支援図書館(ζ)

神様ゲーム

2016/07/15 20:12:29
最終更新
サイズ
37.56KB
ページ数
9
閲覧数
37957
評価数
5/68
POINT
3330
Rate
9.72

分類タグ




「神様ゲームイェーイ!」 「イエー!」 「「「……」」」 「い、いえー…」
男女3:3でのカラオケ会。なお友人同士なので合コンではない。
歌うのが少し落ち着いたところで、双葉が突然言い出した。
もう一人同じノリで「イエー」と言っていたのはギャル風の四葉、
控えめに「いえー」と言ったのは何故か双葉と仲が良く、おとなしい性格の若葉ちゃん。
俺と敏明と良則の男性陣は突然の発言に黙ってしまう。

「なんだよ、みんなノリ悪いなー。こういうのは男が言い出すものだぞ?」
「…いや、突っ込みどころが多すぎて突っ込めない」
「やだー、女の子にツッコむだなんて。清彦のエッチー」
「……そもそも神様ゲームってなんだよ。王様ゲームじゃないのか?」
「違うよ。神様の命令は絶対なんだから」
「うん、それ王様ゲームだよね?」
敏明も思わず突っ込む。

「で、でも、王様ゲームって…ちょっと…」
そう言って顔を赤らめる若葉ちゃん。何を想像したのかな?とは言わない。
「だから神様ゲームだって。それに、変な命令しなかったら普通のゲームだから」
「王様ゲームじゃねーか」
「よし、それじゃあルール説明するねー」
「聞けよ」

「ルール1。全員で数字と神様と書かれた棒を引きます。
神様と書かれた棒を引いた人が1番がなんとかー、とか、1番と2番がなにするー、とか
番号を指定して命令ができます。神様の命令は絶対です」
「王様ゲームじゃねーか」
「ルール2-」
「スルーかよ!」

もちろんこの突っ込みもスルー。説明は続く。
「無理な命令は禁止。例えば「1番は2番に100万円渡す」とか言っても100万円持ってなければできないよね?」
「そもそも金関係は駄目だろ」
「うん、危ないもんね」
「いや、どうせ聞かないし危なくはないと思うが」
「もちろん「自害しろ、1番」とかも禁止ね。危ないから」
「普通言わねーよ。てかそんな命令聞かないし」
そう言うと何故か双葉は俺の目をじっと見つめてくる。
「…禁止だからね」
「お、おう」
妙なプレッシャーを受けて思わず頷いてしまった。

「ルール3。命令は一息で言うこと。ゴッドブレスって言うし」
「…ブレスって、息じゃなくて祝福の方じゃないか?」
良則が小声で俺に言ってくる。
「俺に聞かれても」
確かにスペルは違った気がする。
「途中で切れたら命令は無効だから、ちゃんと考えてから言ってね」
「言い直せばいいじゃん」
「ダメ。そういうルールだから」
「…王様ゲームでよくね?」

「ルール4」
あ、スルーですね。わかります。
「あとは王様ゲームとおんなじ感じで」
「王様ゲームって言っちゃったよ!」
なんか始まる前に疲れてきた。てか、本当にやるの?


「神様だーれだっ!」
…なんだかなし崩し的に始まってしまった。
自分の引いた棒を見てみると「神様」と書かれている。
「おっ、俺だ」
「清彦かー。じゃあ命令をどうぞ。一息でね」
だからそっちのブレスじゃねえって。

「初めだから軽めにいくか…4番が変顔をする」
「「えー、つまんなーい」」
双葉と四葉が口を揃える。
「別にいいだろ。で、4番は?」
「……」
おずおずと手を挙げたのは、若葉ちゃん。
「おっ、若葉の変顔か。じゃあどうぞー」
双葉が振る。てか今更だけどノリがひどいな。
「えっと…んーっ」
目を固くつむり、頬を膨らませて口を尖らせる。かわいい。

パシャッ!
「えっ!?」
シャッター音に驚いて目を開ける若葉ちゃん。
「あっはっは!若葉ちゃんかわいー」
スマホを片手に笑う四葉。
「うー…」
真っ赤になってうつむく若葉ちゃん。かわいいけど何だか申し訳なくなってきた。
「はい、いい写真も撮れたところで次行こうか。あ、四葉。私にもその写真ちょうだいね」
…ひどいな、こいつ。

その後も王様…神様ゲームは続いた。
俺が四葉にしっぺを食らったり(けっこう痛かった)、敏明と良則がポッキーゲームをやらされたり、
双葉が俺の特製ブレンドドリンクを飲んだりと、それなりに盛り上がった。
「うえー…私も早く神様になりたーい…」
そんな中、双葉は一度も神様になれずにいた。


そして幾度目かのくじ引き。俺は…2番か。
「神様だーr「はいっ!」
食い気味に双葉が手を上げる。
「ふっふっふ、私が神だ。覚悟はいいな?皆の者」
…こいつの場合、神というより邪神という気がする。
「じゃあ…6番がギャルになる!」
…?何を言ってるんだこいつは。

「あ、6番あたしだー」
手を上げたのは若葉。
「ねえ双葉、あたし元々ギャルなんだけどー」
「あちゃー、外れかー」
額に手を当ててオーバーリアクションで悔しがる双葉。
てか男性陣に当たってたらどうしてたんだ。女装でもさせたのか?
…そう考えると俺に当たらなくてよかったと思う。

「うーん、自分の認識も変わっちゃうのか…どうしたものか」
双葉が何か呟いていたが気にしないでおく。

「神様d「はいっ!」
「早えよ」
続いてのゲームも双葉が神様だ。こいつ急に運が良くなってきやがったな。
「ちょっと待ってね…うーん…」
考え込む双葉。ネタが尽きたか?いや、こいつならすぐに考え付きそうなものだけど。
「…うん、これでいいかな。じゃあいくよ」
そう言って息を大きく吸い込み
「1番から5番と神様はこれからの命令で起こることがちゃんとわかるようになることっ! はぁ、言えたー」

「…?」
何だかよくわからない命令…命令なのか?これ。
「双葉、どういう意味だ?」
「ん?そのままの意味だよ?」
全く分からない。周りを見るとみんなもよくわからないという顔をしている。
「ふっふっふ、そのうちわかるさ」
怪しげな台詞を放ちつつ立ち上がる双葉。
「わたくし、ちょっとお花を摘みに」
「あ、じゃあ私も」「あたしもー」
四葉と若葉がそれに続き部屋を出て行った。

コメントは最後のページに表示されます。