9片「整備//百合」
数か月前、空き家になった家がある。少し前までは人が住んでいた記録もあったが、夜逃げしたのか突然もぬけの殻になった所だ。
今じゃ手入れされていない筈の所は、ひどく埃っぽい。ライフラインも断たれて久しいので、掃除をしたとしてもこのまま使うのは正直に言って無理だ。
それでも今は、乙木の取り巻き…。千草、宇治、青海の3人の体はここに置かれている。
何故置かれているのか? 解ってみれば簡単な事だったのだが、ここは撫子さんの父親が持っていて、今は彼女の財産になっている借家だからだ。前に貸していた家族に逃げられた、と愚痴られた記憶もある。
逃げた連中が戻ってこれぬように変えた鍵を使い、家の中に入る。鞄頭になった乙木、迫間、都築もそれに続いて入ってきた。
「やー、手入れしてないと酷いねホント」
再度使う事になったため、電気と水道を通し直した家で、電気に照らされた家を見る。埃っぽい。
「埃っぽいですね。マスクをしてきて正解かも」
「みーくん、考えと行動を直結し過ぎるってお姉さんどうかと思うなぁ?」
「ひゃんっ」
俺の物になってる桂木の胸を、後ろから撫子さんが掴んできた。しかもピンポイントで乳首を狙ってきて。
甘い声が漏れても気にせず、くりくりと指先を転がしてくる。
「あのねぇみーくん、一応私協力者、ズブズブでもある程度の礼儀は持とうぜ、OK?」
「それは感謝して、ますけど…っ! ん、ふぅ…、放置してたのは事実じゃないですか」
「まぁね。…ねぇみーくん。ちゃんと手をつけて?」
性的な攻撃を避けるために撫子さんの手を外すと、当然ながら抗議の声が飛んできたので、仕方なしに返却。
「まずは此処、掃除しておかないとね。どこから始める? 居間か…、それとも2階の個室?」
「そこを重点的にやっておきましょう。…撫子さん、何か適当な物パス」
「ほい」
先に置かれていた男連中の身体も使う為、『頭』にするパーツを見繕ってもらう。出てきたのは、玄関に置かれた花瓶、キッチン棚に眠っていた鍋、小さなダストボックスの3つ。
それぞれを適当に『接続』すると、後ろで立ったままの鞄頭たちの様に、ゆっくりと立ち上がり始めた。
「それじゃ、リビングと個室の掃除をお願い。君達の感覚で綺麗にしてね。終わったら呼んで」
命令を下すと、それが正しい事だというように全員が一斉に動き始めた。家の中に残っていた掃除用具を手にし、迫間、都築、乙木はリビング、千草、宇治、青海は2階の個室に向かっていった。
「すげー、ずっりー…。みーくん奴隷が6人も出来たの?」
「みたいですね。んじゃ撫子さん、行きましょうか」
「どこへ?」
「掃除が終わるまで時間もありますし、女同士ってヤツ、体験してみましょう?」
「…乗った!」
ニヤリと笑う撫子さんの手を取って、一度家の外に出る。外に停めてある車の後部座席のシートを倒し、寝転がれるような状態にして中に入る。
車内で服を脱ぎ、下着姿になり合う。
「ふーむ、桂木さんの身体ってのも意外と良いな」
「どしたのみーくん? そんなにまじまじと見下ろして」
「見下ろせてしまうのが気になりますけどね」
小さな胸の間からは、薄い毛が見える。撫子さんの身体だとそうでもなかったんだけど。
迫間の方が胸は大きかったから、そっちを貰うのはアリかな?
