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Patchworker Fragment

2020/10/04 14:20:29
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F10片「上司//社長」

「なるほどねぇ、本条君は絡み酒か」
「それなりに酒癖の悪い人を知ってると思ってましたけど、アレは彼女以上でしたね」
「すまなかったね。ちょっと周りの人にも薦めないよう言っておくよ」
「お願いします」

さて、今俺が話をしているのは、ぶっちゃけると会社の一番上の上司、つまるところ社長だ。
この向出版社の一番偉い人にてして、明らかにおかしい俺の採用をしてくれた人という、ちょっと一方ならぬ恩がある人である。

「それで、羽張君が私の所に来たのはそれだけかい?」
「主だった内容はそれになりますね。後は…、何と言いますか」
「歯切れが悪いな羽張君は。もうちょっとしっかり言ってみたまえ」
「それじゃあ言いますけど…、その体、どうします?」

向昭壱。60歳も間近な人だというのにかなりフランクな人で、プライベートな時では俺の事も君付けで呼んでくる。しかし仕事をしている最中だと、社長と部下という上下関係にはそれなりに厳しい人でもあるという、メリハリのついてる人物だ。
…という事で、今の所俺たちの関係はプライベートな物であり、それなりに着やすい間柄での話をしている状態なのだが…、

向社長は自分の頭の下、体を女性のモノに挿げ替えられていた。しかも現在の姿はバニーガールである。

「いやぁ…、やっぱり羽張君の能力はすごいね。これをされると若返ってる気分だよ」
「事実若返ってますけどね、体の部分は」
「それに女性の体というのは…、何度感じてみても素晴らしいな。在りし日の妻はこんな感覚で私に抱かれていたのか…」

かつて。
俺がこの向出版社に採用されるにあたり、一度詳しい話を聞きたいという事で酒の席を設けられたりもした。
仕方ないので俺は全部話すことにしたのだが…。

『なるほど。では私の体も『分解』したり『接続』したりできるんだね?』

と、普通なら信じられないようなこともアッサリ信じてくれた。驚きと同時に、理解者を得られるような感覚がしたのは間違いない。
少しばかり舞い上がってしまったのも、ちょっと無理はないだろう。

勿論デモンストレーションとして、お互いの腕を付け替えたり、徳利と手を『接続』したりと色々やってみた。何度も言うが個室で助かった。
それを見た社長は目を輝かせて、こんなことを言ってきたのだ。

『できるなら羽張君、君に一つ頼みがあるんだ。私の体を女性のものにできないかね?』

さて、これで「できます」というのはぶっちゃけ容易い。学生時代にいくつか作っておいた拠点には、実はまだ体が残ってるし、実家には江美ちゃんに着けている人形頭たちも存在している。そこから体を見繕えばいいだけの話だ。
それでも一つ気になった事は、どうして、という事だ。

いくら俺でも理由が無ければ行動に起こしはしないし、下手に挿げ替えをすることもない。乙木達?あれは理由があったからだよ。

『実は…、この年齢にして「女」というものに興味があってね…。羽張君は知ってるかい? ギリシャ神話のテイレシアスという予言者の事を』

どこかで聞いたような気もするが、社長はそれの存在を懇切丁寧に説明してくれた。
男から女になり、また男に戻った存在は「男と女、どっちが気持ちいいのか」と神の夫婦に問われた。

女の方ですね、と俺は答えたし、女の体を使っていることもすっかり告げていたので驚かれはしなかった。

『なるほど。女性の体を使ってる羽張君がそういうのなら、そうなのかもしれない。…だが私は自分の身で体験してみたいのだ。男と女、どちらの方が気持ちいいのかという事を』

なるほどなぁ、と思い至る。多分向社長は好奇心旺盛な人なのだ。こうしたい、気になった事はやってみたい、という、ちょっと子供じみた人と言っても良い。
だからこそ男女の違い、性交の差を気にするのだろう。

少しばかり考えて、俺はその言葉に承諾をした。
…この時、せっかく内定をもらった仕事場から追い出される事や、この能力をバラされるのではないかという恐怖がないわけではなかった。
それでも出来うるなら、向社長も「こちら側」に引き込んで、女性の快楽のトリコにしてやるのも悪くないという感情が勝ったのだ。

それから、向社長は俺が用意した女性の体で日々の暮らしを送っている。
勿論人前に出る時は、もともとの体を『接続』させているのだが、こうしたプライベートでの接触時、向社長は女性の姿を楽しんでいるのだ。

