかこんな美女になるぞって誓う例のアレですよね」
「そうね、やっぱりアレって思うわよね?あれだと思う人挙手!!」
手を挙げた人は半分程度しかいなかった。残りは分からないのか、こういう時上げない人なのか?
水着女性のプレートなんて、女性的なプロポーションの参考にする以外に使い道なんてないのに。
「それじゃあ手を挙げなかった、堺さんに答えて貰いましょう」
「うーん。今の自分の性別を知る指標的な?」
あれっ?それって結局同じ意味じゃないの?と疑問に思っていたらこう続いた。
「自分に男の心が残っているかどうかを知るための指標としてセクシー女の姿を見る。もし彼女の
ナイスなボデイを見てこんな美女が彼女ならいいのにな~って思ったら中身が男で、こんな美女に
なりたいなって思っていたら中身も女になっている。それを自己診断するために使う!!」
「ところで君はどっちの感想を持ったのかな?」
「それは黙秘で、反省文とか嫌なんで」
「罰則を避けつつ意思表示できるってなかなかやるじゃない?堺君には次回の試験で頑張って
男になって欲しいって思ったわ」
水着女性のプレートを見て、女らしさを磨くアイテム以外の使い方が思いつかなかった。
このF組が女性化教育をするクラスだから先入観でそう思った…と弁解は出来る。
でも、男の心がどれだけ残っているのか調べる。或いは男の心を保つために使うなんて
考えは頭の片隅にも現れなかった。自分の女性化の進行具合はかなりのものらしい。
しかも、きわどい水着女性等身大プレートとか男の子の心があれば自然にエッチな目で見れるはず
のものなのにとてもじゃないけど、そんな目では見れなかった。ただ自分のはるか向こうの目標としか。
私…僕、もう訂正するのも面倒かも。セクシー女性の姿を見ても目標やライバル以外の目で見る。
そんな事はもう私にはできない事になっていた。
っていうか日記の中だけ僕と訂正するのももう疲れた。
先生の前の一人称でも、ノートや課題の中身も、一人称は私とかでなければいけない。
この短い日記で3回僕と書くのに何回書き直したんだろう?合計4回だっけ?
2回目なんて、私→僕に直したが違和感を感じ私に戻す。ようやく僕に戻す。
と2回私から僕に書き直すなんてミラクルやらかすし。
書くのが楽だし、書き慣れてるし、これからは日記の中でも一人称は私にしようかな?
性別に関する認識の続き
私、私、そう…私だ。
この3か月で書き慣れたせいで、一人称を私と書く方が安定して、落ち着いて書けるね。
口調でも文章でも一人称の私がほぼ義務付けられ、いつしか私と使わないと落ち着かなくなる。
こういう身近なところも女性化教育の一環であり、そしてこの基本が大切なんだろうね。
基本と言えば、F組に入ると女性名が与えられるのは基本だけどその女性名も考えてみれば
案外いろいろなパターンがあるとこに気がついた。なので日記のネタにしてみた。
そもそも私自身、男性名と女性名が同じというレアタイプだ。
元々が月岡渚で、女性名も同じく渚だもん。男女どちらでも通用する名前は便利なのかな?
この名前のせいで女扱いされることが多かったけど。
他にもカオルとかシノブなんて名前だとそのままの名前でいけるみたい。
薫くんはともかく、香くんは変形してカオリさんに改名されたけど。とにかく自分の名前そのままは楽だよ。
一番多いのは自分の男性名の一部を使て、女性名に作り替えるというもの。
清彦くんが清果・清音・清美・清菜なんて名前に変えるようなものだ。…最後以外全員元の名前に戻ったけど。
今更ながら清彦率が高いのは、もういっそ伝統芸能だね。毎年そうらしいし。
あとは恵一くんとか恵○くん改め恵さんとかも毎年あるらしい。
恵仁くんはどういうわけか恵の文字を使いつつ、恵美子なんて女らしい名前になっちゃったけどね。
女っぽい感じが3つでも女らしさは3倍にはならない(至言)多分平均よりかは男っぽいくらい。
このクラスでも人気の高い名前の双葉さんは、名前に双か葉があればかなりの確率で希望され
そうでない人にも好まれる名前らしい。健一郎が双葉とか。
クラスの皆は(私もだけど)日頃、男性名と女性名をさほど意識せず使っている。
通常は男性名で呼び、先生の前などでは女性名に言い換える。…みたいな。
ただその流れも最近になって変わってきた気がする。
お互いに(特に呼ばれる側かな?)女性名の方に慣れてしまい女らしい名前で呼び合う光景が最近増えてきた。
双葉(篠)さんみたく隙あらば、ちょくちょく女性名を挟んでくるケースもあれば、男性名と使い分けるの
に疲れてきてとか、女性名の方が違和感なく呼び合えるようになったというケースもある。
幸いにも、かな?私は女性名も男性名と同じタイプ。
渚と呼ばれて違和感を感じる事も、二つの名前で混乱する事もない。
女っぽい名前で嫌と思った事はあるけど、今回はこの名前で良かったと思う。
これから先も私はずっと渚のままだ。良かった♪
…なんか赤点の後遺症か男の娘、もとい男の子に戻れる事忘れてる気がする。
次回合格する自信もあんまりないし。
7月は女性化薬投与が1回だけです
「ほぉら♥たわわに実った胸を触ってみなさいな、たわわと呼べるのはもう少し先かしら?」
「でも大丈夫よ?この段階でこれだけ発育していればもう少しで素敵な女性の胸が手に入るわ」
「男性だった頃は縁がなかったであろうオッパイ、女になれば素敵なの手に入りそうね♪」
「頑張って素敵な胸手に入れましょうね。モチロン愛しい彼の為にね♥」
今日は7月の女性化薬投与を行う日だ。
そして私達は自習しつつ、順番待ちがてら女性化ビデオ(って呼ぼうかな?)を鑑賞している。
今回は少し眠たくなる物静かなBGMが流れ二人の女性(顔は普通だけどプロポーション抜群)が
静かに語りかけてくる風の動画だ。こういうのって、催眠ボイスっていうのかな?
前に聡明くんが言ってたような気がする。催眠ボイスなんて単語はどうやって仕入れるかは知らないけど。
催眠ボイスって本当に催眠効果があるのかな?
少なくとも私は彼女たちが囁く光景が浮かんでくる。
女性化薬の効果が十分に効いてきて、胸が大きく女性的な体型になった私の姿が。
男の時は逞しさも体力もなく、背も低い私だけど女性としてなら普通か少し高いくらいの身長だ。
腕力がなく華奢な手足も女の子なら欠点にはなりにくい。胸さえあれば私もいいセンいけると思うんだけどなぁ。
って、これじゃあ女の子になりたいみたいじゃない!!
私、じゃなくっ僕は飽くまで男の子!!
たまに女の子に憧れる事があるだけで、女の子になりたいわけじゃない。
「あらあら、口ではそんな事言っちゃってアナタの本心は解ってるのよ?」
「ええ、そうですよ。女の子になるのは決して恥ずかしい事じゃないの」
「世の中には男として生きるべき男の子と女になるべき男の子がいるの」
「さて、アナタはどっちかしら?」
「私たちと同じかもしれないわ♥」
でも、こう囁かれると自分の本当の性別ってどっちだっけ?なんて思ってしまう。
そりゃあ、僕だって男らしい方じゃないとは言え15年近く男として生きてきた少年だ…だった?
とにかく、いわゆる性自認に関しては間違いなく男だった。
それが、女の子として扱われ、女らしくなる教育を受け、男性として生きる資格を問う試験には不合格で、
制服どころか水着まで女子用で、この1か月半は家のトイレ以外全部女子トイレしか使ってない。
そして、とどめの女性化薬の注射だ。
学校内では何から何まで女扱いされると、自分は本来女なんじゃないかと思ってしまう。
人は女に生まれるのではない、女になるのだ。なんだろうか?
…生物学的に、人間の場合逆で男になるんだけど。
男になりきれなかった男の子が私って事かなあ?
「月岡さーん。月岡渚さーん」
私の番となり、前に出て仕切りの奥に移動する。
今回の注射はお尻の筋肉にするらしく、清香先生にお尻を突き出すポーズをする。
これがかなり恥ずかしいんだよねえ。
幸いにも女医(医師免許があるらしい、あと元男性の可能性もある)さんだからスカートを
捲ってもまだマシなんだけど、それでも十分恥ずかしい。
何かもう、女性を異性として認識する事が出来ないかも知れない。
「痛ッ!!」
注射はやっぱり痛い。特に効き目が強力と言われる薬は注入される時にいつもより痛い気がする。
「凄く痛いっ!!でもこれで女の子に近づけるのなら私どんな痛みも頑張って耐える!!」
なんだか、妙にタイミングのいい編集だね。この動画って。
こうやって知らず知らずのうちにその気にさせられちゃうのが怖いところだよね。
動画内で女になれて幸せって毎回言われると、女になった方が幸せなんじゃって誤解しそう。
…実際にその通りかもしれないけど。
「今日は、ちょっと…気持ち悪い」
注射は痛いけれど、体の構造に変化を与えるほど強力な薬を受けたんだ。副作用だってバカにならない。
たまにだけど、注射をされた後にめまいや吐き気に襲われることもある。
一般的な女性ホルモンですら気持ち悪さを感じる場合があるらしいことを考えれば女性化薬を投与
されて副作用に悩んでも不思議じゃないか。副作用を感じない今までがラッキーだったってところかな。
周囲を見回してみるとグッタリしている人が結構多い。
私と同じように頭がボーっとしているのかな?
いつもと比べて自習している人が少ないように見えるし。
私も居眠りしようかななんて思う。ビデオ鑑賞でもいいかも知れないけど。
でも女性化薬投与直後に今日のを見ちゃうとなー。
「うふふ。これでまた一歩女の道を踏み出したわね」
「前にあるオタマジャクシの尻尾、アナタには必要のないものよね?」
薬が余計に効いて、使い道のない尻尾が消滅しそうになる。
体の痛みが下半身まで到達してきそう。
女の性に馴染んでいたとはいえ、やっぱり自分の性自認は男だと思う。少なくとも今は。
それに、今の私に旅立つ準備と覚悟は無い。少なくとも今は。
まだ男に戻る道はあるし、体つきはまだ男の子寄りだ。少なくとも今は。
夏休みで女性化薬の効果が弱まれば、まだ男に戻る道はある。…よね?
7月の女性化薬投与 の放課後
「ねぇやっぱり双葉さんって女性化薬の投与は嬉しい?」
「そりゃあ嬉しいに決まってるじゃない」
「まぁ双葉さんはそう言うよね」
「でもお薬の副作用か、少し頭が痛いのは残念ね」
「へー。双葉さんは女性化薬の副作用がなさそうだったけどそうでもないんだ」
「どういうイメージなの?」
「女性化の薬と相性が良すぎて特に問題なさそうなイメージ…かな?」
「酷いなー渚ちゃん。これでも私って副作用が結構きつくて後半は動画見るしかできなかったのよ?」
「動画か…双葉さんならさっきの動画楽しめたりするのかな?」
「そうねー。楽しいって言えば楽しいかな?女になれた自分を想像するのにいいスパイスになってくれて
楽しいってところかしら?その気になると女性化薬の効果が余計に効果ありそうで」
女の子になりたい双葉さんみたいなタイプは案の定、あれも結構好きらしい
「ところで恵…恵一君って今日の動画どうだった?」
「えっ?まぁ極力気にしないようにしてるよ、女性化教育の一環っぽい気がして
視界の中に入っても受け流すが基本にしてるよ」
割と男っぽい恵一君はあの動画を気にしないのか、悪影響を受けないように気を付けているのか。
言う事も聞く事もないみたい。
それに対して私はどうなんだろう?
明らかに女の子になりたがってる双葉さんは当然の如く、女性化動画を歓迎する。
恵一くんのように早く男に戻りたい人は動画の影響を受けないように気を付ける。
私は、嫌がりながらも自分から女性化動画を見ているような気がする。
嫌がりながらも見るってどういう事なんだろう?
