「しかし、命令か…普通の命令でもいいか?」
「えー」
「えーじゃない。というか終わらせる気はないのか?良則」
「こんな機会は滅多にないというのも事実だからな」
硬派で寡黙、というイメージだったが、話をしたら意外といろいろなネタを持っている。
最初に良則と話したときの感想だ。そういう男だった。決して悪いやつじゃないんだが。
「とはいえあまり変な命令をするのも気が引けるしな。
…では…すぅ。1番から5番は肌を出さない程度のエッチなことくらいなら見てても抵抗は少なくなる…
…ふぅ、一息でと思うと案外難しいな」
えー。意外と普通…いや、普通じゃないが。
「四葉が可哀想だし、それを見せられるお前たちも可哀想だからな」
そう言って俺と若葉ちゃんを見る。
「私は?」「お前はあまり気にしないだろう?」「うん」
「…あれ?自分は入れないのか?」
「別に俺は見ても気にしないからな。嫌いな奴だったらいらつくだろうが。
このグループの中なら、本人同士がよければ別に構わない」
…大人なんだな。…大人なのか?
「良則…あんた、いいやつだったんだね」
四葉が良則を見る。
「だったは余計だ。敏明がいなかったら俺に惚れてたか?」
「んーん、それはない」「だろうな」
「さ、そういうわけだからチューしてもいいよね♪」
「えっ、よつ…んっ」
言葉を遮るかのように敏明の唇を塞ぐ四葉。
「んっ、ちゅうっ…ぺちゃ…」
「ん、んん…!」
わー、舌絡ませてるし…四葉は積極的だな……ってうわ、本当に見るのに抵抗なくなってる。
「……すごい…」
ぽつりと呟きが聞こえる。隣を見ると若葉ちゃんが顔を紅潮させて二人のキス姿をじっと見つめている。
「…あんなに…気持ちよさそうに…」
「わ、若葉ちゃん?」
「へっ!?あっ!はい!ごめんなさいっ!」
恥ずかしそうに顔を伏せる。恥ずかしいことに変わりはないらしい。
抵抗が「なくなる」じゃなくて、「少なくなる」って言ってたもんな。
…ってなんか普通に馴染んでるぞ?大丈夫か、俺。
「…ぷはっ♪ ねえ、見られる方は恥ずかしいのに変わりはないんだけど?」
「じゃあするなよっ!?」
「しょうがないなあ。いっぱいチューできたし、ここは満足してあげよう。敏明、あとでもーっと満足させてね♪」
「…え、あ、うん…」
ずっとキスをしていた…されていたせいか、朦朧とした様子で答える。
ああ、これ解散したら敏明は四葉にお持ち帰りされるな…
「よし、いい画が撮れたぞ」
スマホを見ながら呟く双葉。「って静かだと思ったら撮ってたのか!」
「えー、撮ってたのー?どういう顔してたか見たいから、あとでちょうだい」
…四葉よ。さっき見られるのは恥ずかしいとか言ってなかったか。
「いいよー。若葉もいる?」「ふえっ!?わ、私は…」
「…いらないって言わないなら勝手に送り付けちゃおー」「…うう…」
「…お、俺はいらないからな」
「え?清彦に渡すなんて一言も言ってないけど?」
「ぐっ…送り付けられたら困るから言っただけだ!」
「はいはい」
ニヤニヤしながらスマホを操作する双葉。
「んー、時間まではまだあるけど、ガンガンいこうか?」
ゲームはまだまだ終わらない…