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きっかけは些細なことから

2020/03/28 07:08:20
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その日、クラス中の男子は教壇にくぎ付けになった。
男子校、男しかいないこのむさくるしい学校。
そのはずなのに、そこに女子が立っていたからだ。
その理由を、教師はこう説明した。

「あー、どういうわけかキヨヒコは女になってしまったそうだ」

マジかよ。




「本当にキヨヒコなのかよ」
「そうだぜ、なんならお前のスマホに保存してるヤベー画像の内容いってみようか?」
信じられないが、間違いなくキヨヒコだった。
男だったキヨヒコ。それが今ではどう見ても、女、ギャルだ。
顔は何となくキヨヒコの面影はある。
が、胸もでかい、ケツもでかい、見た目は間違いなく女。男子の欲望がそこにあった。

「その、女装じゃねーんだよな?」
「そうだぜ、ほらぁ」

何のためらいもなくスカートめくりあげた。その中はかなりきわどいパンツ。
面積が少ない、紐パンってやつ。だがそのせいでよくわかった。確かに、ない。
あそこも真っ平。男の象徴がそこにはない。確かに女になっている。

「マジかよ、マジで女?」
「へへ、でかいパイオツだろ? さわってみっか?」
「マジいいのか?」
「金出せよ。おさわり3千円な」

こんなしょうもないやり取りは確かに男子高生らしいといえばらしい。
だが、今になって思えばこれは始まりに過ぎない出来事だったのだ。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



男の群れの中に女一人。獣の中に放り込まれた羊のようだ。
そんな状況、羊は極めて危険で必死に逃げ惑う、はず。
ところがその羊は何の恐れも抱かず、むしろ獣を誘っているかのよう。

「こ、こらキヨヒコっ! なんだその恰好は!!」
「しょーがねーじゃないっすか。女子用の水着無いんだから」

水泳の授業、女になったキヨヒコは見学することなくちゃんと参加していた。
海パン姿で。

「だ、だったらせめて胸を隠せっ!」
「あー、俺別に気にしてないっすよー見られても」
激怒する教師をよそにトップレスのキヨヒコは挑発的に胸を持ち上げてみせた。
ぽよんぽよんと揺れる乳に男子一同、下半身にテントを張ってしまう。
結局教師が根負けしてしまった。キヨヒコは海パン一丁トップレス姿で参加だ。

「眼福ってやつだな」
「サイコーだなおい」
クラスメイトは大盛り上がり大喜び。
俺もついつい見てしまう。あの揺れる見事なまでの巨乳に。

「けどお触り禁止だぞ。触るのは1回3千円な」
ちゃっかりしてやがる。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



放課後、とある教室

普段ほとんど使われることのない、ほぼ倉庫と化した教室に男女がいた。
男子校にまぎれた女子、のような元男子。キヨヒコと、同じクラスの3人の男子。

「おいおい、マジ美味そうに舐めてんな」
「だってぇ、本当にうまいんだもん」

女子であり、元男子、中身男子でありながらキヨヒコは、そのうち2人のチンポを口にしていた。
3人の男子はクラスの中でもヤンキーと呼ばれるに属する種類の生徒。
となればこうなるのはある程度目に見えた結果ともいえる。
ヤンキーが一人の女子を嬲り、犯す。
だが女子であるキヨヒコはそれを拒否することなく、むしろ待っていたようにも、喜んでやっているようにも見える。

「はっ、キヨヒコてめー淫乱じゃねえかおい」
「あんっ、もうちょっとやさしくぅ」

3人のうち残る一人はキヨヒコの下にいた。
下に仰向けになって、その上にキヨヒコが座る。正確には、挿入されている。
いわゆる騎乗位。

「いいケツしてんなぁおい」
「おいタカフミ、お前だけしてんじゃねえぞ」
「俺らにもちゃんと代われよ」
「わーってるよマサヒロ」

キヨヒコは「あふっ」と声を漏らしながらその体を揺らす。
突き上げるチンポを体内で感じ、恍惚とした表情でいる。

「おらよっ!」
「あふっ、いっぱぁいっ♪」

接合部がびくびくと揺れる。下にいたタカフミがその中に注ぎ出していることが察せられる。
しばしの後、そこが引き抜かれると、どろぉ、と白い液体が漏れだす。

「マジすげぇ。チンポがすげぇビリビリして」
「へへ、そりゃあいいな。次俺な……って、せめて中出ししたモン綺麗にしてくれよ」
「けっ、俺が最後かよ。さっさと変わってくれよヒロユキ」

キヨヒコの意志と関係なく3人でマワすことが決まってしまっている状況。
だがそれを抵抗する様子はない。むしろ楽しんでいるキヨヒコ。

「なあ、女ってそんなにいいのか?」
「ふふっ、お前らもすぐにわかるよ」

その言葉の意味を3人は割とすぐ理解するのだった。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「あー……こいつらも女になってしまったらしい」
キヨヒコが女になって2日後の事だった。頭を抱えて担任が教壇に立つ3人の女子を紹介していた。
3人ともスタイルがよく、異性としての魅力が強く、この教室の男子の注目の的となる。
だがそれは3人が魅力的だから、というだけの理由ではなかった。
この3人はクラスでも有名なヤンキー達、タカフミ、マサヒロ、ヒロユキだという。
キヨヒコ以外にも、3人の男子が女子になってしまった。その事実に驚愕する。

「マジでお前らも女になったのかよ」
「マジだぜ、ほらぁ」
「うおっ! 本当だ、真ったいら!」

突然の女子にまたしてもクラスは注目した。
その女子は、遠慮なく極端に短いスカートたくし上げて中身をアピールしている。
きわどい女物のパンツ。そこに男特有の存在感はなかった。
3人とも、確かに女になっていたようだ。

「どんな感じだよ女になったのって!」
「いやー、ちょっとあそこが切ないかなぁ。ムスコがいなくなっちまってさぁ」
「その変わりこっちはたわわだぜ、たわわぁ」

下だけでなく胸の存在もアピールする。
ぽよんぽよんと上下に気持ちよく揺れる。キヨヒコ同様に迫力の巨乳だ。

「けどやっぱ重いな。肩こるの納得」
「ほー、どれどれ」
「おっと、お触り禁止だぞ」
「1回3千円な」
誘っているが、しっかり要求することはキヨヒコと変わりないようだ。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「……一言だけ言っておく、過度に接触しすぎるなよ」

何故体育教師が諦めたようにそんなことを言ったのか。
理由は簡単。トップレス海パン女子が増えてしまったから。

「大丈夫です。おさわり1回3千円ですから」
ちっとも大丈夫じゃない。
なにせおっぱいが8個に増えてしまったのだ。男子たちの目のやり場に困る。
と思っているのは俺だけだろうか。
観察するとガン見している奴らは多いようだ。そりゃ本人たちが隠す気ゼロだからな。
支えもなく解放されてプルンプルン揺れるおっぱい。
それも本人たちがわざと揺らす。これ見よがしにプルンプルン揺らしてアピールしまくっている。
こんなものがあっては男子たちはテント張り放題だ。

「マサヒロお前俺よりでけーな」
「あんっ、チカーンっ」
俺達の目の前で乳揉み合う女子一同。どうやら女同士だったら費用は発生しないらしい。

「じゃあ、俺も女になれば……」
「そうすれば、触り放題……」
奇妙なことを考え始めた野郎がいるぞ。こいつら殴れば治るかな?

ところでこの火付け役であるキヨヒコはというと……トップレスじゃなかった。
かろうじて大事なところが隠れている、紐同然にも思えるマイクロビキニを装備。

「毎回同じじゃ芸がないだろが」
そういうものなのだろうか?



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



タカフミとマサヒロのやつはさっそく遊ぶつもりらしい。
他のクラスのやつ含めて5,6人ひっかけて乱交するって、大したもんだよ。
けどそういう意味では俺、ヒロユキもあんまり変わってないかもな。

「ほらぁ、ここに来いよ」
トイレの個室で壁に寄りかかる俺。
ショーツは脱ぎ捨ててスカートたくし上げて、下半身は露出。そして一緒に個室に入っているミツヨシにむけてやる。
ミツヨシは俺のナイスなお尻を見て興奮してるかな? それよりも、指でくぱぁ、と広げた入口に注目してるかな?

ミツヨシは家も近くて、ちょくちょく一緒にいる事が多かった。
一緒に遊んだ? ああ、そうかもしれない。けど、どっちかというと俺がちょっかい出していた相手。
それがいつの間にか、俺とつるんでるやつも一緒になってやってたな。

はたから見れば、いじめだな。

自覚はしていた。「あれ、これって……」と思っていたけど、なんだかんだでそのままにしていた。
だってよ、気になるんだよミツヨシの事は。いや、気になるってのが、ちょっと次元超えちゃってるんだよな。
最初は気のせいとか思ったんだけど、ひょっとして違うんじゃねーかって思うようになって。
いやまさか男同士でんなわけねーだろって、だからそのままにしていたけど。

俺が女になって、自覚しちまった。

だから今日はあいつらとは別行動。ミツヨシをちょっとここに連れ込んだ。トイレの個室に。
半裸になった俺に「何のつもりだ」って。これ完全に嫌われてるよな?
まあ、当然だよな。けどよ、いいんだよ、しょうがねえんだよ。

だから今日は、俺がやられる番。

「……くっ」
「んっ!」

にゅる、と入ってきた。ミツヨシが、俺の中に。
さっきまでパイズリして準備した、立派な凶器が。
そして激しく前後する。乱暴に、支配的に。

「あっ、んっ、あんっ、あっ………」
「ぐっ、うっ、くっ、くそぅっ……!」

俺の尻をがっちりホールドして突きまくってくる。痛い、けど、激しい、いい♪
でもお尻だけじゃない、触ってほしいのは、そこだけじゃなくて……

「おっぱいも♪」
「ぐっ……!?」

ミツヨシの手をつかんで俺のおっぱいに誘導する。そのままつかんでくれた。
ちょっと前かがみになって、俺に背後から抱きつくように、わしっと、しっかりおっぱいをつかむ。
そう、この体、おっぱいも感じやすいんだよ。ぐちゃぐちゃに揉んで、感じちゃいたいんだよ!
もっと、ミツヨシなら、乱暴にしてほしいっ!