毎回のようにこのテの映像が流れているせいで、女性化っぽい動画を見ないと落ち着かなくなったとか?
そもそも、恵一くんに言われて気がついたけど女性化動画を見る必要ってないんだよね…。
自分の女性化を意識する場面は、罰則を食らわない程度にうまく避ける。
それが男のままこのクラスを旅立つための第一歩って言われている。
特に意識しないで普通に女性化動画を見て、ごく普通に動画の影響を受けて
自然な感じで女の子になった自分を想像して、女性化薬の影響をモロに受ける。
あと一歩でF組卒業だと思った先月と今月、しかしいつの間にやら女性化ロードを進んでいた。
7月の試験さえ乗り切れれば女性化薬の効果も切れ、合格のチャンスがある。
私は無事に連続赤点を取らずに男のまま乗り切れるんだろうか?
また、この日がやってきた。
2週に一度の義務、女性化薬投与を受けなければならないこの日が。
男女比のバランスが乱れ始めたのはどれほど昔だったか、そのアンバランスは収まるどころか
どんどん大きくなり、いつしか公立中学校は女性化クラスの開設が義務付けられるようになった。
男性落第にして女性化のクラス。通称FailとFemaleのF組
僕はそのクラスに落とされた。
性格自体元々対して男らしくはない僕だけれど、それでも性自認は一応男だし
何より小学校の頃から、男の子として男性検定を勝ち抜く事を教えられてきた少年なんだ。
男でいようとする意志は割と強いと思う。当然女にさせられるのは嫌だ。
だからと言って、この状況をどうこう出来るというわけでもない。
逃げるなり抵抗するなり、今月のF組卒業検定を超えるなり対処方法自体は多い。
でも、そのいずれも出来ない僕の道は女性化しかない。
結局今回の僕も、騒ぐ事すらなく女性化注射を受け入れるのだろう。
度胸も実力もない自分を情けなく思いながら、今の自分の扱いには諦めたような納得しているような…そんな感じだ。
F組の試験(4月)肝心なのは男性機能だそうで
今日は試験の最終日だ。
無事に合格すればF組を卒業し、元のクラスに戻る事が出来る。
しかし、元のクラスに戻れるケースはかなり稀だ。
試験の内容は、学力と体力に加えて男性能力、勃起や射精の力も測定する。
あとは、日常生活での態度や立ち振る舞いも加点や減点の対象となる。
200/100/200点満点の内6割の300点を取ればいいのだがこれが非常に難しい。
なにせ元々このテの試験に不合格だったからF組に落とされたのだ。
それが不合格だった時よりもかなりいい点数を取らなければF組卒業は認められない。
一度Fに落とされたら復帰は無理と言われるくらい難易度が高い。
まだ、女性化教育がさほど行われていない4月末の試験なら見込みはない訳でもない。
でも、僕は今回のテストの出来が悪く稼ぎのはずの英語でも大して稼げなかったのでかなり厳しいと思う。
一応は、この男性機能テスト次第で合格が狙える範囲内だけど自信がない。
落ち着いて、おチンチンを勃起させてなるべく早く、そしてなるべく多く射精するのがコツ。
オプションである、裸の女性の動画で反応しても良い点数がつきやすいらしい。
前の鷹森君が射精を終えたらしい。
半泣きにも見える彼の涙目を見て、結果が悪いんだと分かった。
鷹森君は男性機能の成績自体は悪くなかったらしいけれど、今回はダメなようだ。
ショーツの中に納まり、あまり激しく主張しない膨らみが妙に情けなく見える。
僕が射精を終えると股間がもう少し情けなく見えるんだろうか?
「月岡さーん。月岡渚さーん」
保健の清香先生の呼ばれ、僕も椅子に座り説明を受けた。
「…というわけです。質問はいいかしら?」
「はい特には無いです」
「因みにコレが悪い見本、悪い精子ね」
清香先生が手にした試験管には、少し白い液体が入っていた。
「いい精液はもっと白くてドロドロとしてるんだけど、この精液はダメね。色が薄くて少し透明だしそれに
すごく水っぽくってシャビしゃびなのよ。量が多いのだけは評価してもいいけどほ他はダメね」
「それって、他の人の精液ですか?」
「精液と呼ぶのもおこがましい精液ってところかしら?女としてはコレを胎内に入れられたくはないわぁ」
誰のものかは分からないけれど、ボロクソに言われぞんざいに扱われる精液を見て心と股間が痛んだ。
自分がこんな事言われると男の心が損傷しそうだ。
スカートを脱ぎ、ショーツをずらす。
F組の子は男子という扱いではない為、男性の下着や服を禁止されている。
校則を破ってズボンやトランクスの子もいるけれど、怒られるのが怖いので僕は大人しくスカートもショーツも履いている。
ショーツをずらすと、ピョッコりとチンチンが挨拶をした。
ショーツでの圧迫と、2度の女性化薬で少し元気がなくなっているがそれでも男の存在感は持っている。
割とアッサリ勃起が出来たチンチンを見て、僕はまだ男なんだと少し自信が持てた。
試験内容は、エッチな画像を見たり手でシュコシュコしたりしながら時間内に射精をするもの。
女性の裸で反応したりドキドキすると男らしいとして加点されるようだが、開始前から心臓がバクバク
し、見る前から勃起している僕にはこのボーナスは関係なかった。
アッサリ勃起したのはいいけれど、女性の裸のタイミングだと良かったのになぁ…。
こうなったら早い射精で得点を稼ごう!!
自分のモノを手で扱きながら、裸や下着姿の女性の映像を見て射精を目指す。
しかし、勃起が早かったのにその後は調子よくは進まない。
女の人のエッチな姿で興奮するはずなのに、下の反応はかなり悪い。
下手をすれば、ショーツをずらした直後の方がマシかも知れないくらい調子が悪い。
裸の女性と彼女と仲良くする自分の姿を想像しても、相変わらず調子が悪い。
開始から5分が経過してまだ出ない。早さボーナスはほぼ無理で減点すらあり得るペースだ。
膨らんだ胸やくびれ、下着の下の割れ目には興奮している筈だけど体が上手く反応してくれない。
うぅー。
っていうかこのままじゃ僕自身があの女性みたくなっちゃうよ!!
女として、こんな恥ずかしい格好をして自分の裸を名も知らぬ男子中学生に晒してしまう哀れな女性に。
いや、男子中学生ならまだいい。男性の出来損ないみたいな中学生に晒すとか凄くヤダ。
うぅー。かなり恥ずかしいよー。
そもそもこのまま不合格になったら僕もいつか手術を受けてあんな風に割れちゃうのかな?
膨らんでたものが割れちゃって、反対に胸は膨らんできて。
精液が出せなくなって、男の人に精液を入れて貰って喜んじゃう。そんな風になるのかな?
自分とは似ても似つかないナイスバディーな女性だけど、どうも彼女と自分が重なって見えてしまう。
あれ、なんか調子が…いい?
幸か不幸か恥ずかしい自分を想像していたら、射精寸前まで持っていく事が出来そのままフィニッシュできた。
興奮したタイミングはとても話す事が出来ないけれど、結果時間内に出せたのでOK…かな?
でも、出てきた精液の質は悪そうで悪い例として出された精液よりもさらに薄く透明に近かった。
だらしなく垂れ下がった自分のソレを見てかなり情けなかった。
残った汁は透明で、ショーツを上げたら綺麗に収まる。
射精まで全てがぎこちなく、唯一スムーズだったのがスカートの脱ぎ履きだった僕は、
また今月も男性失格者として扱われるんだろう。
F組の授業は少し特殊なものが含まれます
F組は授業の中身も通常クラスと少し違う。
具体的には主要教科が少なく、家庭科と性教育(保健)の割合が多い。
この時点で将来が半ば決まっているような扱いだ。
嫌なら試験をパスして通常クラスに戻りなさいって事なんだけど。
因みに家庭科が週4時間と保健が週3時間で通常クラスよりどちらも2時間多い。
保健はともかく家庭科、料理や洗濯は苦手じゃないのでそれ自体は苦ではない。
というより5を取る頻度もそこそこあって、英語と同じくらいの得意教科だったりする。
「あんまり手を止めてちゃダメですよ月岡さん♥可愛いだけじゃなくって手際の良い家事力は必須ですよ」
「あっすいません」
「家庭科は他の主要教科と比べても大切な教科です。みなさんにとって将来的に役立つ科目でしょうからね。
男の人の分も頑張るくらいのつもりでやりましょうね♥」
家庭科の千歳先生はいつもにこやかで、褒めて伸ばすタイプの優しい先生で男女とも人気が高い。
ただF組に関しては賛否分かれる。優しく決して押しが強くないけど、女性化を強要してくる雰囲気があるから。
「世の中の一部には女性ばかり家事を押し付けられて不公平という声もあります。確かに間違ってはいません。
でも言い方を変えれば家事力さえ身に着ければ一定の仕事が出来るという女性の特権とも見えます」
「いや、俺達は男だし(小声)」
「それは今度のテストをパスしてから聞きますね?」
誰が言ったか、しかしこのクラスの多数の意見でもある。
ただこの意見は男性として認められない限り負け犬の遠吠えでしかない。
いつも優しそうな千歳先生もこの時は少し怖く見える。
「世の中ではTPO、時や場合によって必要なものが違います。男性なら男性らしい女性なら女性らしい振る舞い
や能力が必要です。本当に不当な扱いならともかく、それ以外の場合は文句を言うよりも先に今の自分に
何が出来るか、何をすれば必要とされるのかしっかりと考えてからものを言いましょうね。男性として頑張る
場合は5教科頑張らないといけないけど、女性なら家庭科特化コースも選び易いですからね」
でもこの先生が人気(特に男子生徒の間では断トツで)なのは納得だ。
不満の溜まりやすい、女性化教育ともとれる家庭科が受け入れられている理由の一つが先生存在だと思う。
同じクラスのこの中には家庭科が大の苦手な子もいる。
その子たちに比べたら僕は大分マシなんだろう。家庭科を楽しいと思えるくらいだし。
このまま女性化を続ける気はないけれど、でもこのまま女の子になった時の為に家庭科はちゃんとやろう。
なにせここでは主要6教科で最強として扱われる家庭科さんだから。
気になる疑問きっと第1位!!F組の使うトイレは男子トイレか女子トイレか?
「ふぅ…トイレトイレ」
F組は一部例外的要素があるものの、扱いとしては女子生徒である。
制服も女子のものを使うし、トイレも女子トイレである。
というか隔離気味のこの教室付近には、生徒用のトイレは女子トイレしかない。
通常クラスに潜り込んでまで男子トイレを使った場合は、重大なペナルティが課せられるとか。
5月にもなれば、この女子トイレを使う事にいいかげん抵抗も感じなくなる。
僕の場合は、むしろ出先で女子トイレに入らないようにする方が困るくらいかも。
さて、女子トイレなので当然立ちション用の便器は存在しない。
それに、F組専用の裏校則には立ちションは校則違反と明文化されている。(登下校も含む)
流石にトイレの中を見張ることは出来ないので中には、女子トイレ内で立ちションをする子もいる。
ただ、もし万が一バレたら良くて厳重注意+反省文という扱いになる。
注意が続くと女性化処置を執行するという噂もある。
そんなわけで、バレないように行動すれば(難易度は高くないと思う)立ちションは出来はする。
しかし、今くらいの時期になると立ちションする生徒の方が少数となっている。
友達にも言わずこっそり立ちションしてる子がいるかも知れないけど。
僕はというと、学校の中で立ちションをしなくなっていた。
お咎めや反省文が嫌だら立ってしないというのはある。かなりある。
反省文は書くのが大変というだけでなく、『私は女の子なのに』という一文から始まり
『今後は女らしく』『女子生徒として』といった単語が散りばめられたもので女性化を嫌う生徒ほど嫌がる。
この罰則は見られてなさそうな場面でも、生徒の行動に影響を与えるくらい強力だ。
それに立ってするメリットも実はそんなにない点も、座ってのトイレを習慣づける一因になっている。
ズボンだったらともかく、スカートで個室に入ってると立ってしても大して時短にはならなかった。
それに立ちションは少し間違えると、スカートの裾にかかってしまう危険があるので怖い。
当然、変なシミがつけば立ちションがバレてしまい反省文コースになる。僕も1度だけ経験済み。
だから、私は女の子として今後は女らしく振る舞うと反省文で約束した。拘束力はないけど馬鹿にも出来ない。
人によるけれど、立ちション禁止と女子トイレの使用は強力な精神的女性化効果あるらしい。
生理現象で、対処が難しい上に女として行動しているわけだから効果はありそう。
ただ、この立ちション禁止を嫌がって必死に勉強してF組を卒業した人もいる。
だからこの仕組みは同じ内容なのに生徒を男らしくも女らしくも出来る、ある意味便利なものなのだろう。
基本的にもう一度学校で立ちションをしてみたいと思う僕だけど、今のスタイルで良かったと思う事が一個ある。
『渚、お前本当にツイてるの?見せてみろって』などと覗かれない事だ。
…実はF組って僕にとって悪くない場所なのかな?