「ホラホラ、見てるよりはこっちに触れてみようぜ?」
「っひ!」
遠慮なしに撫子さんは俺のモノになった秘所に触れ、指をこすりつけてくる。それと同時にまた、ちょっと嬌声が出てしまう。
「んー? その体って感度高い感じ?」
「かもしれません…。なんか、くすぐったいような、じわじわ来るような…」
「私以外を知ったみーくん…。こうして男になっていくのね!」
「身体はおん、にゃぁっ! 撫子さ、舐めないで…!」
俺の乳房から喉元にかけて舌を這わせながら、撫子さんは尚も秘所に指を当て続ける。思った以上に敏感な身体に少しだけ困惑してる。
「ほーらみーくん、体を横にして、私に全てを預けてみぃ?」
「お、お願いします…」
言われた通り横になり、少し濡れてきたショーツを脱いでいく。とろ、と愛液が糸を引いたような感覚がして、秘所が外気にさらされる。
「ほぉら、ここが女の子…って、みーくんはもう知ってるか。私を抱いてたし、私の身体も使ったしね」
わざわざ教える様に、秘所を広げて指を入れてくる。途中の言葉は投げやりだが、指先は精細な動きで膣壁を撫でてくる。
「んぁ、っふ…、桂木さんの体、ほんとに敏感…!」
「ほう。んじゃこうしたらどうなるかな?」
体の位置を変えて、撫子さんの顔が俺の秘所に向かう。舌が出され、広げられたそこを舐めた。
「んうぅ!」
「ちゅ、れろ、んむ…、うわ、ほんとに感じ易いんだね、おつゆが出るわ出るわ」
「そ、ゆこと、言わなくて良いですから…!」
「…んじゃ言わなーい。その代りみーくんの喘ぎ声、もうちょっと聞かせてー」
「えっ、んっひ! ひゃぁ!」
出てくる声を抑えながら、桂木さんの秘所から感じる女の疼きに身を揺らされる。
撫子さんはぴちゃぴちゃと、何も言わずにクンニを繰り返し、時折思い出したようにクリトリスを突く。
その度に背骨が抜けていきそうな感覚に襲われ、聞かせてしまいそうな声を止める為、口を強く抑えた。
「…むー、我慢するなみーくん!」
けれど突然、ぎゅっ、と敏感なクリトリスをつままれた瞬間、
「ひきぃぃぃぃっ!!?」
抑える事なんて忘れて、車外に聞こえそうなくらいに大きな嬌声を上げてしまった。
10片「実行//選定」
「あー…、は、ぁ……」
「んふふ…、知らない人の愛液でも、みーくんが出したと思えば結構イケるね」
ぼぅとした頭の中で、撫子さんが何かをごくりと飲み込んだ音が聞こえてきた。
何か…、あぁそうだ、俺は絶頂して、思い切り愛液をぶちまけたのだ。
膣内の快感がぶわっと広がる撫子さんの体の絶頂と違い、溜めに溜めていた快感の濁流が一気に脳に届くような、桂木さんの絶頂に晒されて、思考がまだ覚束ない。
「おーいみーくーん、お加減はいかが?」
「これが悪いなんて事は…、ありませんよ…」
散った意識を纏め直して、トップギアに上がり切った体をゆっくりとクールダウンさせていく。
「そっちの身体は敏感そうだね。だから処女だったのかな」
「敏感すぎて逆に疲れますね…、って、え?」
今言われた事が気になって、急に意識がハッキリしたような気がした。
「え、この体処女なんですか?」
「うん。くぱぁしたら処女膜見えたもん。写真撮って見せようか?」
「いや、いいです。…後で俺も確認してみますから」
「ふぅむ。彼女、意外とそこまでヤってはいなかったのかもね」
「ちょっと驚きましたよ、てっきり俺はもうヤってるのかと思ってましたから」
「貞操観念とかしっかりしてたのかも」
「どうでも良いですよ、彼女のことなんて」
…勝手な考えだが、俺は桂木さんのことは好きになれない。坊主憎けりゃの理論になるが、桂木さんの気を引こうと乙木が行動した結果が俺に来たのだから、大本である彼女の事はどうも色眼鏡で見てしまうきらいがある。
