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Patchworker 増設話

2019/06/16 04:42:47
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増1片「蒐集//契機」

色々あって夏も近いある日、改めて思った事がある。
桂木さんの体は、貧相だということを。
事の起こりは数日前、俺が持ってる筈も無い女性用の水着を買いに行った時だ。
女性用の水着売り場は、男としての身であるならまず入る理由など「付き添い」とかでなければ無いだろう。
むしろ下着売り場の方は更にあり得ないと思う。そっちは付き添いだとしても入るような場所じゃないって。
けれど今の俺は女の体、桂木さんの体を使っている為、両方ともに入ったところで何の問題も無い。
菫ちゃんと胡桃ちゃんと、そして千草ちゃんと一緒に、水着を買いにスーパーの水着コーナーに向かった事で、はっきりとわかった。
「ま、待ってくれよ都築、迫間…、こんなの着なきゃいけないのか?」
「当たり前です。千草ちゃんが女の子だっていう事を解らせるためには、何度だって自覚させないといけないんですから」
「スタイル良いから、ビキニ着ても似合うよねぇ千草ちゃんは」
股間のちんこを『分解』しておいたので、女性としての体で着せ替え人形にされている千草ちゃんは、恥ずかしそうにビキニ水着の体を隠そうとしている。
引け腰になっているからこそお尻の辺りが目立つのだが、胸元に押し付けている腕のおかげで、形を変える胸が…。
ぐぬぬ。

「そんな事をいう胡桃はタンキニじゃない?」
「だってお腹の辺りが…、最近ちょっと別の意味で締まってきちゃって…」
丈の長いタンキニを持ちながら、胡桃ちゃんはお腹の辺りを撫でている。
胡桃ちゃんは体質的に筋肉太りしやすいようで、お腹周りを締めようとして張り切った結果、ちょっと腹筋が割れてきてしまったのだ。
「こうなったら「俺」にお腹周りの筋肉を『分解』してもらわないと…」
「言っておくけど、やらないからね?」
「えぇ~~…」
小さく呟かれた言葉に、予め待ったをかけておく。そんなことしたらぷにぷにとかちかちのバランスが崩れてしまい、触ってて気持ち良くないし。
そんな俺はフリンジビキニを持って隣の試着室に入り、上を脱いでいく。
室内の鏡に映るのは、当然の事ながら俺の顔で、首から下は桂木さんの体だ。声帯は本人に返したので、こうして喋ってる声も俺の物なんだけどね。
上着を脱ぎ、…Aサイズカップのブラを籠に入れ…、胸元だけを曝け出して水着を着用してみる。
「…くっ」
隣の試着室で千草ちゃんを弄っている2人や、当の弄られてる本人とは違う、薄い胸を見る度に、何となくだけど歯噛みしたくなる。
こんなに胸元に関してのコンプレックスを感じるのは、彼女の記憶を手に入れたからか、はたまたこの体が常日頃から感じていた不満だったのか…。

少しだけ悩んでいると、菫ちゃんが試着室の扉を叩いて声をかけてきた。
「ねぇ「俺」、どうしたんですか?」
「…いや、なんというかね。格差社会というのを噛みしめていてね」
「何言ってるんですか。入りますよ?」
扉が開けられ、菫ちゃんが入ってくる。もう既に買っていた水着を脇に置いて、俺の水着姿をじっと見てくる。
「ふむ、胸元を大きく見せるフリンジですか。まぁ那月の体じゃ仕方ないですね」
「ぐぬぬ」
何となく鼻で笑われた気がする。というかこの体が貧乳なんて、菫ちゃんは解りきってる筈じゃないか。
ちょっとむかっ腹が立ってきたので、扉を『接続』して開かないようにしてから菫ちゃんの体を押さえつける。
「いきなりどうしたんです? まさか密室で、ちょっとムラって来たんですか?」
「それもあるけどね…。菫ちゃん、おっぱい借りるよ?」
言うが早いが、手を菫ちゃんの胸元に滑り込ませて『分解』し、俺の胸と交換する形で『接続』する。
ほんのちょっとだけ胸元への荷重がかかり、水着が少しキツくなる。同時に菫ちゃんの胸元は、ブラと胸との間にそれなりに隙間が出来た。
「…やっぱり菫ちゃんの胸は形が良いよね。ツンって上向いて張りがあってさ」
「それが「俺」の体についてるというのもイイものですね。は、む」
「っ!」
水着のブラを上げて胸を出すと、菫ちゃんが自分のモノだった胸に吸い付いてきた。