保健の時間は半分以上が女性化性教育 隔週でお薬投与も行います
F組は女性化教育を考慮したカリキュラムが組まれ、家庭科の時間は多く取られている。
そして保健の時間も多く取られている。だから保健は家庭科さんと並ぶF組教育の要と言ってもいい。
要なので、少し休むと補習受けなければならないから保健がある日は多少具合が悪くても登校した方が良い。
そして、今日のように女性化の薬を投与するのも保健の時間だ。
投与の日に休むと一発で補習の対象なので、絶対に登校した方が良い。
嘘かホントか、この日風邪で休んだ先輩(まだ男っぽい)が週明けにはクラスで一二を争うほど
女らしくなっていただなんて都市伝説があるくらいだ。
都市伝説と言えばF組自体が都市伝説みたいなものだけど。
薬は注射タイプのものを使う。
注射の跡が目立たないようにある程度日をあけて(その為の隔週投与)注射をし場所も少しずつ変える。
腕の左右を変えたり、肩に近い場所に打ったりと体の事は気遣てくれている。特定の部位には気遣いないけど。
っていうか気を遣うどころか小さくして、最終的には消滅させようとしてるけど。
まだ、今回で3回目だから注射の跡は気にする事じゃない。けどこの先もF組から抜け出せないと…困る。
抜け出すと言えば、前回のF組卒業試験、(男性能力試験とも言う)は3人の合格者が出た。
32人いた、女性化候補あるいは男性落第者たちも30の大台を割った。
3/32は少ないように見えるけれど、実は結構多い方だったりする。1年で全滅という年もあるくらいだし。
そして案の定、不合格になった僕を含める29人は2度の女性化薬投与を受ける事が決まっている。
なので、次の試験は女性化薬が効いた状態でもう少し厳しい試験を受けなければならない。
だから、合格したければ4月か5~6月にカタを付けるのが定石となっている。
番外で夏休み後の9月頭の試験もチャンスと言われている。夏休みで勉強の時間がとれるし
夏休み中は女性化薬を受ける義務がないので、薬が抜けて男性機能面でも好成績が狙える。
…ただそれでも合格者が毎年少ないんだけど。
とにかく、僕たち29人はあと2回は女性化薬を投与される。これだけはもう決定事項だ。
投与中は保健に関するビデオを見つつ自習しながら自分の番を待つ事になっている。
僕がさっきから、こんな風に日記をまとめているのはビデオの鑑賞が少しキツイからだ。気を逸らすための内職バンザイ。
ビデオの種類は毎回違って、ある意味種類は豊富なのだがその内容は全部、少年が少女・女性になるというものだ。
例えばごく普通の少年が1~2年で少女に変わりきった比較映像が出てきたり
例えばイメージ画像の少年が注射をされ胸が膨らむなど女性化を彷彿させる画像に変わったり
例えば図解つきの女性化薬の解説映像だったり
例えば女性化薬を少年に与えたらどんな変化が起こるのかをシミュレーションするソフトを使った映像とか
イメージ画像の少年の体にメスを入れ作り変えられるタイプの映像は個人的に一番強烈だった。
「月岡さーん。月岡渚さーん」
右腕を先生に出し女性化の注射をして貰う。
またこうして今日も、女性化の階段を上り男の階段からは下りていくのだろう。
精神的な問題だとは思うけど、スカート+ショーツの中にあるモノが委縮した気がした。
女性化注射は打たれると体の男性要素が無くなるだけでなく精神的な女性化もついてくるから困る。
SAN値(正気度)ならぬSON値(息子度、男の子の心度合い)が削られてしまいそう。
というより今確実にSON値は削られてると思う。
今流れているビデオ内容は、少年に女性化薬を投与して女性化させている簡易アニメだ。
シルエットの少年ではなく、肌色で顔も書かれている少年が女の子になっていくのでなかなか生々しい。
うっ…しかも女性化が進んだと思ったら下半身にメスを入れられてる。
そしてメスは動き少年を女に作り替えていく…。
決してリアルなCGではないけれど、女性化薬を受けた直後の僕にはリアルが襲ってくるようだった。
幸いなのは、手術を受けた元少年が幸せそうな少女になっている事。
彼女には幸せな女性になって欲しい。簡易アニメに言う事じゃないけど。
正直日記を書く気力も無くなりそう。女性化の映像を気にしない為の日記もどうやら今日は使えなさそうだ。
…っていうか日記の内容がF組女性化教育の内容だったら自分の性別とか意識しちゃうじゃない!!
次回は日記以外の事をして気を紛らわそう。
一般生徒とF組精との関係は?
F組の生活、初めはかなり嫌だったけれど2か月も経つとだんだんと慣れ嫌と感じる場面も減ってくる。
当然好きではないし長くいたいとまでは思っていないけど。
ただ、やっぱりF組で嫌だと思う事、困る事というのは存在する。
休み時間とか一般クラスの生徒とすれ違う時に感じる視線や小声はすごく嫌い。
一般的には女性化のためのクラスというより、男性の失格者が集まるという認識なんだ。
だから、男子生徒からも女子生徒からも下に見られ蔑まれる。
…仮に僕がF組になってなかったら同じような感想だっただろうから強くは言えないけど。
でも、男子からは男の出来損ないとして、女子からは女のまがい物として扱われるのは心が痛い。
そして、これで泣いたりでもしたら余計に自分が男性失格者になった気がしてもっと凹む。
薬のせいか、さっきのひそひそ話のせいか分からないが下腹部が痛む。最悪どこかが実際に凹みそう。
「やあ、久しぶりだね。渚…くん?」
見慣れた顔と聞きなれた声で振り向く。
背の高い男子生徒が目の前にいた。
「聡明(としあき)くん?」
彼は4月末までF組にいた男子?生徒。いや、F組を卒業できたから男子生徒で問題ないのか。
前回の試験で、見事好成績をたたき出し余裕合格を決めた人だ。
もともと聡明くんは、頭も良く腕っぷしも強いのでF組に飛ばされるような人じゃない。
試験をサボったせいで素行不良が原因でF組に飛ばされたという事になっている。
後で本人に聞いた話、どんなクラスか体験してみたくてわざと入ったとか。
ナニソレ?強者の余裕?
などと妬みそうになったこともあるけど、彼の実力なら試験突破は当たり前だ。
F組に入った時に親しい友人がいてくれて少しは気楽になった事を感謝すべきだと思う。
僕と聡明くんって性格は真逆なはずなのに、何故か気が合って親しくなってたんだよね。
「ところで、君は最近のF組って楽しい?」
「どうだろ?楽しいって感じじゃないけど楽にはなったかな?」
「それは良かった…のか?」
決まっているわけではないが、F組は一般生徒から嘲笑の対象として扱われている。
友人であっても否定はできない。「やっぱりF組の僕って見下される存在?」と聞かずにはいられなかった。
「別に?」
彼はあっけらかんと否定した。
「渚くんって良いヤツだし結構好きだし、まぁからかうのは楽しいんだけど」
「相変わらず素敵な趣味で」
「君なら男でも女でも楽しいしまた一緒にいたいとは思っているさ。性別に関係なく」
言い終わると教室へ移動した彼は男性って感じに見えた。
自分の性別、性自認は男でなくなったのかも知れない。
少なくとも今の僕は聡明くんを同性とは見なせなくなっていた。
2度目の試験結果発表
今日の6時間目の保健は先週に行った、5月の試験の結果発表の日だ。
前回は得意の英語で大コケしたせいでダメなのは分かっていたが今回はいい調子だと、手ごたえを感じている。
体育の調子は悪そうだけど、それを差し引いても勝機は十分にある…と思う。
試験に合格する人の半分以上が4月で、残りはこの5月試験に最も多い。
それに、今回クリアしないと水泳の時間が待っている。
他のクラスと合同でない体育は悪くはないけれど、水泳に関しては話が別だ。
女の子の水着を着ての授業はSON値に悪影響を与える。
股間の圧迫もありそうなので、物理的な意味でのSON(ムスコ)値にも悪影響出そうだし。
「なんと!!今回も合格者がいます!!」
先生の号令で、みんな(例外もいるけど)のテンションが上がる。そして誰か分からぬ合格者に拍手喝采!!
これは僕も無事にこのクラス卒業かも?
「飛鳥さん、国語の成績の伸びは良かったです。数学の失敗を補うくらい良かったですよ。
来月もこのクラスで頑張りましょうね」
最初の飛鳥さんは成績自体は良かったようだが、不合格だったようだ。
体育か、男性機能かのどちらかが大きく足を引っ張ったんだろう。
次の漆原さんは全体的に成績が悪く、少し叱咤され気味に不合格宣言をされる。
大蔵くんは体育は稼いだらしいが、英語を中心にちょっとずつ落とし惜しくも不合格だ。
大空くん、織田くんもいいセンはいったらしいが不合格とやはり合格者は簡単に出ない。
悪いと思いつつも、不合格宣言を聞くたびに少しホッとする。合格者が自分のような気がして。
「國崎くん。英語をもっと頑張りましょうね、社会科の伸びは良かったですよ」
褒めてばっかりの結果でも不合格が続いたために今回も駄目だと思っていた。でも…。
「でも男性機能の点数は素晴らしかったです。断トツでクラストップ、75%は胸を張れる結果です。
この点数なら男性も務まりそうです!!もうF組に落とされないように頑張りましょうね。英語とかで」
男性機能の点数は総じて稼ぎにくく、60%を取るのが最も難しいと言われている。
それで稼げたことが響き堂々の合格(クラス2位)だそうだ。
中には悔しがって素直に祝福できない子もいた。僕はどっちかな?