「うぅむ…、名残惜しいが今日は元の体に戻しておかないといけないな。また頼めるかい、羽張君」
「それは勿論」

曰く、明日は漫画家の人と商談があるらしい。エッセイ漫画を描いてもらうにあたって、失礼の内容社長自らが出向くというのだ。
そこまでしなくても良いと思うけどな、と考えるけど、向出版社はそれ程大きくはない。だからこそ社長のフットワークを軽くしないと、という社長の意志の元で動いている。

「でもその前に」
「うむ、その前に。きちんとこの体の感度を確かめないとね」

目の前には社長の体を『接続』されたデリヘル嬢がベッドの上で体を横たえている。
向社長は数年前に奥方を亡くされてから男やもめの日々を過ごしていて、今ではこうして俺の能力を使う事によって、デリヘル嬢の体を楽しんでいる日々だ。
特別奥方や子供たちとの仲が悪かったわけではないが、一人になった事で埋める「何か」を欲しがったのだろう。
それが他人の能力頼みであることは、良い事か悪い事か。

「それじゃあ俺はちょっと出てきますんで、終わったらまた連絡してくださいね」

デリヘル嬢に軽く『接続』から洗脳し、この状況を受け入れるようにしておいて、俺は社長の家を出た。

F11片「錯綜//仕事」

「もうダメ…。ちょっと描けないわ…」

とか言っているのは、すっかり大人になった結城江美ちゃん。
年齢は「ちょっと」あ、地の文に割り込むのは反則。

かつて洗脳の実験台として扱っていた彼女も、すっかり一人前の大人になって今では漫画家になっていた。
俺の出版社とは別の所と契約を結んで、原作者付きの漫画を描いているが、オリジナルでも出したいという事で同人誌を出していたりもする。
普段は俺の実家を拠点にして、実家の管理人もやってもらっている訳だが。
ちなみに彼女、どk「それ言う必要ある?」だから割り込まないでってば。

「…で、今回は何がダメなの?」
「ちょっとね…、原作の先生と少し方向性でもめちゃって…」

彼女が言うには、原作の先生が進めるままだと、あるキャラが死んでしまうとのことだ。勿論それ自体は構わないし、意味のある死であれば問題はないと思う。
けれどどうやら読者人気の高いキャラらしく、このまま死なせれば読者離れが起きてしまうかもしれないとのことだ。

「編集さんも「原作の流れで行きましょう」って言ってるし…。でもこのままでいいのか悩んでるし…」
「まぁそうだよねぇ…。好きになってくれたキャラを死なせるのを悩むって、荒居先生も言ってたし」

作品の方向性を言ってなかった気もするが、荒居先生は色々書ける。この前はサスペンス書いてたし、今書いてるのはホラーだ。

「それ、羽張さんの担当作家さんよね。良いなぁそっちは。書く人と描く人が分かれてないんだもん」
「荒居先生の方でも悩んではいるみたいだよ。基本自分一人でしか進められないから、話の流れで悩んだ時は本当に筆が止まるんだし」

その為の編集でもあるのは解っているが、荒居先生が自分で書き進めた方が色々と読者人気も上がるのは解っていた。
本当にヤバい時はストップをかけさせてもらうけどね。

「…それでも筆が止まらないのは、江美ちゃんの良い所だと思うよ?」
「そう? それは嬉しいけど…、こっち趣味の方だからね?」

現在彼女が描いているのは、イベントに出す用の同人誌だ。オリジナルで描いてる作品は、江美ちゃんを追っかけてくれるファンの人にそこそこ売れているらしい。
そして同人誌から入って雑誌連載の方に行く人もいるらしく、彼女はきっちりとファンを作っていっているようだった。

「描けないのはお仕事の方?」
「そっちは話を終わらせないと、こっちの作業に移れないからね。とりあえず進められる方を進めてるだけよ」
「精力的だね、本当に」

やりたいことをやれている、というのは本当に生き生きとしていると思う。これが趣味だからこそ続けられるし、続いていくものだとも思う。
モニターに向かい合ってる江美ちゃんの表情は、楽しそうにしている。

「……羽張さん、ちょっと構成の確認とかお願い」
「良いよー」

ある程度進んだのか、江美ちゃんは俺にこんなことを頼む時もある。
漫画かと小説家の編集って大分やること違う気もするけど、それでも彼女は俺に頼んでくる。

「…良いんじゃないかな。話の流れもおかしな所は無いし、2人が夜の街に消える理由も文句ないと思うよ?」
「ホント? あーよかった…」

そう言いながら彼女は椅子に体を預ける。
原作を貰って漫画を描いている関係上、今は下手なことはできない。具体的に言うと作者のイメージを守るため健全な物しか描けないのが、ちょっとストレスの溜まる理由なのだという。
自分一人で書いていくなら、健全だろうがエロだろうが問題無いはずだ。全部自分で背負えばいいのだから。