慌てて口元を抑えるが、菫ちゃんがこういうのは好きだという事を知っていたので、手を伸ばしてお尻を揉んであげる。
「ちゅ、ん、ふぅ、ちゅぅ…」
「ん…、ふふ、菫ちゃんは自分のおっぱいなのに、こういうのは好きなんだね?」
「えぇ…、「俺」の体についている私の部分が、「俺」を悦ばせる理由になるんですもの」
随分倒錯的だけど、そういうのが好きな菫ちゃんは輝いている。
一回アナルセックスしてあげたら、いつも以上に燃え上がってくれた。ついでに声も大きくなっていた。
大きくなりすぎて、夜にヤった時は周辺家に電気が点きまくっていた。今後は場所をきちんと決めてヤろうと思う。
舌を使いねっとりと舐めてくる菫ちゃんは、鏡で見たらちょっと変態チックだ。
「菫ちゃん、もう、そこまでで良いから…」
「そうですか?」
「だってここ試着室だし、隣に二人もいるしね。帰ったらちゃんとシてあげるよ」
「…解りました、約束ですよ? ではその前に…」
菫ちゃんは俺のスカートに手を突っ込んでショーツを脱がし、まんこに舌を這わせた。濡れているのが自分でも解ってて、溢れ出た愛液を舐めとっている。
「ちょ、っと、菫ちゃ…、ん、ふぅ…!」
舌を突き入れられ、中の肉まで舐められる。ちんこを『接続』していたら、絶対に先走りがスカートを濡らしていただろう。

「ふぅ…。「俺」の愛液、ご馳走様です」
艶然と微笑む菫ちゃんを、怒ればいいのか褒めればいいのか解らないままに、
「もう…」
とだけ言いながら、ちょっとデコピンをしてあげた。何でされたのかはわからないようだったけど。
「とりあえず、少し水着を買うのは後にしようかな」
「どうしてですか? デザインが気に入らないとか」
水着を脱いでハンガーにかけ直し、お互いのおっぱいも元に戻しながらちょっと今後の事を考える。
夏はもうすぐそこまでだが、流石にこの体で人前に出るのはちょっとだけ悔しい。
乙木達への復讐にかまけてばかりで、ちょっと遅きに失した感はあるのだけれど、それでも俺の能力なら、数日掛ければ多分どうにかなるだろうという、ある種の考えはあった。
服を着直し、パンツを上げて、扉の『接続』部分を『分解』する。
「菫ちゃん、中で「俺」と何してたの…?」
「秘密の約束よ。後で「俺」から聞いてね」
ちょっとだけ優位な顔を見せながら2人は会話してる。相変わらず千草ちゃんは試着室だ。持ってきた服が多いし、服を着直すのにも時間かかるしね。
後で胡桃ちゃんから、千草ちゃんの着替えの記憶を貰おうと考えながら、すぐに俺は別の考えにシフトした。
(うん、見られても恥ずかしくないレベルの、理想のボディを作ろう)
内心で深く決意する。そしてその体に似合う水着を着るのだ。

増2片「物色//情報」

さて、目的は決まったがそれを達成する為には、何はともあれ目ぼしいパーツを誰が持っているのか、という情報だ。
俺一人ではやる事やるには限界がある。別の人を『接続』で一部にして情報を貰うのは確定しているのだが、それを誰にやってもらうかなんだよなぁ…。
そんな事をぼうと考えながら数駅離れた本屋に行き、グラビア雑誌を手に取ってペラリとページをめくる。
(うーん…、特集組まれてる内の3人で、…この子はちょっと腰回りがなぁ…。でも太腿の辺りはかなりスラッとしてる。
次の子は…、お、おっぱいが良い形してそうだけど…、…何か色素が黒ずんでそう。別の人の乳首を『接続』しておかないとダメかな、これ。
最後の子は手が良いな。…へぇ、手タレも並行してるんだ。そりゃ綺麗な訳だ)
カラーの写真を食い入るように見つめていると、考えは幾つかあるが、まず出てくるのは「この体はどれだけ感じるんだろう」という疑問。次いで股間のちんこが膨れてくる。
(…んー、こりゃちょっとマズいかな?)
普段から桂木さんの体を使っている状態…、つまり俺は顔の事もあって女と見られている訳だが、そのズボンの前が存在を主張している。
今は立ち読みでラックを前にしている為すぐにバレはしないが、移動するとなると露見する可能性は大いに上がる。

変な疑惑の目を向けられる前に、本をラックに戻し、手持ちのバッグで股間の辺りをさりげなく隠しつつトイレへ向かう。
女子トイレの方に向かうと運良く個室は空いており、足早に駆け込む。
ベルトを解いてズボンとショーツを降ろすと、やっぱりまだ勃起していた。鈴口から先走りが漏れてきている。
(仕方ないな…)
ちょっとだけ溜息を吐いて、ちんこを『分解』。先走りをロール紙で拭いた後、密封パックに入れてバッグの底へしまう。
これでズボンを履き直してもバレないだろう。そもそも疑う為の物が付いて無いんだからね。
ついでとばかりに、トイレとしての本来の用途も行わせてもらう。
ちょろろろ…、と女としての尿道から小用を足して、しばらく我慢していた物を外に出していく。ちんこを『接続』している時はもう少し保つんだけど、不思議なものだ。
出すものが出終わったらロール紙でふき取り、ふぅと一息。ちんこが勃起していたのと同時にまんこも濡れていたのか、少しだけ愛液が紙に付いたがまぁ問題無い。
立ち上がり、ショーツとズボンを履き直して水を流す。外に出て手を洗っていると、外から用を足しに来た女の子が、一人いた。
年のころは見た感じ俺と同じくらい、顔立ちは少しキツそうな印象を受けるが、体は…、うん、今の俺と変わらない位。
すれ違いざまに首元へ手を当てて『接続』。