スゴイとは思い祝福したいけど、今回の合格者枠を取られた事が少し悲しい。結構ちっぽけだね僕は。
どちらにせよ今週末にはお別れ会になりそうだ。
古賀くん、小林くん、早乙女さん、と成績が良さそうな子が次から次へと不合格になる。
惜しかったは惜しかったみたいなんだけど。
「篠宮くんクラストップおめでとうございます」
双葉(篠)さんなら合格も仕方がないかな。成績面はクラス内でも確実に上位だし。
体育と男性機能がかなり悪かったみたいだけど今回はそれを上回るほどテストが良かったって。
「ありがとうございます。でも、私は男性として元のクラスには戻りません。このままF組で
女子生徒として生活を送りたい、もし合格が先月だったら普通に男の子として生活したかも
知れない。でもこのクラスで私本当の自分に気がついたんです」
双葉さんの爆弾発言に、クラスの空気は凍りつき暫くして荒れだした。
「私、子供の時から違和感っていうか今の自分がこれでいいのかなって感じる事が多かったんです。
体力と男性機能のなさでF組に編入してから、ここが自分のいるべき場所、これが私のあるべき姿
だってそう感じるようになったんです。なので私は男性として生きる気はないです」
双葉さんの告白にクラスのみんなは混乱したが、少ししたら落ち着きを取り戻した。
反応は拍手とブーイングが同数、それより多いのが傍観・硬直かな。
折角の合格を蹴るなんて、男の子としては勿体ないと思うし少しだけだけど許せないとも思う。
でも言ったのが双葉さんだったので納得も出来た。
F組試験に合格すれば、元のクラスに戻る事が出来る。
このように戻らないという選択をしても良い。…そもそもそんなケースはかなりレアだけど。
試験突破自体が難しいのに、女性化を望む子は総じて男性機能の点数が酷い。
だから試験突破率はもっと低い。下手をすれば過去にないレベルだ。
双葉さんの告白で暫くクラスは荒れて割れ、彼女もきっと大変な思いをするだろう。
でも双葉さんは女子生徒として通常クラスに戻る選択もせず、敢えてF組を選んだ。
その事はみんなも分かってあげて欲しいと思った。
双葉さんの合格蹴りが衝撃的で、みんなの関心は今回の結果より双葉さんの事に移った。
特に今回の結果に自信のない子は、分かりきった不合格より双葉さんの選択の方が大ニュースだろう。
ただ、僕は今回の結果に自信がある。だからこの大ニュースよりも関心は自分の結果にある。
「はい。では次は月岡くんね」
先生に呼ばれ僕は前に出た。
「英語がとても良かったです。苦手教科の理科もこれくらいだったら大して足を引っ張る
点数じゃないでしょう。男に戻りたいという意思が伝わりましたよ?月岡くん」
聡明くんと久々に会って、僕の中のどこかに火が付いたのだろう。
かなり勉強して、主要教科(家庭科さんを除く5科目)でかなり稼いだのは自分でも分かった。
体育の結果が少し悪いのが気になったけどそれを取り戻すだけの結果は出てると思っている。
「体育の悪さを考慮してもクラス3位は立派です。これくらい取れれば次はいけるかも知れないですよ」
褒めたような口調で期待させつつ落とされた。
この結果のショックが大きく、半ば呆然とした僕はこの先の記憶がない。
この先も結果発表が行われたが、3位の僕が不合格という事で盛り上がりのイベントはほぼ消えた。
ただ、気になる結果発表はまだ残っていた。でもそれはまたの機会にしよう。
今の僕はこれ以上書こうと思えないし。
結果発表の追伸
昨日の結果発表は自分の不合格を聞いて呆然となってしまった。
そのせいで日記も半端な感じで切れてしまったので、もう少し続きを書いておこうと思う。
今回の成績上位者は、双葉さんと國崎くんと次いで僕で僕の成績は298/500と2点に泣く事になった。
つまり合格者2人/29人と4人の赤点が最終結果だ。
赤点は合格点300点の半分以下だと該当し、一部の科目の点数が極端に低い場合も赤点となる。
基本的に男性機能が極端に低い(30/200くらいだとアウトらしい)場合が危ない。
赤点をとっても追試にはならない。しかし、2回続けて赤点を取ってしまうと本格的にFとなる。
Fはfailでもfemaleでも可だ。forteやfreezerなんて強そうな意味じゃない。
どんな内容になるかはお察しで。
噂では色々な噂が流れてて、校則に触れない程度に男らしくしていた子が女らしくなったり(洗脳疑惑)
シルエットレベルで別人みたくなったり(怪しい新薬投与疑惑)入院していたなんて話も聞く(手術疑惑)
女性化を強制されるF組と比べてもかなり強烈な強制女性化が行われる(らしい)赤点にはみんな怯えている。
仮に女性化するにしても緩やか穏やかなのがいいよね。
…ってあと一歩で合格できた人間の思考じゃないって。
僕はこの中では最も合格に近い『男』だ!!うん男の子!!
次回こそはきっと合格するぞ!!
お別れ会~F組を無事に卒業した男子生徒
今月もお別れ会の時期になった。
今回も無事に(?)合格者を出したため会が行われる。
お別れ会は結果発表の週の週末、つまり金曜の6時間目にする事となっている。
因みに、本来は保健だ。このお別れ会の為に金曜6時間目が保健になっているとか。
通常クラスよりやたらと多い(1時間に対しての3時間は破格の多さだよね)保健の時間はこんな風に
割と特別イベントによって消費される。ただこのお別れ会も性を学ぶイベントと言えない事もない。
だからある意味、保健(女性化教育)に相応しい。男女の境界線を越えるシーンを目撃するようなものだから。
そして自分達は男の道を歩めなかったという事実を体験してしまう…。
今回の合格者は、篠宮双葉さんと國崎清果さんだ。いや、國崎くんは國崎清彦くんと呼んだ方が良いね。
これからは男子生徒として、男性として生きるわけだし。清果さん呼びは良くない。
双葉さんの方は自分の意思で、ここに残ったからお別れは國崎くんのみ。
みんな彼にお別れとお祝いの言葉を送っている。皮肉交じりなのもあるけど、本当は仲が良いのは知っている。
「合格おめでとう」
「清彦に戻る前に存分に清果って呼ばなきゃな、清果ちゃん」
「裏切り者め!!でも良くやった」
「今回の成績は悪いとか言って~、コノコノ~」
「まさか合格したのは清彦Dだとは思わなかった。AかCならまだしも」
寂しがりつつも、仲間の羽ばたきを祝福できるのって良い事だよね。
名残惜しいけど、國崎くんとは今日でお別れだ。
彼がスカートを履くことも、女の子として扱われることもきっともうないのだろう。
彼は立派に目標を達成したのだから、男として扱われる権利はある。
余計な心配だったけれど國崎くんは無事に見送られている。
ひょっとするとクラスの誰かが彼の合格を妬んで…なんて可能性を考えていたけれどそんな事は無くて良かった。
そしてあらぬ疑いをしてしまった自分が恥ずかしい。
自分の結果は残念だったけれど、今回も仲間の中から無事に卒業できた人がいて良かったと思う。
ただ、1つだけ気になる事もある。双葉(篠)さんの扱いだ。
彼女は試験を無事に合格したのに、自分の意思でF組に残った。
本人の自由と言えばその通りなのだが、みんなが欲しくて手に入らなかった合格を
自分の意思で拒否したのは反感を買っても仕方がない事だと思う。
僕自身、自分の不合格が悔しかったのもあって彼女の行為はどうも受け入れがたい。
とは言え、時折感じる針の筵のような雰囲気は流石に酷い。
双葉さんは(みんなが合格しなければ)この先も一緒に過ごす仲間なんだ。
男になれるチャンスを蹴ったとしても、もう少し大切に扱ってあげて欲しい。
保健室での出来事
6月に入り来週から水泳の授業が始まる。
F組クラスの大半にとって憂鬱な時間となる。
その理由やどんな水着を着用するかは敢えて言うまでもないよね?
体のラインとか目立ちそう。今から憂鬱だ。
などと昼休み中に一人で憂鬱になっていると双葉さんを見かけた。
「あれっ?どうしたの双葉さん?」
「ああ、渚ちゃん。ちょっと保健室に用事があってね」
教室に戻ろうかと思ったら彼女に呼び止めらてた。
「もし暇なら、もしよかったら一緒に来てくれない?ちょっと緊張してて」
「うん?いいけど」
一体何なんだろう。
「遅かったわね、それじゃあ早速始めましょうか」
「ええ。清香先生お願いします」
「ところで渚ちゃんもなの?一応予備はあるけど飛び入り参加は感心できないわね」
「えっと…どういう事ですか?」
「?どういう事なのかは私の方が聞きたいんだけど」
「渚くんには私の付き添いでついて来て貰ったんです。ちょっと心細かったし、それに何となくだけど
これからやる事を見て欲しいかなって思ったんです」
「そうね、どういうものか実際に見て貰った方が良いかもね。双葉ちゃんにとっても渚さんにとってもね」
なんだか良く分からないけど、清香先生から説明を受ける事になった。
「簡単に言えば女性化薬投与の追加Verね。君も愛用している奴とはちょっと違うタイプ
の薬も併用することでより美しく、女らしく変身しましょうってところなの」
「分かりやすいですね、でも女性化薬を愛用してはいないです」
「でも現在、愛用してるようなものでしょ?」
「うぅっ」
反論できないのが何だかイヤだ。
因みにいつも使ってる薬は内側を中心に女性化し、こちらの女性化薬は豊胸やお尻を大きくする
など外側の女性化効果がより強いらしい。内側の女性化もそれなりには強いけど。
「それじゃあ注射は双葉ちゃんだけでいいのね?」
「本当にやめて下さいよ?」
「じゃあお注射するわね双葉ちゃん」
先生がそう言い終わると双葉さんはベッドでうつ伏せになり、お尻を突き出した。
「うっ…痛っ!!」
「筋肉にお薬が入るようにしたからね、ちょっと痛いわよ?」
「そういう忠告はもう少し早くしてくれないと」
「うふふ、ごめんなさいね。でもどんなに痛くても注射は受けるでしょ?」
「ええ。痛いからって受けないわけにはいかないです。特にプール前ですしもう少しくらいゴニョゴニョ」
「まぁ頑張りなさいな♪」
「筋肉に注射ってなんだか痛そう…」
「渚ちゃんも受けてみる?」
「絶対に嫌です!!」
「ありがとね、渚ちゃん」
「いいよ別に付き添いくらい」
「実は付き添いだけじゃなくって、見て貰いたかったっていうのもあるんだけどね」
「うん?」
「私は自分の意思でF組に残った。クラスのみんなは合格して旅立つ國崎くんをちゃんと祝福できるような
人だっていうのは分かってる。でも私みたく男子生徒に復帰できる権利を蹴るような子だとまた事情が違
ってくるのよね。君もなんとなくそんな気持ちがある?」
「少しだけ…ね。」
「試験に落ちて男性失格者の烙印を押され、女性化処置を受ける。どういう学校で経緯があったかは
分からないけどF組の生徒は男子生徒に戻りたがっているのが普通。そりゃそうよね、つい最近まで
男子生徒だったし女性化とは無縁の環境にいた子達だもん。私ですらそうだよ」
「僕も、今すぐにでもスカート脱いで男らしく振舞いたいし、男子トイレでの立ちションに憧れる」
「で、せっかく頑張って男子生徒に戻る権利を得たのに手放す私が理解しがたいし、許せない
とすら思う心がある…と」
「うん」
正直そこなんだよね。
合格したのは努力の結果だしそれでもクラスに残るのは彼女の自由、でもどうしても受け入れがたい。
「言い訳だけどこれだけ言わせて?」
「うんん、分かった」
「私、女になる道を選んだけど楽だとは思ってない。茨の道でも構わないと思っている」
双葉さんの言葉は力強かった。きっと覚悟を決めた人の強さなのだろう。
少なくとも、今の僕にその強さは無い。
水泳の時間
「はぁー」
「あぁーあ」
「嫌だなぁ」
3時間目が始まる前から、クラス中でため息が溢れている。
今日は朝からため息祭りで、しかもそれがだんだんと激しくなっているのだ。
今日はプール開き、つまりF組のみんなにとって今日は女子用水着の着用を義務づけられる日なのだ。
僕も水着に関して結構憂鬱だったりする。水泳部の水嶋くんや白鳥くんすら得意の水泳より水着を嫌うほど。
クラス全体がため息まみれの中、唯一機嫌が良いのは双葉さん(篠宮さん)くらいだろう。
思えば最初の頃のスカートもみんな抵抗があった。
ただ、その時はすぐに合格できるだろうと楽観視してたのとみんなが同じ格好でみんな嫌がっていたから
割と受け入れる事が出来た。それが、2か月経ち、自分はF組からの脱却が難しいと感じるようになり、
少数だけど旅立った仲間がいて、自らの意思で女性化を決めた双葉さんみたいなケースもある。
焦りのようなものがあるからだと思う。
僕は次回には合格できる自信があるけど、それでも少し焦ってるし…。
何より体のラインとかがはっきりと出ちゃう水着はスカートよりも難易度が高いんだよね。
男子用水着なら下の膨らみが分かりにくいものと選べるけど、女子用にはそんなのないし。
ただ、胸を隠せるのは個人的にアリだと思う。
さて、4時間目の体育になり更衣室に入る。
僕たちは扱いの上では女子なので教室ではなく更衣室で着替える。
男子生徒であることを主張して、教室で着替えてもいいが女子用水着でプールに移動する
のはみんな嫌なので今回に関しては大人しく、女子生徒らしく女子更衣室で着替える。
地味に孔明の罠が設置されているのがF組の特徴だ。いったい誰がこういうの考えたんだろう?性格悪そう。
F組になって良かった事と言えば、絶対に入れないであろう女子トイレや女子更衣室を使える事がそうだろう。
とは言え、入ってみれば憧れる要素なんてないんだけどね。小便器のないトイレとロッカーしかない更衣室じゃ。
そこそこは綺麗になっているけど、ロッカーがあるだけの何の変哲もない小部屋だ。そこにはロマンも何もない。
僕たちはみんな女子更衣室に入り、急いで着替える。
そう言えばスカートって着替える時に便利だよね。体育の着替えの時パンツ姿にならなくていいって。
これに関してはスカートで良かったと思う。プールの時はそこまでメリットがあるわけじゃないけど、
でもタオルで上を隠しつつスカートで下を隠せるから、やっぱり着替えの時は便利だと思う。
昔から体育の着替えの時に脱ぐのって嫌だっただけに、パンツ姿を回避できるスカートが履けるのもF組の利点だったね。
去年までは着替える時、他の男子生徒の裸を確認して茶々を入れられる光景があったけど今年は違う。
みんな自分の体を隠すことを優先して人の事はいいから、まず着替えよう。そんな感じだ。
「うぅーやっぱり恥ずかしいー」
僕はそうつぶやいた。そして同じようなつぶやきは他にいくつもあった。
やっぱり女子用水着の着用は恥ずかしい。
特に股間部分が男子用水着より細くとがっているせいでもっこりラインが目立ちやすいのが恥ずかしい。
股間と言えば、F組には水着着用時に股間用のパッドの使用が認められている。
どちらかと言えば推奨されている…かな?強制まではされないけど、出来ればつけるようにという扱いだ。
扱いは女の子という事で、やはり股間は膨らんでいない方が好ましいらしい。
胸パッドは、一応つけてもいいよ。という扱いだ。
禁止はされてないけど、股間用パッドのように推奨はされていない。
学校で行う注文での一括購入も、女子用水着と股間パッドは一覧にあるが胸パッドはない。そんな感じの扱いだ。
水着の形状から、下半身の膨らみが目立ちやすく恥ずかしい。
去年の時点でも水着の上から膨らみが分かるのは恥ずかしかったけれど、今年はそれ以上だ。
あと、胸の膨らみもかなり恥ずかしい。
ホルモンバランスの関係か、思春期の男の子も多少なら胸が膨らむらしい。膨らんで見えるってレベルかな?
