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神様ゲーム

2016/07/15 20:12:29
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「そろそろ神様やりたいなー」
「何命令する気だ」
「ひ・み・つ♪」
…双葉に命令させてはいけない。そう思いながら願いを込めて引いた棒は…5番。
周りを見てみるが誰も表情を顔に出さない。
…いや、双葉だけ残念そうにしている。神様じゃなかったみたいだな…

「神様だーれだ」「はーい」
手を挙げたのは…四葉!すごく嫌な予感がする。

「んー…敏明、何番?」
「えっ?えっと…」
「聞くなよ!そして答えようとするなよっ!」
「えー」「ご、ごめん」
危ない危ない、敏明に何を命令するつもりだったんだ。
あと双葉は毎回残念そうにするな。

「敏明には当たらないようにしたかったのに」
…もっと駄目だった!何命令するつもりだ!?
「に、2番…」「あ、おい!」
「ありがとー、敏明ー♪」
ええい、いちいちキスするな!
「つーか番号教えていいのか、王様ゲーム的に」
「神様ゲームだってば」久々の双葉の突っ込み。
「教えるのは別にいいよ。その番号の人に命令するかしないかは神様次第だし」
確かにそうだが…タイミング的にものすごく不安だ。

「じゃあ、何番にしようかなー…」
ゴクリと息を呑む。いったい何を命令するつもりなんだ…
「じゃあね…1番は4番のことが大好きでエッチな妹になる!」
四葉が宣言すると双葉が手を挙げる。
「あ、4番私ー。四葉ナイス」
ナイス、じゃない。俺が5番だから、妹になるのは若葉ちゃんか良則…え?良則は男…

「…っ!」突然良則が小さく呻く。
「よ、良則っ!?」
自分の体を抱えて小さく痙攣しだす。
良則が4番で、無茶な命令をしたせいで何かよくないことが起きたのか?
そう思っても俺にはどうすることも出来ない。
ただ良則を見ていることしか出来なかったが、すぐに変化が起き始めた。

良則の広めの肩幅が徐々に狭まり出し、短かった髪がゆっくりと伸びていく。
着ているシャツが色彩を失い、モーフィングのようにブラウスへと変わっていく。
ブラウスが色を取り戻しながら縮んでゆき、元々大柄だった良則の身体は、
それに合わせるように一回り、いや二回り近く小さくなっていく。
髪は肩よりも伸び、顔も丸みを帯びてすでに男性のものには見えない。
…どことなく双葉に似ているような気もする。

「んんっ…!」
その口から発せられた声は少年、あるいは女性のものにしか聞こえない。

組んでいる腕の間…胸の部分が徐々にせり上がってゆく。
丸みを帯びたその膨らみは、女性のものとしか思えない形を作り出す。
「…ああっ!」
小さくなった体を微かに震わせ、艶っぽい声を上げる。

良則が座っていた場所には、双葉の化粧を薄くして、
髪を黒くして下ろしたような女性が座っていた。

「はぁ…はぁ…」
「良…香…?」
息を荒げる良香に俺は声を……誰だって?
こいつは双葉の双子の妹の良香…違う!俺たちの友人の良則だ!

「…ああ、うん。大丈夫、清兄さん…ん?」
良香…じゃなかった、良則が首をかしげる。
「ああ、そうか。姉さんの妹になったということは、兄さんで間違ってはいないか」
なんだか愉快そうに笑う良則。口調は元のものに近いが、何となく女っぽくなっている気がする。

「良則、なんだよな?」
「ん、ああ…『俺』の意識や記憶はあるし、『良香』としてのそれもある」
そう言って周りを見渡す良則。
「…みんなも、『俺』と『私』の記憶があるんじゃないかな?」

…そうなのだ。俺の頭の中には元からあった高校で出会った良則の記憶と、
子供の頃に「双葉と良香」と遊んでいたという記憶がある。
おぼろげなのは、小さい時の記憶だからだろうか。直接命令されてないからだろうか。
「…うん。清彦君と、双葉ちゃんと良香ちゃんと遊んでた記憶がある…」
敏明が口を開いた。俺たちと付き合いの長いこいつが言うのなら、おそらく全員そうなっているはずだ。

「…双葉、さっき周りは巻き込まないって言ってなかったか?」
記憶の混乱?のことを聞こうと双葉に目を向ける。
やっぱり良香に似てるな。双子だから当たり前か…ってまた流されてるぞ、俺。
「ん、若葉がギャルになったときは全然気づかなかったでしょ?そういうこと」
…要するに、神様ゲームの参加者ならば変化があった場合は
「元々そうだった」と認識が変化してしまう、ということだろうか。

本来だったら「良香」の記憶しかなくなるはずだが、「命令がわかる」という命令のせいで
元々の「良則」の記憶も残っている、のだろう。たぶん。

「ところで姉さん。この場合、『良則』の存在はどうなるの?」
「んー…代わりに別の子がいるかもしれないし、元からいないってことになる、かな」
「なるほど…『良則』の両親には迷惑は掛からなさそうかな」

「本当にいいのか、よし…ってなにやってんだ!?」
良則に目を向けると自分の胸を揉んでいた。
「いや、『俺』の興味と『私』の心が一致してね…」
そういえばエッチな子になるという命令だったっけ…
にしても、いくらあまり気にならないという命令を受けていても、さすがに気になる。
「…やっぱり服の上からだとあまり感じないな…男よりはいいけど」
実況するな。というかここで試すな。
「姉さん、あとで揉んでくれる?」
「ド阿呆ッ!?」
「うーん、女の子同士っていうのは…可愛い妹の頼みならおっけー!」
「お前もド阿呆かっ!?」
突っ込みが追いつきません。助けてください。
「可愛いなんて…姉さんの方が…」
顔を赤らめる良香。ああ、お姉ちゃん大好きだもんね。仕方ないね。…はぁ。

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