B7片「認識//入替」
「さて、最後の八木沼君だけど…」
杉浦くんと川端さんの2人は半ば放置し、最後の八木沼君の方に向き直る。
「能力の対象になった存在の認識を操る」という能力の確認のために放置している訳だが、最後の目標である彼には少々酷な事になってもらうつもりでいた。
…まぁ、元から能力の実験体にすることが酷でないかと問われたらその限りではないだろう。ぶっちゃけ酷いと思ってるよ、うん。
だがそれとこれとは話は別。やったことに応報が来ないという話ではないし、彼らにとっては俺がその応報になるのだろうと思っている。
別にそれは良いんだ。彼らには反省も更生も期待してない。今更ながらに歪んだ性根というのは、多少の事では直らないのは知っている。
それにどうせ、自分たちは悪くないとか思ってるんだろうしね…。
だからこそ、主導している八木沼君には「そう扱われても悪くない」存在になってもらおうと思っている。
まずは人形の体一体を用意。
これと八木沼君との「性別」を『交換』して、人形の体を男性体に、八木沼君の体を女性体にする。
勿論それ自体に問題は起きるはずもなく、恙なく終了している訳だけど。
そこで横から見ている江美ちゃんに問いかけてみる。
「ねぇ江美ちゃん。君の目から見て、八木沼君は何に見える?」
「何って…、そいつ女でしょ? 何で“俺”は君付けなんてしてるの?」
特に意識していない限り、交換した通りに周囲は認識している。つまり江美ちゃんの目から見て、すでに八木沼君は八木沼ちゃんであり、男ではなく女なのだ。
…まぁ、体だけ変わってしまったんだから顔は男のままだけどね。うん、それは別にいいんだ。大した問題じゃない。
という事で彼の体に頭を『接続』させて、自分の体を認識させてあげる。
「…お、お前確か羽張とかいう…? ここはどこだ、俺達をどこに連れてきた…!」
お、どうやら状況認識が速いぞ、頭が回るのかな? だとしたらこれから起きる事への恐ろしさも解ってしまうのかもしれないね。
「まぁ細かい話は抜きにして、君は自分の体がどう見えるかな?」
「は? 俺の体なんて、男に決まって……、…え?」
彼の視界には膨らんだ乳房と何もない股間、そしてすらりとした脚が見える事だろう。うん、俺も見下ろしているしよくわかる。
慌てて体をまさぐっている八木沼君を見ながら、解りはしないだろうけど説明してあげる。
「君は今まで乱暴してきた女性への報復の為に、女の体になってもらったんだけど、そこは解るよね?」
「解るって…、そんなこと解るわけねぇだろ! 俺の体を元に戻せ!」
殴りかかろうとしてきた八木沼君のパンチを避けて、続けて説明をする。
「今まで何をしてきたかというのは、他のみんなから聞かせてもらったから知ってるよ。随分とまぁ手ひどく人を扱ってきたものだよね」
「それがどうした、全部気付けなかった向こうの責任だろうが!」
「あ、そういうこと言う。じゃあ俺に気づけなかったのは君の責任という事で良いね?」
想像していた通りの答えだ、解りやすい。…まぁそれも彼の記憶から覗いた思考パターンを読んだからなんだけどね。
「屁理屈捏ねてんじゃねぇ!」
それでも殴りかかろうとしてくる八木沼君だが、これも避ける。
屁理屈とは失敬な、自分が言ったことが返ってきただけなのに何を不満気に。
「自分だけは別だって考えてるなら、それは思い上がりなんじゃない?」
右手を上げると、人形頭達が3体ほどやってきて八木沼君を押さえつけた。乱暴にしても構わないんだけど、それはそれで面白くないからね。
「だからこそ、君にはちょっと痛い目に遭ってもらおうと思う。今まで他人を性欲解消の道具同然に扱ってきたんだから…」
そうして、八木沼君と性別を『交換』した男性体の人形を連れてきて、その人形と八木沼君とに触れる。
「君には人間じゃなくて、ただの道具になってもらうよ?」
そう。「人間」と「道具」という立場の『交換』を、これから始めるのだ。
「…はっ、何するかわからねぇがやってみろっ」
男の顔のまま唾を吐きつけてくる八木沼君。まぁ気丈そうで。
だから面白いし、結果がどうなるか楽しみなのだ。
改めて能力使用に対して認識をする。
これから行われる『交換』には、俺以外違和感を覚えないようにする。
人形の体は人間の体として扱われ、八木沼君の人体はこれから人形のように扱われるのだ。
「じゃあやってみるね。『交換』、発動」
俺の体を通して、何かが替わっていくのが感じられる。
暖かかったはずの八木沼君の体から熱が抜けていくように。人形の体からはどくどくと心臓の鼓動が聞こえるように。
実際そんなことは無いのだが、対外的には2人の立場が『交換』されたのだ。八木沼君は人形として、人形の体は人間として扱われる。
その時、せめても八木沼君の体が女でなければ、使う人間なんてそんなに現れないではないか。誰が男の人形を使うというのか。
『交換』が終わって手を放し、人形頭達に命令をする。
「それじゃあみんな、彼を放してあげてくれる?」
動きは無い。何故なら人形頭達は「彼」が誰を意味するのか分からないからだ。
…何故なら今彼女達が押さえつけているのは「人形」で、既に「人間」などではないからだ。
B8片「人物//相違」
そのまま八木沼君を人形頭達に捕まえて貰ったまま、俺の車に乗せた。