「ひゃうっ!?」
「ぐぅぅっ……!」

最大級の電流が体を駆け巡る。お、俺、イッちゃったぁ……。
それとともに俺の中にミツヨシがいっぱい注いでくれる。
ああ、満たされる。ミツヨシの、精液が。
ずるり、と引き抜かれる。同時に俺の中からぽたぽたと漏れてくる白い液体。
ああ、まだ味わいたいんだけど。

「なにを、考えて……」
くるりと振り向けば悔しそうな顔をしたミツヨシが。
そんな顔しないでよ。でもそれは、俺のせいなんだよな。自業自得、だけど……

「んっ…!?」
これ以上しゃべれないように、口をふさいだ。キスをして。
そういえばキスするの俺って初めて? ファーストキスも、処女喪失もミツヨシか。
そっと唇を放す。怒りのような戸惑いのような、複雑な表情を浮かべていた。
これも全部俺の気持ち。今までの分を含めて。だから、今日は……

「俺のこと、もっとぐちゃぐちゃにして♪」
これで、ごめんなさいって。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



翌日、さらに2人が女になった。

「マジかよ、またか」
「うちのクラスだけじゃねーよ。隣のクラスにも女になったやつがいるみたいだ」
「どうなってんだ?」

俺たち男子が遠目に女子になったグループを見てやる。
そこでは女子達のはしゃぐ姿が。
その内の一人はフユノブだった。女子なりたてのフユノブは一緒になってスカートめくっては「うわすげーの穿いてんな」なんて言ってる。
もう一人は、ミツヨシだっけ? やたらとあの3人から絡まれていたやつ。
ヒロユキに抱きつかれ、逆にちょっかい出し、なんだか二人で仲良さそうだが。

見た目は完全に女子、しかしやっていることはスケベな男子。
間違いなく、あいつらはこのクラスの男子だ。
突然に女になるという異常事態にクラスの、学校の生徒教職員の感覚はマヒっていた。
明らかに異常な事態が起こっている。突然男が女になるなんてありえないはずなのに。
それなのに俺たちは自然と受け入れている気がする。
特にあの女子たち。
男に戻りたいという気はあるのだろうか。あるようには見えない。
むしろ女になったことを楽しんでいるようにも見える。気のせいだろうか。

妙な不安を感じる。



「ところでさ、その制服は一体どこから手に入れたんだ?」
「あ?」

なんとなく気になっていた事をキヨヒコに聞いてみた。
キヨヒコは女になったその日からこの制服を着ていた。
うちは男子校だ。当然制服は男子用でスカートなんて存在しない。
あいつらだってそうだ。昨日の今日でもう既に女子の制服しっかり着ちゃって。
するとこのスカートな制服はどっから。

「これな、近所の女子校の制服がベースなんだよ」
ほう、近所の学校の制服とな。なるほど、既製品を買っているというわけか。
「実はな、この制服取り扱っているのはうちの兄貴のお店なんだよ」
……なんだと?
「つまりお前、それって独占販売っていうんじゃないか?」
「いやー、その分かなりお安くしてますよ? 下着も」
なるほど、あいつらが着ているエロい下着もお前の兄の仕業か。
とはいえ、確かに昨日の今日で買えるとなるとそこそこ安くなきゃ無理だろうしな。

だが……
「その極端に短いスカートは手え加えたんだろ?」
「そりゃそーだ。ホンモノはこんな短くねーよ。兄貴と俺の好みだけど」
でも、お前らだって短い方が好きだろぉ? なんて挑発しやがって。
こいつさすが男だな。俺たちの好みはしっかり把握しているか。
それとお前の兄貴もたいがいだな。
だとしても……

「よく金あったな」
制服買う金も、ついでに下着とか買う金もだ。
こいつら着ているのは男ものじゃなく、まぎれもなく女物。いくら安くてもそれなりの額のはずだ。
「ふふん、それは秘密。まあ女には男にはない、いい金稼ぎの方法があるんだよ」

それ以上聞くのはやめておいた。
なんだかやばい気配がするので。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



ほんの興味本位だ。同じクラスのフユノブのあとをつけたのは。
女になったばかりのあいつが誰かと、よく見えなかったが一緒にいるのを目にした。
それだけだったら別に何とも思わないが、人気のないところへと移動していったのが気になって。
校舎の最も遠いところ、ほとんど使われていない倉庫になっている教室へと入っていった。
俺は音をたてないように、気配を殺してその部屋にそっと近づいた。
なんとなく予感がする。それを確かめるように。
わずかに開いた扉、その隙間からそっと、覗き込んだ。

「んっ、んくっ、んぅっ……」
「おいおい、マジうめえじゃねえか。お前男だったのかよ本当に」
「んっ……男だったからどうすればいいかわかってんだよ」

フユノブと、同じクラスのナツヒロだった。
フユノブは半裸になって迫力のバストをあらわに、ナツヒロの股間をしゃぶっていた。
その光景は艶めかしく、色っぽく、怪しく。
時に自分のバストを使ってマッサージするかのようにして。
時に自分のスカートの中に手を突っ込んで、何かを掻き立てるかのようにして。

「いいか? ぶっかけしても……よっ!」
「んっ……!」

フユノブは白い液体を浴びた。

「おいおい、こんなに出して俺の中に出すもの残ってるのか?」
「ヨユーだっての」
「じゃあ、来てもらおうか」

そういって、フユノブは自分の尻をナツヒロに向けた。


ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ……

「はっ、サイコーだなおいっ。マジ締まっていいぜぇ」
「はふっ、あふっ……てめえっ、もうちょっと丁寧にやれっての」

下半身を結合させ、前後させて、喘ぎ声を漏らす二人。
扉の隙間から除く俺はその光景にくぎ付けになって、自分も下半身を隆起させていて。
俺、覗きって、もしかして最低じゃね?

「フユノブぁ、お前の胸もマジサイコー」
「だから丁寧にしろっての」

背後からナツヒロはフユノブの胸を揉み始め、テンションを上げる。
フユノブも抵抗することなくそれを受け入れ、ナツヒロを盛り立てる。

「おっ、いくぞおいっ……ほらっ、イケぇぇっっ!」
「んっ、くぅぅぅっっっっっ………」

動きが変わる。絶頂に達したということか。
「はぁ、はぁっ……結構出たじゃねえか」

フユノブは自身の下腹部に手を当てて感想を漏らす。
その表情は実に楽しそうだった。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



なんとなく予想していた出来事が目の前で起こった。

「えー……ナツヒロも女になってしまったようだ」

担任の言葉に呆れるしかなかった。
やはりほかの連中と変わらず、ナツヒロもエロい体になっていた。
本人はまんざらでもなさそうだ。他の女子とともにエロボディを確かめ合っている。
こっちに男子がいるってのに、お構いなしにスカート上げたりシャツを開けたり。

「うーん、おっぱいは俺の方が勝ってると思わね?」
「知るかそんなこと」
いつの間にかフユノブが隣に来ていた。あっちの女子会に意識向けすぎた。
「でも見たろ? 昨日俺のおっぱい」
……やっぱりバレていたか、覗き見ていたこと。
不敵な笑みを浮かべるフユノブがうざい。

「ふふん、ヤッてる最中の見学は別に構わないんだけどね、照れ屋さん」
「うるせえ。それはそうと……これどういうことなんだよ」
「あ? なにが?」
「とぼけんなよ。要するにお前ら女とヤッちまうと男が女になるってどういうことだよ」
「俺だって詳しいこと知らねーよ。キヨヒコも知らねーんじゃね? でもそういうもんだってことだ」
「なんだそれは」
「さあ? でも一つ確かなことがある」
「なんだよ?」
「女のセックスってのは、サイコーってこと」

ダメだ、まったく答えになっていない。
しかし、だ。この感じからすると、まだまだ大ごとになる予感しかねーな。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―


放課後

フユノブが呼び出してきた。例の密会があった倉庫になっている教室だ。
嫌な予感しかしないが、結局好奇心に負けた。
そこに行ってみるとフユノブが既にいた。フユノブだけじゃなかったが。

「あっ、んっ、はぁっ……」
「昨日はよーくやってくれだなぁ、え?」
「や、だって、んんっ……」

女になったナツヒロだった。
シャツの前をはだけて胸を露出し、スカートを脱いでいる。
攻めたデザインのショーツのせいで綺麗なおしりもあらわになったも同然。
そのショーツにフユノブは手を突っ込んで、大事な個所であろう場所を攻めていた。

「どうだぁ? きもちいいだろぉ」
「あっ、女って、こんな……」

二人でイチャイチャ、レズプレイをしているようだった。
昨日はキヨヒコが攻められる立場だったが、今回はフユノブが攻める立場。
女の先輩は女の初心者に攻めてかかっているようだ。
その様子を例の如く扉の隙間から見ている俺って一体……

「ふふ、トロトロだなぁおい」
「あ、恥ずかし……」
「じゃあ、処女もらっちゃおうか」
勿体ぶったように、見せつけるようにそれをゆっくり取り出すフユノブ。

「ほうら、ペニパンだぞぉ」



ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ……

「い、痛っ……痛いっ、痛いって!」
ペニパンを装備したフユノブに激しくバックで突かれるナツヒロ。
その光景、先日のフユノブを攻めているナツヒロと同じに見えた。
違うのは、突かれているナツヒロの目には涙が浮かんでいるということ。

「やめっ、これ以上は……痛っ………!」
先日のフユノブのように気持ちよく喘ぐ、なんてことはない。
涙目で、苦痛に耐える様子がうかがえる。

「ひぐっ、うっ、うぅっ……」
耐えきれなくなったのか、本格的に泣き出し始めてしまったナツヒロ。
その様子を観察してか、フユノブは動きを止めた。
「これでわかったろ? 激しくすりゃいいってもんじゃねえんだよ」
背後から耳元にささやくフユノブ。どうやらこの前のは本人も痛かったのだろう。
これは軽い仕返しなのだろうか。
「うっ、ごめん、なさい……」
「そう、わかりゃいいんだよ」
「ん……」
「女はムードが大事。そして時間をかけて、濃厚に……」

濃厚な絡みで再開するフユノブ。その様子を見て俺は思う。
ありゃあ、落ちたな。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



着実に女子は増えていっている。うちのクラスも半分ぐらいが女子になってしまった。
このクラスだけじゃない。隣のクラスも、他の学年も、学校全体にも広がっていってる。
男子校なのに女子の数が増えている。異常事態もいいところ。
だが中身は間違いなく男子だ。何故なら……

「でかくなったぁおい。揉ませろ揉ませろ」
といって乳揉み合ったり
「どうよこれ。エロいだろぉ」
といってスカート上げて穿いているパンツ見せつけたり
「お前まだ男なの? 俺とヤッちゃわない?」
といって誘ってきたり……

要するに非常識にエロい空気なのだ。

「でぇぇぇいっ、うざいっお前らっ!!」
「やんっ、怒んないでぇ」
「そうよ、女子には優しくしてよぉ」
「ひどいわっ、暴力ふるうなんて」

こ、こいつら……都合のいいように女になりやがって。
女の武器、なんていうが、こいつら使いこなしてるなしっかりと。

「あー、お前ら席につけ」
問いが痛い思いを朝からするのかと頭痛もしそうな状況で朝のホームルームがスタート。
さて、今日はどいつが女になってんだ。もう毎日のパターンになっちまったなぁ。
例の如く担任がその人物を……っておい。

「あー……すまん、俺も女になっちまった」

教師ぃぃぃぃぃっっっっっっ!!
てめえっ、それはつまり生徒とやりやがったということだなコラぁ!!