比べた事は無いけれど女の子のそれとは膨らみのレベルが違うし。
ただ、今年は胸をちゃんと隠せる水着なので多少の膨らみなら大丈夫だ。
でも胸のラインが去年と違うような気がする。
ひょっとして、薬の影響で胸が膨らんできた!?
試しに水着をずらして自分の胸を少しだけ見てみる。
去年と比べて僕の体が成長したのかな?(震え声になりながら囁く)
女性化薬の投与ももう4回だ。もともと小柄なうえに余り男らしい体型じゃない僕には薬の効き目も早いのかも知れない。
これは次回の試験には合格しないとマズい事になるかも。
幸いなのは、胸が多少膨らんでも水着越しだからか膨らみが分かりにくい事か。
少なくとも、今より目立った起伏のない去年の方が胸を丸出しだった分、気になって恥ずかしかった。
僕の胸って男の子にしては膨らんでないか、変に見られてないかってね。
その代りじゃないけど、今年は股間の膨らみが余計に恥ずかしかったりするんだけど。
男子用水着を着ていて男子生徒していた去年ですら恥ずかしかった股間の膨らみ、今年は女子用水着
で目立つうえこっちの膨らみが目立ったらダメというのもあって去年より恥ずかしい。
…ん?去年と比べて胸が膨らんでも平気で股間が膨らむと恥ずかしい。
来ている水着の形状的に当然と言えば当然の内容だけど、どこかがおかしい。
いつの間にか僕はF組の女性化教育の影響を受けていたのだろうか?
中には股間の膨らみを堂々とアピールし、膨らみが大きい事を自慢する人もいた。
「鷹森さん、女子生徒が股間の膨らみを時間するとは何事ですか!!週末までに反省文!!」
なんてオチがついた。
ところで、今日は初日だからか準備運動が凄く長い。
今日ばっかりは早く水の中に入りたいのに…。女子用水着を意識される狙い?
水泳が終わって、お昼の時間だというのにみんなグッタリしている。
水泳のせいで体力を消耗した…というのもあるけれどそれ以上に精神的な疲れがあるからだろう。
女子用水着の着用はやっぱり堪える。
でも、全員がキツそうというわけではない。双葉(篠)さんは楽しそうにすら見える。
というか鼻歌交じりで絶対楽しそうだ。
「楽しそうだね双葉さん…」
クラスメイトが楽しそうにしていること自体は喜ばしいんだけど、今の自分の状態が状態なだけに
あまりあまり喜べない…少しムカッとするくらいだ。
そんな双葉さんに腹を立てたのは僕だけではない。というかクラスの多くが多かれ少なかれムカついている。
「何だよアイツ」とか「いい気なもんだ」とか小声で彼女を悪く言う言葉が幾らか聞こえた。
双葉さんは顔を強張らせて、抗議しようとしたように見えたが言葉を飲み込んだようだ。
僕たちF組、男子生徒の落第者たち、Failの悪名を持つクラスの者だ。
合格率こそは低いけれど、僕らは(ほぼ)皆このクラスから脱出することを目的としている。
だから、見事に合格してここを旅立った聡明くん(は少し特殊だけど)とか國崎くんの旅立ちは素直に祝福する。
自分の不合格に対して、クラスメイトが合格するという結果。
悔しがったり嫉妬心が芽生える事はあるかもしれない。でも、それでも旅立ちはちゃんと祝福する。
そういう取り決めがあったわけじゃないけれど、各自そうしようとクラス分けの時に言い合った。
仲間の門出は呪わず祝う。旅立ちをちゃんと笑って見送りあいたいから。
だから、双葉さんが孤立してるこの空気も視線も、悪口なんてもってのほかだ。
「双葉さんは女になる道を選んだ。ある意味でここのクラスをちゃんと旅立ったんだよ?」
珍しく大きな声を出す僕にクラス中の視線が集まった。
双葉さんを庇うようなことを言ったからか視線は痛くて冷たい。でも、ちゃんと言おう。
「クラスメイトとして、仲間として、ちゃんと旅立てた双葉さんを祝福してあげようよ。立派じゃない。
クラス脱出をしないのにちゃんと高得点を取って卒業できるのに敢えて残ったんだよ?男性としての
試験に堂々と合格して、その上で女としての人生を選んだんだから文句なく立派だよ!!僕は顔も体も
性格だって男らしくないけど、そんな彼女の決断を認められないような男らしくないマネはしたくないよ!!」
誰かが拍手をし、拍手の音がだんだんと大きくなった。
何人かの生徒は居心地が悪そうな顔をしていた。そして口々に謝りだした。
彼らだって本当は分かっていた。双葉さんの選択と頑張りが軽くない事を。
取り敢えず、和解は出来たかな?
この時期は保健の時間も実は水泳になる
昨日は初水泳と、その後のゴタゴタがあって凄く疲れた。
でも、水泳は今日もある。うー、憂鬱だ。
親には全部伝わってるものの、女子用水着を母さんに洗ってもらうのは抵抗があるので自分で洗った。
F組の事を知ってるとは言え女子用水着の洗濯を任すのは息子として抵抗があるからね。
どうやらクラスメイトの多くが、(日ごろは家事をしない子も含め)水着は自分で洗ったらしい。
家事スキルの高さは女子力の基本だし、女の子らしさがアップしてウレシーナー。
普段は時間数が削られる体育だけど、女子用水着着用の水泳だけは例外だ。
というか、保健の時間の1時間が水泳と同じ内容になるって言った方がいいかな?
女子更衣室で女性用下着を脱ぎ、女子用水着を身に着けて、人によっては股間の膨らみをサポーターで隠す。
割と普通に女性化授業っぽいから保健の授業の内容としても申し分ないんだろう。
あと、困った事に今回は先生も女子更衣室で着替えている。
なんでも女の子として生活できているか…下着チェック編だそうだ。
先生が生徒の下着をチェックって凄く危険な香りがする。
まぁ一応は女同士という扱いだから問題はない…かな?
でも初回から先生と同室の着替えはキツいからね。2回目からで良かったよ。
同室じゃないのならもっと良かったけど。
「というわけで、女の子なのにトランクスなんて履いてた7人は反省文ね」
バレないと思って油断してた人が案外多いようだ。
むしろ出席者28人中21人がショーツって事に驚くべき?
一般的にはやっぱり僕たち失格者
2時間目の難関を乗り越え、ようやく昼休みだ。
理科の実験の片づけをしていた僕は、帰るのが遅くなった。
双葉(篠)さんが手伝ってくれたから少しはマシかな?
昨日の一件でまた少し仲良くなったみたいでひょっとすると、今F組で一番親しいかも。
前のクラスで親しかった聡明くんは今はもういないし。
「手伝ってくれてありがとね双葉さん」
「昨日の渚くんが私にしてくれた事を考えたら片づけくらいどうってことないわよ」
元々、クラスの中でも親しい方だったし彼女の方も女性化薬の投与シーンを見せたので
僕の事を少なからず信頼してくれてるって事だろう。何かと大変なF組も仲間がいると居心地がいいよね。
教室へ向かって歩いていると、去年まで同じクラスだった男子生徒2人とすれ違った。
「おい、アイツらF組じゃねえか?渚っぽいのいたし」
「パッと見は女っぽかったけど女装か」
「女装だけじゃなくってなんか怪しい薬だかをやってるらしいぜ」
「マジかよ?まじで男として終わりじゃねーか」
「そりゃあ男失格FailのF組だからな。でも女でもないからFemaleもFailだな」
「要するにF組はダメって事だな」
僕たちがどんなに頑張っても、双葉さんなんて難しい試験を突破したというのに…。
一般的に僕らは失格者、出来損ないの扱いなんだ…。
反論の言葉が出ない自分が哀しかった。
双葉さんすらフォローできないのが哀しかった。
反論も出来ずに、足を動かして逃げる事も出来ず、僕達はその場に立ち尽くした。
そんな僕たちを知ってか知らずか、二人の心ない言葉は続いた。
「しっかし、どうしてF組なんての作ったんだろうな?」
「さぁ、でも男の出来損ないって感じだし丁度いいんじゃないか?」
「だな。月岡も篠宮も男ら良さが身についてないし」
「でも女になったところで男が相手するか?元男だろ、いや結局男のままか?」
「どうだろうね、男女半々の気持ち悪い形状とか」
「フタナリかよwww」
「男にはモテないがフタナリ厨には人気とかwww」
「フタナリ厨が脊髄反射しない理由がわからんwwwwみたいなwwww」
「そら草生えるわwwwww」
こんな事を言われれば、僕だって怒れる。
ましてや隣の友達が泣きそうになっていたら、もう黙ってなんていられない!!
