「ん、ちゅ……」
太刀葉先輩の肉体を使って、あたしと若葉は抱き合ってキスをする。
先輩の匂いと若葉の匂いが合わさっていつものキスとは違う匂いを感じる。
相手はいつもと同じ若葉ちゃんだけど、使ってる身体が太刀葉先輩だから?
あたしより少しプルッとした舌の感覚、先輩と若葉ちゃんのおっぱい同士が潰れ合う感覚。どれも新鮮で、楽しい。
身体中にぞわぞわとした興奮が走り回り、頭の中がすごい速度でピンク色に染まっていく。
「ぷはっ……先輩の身体は、どう?」
「えへ、太刀葉先輩、ああ言っておきながら、素質は結構ありそう。このまま頭の中、あたしたちで一杯にしちゃお」
「…あ、ちょっと待って。せっかくだから雰囲気出してみない?」
「雰囲気?」
「そう。うーん…偶然女の子同士の情事を見かけてしまう太刀葉。
生徒会長として注意をしようとし、二人を生徒会室に連れ込む。
しかし、太刀葉は気付いていた。それを見たときに自分の中でくすぶる気持ちが生まれたことに。
注意をするつもりが、逆に若葉に誘われてしまい…とかどう?」
若葉の言葉を聞いてあたしは呆然としてしまう。
「…若葉。もしかして、もともとそっちの気あった?」
「えっ!?そ、そんなことないよ!?た、ただ、前にこんな本読んだことが…あっ」
自分が言ったことに顔を真っ赤にする若葉。本好きなのは知ってるけど、そういうのも読むんだ…意外。
「じゃああたしはお堅い太刀葉会長を演じればいいのね?」
「えっ、う、うん。じゃあ、お願いね」
意識を太刀葉先輩の方に傾ける…うん、やっぱり本物の私はそういった気にはなってない。…よし。
「…いい?私たち学生の本分は勉学なのよ?休み時間だし友達と遊ぶなとは言わないわ。でも、学校であんなこと…」
「あんなことってなんですかぁ?」
にやにやとして言う若葉。あ、そういうキャラなんだ。
「そ、それは…キ、キスよ!しかも女の子同士でなんて!」
「だってぇ、好きになったのが女の子だったから仕方ないじゃないですかぁ。ほら、私の彼女可愛いでしょ?」
そう言ってあたしの体の頬にキスをする若葉
「…ごめん、若葉。それは嬉しい」
「ちょっと、素に戻らないでよ。恥ずかしくなっちゃう…」
自分でやったくせに…と思いながら二人とも気を取り直して続ける。
「な…!あ、あなた…生徒会室でそんなこと…!」
「あれぇ?もしかして、うらやましいんですかぁ?ラブラブしてる私たちのこと」
「そ、そんなこと…」
「でも顔が赤いですよぉ?あ、そーだ。先輩も試してみたらわかりますよぉ」
「試すって…んっ!?」
口に何かが入れられて顔を押さえられる。これは…スティック状のお菓子?
若葉が口を開いてあたしが…私が咥えている逆端から齧り出す。
カリカリッ…カリッ…
彼女の顔が段々と近づいてくる…このままじゃ!
私は身動ぎをするが、顔を押さえられてうまく動けない。
カリッ、カリカリッ…カリッ…ちゅっ
私の唇に彼女の唇が触れる。そんな…彼以外に、それも女の子にキスされ…えっ、会長彼氏いるの?
えっ!太刀葉先輩、その彼氏とセックスまでしてるの!?お堅いと思ってたけど、やることやってるのね…
「そ、そんな…わ、私が、女の子同士でなんて…」
「ふふ、もしかして、初めてでしたぁ?」
そう言った彼女に再び私の唇が奪われる。
「太刀葉先輩の唇、やわらかぁい。気持ちよくないですかぁ?」
「そ、そんな、こと…っ」
「えー、でもぉ、息が荒いですよぉ?興奮してきちゃったんじゃないですかぁ?」
太刀葉先輩の感情としては驚きと怒りしかない。
だからあたしがフォロー。…女の子にキスされた。こんなのおかしいのに…この気持ちは、何?