「…ま、良いんじゃね? 彼女本人の事は気にしなくても、その体だけは使うんだから気にしないとね」
「そりゃまぁ確かに。それじゃあ次は、俺が撫子さんにお返しする番ですね」
「わーいみーくんえっちぃー♪」
笑いながらも横になる撫子さんの上に、今度は俺が覆い被さる。
いつもの構図の筈なのに、いつもと違う女体同士の絡みは、俺に未知の快感を刻んでいった。
胸や股間同士を擦り合わせたり、互いにクンニをしあってみたり、時間を忘れて睦み合っていた。
何度互いに絶頂しただろうか、車内がすっかり女性の匂いに満ちた頃、俺たちの行為にもとりあえず一区切りをつけて、載せてあったスポーツドリンクを飲んでいた。
「あー…、うへへ、余は満足じゃ」
「そりゃアレだけやれば…。体取り換えたい…」
敏感な桂木の体だと、いつの間にか責められることが多くなっていた為、どうにも俺の方がダメージがデカい。
車内の後ろに置いておいた、俺本来の体に首を載せ替えて、とりあえず体のダメージから頭を切り離しておく。
「お、みーくん体戻すんだ。そんじゃ次はノーマルでヤるの?」
「それも良いんですけど、…どうやら家の方は一区切りついたみたいですよ」
にじり寄ってくる撫子さんを抑えつけながら外を見ると、鞄頭が外に出てきて戸を叩いた。
これである程度室内は片付いたんだろう。準備までが長かったが、ここからようやく出来るのだ。
「よっし、じゃあ遊ぼうか」
「まずはどんな体にするか、ですけどね。…桂木、俺の後を着いてきて」
飲み切った空のペットボトルを桂木の体に『接続』して、服を持たせて屋内に誘導する。
「…うーん。バランス悪い」
「そうですかね? 全員それなりな連中なんで、そこまで悪い気はしないんですけど…」
「男女のバランスが悪いんだよみーくん!」
綺麗にされ、カーテンを閉めたリビング内。服を脱がせた全員の体を並べて品定めをしている撫子さんは、そんな事をつぶやく。
まぁ確かに、男4人の女3人じゃバランスが悪い。もう一人くらい欲しかった気もするけど、あの場で欲をかき過ぎるのもいけない気がしたのだ。
一応、現在目の前にいる人物を列挙していこう。
男は4人。
俺を攻撃していたリーダー格の乙木。やや筋肉質の中背で、顔は…、まぁ悪くないと思う。性格は除くが。
取り巻き1の千草。コイツは中学生にも見えるくらいの小柄で、相応に顔立ちも幼い。ただしビッグマグナムだった。
次いで2の宇治。こいつは横に太いが、筋肉太りしている為、生半な方法じゃ立ち向かえなかった。戦えそうだけどヘタレだ。
水泳部にも所属している青海は、高い身長で脂肪の少ない体をしている。俺より背は高いので、少しだけ羨ましい。
女性は3人。
真ん中に立っている桂木は、まぁさっきまで俺が感じていた通りの体だ。敏感でやや胸の小さ目な…、実は処女だった奴。
迫間は太ってるとまでは行かない、ややふくよかな体格をしており、胸なんかは一番大きい。どんな感じ方をするかは未知数。
都築はバランスが取れてると思うが、安産型だ。腰回りがしっかりとしており、形の良いヒップが張り出している。
「…もう一つくらい女性の体が欲しいね」
「何でまた?」
「やっぱり色々と付け替えてみたいじゃん? だったら私たちの体も含めてバランス良く、5対5で考えてみたい」
「…ちょっと一言良いですか、撫子さん?」
「え?」
少し気になった事を、ちょっと逡巡しながら聞いてみる。
「撫子さんは男になりたいんですか? それともちんこだけが欲しいんですか?」
「……あぁ。そういや私男になりたいわけじゃないや、ちんこだけ欲しいんだった」
男の感じ方にかなり気が行ってた記憶は、間違いじゃなかったようで。
「でももう1人くらい欲しいですね、女性」
「探しに行く?」
「行きますか」
そういうことになった。