僕が一歩前に出て彼らに近づき出すと、彼らの後ろから人影が近づいてきた。
「楽しそうじゃん君達さ?」
「げっ!!」
「赤川!?」
「聡明くん?」
「よっ!!渚くん、あと篠宮さん久しぶり」
「どうも聡明くん」
「で、モブズコンビ君のナントカとカントカも久しぶり」
「さっき会ったばっかだろ」
「ってか名前は何とかじゃねえって」
「モブズなのは否定しないんだ、じゃあ次回からはモブズで統一で」
「「変な略し方すんなー」」
「まぁ顔がモブっぽいし良いんじゃない?メガネ&ニキビが良かった」
「口が悪いよお前は」
「君らも似たようなもんだけどね。まぁ君達の方がましか」
「そうだよ」
「強そうな相手には口が悪くない分」
「なっ」
「そもそも、この二人がフタナリってどうして分かったんだか?スカートの中身を見たのかスケベ、
性別見境なし君はないわー」
「見てるわけないって」
「じゃあ妄想で、股間の様子を思い浮かべてフタナリとか言ってたわけ?もっとないわー」
「もういい」
「だな、お前みたいなのと付き合ってられない」
モブズの二人は聡明くんに言いくるめられたと思ったらそのまま帰っていった。
「ありがとう助けられちゃったね」
「赤川くん、やっぱり良いトコあるのね」
「まぁ別にだよ。渚くんは良いヤツだし篠宮さんもまぁまぁは良いヤツだし泣かれるのも
なんだかなー。って思っただけだ」
「やっぱ、男らしさが違うのかな?聡明くんと僕達だと」
「私の場合は余計に同性って感じはしないけど。でも本当にありがとう」
「だから気まぐれだよ。強いて言えば2人の頑張りを多少は知ってるから手を貸したってところか」
そう言ってそのまま別れる聡明くんの背中はかなり大きかった。
これで、もしも僕が女の子だったら恋の始まりになったんだろうか?
同性に見えない彼を見て、もし僕が女の子だったら『キュン』してたかな?
などと明後日の方向にぶっ飛んだ考えをしていて、自分にハッとした。
男の僕が男友達に助けられただけ。…の話だ。
それが、男友達に異性を感じ、もしも自分が女だったらなんて事を考えしかもキュンとしそうになって。
しかも、もしもの話は明後日方向のトンデモ話ではない。
仮に僕が一度首を縦に振れば、その明後日方向が今後の進む方向になる。F組とはそういうクラスだ。
彼に男を感じながら、自分の中に男がないような気がした。
そう思うと今はぶらさがっているモノが飾りのように思えた。
実際、月に一度の男性機能チェックの時以外はほぼ飾りだ。
精子を薄くしないように、無暗な射精はしないようにし、手で射精させるのは避けている。
薬の副作用か、そういう気分にならないっていうのもあるけど。
それからオシッコの時も飾りに近づいている。
学校では確実に座っていてるし、外のトイレは避けていて、座ってのオシッコに慣れたせいで
家でもついクセで立ちションをせず、座ってするようになっていた。
…思った以上に男としての僕はマズいのかも知れない。
女性化薬投与はオプションも大事なんです
洗脳ソングとか、そこまでいかなくとも特定の歌や音楽が頭から離れない事ってあるよね。
今日の、この時間はまさにソレだ。あとで他のみんなにも感想を聞きたいところだ。
流石に授業中(保健の女性化薬投与の時間)じゃ聞きにくいからね。
「ボク…男に生まれたのに全然男らしくなれない。本当は女の子に生まれたかったなぁ」
「大丈夫、そんな時はお医者か学校の先生へ相談だよ!!」
自分の性別に疑問を持ったら、先生に相談だ。
間違った体は作り替えられる、間違った性別は変えられる。
日本TS境界協会の加盟校、加盟病院にご相談ください。
女性化薬投与の時間は女性化っぽい色々な映像が流れるけど、今日のはCM風の映像だ。
このスタンダードタイプ?の他に病院の感じが強く出たもの。
加盟校一覧の出る学校中心のものなど、何種類かあるようだ。
共通するのは男らしくない男の子が女の子に変身して幸せそうにしてるアニメがある事だ。
そして、なんかこのCMは頭に残って離れないのなんの。自分も該当者だから?
女性化のCMは公的機関が作ってるような事を最後に言っていたけど。
偉い役人や優秀なクリエイターが作ったんだよね?
この国大丈夫かな?
CMは頭に残りやすいけど。
女性化効果は本人の気付かぬ場面でも現れます
先週の女性化CM(仮)はやっぱりみんなにとってもインパクト抜群のものらしい。
そして精神的には男子生徒であるみなさん(僕も当然含める)にはかなり不評だった。
双葉(篠)さんはやっぱり好評なのもやっぱり予想通りだった。
気に入りすぎて、外部に流出(ネットにUP)しない事を条件にCMのデータを貰ったくらいだって。
実は今回のCM以外にも薬投与の時に流れる映像のデータをちょこちょこ貰ってたんだって。納得…かな?
僕は、例のCMが頭から離れないで休日に何度か脳内再生されて焦った。
『顔も体も性格も、生まれた時から男らしくない僕…いいえこれからは私!!』
『スカートに脚を通した時に感じました。こっちが私の本当の姿なんだって』
『きっと僕は女の子に生まれるべきだった。だから今日、正します』
『わたしって…本当は…女?』『ええ』『ここなら本当のアナタを取り戻せるわ』
今日もプールの時間になり、スカートに手をかける。
『こっそり母のスカートを履いて脱ぐ、いっそずっとスカート姿なら…』
ショーツを脱ぐ『私の可愛いショーツとそれに似合わぬ突起物』
ダメだ。着替えるだけでCMが脳内再生される。早く水着を着ないと!!
よし!!ちゃんと胸まで隠せた!!
『男の僕が同性のこの前で海パン姿、普通の事が恥ずかしい。もし胸も隠せる水着だったら…』
このCMのモデルって実は僕っぽい?
CMの効果が残っていたのは僕だけではないようで半分以上が着替え中に悶えていた。
妙に内股になったり、ギリギリまで胸を出していた人が胸出しを恥ずかしがったり、
モジモジ・ソワソワは初日以上で、股間の膨らみを隠すサポーターを借りに行った子も何人かいた。
比喩でなく洗脳されてるんじゃないかと疑うくらい、女性化CMは効果的だったようだ。
っていうか、今更だけど1時間の間に何種類のCMが流れてたのさ!?
まぁそんなこんなで、みんなして落ち着きがない状態で着替えていたのでほぼ全員が遅刻した。
CMソングの影響を受けなさそうな双葉(篠)さんや男っぽく精神力のありそうな結城くんなどは間に合ったけど。
あと、森永双葉さんや小倉若葉さんなんかも突破した。意外と精神力あるのかな?
いつもは遅刻にうるさい(普通の先生はうるさいよね)先生も今回は解っているのか、お咎めなしだった。
反省文他、ペナルティを受けなかったのは嬉しいけどCMの影響でモジモジして着替えられない事を解ってるの?
気にはなったけれど、そのまま泳ぎ出した。
水の中でも音楽とフレーズは自然と再生された。
「こっちが私の本当の姿なんだって」
「だから今日、正します」
昼休みにこう言い合う、双葉(森)さんと若葉(小)さんを見てCM画像が浮かび上がった。
マネする2人は当然、ワンフレーズで大体わかり映像まで浮かんでくる僕も大概だ。
そして彼女達の未来も何となく分かった。
子供ってCMとかTVのマネをする事って多いけどさ。
でもこれってつまりそういう事だよね?
うん。CMのフレーズって時々マネしたく、ナルモンネー(棒)
単に影響されただけかも知れないし、言った通りに『本当の私』だったり『取り戻し』たいのかも知れない。
どっちが真実なのかを知るのは運命の女神か、性別の神か、どちらにせよ今月は2人は卒業者が出そうだ。
来週末の試験の内容でF組は大きな転機を迎える。そんな気がする。
6月の試験 学力編
前回はあと少しのところで不合格になってしまった。2点差は悔しい。
今回は前回と比べてもかなり勉強したので、自信は十分にある。
加えて昨日の体力テストも悪い結果じゃない。推定52点(前回よりも6点UP)
このペースならかなり楽勝なんじゃないかな?
女装三昧で、女性化の薬まで投与される日々には正直参ったけどその日々も今となってはいい思い出だ。
さてと、休み時間の途中だし今のうちにトイレに行こう。女子トイレに。
スカートをまくって、ショーツを下ろして座ってのトイレもあと数回で最後と思うと少し寂しい。
最初はイヤだイヤだと思って立ってした事すらあった。で、いつの間にか慣れてて座ってする方が普通になってた。
そして今は女子トイレで座ってするのが終わりそうで少し寂しくなった。
…でもF組卒業を拒否する気はないからね?
このクラスのみんなの方が前のクラスより仲がいいとか居心地がいいとは思うけど。
それでも女性化教育を受け続ける気があるわけでもない。
女性化教育を受けても私は男の子だと思う。
…日頃の教育の影響で日記まで一人称が私になっていたけれど、それでもわたs…僕は男の子だ。
最後の英語と明日の男性器機能テストを終えて、もう卒業だ。
でも…水泳時は胸も隠したいな、ここを卒業しても。微妙に膨らんだし。
…元のクラスに戻ったら戻ったで大変そうだ。男として生きていくのって。
6月の試験 男性機能チェック
「月岡さーん。月岡渚さーん」
「はい」
保健の清香先生に呼ばれて、保健室の中へ移動する。
英語の結果も思ったより良くできて、余裕合格ラインも見えてきたんじゃないかと思う。
自己採点結果だったら5科目平均で8割は取れてると思う。
必死さが違うからかF組に入ってから成績は結構上がったんだよね。特に今回は前回の悔しさもあって頑張ったし。
前の鷹森君を始め落ち込んでるように見える人は多い。
特に今回は学力テストがやや難しめだったため、コレに期待してた人も多いんだろう。
ただ、殆どの人は落ち込んでるけど落ち込み方が浅いように見える。ダメなのは分かってました…みたいな。
負けに慣れすぎると闘志や気力のようなものも削がれて、負けても当然ってなるのかも知れない。
その気力のなさは、まるで去勢されたように…って感じだ。
うっ!!生々しい光景考えちゃった。
しかもこのクラスの意図や内容がアレなだけにまるで○●されたようには正直シャレにならない。
変な事を考えてしまってちょっぴり後悔した。SAN値が少し下がって勃起しにくくなった気がする。
でも、きっとこれで最後になると思うから気合い入れて頑張ろう!!
スカートも、ショーツも、自分のスカートをまくるのも、あと射精も…。
って射精が最後はダメだって。最後なのは射精テストだよ!!
スカートをまくり、ショーツをずらす。
最初はスカートを脱がないとうまくできなかったけど、この3か月でスカートの扱いにも慣れ脱がずに出来るようになった。
それから、体型にも変化が出ていて胸が今までと比べても微妙に膨らんだし
お尻の部分がゆるゆるだったショーツも割とぴったりになった。
前が微妙に邪魔くさいのを除けばほぼジャストフィットだ。
うーん。女性化薬の効果って結構出てるのかな?余裕でいたら少しマズい…のかな?
ぴょっこりと出てきた小さめのソレは、ちゃんと目にするのが少し懐かしい。
画像はイメージであって一部加工されている可能性があります。
F組では女の自分を想像させるために、たくし上げ画像を修正して胸を大きくしたり
下半身の膨らみを失くした画像に修正するのです。
今回の試験は、女性化薬の効果が出ている事を考慮して少しハードルが下がっているんだとか。
具体的には、エッチ系の画像や動画を自分で選んだり操作出来るようになる。
女性の裸に反応する方が男としての役割を果たせるそうだ。
エッチ系の素材には賛否があるけど、あえて使用しているところに攻めの姿勢を感じる。
そういう意味では性教育に力が入っているよねここって。
ある意味で存在そのものが最高位の性教育と言えなくもないんだけどね。
僕自身、そういうの、女の人の体に興味が無いってわけじゃない。一応は年頃の男子だし憧れるのはあるよ。
男っぽい事なんてここしばらくずっとできてないけど、F組に入る前から割と男らしくないし。
だから女性の裸を見てちょっぴりドキドキする。
彼女たちの綺麗な肌や膨らんだ胸には憧れる。
絡み合う男女の映像を見てふと思った。
女性の体は男性を魅了するために発育し、男性の体は女性を守るために発達する。
画面上の男性の立派な体に対して、僕の体の貧弱な事よ。
腕も方も背中も、こんな割れた腹筋とかとても同じ性別とは思えない。
まだ女性の体の方が近いくらい。まだ若いからか肌質、彼女よりいいくらいだし。
うっ…どうして女性の方に自分を重ねちゃうのさ!!