「…先輩、何で逃げないんですかぁ?振り払おうと思えば出来るんじゃないですかぁ?」
「そ、それは…」
たしかに太刀葉先輩だったら、そもそも顔を掴まれる前に離れてる。
けど今の私は、神聖な学び舎で行われた背徳的な行為に惹かれつつある…という設定だ。
そして2度もキスを…「…ちゅっ。ちゅるっ…」
…3度だ。しかも今度は彼女の舌が入ってくる。驚きつつも私は体を動かせない。
彼女たちを注意するつもりで生徒会室に呼んだのに、どうしてこんなことになっているの?
彼女の小さな舌か私の口の中を蹂躙する。ああ、そんな。私、生徒会室でこんなことを…
「…ぷはぁ…ふふ、気持ちよさそうな顔してますよ?先輩」
この部屋に鏡はないけど、たぶんあたしとキスした後の若葉みたいなちょっとエッチな顔になってるな、私。
「ねぇ、先輩。もっと、気持ちよくなりたいですかぁ?」
天使のような声で、悪魔の囁きをしてくる若葉。舌なめずりをしながら襟元のスカーフを緩めている。
「でも私達は格調高い、この学び屋の一生徒。決してこんなことをするために学校に来ているのでは・・・、ああんっ!」
「まだそんなこと言っちゃって・・・ほら、ここはもうこんなに濡れちゃってますよ?」
若葉さんの細い指がスカートの中にするりと侵入し、パンツの中に潜り込んでくる。
彼氏に見られるのがなんだか恥ずかしくて、生えてくる度に剃ってツルツルにしてきた私の陰毛を容赦なくなで上げてくる。
生えかけの陰毛がチクチクとしてくすぐったい。
「ほら、エッチなことしたいって一言漏らすだけで良いんですよぉ?先輩もさっきから顔をトロトロにして涎まで垂らしちゃって…。
我慢は身体に悪いんです。知らないんですか?」
「わ、私そんな顔してない!」
あたしとしては自覚しているが太刀葉先輩として否定する。
「そんな嘘はいけませんよ、ほら」
若葉はそう言うと小さな鏡をこちらへ向けた。
そして"私"は見た、見てしまったのだった。
「これが…わたし…?」
鏡に映る少女は、笑っていた。笑みをなんとか隠そうとして唇をキュッと締めるけどすぐに悦びの感情を制御しきれずに唇の端がつり上がってしまう。
「これが今の先輩なんですよ、ほら。だらしなくよだれを垂らして、物欲しそうな目でこっちを見つめて、
ゆさゆさと腰を揺すってアピールしてる一匹の発情したメスイヌ。それが今の先輩なんです」
若葉さんの言葉が麻薬のように脳内に染み渡っていく。
鏡に映る少女と私を重ね合わせるだけでお腹の奥底できゅんきゅんと何か得体のしれないものが蠢き始める。
「言葉にしないと伝わりませんよ?本当に犬みたいにしつけてあげないと何もできないんですか?先輩は」
"犬みたいに"
その一言を聴いたとき背中にぞくぞくとしたものが走り抜けた。
「…先輩が嫌なら仕方ありませんね」
若葉さんが私からすっと離れていく…そんな、このままなんて…!