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「あー……今日からは既定の水着にしているな?」
「「「はぁーーーいっ」」」

一斉に手を上げ答える黄色い声。海パントップレスでなく今日からはきちんと白の競泳水着着用だ。
おっぱいぷるんぷるんな光景を目にすることがなくなったわけである。
そんな競泳水着着用の明るい女子の声とは裏腹に男子は困惑し、あるものは顔をしかめ、あるものは頭を抱えていた。
トップレスがなくなってがっかりしたわけではない。問題はそこじゃない。

「まあ……私もちゃんと競泳水着だからな」

体育教師ぃぃぃぃっっっっっっっ!! てめえまで何で女になってんだコラぁ!
スポーツ選手っぽく引き締まったボディ、その一方で胸はデカくて尻もボリューム大、出るとこ出て健康的な女の魅力ぷんぷんさせている。
生徒たちの着ている水着とは種類が違うがこちらも競泳水着で魅力を存分に引き出している。
めっちゃムカつく。

「本当のところは、私もトップレスになりたかったんだがな」
露出狂宣言してんじゃねえよ教師!
「なんだぁお前ら怖い顔して。トップレスじゃなくなってがっかりか?」
ちげーよキヨヒコ。ちょっと教師に対して殺意がわいただけだ。
「むしろお前の方ががっかりじゃねーの? トップレス禁止になって」

学校で海パントップレスなんて始めやがったのはこいつだ。
それだけじゃなく、時にはビキニも着てきやがったからな。
だがそれもこれまで。
増えてしまった女子に対応するために学校もある程度のルール作りをしている。
その一つがコレ。
水泳授業の水着は一律に白色の競泳水着が指定された。
一体型の、旧式とか言われていないごくごく普通の水着。さすがにバカなことはしないと思うが……

「甘いな」
「は?」
「実はな、ほら」
背中を向けるキヨヒコ。
「げ」
唸り声をあげるしかなかった。

競泳水着ってのは色々構造があるらしい。俺もそこまで詳しいわけじゃない。
大抵は背中のところは開いていて、肩から脇に帯が「X」と「H」とタンクトップを足して割ったみたいな形状をしている。
この水着もそんな感じの造りなのだが、問題は下。
解放された背中が、下のギリギリを突破してまで布がない。
どういうことかというと、布面積が少なくて、おしりが上半分露出しているのだ。
ちょっと前に流行った「童貞を殺すセーター」の競泳水着版だ。

「ふふ、どうよ」
なにが「どうよ」だよ。これアウトだろ。
と教師に訴えたかったのだが……

「ああ、生徒たちの視線が私のおしりに……」
教師ぃぃっっっっ!! てめえちゃんと競泳水着かと思ったら、Tバックじゃねえか!
しかも食い込みがかなり激しい。教師が何の生徒の前で着るなぁぁっ!

「それに、これだけじゃねーんだよ」
まだ何かあるのか? と言おうとしたらキヨヒコがばしゃ、とプールに入り、すぐまた出てきた。

「これ、生地が特殊で水に濡れるとうっすら透けちゃうんだよね」
うわぁ……確かに透けてますね。
しかも生地の色は白。そのせいで肌色と胸の先端がわかりやすいったらありゃあしない。
……なんでこんなものが学校指定の水着に採用されちゃったんだよ。

「これも俺の兄貴のところで」
「結局お前のせいかっ!」



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



ここは男子校だ。だから本来更衣室は男女別に用意などされていない。
ということは、何が起こるかというと……

「競泳水着って意外とエロいよな」
「トイレ行くとき全部脱がなきゃいけないってのが、な」
「こう、全身包み込む感じがいいよな!」

男子と女子が混在で同じ更衣室で、着替えてます。
当然目の前で遠慮なく素っ裸になって着替えるから目のやり場に困る。
そしてシャワールームでは塩素流すためにシャワーを浴びているのだが。
その際に水着の上はがばぁ、と降ろしちゃってる。
たわわに実ったものが、目の前に……

「水滴に濡れるおっぱい、エロいなぁ」
「ふっ、思わずポージングしちゃうぜ」
女子同士がお互いの女体鑑賞してます。ああもうエロいです。

「くそっ、プールで冷えてるのに一点が熱くなっちまう」
「着替えが、し辛い……」
男子はそのせいで面倒なことになってしまいます。

「……早いところ男女別にしてくれねーかな」
「そんなことよりみんな女子になっちまった方が早くね」

恐ろしいことキヨヒコは言いやがりました。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



せっかく女になったのにトップレスができなかったのは少々残念。
私の見事なバスト、ぜひ生徒たちにもてもらいたかったというのに。
だがそれは仕方ない。さすがに教師たる私がそんなことするわけにもいかない。

「全く、最近は困ったものですなぁ。どうしてこんなに女子が増えているのやら」
職員室で資料整理していたら、教頭が話しかけてきた。
だがそんなもの口実であろうことは察している。その視線は私の胸に向いているのかバレバレだ。
このセクハラハゲオヤジが。

「全く、不思議ですねぇ。先生も女性になったんでしょ? お心当たりは?」
「さぁ……」

教師の中でも数名が女性になっている。
原因? ええ知ってますよ。
私の場合は先日女性になった別の教師のお相手をしてしまったことによるものですがね。
その教師は恐らくどこかの生徒と、でしょうか。超えてはいけない線であることは違いない。
ただ、それをバレるのはさすがに気が引けます。
その方からは日頃お世話になってますからね。根は素晴らしい先生なんですよ、目の前の教頭と比べたら。
どうして生徒としてしまったのかは知りません。何らかの事情があったのか、負けてしまったのかはわかりません。
ただ、正直その先生が追いつめられることになってほしくはありません。
そもそも私が相手してしまったのは、女になったことを慰めるつもりで発展してしまったのが理由なのですが。

さて、こうなるとこのクソ教頭を黙らせる必要がありそうですね。
となると、ここはひとつ私が一肌脱ぎますか。

「教頭先生」
「なんですかな?」
「この後、ご一緒にいかがですか?」

このクソオヤジに私の極上の肉体を披露するのは気が引けます。
ですが、後々の事を考えましょう。教頭にも共犯になっていただきます。
それにこのオッサンがどんな姿になるのか、ちょっと興味ありますし、ね。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



教頭までもが女になったらしい。
目撃者の話によると恐ろしいほどの美人教師がいて、誰だと思ったら教頭だった、だとさ。
しかも大人の色香ぷんぷんだった、てよ。
もう驚かないよ、俺は。

それほどまでに女子が広がっているこの学校。俺も段々感覚がマヒしてきた。
女子がきゃいのきゃいの言っている光景は普通だと、スカート捲り上げたり胸の谷間見せてきたりも普通に思えてきた。
体育の着替えも同じ教室内で堂々としているのも、水泳授業で同じ更衣室で素っ裸になるのだって。
そういう性差を感じる場面が、一緒の空間にいるのも普通に思えてしまった。

もちろん、トイレだって。

ここは男子校だ、改めて強調する。
そのためトイレも男女別に分かれているわけではなく、基本男子オンリーであった。
だから俺らが立ちションしている後ろで女子が個室に入っていくのが普通だった。

今日までは。

「ではさっそくやってみまーす」
わーと数人の女子から歓声が上がる。
数人の女子を引き連れ、キヨヒコがトイレに入ってきたのだが、今度は何する気だ。
それとなく観察することにする。キヨヒコの動きは……

1. 男子小便器におしりを向ける。
2. スカートをがぱぁ、と持ち上げる。
3. パンツを脱ぐ(紐パンだからほどくだけで脱ぎやすい)。
4. そのまま90度前かがみになる。
5. そのままおしりを突き出す姿勢で……用を足す

「ってうぉおぉいっ!?」
ガッツリ見えてしまっている。こいつ、女子なのに立ちションしてやがる!?

「女って体の構造から立ちションはこうするのが正解」
「へー、前向きじゃできないんだぁ」
「男のノリでやったら足つたっちまうんだろ」

なんだこれは。女子の立ちション講座かよおい。
終わったところで元々手にしていた紙で拭くキヨヒコ。

「最後こればかりは個室に捨てなきゃいけねーけど、これでいけんじゃね?」
「なるほどー」
「女の手間が一つ解消した気がするなー」

それでいいのか? おい、それでいいのか?
紐パンを身に着けながら去っていくキヨヒコとその一同。
こんなもの男の俺の前で披露させられて、どうしてくれんだよ。俺用足し辛くなっちまったじゃねえか。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「す、好きだっ。付き合ってくれっ!」

すごい場面を目撃してしまった。
何がって? 男子が女子に告白しているシーンですよ。そこに遭遇してしまった。
比較的人通りの少ない、外階段になっているところ。
そんなところにいるものだから興味本位でそっと近づいて様子をうかがったのですよ。
野次馬だね俺。

そしたらこれだ。
別に普通の学校だったらこういう場面もどこかであるだろう。たがここは、男子校だ。
見た目女子だが、中身は男だ。そんな相手に男子が告白している。
男子校で告白とは、BL好きな腐女子であれば格好のオカズだろう。ご飯3杯イケるとか言いそう。

「う……ミチノブなら、いいよ」
女子の回答はOKでした。
ちょっと大人し目な彼女、どうやら口調からすると二人は元々仲が良かったようだ。
そんな彼女の回答に男はガッツポーズ。それはまあ、よかったねぇ。

だけど俺は気になった。男は気が付いているのだろうか。

仲のいい相手は女になった。元々男だった。男友達だった。
そこまではまあ、いい。問題は、女になったということは……

こいつ、既にほかの女とヤッちゃってるんですぜ?

男子はヤッてしまうと女になるという公然の秘密を知らないのだろうか?
それはわからない。俺には関係ない事だろう。
今後二人がどうなるか、ちょっとだけ気になってしまうが。




翌日

「にへへ~。ミチノブさあ、スタイル良くなったねぇ」
「あ、ああ……」

別に意識していなかったのだが、偶然にもあのカップルを目撃してしまった。
女の方は顔を覚えている。告白を受けていたあの女子だ。
成立したカップルをアピールするかのように、男の方に腕に抱きついている。
一方で男……正確には男子制服を着た方はというと、困惑のような表情だった。
男子制服を着ているが、その胸は大きく張り出し、ウエストは細くなり、お尻は張り出している。

誰がどう見ても女だ。

早速ヤッたのか。カップル成立から早いだろ。
そして男の方は自分までもが女になってしまうとは思ってもいなかったのだろうか。
だとしたらバカだな。

「それじゃあさ、放課後に制服買いに行こうか」
「い、いや、俺はこのままで……」
「ついでに、おそろいの服も」
「う……」
「ペアルック、いいでしょお?」
「う……」
「下着もお揃いで、ね」
「………そう、だな」

男、弱すぎるぞ。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「そろそろ覚悟決めた方がいいかな」
「あえて何の覚悟かは聞かないでおこう」

アキマサがそんなことを言いだしたから俺は身構えた。
学校中女体化は蔓延し、クラスでも既に半数以上が女子になって男の方が少なくなったこの状況。
ついでに言うと教師の半分も女子になってしまっているこの恐ろしい状況。
こいつの言う覚悟というのが何のことかは簡単に察することができた。