気を取り直して、意識を自分の下半身に集中させる。
10分以内になるべく多くの、そしてなるべく濃い精液を出さないといけない。
射精出来ないなんてもってのほかだ。
エッチシーンに自分を重ねて、ちゃんと射精!!
気持ちよさそうな男女の映像を凝視してこすらないと!!
エッチな映像を反応せず、手で扱いても反応はイマイチ。
そんなこんなで成果が出ないまま5分が経過した。この調子じゃ早さは低得点になってしまう。
画面の前の女体を見て、ドキドキはするものの反応としては現れない。
4月の時は不慣れで緊張していたからうまく動かなかったというのもあった。
それが5月になって多少は慣れて少しは安定して出来るようになった。
もう少し慣れている筈の今月がなぜ出来ない!?
画面の前の男の人はもうすぐ射精を迎えそうだ。
どうにか頑張って彼を自分と重ね合わせ出してみよう。
僕は男として女の人とシて、ちゃんと射精をするんだ。
頑張ってその気になれば女性化薬で多少は影響が出ていてもちゃんと反応する!!
『女性として生きるのなら下半身を大きくしてはいけません。大きくして良いのはあくまで男性、相手の方です』
女性化薬投与の時に見たCM映像が頭の中に流れた。反応していたソレの反応は小さくなり、そして止まった。
いや、気が進まなくても手で刺激を与えればちゃんと反応するよ!!
『女の子なら抱いて貰う、愛して貰うものよ♥』
またこのテのが流れてきちゃったよ?…ってどうやって手を動かしたらいいんだっけ?
まずは、アソコをちゃんと大きくするところから!!
膨張がちゃんとできればそれだけで部分点が入るんだ!!
『このお薬は強力です!!女の子には似つかわしくない膨らみもこの通り』
うぅ。またCM画像が頭の中に浮かんできたよ。
それで、脳内映像と同じように膨らんでたそれが縮んできちゃった。
『ホラホラ、アナタは女の子なんだからそんなのしちゃダメよ?』
ごめんなさい、つい…。ボ、私女の子なんだから射精なんてしません。
『ええ、女の子だもん。出していいのはそんなのじゃないわ?』
ええ、それを出すのは愛しの彼の方♪
…ってとうとう自分がCMの登場人物になりきちゃうし。
このなりきりじゃ、ボ私女の子なんだから射精なんて出来ません。
時間ももう少し。
男の人でも女の人でもいいから、とにかく集中して見る。
エッチな画像を見続けてれば、そのうち射精もする。
『あんっ♥あぁんっ♥ぁあぁぁんっ♥』
『ええ、こんなに気持ちがいいなんて女になれて幸せ♥』
コレってこんな内容だったっけ?でもとにかく集中!!
食い入るように画面を凝視し、一心不乱に手を動かす。
下がどうなっているかは最後まで見ないけれど、手ごたえ自体はある。
『ずっと好きだった人とあん♥こんな事が出来るなんてんん♥女になれて幸せ』
このタイミングでビフォーアフターのイメージ映像とかでなくていいから。
♂タイプのイメージ画像が♀タイプのイメージ画像に変化するアニメとかいらないから!!
流す映像を間違って操作したみたいだけど、幸いにも反応は悪くない。
目は画面に集中!!手は股間に集中!!でどうにか乗り切ろう。
指でピストンを再現し、気持ちよさそうな登場人物になりきる。
ん♥時間は残ってないけど、もうすぐイきそう。もうあと少しを頑張る。
『「あっ、あぁっん♥いっちゃうわ♥」』
全身の力が抜け、絶頂を感じた。
丁度画面の前でも同じような状態になっていた。
僕は女優の人とほぼ同時に同じような声を出しながら絶頂を…って違う!!
でも、イけたんならこの際文句はないか?射精さえできれば合格点が取れるくらい稼いでたんだし。
「残念だけど、絶頂は迎えられても射精は出来なかったみたい。強いて言えば透明な雫ちゃんがちょっとだけ」
清香先生にそう告げられ、僕の赤点が確定した。
6月の結果発表
6月はなんと7人もの合格者が現れた。
お尻に火が付くという事だろうか?
女子用水着の水泳に焦って、勉強を頑張りつつ効果的に射精できる方法を友達と開拓したらしい。
因みに合格者は、綾崎くん・鏑木くん・佐々木くん・高木くん・春名くん・南野くん・小倉さんの7人
ほぼ全員が男性機能で稼げたのが勝因らしい。春名くんと若葉さんはそうでもないみたいだけど。
最初の頃、男性機能テストでうまいこと動けずに終わったのが慣れて点数稼げるようになったとか。
エッチな映像の使い方が上手くて、部分点や追加点を稼いだのが上手くいったそうだ。
そして若葉(小倉)さんは合格を拒否し女の子として生きる事を宣言した。
前に双葉さんの事もあった為、顰蹙もあまり買わず(全くないとまではいかなかった)祝福されここに残った。
因みに双葉さんは学力と体力のテストは受けたが男性機能テストは受けなかった。
まぁ体の変化はまだだけど、彼女は女の子だから射精はしないよね?
一方、僕は合計225点で合格点には遠く及ばなかった。
言うまでもなく、男性機能の点数が致命的に低くてダメだった。
それなりに部分点があったはずだけど、女性と同じような声を出して絶頂を迎える。
といった行為が減点対象となり5/200点だ。不合格はもちろん、男性機能のボーダーを下回ったので赤点扱いだ。
赤点は僕を含めて8人とこちらもまた人数が多い。
そして、前回も赤点だった森永双葉さんと千歳清菜さんのFが確定した。
何処か上機嫌な双葉さんに対して、声を押し殺しながらも泣いている清菜さんが印象的だった。
いや、清菜さんじゃなくって清彦くんだったね。…でももう戻れないから清菜さんと呼ぶしかないか。
彼女と彼(?)にはいつの日か素敵な女性として幸せになって欲しい。特に清菜さんに。
ここ最近、小倉さんと森永さんはCMのマネしてたけどまさか本当にその通りになるなんて…。
いや、あの様子だと遠くないうちに、『正します』や『羽化しよー』に『生まれ変わり』を体験するのは当然か。
自分の事も、男になる人の事も、女になる人の事も、いろいろな事が頭の中を巡っていく。
何故は良く分からないけれど、不思議と涙がうっすらとだが出てきた。
お別れ会~6月編
今月も無事(?)にお別れ会を迎える事が出来た。
毎月の定番行事と化しているけれど、合格者が出なければお別れ会も開かれない。これって結構すごい事みたい。
だから合格者0の年は、一度もお別れ会を開くことなく卒業を迎える事となる。
前にも書いた気がするけど、今回の合格者は7人とかなり多い。
小倉さんが合格を辞退したから実質6人だけど、それでも凄い人数だ。
で、連続赤点の森永さんと千歳さんもある意味お別れと言えない事もない。
男性としての卒業する6人と女性として卒業する3人と、計9人が旅立ち、27人が18人になった。
ただし女子生徒となった合計4人(双葉篠さん含む)は女子生徒としてF組には残るんだけど。
普段は女子生徒らしい振る舞いを強要されているF組だけど、お別れ会の時は無礼講らしい。
男子生徒として旅立つ人達を送る時だけは、同性として送り出してもいい…という事だとか。
女性化を強要されてはいるけれど、寛大なところがあるから意外とF組って居心地が良いのかも知れない。
清彦君たち旅立つ男子生徒をF組に残る面々が祝福しつつ見送る。そのやり取りは男同士の友情に見えた。
旅立つものも送るものもみんなスカート姿で女っぽい外見をしている。それでもみんな男子に見えた。
双葉さん(篠宮さんも森永さんも)とか例外もいるけど。
「お前らホントによく頑張ったよ、グータッチ!!」
「清彦6兄弟だか6姉妹が3人も旅立つとは少し寂しいよな」
「これで3兄弟3姉妹ってところだな」
「アハハ、清彦って呼ばれるの懐かしいな。なぁ清彦Cさん」
「俺達頑張ったもんなAさん」
「今日で最後かもしれないからスカートめくり、えいっ」
「男のパンツなんて見て面白いかっての」
「駿君ってばトランクスだなんてはしたないわ~」
「捲るお前がはしたない、ってか俺はもう男だから問題ないだろ」
「ええ、駿君はお咎めなし。女の子のスカートを捲る破廉恥女子は女の子らしさを磨くため
放課後にビデオ鑑賞からの感想文提出です!!」
「ええ~、そりゃないよ~」
制服はともかく、やっぱり男同士のやり取り男同士のノリって感じだ。男同士でスカート捲りはやらないけど。
こんな感じで同性同士でつるむ男同士のやり取り。元々こういうノリは得意というわけじゃない。
ただ、F組になってからこんな振る舞いをしたいと思った事はあるし、数回だがした事がある。
男っぽいものに憧れて、一緒になって騒いだりとか。
でも今はこの男同士のノリがとても遠いところにあるような気がする。
少なくとも彼らより双葉さんの方がまだ自分に近く感じる。
男でも女でもないF組の仲間に男を感じただ、自分自身はどうなってるんだろう?どう見えるんだろう?
プールの時間と性別に関する認識
双葉さんのように女性化を受け入れ、むしろ喜んで着る生徒はともかく
女性用水着を喜んで着ている子は殆どいない。 僕ですら例外ではないくらい。
自分で僕ですらっていうのもアレだけど、でも僕ですら…だ。
ただ、それでも慣れというものは恐ろしい。自分が着る方の水着は女子用、その決まりには慣れてきた。
例えば、……僕なんかはこの前購買に行ったときについでに予備の水着を見てみたんだけど
女子用の方は見てみたのに、男子用の方は存在喰ら忘れててチラリとも見てないくらい。
そこまで極端な子は珍しいかも知れないが、女子用水着の着用に抵抗を覚えたり恥ずかしがったり、
着なれないで苦戦したり。なんてことはなく抵抗なくごく普通に着られるのが殆どになっていた。
しかもいつの間にか膨らみを隠すサポーターも普及してるからビックリ、私も前につい買っちゃったし。
「ごめんね、少し入るわよ~」
突然、清乃先生が更衣室へ入っていった。先生は立て看板らしきものを持っていた。
「どうしたんですか先生?」
「体育前に少しやりたい事があってね。それでちょっとした道具も持ってきたの」
清乃先生の持っていたのは水着の女性の立て看板っていうのかな?
多分等身大の大きさだと思う。水着女性のプレートだ。こんなものを何に使う気なんだろう?
「コレ、何に使うか分かる人挙手」
「はいっ×5」
「じゃあ双葉さん、たまには森永さんの方に答えて貰いましょう」
「それはもうアレしかないですよ。彼女のプロポーションを目標にする為に目のつく場所に
こんな写真をおいておいていつかこんな美女になるぞって誓う例のアレですよね」
「そうね、やっぱりアレって思うわよね?あれだと思う人挙手!!」
手を挙げた人は半分程度しかいなかった。残りは分からないのか、こういう時上げない人なのか?