「ま、待って…!」
私が制止すると若葉さんはぴたりと止まり、どうしたんですか?という表情で振り返る。
これ以上言ったら戻れなくなる。私の理性が警告を告げる。
でも体はその先を求めている。相反する二つが心を縛り上げる。そして一方が勝る。
「…さい…」
「すみません、よく聞こえないので、大きな声でもう一回言ってもらえますかぁ?」
「…私を、淫乱なメス犬を躾けてくださいっ!」
ああ、堕ちた。私はもう、彼女に逆らえないメス犬なんだ。
「よく言えました♪」
若葉さんの顔が近づき、私の口の周りをペロペロと涎を拭ってくれるように舐める。
受け入れてしまえばもう楽だ。柔らかい舌先の感覚は快楽へと変換される。
やがて唇同士が重なり、若葉さんの舌が私の舌を絡めとる。
女の子同士のキスって、こんなに気持ちのいいものなんだ…♪
「んっ…んんっ!?」
再び若葉さんの手が私のショーツの中へと入ってくる。
今度はさらに深く、奥まで…女の子の大事なところに指が触れる。
快楽を受け入れた私のソコは、既に受け入れる準備ができていた。
「…ふぅっ…この手、どうしましょうか?」
唇を離して若葉さんが尋ねてくる。私の答えは決まっている。
「入れて、くださいぃ…」
切ない声を上げると若葉さんはにこりと微笑み、一気に膣内へと指を潜らせる。
「ああーっ♥」
彼のペニスより細いはずの指が、私を膣内を満たす。思わず声が上がる。
「素直になった先輩、かわいいですよ。ご褒美に、もっと気持ちよくしてあげますねぇ」
「ありがとう、ございま…ああっ♥」
彼女の指が曲がり、膣壁を擦り上げる。
もう声を我慢するなんて考えは起きず、私は若葉さんのもたらす快楽へと身を委ねる。
また唇が重なり、今度はお互いに舌を絡め合う。
くちゅくちゅと、口と私のあそこからエッチな音が漏れる。
「んっ…んっ!んんーっ♥」
唐突に強まる快感に体がびくりと震える。若葉さんの指が、Gスポットに触れた。
その感覚に目を見開くと、若葉さんも目を開いた。
私の様子を窺うように視線を合わせると、目で笑って指の動きを激しくする。
「んっ♥んんっ♥」
Gスポットを攻められた私は、若葉さんにされるがままになっている。
若葉さんの舌が、指が、私の体と心を満たしていく。
言葉で攻められ、口と秘部を犯されているにも関わらず、そのどれもが快楽へと繋がっていく。
そうか。私って、マゾだったんだ。
認識すると、注意するつもりで呼んだつもりが、逆に襲われているこの状況に興奮を覚える。
ここが学校の、生徒会室であり、禁忌を犯しているということも、私の心を昂らせる。
膣壁を擦られる度に下腹部へと熱が溜まる。抑えきれない熱は全身へと広がり、快感へと変わる。
たまらずに若葉さんの体を抱き寄せる。キスと愛撫を続けながら私の上にのしかかる若葉さん。
制服越しに乳房が押し付けられると下着が食い込む。その重さや痛みすら、気持ちよく感じる。
秘部の奥の熱は行き場を失ったかのように溜まってゆき、やがて…
「んっ、んんっ♥んんんーっっ♥♥」
爆発する。全身がびくびくと痙攣し、力が抜けていく。
「んっ、ちゅるっ♪ふふっ、先輩、イッちゃったんですねぇ♪アソコがきゅって締め付けてましたよぉ♪」
まだ胎内に挿しこまれた指が微かに動く。また体がびくりと揺れる。
「ほら、太刀葉先輩の愛液でぐしょぐしょ。きれいにしてくれますか?」
目の前に差し出された若葉さんの指を私は迷うことなく咥え、纏わりついた私の愛液を舐めとる。
「あはっ♪先輩の舌使い、エッチですねぇ」
「んむっ…ちゅぱっ…はいぃ…私は、すけべなメス犬ですぅ…」
自分の言葉が私を縛る。私、若葉さんのメス犬になっちゃったんだぁ…♪
「よくできました♪今日のことは、私と、紅葉と、先輩だけの秘密ですよ?
ちゃんとしてたら、今度は紅葉と二人で先輩をもっと気持ちよくしてあげますからねぇ♪」
「はぁい…♥」
二人に私の体を躾けられる…そう考えただけで再び下腹部の熱が高まった気がした。
「……紅葉、どうだった?」
若葉さんが眠っている紅葉さんに声を掛ける…?なんでこっちを向いているんだろう…
……そうだ、あたしが紅葉で、太刀葉先輩の体を乗っ取ってるんだった!
「……すごかった…です…」
まだ太刀葉先輩の意識が残ってしまっているのか、つい敬語になってしまう。
「よかったぁ。途中から本と違ったからどうなるかと思ったけど」
え、あれアドリブってこと?
「でも、これで太刀葉先輩に叱られることもなくなったね」
…そういえばそれが本来の目的だったっけ。気持ちよくてすっかり忘れてた。
「ついでに奴隷ゲット?」
「ど、奴隷じゃないよ?『おともだち』だよ?」
顔を赤くして否定する。まあ、奴隷は響き悪いけど。おともだち、かぁ…
「あっ、そろそろお昼休み終わっちゃうし、もう戻らないと」
若葉の言葉に時計を見る。たしかにもうすぐ時間だ。
あたしは自分の体が持ったスマホの乗っ取り解除ボタンを押した。