「アキマサ、流れに身を任すのは危険だぞ」
「だがなぁ、肩身狭くねーか俺ら」

確かに、女子が優勢になってきたこの昨今、男のままでいる俺らはなんとなく居心地悪い。
しかし、だからといってそのまま流されてしまうのはどうかと思う。
この空気に……

「お前は、興味ねーのか?」
「まあ、なくはない」
確かに女ってどうなんだろ? って思う。
男ってのはスケベなもので一生に一度は女になってみたいと思うものだと替え歌で有名な師匠は言っていた。
でもそれが一時的だったらいいかもしれない。しかしそれが一生だったら?
このクラスの周囲にいる女子たち、こいつらは一生女のままなのだろうか。
そう考えると、恐ろしい。
一生モノの事をこんなほとほと決めるわけにはいかない。
それ相応の覚悟を決めて決定しなければいけないのではないか。

「というわけで、だ。一緒に扉をくぐろう!」
「道ずれにすんじゃねーよ。テメーだけで行け!」



翌日

「とゆーわけで女になりましたーっ!」

声高らかに宣言するアキマサ。昨日の今日ですっかり女になってしまった。
その宣言に周囲の女子からは「わー」「おめでとー」「ついにきましたねー」などと歓声が上がっている。
胸デカケツデカ、しっかり制服を着こなしてそれを存分に引き立てている。

「ほらほらホンモノですよぉ。女の子ですよぉ」
そのボディを俺に見せつけんな!
ただでさえ短いスカートたくし上げて派手なショーツ見せつけ、さらには前かがみになって谷間まで。
くそっ、魅力的だ。
その一つ一つのポージングに周囲の女子たちは歓声を上げる。
そして負けじと自分たちもアピールだ。
おい、ここ学校だよな? 何で風俗みたいなことやってんの?

「まったく、お前も強情だなぁ。いい加減覚悟決めろよ」
「乗せてんじゃねえよ」

ハルタカがさらに仕掛けてくる。背後を許してしまったせいで頭に乳を乗せられた。
「俺がアキマサの最後をやったんだぜ。あいつこれでもかって激しかったなぁ」
いらん情報を上乗せされた。

こいつら女子は隙あらば誘ってきやがる。
挑発、誘惑、自分の女の武器を知り尽くしている。
それを駆使して男をこれでもかって誘って、落としていく。
まるでそれが本能であるかのように……


「はーい、HR始めるぞー……ってアキマサも女になったのか」

もはやいちいち女になった説明も面倒になったか、以前行っていた生徒の女子化報告はやめてしまった担任。
自分自身も女になっているから、それが普通の事と認識してしまってるのか。

……異常な事なのに、普通なことと認識。

なぜかはわからない。だけど今異常なことが起こっているのにこれが普通のように感じている。
生徒も、教師も。
ごくごく普通に女性化を受け入れてる。誰も男に戻りたいとは言わないし、女がサイコーだと男たちにアピールしているし。
それもスーパーの試食のようなアピールではない。魅惑的な、お誘い。

どいつもこいつもセックスアピール、って言うのかは忘れたけど、とにかく誘ってきやがる。
皆が短いスカートにしたり、わざと谷間見せつけたり、エロい下着チラ見せしたり。
女子生徒だけじゃない、教師もだ。
目の前で粛々と朝のHRを進めている担任も、極端に短いタイトスカートに胸元を大きく開けて谷間を強調。
しかもあの服、背中がオープンじゃないか。目から殺してくる。


目だけじゃない。この匂い……
最初は気のせいと思った。が、気のせいじゃなかった。
女子が多くなってわかる。女子から、魅惑的な匂いを感じる。
さっきもアキマサが至近距離で谷間見せつけてきたときも、ハルタカが頭にのせてきたときも、匂った。
フェロモンってやつか? 甘酸っぱくて、いい匂いがする。

それが俺たち男子の思考を狂わせているんじゃないかって。
多分、そういうのに弱いやつから女になっているんじゃないだろうか。
事実、男のままなのは真面目なやつが多い。一方で遊んでいそうなスケベなバカは割と早く女になっている。
まあ、真面目クンも女になっているのがいるけどね。
ミツヨシもそうだよな。あいつ比較的真面目で地味な方だけど。
ひょっとしたらそいつらは押しに負けてしまってたのかも。

こうして冷静に分析しているように思えるが、俺だって限界かもしれない。
やはり女には興味あるし、ヤッてみたいって欲求はあるし、女になったら面白いかなー、なんて思ってるし。

「お前も強情だなー。いい加減ヤらせろよー」 ぴとっ
「そうそう、せっかくだから俺の初めてもらってよー」 むにゅ
「…………………………………………………」

ハルタカとアキマサの左右攻撃。
それは左右の腕に抱きついて、柔らかいものを当ててくるやつ。
フェロモンな香りも、本人たちは知ってか知らずか使ってきます。
こうなればどうなるか、わかりますよね?

ぷちっ

「でえぇぇぇぇいぃっっっっっ! やったろうじゃねーかボケがあぁぁぁぁっっっっ!!」
男トシアキ、禁断の一歩踏み出しちゃいます。

「お前ら、やるんだったら放課後にしろよ」
いやそこは止めろよ教師。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「たっぷり時間をかけて最後の一滴まで搾り取りたいと思います」

嫌な前口上だ。
ハルタカとアキマサによって連れてこられたのは例の殆ど使われていない倉庫になっている教室。
誰かの家でやらないのかと聞いたら「こっちの方がスリル合っていいだろ?」なんて言いやがる。
もしかして、誰か覗きしてないだろうな?
「実はここはヤリ部屋として共有されています」
嫌な情報共有してしまった。

「ではでは、本日は2対1で攻めていきます」
「ふふ、二人同時攻めとは贅沢な奴め」
ハルタカとアキマサの二人相手するとは。なかなかいいシチュエーションではないか。
こいつらの日中の誘惑で俺は限界突破直前なんだ。今だったら何人相手でもできる気分だぜ。
……さっき妙な精力剤飲まされたからな。

「あの妙な精力剤は何なんだよ」
「キヨヒコからいただきましたお手製の特製精力剤です」
「不安しかねぇ」
キヨヒコのやることはどうにも信用できない。

「それじゃあ早速、始めようか」
俺をマットの上に座らせられる。どうしてここにマットがあるのかというと、キヨヒコが持ち込んだらしい。
「やりやすくなるだろ?」との事。あの野郎。
なんだかんだのうちに二人が俺を脱がしにかかる。女子に脱がされるって、すごくねえか?
シャツをはだけ、ズボンのチャックに手が伸び、下着共々降ろされる。

「「え?」」

そこで二人が固まった。
「うそ、マジでデカくね?」
「勃起してないのに、このサイズ?」
二人とも、俺のブツを見て驚愕している。自分でもわかっている。こいつは標準よりもずっとデカいことを。

「すげぇ、ちょっとうらやましい」
どんな流れでやるつもりだったか知らんが、予想外の光景に二人は固まったまま。
そうこうするうちに血流が集中し始める。上を向いてきているのだ。
さっきの精力剤がきき始めているのか、それともこんな至近距離で見つめられているせなのか。
二人の女の匂いが結構来ているのもあるかも。
そして完全に起立した。それをまじまじと見つめる二人。しかもかなりの至近距離。

「すご、ここまで……」
「これ、入るかな本当に」
「これなくなっちゃうんだよな? いいのかな?」
「貴重な財産を手放してしまうような、でもなぁ……」
俺のブツを前にもったいないって会話するのやめてください。

「まさかここまで来てやめます、ってこたぁねえよな?」
「いや……」
「それは……」

言葉に詰まる。そんなに貴重なのか俺のブツ。いや俺も惜しい気はするけど。
いやさすがにこうも見られてると恥ずかしいものがある。つーか、ちょっと興奮する?
試しに目の前でちょっと力を入れてみる。ぴくんとブツが跳ねる。おお、と歓声が漏れる。
何やってんだ俺ら。

「う、この匂い……」
「へへ、来るだろぉ?」
「ま、マジで、こんな匂いで……」
アキマサの表情が崩れる。一方でハルタカも顔を赤くしている。
突然の状況の変化にアキマサは戸惑うものの、ハルタカは慣れた様子にも見える。
なんだ? 体調悪い?

「おい、どうした?」
「実はな、この体……オスの匂い嗅ぐと発情しちゃうんだよ」

恐ろしい設定だった。
発情、ってんなことあるのかよ。
だったらこいつら精力剤なんていらなくね? こんな匂いだけでスイッチオンになるなんて。



くちゅ、くちゃ、ねちゃぁ………

「んはぁ、おちんちん……」
「初めての刺激強かったかな? アキマサちゃんには」
マットの上で仰向けになった俺の上、二人は起立する俺のペニスを夢中でしゃぶっている。
それも左右方向からおっぱい押し付けて、ダブルでパイズリしながら。

二人の巨乳に挟まれて、俺のブツはさらに固くなっていく気がする。
その固いものを挟み込んでいる柔らかい物体。放っておくことなどできず俺も手を出す。
柔らかい。素晴らしいぞおっぱい。ずっと飽きることなく触っていられる気分だ。

「あっ、んんっ、おっぱい……」
優しく揉んでやればアキマサは甘美な声を上げる。
「女ってそういう優しいのに弱いんだよなぁ。俺もテンション上がっちまうよ」
ハルタカからは合格をもらった。

「あはぁ、やべーよ……女って、こんな………」
初心者なアキマサはすっかりとろけてしまっている。
時折俺のブツだけでなく、自分のおっぱいも弄るし、スカートの中に手を伸ばしては何やら怪しい動き。
そんなこと目の前でされては、俺も……限界。

「出して、いいか?」
「おう、アキマサのお口に出してあげな」

ダブルパイズリしている手を操作し、ハルタカはその先端をそっとアキマサに渡した。
そのタイミングに合わせて俺の制御を開放、発射!

「んんっ!?」
突如襲ってきた噴火に驚くもしっかりと口で受け止める。
驚きの表情を浮かべる。だがすぐに変わる。トロ顔に。
しかも夢中になって飲んでるぐらいに。おいおい、大丈夫か?

「んぁ……やべえこれうまぁい」

本当に大丈夫か!?
「あー、ちょっとキてるなこれ」
一滴も残さないぐらいの勢いで俺のブツに残っているであろうモノも舐めとっていくアキマサ。
子供が夢中になってアイスキャンディー舐めているみたいだぞ。
ちょっと待て出したばかりでそういうことされたら危ないんだけど。

「どうどう、ちょっと落ち着こうかアキマサ。だいぶのまれてるぞ」
アキマサを俺から引きはがし、座らせて落ち着かせるハルタカ。ちょっと助かった。
それとアキマサ、お前名残惜しそうな顔すんじゃねぇ。
そんな顔してませんよ?
いや確かによかったけどもうちょっとやってほしいなーって思っちゃったけどアキマサの表情がすごくよかったなーって思ったけど。

「いいか、まだはじまったばかり。これから本番、オーケー?」
「……うん」
説得するハルタカの言葉に素直にうなずくアキマサ。
べったんこ座りでうなずく仕草はすごく可愛いんですけど。

「それじゃあすっかり準備完了なアキマサのここ、使ってみよーか」
べったんこ座りするアキマサのスカートたくし上げれば、そこはぐっちょりと濡れたパンツ。
例外に漏れず派手でエロい下着だ。そいつがよくわからない何かですっかり濡れている。

「やっ! 恥ずかし……」
いきなりたくし上げられ中身を見せつけられて恥じらいをあらわにするアキマサ。
おいおい、本当に昨日まで男だったのか?



ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ……

「あっ、はぁっ、やっ、あぁんっ………」
体位を変えてアキマサを下に仰向けで、俺はその上で挿入する。
スカートはそのまま、ショーツは脱ぎ捨てて、上はブラウスをオープンにしておっぱいをあらわにして。
全裸になるよりもこの方がエロいというハルタカのお言葉からこのスタイルになった。
大きく足を開いたアキマサは侵入した俺の後ろにそのまま足をまわしてがっちりホールド。
だいしゅきホールドってやつか? 本当にだいしゅきなわけないだろうが。

「いい反応するなぁアキマサ」
ハルタカも実に感心している。確かに目の前のアキマサは実にいい表情。
アドバイスに従って最も感度の高いポイントを探し出し、そこを重点的に、優しく攻めてやった結果がコレ。
トロ顔、本当にとろけそうな甘い表情で、その顔見てると俺もにやけてしまう。
前後に動くたびにあらわになったおっぱいもプルンプルン揺れている。

「おっぱい……おっぱい揉んでぇ♪」
まさかのリクエスト入りました。遠慮なく揉ませてもらいます。
「あふぅ、おっぱいが、ビンカンに……」
発情した効果なのか、アキマサの感度はマックスになっているようだ。
軽く揉んでやっただけでこの表情。
「演技じゃないよな?」
「ち、ちがうよぉぉ……」
否定してくれた。これで演技だと言われたらがっかりしてしまう。

「や、ダメっ、もう、ムリぃっっ………!」
アキマサの反応が変わる。これは、クライマックスの予感!

「あふっ、あっ、ひゃあぁぁっっっっ………!」

アキマサが大きくのけぞって、細かに震える。それに合わせて俺も我慢していたものを開放した。
どく、どくっ、とアキマサの中に注いでいくのがわかる。


「はふぅ、ふにぁ……」

クライマックスを迎え、しばしの後、アキマサは力を失ってしまった。
顔もぐちゃぐちゃだし、あそこからは俺の出した白いものとアキマサの透明な何かが混ざってこぼれ出て。
そういう俺もちょっと脱力。最高によかったのは間違いないが。
ただ精力剤のせいなのか、まだまだいける感じはするのがなんとも。
精力剤だけじゃないな。アキマサの体臭、フェロモンみたいなものの効果もあるな。

「すげーな。俺ここまでなったことねーよ」
ハルタカが感心しておりました。
「そうなのか? 人によって違う?」
「うんにゃ、多分他のやつらがド下手くそだったんだな」
あー、だからいろいろレクチャーしたのか。
AV男優がやってるのはあくまで演出であって、実際にはそれほど気持ちよくないとかなんとか。
だからあんな風にひたすら激しくするんじゃなくて、ゆっくり動けとか言ってたなハルタカ。
それが正解だったのか。

「さあてトシアキ。これで終わりだと思ってないよな」
ずい、と迫ってくるハルタカ。あーそうだなこれで終わりじゃないよな。
「次は俺な。こっちは騎乗位でプリーズ」
よくわからないけど上級者向けかもしれない。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



すっかり遅くなってしまった。

あの後、ハルタカは「うおっ!? 奥までスゲー!! 子宮が、子宮がぁ!!」といって何度も攻めてきたし。
さらには回復したアキマサまでもが「もっとぉっ!!」といって襲ってきたし。
あれだけやってよく誰かに見つからなかったものだ。あぶねー。

結局こっちの残弾ゼロになるまで続けてしまった。本当に一滴残らず搾り取られた。
日も落ち、すっかり暗くなってそのまま帰路に就く。散々やっちまったせいか体が疲れてる。
それと使いすぎたのか、股間のブツがひりひりと痛む。
何をする気力もなくなっちまった、それほど疲れている。全力疾走ってものじゃねえ。
それでも汚れた体を洗いたかったから、風呂だけは入ったけど。
家族には調子が悪いから飯いらないってさっさと部屋に戻った。
あとは短パンとタンクトップというラフな格好でそのままベッドへ。そのままばったり倒れてしまった。

その夜

寝苦しさからわずかに目を覚ます。意識はもうろうとしている。まだあたりは暗い。
体がだるい。息苦しい。さらには下半身のアレが焼けるような痛み。
今日思いっきり使ってしまったからか、終わった後もちょっと痛かったが、痛みが強くなってる。
なんだよこれ。こんなこと今までなかった。取れてしまいそう。
そんなことがどれくらい続いたか、そんなに長くないと思う。
体のだるさも、アレが焼けるような感覚も次第におさまっていき、そしてまた意識を手放す。



目が覚めたのは、夜明け間もない時間だった。

「う……」
まだ周囲は薄暗い。いつもの起床時間に比べたら格段に早く目が覚めてしまったようだ。
かといってまた眠る気分にはならない。体の感覚がおかしい。
だるい、重い、違和感抜群。風邪ひいたか?

ぷるんっ

「…………………………………」
風邪ではなかった。タンクトップを押し上げる巨大な双丘を見て全てを思い出した。
昨日の出来事。あいつらとヤッちまったこと。そしてヤッてしまうと、どうなるか。
鏡だ、まずは鏡だ。この部屋の姿見を見るのだ!

「おぉ……」
そこに映る自分の姿で、思わず声が漏れる。そこに写ったのは見知った自分の姿ではなかった。
かろうじて首から上は俺の顔だ。正確には角が取れて丸くなった感じだが。
その首から下、どう見ても元の自分ではない。
真っ先に目につくのは胸にできた押し上げる巨大な物体。確認のためタンクトップを脱ぎ捨てる。
その物体が邪魔でちょっと脱ぎ辛かったが、解放されたそいつはプルンと揺れる。

「すげえ」
とにかくデカかった。爆乳なおっぱい。だけど美乳。
水泳の授業の時に更衣室で見た女子達のよりもずっとデカい。手にしてみればずしっと重さを感じる。
それでいてすばらしき柔らかさ。揉んでみる。
むにゅ、と手が沈む。うーむ、ちょっと感じる。なるほど、おっぱいってこんな感じかぁ。
肩幅、胴体はずいぶんと細くなっている。この体系でこのおっぱいは反則だろ。

となると当然下もだ。そっちも確認せねば。
肩幅からアンダー、腹部と細くなっているが、そこから下は違う。
そこから急激、とまではいかないけど、なかなかいい感じでボリュームを増して見事な曲線を描いた腰周り。
要するに、おしりです。
男物の短パンでこのおしりはちょっとサイズが小さい。身長は小さくなっている気がするが、ここはサイズアップか?
しかし引っかかっていたのはそこだけ。そっと短パンをずらしてみれば、すとんと落ちていった。
そしてあらわになる、俺の下半身。

「……ない」

予想通りの展開だった。
やはりそこに昨日使い込んだ武器はなかった。なくなっていた。
パイパンってやつか、毛1本も生えていない、つるんとした表面に、すっと割れ目が走っている。
間違いなく、俺は女になってしまった。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「ほぉぉ」
「すげえな」
「文句なしに誰よりもでかい」

やっぱりそこだよな。注目するのは。
俺が女になったということもさることながら、こんな爆乳になったことも皆の目を引いていた。
「測定したところMカップでございます」
「「「Mだと!?」」」

キヨヒコの発表にさらに注目が集まった。皆の視線が気になってしまう。
俺だって大きいのは好きだ。だが自分が規格外のサイズになってしまったとあっては別問題。
朝起きてキヨヒコに連絡したら「用意しておくから店においで!」だった。朝の早くから開けてもらったのだ。
どうやら女になったやつにはそういう対応しているらしい。事実紹介されたキヨヒコの兄の店には他にも朝から何人かいたし。

が、キヨヒコは俺の胸を見て固まった。店にいたほかの女子も。まさかのサイズだったらしい。
スカートはともかくブレザーとブラウスはなかなか難しかった。こんなスペックの胸に合うものなんて早々ありゃあしないのだ。
なんとかギリギリ治まるサイズで妥協しているが、やはりきつい。
ブラはしていない。サイズがなかったから。とりあえずさらしで対処。

「うーん、トシアキはチンポもでかかったからなぁ。それと連動してるのかな?」
「なに!? 対戦車ライフルの持ち主だったのか!?」
「くっ、何で気が付かなかったんだ」
「知ってればヤッてみたかったのに」
アキマサ、その件は黙っていてほしかった。

「あーお前ら席につけ……ってトシアキも女になったのか。でかいな」
開口一番セクハラ発言してんじゃねーよ担任。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「せんせー、トシアキがトップレスにしたいと言ってます」
「言ってねえよ!」

お前も開口一番変なこと言ってんじゃねえ。
だが、そうしたい考えが一瞬よぎったのも否定できない。
水泳授業、となれば着用するのは水着、競泳水着だ。だがいかんせん、これもまたサイズがいいものがない。

市販されている水着はそこまで大きいサイズを用意しているわけじゃない。
あくまで標準体形から出しているから、そこまで胸が大きいサイズを用意していないらしい。
しかし学校指定に用意された例のあやしい水着はそのあたりを考慮してある。
胸のところを大きめに作ってある。この学校の女子達は胸がでかい。誰がどう見ても全員巨乳なのだ。
FとかGとかHとかが普通サイズだ。だから大きめに作ってある。

が、俺はそれをさらに上を行く。さすがにMカップサイズなんて用意していないらしい。当然と言えば当然だが。
胸に合わせるとウエストがぶかぶかになるし、かといってウエストを合わせると今度は胸が。
妥協点を何とか見つけ出し、とりあえず着ているのだが、やっぱり胸が苦しい。
爆乳って、苦労する。

「無理やり詰め込んで横からはみ出している光景はすごくいいんだけどね」
「お前は黙ってろ」
確かに無理やり詰め込んでいるから横から上からはみ出ている感はある。
ハミ乳。鑑賞する分には確かに最高だが、している方は苦労する。
早くも女になったことを後悔し始めている……だろうか。

「あートシアキ。特例で認めてもいいんだぞ」
「何をですか?」
「だから、トップレス」

変な気づかいしなくてもいいですよ、先生。
周りの女子たちも見たい見たいって言うな! ていうか何で女子が言うんだよ!



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



開・放・感 !

