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神様ゲーム

2016/07/15 20:12:29
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「…双葉。いくつか聞きたいんだが」
普段からあまり喋る方ではない良則が口を開く。
「ん、どうぞー」
「もし次で終わった場合、四葉はどうなる?」
「んー、敏明LOVEになったまんまだね」
「ふむ。では、さっきの若葉がギャルになる、という命令が続いていたとして、
その状態で終わっていたら若葉の周りの環境はどうなっていた?」
「えっと…若葉がギャルだったらこうなってる、っていう風になるはずだよ」
「なるほど…もう一つ。命令と終了は同時に出来るか?」
…それは出来たらまずくないか。自分に都合のいい命令をしておしまい、ってのはさすがに…
「うん、「1番が腹踊りをして、終わったら神様ゲーム終了」みたいにすれば出来るよ」
「出来るの!?」
「出来るよ。ちゃんと一息で言えば」
…なにそれこわい。

「なるほど…じゃあ、周りを巻き込む命令…例えば「1番の両親は病気になる」なんて命令をしたらどうなる?
もちろん、こんな不幸にするような命令をする気はないが」
「んー、親御さんは参加者じゃないから無理。「1番は風邪をひく」とかなら出来るけど」
それを聞いて考えるように俯く良則。
「…神様が自身に命令することは?」
「それは出来ないね。1番が神様にー、とか神様と1番はー、とかは出来るけど」
「…わかった、ありがとう。また聞きたいことが出来たら頼む」
「ん」
このメンバーの中では頭がいい良則。何か思いついたのだろうか?


「…え?あれ、清彦君?いつからそこに?」
隣の若葉ちゃんが声を上げる。まさか、四葉たちの行いを見て気絶してたのか?
「あ、うん。さっきだけど…大丈夫?」
「は、はい!大丈夫です!続きですか?」
「…わ。若葉ちゃん?」
なんかテンションがおかしい…双葉を見る。
「…なんでも私のせいにしないでよー」
見ただけなのに、よく俺の言いたいことがわかったな。
「大丈夫です!」
…本人がそういうなら大丈夫…なのか?
少し心配だけど、あまり言っても逆効果かもしれないので、それ以上は何も言わないでおく。

「あ、あの…」
敏明が困ったような声を出す。
片手にはまとめた棒を持ち、もう片方の手は…というか腕は四葉にがっしりホールドされている。
おいおい四葉、ずいぶん幸せそうな顔だな…ここまでくると逆に諦めがつく。
よかったな、敏明。そこにいるのが若葉ちゃんだったら、俺はお前を■してた(自主規制)かもしれん。
「…自己責任って言葉、知ってる?」
「う…ごめん…」

さて。今、神様にしたらまずそうなのは四葉だ。何を命令するかわかったもんじゃない。
双葉も危険だ。そもそもこのゲームを始めたのはこいつ、何か企んでいるかもしれない。
敏明は…ここから無茶な命令をすることはないはずだ。意外とあっさり終わらせてくれるかもしれない。
というか彼女が出来たんだから爆発し…じゃなかった、満足しろ。

若葉ちゃんは…どうだろうか?
先ほどのテンションを考えると、もしかしたら何か命令したいことがあるのかもしれない…?
良則は色々質問していたし、終了についても聞いていた。
…けど、命令と終了が同時に出来るかというのを確認していたのは気になる。

俺は…正直命令してみたいという思いもある。
けどこれ以上被害(?)を広げるわけにはいかない。終わらせたいと思っている。
…あれ?結局俺以外は不確定じゃないか?

「神様だーれだっ?」
双葉は本当に楽しそうだねえ…じゃねえよ。
俺はまたも数字を引いていた。1/6は案外きつい。
「…俺だな」良則が手を挙げる。

「…双葉、質問だ。例えば若葉は俺…神様にキスをするという命令をしたとして」
「ふえっ!?」
突然名前を挙げられた若葉ちゃんが思わず変な声を上げる。
「…たとえ話だ。それで、若葉が俺を嫌いだとしたら、それでもキスしてしまうのか?」
「よ、良則君のことは嫌いじゃないけど…そういうのは…」
「たとえ話だと言ってるだろう。それに若葉がそういう風に思っていないのもわかってる。
…ところで、意外とはっきりというんだな」
ニッと笑う良則。若葉ちゃんは申し訳なさそうにしている。

「安心しろ。若葉のことは好きだが、友達としてだ」
「あー、そういうこと言っちゃダメだよー。モテないぞー?」
「別にこの中でモテようとは思ってないからな」

「ほうほう、良則の好きな人はここにいない誰か、と」
「…詮索はいいが、質問に答えてもらえるか?」
「あ、うん。神様の命令は絶対だから、若葉が良則のことを大嫌いでも実は好きでもキスはするよ。
ちなみに、もし四葉が敏明のこと嫌いだったとしても、これは変わってなかったんじゃないかな?」
質問に答えつつ四葉の方を見る。相変わらず敏明にべったりとくっついている。

「んー、もし嫌いだったら、何でこんな奴と、でも好きー、ってなってたかも。
今でも友達だと思ってた敏明のことがこんなに好きになるなんて、ってちょっとだけ思っちゃってるし」
四葉が今の心境を話す。なるほど、元の意識も残ってはいるらしい。
けど命令で刷り込まれた意識の方が強くなるようだ。
「でもどっちでもいいんだ。敏明の彼女になれて、すっごい幸せだよ♪」
…これは、元々の性格なのだろうか?

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