F4片「後日//家族」
「それじゃ撮るよ、2人とも?」
「はーい♪」
そう言いながら撫子さんがカメラのシャッターを切る。
ビキニ姿の俺と、白のワンピース水着を着た縁が俺の首に腕を回して抱き着いてくる。
今日は家族4人で海に出かけている最中だ。
あれから撫子さんも娘を産み、俺たちは4人家族として過ごしている。
気付けば縁もすっかり中学生くらいに育ち、日々を忙しく楽しそうに過ごしている。
「ねぇパパ、今度は美月と一緒っ」
「はいはい。そういうことだから縁は離れてねー?」
「うーぃ。みーちゃん、パパ取っちゃダメだよ?」
「それはどうかな?」
にやりと笑う次女の美月は、俺の腰の方に抱き着いてくる。
ぎゅっと抱き着かれると、美月の腰に手を添えてそっと抱き寄せる。美月も嬉しそうに俺の方へさらに強く抱き着いてきた。
「あらあら妬けるねぇあなた? 娘に浮気しちゃダメよ?」
「しないってば」
娘は俺を奪い合うライバルと認識してるのか、おなかを痛めて産んだ娘を牽制するように撫子さんが、またシャッターを切ってくれた。
俺たちが借りているプライベートビーチで、女家族4人水入らずで過ごしている。
アレから俺たちは平和に過ごしている。
蒼鬼に襲われることも無く、神様がいってた存在に出会うことも無く、平和そのものだ。
…まぁ、それはそれとして、
「ねぇみーくん、勃ってきちゃった」
「パパ、わたしも」
「2人とも元気ね。それはそれとして、あなた」
3人とも休みの日だからと、股間に男のちんこを『接続』した状態で遊びに来ているのは、まぁいかがなものかと。
「…撫子さん、おいで」
「それじゃお言葉に甘えて」
「パパ、ちゅーちゅーしてぇ」
「あー、みーちゃんズルい! みーくん、私も私もぉ」
挿入してくる妻と、フェラをねだる娘達を同時に相手にするには、ちょっと体力の衰えを感じ始めた昨今です。
おっかしぃなぁ、毎週ジムに通って運動はしてるはずなのになぁ。
「はぁっ、はぁ! やっぱりあなたのおまんこ、すっごい気持ちいい」
「もう、そんなに、突かないでぇ…! 3人目、作っちゃうの?」
「それも良いわね…! 今度はまたあなたが産んでねぇっ」
「あっ、あっ パパ、せなかゾクゾクするぅっ」
「みーちゃんの先っぽ 私のおちんちんとキスしてるぅっ」
「ゆかりちゃんっ、ちゅーしよ、ちゅー」
「甘えん坊さんなんだから、みーちゃんはっ ちゅー」
俺に腰を叩き付け、精液を注ぎ込む撫子さんは恍惚の表情で震えていて、俺にフェラをされている2人の娘は嬉しそうにキスをしている。
その光景を見ながら4人で一つになるのは心地が良く、家族としてのコミュニケーションはこれ以上ないほどに濃密だ。
勿論それだけで終わるはずもないし、俺が抱かれるだけで終わるはずもない。
3人が射精しひと段落したところで、俺も自分のちんこを3本取り出す。
元々のちんこと、いらない人から『分解』してもらってきたちんこだ。
俺のちんこを股間に、2つのちんこを掌に『接続』して、準備完了。
「「「はぁぁぁ…っ」」」
「んぅぅぅ…、やっぱり3人同時挿入、良いなぁ…」
股間のちんこで縁を貫き、両手のちんこで撫子さんと美月を貫く。
3人同時に挿入される感覚が味わえ、俺も愛する妻と娘たちを同時に愛せる感触に体中が震える。
「あぁん、みーくんのおちんちん、久しぶりぃ」
「パパ、パパぁ もっと突いてぇ」
「あなたこそ、また私を孕ませるつもりなのかしら」
腰の動きと腕の動き、それぞれを独立させながら頑張って3人を愛していくと、射精感が脳に走る。
けれどこのまま出すわけにもいかず、全員がイくまで俺は射精をしない。耐え忍ぶ事は得意だし、何より全員の事が大事だからだ。
そしてそれぞれがそれぞれのちんこを貪りながら、絶頂すると同時に俺も射精する。我慢し耐えていた分、大量の精液が3人の中に注がれる。
3倍分の虚脱感に襲われながら体を砂浜に横たえると、今度は縁が俺に挿入し、俺に質問をしてきた。
「ねぇみーくん、今幸せ?」
「…何を今更。これが幸せ以外であるもんか」
「…良かった」
そのまま俺達は海で遊ぶことなく、日が落ちるまで家族でセックスし続けた。
勿論日焼けしたのだが、水着跡なんてできるはずもなかった。全員すっぽんぽんだったしね。
F5片「就業//秘密」
さて、これでも俺は二児の父親であったりする。見た目女性でも父親だよ?