「やっぱ遠慮せずにトップレスになっていたほうがよかったかなぁ」
そんなバカなことを考えながらシャワーで塩素を洗い流す。
水着の、競泳水着の内側に入った塩素も流すために今俺は他の女子に倣ってトップを下ろしている。
すると当然そこに無理やり詰め込んだバストも解放される。
さすがにきつかったな。ちょっと圧迫されて苦しかったが、楽になった気分。

「すげーな、さすがMカップ」
「惚れ惚れするぐらい神々しい」
視線が集まっていた。それもかなりの数が。

「おっぱいなんてお前らも持ってるだろ」
俺同様トップレスになってシャワーを浴びる面々、そいつらだって十分サイズはでかいし美乳だし。
俺から見ても十分素晴らしい乳じゃないか。
「いやいや、トシアキのは別格だろ」
「是非拝観料を取りたいぐらい」
そのうち乳神様とか呼ばれそうで怖い。拝観料俺にくれるんだよな。
だが、たしかに見られるのも悪くない気分。
この周囲の視線が俺に集まってくる、この感じ。なんだかぞくぞくしちゃって、注目されちゃって。
俺のバスト、そんなにいい? なんだか、感じちゃって来た。
女子だけじゃない。男子だってもちろん興味津々で。

「ん?」
男子……ああ、男にも見られてたんだな。ていうか一緒に着替えてるし。
確かにあっちの方の男子達も俺の、正確には女子のトップレス姿をまじまじと見てたし。

ささっ

あ、バレたと思って視線をそらされた。
でも、別に視線そらさなくったっていいのに。

「なあお前ら、別に見たっていいんだぞほれ」
腕を上げて脇見せのポーズ。バストが前に突き出るようになってより強調される。
そしてちょっと動かせば、揺れる揺れる。
女子たちからは「おぉ!」と歓声が上がるが、男子たちは控えめだな。
せっかく人が見せているというのに、こんな素晴らしいバストだというのに、見ないなんて。

「遠慮しなくってもいいんだぜ。それに、お前らも女になったらどーだ?」
そーそー、おっぱい好き放題なのに、と女子たちも参戦。
男子たちは耳をふさいだり、背を向けて着替えたり。これは逆効果だったかな?

が、後になって散々女になることに抵抗していた自分が女になればと勧めている、恐ろしいことに気がついてしまった。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



放課後、アキマサがこういった。
「では下着を買いに行きますよートシアキちゃん」
「え、いいよ。今までので」

がたっ

「よくねーよお前ボクサーパンツだったろ!」
「せっかく女になったんだから男の時のボクサーパンツはやめろ!」
「そのエロボディに似あう格好いいにしろっ!」
「せめてブラしろっ!」

一斉に上がる女子たちからの抗議の声。アキマサとの会話に聞き耳立ててやがったのか。
ものすごい勢いで俺に迫ってくる。目つきがかなり真剣だ。
そして一斉に立ち上がり……

「「「「見ろっ! 俺達の下着をっっ!!」」」」

女子一同一斉にがばぁ、とスカートをたくし上げる。
そしてスカートの中、魅惑的デザイン、エロエロなデザインの下着があらわに。
なるほど、たしかにナイスバディに似合うエロい下着達だ。
色も白、ピンク、スカイブルーなど落ち着いた色から、黒、パープル、真紅など強めの色もあり。
面積の少ない紐パンが多いが、それでもフリルがあったり、リボンをあしらったりと様々。
この感じからするとTバックも少なくないんだろうな。
なお男子達は突然の出来事にぎょっとして、いたたまれなく目をそらしたり、まじまじと見ていたり。

「わーった、わーった。わかったからとにかくスカート降ろせ。周りに迷惑だ」
とりあえずご理解いただいたようでスカートを下ろす一同。
女子たち、こんな結束力高かったのか。

「うーむ、しかしこのままではトシアキは地味な女物しか選ばないような気が」
「だな、間違いなく地味パンにしそうだ」
「やはり俺達も見立てないとダメかな」
って、この感じはもしや……

「「「「俺達も一緒に行くぞ!!」」」」
何で結束力強いんだよこいつら。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「つかれた……」

あれから延々と下着選びに時間を費やされてしまった。もうすっかり暗くなってるし。
連行された……もとい、皆で行ったのはキヨヒコの兄が経営しているお店。
朝は気が付かなかったが、制服など通常の服とは別に、ランジェリー売り場を併設していた。

そこはもう……異様な空間。

アダルトなランジェリーが所狭しと。男が入っちゃいけないところであることは間違いなかった。
いや、確かに自分女になりましたけど、あの空間に入るのはためらいがありますよ。
ついでに言うと店員もすごかった。
あれ童貞を殺すセーターってやつだよね?あんなの着て仕事って、どういう趣味?

だというのに、他のやつらは……
アダルトなんジェリーにテンション上がり、きゃいのきゃいのと騒ぎまくって。
他にお客さんがいなかったからよかったものの、あれ迷惑だろ。

そして始まったのは、俺を使ったファッションショー。
人を次々に着せ替え人形にしやがって。あれがいいこれがいいと次々に持ってきては着替えさせ。
ただ、俺の胸がでかすぎたのかそれほど多くは着ることはできなかった、らしい。あれでか。
それにショーツに関しては試着禁止になっていたからそっちは当ててみるだけで。
何故禁止なのか、察してください。

にしてもあいつら。やってることはまんま女子じゃねーか。エロいところは男子だけど。
あんなテンションで今の時間まで引っ張ったんだ。身体的疲れよりも精神的疲れだよこれ。
とりあえず、今日はとっとと寝て疲れを……

「いやー収穫は大きかったですなぁ」
「なんだかんだで俺も結構買っちゃったなぁ」

取れるわけなかった。

「何でお前ら俺ん家にいるんだよっ!!」
そこにはアキマサとハルタカがなぜかいた。しっかり俺の部屋にまで入り込んで。

「えー、せっかく買ったんだから早速来てみないと」
「ファッションショーぷりーず。お泊り会で下着パーティーです」
「やらんっ、いらんっ、帰れっ!」

こっちは疲れているんだ。そんな精神疲労を推進させるようなことをされてはたまったものではない。
よし、こいつらがいることは無視しよう。いないものだと考えよう。
そうすれば日常のごくごく普通の生活を進めることができるのだ。我が悟りの境地をとくと見よ。

「あれ、トシアキどこ行くの?」
「風呂だよ。疲れをとる」

とまで言って、しまった、と考えても遅かった。

「おし、じゃあ俺らも」
「入浴入浴、バスタイム♪」
「あ、いや待てお前らは別で一人で……」

時すでに遅しだった。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「いやあ、風呂はいいものですなぁ」
「癒されますなぁ」

俺はちっとも癒されない。
ウチの風呂は決して広くない。2人入ればちょっと窮屈だし、3人では満員電車状態。
だから今はアキマサとハルタカが湯船を占領し、あぶれた俺は湯船のへりに座って足湯状態。
これは入るとは言わないのでは? ゆっくりつかりたいんですけど。
だから疲れが取れないのです。

「ところでさ、お前らの家族って反応どうだった?」
「なにが?」
「いやだから、いきなり女になって、家族驚かなかったのかって」

うーん、と指を頭に当てたり腕組んたり。
考えているのか、何やら。

「別に何ともないなー。『あら大変、服買い直さなきゃね』ぐらいか?」
「俺んところは『きゃー、アキマサちゃん可愛くなっちゃってー』みたいな?」

ずいぶんあっさり受け入れてんな。
なぜこんなこと聞いたのかというと、うちの家族の反応が気になったから。
うちは母子家庭だ。母さんと、年の離れた姉との3人で暮らしている。
その二人は俺が女になった今朝、「あらあら、まあまあ」「女になったの? へー」で納得してしまった。
なんでそれでいいの? あっさり受け入れちゃってそれでいいの? って具合で。
うちの家族がのんびりしていて、特殊なのかと思って気になったのだ。

が、聞いてみれば二人もこの程度。
こちらもあっさり家族は現実を受け入れてしまったようだ。どちらかというと積極的に。
性別が変わるなんて大ごとなのに、何でそんな淡泊な反応?

まさか俺らから自動チャームがかかっている、なんてことないよな?
俺ら女達ってフェロモンとか妙なものを放ってそうで、そいつが効果を発揮して?
でも、騒がれるよりはマシか。
変なマスコミが大挙して押し寄せて、動物園のパンダよろしくされるのはごめんだ。
俺は日常を求める! というわけでこの二人にも帰ってほしい。

「なんか言った?」
「何も?」

悟られたか? 気のせいであってほしい。

「しかし風呂は一番リラックスできていいよな。ほら、おっぱい浮いて型の負担が」
「おお、浮き乳ですな。たしかに軽くなるな」

なるほど、確かに二人のおっぱいが湯船にぷかぷか浮かんでおる。おっぱいって本当に浮くんだ。
確かにこいつはでかい、重い。おっぱいがこんなに重い物とは思わなかった。
それが浮くとなったら風呂ではずいぶん楽になるんだな。
だが残念、俺は現在こいつらが邪魔で湯船につかってない。さっさと出て行ってほしい。

「これは是非トシアキの浮き乳も見たいですなぁ」
「そうですなぁ」

視線をこちらに移す二人、そう思うんだったらどいてくれ。

「でもその前に……」
「お、おいっ」

湯船から出てようやく場所を明け渡す気になったか、と思ったがハルタカが俺の体をヌメヌメとなめくじが如く這い上がってきた。
おおう、おっぱい当ててんですか? ちょっといいですね。
だが、それは俺にとってマイナスしかないことをすぐに実感する。

「はむっ」
「ひゃいっ!?」

俺の胸にハルタカが吸いついてきた。

「むふぅ、こんな見事なおっぱい吸わずにいられますか」
「あ、あのなっ」
「おー、それじゃ俺も」
「わひゃっ!?」

二人しておっぱいに吸い付く。
湯船のへりに座っていた俺はそのまま二人に促されるように湯船に沈んでいく。
3人で入ることになるから狭い、きつい。当然のように湯もあふれ始める。
吸い付いているから完全に湯船に体を沈めるわけではなく、ちょっと浮いた姿勢。
そんなことお構いなしに吸い続ける二人。ああ、ちょっと、それ以上吸われたら、お、おっぱいが……

どぴゅ

「…………………………………」
「…………………………………」
「…………………………………」

なんか出た。
違和感を持った二人が俺のバストから口を話す。
その先端、ピンクのポッチの先には、たらりと流れる白い液体が。

「…………………………………」むにっ
ぴゅっ

アキマサが軽く俺のおっぱいを揉んでみると、その先端から白い液体があふれた。
え、ちょっと待て? これって、まさか……

「「ぼ、母乳だぁぁーーー!!」」

な、なんで!? どうして俺からこんな母乳が!? でかいから? でかいからなのか!?
っておいこらお前らっ、嬉しそうな顔して吸い付くな待ておいっ!