「じゃあ次のイベントはこれで行くとして…。…やっぱり話は置いていたものに戻るのよね」
「そうだね。仕事上、どうしても横に置くことしかできないからね」

話は原作者さんとの確執に戻る。とはいえ、江美ちゃんの口ぶりからそこまで大問題には発展してなさそうなのだけれど。

「…これを門外漢の羽張さんに言うのもなんだけどさ、どうしたらいいと思う?」
「そりゃぁ…、ディスカッションするしか無いんじゃないかな。江美ちゃんがもうちょっと劇的に死なせたいのなら、原作者さんに打診するしかないよ」

「それもそうか…。今まで普通に二人三脚でやってたから、今更あーだこーだ言い合うのもなぁって気分になるのよね」
「それも複数人でやる話の問題であり、醍醐味かもしれないよ? 一人でできないことを二人でやるんだからね」
「…うん、わかってる。避けては通れない道なのは知ってたから」

落としていた顔を上げると、江美ちゃんの表情は少し覚悟が決まっていた。今まで描いてきた自分の子供を、自分の納得できる形で死なせてあげたいのだ。
その為に必要な事ならやるべきだという覚悟が、彼女の表情から見て取れた。

「それに、雨降って地固まるかもしれないし。場合によっては原作者さんと結婚することもあるかもしれないよ?」
「え、無理無理。原作者の人って女の人だよ?」
「あ、そうなんだ。…でも問題無いよ?」
「そりゃ羽張さんの能力があればね」

まさか女性同士で組んでたとは思わなかった。でも女性同士でも何の問題も無いと思えてしまうあたり、随分自分の中の常識も危うくなってきたかもしれない。

…仕方ないか、(見た目)女同士で結婚してるしね。

F12片「世代//遊戯」

さて、今日は基樹君だけがウチに遊びに来ている状態だ。年の近い、それでも年上の縁が彼とよく遊んでいる。
子供同士の出来事だから、親はできるだけ干渉しない方が良いかなと思ってはいるが…。

なにせ縁は元・撫子さんであり元・神様で、なおかつ俺の能力を受け継いでしまっている。何をやらかすか分かったものではない。

…まぁ、大丈夫だとは思いたいけどね。

子供部屋にジュースとお菓子を持っていこうとしていくと、部屋の中からこんな会話が聞こえてきた。

『くっそー! 縁ねーちゃん強いよー!』
『んっふっふ、ジェンガで勝とうなんて無理無理。この手のゲームは私強いよ?』
『だったら別のゲームで遊ぼうよ! 縁ねーちゃんだけが勝つなんてズルい!』
『ほほぅ、だったら何が良いのかなー? ちょっとやそっとじゃ負けてなんてあげられないからね?』
『だったら…、アレが良い』
『アレ? あぁアレね。良いよー、基樹君も随分アレが好きになったものだねぇ』
『だって…仕方ないじゃないか。アレ、気持ちいいし…』

アレ? 気持ちいい? …なんか嫌な予感がするぞ?

『それじゃねぇ…、みーくんの所から拝借した…。じゃじゃーん! おっぱいとおまんこー!』

ちょっと。

『これを基樹君の体に『接続』して…、私にもおちんぽ『接続』して。準備おっけー!』

明らかにろくでもないことを我が娘はやってくれているのは確かだ。
しかも何ですか、人がせっかく集めたパーツをこっそり持ってきて基樹君に『接続』してるのかい?

…良いなそれ。

『じゃあイかせ合いで、先に出しちゃった方の負けね?』
『いいぜ。縁ねーちゃんに負けないよう、色々練習してきたんだからな?』

何で練習したというのか基樹君は。

服を脱ぎ合う間がしばし。
恐らく部屋の中では2人は全裸になって、それぞれのちんこをギンギンに勃たせ、まんこを濡らしているのだろう。
扉に耳を付けると、部屋の中からはくぐもった声と、水音が聞こえてくるのだった。

