「『こうして、わるいまものはたおされ、せかいにへいわがおとずれました。めでたしめでたし』……っと。あらまぁ、完全に寝入ってしまったみたいね」
絵本を読み聞かせていた女性は、子供たちが寝てしまったことに気付くと、彼らのターコイズブルーの髪をそっと撫でた。
わんぱくな男の子と、大人しい女の子の双子。
全く、誰に似たのやら、と愛おしそうに見つめていると、女の子に声を掛けられる。
「ねぇママ」
「ごめん、起こしちゃったね。どうしたの?」
「まものをたおして、おんなのこはどうなったの?」
悪い魔物を倒した真っ赤な髪の女の子に触れることなく、絵本は終わってしまう。
そのことを気にしてか、不安げな表情を浮かべる女の子に、女性はそっと微笑みかける。
「女の子の行き先は誰も知らないの。でもね、誰が何と言おうと、1つだけ、間違いないことがあるの」
「なぁに?」
「女の子は、ちゃんと幸せになった、ってことよ。辛いことも悲しいこともあったけど、それでも、ちゃんと、ね」
「んー、よくわかんない」
「ふふ、ちょっと早かったかな。それじゃあ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
男の子を起こさないようそっと子供部屋を出た女性は、鍵の開く音を聞きつけて玄関に向かう。
そして、家族を起こさないよう、静かにドアを開けながら入って来る緑髪の男性を迎え入れ、軽い口づけを交わす。
「ただいま、キヨハ」
「おかえり、トッシュ」
「何かいいことでもあった?」
「うん、とっても」
青い髪をかき上げながら、女性は満面の笑みを浮かべた。
〈めでたしめでたし〉
時間が出来次第、ダークと言われた処女作をよりダークに書き直してふたばに上げようと思っているので、楽しみにしていてください(皮モノじゃないですけど)。
ダークな皮モノもそのうち……。
次回作にも期待しています。
タイトルは自分なら「英雄」とか「遺品」的なニュアンスの単語入れますね。
タイトルは自分なら「英雄」とか「遺品」的なニュアンスの単語入れますかね。
8(9)のコメントを参考にタイトルを変えてみました。
申し訳ありませんが、遺品のニュアンスは含められませんでした。
ちなみに、皮と化した英雄の死体を発見する話ってのと、フタバを英雄としてでなく普通の女の子として受け継いで幸せを掴む話ってのを掛けてます。