「サイコーです。サイコーですぞぉ」
「んむぅ、やさしい甘さ。でりしゃす」

む、夢中になって吸ってる飲んでる。あうぅ、どんどん出てるのがわかるぅ。
お、俺のおっぱいを二人がおいしそうに飲んでる。こんな、こんな姿見たら……

「んぐっ!?」
「ぷふっ!?」

二人の頭を優しく抱き寄せた。
それはまるで母親が赤ちゃんを抱き寄せるかのように。

「たっぷり、飲んでぇ♪」

まるで二人を赤ちゃんかのようにしてみるトシアキの表情にハルタカは「うわヤベースイッチいれちゃったよ」と後悔したとかなんとか。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



翌日

お泊り会(?)も終わり、今日もまた学校へと向かう。

「あー、うん。本当に悪かった」
「……もういいって」

正直昨日の痴態を、主に授乳に覚醒してしまった俺の件。
おっぱい出し切って、飲みきって、そしてようやく平静さを取り戻した俺はもういたたまれなくなって。
ハルタカはそのまま下着パーティなんて考えていたようだが、それもキャンセルでおとなしく寝ました。
で、翌朝。つまりは今朝なのだが、気が付いたら狭いベッドに3人で寝ていた。
二人は床に敷いた布団に寝ていたはずなのに、と疑問を持つ前にスタートしてしまった。

こいつら寝ぼけて、俺のおっぱい吸い始めた。
そのせいでまたしても俺は授乳に覚醒。マジで母乳出るんだもん。
で、また脳内物質が切れたところでクールダウン。アキマサとハルタカも寝ぼけた頭がようやく覚醒して、平謝り。
で、今に至る。

俺って女になって、どうなったの?
ここまで人間変わっちゃうの? 俺って変態? いきなりいろんな悩みがぶつかり始めているが。

それをぶち壊すやつが。

「おっはよー、トシアキちゃん」
ばっさ

「おいこらっ! いきなりスカートめくりすんじゃねえっ!!」
「ふっふっふ、昨日買った紐パンTバックをお使いですね」
「てめえっ……」

キヨヒコがそんな俺らの状況お構いなしにスカートめくりしやがった。
通学途中の道端でいきなりスカートめくりされるってどういうイベントだよ。
いま間違いなく後ろのやつらに見られてしまった。
学校の女子だけじゃない。男子も、そして関係のないサラリーマンにも。
ちら、と後ろ見れば慌てて目線そらしたし。間違いなく見られた。

Tバックだから、俺のお尻までガッツリと。

昨日買った、というか買わされた下着はどれもこれもエロいものばかり。
どうしたものか、こんなの着て学校行けと? と悩んだが見ているうちに穿きたくなってしまった。
そしたらこれだ。

でも、悪い気はしない。

スカートの中は異世界です。誰かがそんな素晴らしいことを言いました。
制服のスカートの下、そこにエロい空間が広がっているとはだれが想像するか。
それもきわどい下着で、美尻をあらわにしているようなTバックとは。
見られるかもしれないという焦りが、ときたま心地よく感じてしまい。

そして、見られた。

俺、見られてる。注目されている。このエロボディを。
このエッチなおしりを見られたんだよな? 男たちはどう見たのかな? スケベな想像したのかな?
そんな、恥ずかしい。けど、もっと見てほしい。
自分でもわかってる、この極上の女体を。見たいって欲求があることを。
見られるのも、いいかも……

「おーい、トシアキ?」
「はっっ!! 俺はバカなことを考えてた!?」

なんてこった。これじゃただの痴女じゃねーか。



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「リクエストが来ておりますトシアキちゃん」
「あ?」

スカート短すぎ落ち着かねーでも中見られちゃったらドキドキするーなんて思っていたらハルタカがお知らせを届けてくれました。
「なんだよリクエストって」
「決まってじゃないかー。エッチのお誘い」

ぶっっ

「な、な、な……」
「是非是非トシアキの魅力あるバストで果ててみたいというからさー」
「いや待てふざけんなっ! おれが、その……」
「イヤか? でも興味あるだろぉ?」
う、ないと言ったらうそになる。というより、やってみたい。

キヨヒコ含め、女子たちがどうして男とやりまくってるか、その理由が女になって少しわかってしまったのだ。
男子校のスケベ野郎どもの集まりだから誘いを断れなくて、とか思っていたが、そうじゃなさそう。
本人、女子達は積極的に自分からしているからだ。
女になったとはいえ中身は男のまま、なのに男相手に気持ち悪くねーのかって不思議だったけど。

この体が、男を欲しているんだ。

俺とした時だってハルタカはオスの匂い嗅ぐと発情するって言っていた。
さらにはこの体がフェロモンのようなものを出して誘っているのも、そういうことなんだろう。
だから俺は今、その興味がわいてきてしまっている。
こいつをそのままにするか、否か。

「じゃあ、やってみる? 何事も経験だな」
どうやら拒否権はないようだ。




放課後

連れられたのは殆ど使われていない倉庫になっている教室……ではなかった。
サブカルチャー研究部の部室だった。

「よ、よろしくお願いしますっ!」
「よろしく……です」

名前も知らない別のクラスのやつ2名、この部の部員らしい。
「この部って2名だけなのか?」
「あ、はい。何せ人気ないもので……」
ノブヨシと自己紹介した男子は小太りの地味系。一方ヒデナガと名乗った方は背が高く整えればイケメンになりそう。
だが、言っちゃ悪いが二人ともオタクっぽい。見た目地味でいかにも、な。
この二人が俺相手にリクエストって、ある意味大胆だな。

「下半身しか考えてないようなやつよりずっといいだろ?」
「それハルタカも含んでね?」
「っていうか、アキマサも一緒かよ」

てっきりハルタカ案内のみだと思っていたらアキマサまでついてきた。
「だって、トシアキの神々しいおっぱいがどう使われるか、興味津々じゃん」
意味が分からない。
「どっちにしても初心者なトシアキにはサポートがいてもいいじゃん」
こういうのにサポートって……

「それにしても、なんでまた俺らを?」
そこが疑問。ご丁寧に俺をご指名らしいし。
それを抜きにしても俺達女とヤッちまったら自分たちも女になる。
女になってもいい、そこまでして経験したいということなのか。

「一歩を踏み出したいんです」
ほお?
「見た目に自身もないってのもあります」
うーん、確かに二人とも地味な感じではあるが。
「女になってしまうことはもちろん知ってます」
公然の秘密だしなぁ。
「しかし可愛い女の子になれば、リアルを知ることができる」
うん?
「リアル女子を知ることで、新たな扉が開かれる」
扉ですか?
「サブカルチャーの創作において対象ジャンルの調査研究は必須項目!」
作家の取材ってやつか。
「リアル女子のハートを知れば、よりリアルなラブコメを生み出すことができる!」
そういうものか?
「ついでにエロも徹底的に追求できるっっ!!」
あーそっちが本音か。
「そして2次元設定でしか見たことないような本物のMカップが見れるっっ!」
結局はエロかよっっ!

しょーもない理由ってところは他の男子と変わらなそうだなぁ。




そんなこんなで初体験です。

「どうかな? おチンポを見た感想は」
「いや、ついこの前まで俺も持っていたし……」
「でもでもぉ、女になってちょっと印象変わるだろ?」
「う……」

ハルタカとアキマサが場を仕切っていた。まずは童貞君2名にごにょごにょとレクチャーしていた。
ついでに、かつて俺が男の時に飲まされた精力剤を飲ませていた。あれ一体どこで手に入れたんだ。大丈夫だろうな。

そして次の段階。お互いに半裸になって視覚で気分を高めろと。
そのために俺は制服のブラウスをはだけ、前をオープン。しかしブラはまだ外していない。
ブラといってもビキニだが。先ほどここに来る前に「これに着替えろ」と渡されたものだ。
Mカップを支えるためのホールド感重視されたものではない、昨日ではなく見た目重視な。
下も同じ、そろいのデザインのビキニショーツに着替えさせられている。
しかしどういうわけか、ど真ん中がオープンになっている。そのせいで女の子の大事な部分が外にあらわに。
そう言えば昨日のランジェリーショップにこんなものが売っていたような。

その状態で床にぺたんこ座り、女の子座りともいう。
俺の両サイドをハルタカとアキマサが密着する距離で同じようにそろってお座り。
そして中央にいる俺に対してサブカルチャー部員のノブヨシ君とヒデナガ君が前に立ち……

勃起したペニスを突き出していた。

「確かにちょっと、ドキドキする……」
ついこの前まで俺にもあった、とは言うが他人のブツをこうもまじまじと見ることはまずない。
二人の先端が目の前に、ぴくぴくとかすかに脈動する。
二人もこんな形で見られていることを恥ずかしいようで、何とも言えない表情を浮かべている。
ちなみにサイズはごく平均だと思う。俺の規格外のサイズと比較してはいけない。

「ではそろそろ、ご開帳ぉ~」
「あ」
ブラウスの上から器用に俺のブラが、背中の結び目がほどかれた。
ただでさえ面積が少なく、それでも何とか俺の巨大な胸を支えていたが、ほどかれたことで完全に支えを失った。
ぷるんと乳が弾む。ハルタカによってほどかれたと同時に息を合わせるかのようにアキマサがブラを取り払う。

「「おぉ……」」

ブラウスの間から俺の胸が二人の前に姿を現した。
「トシアキだけじゃないよー」
「俺達も見せてあげるからなー」
一方でハルタカとアキマサも今まで閉じていたブラウスをオープンにする。
こちらはブラはしたままだ。が、そのブラが問題。
カップがない、ほぼ紐だけ、紐がブラの形をしているだけみたいなブラだった。
だからおっぱい全体が見えてる、乳首も見えてる、つけてないも同然だった。

「「うぁ……」」

こんな光景に童貞な二人が耐えられるだろうか。俺の目の前ではなんだか喜んでいるかのようにぴこんぴこんって、チンポがはねてるけど。

「ふふん、お気に召していただけたようですな」
「え」
「顔に出さないようにしているけど、こっちは正直だもんね」
「あ」

両サイドの二人は息があっている。台本でも用意しているのか?
このタイミングで、目の前の二つのペニスをむぎゅっとつかんだ。
「ふふん、手コキしてあげますよ」
「どのくらい耐えられるかなー」

嫌な笑みを浮かべて弄り始めるハルタカとアキマサ。突然のことに二人はなすすべもなく、されるがまま。
一方の俺は別の感情が混みあがってきている。
二人が操作することで目の前の凶器はくちゃくちゃと音を立てている。
ガマン汁ってやつか、先走りの汁ってか、そういうのが出ているのだろう。
それの匂いが、俺を襲う。

ハルタカはこの体、俺達女子の体がオスの匂いを嗅ぐと発情するって言っていた。
何を滅茶苦茶な、と思っていたが、それを身をもって体験しているところだ。
栗の花とかイカ臭いとか言われるこの独特な匂いが俺を刺激して、熱くする。
ヤバい、本当に体がぞくぞくする。鼓動を感じる。体が敏感になっていく気がする。
乳首もぴんとなって、弄りたい。