水着女性のプレートなんて、女性的なプロポーションの参考にする以外に使い道なんてないのに。
「それじゃあ手を挙げなかった、堺さんに答えて貰いましょう」
「うーん。今の自分の性別を知る指標的な?」
あれっ?それって結局同じ意味じゃないの?と疑問に思っていたらこう続いた。
「自分に男の心が残っているかどうかを知るための指標としてセクシー女の姿を見る。もし彼女の
ナイスなボデイを見てこんな美女が彼女ならいいのにな~って思ったら中身が男で、こんな美女に
なりたいなって思っていたら中身も女になっている。それを自己診断するために使う!!」
「ところで君はどっちの感想を持ったのかな?」
「それは黙秘で、反省文とか嫌なんで」
「罰則を避けつつ意思表示できるってなかなかやるじゃない?堺君には次回の試験で頑張って
男になって欲しいって思ったわ」
水着女性のプレートを見て、女らしさを磨くアイテム以外の使い方が思いつかなかった。
このF組が女性化教育をするクラスだから先入観でそう思った…と弁解は出来る。
でも、男の心がどれだけ残っているのか調べる。或いは男の心を保つために使うなんて
考えは頭の片隅にも現れなかった。自分の女性化の進行具合はかなりのものらしい。
しかも、きわどい水着女性等身大プレートとか男の子の心があれば自然にエッチな目で見れるはず
のものなのにとてもじゃないけど、そんな目では見れなかった。ただ自分のはるか向こうの目標としか。
私…僕、もう訂正するのも面倒かも。セクシー女性の姿を見ても目標やライバル以外の目で見る。
そんな事はもう私にはできない事になっていた。
っていうか日記の中だけ僕と訂正するのももう疲れた。
先生の前の一人称でも、ノートや課題の中身も、一人称は私とかでなければいけない。
この短い日記で3回僕と書くのに何回書き直したんだろう?合計4回だっけ?
2回目なんて、私→僕に直したが違和感を感じ私に戻す。ようやく僕に戻す。
と2回私から僕に書き直すなんてミラクルやらかすし。
書くのが楽だし、書き慣れてるし、これからは日記の中でも一人称は私にしようかな?
性別に関する認識の続き
私、私、そう…私だ。
この3か月で書き慣れたせいで、一人称を私と書く方が安定して、落ち着いて書けるね。
口調でも文章でも一人称の私がほぼ義務付けられ、いつしか私と使わないと落ち着かなくなる。
こういう身近なところも女性化教育の一環であり、そしてこの基本が大切なんだろうね。
基本と言えば、F組に入ると女性名が与えられるのは基本だけどその女性名も考えてみれば
案外いろいろなパターンがあるとこに気がついた。なので日記のネタにしてみた。
そもそも私自身、男性名と女性名が同じというレアタイプだ。
元々が月岡渚で、女性名も同じく渚だもん。男女どちらでも通用する名前は便利なのかな?
この名前のせいで女扱いされることが多かったけど。
他にもカオルとかシノブなんて名前だとそのままの名前でいけるみたい。
薫くんはともかく、香くんは変形してカオリさんに改名されたけど。とにかく自分の名前そのままは楽だよ。
一番多いのは自分の男性名の一部を使て、女性名に作り替えるというもの。
清彦くんが清果・清音・清美・清菜なんて名前に変えるようなものだ。…最後以外全員元の名前に戻ったけど。
今更ながら清彦率が高いのは、もういっそ伝統芸能だね。毎年そうらしいし。
あとは恵一くんとか恵○くん改め恵さんとかも毎年あるらしい。
恵仁くんはどういうわけか恵の文字を使いつつ、恵美子なんて女らしい名前になっちゃったけどね。
女っぽい感じが3つでも女らしさは3倍にはならない(至言)多分平均よりかは男っぽいくらい。
このクラスでも人気の高い名前の双葉さんは、名前に双か葉があればかなりの確率で希望され
そうでない人にも好まれる名前らしい。健一郎が双葉とか。
クラスの皆は(私もだけど)日頃、男性名と女性名をさほど意識せず使っている。
通常は男性名で呼び、先生の前などでは女性名に言い換える。…みたいな。
ただその流れも最近になって変わってきた気がする。
お互いに(特に呼ばれる側かな?)女性名の方に慣れてしまい女らしい名前で呼び合う光景が最近増えてきた。
双葉(篠)さんみたく隙あらば、ちょくちょく女性名を挟んでくるケースもあれば、男性名と使い分けるの
に疲れてきてとか、女性名の方が違和感なく呼び合えるようになったというケースもある。
幸いにも、かな?私は女性名も男性名と同じタイプ。
渚と呼ばれて違和感を感じる事も、二つの名前で混乱する事もない。
女っぽい名前で嫌と思った事はあるけど、今回はこの名前で良かったと思う。
これから先も私はずっと渚のままだ。良かった♪
…なんか赤点の後遺症か男の娘、もとい男の子に戻れる事忘れてる気がする。
次回合格する自信もあんまりないし。
7月は女性化薬投与が1回だけです
「ほぉら♥たわわに実った胸を触ってみなさいな、たわわと呼べるのはもう少し先かしら?」
「でも大丈夫よ?この段階でこれだけ発育していればもう少しで素敵な女性の胸が手に入るわ」
「男性だった頃は縁がなかったであろうオッパイ、女になれば素敵なの手に入りそうね♪」
「頑張って素敵な胸手に入れましょうね。モチロン愛しい彼の為にね♥」
今日は7月の女性化薬投与を行う日だ。
そして私達は自習しつつ、順番待ちがてら女性化ビデオ(って呼ぼうかな?)を鑑賞している。
今回は少し眠たくなる物静かなBGMが流れ二人の女性(顔は普通だけどプロポーション抜群)が
静かに語りかけてくる風の動画だ。こういうのって、催眠ボイスっていうのかな?
前に聡明くんが言ってたような気がする。催眠ボイスなんて単語はどうやって仕入れるかは知らないけど。
催眠ボイスって本当に催眠効果があるのかな?
少なくとも私は彼女たちが囁く光景が浮かんでくる。
女性化薬の効果が十分に効いてきて、胸が大きく女性的な体型になった私の姿が。
男の時は逞しさも体力もなく、背も低い私だけど女性としてなら普通か少し高いくらいの身長だ。
腕力がなく華奢な手足も女の子なら欠点にはなりにくい。胸さえあれば私もいいセンいけると思うんだけどなぁ。
って、これじゃあ女の子になりたいみたいじゃない!!
私、じゃなくっ僕は飽くまで男の子!!
たまに女の子に憧れる事があるだけで、女の子になりたいわけじゃない。
「あらあら、口ではそんな事言っちゃってアナタの本心は解ってるのよ?」
「ええ、そうですよ。女の子になるのは決して恥ずかしい事じゃないの」
「世の中には男として生きるべき男の子と女になるべき男の子がいるの」
「さて、アナタはどっちかしら?」
「私たちと同じかもしれないわ♥」
でも、こう囁かれると自分の本当の性別ってどっちだっけ?なんて思ってしまう。
そりゃあ、僕だって男らしい方じゃないとは言え15年近く男として生きてきた少年だ…だった?
とにかく、いわゆる性自認に関しては間違いなく男だった。
それが、女の子として扱われ、女らしくなる教育を受け、男性として生きる資格を問う試験には不合格で、
制服どころか水着まで女子用で、この1か月半は家のトイレ以外全部女子トイレしか使ってない。
そして、とどめの女性化薬の注射だ。
学校内では何から何まで女扱いされると、自分は本来女なんじゃないかと思ってしまう。
人は女に生まれるのではない、女になるのだ。なんだろうか?
…生物学的に、人間の場合逆で男になるんだけど。
男になりきれなかった男の子が私って事かなあ?
「月岡さーん。月岡渚さーん」
私の番となり、前に出て仕切りの奥に移動する。
今回の注射はお尻の筋肉にするらしく、清香先生にお尻を突き出すポーズをする。
これがかなり恥ずかしいんだよねえ。
幸いにも女医(医師免許があるらしい、あと元男性の可能性もある)さんだからスカートを
捲ってもまだマシなんだけど、それでも十分恥ずかしい。
何かもう、女性を異性として認識する事が出来ないかも知れない。
「痛ッ!!」
注射はやっぱり痛い。特に効き目が強力と言われる薬は注入される時にいつもより痛い気がする。
「凄く痛いっ!!でもこれで女の子に近づけるのなら私どんな痛みも頑張って耐える!!」
なんだか、妙にタイミングのいい編集だね。この動画って。
こうやって知らず知らずのうちにその気にさせられちゃうのが怖いところだよね。
動画内で女になれて幸せって毎回言われると、女になった方が幸せなんじゃって誤解しそう。
…実際にその通りかもしれないけど。
「今日は、ちょっと…気持ち悪い」
注射は痛いけれど、体の構造に変化を与えるほど強力な薬を受けたんだ。副作用だってバカにならない。
たまにだけど、注射をされた後にめまいや吐き気に襲われることもある。
一般的な女性ホルモンですら気持ち悪さを感じる場合があるらしいことを考えれば女性化薬を投与
されて副作用に悩んでも不思議じゃないか。副作用を感じない今までがラッキーだったってところかな。
周囲を見回してみるとグッタリしている人が結構多い。
私と同じように頭がボーっとしているのかな?
いつもと比べて自習している人が少ないように見えるし。
私も居眠りしようかななんて思う。ビデオ鑑賞でもいいかも知れないけど。
でも女性化薬投与直後に今日のを見ちゃうとなー。
「うふふ。これでまた一歩女の道を踏み出したわね」
「前にあるオタマジャクシの尻尾、アナタには必要のないものよね?」
薬が余計に効いて、使い道のない尻尾が消滅しそうになる。
体の痛みが下半身まで到達してきそう。
女の性に馴染んでいたとはいえ、やっぱり自分の性自認は男だと思う。少なくとも今は。
それに、今の私に旅立つ準備と覚悟は無い。少なくとも今は。
まだ男に戻る道はあるし、体つきはまだ男の子寄りだ。少なくとも今は。
夏休みで女性化薬の効果が弱まれば、まだ男に戻る道はある。…よね?
7月の女性化薬投与 の放課後
「ねぇやっぱり双葉さんって女性化薬の投与は嬉しい?」
「そりゃあ嬉しいに決まってるじゃない」
「まぁ双葉さんはそう言うよね」
「でもお薬の副作用か、少し頭が痛いのは残念ね」
「へー。双葉さんは女性化薬の副作用がなさそうだったけどそうでもないんだ」
「どういうイメージなの?」
「女性化の薬と相性が良すぎて特に問題なさそうなイメージ…かな?」
「酷いなー渚ちゃん。これでも私って副作用が結構きつくて後半は動画見るしかできなかったのよ?」
「動画か…双葉さんならさっきの動画楽しめたりするのかな?」
「そうねー。楽しいって言えば楽しいかな?女になれた自分を想像するのにいいスパイスになってくれて
楽しいってところかしら?その気になると女性化薬の効果が余計に効果ありそうで」
女の子になりたい双葉さんみたいなタイプは案の定、あれも結構好きらしい
「ところで恵…恵一君って今日の動画どうだった?」
「えっ?まぁ極力気にしないようにしてるよ、女性化教育の一環っぽい気がして
視界の中に入っても受け流すが基本にしてるよ」
割と男っぽい恵一君はあの動画を気にしないのか、悪影響を受けないように気を付けているのか。
言う事も聞く事もないみたい。
それに対して私はどうなんだろう?
明らかに女の子になりたがってる双葉さんは当然の如く、女性化動画を歓迎する。
恵一くんのように早く男に戻りたい人は動画の影響を受けないように気を付ける。
私は、嫌がりながらも自分から女性化動画を見ているような気がする。
嫌がりながらも見るってどういう事なんだろう?
毎回のようにこのテの映像が流れているせいで、女性化っぽい動画を見ないと落ち着かなくなったとか?
そもそも、恵一くんに言われて気がついたけど女性化動画を見る必要ってないんだよね…。
自分の女性化を意識する場面は、罰則を食らわない程度にうまく避ける。
それが男のままこのクラスを旅立つための第一歩って言われている。
特に意識しないで普通に女性化動画を見て、ごく普通に動画の影響を受けて
自然な感じで女の子になった自分を想像して、女性化薬の影響をモロに受ける。
あと一歩でF組卒業だと思った先月と今月、しかしいつの間にやら女性化ロードを進んでいた。
7月の試験さえ乗り切れれば女性化薬の効果も切れ、合格のチャンスがある。
私は無事に連続赤点を取らずに男のまま乗り切れるんだろうか?
いきなり野次のコメントを本編にぶっこんできたのは驚きましたねぇ……完結おめでとうございます