二人の子供を育てるには思っていた以上にお金がかかったりするもので、洗脳した大勢の人々によるカンパに助けられてはいるものの、俺もきちんと働かないと家計を支えるのは難しい。
撫子さんの教師という仕事先、そしてその同僚たちから白い眼を向けられない仕事というのも、また難しかったりするものだ。
なにせ見た目の段階で「女同士の夫婦」なんて言われることもあるからね。失敬な。
という事で現在の俺がやってる仕事と言えば、
「もしもーし、荒居先生ー。明日締め切りですけど原稿大丈夫ですかね?」
『あぁ羽張さん! すんませんすんません! もうちょっと待っててください!』
小説家相手の編集者業だったりする。
「男の戸籍で女の姿」という、一見めちゃくちゃな状態の俺でも、零細出版社の社長さんに「だがそれが良い」とばかりに採用してもらい、今はこうして作家さんへ現行の督促をしている。
昭和の香りが残るオンボロアパートを前にすると、室内からうなり声が聞こえてくる。
あぁでもないこうでもない。どうすれば良いのか、と言わんばかりの悩み方だ
「入りますよー」
ノックと共に一声かけて扉を開くと、案の定荒居先生がパソコンの前でうなり続けていた。
「あぁやっぱり。今月はずいぶんスランプになっちゃってますね」
「羽張さん…、すんません、どうにも筆が止まっちゃいまして…」
30前の若手小説家である、荒居黒星(あらい・くろぼし)先生は、俺の顔を見て頭を下げている。
どうにも筆のノリが悪いようで、原稿の進みがよろしくないようだ。
「問題があるようでしたら相談に乗りますよ? 話の展開とか、キャラの言動とかに悩まされてる感じですか?」
「あぁいえ、それは大丈夫です。色々相談に乗ってもらったから、その辺のずれは修正可能でしたから」
「それは良かった。だとすると、どういう事で悩んでるんです?」
「それは、その…」
ちらりと、荒居先生の視線が俺の体に向けられる。年を取っても形の崩れない綺麗な胸に。
「…あ、なるほど。行為による描写に悩んでる感じですか?」
「……はい、そうです…」
ちなみに俺の担当している荒居先生。こう見えても官能小説家だ。
凡そ公言しづらい事で収入を得ている人ではあるものの、ちょっと気弱な所が気になるかなくらいの人ではあるが、良い人であることは間違いない。
なにせ原稿は遅れはするものの落としたことは無いのだから。
「じゃあ荒居先生。今回も…、『交換』してみますか?」
「…………、お願い、します…」
俯き顔をそらしながら、彼は俺の言葉にうなずいた。
「んあぁっ! は、羽張さんっ、そんないきなり…っ!」
「いきなりじゃなきゃダメでしょう? 今回の相手、前戯もなしに挿入されるんですからね」
「だからって、こんなにキツいなん、て…! っふ、ぅぅ…!」
俺と荒居先生は体を『交換』して、セックスをしていた。
なにせレイプに近い行為を話の中で書いているのだ、それに対して「女」がどういう風に感じるのか。それを知れる手段があるのだから、彼はそれにのめり込み始めていた。
「でもっ、羽張さんの、体…っ、気持ち良すぎて、これじゃ、すぐ感じちゃ、うぅ…!」
「だったら、そういう形に修正したらどうですか? 口では嫌がっても、すぐに感じちゃうビッチちゃんだったって事で…!」
「それは、はんっ! それも、アリですかねぇ…っ」
俺は荒居先生の体で、荒居先生が使っている「俺の体」に挿入し、犯している。
さすがに娘を産んだだけあって感じやすくなってる体だ、荒居先生もトリコになるしかないだろう。
今回書いてる作中の男のつもりで、目の前の女体を犯しぬいてやるつもりだったが、荒居先生はすでに甘い息を漏らし始めている。
やっぱりビッチちゃんに書き直した方が良いんじゃないかな、これ?