『んっ、っちゅ、くぷ…っ』
『はぁ、あむ、んっふ、ぅ…』
『んふふ…、基樹君のおちんちん、ちっちゃいのにもうムケちゃってる…』
『それは、縁ねーちゃんが無理やりやったから…』
『言わない言わない。それで大人の仲間入りできたから良いでしょー?』
『そんな事言って、縁ねーちゃんのまんこだってもう大人じゃん!』
『ひゃんっ! ちんちんいぢりながらおまんこは…っ!』
『女の人って、ここ弄られると弱いんだろ? 知ってるんだからな?』

ホントに何で知ったのかな基樹君は。
それはともかく、明らかに「子供」がやるお遊びの範疇を超えた、体の重ね合いをしているのは火を見るより明らかだった。
だってこんな会話聞いてたら、勘違いのしようもないじゃないか。

『何をー! こっちだって…! はむっ、ぢゅっ、ぢゅるるる…っ! んれぅれぅ…』
『ふゃあぁっ! ゆ、縁ねーちゃ、ん…っ!』
『おちんちんの高速バキュームとおまんこ弄りだー! さっき言ってた弱い所は、今基樹君にもあるんだぜー?』
『なん、でぇ…、そんなに、うまいんだよぉ…!』
『基樹君が勉強してる間、私だって何もしてない訳じゃないんだからねぇ?』

さもありなん。そもそも縁は普段から俺を抱いたり抱かれたりしている。
家族の仲は十二分すぎる位に円満だし、何より彼女は「撫子さん」として俺に抱かれてる時の記憶もあるのだ。女としての年季が基樹君とは全然違うだろう。

『うぅぅ…っ、ダメだ、出しちゃダメだぁ…!』
『ふっふっふ、我慢しすぎてもおちんちんに良くないぜー? ほぉら、気持ち良く出しちゃえっ!』
『ひゃんっ! おっぱいまで抓っちゃ、んきゅぅぅ!』
『おちんちん弄られてるのに出す声は女の子のものなんて、すっかり基樹君は女の子の素質があるんだねぇ。良いよ良いよー?』
『ダメ、ダメぇっ、また縁ねーちゃんに搾られ…っ、っふぅぅん!』

恐らく基樹君はイったのだろう。甘い声を上げながら身を震わせて、男としても女としても液体を噴き出して。

『ぢゅるる…っ、んっふぅ…。基樹君の精液、おいしかったぜぃ…! このまままん汁も…♪』
『はぁ…、縁ねーちゃん…っ、んっぅぅ…!』

その後。俺はしばらく間をおいて、再度お菓子とジュースを渡しに部屋の中に入っていった。
そしたらいやぁ匂うわ匂う、精液と愛液の匂いが。

仕方ないので基樹君の方に近づいて、質問することにした。

「大丈夫、基樹君? 縁に変な事されてない?」
「あ、はい…。大丈夫です。大丈夫…、です」

いっちょ前にそんな事を言う基樹君だけど、彼の服の中、胸のあたりがまだ膨らんでいた。おっぱいが取れてないぞ、我が娘よ。

「…まぁ、それなら良いけどね。もし何かあったら遠慮なく言うんだよ? 年の差があっても見た目が違っても、男同士だからね?」
「…は、はい…」

そんな事を言いながら、基樹君は俺を一瞬だけ見つめると顔を赤くして目を逸らした。まぁしょうがない、見た目こんな美人(自画自賛)だしね。
次に顔をあげたときは、何か覚悟を決めたかのような顔をして、こちらに視線を向けてきた。

「あ、あの、羽張さん。もし羽張さんが良ければなんですけど…」
「うん、何だい?」
「縁ねーちゃんに負けないよう、セックスの練習させてくれませんか?」
「…ちなみに、縁とはどこまでヤったの?」
「セックスは一通り…。あ、でも俺縁ねーちゃんに挿れた事無かったっけ…」

…ちょっと本格的に娘の教育方法を間違えたかもしれない。
あとで怒っておこうと決めた日でした。
短編集であるところの「Fragment」も、完結したので図書館に上げました。
ちょっと今回、1~3片と4片~とで時系列が違う為、ページの分け方を変えてみましたが、どんなものでしょうね。
罰印
0.500簡易評価
6.無評価きよひこ
作者が書きたいように書くのが大前提なんだけど、新作が思わぬ反響を得て困惑されてる様子なので少しだけ…
これまでのどの作品も、主人公の能力にブレーキをかけちゃうから盛り上がらなくなってしまうのでは?
11.無評価罰印
>No.6様
ご意見ありがとうございます。確かにその通りなんですよね…。
制限かけない方が良いのは解っているのですが、「能力には大なり小なり制限があるべき」という思想持ちなので、ついやってしまう感じです。
なるべく制限かけないようにしていきますかねぇ…。