車を走らせ着いた先は、俺の中学時代の同級生の東根くんが住んでるアパート。最近父親が単身赴任になり、母親も同行していったため一人暮らしになったという話を聞いていた。
彼に予め連絡をして、良いモノをあげると伝えておいた上でアポを取り、彼の家に向かう。
インターホンを鳴らして、当時の感覚のままに彼の名を呼んだ。
「東根くーん、いますかー?」
『はーい』
奥から出てくる東根くん。かといってこの姿の俺を知っている訳ではないので、
「はい、どちら様で…」
「……お久しぶり、東根くん?」
顔を見せた瞬間、額に触れて『接続』。「俺の姿」に関する記憶を書き換えてあげた。
「あぁ、羽張じゃないか! 本当に久しぶり。いきなり連絡してきてどうしたんだ?」
「さっき電話で話した通りだよ、良いものが手に入ったから、東根くんにあげようと思ってさ」
「悪いね、ホント。あ、家の前で話してるのもなんだし入ってくれ」
今の東根くんにとって俺は同級生で、友人で、そして「女の見た目をしている男」なのだという記憶を植え付けてあげたのだ。
俺の姿が女であることに対する違和感は無い。同時に俺は男であるからそこに性的興奮を及ぼすことは無い。
まぁそれ以上に、異常性癖持ちだしね、東根くん。
そのまま家の中に通されると、東根くんはいきなり切り出した。
「それで羽張、さっき言ってたモノって何なんだ?」
「せっかちだね東根くんは。まぁじらすのもなんだし、すぐに見せてあげるよ」
人形頭達に八木沼君を持ってこさせ、東根くんの家の前に置いて車内に退避してもらう。
さすがにこれ以上の洗脳は東根くんにも悪いし、そこの辺りは最低限にしておきたいという気分が無い訳でもない。
「ということで、一人暮らしになった東根くんにあげるのはこれです。全自動で動くダッチワイフー!」
「くっそ、放せオイ! こらテメェ、羽張っ!」
八木沼君は暴れようとしているが、俺に勝てるはずもなく抑えられている。
その様子を見て東根くんは、八木沼君に対して思ったことを言ってくれた。
「すごい、本当に勝手に動いてる。どうしたのコレ?」
「ちょっとした事があって手に入れたんだ。…ほら見てよこの顔と体の差。こんなの世の中に出せないってことで貰っちゃったんだ」
「でも良いのかい、これを僕が貰っちゃって」
「…オイ手前、何見てるんだ! お前からもコイツに言ってやれよ、俺が人形だなんてバカじゃねぇかって」
「良いの良いの。ほら、抱いてみてごらん? 普通の人間と変わらない抱き心地だよ?」
「う、うん…!」
嬉しそうに八木沼君に抱き着く東根くん。
嫌がって東根くんを押しのけようとするも、そのまま八木沼君は抱きすくめられてしまう。
「あぁ…、本当に人肌みたいだ…。それにこんなに勝手に動くなんて、なんてリアルな人形なんだろう…!」
「バカッ、俺は人形じゃねぇ、人間だ! それにキモいよお前、抱き着くな…っ!」
「……ッ」
抱き着かれて喜色悪いのか、東根くんを罵倒する八木沼君。
あーぁ、これで彼にスイッチ入っちゃったかも。
「…ねぇ羽張、これ使ってみてもいい?」
「勿論。使っていいから東根くんにあげるんだよ?」
「ありがとう羽張っ! これ大事にするよ!」
「これとか言ってんじゃねぇっ! このっ、バカ野郎が…!」
何とか東根くんの腕の中から逃げようとするも、東根くんは一向に構わずズボンを下げた。
そのイチモツはギンギンにおっ勃てており、もう一人だけ準備万端だと言わんばかりだ。
八木沼君に覆いかぶさり、ついでに持ってきたローションを東根くんにあげると、彼はそれを丹念に八木沼君の股間に塗りたくり始めた。
「はぁ…、はぁ…。勝手に僕を罵倒してくれるから、もう我慢できなくなってきちゃった…」
東根くんの異常性癖。それは人形性愛と被虐性愛のコンボ。
ぶっちゃけ人形相手にしか興奮しないし、罵倒されないと興奮しない。彼の愛読書は家畜人ヤ〇ーだ。俺は読めなかった。
「じゃあ、イくよ…! 挿れるよ…!」
「やっ、止めろオイ! そんな汚いモン入れるんじゃ…、っあう!」
ローションで疑似的に濡らされた女性器に、東根くんの男性器が突き刺さった。
「あぁぁぁ…、す、すごいよ羽張…! 人形なのに、ここまでナカがあったかいなんて…!」
「それだけ“精巧に”作られてるからね。気のすむまで犯してくれて構わないよ」
「くっそ、やめっ、んっ! やめろぉ! 俺のナカに、変な物を入れるんじゃ、あぁ、ねぇ…っ!」
「そんなに殴られたら、すぐ出しちゃうかも…、おぉぅ…っ!!」
八木沼君が抵抗とばかりに東根くんを叩くと、それが呼び水になって小刻みに震え出した。どうやら射精をしたようだ。
「あぁ…っ、くそ、ナカに出しやがった…! 何てことしてくれやがるこの変態!」
「変態…。そうかもしれないけど、その言葉でまた元気になってきちゃった…!」
悦びながら腰をまた振り始め、東根くんは八木沼君を犯し続ける。
まぁ、今の八木沼君は「人形」なのだからどれだけ犯しても妊娠しないし、仮にここから逃げたとしても「人形」なのだから帰る家は無い。
下手に逃げて乱暴にされてしまうよりかは、大事にしてくれる東根くんの所にいた方が良いんじゃないかな?
そんな事を八木沼君に吹き込みながら、俺はお暇させてもらうことにした。
扉を閉める頃には、八木沼君は甘い声を出し始めていた。