「じゃあいくよー。神様だーれだっ」
「…はい」
そっと手を挙げたのは…敏明だ。よかった!さあ、こんなおかしなゲームは終わりだ!
「……」
…?何で黙ってるんだ?まさか…命令する気か?
「…3番は―」
…嘘だろ!?まさかエッチな命令OKにやられたのか!?
そんな俺の考えを無視するかのように敏明は続ける。
「―女の子だったら神様を好きになる…」
「………敏明、終了させないでする命令はそれでいいのか?遺言はそれでいいのか?」
「ゆ、遺言っ!? で、でもごめん!ほ、本当に絶対だっていうなら…」
確かに、俺も男だ。気持ちはわからなくもない。
だからといって…などと考えていると双葉が突然立ち上がる。そして、敏明の隣に座る。
「敏明…」
うっとりとした表情で敏明を見上げる双葉。おいおい、まさかだろ。
双葉が3番で、敏明を好きになったっていうのか?
「ふ、双葉ちゃん…?」
そう思っていると突然にっと笑う双葉。
「いい命令の仕方だね。女の子ならって付けなかったらアッー!ってなるかもしれないもんね?」
…なんか一部聞き取りにくい部分があったような…じゃなくて。
「あ、私は4番、ってきゃっ?」
突然四葉に肩を掴まれた双葉が声を上げる。
「双葉、そこどいて」
…四葉さん?目と声が怖いですよ?
「もー、言ってくれればどくのにー」
さっと席を立つ双葉。その瞬間に四葉が敏明の隣…と思ったらなんと敏明の上に座った。
「え、よ、四葉さん…?」
「敏明、私が3番だよ♪」
手に持つ棒を逆さにすると、たしかに3と書かれている。それはいいんだが…
「四葉…本気か?」
思わず尋ねる俺。…なんで敏明の肩に両腕を回してるんですか?
「んー、なんか、敏明はただの友達だって思ってるのと、敏明が大好きなってのが混ざってる感じ?
でも、敏明に抱かれてるとすっごい幸せ♪」
むしろ四葉の方が抱きしめてる気が…ってそこじゃない。
「ねえ、敏明。チューしよ♪」
「おー、やったれやったれ」
「煽るなっ!敏明もいいのか!好きでもないやつとなんて!」
「え、あー、その…」
はっきりしない奴だな。隣の良則が迷惑そうだぞ。
「清彦、敏明は元々四葉のことが好きだぞ?」
…良則、今なんて言った?
「えー、うれしー♪」
…お、おい。今キスしたか?接吻したよな!?
「…う、うん…真っ直ぐなところとか」
「えー、私はー?」
双葉、お前は入ってくるな。また四葉ににらまれるぞ。
「…双葉ちゃんは、昔から一緒だから、友達以上には…」
「なんだとー。これでも女の子なんだから傷付くぞー」
ノリがいつも通りすぎる。…四葉以外は。
「あーん、敏明♪私も大好きぃ♪」
だからすぐにキスするな!若葉ちゃんなんか固まってるぞ!
…ってなんだか二人の関係が当然のように受け入れてる?これも神様ゲームのせいなのか?
「あー、ご両人。ラブラブなのはいいんだけど、そろそろ次行っていい?」
「え、あ、ごめん…うん」
「敏明がいいなら私も♪」
「…四葉って、好きな人にはデレデレなタイプだったんだね」
双葉がうんうんと頷いている。たしかに、普段は結構サバサバしているように見えた。
友人の意外な一面を発見というところ…か?
「あっ、敏明!」
「は、はいっ!」
双葉が大声を上げたせいで敏明も思わず大きな声で答える。
「ちゃんと四葉に気持ちを伝えてからラブラブしなさい!」
…えー、いまさら?というか、迫ってるのは四葉の方なんだけどな…
「う、うん…よ、四葉さん」「なぁに?敏明♪」
「…貴女のことが好きです。付き合っt「うん、いいよ♪」
「はええよっ!流行ってんのか!?」
ああ、思わず突っ込んでしまう自分が悲しい。
「清彦ってば本当にすぐ突っ込むね。同じ突っ込まれるなら、敏明のアレがいいな♪」
「よ、四葉さんっ!?」「もー、四葉って呼んで♪」
四葉の手は敏明の股間を撫でている…って何してるんだ!?
「あー、エロスはほどほどに。そういう命令出てからにしてね」
「いや、させねーよ!?敏明、四葉を止めろ!」
「う、うん。四葉さ…四葉、そういうことはここじゃ…」
あ、こいつさりげなく呼び捨てにしやがった。
「えー…うん。敏明が言うなら、我慢する…」
我慢しなきゃならないほどなのか?どれだけ好きになってるんだ。
四葉は敏明の隣に座らせておかないとやばい気がする。
そう思って俺は立ち上がり、良則に俺のいた席にずれてもらう。
俺は元々四葉のいた席に移動する。双葉も色々あった間に自分の席に戻っている。
「いやー、盛り上がってきたねー」
「盛り上がってきたねー、じゃねえよ!大惨事だよ!」
間に若葉ちゃんがいるのも忘れて突っ込む。