「あぁっ、ダメっ、イっちゃう! イっちゃいますぅ!!」
「早すぎるよ、本当に…、っ!」
かく言う俺もイって、精液を外にかけることにした。中出しは浮気だよ、うん。
「それで、どうです? 改めて女体の感じ方を知った感じは?」
「その…、やっぱりすごかったです。男の時は違う、全身に甘い疼きが広がる感じがして、脳が蕩けちゃう感じは、男としてのセックスじゃ考えられませんね…」
「無理やり犯しましたけど、“される側”の感覚も解りましたよね?」
「はい…。強い力で押し倒されて、無理やり犯される恐怖感っていうのも味わいました。これは…、トラウマになるかもですね」
「それじゃあ存分に作中の子にもトラウマを植え付けてあげてください。後は出来ますよね?」
「はい…! やってやりますよ…!」
どうやら荒居先生はやる気になってくれたようだ、何より何より。
先程まで犯されていた体は『交換』によって俺の体に戻っているが、犯されていた事への影響が無いわけではない。当然ながら、犯されたことで体がまだ疼いている。
これは帰ったらセックスかなー。とぼんやり考えていると、荒居先生はすでにパソコンに向かい、筆を走らせていた。
随分とすっきりしたようで…いや、先程の絶頂の感覚がまだ影響しているのかな?
「それじゃ荒居先生、差し入れ冷蔵庫に入れてありますんで、ひと段落したら食べてくださいね?」
「あ、はい。いつもありがとうございます」
私生活がズボラな先生用に作ってきたご飯のおかずを入れて、俺は一度編集所に戻った。
これで明日には原稿が上がりそうだ、よしよし。
F6片「年輪//化粧」
さて、上の娘が中学生になればなったで、当然ながら俺達も年を取る。
結婚当時大学生だった俺は既に30代半ばだし、撫子さんも40が近い。当然ながら「美」は加齢とともに衰えていく。
化粧品や道具というのを、外見を整えた当時は大した事とも思っていなかったが、今となってはよくわかる。これがあると無いとでは大分違うのだ、本当に。
「んー…、とはいえ、ちょっと見た目は整えたい気分もするけど…」
「どしたのみーくん? 外見変更のお話?」
「ちょっと考えたけど…、今はやめようかなって」
「ほへー」
縁が化粧をしている俺の傍に近づいてあれこれ言うけど、かくいう彼女も元は「撫子さん」だったのだ。見た目を整える事の重要性位理解している、筈だ。
いいなぁ我が娘はぴちぴちで。この表現古いかな?
