「ふぁ……なんだか胸の先ピリピリして……」
『そう、じゃあもっと強く力を入れてみて』
頭の中に響いてくる女性の声に従い、俺の胸にぶら下がる大きな乳房をおずおずと揉む。
「ん!あ……!」
そして、ゆっくり力を込め頂点を押し潰していくと、明らかに別の感覚が感じられた。
熱く熱を持ち、細かい泡がはじけるような感じ。
男の体なら試そうとも思わなかった、乳首から得られる心地よさ。
『どう?痛みはある?強すぎるとかあったら遠慮なく言ってね』
「いえ……痛くはないですし、これくらいならむしろ……気持ち、いいです」
これが女の子の体の感覚。
初めて味わうそれに、ぶるりと身震いする。
『ふふ、感覚のフィードバックレベルも問題なさそうね、それじゃあ次のチェックへ移るわよ』
次なる指示の声を聴き、俺はさらなる期待に胸を躍らせる。
何項目にも及ぶ確認事項の中には、女の子の性器の感覚チェックも入っていたはず。
早くそこに行かないかな、と。
「こう、ですか……?」
『そうそう、ええいいわ。男性に媚びるような表情も、とても素敵よ』
椅子に腰かけた状態で、大きく足を開き腰を突き出す。
アソコを丸見えにするような恥ずかしい格好をさせられ、恥肉を指で寄せ上げ、女の部分をこれでもかと強調する。
ぽってり膨らんだ大陰唇に深く刻まれたクレバス、それがストッキング越しにでもはっきり分かるくらいに。
「ああ……」
正面に置かれているのは、等身大の姿見。
そこに映る今の自分の姿を見て、思わず声が漏れる。
恥ずかしさを堪えつつも、これからの事への期待と不安が織り交ぜられた猫耳を生やした女の子の表情。
これが今の自分の顔なんだ、と、否が応でも教えられるような感じがして、顔が熱くなるのを止めることができない。
『そうよ、自分の姿をよく見て……それが今の貴女、ふたばという名の男性に奉仕するセクサロイドである事、
それを常に心の片隅に刻み付けておきなさいね』
計ったかのようなタイミングで掛けられた声に背中を押され、理性というブレーキから足を外し心を没入させていく。
演劇の役になりきるように、VRネットゲームで女キャラを演じるように。
ただそれが、女性型セクサロイドという仮初めの体に変わっただけの事だと。
「はい、わかりました……私はふたば、男性に奉仕するセクサロイド、です……」
言葉はもとより、心の中で考える事も可能な限り女性視点になるように。
俺ではなく私になるように、と。
『いい子ね、それじゃあ奉仕するためのふたばちゃんの穴、じっくりチェックしましょうか』
ああ、ようやく本番だ……と、私の心が喜色に染まった。
怪しげとも思えるこのアルバイトに申し込んだのはこれが目的だったのだから。
でも、そんな軽い気持ちで臨んだ事だったけれど、後戻りできないところまで嵌まり込むとは、この時思ってもいなかった。