彼女を俺の一部にした後、ちゃんと用は済ませた後で別の場所へ。
人目に付かない閉鎖空間という意味では、カラオケはとても使いやすい。が、そこばかり使うのもどうかと考える。
しかし能力の事を可能な限り隠していたい考えではあるので、人に聞かれやすいような開けた場所というのも困る。
ということで、今しがた『接続』した彼女の家にお邪魔する事にした。
一人暮らしのアパートで、人を呼ぶことが稀なのかちょっと散らかっている。ベッドの上に対面する形で座り、彼女の事をしっかり聞いていく事にする。
「さて、それじゃ君の事について話してくれるかな?」
「オレは佐々倉愛衣。年は17、身長168cm、体重51kg…、3サイズは上から、73、60、82…」
ということで、愛衣ちゃんは眼前の俺の言う事を素直に聞いて次から次へと喋ってくれる。
体の方は今の俺と大差ない為、彼女から貰うパーツは少ないな。ふむ…。
「それじゃ、ちょっと記憶を拝借。ぎゅ…っ」
お互い下着姿になった上で、芽衣ちゃんの後ろから抱き付く形で『接続』し、記憶を読み込む。
(ふぅん、ふぅむ…)
『接続』した事で俺の一部になった芽衣ちゃんの記憶は、俺本体にも読めるようになる。
言葉使いから何となく察していたが、彼女はちょっぴり粗暴と言われるような性格をしている。

だからだろうか、女らしさというのを求める為に色んな事をやっていた。
慣れてないのに髪を伸ばし(後で鬱陶しくなり切った)、スカートを履いて(布が心許ないので止めた)、化粧をして(買ったはいいが自己流の結果泣きを見た)、言葉使いを直そうとし(背中がむず痒くなり秒で諦めた)。
と、色々やった物のどれもこれも躓いてばかりの結果になっていた。
けれど最近気にしているのは、モデルをやっているクラスメートの事が気になっており、少しずつ彼女を真似ていけばもしや、と考えているようだ。
その人物の記憶をもうちょっと詳しく見ると…、あぁこの子、さっき見てた雑誌の太ももが良いなと思った子じゃん。意外と近くに居たんだな。
(ふむ…)
『分解』し、身体を離す。

ここで1つ、この能力が抱える欠点を挙げよう。
特定の人物からパーツを欲し、『分解』して得たとする。となると『分解』された相手は、そのパーツを喪失する事になる。
無機物でも『接続』できる事は出来るのだが、無理なく補填をする為には別の人間が持つ同じ箇所のパーツを使用しなければいけない。
細かい内容を限りなく省いて説明すると、
「パーツを蒐集する為には代替品が必要になる」ことだ。
特定部位を失くした存在が大量に世に出回るのは、騒ぎの元になるからちょっと差し控えたい。

別に「気にするな」と言われてしまえばそれまでなのだが、一応「俺」の身の回りではそれなりに…、それなりに、通常ではありえない事を起こしているため、いつ騒ぎになるとも解らない事態ではあったりする。
千草ちゃんの体の事だったり、乙木達が自分の存在の事をリスクを承知で曝け出してしまえば、自然と俺に繋がっていく事になるだろう。
…当然ながら、今の俺が使ってる桂木さんの体だって、DNA鑑定などをされたらアウトだろう。だって体まるごと使ってるしね。
考えてみれば俺は、撫子さんの後押しがあってこそ本当に色々やってたんだなと1人になって思う。
首を『分解』した愛衣ちゃんの体を撫ぜながら、さて今後の方向性を考えてみよう。

理想のパーツを集める事は変わらない。その穴埋めをどうするか。
1つ、桂木さんの体を使う。2つ、愛依ちゃんの体を使う。3つ、いっそ穴埋めしない。4つ、性別違うけど俺の体を使っていく。
後は愛依ちゃんだが、これに関しては俺なりにお礼をしておこう。どうするかはまだ悩んでいるけど、とりあえず彼女の求めている事は一応達成される筈だしね。
「さて…、どうしようかな」
とは口にするものの、ある程度の方針は決まっていた。
そうだな…、こうしていこうかな。

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