E3片「表装//入替」
体を離してとりあえず落ち着かせ、唯月ちゃんも知ってるだろう男の体の、実際に体験してみての違いを教える。
「こんなに簡単に、…その、勃起するのね。びっくりしたわ」
「女の子の体に抱き着くと、どうしても興奮しちゃう感じだからね。…落ち着いた?」
「どうにかね。…それで?」
「それで、とは?」
「勿論、これで終わりじゃないわよね?」
さすがに今の状況で「自分は男だ」と言い張るのが難しいと、唯月ちゃんは気付いているようだ。
当然だろう、頭部だけ女のままの男なんて、誰が信じるというのだ。…あぁでも、女顔の俺だし今の状態なら誤魔化せはするかな?
いやいや、別人になると考えたんだ、このまま全部変えてしまおう。
「勿論だよ。…このまま顔の表面部分と髪の毛も、瞳だって交換するけど、良い?」
「良いわ、お願い。…この際、全部男になってみたいの」
「分かった。それじゃ…やっちゃおうか」
彼女はこのまま変わってしまってもいいと思ってるのか、総とっかえを願っているようだった。
勿論それに応えるように、俺も能力を使うわけだが。
そっと唯月ちゃんの頭に手を触れて、
「『分解』、発動」
能力を発動させる。
すると、「顔の部分」と「頭髪の生えてる部分」がフィギュアのように外れ、目の前には人体標本のようになった琴線にむき出しの顔をした唯月ちゃんが映る。
そのまま瞳に触れてこちらも『分解』すると、両の眼がぽろりと落ちて、俺の手の中に転がってきた。
「…見えなくなったのだけど、今目が取れたってことで良い?」
「そういうこと。すぐに俺の目を着けてあげるから、ちょっとだけ我慢しててね」
顔と頭髪をテーブルの上に置き、俺は自分の目に触れてこちらも『分解』する。両の瞳を取り違えないように一個ずつ、片方ずつ『接続』し直して、これもきちんと鏡で確認する。
俺の顔なのに、見つめてくる瞳は先程まで唯月ちゃんにくっついていた紅玉のような紅い瞳。
全くの別人になっていくのを実感していくようで、背筋に軽くぞくぞくとした喜びが走っていく。
勿論それに浸りすぎないように、すぐに唯月ちゃんに俺の瞳を『接続』してあげた。
「…なんか、見え方が少し違うかも」
「眼が違うとどうしてもね。…歯の交換はやったけど、瞳の交換は実は初めてだったりするんだよね」
「へぇ…。あなたの初めて、一つ貰っちゃったのかもね」
嬉しそうにしている唯月ちゃんだが、「顔」がないままだとさすがに怖い。俺の顔をすぐに『接続』してあげることにした。
「…すごい、本当にあなたになってるわ! さっきまで見てた姿のままに、私がなってるのね!」
俺より一足早く「俺」の姿になった唯月ちゃんは、姿見の前で興奮している。
「それじゃあ君の姿、ちょっと借りるね?」
そう言いながら俺は唯月ちゃんの「顔」を手に取り、それを『接続』する。次に髪の毛を持つとウィッグを被るように頭に乗せ、これも『接続』。
繋がった瞼を試しに動かしながら、二度三度と瞬きを繰り返す。
「…どうかな? 君に成りきれてる?」
「勿論。私から取った体で構成されてるんでしょ? だったら私よ、間違いなくね」
胸を張って、「新城唯月」に成れていると太鼓判を押してくれる唯月ちゃん。ありがたい話だ。
「へぇ…、へぇー…? すごいわ、髪質とか全然違う。ちょっとゴワゴワしてる感じだし、顔だってもうあなたの物なのね。別人になったみたい…」
鏡を前に色々探求している唯月ちゃんだが、できれば俺も自分の姿を見せてほしいなぁと思ったりする。
だがこれで、この場にいるのは間違いなく「俺」と「新城唯月」の2人だけだ。近しい人が見たとしても、一見して別人が成りすましているとは考えにくいだろう。
「すぅ…、はぁ…。他人の匂いなのに、不思議とワクワクするわね。ねぇ、あなたもしない?」
そう言いながら唯月ちゃんは俺に向き直り、そう言ってくる。
「勿論。こうして君の姿を借りることができて、全部別人になれて。俺だってワクワクしてるよ」
「良かった。私一人だけが嬉しがってると、あなたに悪い気がしたもの」
「そうなんだ、君って綺麗なだけじゃなくて、本当にいい人だね」
「あら、ありがと。…ふふ、男の声ってこんな感じなのね」
言葉を交わして、のどの部分まで変わってる事を実感して、本当に唯月ちゃんは嬉しそうだ。
「でも…、これは「私」が本当に男になったわけじゃないのよね。あなたの体や顔を借りて、一時的に別人になってるだけ」
「そうだね、俺も君の体を借りているだけの状態だ」
「それでも嬉しいわ。男の人ってこんな感覚なのね」
そう言いながら唯月ちゃんは俺に抱き着いて、身長の高くなった俺の体で、自分の物だった身体を抱きすくめてくる。
「はぁ…、私の体からする匂いって、こんなだったんだ…。どうしよう、また興奮してきちゃった…」
密着している体で感じる、俺のちんこの勃起具合。それは確かに唯月ちゃんが興奮していることを証明しており、それをまざまざと俺に伝えてきた。
「…ねぇ、あなた」
「なんだい?」
「お願い、私の体、好きに使っていいから…、私に男の事をもっと教えて?」
E4片「逆転//行為」
部屋の鍵を閉めて、俺たちは服を脱ぎ互いに向き合っていた。
「…すごいわ、私の体…、見慣れてるはずなのに、なんて扇情的なの…?」