「…まぁ、下手に色々やるとまた人外に目をつけられる可能性だってあるしね」
「その方が良いと思うけど、やっぱり私としては両親には美人でいてほしいなと思います」
「好きに言ってくれちゃって…」
胸だって千切れてきたクーパー靭帯を一個一個『接続』していって形を整えてるという、細かい努力をしているのだ。これが意外と徹夜作業だったりするので、それで次の休日が潰れかねないあたり、体力の衰えも感じ始めている。
いやぁ、若い時って短いんだな。
…本当に、若い体でも調達して一時の子供ライフをエンジョイでもしようかと思っている辺り、俺の中の悪い虫は今でも疼いている。
でもやらないよ。あの時の恐怖は今でも鮮明に思い出せるのだから、誰がその恐怖の中に好きこのんで突っ込んでいこうというのだ。
「あ、そうそうみーくん。今月分の化粧品きたよ。なーちゃんの分も一緒」
「おっと、ありがと、縁」
「えへへー♪」
郵便物の連絡をしてくれた縁の頭を軽く撫で、リビングに行くと、そこには二箱の郵便物が届いていた。
中身は縁が伝えてくれた通りの化粧品。基礎化粧品の組み合わせボックスで、俺や撫子さんはこれを愛用している。
元はと言えば休日、家でのんびりしている時にやってきた化粧品の営業の人に勧められたからで、もう5年位愛用している。
だって本当に効果があるのだからしょうがない。効果が無いと思えば返金処理もしてくれるとの触れ込みで、じゃあ騙された気分でやってみるかと思ったのだが…、これが思った以上に効果があった。
俺の肌は当時14歳くらいの少女から『分解』してきたモノだったが、それでも当時と比べれば経年劣化してきている。それでも効果があると思った位なのだから、かなりの代物だったと思う。
…まぁ、女性で夫婦関係という俺達の事を驚いた眼で見ていたが、すぐに理解してくれた辺り、大分柔軟性の高い人だったなと今更ながらに思う訳で。
撫子さんに化粧品到着の事を教えると、抜き打ちテスト製作に頭を悩ませているようだった。
ベッドの上には美月が横になっており、撫子さんのスマホでゲームをしている。
「あ、パパ。ボディメンテ終わった?」
「今日の分はね。お待たせ美月ー」
そのまま美月を抱きかかえると、撫子さんの邪魔にならないよう一度部屋から退散する。
お出かけ用の化粧も終わったし、今日の夕食用の食材を買いに出かけるとしよう。
「それじゃ3人で買い物だー」
「「おー♪」」
ちょっと遠くの、外国資本の巨大スーパーに出かける事にして、色々購入することしばし。
不意に美月が俺の服の裾を引っ張り、ある方向を示してきた。
「…パパ、あれ、あれ」
「…をぅ、アレはまた…」
見てると、ある婦人のハンドバッグの中からはみ出ていた財布をスろうとしている不届き者がいて、いち早く発見した美月がそれを教えてくれたのだ。
彼女はこんな感じで色々と勘がいい。良縁、悪縁といった物を瞬時に見分けて、俺や撫子さんに報告してくれる。
そのおかげで仕事先の上司との関係を考え直す事ができたのだから、ホント娘に助けられてるよ。
そんな事を考えていると、縁が俺の常備しているテグスを奪い取って『接続』・手の延長にし、スろうとしている男の手に触れさせる。
直後、『分解』で彼の手首だけを落とすのだった。
突然響いた悲鳴に、スられかけている事に気付いた婦人は距離を取り…、あ、財布落とした。
慌てて財布を拾って離れていく。残るのは利き腕が落ちて、くっつけようとあがいているスリだけが残っていた。
「うぇーい、みーちゃんお手柄ー♪」
「うぇーい、ゆかりちゃんすごーい♪」
娘たちはハイタッチをしながら、お互いを称えているが…、
「こら縁。勝手に能力を使うんじゃありませんって何度も言ってるでしょ?」
「えー。だってみーくんやろうとしてたじゃんー」
「それはそうだけど、せめて一言伝える事。良い?」
「…はーい」
褒められると思っていたのだろう行動を咎められ、少しだけむくれ顔になる縁だったが、俺はその頭をそっと撫でる。
「でも、確かに縁の言う通り、俺がやるつもりでいたからね。俺の代わりにやってくれてありがとう」
「…うん!」
そして泣いた烏がもう笑い、やっぱり間違ってなかったのだと言わんばかりのどや顔を見せる。
悲鳴を上げているスリの方に、警備員が寄ってきたけれど、俺達は買い物の続きをする為にその場を離れていくのだった。
さて、今日の夕食+しばらく分の買い物を済ませておかないとね。
今日のご飯はオムライスで、お手柄だった二人の娘にはプリンを付けておくことにした。