「ねえ二人とも、ぼーっとやられたままじゃなくてやったら? おっぱいは6つもあるんだよ」
え、それって……
「じゃ、じゃあ……」
「失礼します……」

もにゅ

「はにゃっ!?」
二人が俺のおっぱい揉んできた。それぞれ片方ずつ、片方の手で。
そして片方の手でハルタカとアキマサの片方を揉んでいく。

「うん、そうそう。そうやってやさしく……」
「あんっ、やっぱこういう時のおっぱいって感じやすいなぁ」
両サイドの二人もまんざらではないようだ。だがそちらはあくまで片方だけ。俺は両方を揉まれている。
その違いはあるだろうか。二人よりも俺の方がより熱くなりやすくなっているのではないか。
二人ともただ単に揉むだけじゃなくて、時折乳首を指先で弄ってくるし。
さっきのハルタカのレクチャーに含まれているのかこれは。そのせいでますます火がついていく。
おっぱいだけじゃない。そこだけじゃない。女の子のあそこが、さっきからきゅんきゅんしちゃって。

「んっ、あっ……」
自然とショーツに、女の子の大事な部分に手が伸びていた。
だってそのままだと切なくて、どうしようもなくて、我慢できなくて。

「トシアキったら、自分からしちゃって、エロい女だねぇ」
「無理もねーだろ。俺達だってこの匂いたまんねーもん」
ハルタカとアキマサも同じように弄っている。そこからはあやしい音が、くちゃくちゃと響き始めた。
ショーツの中に手を突っ込んで、一方で片方の手はおチンポをしごき攻めながら。

「どうよ? 目の前で女の子がパンツに手を突っ込んでおマンコ弄ってる光景って」
「え、エロいっす」
「すげえですよ」
素直な感想。だがこっちは弄ってないと落ち着かなくて仕方なくて必死で。

「あ、あのっ、もう限界なんですけどっ」
「ぼ、僕もっ!」
何が限界って、そんなこと聞かなくてもわかる。

「よーし、そのままトシアキの顔面に発射しちゃえ」
「え?」
止めることも回避することもできなかった。そのまま俺は白い液体を浴びてしまった。



「うぁ……」
べとべとの液体が俺の顔面を流れている。
かつて自分でも出したことのある怪しい液体を、まさか顔面で受け止めることになるとは。
特有の匂いが鼻につく。

「「す、すいませんっ!!」」

やってしまったことに二人は平謝り。一方で

「いーんだよいーんだよ」
「予定通りなんだからさぁ」

フォローする両サイドの女子。一方で浴びた俺はちょっと呆然。そして思考が刺激される。
なんだこれ、オスの、嫌な匂いのはずなのに、すごく、好きになってしまう。
なんか、いい匂い? あ、なんだか、ぞくぞくしてくる。
寒さ、悪寒、そういうのじゃなくて、混みあがってくるのは、興奮?

「いい顔してんじゃんトシアキぃ」
「俺も最初はそういう不思議に気分だったぜぇ」

俺の反応を察したように二人の女子先輩は囁く。そして

「あ、んっ!?」

俺の顔についた白い液体を。舐めとっていく。
ただ舐めているんじゃない。時折俺の唇に触れて、侵入を試みてみたり。
何回かそれをされて、次第に拒否せずにそれを俺は受け入れて。
軽く舌を触れ合い、唾液交換、ではなく精液を口移しされて。
あ、セーシってこういう味。ほろ苦くて、どこか甘い。やば、ずっと味わっていたい。
そんな女同士の出来事をの前の二人はゴクリと唾をのんで見守って。

「蚊帳の外じゃねーぞおい。さっそく本番だからな」

精液の味と香りを堪能している俺はスキを突かれた。ハルタカとアキマサによって俺の脚は抱えられ、開脚される。
かぱぁ、と開かれた脚。その中央には当然のように、アレが。
ショーツはしている。だが、隠す機能はない。中央に開いた切込みで、アレが、丸見え。
女の子の、秘部。そこはここまでの出来事ですっかり濡れて、とろっとして、ぐちゃぐちゃで。
こんな見られて、恥ずかしいという思いがあるのに心のどこかで嬉しさも混みあがっている。
これじゃ痴女じゃねーか。と言いたいが、それもまた否定できないでいて。

「それじゃノブヨシ君から来てみようか」
「は、はい」

緊張しつつ答えるノブヨシ君。一方の俺だって緊張していた。
本物の、男のアレが、近づいてくる。
ディルドーとか、作り物なんかじゃない。正真正銘の、ホンモノ。
そこまで大きくないから、痛くないだろうけど、と考えるが、それでも本物が近づいてくることに緊張する。
言い換えれば子供が注射されるのを見て緊張してしまうような。
ああ、刺すという意味ではあってるな。でも緊張感は全く別物。やっていることも全く別物。
ためらいなく近づいてくる、俺の、女の子に。
来る、来ちゃう、挿入されちゃう。あ、あ………

にゅるっ

入って、きたあぁぁぁっっっっっっっっ♪
お、俺の中で、熱いものが、じゅくじゅくって音立てながら。
その音って俺のラブジュースのせい? そのことに気が付くと、ヤダ恥ずかしい。

「い、いいですっ! トシアキさんサイコーですっ!」
素直な感想を口にするノブヨシ君。ゆっくりゆっくりと侵入して一時停止。
ああ、気持ちいいセックスのレクチャーにそういう手順があったなぁ。

「でもこれで終わりじゃないから今回は。うりゃっ」
「ひゃっ」
「わっ」

キヨヒコによって俺たち結合したまま動かされる。
ころがされて、立ち位置が逆になって、俺が上になって、ノブヨシ君が下になって。

「よーし、この姿勢で後ろからヒデナガ君、来てみようか」
「え?」

後ろから? それってどういう意味?
いや、何となく察しているけど、ひょっとして、後ろっていうのは……

ずぶり

「ひゃふぁぁっ!?」
や、やっぱりお尻の穴、アナル!?
しかも既に前に入ってるからこれ、2穴刺し!?
ダメこれ、前から後ろから両方攻められちゃって……

「ら、めぇっ、しゅごぉ、いぃっ……」
「すげえっす、トシアキさんっ!」
「初体験が、こんな……」

あ、すごっ、お腹の中で2本が、ねっとりぬっとり動いて。
体が、どんどん熱くなって、すごくビンカンになっちゃって。
ああ、ダメぇ、もっと、体中、攻めてほしい……

「ねえ、こっちも、おっぱいも……」
「わぷっ!?」

乳首が敏感になって、うずいちゃって。切なかったの。
だから開いているおクチで、ノブヨシ君に、チューチューしてほしくて。

「んぶっ!? こ、これって……」

あはぁ、母乳また出てきちゃったぁ。
あふぅ、いいっ。もっと吸ってぇ。いっぱい、俺のおっぱい飲んでぇ。
あんっ、そうそう、ヒデナガ君。後ろから片方のおっぱい、それも、揉んでっ♪
ちょっともったいない。おっぱいがどぴゅどびゅ出ちゃって。

はうっ、そこっ! そこすごい敏感なところ、バレたら、重点的に攻められて……
んにゃっ! あ、やっぱ隠せなかった。そこっ、そんなされちゃったら……
あぁっ、前だけじゃなくて、後ろにも敏感なところが……
前から後ろから敏感なところが、攻められちゃってぇぇっ!

「いぃっ、いいのぉっ、しゅごすゅぎなのぉぉっ♪」
「すげーな、トシアキっ、んんっ……俺の時はあそこまでハマってたぁ? ぁっ!」
「どーかなーっ。よく覚えてっ、ないなー……」

完全に蚊帳の外だったハルタカとアキマサは二人で密着し、互いに互いのおっぱいとおマンコを揉みながら見学。
快楽に酔っているトシアキを実に満足げに見ていた。

「あふっ、はふっ……い、イクっ、イッちゃう、イッっちゃうぅっ………!!」
「い、いいっすかトシアキさんっ」
「ぼ、僕も……っ!」
「あ、やっ………いっ、イクうぅぅっっっーーーーーーーーーーーっっ!!」

体中に強い電流が走ったような、そんな勢いで。
痙攣し、全力を出し切ったかのように、脱力。
前に倒れこむ、そのせいで俺のおっぱいがノブヨシ君の体に密着。
どどめとばかりに母乳もいっぱい吹き出してしまって。
ああ、最高潮を迎えたばかりというのにまた……俺の中で、スイッチ入っちゃって。

「ふふっ、いい感じだねぇ3人とも」
一戦終えた俺たちに近づくキヨヒコ。
自然と俺たちの結合は解除され、ばたばたと床に倒れこむ。
どろって、俺の下の前から後ろから出てきたぁ。それすらも満足そうに観察している。
上は上で母乳だし。もう全身ぐっちゃぐちゃですよ。

「まさかこれで終わりって思ってないよな」
「「「へ?」」」
「おいおい、俺らはまだなんだぜ?」

あーそういうことね。
「それにまだまだプレイメニュー残ってんだよ」
「えーと、ダブルパイズリと、69と、尻ズリと……」

あはは、俺達にどんだけやらせるんだよぉ……



― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



「そういえばあのサブカルの二人ってどーなった?」
「あ? 例に漏れずあいつらも女に……」
「いやいやそーじゃなくて、どんな感じだってよ」
「ああ、小太りだったノブヨシは背が低くなってロリ巨乳で、ひょろっとしてたヒデナガは背高いモデルみたいになってた」
「ほー、個性強いなぁ」

それでもスタイルのいい女になるってところは変わらないがな。
それにしても……

「もう、9割は女子かなぁ」

クラスを見回せばすっかり増えてしまった女子、女子、女子。
スタイルの良さから誰が元男子だと思うだろうか。

「昨日は1年の元気いいのひっかけてよぉ」
「マジか、お前年下狙いか」
「見ろよ、今日はこんなしてみたぜ」
「うわバカじゃねえの!? 前バリはねーだろお前」

……まあ、やってることがエロ男子だから何となく察することができるが。
俺も人のこと言えない。
あれからも何人かの男子とヤッた。
リクエスト、っていうか、やりたいっていうやつが多かった。
まあこんなMカップしてんだ。そりゃあ興味津々だわな。
ちなみに男子だけじゃなくて、女子もいたけど。ああ、一応全員男子か。
なにせ俺が母乳出るって知られてしまって。せめてそれだけでも飲ませてほしいって声が殺到して。

おかげで俺の相手は予約制にまでなった。それぐらい人気になってしまった。
そのリクエストを俺は余り断らなかった。ほぼ全部受け入れて相手した。
何故って? 俺も結局スケベな男子だってことかな。それとも淫乱女子かな。
そういう意味ではみんなと同じだな。時折街を歩いていると、男女問わず物色している自分がいて焦った。

「あー、お前ら席につけぇ」

担任が来て朝のHRが始まる。この担任も女になって色々男を物色しているって噂だが、今はそんな様子微塵も見せない。
出席をとって何のかわりもなくすすめられるいつもの光景。
だが確実に女子が増えていることをいつもの光景と言えるだろうか。
ふと隣を見てやる。数を少なくしてしまった男子の一人が肩身の狭い思いをしているように見える。
HRが終わったのを見計らって、その男子に俺はそっと語り掛ける。

「なあ、お前も女にならね?」
ショーツの中がちょっと濡れたのを感じ取った。



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