「そっちだってギンギンに勃起して…、そんなに男としての色々を確かめてみたい?」
「当り前よ。女としての行為は知ってるし、何度かやったけど…、男としての行為なんて初めてなのよ。確かめてみたいじゃない」
血走った眼をしている「俺」を前に、俺は生まれたままの姿のままで体をベッドに横たえる。
荒い息を吐きながら抱き着いて、性器同士をこすり合わせてくる。それをした方が良いと教えたのは俺だし、最初に挿入することに手間取るのは初めからわかっていたから、練習の意味も込めて教えたのだ。
「はぁ、私にアソコ、あったかいじゃない…。良いわ、これ…」
「ん…っ、俺のアソコが、気持ちよくなって…、はぁ…」
こすり合わせ、局部の熱を交換し合うと、次第に雰囲気が高まってくる。元気になっている唯月ちゃんのちんこと、俺の体のまんこが、互いに液を漏らし始めてきた。
「私のおっぱい…、女の子の胸、気持ちいいわよ?」
「はんっ! 知ってるけど、知ってる人のどの感触とも違う…、んふ、敏感なんだ…」
「それを素直に感じちゃうなんて、この変態…」
嬉しそうに俺の事を見下しながら、なおも腰を突き出しこすりつけてくる「俺」。
その行為が嬉しそうで、どこまでも続けてしまいそうな気配さえしてくる。
「私の体なのに、どうしてかしら。とってもおいしそう…」
舌なめずりをし、唯月ちゃんは腰の動きを止めて胸を揉みついばんでくる。
「んちゅ、ちゅっ、ちゅぅ…、はぁ、私のおっぱい…、おいしぃわ…」
「あんっ、ちょっと痛い…、もう少し優しく…」
その動きは欲望のままに、言わんばかりで、獣のように俺の体を求めてくる。それが先程まで自分の体であったにも関わらずだ。
「良いじゃない、私の体なんだから…。あなただって悦んでるでしょう? ほら、こことか…」
「ひゃうっ」
おまんこを割り開かれ、指を突っ込まれる。ぐちゅぐちゅと音を立てながらかき回され愛液を零れさせるおまんこは、準備万端と言わんばかりだ。
「この元気になった、お、おちんちんを…、私にアソコに…!」
「…ねぇ、ちょっと目が怖いよ…?」
「少しくらい我慢してよね。男の子でしょう?」
「今は女の子ですぅー」
「黙ら、っしゃい!」
「ひぐぅ…!!」
体の記憶か、自分の体だからなのか、唯月ちゃんの挿入はひどくスムーズに行われた。それがたとえ、自分の処女を破り捨てる行為であったとしても。
そしてその痛みを俺に押し付ける物だとしても。
「あぁっ、こんなのっ、こんなのって無いわ!」
「んっ、いた、ちょっと…、はげし、ひぃんっ!」
「私のあそこが、男としてのセックスが…、こんなに、こんなにも気持ち良かったなんて…!」
唯月ちゃんが腰を掴んで、俺に腰を叩き付けてくる。
ぱちゅん、ぱちゅんと濡れそぼったおまんこから聞こえてくる、熱を持った肌同士の打音は彼女の部屋の中に響かせながら、唯月ちゃんは自分で自分を犯している。
「あっ! あんっ! ちょ、っふぅ、んぅぅ…っ!!」
「ねぇっ、ねぇあなたっ! どう、私の体は! 気持ちいい? 良いわよねっ! だってこんなに、こんなに喘いでいるんだものっ!」
「良いっ、気持ちいいっ! もっと、もっとシてぇ! 君の体の気持ち良さ、俺に教えてぇ!」
「わかったわ…! それじゃあもっと、教えてあげる! だからいっぱい喘いで、私にその体の気持ち良さを教えなさい!」
ぱちゅん!と腰が突き出され、俺のちんこが俺のまんこに挿し込まれる。
女としてのセックスは久しぶりというわけじゃない。でもこれは、撫子さんの体でも桂木さんの体でも感じていなかった。
感度が良いだけじゃない。もしかしたら体の相性がいいのかもしれない。
「ほらっ、ほら! もっと、もっとよ…! 私のとろけた顔を私に見せて…!!」
「あっ、もっと、もっとぉ…! 見せるから、隠さないからぁ…、激しくシてぇ…!!」
獣のような行為だったと思う。
ただの技術も何もない抽送だけのセックスだけれど、不思議と体の相性が良かったのか、それは何よりも気持ちのいいものだった。
普段なら耐えていたはずの喘ぎ声だって、部屋中に響かせてしまっている。…多分使用人に聞かれてるなこれ。言い訳どうしよう。
対する唯月ちゃんの方だって、初めての男であるという事を差し引いても興奮しすぎている。
ここまで男へのあこがれが強かったのかは分らないが、今自分の身になっている「男」を、自分の体を征服することで強い欲求を満たしている。
「あぁダメ…! まだシたいのに、まだ私を犯してたいのに…、出ちゃう…! もれちゃいそう…!」
「出して! ナカに出して…! 君の、唯月ちゃんの精液…、俺のナカに注ぎ込んでぇ…!」
「まぁ、「私」ったらなんて淫乱なの! それじゃあ遠慮なく…、あっ、あぁぁぁぁ!!」
射精の直前、膣内で膨らんだ俺のちんこは勢いよく射精し、俺は膣内に注ぎ込まれる感覚がした。
ナカでびくびくと震え、その度に精液と息を吐き出している唯月ちゃんは、欲を満たしたと言わんばかりに恍惚な表情を浮かべており、俺の体を押さえつけている。
「はぁ…っ、はぁぁぁ…! こんなのって、ないわ…! こんなに気持ちいいなんて…、知らなかった…」
「いっぱい出されて…、……気持ち良かったよ、唯月ちゃん…」